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フランス料理店(中部フランス)
この一覧はアルファベット順になっています。
 
 

  Alain Chapel  アラン・シャペル
  
01390 MIONNAY 
ferme lundi, mardi et jeudi a dej.
depuis1969 Chef: Alain Chapel (1937-1990) ~ Phillipe Jousse サービス: M.Doronzier
・ 2012年、閉店か?
 ミシュラン3つ星は、1973-1990年。

Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 18  (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 18  (2002)
Michelin ○○ /GaultMillau 17  (2004)
Michelin ○○ /GaultMillau Icone  (2008)

参考:メールのページ

 2012年2月---------------------------------------------------------------------
 一部報道によると、神戸も、だけど、MionnayのAlain Chapelが閉まる(!?)ようです。倒産…みたいに読めるかなあ?
 そうだとしたら、えーーーー、ですねえ、、、。
 また、そうだとしたら、なるほどそれが神戸閉店の真相ですか?
 本当なら、悲しいですね。何とか続けられないものか…
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 Alain Chapelの破産による閉店はどうやら本当のようだ。
 ニュース動画も上がってますが、ほぼ、これまで報じられた内容と同じか。
 別の報道では、
「息子たちが本格的に着任した2011年は前年比20%の売上アップを記録したのだが、そんなことでは追いつかなかった」
 …とも。やはりあの大きなエスタブリスモン全体を支えるのはキビシイのかな?
 ボキューズ翁は
「ボキューズ・トワグロ・シャペルの三角形が崩れるのは心苦しい。ボキューズ・グループでどうにかできないものか?」
 といった内容の発言をしているよう。
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ACHA1 2002年10月 ☆☆

 *ラパンのジュレ寄せ
 *トンのパセリ、アイユ
 *グルヌイユ、ジャガイモと黒トリュフ
 *エクルヴィスのアロマとエピス、季節野菜
 *ロニョン・ド・ヴォー・ロティとエピナール・ソバージュ
 *セルとカレ・ダニョー、トマトタルフィ、ピスタシュ
 *白桃のロティ
 *ヌガーグラス、ポワブロン・ルージュのカリカリ
 +88 Clos de la Roche VV / Ponsot

■Mionnay____________________
[へべ]
 Lyonサン・テクジュペリ空港のTaxiだまり。AQ! が先頭車の若い兄ちゃんに声をかけた。
Mionnay村のレストラン、アラン・シャペルに行ってくれたまえよ、キミィ」
 すると兄ちゃんは言ったもんだ。
「ミヨネ。それ、どこ?」
 ガチョーン。
 今日びの若いタクシードライバーはもはやアランシャペルも知らないのであった。ということにいささかガクゼンとしつつも我々は車中の人に。兄ちゃんは後方にたむろしていた仲間のドライバーたちに
「そんなコトも知らねーのかオマエ」
と笑われつつ(かどうかは知らないが)道のあらましを教えられた模様。さっきまで我々が乗ってたレンタカーのTwingoに比べればはるかに馬力と安定感のあるなめらかな走りで、車は一路ミヨネーへ。
 夕焼けが美しい。リヨンの街はでっかい。

ACHA2 ■Alain Chapel____________________
[へべ]
 Twingoミヨネを通り抜けた時には発見しそこねたが、小村ミヨネの街道沿い、リヨンからだと右側によく見ればアランシャペルと大書した建物が。無事みつかってよかったよかった。19:30にもならないくらいで、まだうっすら明るい。今のうちにと外観撮影にいそしみ、建物のぐるりを見物し、次は庭園観光かなーと言いながら中に入る。
「やあこんばんは。予約している石井だが、いささか早く着きすぎてしまってねウォッホッホ。せっかくだからそこのお庭を拝見させていただこうか」
とでも言いたいところなのだが、そこがコトバのままならぬ情けなさ。
「予約してまちゅ。イシイでちゅ。」
くらいまで口にしたところで、やあやあようこそいらっしゃいましたお二人のテーブルはできておりますこちらへさあさあどうぞ、とばかりにセルヴールに迎え入れられ物凄い流麗さでサルへ通され、あれよあれよと言う間にあらら?…しっかりとテーブルに着いてしまっていたのであった。うーむ。
 とはいえ、相客なし(なにしろまだ早い)でサル占領、の気楽さで、窓から有名な柳の庭を鑑賞したり、サル内を撮影したり…。庭の花々は今も美しい。噴水の水無しが少しさびしい。サルはシンプルで落ち着いた造り。白い壁に間接照明、石の床、明るめの色調の木の家具など。
ACHA3
 すっきりと読みやすいカルト。字も大きめだ。1枚はさみこまれたのがmenuその1。カモと風景の絵が描かれていて、裏面にはなにか昔の品書きのようなものも刷られている。でも今日はカルトから。(今回の旅では)珍しく載っているロニョンと、今回ここまでチャンスの無かったアニョーでプラは決まり。アントレはそれぞれに魅力的で目移りしたが、AQ!の「食べる機会の少ないエクルビス」、とグルヌイユに決定。
 さぁワインリスト。AQ!大興奮。59のシャプティエ・コートロティ・マグナム550Euro!  59ルロワのクロベーが600Euro弱!  59パルメがここにもあって590Euro!  「ここでお誕生会やりたい~」(by AQ!)と頭から湯気モウモウ状態でありました。そのへんやら75ペトリュスはまた今度ということで、本日は88ポンソのクロドラロッシュをば。

 ラパンの肉片をジュレで寄せたアミューズで、食事が始まった。料理が、とてもいい。素材のいいところが自然に前面に押し出されてくるような、とてもナチュラルなおいしさ。
ベルナールパコーのように突き詰めた凝縮感、というのじゃなくて、もっと何かこう、柳に風が吹き抜けて行くみたいな料理」
AQ!。たしかに、そんな感じで、しみじみと美味しい。味わいはナチュラルだけれど、水面下で水鳥の足がモーレツに忙しく動いているように、その味を支える技術と仕事は大変なものだろう。などと口角シャンパンの泡をとばしながら食べる。
 ラパンの肉にしっとりとまつわるジュレのコンソメの旨いこと。セロリやらニンジンやら香味西洋野菜軍団の姿がありありと浮かぶようだ。
 はたまた、マグロのソテーに添えた狐色のアイユに忍ばせた酸味の可憐なこと…。
 エクルビスはザリガニの類とあなどっていたら随分と立派なものだった。ハサミも大きい!  身の味わいはエビファミリーの中では軽くてやさしい印象。殻の味の出たソースが実においしい。
 グルヌイユの腿は、ジョルジュブランのアミューズに出たようなちびっこサイズ。白と緑のソースに真珠のようにグルヌイユを散りばめて、その中ほどに3つ、ポムドテールの島が浮かぶ…といった景色。ジャガイモの間には黒トリュフ。これもいい料理でした。ワインの進むことったら。
ACHA4  ソムリエは気さくなタイプ。「ワインはどうだ? 気に入ったか?」に、「OK、すばらしい! 」と言ったら
「そうだろうとも&値段もなー」
ウィンクするといった調子。すっかりお見通しなのである。2つ星レストランのいいサービスは、肩の力が抜けてていいなー、と、ひとしきり盛り上がる。
 「**じゃ、あーりませんか」のおじさんに似た(by AQ!)年配のメートル・ドテルがまた、すばらしい。注文時にはおどけた表情で、「perfait!」を連発してくれるし、ロニョンのサーブ時には鮮やかな手さばきでデクパージュ技を披露してくれた。さらに僥倖にも、となりの大人数卓がオーダーした、ブレス鶏のトリュフ仕込み膀胱包み料理の切り分け芸まで(香りも)楽しませてもらい、大満足。
 フロマージュシャリオ係もやっていたこの人は、とてもとても働き者でもありました。アラン没後のこの店を
「マダム、フロアはお任せください、私がしっかり守ってみせますから」
とか云って支えてきたのかなぁ、などとAQ!と例によって勝手に推測。スタッフ教育にも手腕を発揮しているのか、当家のテーブルについてくれたメートルの若者も独特のジェントルな物腰でゆーーーーっくり話してくれるのが感じがよかった。

 さて、プラのロニョンがやって来た。周囲の脂に包まれたまま丸ごとロティしたロニョンの、脂をざっと取り、スパスパスパとスライスして皿にぐるりと並べる。茶色のソースと、別鍋にエピナールソバージュがつく。このエピナール風をソースにからめると実に旨い。ロニョンは文句なしの美味。ロゼの断面が花のように並び、中心にひとひら、外側の焼けた脂(これも旨い!)が添えてある。
 アニョーは焼いただけ? と思うような素直さで、肉質のきめこまかさにピスターシュの風味、ソースもかすかにシトロン風味のさりげなさ。なんて上等な料理なんだろうと溜息つきつつ、今度はシャペルの墓参もしようねとAQ!に誓ったことでした。
 アラン・シャペルの残り香、足跡を守るこの店のすばらしさに思うのは、やはり、シャペルその人の偉大さがいかばかりであったろうか…といったこと。ゆったり、信じられないほど長い時間を心楽しく過ごさせてもらいました。再訪を誓いつつ。

(2002秋 Veyrier du Lac "Auberge de l'Eridan" →  Mionnay "Alain Chapel")

[AQ! @2005]
 ところで風の噂によると、最近、アランの息子さん(まだ20歳ちょいの若者)が修業回りを終えて厨房に入り、ジュス氏と並んで料理しているらしい。これは新たな伝説の始まりになるやも。期待しちゃ~うからっ!(笑)
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  L'Auberge de la Charme  オーベルジュ・ド・ラ・シャルム   ( David Zuddas  ダヴィッド・ズッダス )
  
12, rue de la Charme 21370 PRENOIS 03 80 35 32 84 www.aubergedelacharme.com
Chef: David Zuddas → サービス: Catherine Zuddas →
・ 2008年閉店 / 店名はそのままに新生
Michelin ○/GaultMillau 17 (2004)

 David Zuddasは、L'Auberge de la Charme(Prenois)を閉め、DijonにDZ'Enviesを開店した模様。これは新店展開の一歩という観測もあり、今後、要注目。 (2008)

 店舗としての「L'Auberge de la Charme」は存続したようで(オーナー変更か借り手変更か知りませんが)、Nicolas et Cecile ISNARD, David et Jessica LE COMTEが営み、ミシュラン2009では1つ星を獲得した模様。 (2009)

ADLC1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆☆☆

 *Les legumes d'Hiver en carpaccio, salade de quinoa et truffes gises de Bourgogne
 *Ecrevisses du Leman, brunoise de legumes et artichauts de Jerusalem un sable pistache-noisette
 *Sandre de Pays, trompettes de la Mort au Xeres, carottes jaune et artichaut, cardamome noire et lait de verveine
 *Cote de jeune sanglier, choux de Bruxelles effeuilles et compotes, jus de carcasse, poudre d'orange et genievre
 *Tatin de coings, creme d'endive et glace caramel
 *Des de Pommes sautes au miel, petit sable au sarrasin, sorbet a la biere de Fenay
 +98 Nuits St.Georges VV / A.Michelot

(コメント工事中)
[AQ!]
カレーマドレーヌ、イワシパンデピス、シャンピニオンとパプリカクレーム、根菜温湯
冬野菜enカルパチョ、トリュフ、キノアサラダ、黄クルジェクーリ、そのパリパリ
レマン湖エクルビス、アーティショー・エルサレム、サラザントーストスティック(ピスタシュ・ノワゼット・サレ)、緑(パセリ)と赤黒ソース 若サングリエ・コート、シューブラッセル、そのピュレ、エピス、ソース別添
白人参ピュレ、サンドル・ド・ペ、ハラミと香草サラダとオニオンコンフィ、ソース別添
コアン・タタン、グラスドキャラメル、クーリ・ド・アンディーブ
ポム、サブレ、ミエル、ソルベ、キャラメルソース
セーター、Gパンのマダム
 真っ暗。Dijonを一歩二歩離れれば、真っ暗。野原だか林だかをタクシーは20分も進む。Prenoisの看板に続いて小さな集落。
 道細く静か。ピッと左側に輝きが走ったのを目ざとくみつける、即ち、AdlCである。簡単な、というか、あんまりな店名とも思うが、実は地名がrue de la Charme, Prenoisなのである。(しかしこんな名前やめて"DZ"にしてくれ。インパクトある姓だし。後記)ちなみに現在のとこ、宿は付属していない。

 ボンスワ~、ありゃ? 玄関のガラス戸一枚開けて入って「?」である。そこからドアは2枚、正面と左手。どちらもあまり入口っぽくないやんけ。正面を覗いたへべが「こっちじゃ、いきなりサロンに突入よ」
と言うので、階段と厨房入口が見えている左手をオズオズと開けて入店する。正しかったようだ。イラッシャイマセ! スタッフは態度も衣装も若くてクールだ。
 サルへ。フレッシュでキリっとしてやる気ビンビンで居心地良くて、趣味がピリっとして…、サイコー!! もう着席するや、今晩が只ならぬ夜になる予感で満ちるくらいのサル。30人も入るかどうか、こぢんまりしている。

 狂気はアントレと共にやってくる。いや皿の上が狂っている訳ではない。十分アーティスティックで現代的に整理されたプレゼンタシオンであるにせよ。更に言えばその味覚は冷静である。極めて正確に配置された味覚には、細部にまで、DZの鋭敏な考察が施され、醒めた眼差しが到達しているようである。しかし、食べ手は、静かに、そして急速に狂って行くだろう。これはいったい、なんつー、料理であるのか!!
 アーティショーは、DZにとって一つのメルクマールである可能性がある。レマン湖産の小ぶりで極めて美味なエクルヴィスとレギュームを寄せた冷製をガコッとほおばると、妖しく押し寄せる悦楽の香りは、下に敷かれたアーティショーピューレからもたらされる部分が少なくないに違い無い。
 エウスカルやカタルーニャの料理を、別にcopyでも影響でもコンプレックスでもなく迎え撃つ、フランスの仏料理を初めて見た、とへべ。
 レギュムのカルパッチョは、言う通りだが、極めて薄い冬根菜に、たっぷり目のキノワ。質感から得られる印象が、ガルグイユや茸キノワテリーヌを思わせる。静かでクールでいながら、人をゾクゾクさせる逸品。
 シャンピニオンクレームのような先鋭系もあるものの、マドレーヌやトーストなど“コックリ”系も混じるアミューズ群は、「ま~これでつないどいてくれよ」という意思表示か。鮮烈一尖のアントレ、ズゴンと重厚長大なプラ…と、リズムを計算してそうなシェフだし。

