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・第二章「妻の旅路」のあらすじ要約作品・

ボタン 大賞の発表です!
 あらすじ要約コンテストの「大賞」として
 M.Iさんの作品「(主訴)混乱する」
を選ばせていただきました。
 ご応募いただいた、望月 眞さん、L.Yさん、坂本浩二さん、J.Kさん、Takepom!さん、ネコガスキーさん、どうもありがとうございました。

ボタン賞 品
 大賞のM.Iさんには賞品として「初代の親・谷山浩子所蔵の、「すごく大きい『解剖断面図鑑』」」を送らせていただきました。

ボタン応募作品を読む
 応募作品はこちらで読めます。

ボタン選 評
 …なんて偉そうなもんではありませんが、「メールでリレー小説」筆者グループを代表して、kneoからの感想です。
「M.Iさんの作品は素晴らしい。とにかくですね、こんなデタラメな小説を、これほどまでに整合性のある「あらすじ」に、よくぞまとめてくださいました。感謝しなければなりません。また、着眼点が非凡であり、表現力も優れている、ということで、高く評価させていただきました」 -- kneo

ボタン大賞作品再掲
☆第二章「妻の旅路」 あらすじ  by M.I

(主訴)混乱する

(現病歴)主婦。4児の母。生来健康であった。結婚記念日の数日前に夫とささいな
ことで喧嘩になり、夫が一時的に失踪している。3回目の結婚記念日の午後(ちなみ
に4児の母でありながら、3回目の結婚記念日であるということは、結婚記念日は2
月29日であると思われる)、夕食の準備中に、急性の錯乱状態に陥る。意識の減損
、幻視体験を伴い、夢幻様状態にて自宅周辺を徘徊するが一端回復し自宅に戻ってく
る。その直後、自宅内にて夫との身体融合という特殊な身体感覚を主とする幻覚体験
に再び陥り、4人の息子が胎内に戻ったという発言や三男を天使と見誤ったり、16
世紀のメキシコから昆論、九龍城へ移動するという発言等を認め、時間、場所、人物
に関する見当識の著しい混乱を認めた。夫が「おい、遅かったな、夕飯はまだか」と
話しかけると、ごく自然に「ごめんね。今日は特別の日だから、思いきり豪勢なご馳
走を用意しようと思って。器は嫁入りのときに持ってきたとっておきのディナーセッ
トで、ずっと試したかった北欧風のテーブルセッティングをしてみたのよ」と返答を
するものの、ぼんやりして目の焦点が定まらない様子に異変を感じ、夫と4人の子供
同伴にて龍ヶ崎家族療法センターを受診。子供らの指摘では、本人はドラッグで廃人
の状態であったという。診察時には、脳と背が縮み視力が回復していくとか、自分は
カレシいない歴16年の花の女子高生であるなど退行的な言動が目立ち、うさぎが迎
えに来た、血迷ったアステカの片腕の神官がカモノハシの血を絞っていると興奮して
わめいたかと思うと突然静穏になり、著しい空腹感を訴えて自分は今レストランで夫
と食事をしていると主張し、ナイフとフォークを使うまねをしたりして支離滅裂で意
思の疎通はとれず病識を欠き、急性の錯乱状態と考えられた。龍ヶ崎先生は困ってし
まってとりあえずウイキョウの根の煎じたものを処方した。

(診断)急性の発症であり、視覚、聴覚、体性感覚領域など幅広いモダリティの幻覚
を認め、見当識の著しい乱れを生じており、また子供らの指摘からも覚醒剤等の急性
薬物中毒である可能性は高い。薬物使用歴について家人よりの詳細な情報を得れば、
急性薬物中毒の診断、原因薬物の特定は困難ではない。

(治療、予後)急性の錯乱状態にはカウンセリング、ウイキョウの根は無効で、迅速
な抗精神病薬による治療が不可欠であり、健康保険の適用範囲内である。この時期の
行動に自傷他害の恐れがあれば精神病院への入院治療の適応となり、場合により隔離
拘束などの処置が必要とされる。薬物への反応は通常良好で、幻覚妄想は1週間程度
で消失する。覚醒剤に限らず一般に薬物依存者は薬物の再使用率は高く、薬物再使用
の予防、社会復帰において家族療法的なアプローチは重要な意味を持ち、今後龍ヶ崎
先生の責任は結構重大だったりして、、


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