☆第2回ショートショート『侵入』応募作品★
真夏日の悪夢
 ゆらめく陽炎の中を、私はあてどなくさまよっていた。体中の水分がぬらぬらとした汗となり、煮えたぎって虚空に消えていく。水が欲しい。欲しいのは周囲に満ちた、この、たぎりたつ液体ではなく、清冽な山の清水だ。だれか私にあの、浄白そのものの水を呉れたら命と引き換えたっていい……。
 眼前にはいつのまにか巨大な白い壁がそびえ、かすかな冷気を放っていた。頬を寄せるとめり込むような感触に、あわてて後ずさる。もしやこれは時空の歪み、熱に冒されたこの世界からの出口なのか。脱出するなら今しかない。私は白い壁に身を躍らせた。衝撃はなく、ひんやりとやわらかな空間が全身を包みこむ。ここは天国か。疲れがどっと出たのか、私は意識を失った。
 はらわたも煮えくり返るような熱さで目覚めた。救われたのは夢だったのか。遠のく意識の中、彼方で響く声が聞こえた。声はこんなことを言う。
「いやぁ、暑い夏には泥鰌鍋、コレにかぎるよな」
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☆第2回ショートショート『侵入』応募作品★
無題(侵入)
                                                                                          
 平穏だつた細胞に

 さうざうしいミトコンドリアがはひりこみ

 人類はさうざうしくなった
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☆第2回ショートショート『侵入』応募作品★
死体
                                                                                          
 蛇の這い入るすきまもないさみしい密室にころがる 衰弱した男の死体
 冷徹な犯人が送りこんだのは凶悪なサナダムシ
「まだらの真田紐」
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☆第2回ショートショート『侵入』応募作品★
密室
                                                                                          
 なにものも入りこむ隙のない密室に 横たわる被害者
 途方に暮れる名探偵と警官の群れ
 死体は回想する、靄のようにかすむドアの隙間
 立ちはだかったのは ナイフを手にした バカボンのパパ

「2次元のヒトだからこれでイイのだ〜」
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