 ワインリストは当然若いが、中々良い集め方をしてると思われる。まぁ料理が集中力を要しそうな気配だし、今日もミディアムでテキトーなブル赤を勧めてもらいまひょ。すると、ツツツ…と滑るソムリエの指が止まるのはプスドールの60(00)。おいおい、さっきリスト眺めて喋ってた冗談がホントーになっちたよ。「ムッシュ、それは素晴らしいお勧めなんやけどさ、まさにそのプスドールは、昨日ネ、飲んだねん」。“えっウソ!”…とヒルみつつすぐ態勢を立て直したカレは「じゃ、今日はニュイにしましょう」と落とす。うまい、優秀。イタリアンで使いそうなでかいデカンタ。(プスドールは昨日100、今日92)

[へべ]
●サービスの兄ちゃんたちはグレイのハイネックでキメている。カコイイ。オーダーをとりにくる女性(これがマダムか?)はジーンズ姿でニコリともしない。クールだ。Zuddas終止姿見せず。
●相客は親子連れが2組、大きな兄弟連れと、とび色の肌の娘?母?と子供連れの仏男性の静かな卓と。まちまちな服装の男2人卓は商談?…帰りにノートPCを片付けていた。客の多くは近く(まぁディジョン圏か)から。年配堂々マダムらの卓はディジョンおエラ方?
●店内のしつらえもスタッフもそこに漂う雰囲気も若くピチピチと生きがよく粋。

●アミューズはどんなかなサテさてと舌なめずりして待つ。到着した第一陣は意外とフツーっぽくもあり実質的というかお腹にたまりそうな。見た目フルーツケーキ(のようなイワシケーキ)やマドレーヌ(カレー風味だけど)などが並んで、そう、オヤツみたい。このあとさらにチーズスティックパイとオリーブオイルも追い討ちをかける。頭の中には?が舞う。しかし案ずるより食えば道はヒラケル。シャンピニオンとクレームにパプリカをぱらり、淡黄色の根菜スープを口に含めば!!!脳内の霧が晴れて行く。
●冬野菜のカルパッチョにて、ピアスの光る若きシェフ、ズッタス君=大当たり を確信。ガルグイユに使われそうな根菜の薄造りが平皿に並ぶ。香ばしいオイル。黄色いやさしいクーリ、酸味の綺麗なキノアのサラダ。ピュアで、シャープで、イカしてる。キレキレの若手。味からのイメージでまず連想されるのはフランスよりもむしろバスクのアドゥリスあたりか。エクルビスのアルティショー使い方や、添えたナッツ板の香ばしさ、オイルにしのばせた香りなどなど。
●アントレの軽やかさから一転して、プラは堂々としているのもいい感じ。とりわけイノシシは「ジュンヌサングリエでござい」と皿に高々とそびえる骨付きの肉塊が迫力満点。(ナイフはもっと切れるライオールものなどが付くともっといい、とAQ。私はありがたくも先に切ってもらった恩恵に浴す)肉もサングリエらしい風味があらわれ、かなり締まった密な肉質で獣系ジビエならコレはやつぱりイイよなー、てな感じですが、別添で供する肉汁系のソースがまた旨い。ガルニの芽キャベツピュレは本尊そのもの。サンドルのしっとり火入れに、こちらも別添でソースもGood!

●地元のおなじみさん向けに簡潔にして要を得たmenuも用意されているあたり、も、この店らしいところか。
●今回の大発見!にして(ゴーミヨ今年のシェフ欄に感謝)再訪欲をそそりまくりのまさに明日を背負って立ちそうなシェフZuddasの料理。食えてよかったざます。
(コメント工事中)
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  Les Cedres  レ・セドル
  
Granges-les-Beaumont 26100 DROME 04 75 71 50 67 (Fax 04 75 71 64 39) www.restaurantlescedres.fr
ferme vacance, lundi et mardi
Chef: Jacques Bertrand
・ 今だ注目されざる片田舎の店だが、最先端を疾走している (2000.12)
Michelin 記載/GaultMillau 14 (1990)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2002)
 ワシらが審査員なら、Michelin ○○/GaultMillau 18 くらいは付けちゃうなぁ…(^^;)

 祝!ミシュラン・ギドルージュ2つ星獲得! (2007)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2008)

2000年12月 ☆☆

 *フォワグラと生ハム、トマトとタプナードの小さなカナッペ
 *フォワ・ド・ヴォライユのムース、タプナード入り
 *アニョーのカルパッチョ、タプナード・トリュフ風味、生ハムいりサラダ添え、皿に胡椒
 *オマールのサラダ仕立てドライトマト添え、八角風味
 *ピジョノーの焼いたの、と(その?)ブーダン、プティポワ煮
 *Cerf(鹿)のグランヴヌールソース添えと、雉とシューヴェールのクルスティヤン(春巻)アリコヴェール添え、皿に血味噌(?)塗り、焼栗とベリーのジュレ添え
 *フロマージュブラン
 *小さなカソナード
 *小さなガトーショコラショー、ハーブのアイス、グラスでバニュルス
 *青林檎のソルベに青林檎のチップ
 +64 Hermitage / Chapoutier
 +エスプレッソ、アンフュージョン(バディアンヌ)

Cedres1 [へべ]
 タンレルミタージュ(ワインの「エルミタージュ」の街である)泊のこの日、街の散策から戻り、フロントで
「夜のタクシーを…」
と言いかけると、Hotel Pavillon(何とChapoutierの経営…ワイン好きの人はここで笑ってくれい)の陽気なアンヌおばさん(と勝手に呼んでた)は後を引き取って、立板に水のアングレお喋りモードに突入。
「あ~あ、グランジレボーモンっていうとあれね、レセドルに行くの? そ~お、そーでしょ、ハイハイ大丈夫よ任せなさい何時がいいいの?8時半ね、手配はまかせてまかせて!」
…。…というわけで、タクシーは濃い霧の立ちこめる田舎道をブンブンとばして無事到着。

 ライトアップされた前庭とファサードはなかなかの構え。なんとなく「おらが村の一つ星(…居酒屋風っつうか)」を思い描いていた予想は、ここを始めに、次々に良い方に裏切られていく。適度に広々としたサル、カーテンとカルトにお揃いの赤いケシの花が咲く。暖炉にはうず高く積まれた林檎。卓上には3本蝋燭の燭台が輝く。
 グラスでシャンパーニュとアペリティフメゾンを。後者はちょっとカンパリが濃くて、「そうそうこっちはあまり食前酒に凝ったことするお店、少ないんだっけ(たまにあるけど)」、と再度学習。

 さて、広げたカルトを眺める。ムムム…謎だらけの「読み解きつつ、サービス陣の助けを得て初めてわかる」タイプのようだ。シャロレのDuo、というのは牛の何処だ?、とか、頭の中で「?」マークを乱舞させつつ、大方針としては「アラカルトにしよう」と決定。そのお目当てはK田さんお勧めの、アニョーのカルパチョ。
 …とあれこれ悩んでいると、メートル登場。
「厨房に日本人の子がいるんですよ、お手伝いによこしましょうか?」
的なオファーがあり、渡りに舟とばかり、来てもらう。辻調から研修で入っているという山田クンという若者に助けてもらった。
「このCerfってなーに? … 鹿なんだ … 鹿とあと雉とキャベツをクルスティヤンって…パイ?違う?」
「春巻にしてあります」

…的なやりとりがあって、ジビエは当確に。
「あとは、この豚足はどう?」
「いや、折角ここまで来て豚足じゃ勿体ないでしょう。この皿は殆ど出ませんよ」
「お勧めは?」
「オマールはどうですか?」

…etc.。そうそう、シャロレのDuoは頬っぺたの煮込みと肉(どこか忘れた)の焼いたので
「はっきり言ってこれは食べ切れません。量が多くて…」
というのであった。いやー舞台ウラからの情報というのはまた面白い。
Cedres3
 山田クン(多分…辻調のコックコートの胸に縫い取りがあった)のお助けで料理の注文も決定。…と、その間に運ばれてきたアミューズの旨いこと! OKマークの指の輪っかくらいのちっちゃなカナッペ、フォワグラに巻いたわずかな生ハムの帯が力強くも美味。焼いたプチトマトの南仏風味もいい感じだ。続いて登場した鶏レバーのムース、フォンの効いたソースと底に仕込まれたタプナードもばっちりの相性で、これまた旨い。アミューズの予期せぬほどの旨さに料理への期待がワクワクと高まるという、一番幸福なパターンとなった。
 「料理、好き!」というオーラが皿の上に漂っているような料理が次々に運ばれてくる。ミシェルブラスのように花(シャリっとして微妙な不思議な味。おいしい)を食べさせ、皿の縁にスパイスを散らし、南仏の香りをそこここに忍ばせる… そんな工夫のあれこれが「食べて旨い」という結果に見事につながっているのが素晴しい。
 オマールは身のしっとり加減と味の旨さがみごと。皿の縁にちりばめられたバディアンヌの粉とドライトマトを一緒に口に運ぶと、オマールってこんなにいいものだったのかと思う。アニョーは肉の赤にオリーブ・トリュフの黒が美しい。華やかな一皿。
 とっさに決めたもよかった。ガルニのプティポワが甘くみずみずしく美味しい。鹿、はコロンと四角く切ってあって、ナイフを入れると汁気たっぷり。グランヴヌールソースと栗でいただく。あとからジュレもよそってくれる。にシューヴェールは定番の組み合わせだとか。これを春巻状に仕立ててある。これまた旨い。
Cedres2  デセールも、ロビュション風ありトラマ風(?)あり、と楽しい。帰りに山田クンとまた少し話せたが、後ろのムッシュ・ベルトランにも「旨いぞ!」とハッキリ言えば良かった…。

[AQ!]
 いやぁ、とにかく、美味しくてビッツラしただよ、ここは。現代の最先端を行くか、とか思われるような料理。特に、オリーブ系多用に見る「南志向」が、これほどまで高いレベルに昇華しているのは見たことない。
 南はデュカスか、花はヴェイラか、ハーブはブラスか、オリエンタルはウーティエか、ソースはロワゾーか、クレームブリュレはロビュションか、林檎はトラマか…というような、不思議に具体的連想が浮かぶ料理で、これは、ベルトラン・シェフの勉強熱心さやアンテナの俊敏なるの現われかも知れないが、その魅力はcopy能力の高さではなく、強靭無比な「咀嚼力」にあるのではなかろうか。皿上に現われた現実は彼のオリジナルであり、すこぶる旨い。
 いっそこれは、この地グランジレボーモンから程近いオートリーヴに19世紀にあって遥か異国からの時たまの絵葉書を情報として自己の妄想の世界を理想宮に現実化した郵便配達夫シュヴァルを、引き合いに出すべき血脈であろうか。(←完全にホラ吹きモード)

[↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆☆

プラムショー、ソモントースト、海老カナッペ
レンティユ、フォアドヴォライユムース、ブフコンソメジュレ
ジャガイモカプチーノ(ガラス密閉容器、花、チーズスティック)とシャントレル茸、マーシュとトリュフと茸サラダ
ノアドサンジャック、ベーコン巻のブロシェット(変な串)、マーシュサラダノワゼット、花
ク・ド・ラングスティーヌ(ロワイヤル、陶器の箱入り)、人参とそのピュレ、クミン、フヌイユグラタン
トリロジー・ド・シャス
フザン(キャベツ)・クルスティヤン、ベトラーヴ・ピュレ
セルフ(グランヴヌール、スグリ2粒)ロティ、セルリラーヴピュレ、パロンブカナッペ、グラタンドーフィノワ (左からこの順)
クレムブリュレ
タルトタタン グラスドキャラメル
カフェ・エチオピ
Egly
90カトラン

(コメント工事中)
[AQ!]
 静かにタクシーは小村GBへ滑り入る。すぐに、Centre Ville。記憶より明るく(街灯)、信号がある。記憶ほど不確かな物もないが、この5~10年程で、どこもすっかり明るくなったフランスだ、GBも少しだけ華やかになったのかも知れない。建物の横に「C」のマークが浮かんでいるのが見えた。cedresの“CI”マークシンボル。
 前庭にタクシーが停まる。アレ? 庭の風景が少し変わった。どうやら噂の“改装”は本当か。ボンスワ。玄関に入る。案内されるサルの方向が、以前と逆側だ…、と言うまでもなく、廊下の具合からして、パリッと手が入っている。モダンなサルは、キレが良く、光の輝きを感じさせ、有り体に言って“並々ならぬ意気込み”を感じさせる。ドン突きのど真ん中の「お誕生席」への御案内。ワオ。
 「何なら、ツジから来てる子がいますから呼びますよ」
 2皿+デセール=48、3皿+デセール=60だったか? 阿呆みたいに安い。48の方だとちょうど冷静な量。
 前回に、料理に受けた印象がヒリヒリするような先鋭な神経のものとすると、今回は、土地柄や年齢柄にあったものか、大らかさや伸びやかさ、即ち若干ラクで手放れの良さが印象立った気がする。
 それにしても、1つ星16点は悪い冗談みたいである。パーカー先生が2つ星の料理と書き、パスカル・レミも特筆する。「きっと、ミシュランやゴーミヨの審査員が“自分達で”来る店だから内緒なんだよ」と笑う。

[へべ]
 建物がなんだか大きい。庭の雰囲気もちがう(前はファンシーだったのが渋くなった。オリーブとか緑基調で)。Cのロゴマークがあちこちに配され、大掛かりな改装をしたみたい。グランジレボーモンの村も5年?前より明るくなった気がする。これはフランス全体に言えることだが。
 新しいサルは広くて、以前よりはしばしはモダン風味で、でもコンポートに盛ったリンゴは健在。ところどころにちりばめたクラシックが落ち着きを添える。「シャペルの丘の上から見たタンの町の風景みたいに、どこか大らかだよね」とAQ。

●長身のソフトな感じのメートル、これがシェフの兄弟らしく、オーダーをとり終えてから「ほんじゃま、俺のフレールの料理をお楽しみあれ」みたいなことを申し述べて行った。
●アペリティフは石の床の上をゴトンゴトンと木製ワゴンにて登場。店名入りの銀のクーラーにヴーヴクリコだのクリュグだの白だの冷えてますワヨ。→Eglyをいただく。

●第一の小さなアミューズはなんということもないが、小グラスで来た第二アミューズによっしゃとガッツポーズ。濃厚な鶏肝ムースに強いコンソメジュレ・歯ざわり爽やかなレンズ豆の3層構造をスプーンで。ワクワクしてきた。
●「本日のマルシェから」コーナー。食器保存用のガラス密閉ジャーとサラダが長方形の皿に肩を並べて登場。マーシュは、これもシャントレルかな?茸のデュクセルでドレッセされて上から黒いトリュフを浴びて旨いったらない。そうそう、食前にはまず例のお花を忘れずに!
●ガラス容器のフタを開けると、ンムムムム…いい匂い! 軽やかなジャガイモピュレをふんわりかぶった茶色いキノコ(シャントレル)。
●ノアドサンジャックの火入れはばっちり。こちらのマーシュは小さくか細い。プロシェットの串は海賊フックの鈎爪状。
●白い陶箱のふたを開けると、こんどはクミンの香り。繊細な旨味ののったラングスティーヌに、クミン風味の細人参とピュレがやさしくよく似合う。
●食べて悔いなし、の狩猟鳥獣三重奏! 量はコンパクトに、味はそれぞれ極まって、雉も鹿もパロンブも一気食いというむちゃくちゃお得感のある一皿。ピュアなピュレに泣き、セルフの濃く旨いソースに泣き、パロンブの中身系ペーストを山盛りにしたカナッペに泣く。
●プラもなかなか抑えた量で、これで3皿食べてって感じなんだろうね~、などと言いつつもデセールを食べ進めるうちにおとーさんのまぶたが重くなってくる…キミ、旨いからってカトラン90飲みすぎやー!

●カトランはすごい。旨くてデカクてフィネスを感じる。デカンタして、これでもまだまだまだ…10年後にも飲みたいなどとムシのいいことを思わずにはいられない。
●カフェは口頭で諸産地を列挙された中から、エチオピアをサロンでいただく。石の焼炉に(おとーさんには)寝心地のいいソファでくつろぐ。
●ひえー、サルに大人数2卓と思ったら個室にもいたとは
●カードは…ええとこの方向でいいのかしらん?などと愛らしいマダムベルトランがよんでくれた英語を話す気のいい運ちゃんのタクシーでパヴィヨンへご帰館じゃー。バタンキュー。
(コメント工事中)
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  Cote d'Or  ラ・コート・ドール
  
2 r.Argentine Saulieu 21210 COTE-D'OR 03 80 90 53 53 (Fax 03 80 64 08 92) www.bernard-loiseau.com
Chef: Bernard Loiseau (1951-2003) ~

・ 「星に憑かれた男」の軽妙洒脱で美しい「水の料理」 (2000.12)
ミシュラン3つ星獲得は1991年。
Michelin ○○ /GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2008)

 2003年版Le Guide Rouge Michelin直前。Figaroが、ロワゾーの3つ星のピンチを報じている。「執行猶予状態」とのこと。プールセル兄弟も危ないらしく、「多角経営シェフに冷酷なポーズ」を取るミシュランらしい所だが、まずは頑張れロワゾー親父! まぁ星が減ると、空くし安くなるし、こちらには良いことばっかりだが、やっぱアンタには3つのマカロンが良く似合うぜ。 (2003.2)

 ロワゾーが亡くなってしまいました。
 ソーリューの自室で、猟銃による自殺とのことです。
 謹んで故人のご冥福をお祈り致します。合掌。

 正直のところ、ひたすらに悲しく、j'ai pas de mots 言葉がありません としか言い様がない。
 でも、ワシみたいな食い歩き日記人は、やっぱせめて文章にして追悼するのが仁義のような気もするので、悲しい悲しいと書いてみます。

 「星に憑かれた男」ロワゾーは、ソーリューで食べるまで、ま、趣味じゃ無いかも、と勝手な推測をしてました。ミシュランだ星だサイコーだと叫びながら突っ走る野心家の世俗シェフかと。(…それはあながちハズレという訳でも無いのだが)
 実際に食べて、会って、一発で惚れました。

 たしかに、陽気で自信タップリでヤマっ気ムラムラのオヤジでしたが、自殺…と聞くと、危うい所はわかる気もします。
 「そう見えて小心」な「気にしぃ」な人ではないかとは感じました。細かいことを気にしぃな、心配性な所のある。
 そしてあの、星がどうしたこうしたでオーバーなくらい一喜一憂する、まさに"愛すべき"「庶民性」や「子供っぽさ」が、不幸に繋がってしまったのでは、と思うと、本当に痛々しい気がします。

 「自殺」の直接の原因なんて誰にもわかりません。
 夫人の言う「過労が原因」というのが最も妥当な気はするし、年齢を考えると、初老にありがちな鬱状態とかの影が深いのでは…というような気もします。

 ガイドブックの評価、ミシュランの噂記事もあったし、とりわけゴー・ミヨ2003での点数の急落を気にしていたという報道になっていますが、まぁガイドブック側にとやかく言ってもしょうがないでしょう。

 しかし、(同じ2点ダウンを食らった)ヴリナのような大人なら「彼らはどこを見ているんでしょうね?」とでも言って笑って流すだろうし、ブラスのように超然とした奴なら例え落ちても「それがどうした」と鼻にもかけないだろうし、また、今の若手のシェフの多くは「21世紀はもう"権威あるガイドブック"がどうの、って時代じゃ無いよ」と主張するかもしれない。
 でもロワゾーはなぁ。
 天才料理人であるとともに、いつまでも、近所のオッサンのように庶民で近所のガキのように子供であった。星を勲章と思い続けていたかもしれない。
 俗な奴ゆえに持っている純粋な部分が病んでしまったようで、可哀想な気がしてなりません。
 本当に純粋なヒトって、こういう俗っぽい奴だったりするんだよな。

 彼の魂が、彼の料理に、その見いだした秘密にあるのならば、彼の魂は不滅であって永遠に光り続けることでしょう。そのことを信じてやみません。

 おっちょこちょいでお調子者のシェフのやらかした、人生最後で最大のおっちょこちょいは、世界中の多くの人を悲嘆にくれさせた。ああ、涙が止まらない。
 安らかに眠ってください。  (2003.2)

2000年12月 ☆☆☆☆

 *パセリの衣をまとったエスカルゴ"sec"
 *ローズマリーの楊枝に刺した貝のマリネ
 *フォアグラと酸味野菜の生ハム巻
 *レンズ豆のヴルーテ
 <Le Menu Degustation>
 *ノワドサンジャック、コライユのソース、酸味野菜(セロリ、カリフラワ、人参)
 *グルヌイユのジャンボネット、パセリのジュに大蒜のピュレ
  Jambonnetes de grenouilles a la puree d'ail et au jus de persil
 *サンドルのロティ、エシャロットのフォンデュ、赤ワインソース
  Sandre roti a la fondue d'echalotes,sauce au vin rouge
 *シュヴルイユ、背肉とフィレ、根セロリ棒揚げ、トロンペットドモール
 *フロマージュの戦車:老若シェーブルとエポワス、ノワゼットと干葡萄のバスケ
 *パンプルムースのソルベ
 *バニラクリームとキャラメルのミルフィーユ
  Mille-feuille a la vanille et caramel au beurre sale,croquant de glace royale
 *ショコラのチュイルとグラスの三段重ね
  Rose des sables a la glace pur chocolat et coulis d'oranges confites
 +97 Chambolle Musigny Derriere-la-Grange / Amiot-Servelle
 +Infusion、ミニャルディーズ

LCD1 [へべ]
 「元々は街道筋の旅篭であった」と聞いてはいたが、実際に目にした時のインパクトはまた別物だ。鉄道駅からのバスを降り、車のぶんぶん走る街道を左右に見渡すと道の向こう側に、ほんとに街道の道端(!)に見えるのが、「星に憑かれた男」ロワゾーLa Cote d'Orなのだ。まず最初に驚かされたのは、その「まんま道端」度であった。
 とはいえ、扉の中に入ればそんなことはすっかり忘れてしまう。田舎風の、木や石を多用したがっしりとした造り、落ち着いた調度、あかあかと燃え る暖炉の火…。客室フロアとロビー階、さらに下の庭園レベルを結ぶのは、木のらせん?階段なのだが、そのらせんの中にはガラスのエレベーターが ちゃんと仕込まれているあたりがさすがフランス人である。
 客室もまた素晴らしい。ブルゴーニュの田舎風の造り(なのか)で、石の床、がっしりした木の家具、広々としていて、窓からは緑の庭園とはるか彼方の丘まで望むことができる。伝統・地方色・雰囲気などを取り込みつつ、機能的に申し分ないのがさすが一流というべきか。

[AQ!]
 「コートドール」のあるソーリューSaulieuには鉄道の駅もあるが、やたらとマイナーな路線。TGVの最寄り駅はMontbardだけど、岐阜羽島かお前、って感じで一日に何便も停らない。寂しい駅だったね。Montbard駅前からSaulieu行のバスがあるのは、Dijon辺りで調べてたんだっけ?そうそう、Dijon駅の自動券売機で乗り継ぎ切符が買えたっけ。TGV到着を待って走るので便利。小一時間くらいの乗車はなかなかのバス旅行気分。安いし。
 …とまぁ、およそ「こいつぁ不便」なのは間違いなしの片田舎にようやっとたどり着く。これだけ遠路はるばる来たからには、「広大な大自然」とか「純朴なブルゴーニュの田舎の光景」とか「黄金の作物を抱えた田畑の眺め」とか…を期待するのは人情でありましょう。ところがここって、ホントに、ただの「国道ばた」なんだよなぁ。目の前の道を渡るにもしばらく待たないといけない交通量だし。調子狂うよ。でも、このホテル、入館してしまうともう一回、調子狂う。へべの書いてる通り、実に良い造りで、すっかりブルゴーニュの田舎気分に投げ出される。ああ、極楽極楽(…簡単な客だ)。
 まぁここは、かつての大シェフ、アレクサンドル・デュメーヌが腕をふるった「コート・ドール」であり、その復興物語こそが現オーナーシェフのベルナール・ロワゾーが描きたかった物だから、つまり、此処じゃなきゃしょうがないんだけど。

 大体、この「コートドール」って、色々、調子っ外れというか調子が狂ってるのだ。ロワゾー一代記「星に憑かれた男」でわかる通り、このオッサン、人生一筋「おっちょこちょい」呼ばわりされる所のスーダラ節にして、大変な野望にギラつく激情家。実に愉快で五月蝿そうな男なのだが、このオヤヂが発明したこの「コートドール」の売り物が、ゆーめーなる「水の料理」なのだ。「水の料理」とは、ソースからバターやクリーム・酒などを極力排し、水によるデグラッセを主として抽出していく、軽くピュアな物。食べてわかったけど、真に静謐で美しく、軽やかで実直な料理なのである。
LCD2  「この男」「この料理」、それぞれはわかるんだけどさ、なんか、この取り合わせって、調子狂ってない? ねぇ。このオッサンが、豪華絢爛たるコテッコテの料理をブリブリいわしてミシュラン三つ星をもぎ取るなら…さ、わかるんだよな。でも、軽妙洒脱にして、ひたむき可憐で美しいんだぜ。うん、矛盾ちゅーか。ここが、ブラスとその料理、ロビュションとその料理、パコーとその料理 … … との最大の違いだろうか…?? (^_^;;
 ま、調子狂う、とか、調子っ外れ、とか書いてると、悪口であるとか、良く思わなかったのか、とか思われてしまうかもしんないけど、そんなことは全然ありません。面白いの。そして、素晴しい。

 ムニュデギュスタシオンでいただいたこのコースも、どちらかというとコケ脅し的な所が少なくて、実直に迫ってくる。エスカルゴのパセリまぶしは、意外なことに表面は乾いたもので、噛みしめてジワッとくるもの。いきなりの驚きは無いのに、後で「ああまた食いたい」と、来る。そのアミューズから段々と階段を昇っていくのだが、何処までも何処までも昇りつめ上がって行く。ウワ~ウワ~、とか言ってるうちに、まだまだ上昇する。清楚なのに色気たっぷりのグルヌイユもたまらないが、魅惑の頂点にあったのは、サンドル(川スズキ)のロティ赤ワインソース。サラリとした仕立ての中に、爆発的な魅力が息を潜めている。今だに夢に出てくる料理。

[へべ]
 夕食に降りて行くと、まずは暖炉のサロンで食前酒をいただきながらメニューを検討。ここで出るアミューズが、指でつまんでいただけるエスカルゴのパセリまぶしとか「おつまみ」的なんですが実に旨い。楽しいひとときです。料理はというと、やはりあのカエルとサンドルは外せない…ということでムニュデギュスタシオンに決定。
 テーブルに落ち着くと、まず登場するのがレンズ豆のヴルーテ。ロワゾーのヴルーテはすこぶる美味で滋味でピュアで重くない。ひと匙で今宵の食事の素晴らしさを予感させる、そんな味でした。グルヌイユのパセリのジュのピュアなこと!大蒜のピュレの清らかなことったら! …と、感動は続くのでした。サンドルも凄い。フランスで魚を食べて感動した店リスト(勝手に言ってるだけですが)に文句なしの参加、という感じです。ランブロワジー、ブラス、そしてコートドール…。あああの赤ワインソースでサンドル、また食べたい!

 マスコミ登場好きで狙って狙って三つ星獲得して、大口あけてガハハと笑うおっちょこちょいのロワゾーおじさん…は、翌朝見たら笑っちゃうくらいそのまんまのイメージだったのですが、意外だったのはAQ!も書いているように、その料理です。きわめて静かで思索的。もっと禁欲で哲学してるようなシェフが作りそう。なんというか、人間の不思議を感じます。


2000年12月 昼食 ☆☆☆

 *amuse:上に同じ
 *アリコブランのヴルーテ
 <Le Menu de Legumes en Fete>
 *アンディーブのタルト仕立てにポーチドエッグ、トリュフのソース
 *ジャガイモのガレット、玉葱のフォンデュ、パセリソース
 *野菜のポトフ(シューヴェールのファルシ、人参、ポロ葱、じゃがいも、かぶ)
 *ポワールのソルベ
 *Cafe en Tasse、珈琲のムースとグラス・ド・レ
  Tasse chocolat-cafe et glace au lait
 *パイナップルのサブレ、パッションフルーツのソルベに生コリアンドル
 +97 Meursault Genevrieres / F.Jobard

LCD3 [へべ]
 こちらは二日目の昼にいただいた野菜のコース
デュメーヌ記念サル(古い新聞記事やら写真やらいろいろ展示されている)でゆったり朝食を済ませ、ロビーに出るとそこでロワゾーおじさんに遭遇。で、記念写真撮影後、「おいしいからお昼も食べて帰るかんね」と宣言、じゃなくてお願いした。

 アミューズは夜と同じ。あのエスカルゴのパセリまぶしたのがまた食べたい…。アリコブランのヴルーテも実に旨い。深くて軽くて印象的。
 野菜のコースもまた素晴らしい。野菜自体の旨さ力強さも日本とは違うにせよ、一皿ごとの満足度の高さはお見事だ。一つ挙げるとすればジャガイモのガレット、かなぁ…。あ、でもポトフもよかった。スープに泣きました
 一つ注文をつけるとすれば、料理が他と一線を画したものであるのに比べて、デセールは上等なものではあるけれど、あくまで普通のレストラン路線なのは残念。パティシエは別なんだよね、と食べて実感せざるを得ない。ロワゾー式の、旨くて軽やか、強くて清らかなところがデセールにまで一貫して反映されればきっと幸せ度はさらにアップするだろう…などと勝手なことを思う。
 いやー、しかしLa Cote d'Orはよかったなぁ。また行こうね。

LCD4 [AQ!]
 行こう行こう。ソーリューはパリから割と近いし。そういえばフカシだと思うけど、ロワゾーは2006年くらいには引退したい、とか言ってますね。
 いやぁ、ロワゾーのオッサンは本物も笑いましたね。あの「カメラに向けてハイ笑顔」慣れしてるのが、なんかお茶目。いいキャラしてるわ。

 「美味しかったら、帰り日の昼食も食べてこ」というのは、チラっとは前から考えていたんだけど、もう、こんだけ旨いと「是非とも」でしょ。さすがに、平日の昼は満席などということは無く、簡単に席がとれて良かった。おかげで、これも前々から気になっていた「Le Menu de Legumes en Fete」にありつけた。満足!アンディーブも良かったよん。玉子のまた濃ゆいこと。
 まぁそうは言ってもやはり、此処で一食だけ、だったら「野菜のコース」では無いだろうなとは思うけど。
 デセールは、まぁ、そうですね。日本と比べて、フランスはやはり、「デセールはパティシエの王国」なのが基本だよね。食べる方も、シェフとは別にパティシエの動向も見張ってて、ついて行ったりするし。で、また、基本的にフランスではデセールは、より保守的な場合が多く感じるかなぁ。
 でも、ランブロワジー・ミシェルブラ・ラルページュ・セドル…などといったハッキリと料理のカラーがデセールにも出ている店もあるし、コートドールもそうだといいなぁ、と思いますね、たしかに。
 ま、でも、デセールは、なんつーか、グランなのが好きな人も多いし、微妙だよね。ランブロワジーなんて、結構、「デセールがつまらん」とか言う人も見るし。
 あと「コートドール」については、ときに、料理における塩加減の狂いを指摘されるのも見かけないではない。確かに精妙だから、狂い易いのは理屈だと思われるが、我々のいただいた皿は、完璧だったな~。
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  La Cote Saint Jacques  ラ・コート・サン・ジャック   ( Jean-Michel Lorain  ジャン・ミッシェル・ロラン )
  
14, Faubourg de Paris 89300 JOIGNY 03.86.62.09.70 (Fax 03.86.91.49.70) http://www.cotesaintjacques.com/
ouvert tous les jours, ferme vacances de janv.
Chef: Marie Lorain ~ Michel Lorain (1934-) ~ Jean-Michel Lorain (1959-)
・
ミシュラン3つ星は1978-2000,2004-年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 18 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2004)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2008)

LCSJ1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆

 *Consomme d'Oignons doux des Cevennes en gelee, rosace tiede de Saint Jacques, Emulsion a la Citronnelle, Legumes facon Tempura
 *Aile de Raie en cuisson lente, Tomates confites, Concombre et Perles Japon, Infusion de lait de Coco et Thym citron legelement epicee
 *Truffe aux Choux 'Michel Lorain'
 *Perdreau roti en Coeur de Choux
 *Mille feuille aux trois cremes legeres ou aux Fruits de Saison
 *Brochette de Mangue et d'Ananas au Piment, Granite Creme legere au Fromage blanc et au Citron vert
 +NV Champagne / L.Pommery
 +99 Chapelle-Chambertin / Trapet

(コメント工事中)
[AQ!]
アミューズ:
1.鰯か鰊cru軽燻製、アドックのロマラン串、ラザニヤ・ベトラーヴ風味、野菜串刺し・下にガスパチョソース
2.ソモンのミキュイ・ミフュメ、サバイヨン、シトロネル、柑橘ピール
●若は大人しいタイプ。フランス人卓へ行っても静かで手短か。「チミのペルドロやトリュフのシュー使いが良かったよ」と告げる。
●エーベルラン、トワグロ、ピック、ロランとみな40代の働き盛りであるが、未だにみな何処か「自分探し」的テイストを感じる。偉大なパパの影…、は色々と大変なんだろうな。エレナ・アルサックは振りきれた感じがするけど。JMLは料理の自分らしさに関しては確立している方だろう。パパが早くから「温かく見守って」きたからか。関係ないけど逆に“初代”のシェフ、ってのは、スパーンと思い切りはいいやな、それは。

●ボクらの直前に着いたクルマはアルファロメオで、それにふさわしきゴーヂャス系がチャリラリラと降りてくる。ハンガーにカバーのかかったままのゴーヂャスドレスを何着も下げたベルボーイのおじさんが国道をトットットと渡って行くのが風情だ。それにしてもハイソな店よの~、と少しビビる。パリから150kmだしなぁ。
●そ~いえば、JMLのカルトには、刺身風の魚に山葵と醤油かけとか、和牛Wagyuのシャブシャブのインスピレーション物(?)とか、“パリ病”的な料理名乗りが散見される。やっぱパリに近い…のか。とは観察しながらも、もろにその手の料理には敢えてチャレンジしなかったので、実態の面はわからない。
●メートルドテルの丸い、髭のおっちゃんはニコニコしてて可愛く、話をしてもサンパ。好き。
●若手ソムリエも人間的に“良い奴”タイプだ。ワインは、指定で注文するか(全般に値付けは高めなので、V.Girardinの90Eくらいに逃げようか?)、サジェスチョンさせるか、で迷うが、聞いてみることとする。さすがに“3つ星のお客様”むけということか、値段にすると150~250E辺りから数点、指さしてくる。またここでちょっと迷うが、第一推薦の99シャペルとする。「トラペかよ~」と思いながらではあったけど、飲んだら正解。これは良かった。果実味、奥行き、黒い、ゴム臭さの一歩手前。

●トマトコンフィを敷いたココナツえいひれ。皿の端にエピスメランジェ。“Perle du Japon”は「ラッキョウか?」「コシヒカリか?」と、探偵間で諸説紛糾していたのだが、お答えは「タピオカ」。「Japonじゃね~じゃん…」、…うーんしかし、perleと言えばJapon…、って連想が強いんだろうな。胡瓜と炊いてソースのように、と言うかソースと共にエイヒレにかける。タピオカは小粒のタイプ。見た感じは泡タイプのソースの、その泡が実体化したみたいで、面白い。食感も愉快。全体に、少しタイ、少しインドを思わせるオリエンタルエピス風味が、じっくり加熱のエイにあって美味である。へべによると「時にややウマ過ぎ」。そのココロは若干“緩い”所があって、尊厳に欠けるやも。もう少し、この混然を整理して、トマトコンフィやタピオカ組の配置をダラ~っとでなく、ピンポイントにした方が現代的かもね。…時に、素のエイヒレにエピスだけ、という組み合わせでも、一口二口食べてみたくなるし。
●コンソメドニョンは、…つまり、天ツユ味だ。…いや、狙ったかどうかは知らん。が、下手糞に揚がった野菜天を浸して食らうと、そこには、天ツユの解体と再構成…がある。野菜の揚げのイマイチさは、ビショビショアルベールビショと浸すと余り気にならない。更に、主人公ノアドサンジャックは至極いい具合に小さい薄切りの姿でツルンと甘く食べ手を待ち受けている。…と、いろいろあるがまずは美味な皿。
●トリュフ・ショーはパパ・ロランの料理。トリュフを丸々、鶏・豚足のツクネでくるんで団子にし、更にキャベツ包みボールにして35分ほど加熱、…とそんなようなレシピだ。キャベツ好きにはたまらん企画だ。ツクネ成分の所は、若干ダシがら的に感じられる。幾分「当時はセンセーショナルだったんでせうな」的感想も湧いてくる一品ではある。正直、“うーん、何となくもうちょっと旨くても良さそうな”一面あり。
●さて、素敵なペロドロ・ロティ。こちらも最終加熱はキャベツで包んだ姿の登場となった。こちらは大玉キャベツに詰められ、ゲリドンでデクパージュ。シューを使った点が優しい仕上がりとなっている。ガルニのキャベツや、ソースは、本体組とは別の仕上げがなされて届けられる。慎重で丁寧なことだ。そういう訳でペルドロを取り出された大玉キャベツ君はしずしずと厨房に下がって行く。サヨ~ナラ~。料理としては誠に“正しい”が、あのキャベツが賄われるコミ君はちょっと羨ましいかも。
●あー、何て素晴らしきペルドロの“質”! これね、これがペルドロね。

●部屋へ案内のオネーサン、「ピシーヌはこちらよ、20時まで入れマスヨ!」。これこそ贅沢ホテル(^^;)
●アミューズが精密・繊細で、含みのある美味だったのには、実は少々驚いた。初っぱなからソモンまで、とても良い。最前線級である。ただ、その精巧さが、アントレ以降では影を潜めるのがちょっと不思議。全体の起伏に関する考えに基づくのか、応用的な側面に違いがあるのか、パパの気に召さないのか。

[へべ]
●川に向かって張り出した大きなガラス窓がご自慢の部屋は、広々と明るく快適で、今回の旅のなかではお気に入りの部類。
●料理で記憶に残るのは、なんといってもペルドロの上質さ! 食べてて素直に美味しかったのはココナツえいヒレ。ペルレドジャポン問題も解決されてスッキリ。
●コンソメドニョンは、テンプーラの不出来が惜しい一皿。味の組み立ては好きでした。
●パリから一足伸ばして、三つ星オーベルジュの豪華な泊まり心地と優雅な目覚めを楽しみたい向きには、La Cote Saint Jacquesはお薦めできる気がします。

[AQ!]
 ちなみにペルドゥリ・オ・シューは、増井さんの「パリの味」にラセールのスペシャリテとして出てくる逸品。歴史が薫る。
(コメント工事中)
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  L'Esperance  レスペランス   ( Marc Meneau  マルク・ムノー )
  
89450 St.PERE-sur-VEZELAY  www.marc-meneau-esperance.com
ferme mardi(sf a din. en saison), merc. a dej. et vacances de fin janv. debut mars
Chef: Marc Meneau (1944-)
・ 閉店か? (2007)
ミシュラン3つ星は1984-1998,2004-年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2004)

 yahoo.franceの報道によると、レスペランスは資金繰りに窮し閉店に追い込まれるのではないか、ということです。(toshiさんに教えてもらいました) (2007)

 その後の経緯は知らないのですが、営業再開にこぎつけているようです。 (2009)

 Chef des Cuisinesに、Le MeuriceのSous-Chef ExecutiveであったYu Sugimoto氏が着任されたようです。 (2014.3)

 再びの破産で閉店の模様? (2015)

LESP1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆

 *Les Petits Plats Nouveaux
 *Sole Rotie aux Herbes
 *Perdreau Roti
 *Desserts et Friandises
ジビエのパテ、ジャム・ピール、トースト
ベニエ・ド・レギュム(クルジェ、人参、茄子?、ピーマン) ハーブタルタル
イワシ、ナヴェコンフィとピュレ、薄皮焦がし、キャビア
クラブとビゴルノーのコンコソメ、クラブと海草・ビゴルノー、香草、山椒
フォアグラ、グラニスミス、セルリラーヴ、curry、レズン、パイ
ジョーヌ・ウフ・アラ・ネージュ、トリュフ
ソール・ロティ・ア・ブラン、エルブドジャルダン アレテ・グリエ
シューフルール
ペルドローアンココット スフレポンム
キャラメルスフレ
フレーズ・クロカン・ポワブル
 +88 Clos de la Roche / Drouhin

[AQ!]
 マルクおっちゃんは、最初から最後まで、ずーっと客席巡回に余念無し。部屋に「5年ぶりのレコンキスタを果たしたMM」という"Le Chef"のインタビュー記事コピーをさりらげに置いているおっちゃんである。そうそう、鶴のようなフランソワ夫人もず~っと回っている。
 今日も今日とて、超巨大宴会は、15人程か。
 "LM"ホテル棟から道を挟んだレストラン棟へ歩を運ぶ。ホテルの小道は気持ちいいけど、併設ビストロ前からレストランまでのしばらくの間、歩道が途切れるのは、ちと、興醒めではないかに? …とゆーか、着飾った淑女は怒らんかの。JMLとまでは言わんが何か考えて!
 レストラン棟を中庭から眺めるのがベストルックではある。ホテルは値段程ではない感じだし、デジュネに使った方が“雰囲気”かな。
 夜ともなると、外側、道沿いには、殆ど2,3mおきの密度で煌々と「MM」「L'esp」の看板が輝く。この感覚って…どうだろう。MMの他は何も無いSt.PereをMMを見逃して行き過ごしてしまうクルマがいるとも思えないが。
●これは然り!…な正しい新(?)料理はウフアラネージュ仕立てのトリュフ玉子。淡雪玉子にトロトロの黄味とジュドトリュフが鋳込まれている寸法。確かに“トリュフ玉子”としてこれはアリ!だと思うし、実際旨い。味覚にもっと練り上げられる気もするが、トリュフの旨くなる季節待ち?
●カニとビゴルノーの生温かいコンソメがよい味である。上品なカニ出汁となっていて、香草と山椒のようなアクセントと合う。見た目愉快な変型皿ゆす、すくいにくいがたまに傷。カニ足も旨い味がついているが、仰々しいカニ砕き鋏とカニほじくり(何というのか…日本でカニ関係に登場するアレ)楊枝まで出て来たのは失笑…的。…いやこれが、MM様の“骨太な”料理であらせらるか。
●フォアグラの皿には、フォアグラ・グラニスミスと根セロリ細切サラダ・カレー(カレーオイルを皿に一捌け、って感じ)・レズン・パイの五つの要素がある。うーん、それぞれ旨いけど、そんなに合わないなぁ。…ん、いや、フォアグラを除く四つは仲が良いみたいだ。ん~、コレは多分、イケてない。カレー風味フォアが、思った程効果をあげてなくない?、マルク。
●イワシ・キャビア・ナヴェ。「キャビアは俺には“塩”だ」「イワシをぶちこんでキャビアを貶める」のMM名語録を思い起こさずにいられない小品は十分に美味。だがインパクトのあったのは、期待通りナヴェをさっと炙った代物。これ、ウ・マ・イ!
●…ってな四点は、Petit Plats Neuveauというアントレで、小皿四点盛くらいの物で出てくるかと思っていたのだが、ある程度キチンとした大きさがあり、一つずつサーヴされる。なので、このアントレに何かプラを頼んだだけで、ほぼムニュデギュスタシオン風いっちょ上がりとなる。

(コメント工事中)
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  Georges Blanc  ジョルジュ・ブラン
  
Pl du Marche 01540 VONNAS 04 74 50 90 90 (Fax 04 74 50 08 80) http://www.georgesblanc.com/
ferme lundi, mardi, merc. a dej. et janv.
Chef: Georges Blanc (1943-)
・
ミシュラン3つ星獲得は1981年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2008)

GB1 2002年 9月 ☆☆

 *エスカルゴの香草クリームスープ仕立て
 *小さい蛙腿のベニエ、緑の大蒜ソース
 *ソモンクリュのカナッペ
 *Crepe Parmentiere au Saumon et Caviar
 *Soupe Sauvage "Velours Vert" aux Grenouilles et Mariage d'Herbes
 *Aile de Pigeon Rotie Servie dans un Bouillon Corse Tartine de Halicot de Cuisse, Puree d'Aubergines et Pata Negra
 *Poulet de Bresse comme au G7 avec Gousses d'Ail et Sauce Foie Gras (Plat cree pour le diner en l'honneur des Chefs d'etats et de Gouvernements -Lyon- 27juin1996)
 *薄いパイ、クレームフランボワ
 *トリロジー・ド・フリュイ、グラス・ド・ヴェルヴェンヌ、ルバーブ
  (スフレグラス、パッション、赤オレンジ、アナナ、グレープフルーツ、バナナ)
 +59 Ch.Palmer

■ Vonnas____________________
[AQ!]
 Blancの城下町Vonnasに入ると、急に道は整備され、路傍の花壇が華美で可愛らしくなる。ピンク…。我らがTwingoはそのまま数分進み、道が左側にカーブする辺りに差し掛かって、「Georges Blanc」の文字が目に入り、爆心地!
 ウヒャー!
 ある意味ある種、見事に予想通りというか、笑ってしまった。其処には小川が流れ、川の中の島もまた一杯の花で埋まり、広い駐車場は観光客でゴッタ返し、本館こそ渋いというか地味な姿だが、今夜我々が泊まる「La Residence Des Saules(新設の安い宿泊棟)はカラフルに塗られてボキューズの館を思わせ、ばーんと派手なピンク色の建物の屋号を読むとこれが「L'Ancienne Auberge(1900年当時の雰囲気を再現して供するというビストロ)であり、その間を縫って立ち並ぶShop群も合わせ、「お伽の国のような」騒ぎである。
 へべの第一声が「ディズニーランドみたい~」だったのは言うまでもない。…とはいえ、別に悪い意味じゃなく、無邪気なまでの"食のテーマパーク"性、それこそがGeorges Blancの魅力である。"Vonnasの日本人"、というのが、その余りの仕事好きさにBlancに与えられたアダ名だそうだが、感性も日本人に響きやすいかコヤツ、などと思う。日が暮れていけば勿論、川に木々に建物に"ステキなライトアップ"が演出される。(…なんて言う割に、同世代のグランシェフの中では日本ビジネスが少ない気もするBlanc)
GB2  さて「La Residence Des Saules」に到着するも、受付はなく電話が一台あるだけ。電話で係を呼び出す。しばらく待つ。かなり待つ(^^;)。さすがは安い棟。結局、後でわかったのだが、「La Residence Des Saules」側には常駐スタッフはいない模様。300mほど離れた本館からやって来て、部屋を指示し鍵を渡しこちらのクルマの鍵を受け取って去って行く。徹底的合理化だね。その結果、100euro以下で泊れる。宿泊道楽指向の少ないワシらとしては嬉しい取り引きだ。
 もう一度整理すると、この地でBlancは、上と並のレストラン/上と並のホテル、を営んでいるのだが、その組み合わせは自由。ワシらは「上のレストランと並のホテル」という選択である。ちょっち貧乏たらしいが、有り難いシステムである。
 それにだな… チープ宿泊棟とはいえ、だだっ広い居間に寝室、トイレと別の浴室には大浴槽、十分過ぎる程の衣服収納スペース…、と、貧乏人には「これってスゥィートルームムム…って奴ですかい?」状態で、感激。安い方でコレじゃ、本館なんか泊まったら血圧が上がってしまうかもしれない。
 居間のソファーが座って良し寝転がって良し、で、いきなりお気に入りである(「これ欲しい…」「宝クジ当ったらね」)
 ちょっとだけ近所を散歩。Shopで、Blanc謹製のテリーヌ類の缶詰など幾つか買う(これは大変旨かった。日本で何処か、輸入して売ってないものかなー)Blancはワインなども作っている(これは見ただけ)

GB3 ■ Georges Blanc____________________
 空が青から黒へ、夜は来る。照明の美しい木々の下を逍遥、そうよ本館は「レストラン・ガストロノミーク」の宴へGo!
 本館入口を入ってフロントの右横の回廊を進む。右手に小川(植物は丹精していて夜は美しい)、左手には訪問著名人ポートレイト展示に次いで厨房がガラス越しに覗ける。楽しいアプローチ。ほどなくサロン、こちらでアペリティフをいただきながらカルトの検討の段となる。
 広いサロンは、田舎調の壁と天井、とりどりな装飾・絵画、華美な調度品、間抜けな壷、コロニアルな植物、暖炉にはニワトリ様が屹立(Georges Blancの"象徴"ニワトリの置物・絵画はあらゆる所に遍在する)…、と、何ともテンコモリではあるのだが、バランスと見せ方に優れ、居心地は至極よろしい。「テーマパーク外観」を冷やかしていたワシらも、このサロンにはすっかり乗せられる。
 この年代のシェフ…レストラトゥールと言うべきか、のこーゆー上手い感覚という意味で、ウジェニーレバンの城主ゲラールさんを思い出す。

 間もなく届くアミューズのソモンエスカルゴの具合も、そんなにキチキチと細かい詰めではないが旨さのツボを押さえていて「大人のアミューズ」。これもゲラールさんを連想させる。
 アミューズ中でもは別格。ベニエなのだが、白身魚のような上品な香りと食感…だけど蛙の小さな骨が付いてる。聞いてみるとやはり蛙とのこと。大した質だ。骨から推して小ぶりな蛙なのだろうが存在感たっぷり、確かにしゃぶっているうちに、ぐ、ぐ、グルヌイユ気分が湧いてくる。
GB4  ここVonnasブールカンブレスのすぐ西で、ドンブ地方のすぐ北西という位置にある。今ではこの辺りから、日本に向けても毎日のように食材が運ばれて行く訳だが、全く旅をしなくても食材ウハウハという立地は、やっぱ、凄い。
 御注文も、ブレス鶏ドンブ蛙を外す手は、ま、ありませんな、こりゃ。
 ちなみにこの界隈をドライブしているとブレス鶏の飼育の様子が目に入る。広大な草原を疾駆する鶏には、いっそ、「放牧」という言葉がよく似合う(^^;)。いやはや。
 鶏見物に味をしめてドンブの湖沼地帯も駆け抜けてみたが、というのはみつからないものだなぁ(←きっと、何か、間違っている(^^;))。

 ま、とにかく、食事の注文決定。次はカルト・ド・ヴァン。電話帳である。1914,21,28…。…。…。ウィ。どしゃー!
 店としての「Georges Blanc」は名を成したのは、当代になってから、という色合いが強いが、19世紀から続く店だ。ワイン在庫の底力が違う。全土のワインがよく揃っているが、マコン近郊というVonnasの場所柄から思うと、70年代以前のブルゴーニュは意外と少ない。よく売れてしまうのかも。ボルドー古酒リストに魅力ありと見た。ボルドーの古いのは五大シャトーの類いだと、存在しても手も足も出ない、のが常だが、Blancのリストはもうちょい下のランクまで古酒が揃い、割合に冷静な値付になっている。
GB5  …とはいえ、詳述は避けるが、迷いに迷った我々は、逆上・暴走の果てに清水の舞台からトカチェフを決める勢いでの、御注文決定。…まぁ、身体が駄目になるより前に一度は飲んどきたい誕生年ワインの一つではありました。

 サルに移りましょう。みんな結構、決定力のあるFWを誇っているのか、注文が早くて、我々はほぼビリケツである。
 重厚で華やかな空気。これぞグランドメゾン。さんざめきの響きの波頭がきらびやかである。「う~、五月蝿くもなくショボーンともせずに賑やか。さすがにイケてる反響具合(の建材)ね」、と妙なことを褒めるへべ
 「これまでに100万食売った」…とか威張って書いてあったのはコレだっけか、の、鮭キャビア。鮭とキャビアの思った通りの味、古典的な味ながら近代的軽さを取り入れ巧妙に工夫され…、そんな時代感覚で、実感は素直に旨い。
 蛙のスープも直球、古典ベースのスープに幾分の香草軽さ、風格の塩の強さ。これも小型蛙の腿が魅力である。

 59 Ch.Palmer。文章で万歳三唱したところでしょうがないけど、「…」で10行ほども埋めておきたい。さすがに状態も良いのか、未だ若々しさ・強さも残り、偉大な旅の途中にいる。ワシが土に還ってもこのワインは(存在していれば)生きているだろう。敢えて感想の言葉を考えると、「ギョエ~」と際立った驚嘆方向に言葉を探るより、「完璧なワインだ」みたいな全体の存在に向うのが正しい気がする。そして何より、気品が漂う。
GB6
 鳩のポシェ。「フレデリック・アントンの仇討ちだ」とかつまらないことを言いながら(前年、アントン氏の鳩ポシェがイマイチだった)。仇はとれたぞ、これはかなり旨い! ただ、「鳩が旨くて、そんで、コンソメが旨い、ね」という印象はある。コンソメの塩気と鳩のジュ、といったあたりに、相互作用が希薄な気がする。ワシの感性に無いのかな~、この趣旨の料理…、とも。
 ブレス鶏「G7」。凄いよ。この皿は本当にG7の会食で出したらしいが、「そのネーミングは如何なものか」とゴーミヨも言っている。だよな。ま、そりゃいいか。
 コレも古典洗練系のオーソドックスな鶏クリーム煮だが、鶏は、本気で、変だ(笑)。鶏に見えん。何か、ジビエか怪鳥か…。とくに腿。強い。何つーか、紫色?にも見える。喧嘩したら誰もかなわなそうな「動物のお医者さん」のヒヨちゃん状態。とてつもなく旨い。強烈な味の強い肉の噛みごたえ…ながら、最後の最後では堅くなくて、シナヤカ。そしてジューシーさも残している。調理もイイんだろうな。
 恐ろしく売れている皿で、テーブル間を大変な勢いで次々と行軍していた。ゆんわりとして気品あるサービス陣に抱かれて。

 デセールもグランな快楽タリラリランで、ちゃんと美味。「ウルサいおじさん」として一言すれば、ちょっち盛り込み過ぎて一皿の印象やテーマ性が薄まってるデセールではあるやもしれない。
 まぁしかし、テーマ性と言えば、今宵一晩のテーマ性は素晴らしかったね。「見事なグランドメゾン」+「ドンブ蛙」+「ブレス鶏」+「59パルメ」。この実に骨太な主題を、伴奏陣も立派に支えました。(いいよね、「わかりやすい快楽」、も)
 「La Residence Des Saules」まで、広場を横切り、少々の逍遥。そうよ、夜の冷気が気持ち良い。
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  Lameloise  ラムロワーズ
  
36, place d'Armes 71150 CHAGNY 03 85 87 65 65 (Fax 03 85 87 03 57) www.lameloise.fr
ferme mercredi, mardi midi et jeudi midi : vacances de fin dec. et janv.
Chef: Pierre Lameloise ~ Jean Lameloise ~ Jacques Lameloise (1947-)
・
ミシュラン3つ星獲得は1979年。
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2004)

 ミシュラン・ギド・ルージュ・フランス2005で、残念ながら2つ星に降格となりました。さすがに今回は、「それはないだろう」という声も目立つような気もします。ただ、風の噂では、ジャックの息子さんは店を継ぐ意思がなく、ラムロワーズ家による“Lameloise”の運営は当代限りとなる模様で、そのことが関係するのではないか、ということが指摘されているようです。 (2005)

 三ツ星に返り咲きました。
 上層部の入れ替わりに伴いデレク・ブラウンからジャン・リュック・ナレへの人事異動など、内部がゴタゴタしてるのはラムロワーズちゃうでミシュランやわ、という観測多し。たしかに、星の出し入れで信用を落としたのは、ラムロワーズでなくてミシュランガイドの方のようです。 (2007)

 「Jacques Lameloise cede son relais trois etoiles de Chagny」
 ジャック・ラムロワーズが、店の売却を決めたようです。これに伴い、引退ということになると思います。長い間、おつかれさまでした。うーん、此処は御大がいるうちにもう一回は行きたかったなぁ、シクシク(^^;)。
 エタブリスモン「ラムロワーズ」ですが、売却先が親族であり、厨房は料理長エリック・プラ Eric Pras (MOF。レジス・マルコンのシェフだった人)が引き続き統括することから、当面は大きな変化は無いんじゃないかと思われます。 (2008)

LAME1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆☆☆

 *Mosaique de langoustines en gelee de crustaces
 *Pommes de terre ratte aux escargots de Brougogne
 *Pigeonneau roti a l'emiettee de truffes
 *Lievre facon royale brochette de rable et coing
 *Les deux tartes aux pommes tiedes
 *Tarte fine pure au chocolat
 +00 Volnay Caillerets Clos de 60 Ouvrees / Pousse d'Or

(コメント工事中)
[AQ!]
レンゲ:シブレットサワークリーム+生ハム
シュー、チーズ、クレーム、海老、人参(?)巻
ソモンとオマルジュレ、軽い出汁のクレーム
ジャガイモエスカルゴ(ソースは香草と赤ワイン)
ラングスティーヌとポワロのモザイク、筒入りハーブサラダ、海老ジュレ
どちらも揚げた?香草一本(立体消エネ)
ポワトリーヌピジョノー
 ガルニ:ポワロ巻じゃがマッシュにフォア
リエーヴル・ファソン・ロワイヤル、串刺し
 カリン(?)+ハツ(?)、栗のピュレ別添
マンゴクレーム
リンゴ、タルト・パイとグラスドグラニースミス
タルトオショコラ+グラスドヴァニーユ
ショコラクレーム
 Bravo!! ジャックはサイコーだ。
 恐ろしくランティモンに仏語を喋る、のを対ワシらの落とし所とした笑顔のメートルドテルは素晴らしい。対日本人客講座があったら講師をして欲しいくらいだ。
 「じゃがいもエスカルゴ」「それは当店スペシャリテでございまして、柔らかく香り高いエスカルゴがたまりません、トレビアン」「リエーヴルファソンロワイヤル」「おー、マンタノン、セゾンな素材で今サイコーにおいしゅうございます、トレビアン」…ってなもんだ。
 リエーヴルは円筒形に抜き、真ん中にフォアグラを詰めたタイプだが、切った断面を見ると、かなり控え目なフォアの量。即ち、本当に料理に必要なだけを配しているので、余計なフォアグラの側の香りが余らない。地味にジャックらしい完璧性かも。澄んで濃いシヴェのソースは、舌を刺し包むように強烈だが、そこから邪推されたようには夜中にソワフにならず。無駄塩は打たれてないっぽい。

 ゴチャゴチャしたBeauneのCentralを通り抜けN6に入ると、面白み無さそうだが滅茶苦茶に小さいという訳でもなさそうなChagnyの町は、すぐに現れる。おっと、N6からChagny Centralに曲がるポイントがちょっと見逃しそうであったが、Chagnyに入ってまた、Lamloiseはどこかいな、と「?」である。何せ、Lameloiseがネットに載せている地図は「Chagnyに来ればわかるから」という程度のモノ。これはちょっと参りましたか…と思う前に辺りを見回すと、「**ホテルはこちら」「**役所はこちら」の集中方向指示番内にLameloiseの名がみつかる。お~こっちかね、とクルマを進めると、少しの間逡巡していたのがアホみたいに、街の中心に堂々と建つLameloiseの建物に「ぶつかる」(道はLameloiseを避けるように、左へカーブを回り込んで進んで行く)。ぼんじゅー。車のキーを預ける。
 「堂々」ではあるが、Lameloiseのメゾンはブルゴーニュ~リヨン~ローヌの星付きグランドメゾンの「これでもか!」攻撃の中では、大きさも華麗さも地味な方と言える。地味堂々かつ地味グランドであって、ジャックの性格とは、ひょっとして似合っている。

 とにかく驚異的に旨い、というか、フランスでもっとも美しいフランス料理の一軒と思うこのLameloiseで、思い起こしてみれば、一番大したことないというか「何じゃコレ?」程度だったのが、最初のアミューズの皿の一番手前の一品、小海老の人参(だっけかな?)巻であった。何でやねん? コミがしくじったか、いやこれは、淋しそうな顔のままで高速連射されると聞くジャックの“恐ろしい冗談”の一つであったのか。
 オマルにちょとソモン、で、オマル出汁風味のクレムでとじた筒入りアミューズ。ウマ、ウマい! 泡立てクレムが素晴らしく軽い。すごい軽さだ。だが、泡とかエスプーマとか何タラ言う感じじゃなくて、キチンと、クレムと呼ぶべき存在感がある。地味な完璧性、さりげなく驚倒的。この手法はこの後も見られた。
 Lameloiseのサイトで品書き例などを拝見していて気付くのが、"Pomme de Terre"という文字列の多さ。「フランス料理って何だと思う?」と聞かれて「ジャガイモ!」と答えかねない我が家にとって、誠に“このオッサンは気の合う奴やも?”ではあったのだが、ついにお目にかかったジャガイモ実物には泣いたね、オラ。プックリとした大粒エスカルゴ(殻から出てるよ!、ジャック)がちょうど載るくらいの拍子木の焼芋、そしてフワリと香草。このエスカルゴと芋を口に含めば、「豊穣」という言葉の意味が舌の上で現実となる。目に泪。
 とはいえ、この料理を好きでない人もいるだろうし、食べて「それが何か?」という人もあろう。そーゆー意味じゃ、地味でオーソドックスながらある程度の仏料理ファン向けの料理かも知れん。…ってなことは兎も角、書いてる今も食いたくてたまらん、コレ。もし運良く再訪できたとして、再度注文して…しまうやも。
 ラングスティーヌは、地味でオーソドックスながら恐るべき味の決まり具合。Lameloiseはこーゆー言い方ばかりになるな。ブレやすい食材だけに、正確さが際立つ。

[へべ]
 遅めに降りて行ったらそのままサルへ。
 石の壁、天井にハリのきれいな落ち着くサル。
奥のサルは使ってない(この日は)+遠くから個室団体風のさんざめきが聞こえる。
 批評家風男性3人・柱時計・農民風男性3人・マダムビーズ風・若いカップルおさると英語娘・ウチ

●今夜はロゼシャンパーニュ
●アミューズのシブレットサワクレームと生ハムはマネできそう
●エスカルゴとじゃがいも、これがウマイ! でかしたジャック。君が好きなものをボクも好きだ!!!と盛り上がる。黒くぷっくりしたつややかなエスカルゴ、分厚く切ったジャガイモのねっとり、パセリとにんにくのソース。
●アミューズ2の軽いクレームは、エスプーマのような(クレーム系じゃなくて)水系の軽やかさ。
●ピジョノー、極上。ガルニがまた旨い。ポワローをくるりと巻いた筒にすてきなジャガイモピュレを盛り、内臓をトッピング。リエーブルのロワイヤルも実に旨い。
●ひねったもの、あれこれいじったものじゃなくて、ごく自然体の料理が、しみじみとおいしくて、そういうのってなんだか心に迫るものがある。たとえばカルトを眺めただけでビビビと伝わる。ポムドテール好きのたましい。おお同志よ!

●ゆっっっくりフランス語で話してくれて愛嬌のあるメートルもいい奴でした。
●シャニーのどこかなあ? オロオロと走っていくうちにAQ!が方向表示のカンバン(控え目なサイズ)を発見。街の中心に突入せずに、ヘリをなでていくように車を走らせていくと、壁に大きくLamloiseとある。
●この建物の壁にでっかく屋号を書くのは街道筋の店によくあるスタイル。日本人の目にはさすがに大きく映るのだが、走行中のクルマ(昔だと馬車…なのか?)からだとこのくらいがありがたい。
●ジャックのところはこの壁面屋号一発のみ。敷地の外周、道路沿いに「マルクムノー」「レスペランス」と交互にライトアップつきでずらりと並べたりするのと比べると、控え目なカンジである。
●ラムロワーズの宿部分にもメシ部分にもこのどことなく控え目な印象は一貫して感じられた。それがすなわち主のジャックの個性の一端のあらわれなのかしらん。
●フロの湯舟はここのが今回でいちばん気持ちよかった。すべらないようハンドルつきの、長々と寝そべってつかるタイプで、頭の側のなだらかな傾斜がばっちり。あまりの心地良さに眠りそうになるくらい。(シャワー大賞とゴージャス宿大賞はロランのコートサンジャック、アート大賞はやはりレジスさんのことかな)
(コメント工事中)
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  Auberge de l'Eridan : Marc Veyrat  オーベルジュ・ド・レリダン : マルク・ヴェイラ
  
13 vieille rte de Pensieres 74290 VEYRIER DU LAC    ferme lundi, mardi et merc. a dej. (sf juil.-aout) et mi-nov.-deb. mai.
Chef: Marc Veyrat (1951-) ~ Yoann Conte
・ 2009年、閉店の模様
2010年、再開か
ミシュラン3つ星獲得は1995年。
ゴーミヨでは、「出ないものと思われていた」幻の20点を2003年に獲得。…しかし、20点、ねぇ、、、、。
Michelin ○○ /GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 20 (2004)

 2009年2月24日、「フィガロ」「ル・モンド」が伝えるところによると、Marc Veyratは、健康上の理由(2006年のスキー事故によるものなど)から引退を表明したとのこと。オーベルジュ・ド・レリダンもこれに伴い閉店する、というような報道となっている。いずれにしても、大変に残念です。

 公式サイトによれば、門下生のYoann Conte氏のもと、再開の運びだとか。 (2010)

 ヴェイラは2013年、Manigodに「La Maison des Bois - Marc Veyrat」を開店。
 本稿は2002年「Auberge de l'Eridan : Marc Veyrat」訪問記であるが、2014年時の店舗は、次のようである。
● Restaurant Yoann Conte (13 vieille rte de Pensieres 74290 VEYRIER DU LAC) www.yoann-conte.com
● La Maison des Bois - Marc Veyrat (Col de la Croix-Fry, Manigod, France) www.marcveyrat.fr

2002年10月 ☆☆

 " menu sonate "
 *Sandwich et Hamberger, gelee de panplemouse et genipi,mousse de polytic (緑とピンクの筒、野菜のシューなどのアミューズ)
 *Escalope de foie chaud, vinaigre de myrrhe odorante
 *Oeuf mi-coque mi-brouille mousseuse de muscade, piqure d'oxalis
 *Gelee tiede aux aromes de lierre terrestre,concombres, encornets pistaches, effile de crabe
 *Les trois ravioli de legumes d'ici, sushi en folie,huiles epicees, noisettes, olives, soja
 *Consomme de poule, spaghetti fondants au gout de fruitiere, sorbet de foie de volaille
 *Fera du lac poelee sur la peau, cube de glace, aux aromees de benoite urbaine
 *Turbot cuit sur une pierre d'Arly, pastilles de verveine melissee, coulis d'ache
 *Soupe d'epiaire des bois, echalotes glacees fanees,lard virtuel
 *Cappuccino de rattes aux truffes, ecume de cacao
 *Irish coffee de canette tiede, souffle de mais glace bonbons de carvi
 *ヴォーの皿
 *コート・ド・ブフの皿
 *Les desserts de mon enfance
 *Pots de cremes oublies au four, a la decouverte de la flore alpine
 +90 Mondeuse Prestige / Grisard

MVEY1 ■ Annecy____________________
[AQ!]
 帽子男マルク・ヴェイラの料理が食いたい。コレが2002秋フランス旅行の主眼ではあった。しばしばミシェル・ブラスと対比して語られる大きな黒い帽子と黒いマントの鯔背な山男。香草を魔術のように操るサヴォアの山の野人。クレイジーなまでのパッションで未開の野に新天地を切り開く気鋭の料理人。…と、こんなに気になる奴も少ない。
 しかし、「アヌシー湖って何だべさ、どうやって行くとですか?」と、無い知恵を呑気に養っている間に、帽子男はすっかり時の人として脚光を浴びる存在となる。例の「ミシュラン6つ星獲得!」の騒ぎだ。実際にはヴェイラの6つ星(=すなわち3つ星2軒)は、デュカスの場合と違って「季節によって営む店が違うだけ」でスタッフはその間を移動する。夏は湖畔/冬はスキー場の店での営業で、夏の3つ星と冬の3つ星足しての6つである。どちらも建物として立派なら、後の内容は同じなんだから、片方が3つ星ならもう一方も3つ星というのは自然なことではある。
 ミシュランの星騒ぎは、アヌシー湖行決行計画者には余り良いニュースとは言えないかもしれないが、まーとにかく、行くぞ食わせろ、の2002だ。
 そんな訳で旅のメインテーマの帽子男の館。2泊ぐらいして2,3食食おうよ、が当初の目論見であった。…のだが、ガーン、実際に具体的に調べると問題が一つ…。我々には、“頭の血の巡りの悪さ”とともに、“財布の薄さ”という大弱点がある。ここでまぁ一つ、ヴェイラのサイトのタリフ関係んとこ、見てみてくれよ、兄ィ。ヴェイラのタリフの高額さったら、アータ、群を抜いて一頭地…から回りをヘイゲイするかの如き猛烈さである。単純な話、同じ3つ星19点のミシェル・ブラスやジョルジュ・ブランの料金と比較して、室料も典型的ムニュもおよそ「倍額」なのである。倍だよ、倍。これはもう、超高級ホテル・超高級旅館泊まり歩き道楽の、クラ~スがアッパ~な方々のタリフの世界と言っていい(しかしそう考えると、レストラン道楽って“普通”には安いもんだよな)
 このタリフにクラクラと迷う。2泊はあんまりだよな。1泊はアヌシーに安宿をとってタクシーで食いに行くか…など折衷案も検討するが、結局、“ウーン、今回は様子見”で「1泊1食」と決断。アヌシーの地勢上の位置が頭に入ってみると、思いの他Lyonからの便はよく、再訪難易度は高くないのを知ったせいもある。

 リヨン、グルノーブル、アヌシー、ジュネーヴ、シャモニー、、、「LyonからAlpesへ」のルートは高速網がとてもよく発達していて、大概の行程は複数の経路選択肢が選べるほどだ。この日はヴァランスからアヌシーへ。オートルートはよりどりみどり。一旦Lyonに向う…のも不粋かと、真直ぐグルノーブルに出るA46を使う。随所で山岳ドライブ気分を味わう。「さすがにアルプスのお山さんは“山”らしく険しいことですの~」とマッシフセントラル暮しが長かった(3日間)日本人の目が喜ぶ。
 アヌシー着。この行程はラクで3時間もかからない。アヌシー・ノールを降りると道は新市街の中を進む。大きい街でかなり道はゴチャゴチャしており、湖畔に辿り着くのも一仕事であった。
MVEY2  お~、湖だ! 芦ノ湖畔とかそんな風情。時計回りに湖一周のコースをとると、道は程なくヴェリエ集落に入り、キョロキョロしているうちにマルク・ヴェイラの館オーベルジュ・ド・レリダンを発見。近辺はホテルが多い。まだ日が高いので、湖一周観光を続ける。

 タロワールで停まって、カフェ昼食の算段。金曜午後ではあるが、観光シーズンが過ぎたゆえか、立ち並ぶカフェやレストランを併設したホテルも、あまりやる気なし。ちなみにこの集落に、かつての(なんて言ったら怒られるか)名店「オーベルジュ・ド・ペール・ビーズ」がある。
 タロワール集落中心部のカフェでキッシュロレーヌを食い、センスの良さげな土産アクセサリー屋で少し買い物をする。
 「ここへは初めて? 日本人もアヌシーばっかりじゃなくてタロワールにも来ればいいのにね」、とオバサン。「ちょっとこれを見て頂戴よ、"漢字"でしょコレ、何て書いてあるの?」などと逆に質問されているへべである。
 湖畔の、水がチャプチャプいっている際を更に車は進む。とんがった端まで行って、クルっと回って反対岸をアヌシー市街に戻る。こっちサイドは湖畔の道が赤い国道で交通量多く、観光的にはつまらない。
 丁度ヴェイラの対岸はここらだべか、という位置で車を停める。「水辺から向こう岸を見てみよう」と言ったものの、ここはプライヴェート湖畔らしく、柵と生け垣が障害になっている。仕方なく、ピョンピョン飛び上がってみたり、垣の切れ目から覗くとヴェイラらしき建物が垣間見える。へべが「水色の建物だったから、そうよ」と、さっきの一瞥で館の色を覚えてきていた。コレは一発写真を撮ろう、と、伸び上がったりTwingoを踏み台にしたり、大騒ぎ。なんとか撮影して、ヨシヨシと出発すると、ものの15mも行かないうちに、湖畔に出る遊歩道の入口が…。簡単に写真が撮れる…。アヌシーにもマーフィーは遍在すると思い知った一幕であった。
MVEY3
 この方向からアヌシーに戻ると、シティホールを中心とした旧市街に到着、まずは観光フェリー乗場である。
 いや~、観光地である。ディナークルーズ対応巨大フェリー太鼓橋、溢れんばかりの花・花・花、石造りの教会堂、水鳥水鳥水鳥に囲まれてスイ~っと泳ぐ白鳥! 。全てが愛らしくディスプレイされた、何とくすぐったい(くすぐったがるなよ)尻のこそばゆい(こそばがるなよ)…大変な観光地である。まぁ芦ノ湖…より品は良いのだけどね。「地球の歩き方」によると“スイス風の街並”と言うのだそうだ。たしかにチロリアン衣装こそ見当たらないけど、スイスがどうの…とかそーゆー風情だ。
 おっとそうそう、ここではシティホール地下に車を停めたのだが、この地下地下6Fまで掘抜きになっており、その6F分を展望エレベータ2基が降りて行く。これはカッコ良い!…と、白鳥様よりパーキングに感心してりゃ、世話ない(^^;)。

■ Auberge de l'Eridan____________________

 …とか言いながら、無事に市内観光も済ませ、そろそろチェックインの時間となる。ヴェリエ集落のロータリーからヴェイラの玄関までの小道はゴチャゴチャ曲がりくねりかつ急カーブあり、であまり楽しくない。泣く子も黙る6つ星様へのアプローチ…って盛上りは無し。玄関前に乗り付ければ、ベルキャプテンが飛んで来てテキパキテキパキと、コトを進めてくれる。このヒトは翌日、Twingo後部トランクカバーの外れてるのを見事に直してくれてたくらい、イイ奴だ。
 そういえば、後で駐車場を上から見たら、BMWベンツボルボでかいモデルのプジョーetc.に囲まれて、Twingo小せぇこと小せぇこと…。キャハハ、他のクルマの半分以下だよ。此所に来るクルマはみんなでかいなー。フランスの地方ではミシュラン2,3つ星の店でも、クリオサクソVWの小さいのだオペルの小型だ…と気楽なクルマ主体ということも多いので、久しぶりにココみたいに大型車タップリの駐車場を見るとビクーリだ。箱根オーミラドーの駐車場を思い出す。これが、“大観光地”“スイス国境近く”ということ…なのかもしれない。銀行家の休日? (というか、アルザスでも、ドイツ人が乗ってくるクルマはデカい。ドイツ人は大きいからね…、じゃなくて、EUの時代になっても“国境を越えて遊びに行く”ってのはなかなか裕福なことなのかもねぇ)
 眺めながら、「あんなデカい車じゃ、ブルゴーニュ葡萄畑の畦道でUターンできねーよ(笑)」とTwingoの肩を持つ。「少しは恥じろ、ニッポンの国辱モノめ」と叱られそうだが、思うに、きっと絶対、ワシら以外で此処んちに来る日本人はみんな、ベンツのSクラスあたりで乗りつけてる。間違いナイ!((C)長井秀和) という訳で、日本の威信はその辺りの方々に任せてOKOKということで(^^;)。
MVEY4
 お部屋はお2階でございます。
 案内のオネーサンの先導。実はこの時、間違いが起こっていた。オネーサンは英語モードで「ユー・ステイ・トゥナイト?」と聞く。ウィウィ。「フランス人の英語だなぁ、何か変なことゆーて」…とか聞き流してたワシは、「そうだよtonightだ、グッドステイだといいね」等と返答(英国人の英語なら「え、何何?」と聞き直す所なのだが(^^;))。ところが翌日わかった所では、向こうはどうも"2 nights?"と言っていたようなのである。
 大体、何で訊いてきたのか。「到着日・出発日・滞在1nuit」を書いたFAXは何往復もしていると言うのに(途中の予定変更も無かったし)事務整理が悪いな(笑)。
 ま、この件は翌日「ちげ~よ、今日帰る」と言って、済み。

 さて、部屋だ。バーン! ワハハハ…こいつは、よくもやったものだ!
 「山の暮しがテーマだ」と言えばよいか。ふんだんにふんだんに木材を使いこなした部屋。木組みはアチコチで「素朴な味わい」を表現する木肌を見せている。ベッドの頭の上あたりには棚を設け、そこにギッシリと「焚き木用の小枝」が詰め込まれている(勿論、そんなもん使わないが)。天井の造作が面白い。木と金網で出来たパネルに、乾燥麦・布・豆・乾燥草花など様々な物を挟み込み、そのパネルで天井を埋めて行く。寝転がって下から見上げると、でっかい押し花図鑑のようだ。
MVEY5  おっとそういえば、壁には、採集した香草類の押し花・押し草が額装されて、何枚もかけられている。ちゃんと学名を入れた整理がなされていて、さすがに香草の魔術師(笑)。
 昔の木製農機具類も、床に壁に、装飾調度品として活躍している。その幾つかは釘で止められていて、「持って帰られないようにしてある、ってわけね」(by へべ)なのは御愛嬌。
 部屋全体がアトラクティブでチャーミングな眺めであり、居住空間として快適だ。要素が多く、綺麗にフィニッシュアップされている為、どこか、「田舎の山小屋“テーマパーク”」のようではある。
 テラスに出れば、アヌシー湖が馬鹿みたいに眼前にダダ広がっている。湖から視線を手前に戻してくると、白地に赤・青のボートがプカプカと浮かび、小さいヴェイラ専用船着き場があって緑の庭の起伏、更にその手前の屋根の下がレストラン部分、という寸法のようだ。レストラン部は玄関エントランスから見ると1階下のレベルで、すなわち部屋からは2階下にあたる。
 部屋のテラスと真反対側が浴室で、巨大ジャグジーバスがデンと構える。ジャグジーONすると泡噴射とともに浴槽下部からライトアップがなされ、泡にまみれた輝く裸体は、部屋越しに湖と山を望む。豪気なこっちゃ。これでシャンパンでも開ければさらに豪気だろうが、ま、終わっちまうだろうな(^^;)。
MVEY6
 ってな訳で、例えばミシェル・ブラスの客室なんかは初めて入った時にはちょっとした感動を覚えたのに対し、ヴェイラの客室は感動ってこたぁ無いのだが感心と面白みとゴージャスなサービスを供してくれる。
 山の向こうに陽が落ちる。秋の陽は落ち出すとストンだよ。実の所は、山に関して言うならば、ヴェイラが建っているこちらサイドの山の方がずっと綺麗なのである。すなわち、山を見るなら、対岸からこっちを見る方が良いのだけどな。

■ Marc Veyrat____________________

 …と愚考しているうちに辺りは闇。我々はレストランへ出かけませう。
 レストランの造りもテイストは客室同様で、明るく元気のよい山小屋調。セルヴールの、白とオリーヴ色を基調とした明るい服装が、全体の雰囲気の素軽さを更に強調しているかもしれない。サルを進んでくると、そこはかとなく清涼な香りが漂い、快い。普通は「料理の香りか…」という所だが、此所のは、サルのフレグランス用だけに何か香らせているんじゃないかな~。そーゆー印象。
MVEY7  ここでの注文は、ムニュデギュスタシオンの「ソナタ」かなぁ。アラカルトもあるのだが、若干このムニュに誘導的なフシのあるカルトである。“ま、とりあえず「ムニュ」食っとけ”、みたいな。それ、食っとくわ。

 カルトドヴァンは、実はweb site上で一部予習済みなのだが、値付けがクソ高い。特に有名銘柄は恥ずかしいほど高く付けている。実際に店で詳細に見ると、ローヌの一部など比較的冷静な値付けもあるが、矢張り、ある程度のワインの実勢価格(酒屋で幾らで売ってるか)を知っているヒトだったらクラクラしそうなリストだ。
 じゃぁ全滅か、というとそんなことはなくて、「イイ物」がある。何のことはない、「土地のワイン」…すなわちジュラサヴォアだ。カルトの2頁目がこれらに捧げられている。4桁(euro)価格も乱舞する他ページと違い、このページは80年代から揃っているにも関わらず全て2桁価格(絶対価格が安ければいい値付け、ってもんでもないけど)。「俺っちはサヴォア赤の古めを貰うぞ。どれだす?」とソムリエに下駄を預けると、スーッと指先は90で止る。prestige。ウン、良さそだ。
 事実、良かった。麗しい鼻を持ち、ボディは、肥えたり充実したりまろやかだったり…とまでは言えないにせよ、十分に下支えする力量がある。まー、ここいらの酒でなかなかこうはならないのだろうな、と思う。

 アミューズピンクの2層がケバいガラス筒が目をひく。シューにいこんだクレーム野菜は、旨いが意外にコテーッとしっかりしている。かなりヴォリューム感。
 うーん…。
 …う~んどうしよ、ここでは、先に解題というか、我々の発見した結論(ではないが、“まとめ”のようなもの)を、一足お先に披露してしまいましょか。
 このディナー時もマルク・ヴェイラには軽く挨拶などしたのだが、翌朝帰りがけに玄関でバッタリ遭遇した。これは好機、と、写真をねだったのだが、握手してギョ。はいチーズ、と肩に手をまわしてギョ。デカいのだ、この男。巨大人間だ。中に絶対何か入ってるよ、コレ…。じゃなくて。牛と戦ってみるかチミ…。じゃなくて。
 えらい大男です。
 此処んちのムニュは、どうしてもこの、“巨人”の感覚で作られているとしか思えない。つまり一つには、ド単純に、絶対量が多過ぎ。ワシらには、幾らなんでも、これ全部を楽しめ、と言われたら辛い…どころか、食えん(^^;)。ま、それはワシらが“小人”なのがイカンのではあるけど。
 (だけど、ワシらとて、ムニュデギュスタシオンでも、そう滅多にギブアップした経験はないんだけどさー)
 で、それもあるが、この“大人物”のムニュは、さすがに幾つかの点で「やり過ぎ」「詰込み過ぎ」を感じるのだ。即ち、コース全体の流れとして、さすがに流麗さが無いし、対照の美が感じられない。コースの「構成」として、どうなんだろうか。ここまで“ぜ~んぶ”出されると、やっぱ、重複を感じる所もあれば陰影が塗り潰れて感じる所もある。舌や脳の記憶層にうまく納まっていかない。
MVEY8  (ちなみに個人的に、大ムニュの流れが綺麗だと感じるのは、M.Bras,R.Marcon,A.Adurizなど。逆に此処んちのように一品一品は傑作だが流れないのはM.Berasateguiなど)
 だから、素晴らしい皿が出ても、今一つ上手く“感動が納まるべき所に納まる”ことが出来なくて、もどかしい感じがするのだ。

 ちなみにこれは日本の小人ゆえの感覚かと思っていたら、そうでも無いらしい。元ミシュラン調査員のPascal Remyは著書“L'inspecteur se met a table”(「裏ミシュラン」バジリコ刊)の中でこう言っている。
==========================
 ミシュランガイドに載っている店のなかで、いちばん印象に残っている店はどこか? この質問に答えるのは難しい。メジェーヴにあるマルク・ヴェイラの店で、350ユーロもする有名な「お試しコース」を食べることはおすすめしない。(中略)そのときは楽しく、感激もするしお祭り気分になる。ところが一週間もたてばすべてを忘れてしまう。食べたものをまったく思い出せなくなるのだ。
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 Pascalがここで言っているのは、我々とかなり近い感覚なのではないかと思う。(ちなみにPascalはこの後、「忘れがたい思い出」として、パコォとブラスの皿を挙げている)  …と、ありゃ、文句から先に申し立てる日記になってしまったが、一品一品の料理は凄いよ。度肝を抜くようにイカれてカッコよく、それでいて味覚を捕らえて放さないような傑作がバンバン出る。紛うことなくスッパリ新しく、見たことも食べたこともないのに、味の美形が頭の中に結晶するような料理がある!、と認めるにヤブサカでない(^^;)。

MVEY9 [へべ]
 黒い帽子赤いマフラーのイカしたシェフ。ずーっと気になっていたマルク・ヴェイラの料理、やっと食べてきました。その感想は…いささか複雑。確かにこのヒトは天才的に料理、うまいのだろうな、と思う。でも、ミシェル・ブラスの時みたいに「やっと来た&やっと食べたぞ、素晴らしかったぞ、絶対にまた来るぞ」と手放しに踊りきれない、3勝2敗1引き分けみたいな気分にさせられるのはなぜかしらん。

 その一部――例えば、アヌシーみたいな小奇麗で素敵なお金持ち向けの観光地よりも荒涼としたド田舎にうっとりする、とか、懐具合が情けなく宿代などすぐケチりたがる、といったあたりは単に、こちらの趣味属性との“相性”の問題だから仕方ないや、と割り切りやすい。一番つらかったのは「量」かもしれない。一皿当たりの量が多い上に、コースの構成自体もやや冗漫。というか、後で読み返してもクラクラするような内容(アミューズに前菜5皿、魚2皿、スープ、肉2皿)で、なんぼなんでもコレ全部正気で食べきれないだろう。コースの終わりにはもちろんサヴォワご自慢の素晴らしいフロマージュを満載した見事なシャリオがテーブルにやって来るのだが、その時にはもう見ただけで貧血起こしそうな状態でした、イヤほんとに。
 ま、量についてはご当人を目にするとある程度得心がいく。なにしろ、「人間が中に入ってる?」と背中にチャックを探してしまうほどの、文字通り巨大なシェフなのだ(ディナーの翌朝に一緒に写真を撮ってもらった時には、その手の大きさにも驚かされた。ブラスは体躯も掌も“分厚い”印象だったが、このヒトはどこまでいっても“デカい”)。この巨人にして天才情熱野人のヴェイラが、そのほとばしるアイディアとインスピレーションを次々に料理の形に変え、自分の胃袋を基準にガンガン出してくるわけだ。東洋の島国からやってきた小さなボクらにはそりゃ、多いわな…。でもって、一つひとつの料理が旨かったり素晴らしかったり面白かったりするだけになんとなく残せずに食べ進むうち、ある時点から脳が危険信号をピコンピコンと発しはじめた…という次第。
MVEY10
 後日AQとの反省会では「(クレームは全く使ってなくてトレトレレジェールなんだよ、という言葉に半ばつられて)冷たい鶏レバーに熱々のコンソメを注いだあの一品を全部食べてしまったのが大きな敗因」だったかなぁ、などとタメイキをついたのでした(分析するなよ)。魚の二皿目以降はほんっとに少しずつしか食べられなかったのが口惜しい。肉料理にチョコボンボン添えてみたり、秀逸な出来の皿もあって、もっと食べたかったよー。
 というわけで、ペース配分を誤って後半の走りが破綻したマラソンランナーのように息も絶え絶え状態のボクらでしたが、それでも振り返ってみれば、ヴェイラ料理は素晴らしくも面白かった。素材は当然極上(だって高いもんね)、評判通りの多彩な香草の使い方やプレゼンテーションの工夫にも目を瞠った。調理の精度もかなり高く、そして何より、食べて旨い。ここは是非いずれまた、体調を整え、綿密な作戦に基づくオーダーでリベンジといきたいところです。狙いを絞ってアラカルトにした方がいいかなぁ?.

[AQ!]
 様子もわかったし、是非、アラカルトで再チャレンジしたい~(^^;)。
 で、うん、確かにたっぷりのコンソメもそうだけど、かなりガバッと出される前半部を半分くらいカットしたい感じだったかもよ(わかっていれば!)
 アミューズがボリューミーに出るじゃん? んでしかもその「ハンバーガー(みたいなもんがチョコンと出るのですよ)とか「ピンクと黄緑の取りあわせ」とかって、後で聞くと、彼の文明批判(笑)みたいな、“巨人のエスプリ”的代物だったらしい。もしくは冗談。その意味合いも含めれば一齧りずつもすればOKだったか?
 で、次のフォアグラ(結構デカい)。極上で美味しいけど「フォアグラはフォアグラ」…、味は程なくわかる訳で、、後は、、(但し、コース始まってすぐのフォアグラって残しにくいわな(^^;))
 次は玉子。皿一面の自然苔の中に置かれた玉子に注射器から香草ソースを注入するという凝ったプレゼンの傑作だけど、ま、丸々一個キレイに食わなくても、、、。

 (「凝ったプレゼン」は他に、“コンソメのスープ注ぎ込み”や、“皿の上に漏斗を立てて濾紙を敷きその上からソースを注ぎ込んで素材にかける”など、奔放なアイディアが楽しめた)
MVEY11  (そうだ、「自然苔のお皿」で思い出したが、食器類も大変凝っている。凝っているんだが、ここでもアイディアが“ほとばしり出るままにぜ~んぶ”採用し過ぎているように思える。例えば、「素朴な土のぬくもりに可愛らしく懐かしい絵を描いた恐らくは山の伝統的な物であろうお皿」が使われたかと思うと、「ガラス皿、しかも前衛的な“三角形”でそれを金属で縁取った皿」が出てくる。そのジェットコースター感が楽しくないとは言わないけど、やっぱ、まとまり無ぇ~。記憶に残んねぇよな、Pascal! (^^;))
 …と、“この日の人生がやり直せるなら”(^^;)、そのくらいの調子で始めるとまだ違ったかもしれない。…いやそんで、何かちょっと悔しいのがさー、前菜のケツの辺りからかなー、要するに後半戦の方が、より、良い料理が多かったと思うんだよね。フェラトゥルボは凄く香りが研究されてたし、肉も面白いし…食えないけど(^^;)。もうほんと、最後などやっと香りと味を試しただけだけど、素晴らしい。いやー。デセールのケツのクレームとかがまたいいんだよなぁ。
 まぁいつか機会があったら“作戦を練って”再挑戦したいね~!
 ところで。
 話の続きだけど、料理(の量)以外にもやや“これは違うな”側面は多い店なのである。俺的に。いや、高いし。
 サービスなんだが、あまり皮膚感覚が馴染まないタイプ。「山の素晴らしさだ、田舎の優しさだ、魅せてやれ!」と巨人に説教はされてるような気もするが、それがあまり表れていない。とくに英語組は、イングリッシュスピーキングアビリティとホテル学校の学業成績だけで採用しちゃったんじゃないの?、って感じで、どうもサービスの心がわかってる感じが、無い。固いんだよなぁ。マニュアルに載ってない事態に弱そうだし。
MVEY12  それ以上に(やっぱりこの件に戻ってしまうのだが)、ええ例えば我々の愛読書「ヨーロッパ天才シェフ群像」(アンリ・ゴー/学研)の中でヴェイラ様は、

いつだったか車雑誌の取材班が来てオレの家を見たいっていうんだよ。彼らはベンツに乗って、オレはジープで山に登っていった。登れば登るほどオレは楽しくなり幸せな気分に浸っていったのに、彼らはため息をついてたよ。確かに着飾って登ったところで何もない所さ。オレにはすべてが素晴らしいけどね。もう都会には住めない。アヌシーだってすでにむずかしいくらいさ

 と、ゴーに語っている。
 こういうVeyrat語録・自然賛歌に魅かれて彼の館に辿り着いた訳だが、来てみるとさぁ。アヌシーみたいな“ド観光地”じゃ、アンタじゃなくたって、いい加減「住むのはむずかしい」だろうよ。Veyrat様の言うことは本当だし確かに矛盾してる訳じゃないけど、“アヌシー”を実際に見てしまうと、何かすこし予期していたものとズレちゃうんだよね。“そりゃ、これじゃ、山に帰りたくなるわなぁ”…ってか、「山だ!野だ!草だ!花だ!」ってアピールするなら何もわざわざアヌシーまでも降りて来ないでもよかったんちゃうか、と(^^;)。こういう所が、ヴェイラ様の巨人の感覚が、若干粗いのではないかと、俺ら小人には思えるんだよね。彼の最大の主張が「俺は山の男だ~!」ってなら、もう少しそれを我らに上手にプレゼンでけへんか?と。彼の言う山や山野草への愛が、こちらの納得になって腑に落ち…れば、それが「感動」に結びつくのだろうけどさ。客室内装の、まるでアミューズメントパークみたいな“山の農家風”も、本当に彼の言う「山の生活が俺には最高なのさ」ということの客への提示になっているか、微妙な心持ちである。
 そういう意味じゃ、次はMegeveの「Mon Pere」の方に行くべきなのかもしれない(でもそちらはそちらで“スキーリゾート”みたいだし)。それこそ、いっそ生地Manigodで開店してくれればよかったのにのぉ。

(2002秋 Valence "Pic" → Veyrier du Lac "Auberge de l'Eridan" →  Mionnay "Alain Chapel")
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  Pic  ピック
  
285 av Victor-Hugo 26000 VALENCE 04 75 44 15 32 (Fax 04 75 40 96 03) www.pic-valence.com
ferme dim. a din., lundi et vacance(janv.)
depuis1891 Chef: ~ Jacques Pic (1932-1992) ~ Alain Pic ~ Anne-Sophie Pic (1969-)
・
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 16 (2002)
Michelin ○○ /GaultMillau 17 (2004)

 祝!ミシュラン・ギドルージュ3つ星獲得! (2007)

PICV1 2002年10月 ☆☆

 *ブーダンノワール団子、チーズ・トン・フリット、ムールのボート、直立するサワークリーム、烏賊フライ野菜
 *チョリソクレームと烏賊
 *Aubergine En Quatre Declinaisons
  4種茄子:グラス、ベニエ、パルメザン風味、トマト風味
 *Carpaccio De Loup De Mediterranee Sur Une Royale
  地中海スズキのカルパッチョ、フヌイユ風味
 *Fricassee De Langoustines De Petite Peche, Bouillon Acidule Au Citron Confit Et Artichauts Poivrades
  ラングスティーヌのラビオリ、シトロン・ジャンジャンブル風味
 *Pigeon Fermier De Monsieur Chabert Roti En Croute De Noix. Figues Au Banvuls
  鳩のアンクルートとその腿、バニュルス無花果と茄子添え
 *籠入りクレーム、ポワール、カシスクレーム、ミルティーユ層
 *苺のトランスペアレント
 +95 Cote Rotie La Voniere / L. de Vallouit

PICV2 [AQ!]
 夕方に厨房見学しました。「アリャ、こっちさ行くと厨房みたいだーよ」とかやってたら、そこらにいた誰かが(^^;)、「おいでおいでどぞどぞ」と案内してくれた。ナニゲに親切な人の多いPIC家です。
 コンシェルジュ・デスク…(かなぁ)、に鎮座ましますPCはiMacで、夜には灯が入ってた。何に使ってるか見てみれば良かったな。

[へべ]
 ライオール->ロデス->->->Valence。行程の長い割に見どころ(…特筆すべき…)はあまりないドライブだったかな~体力的にも疲れの出るころかな? Bras~Rodezは結構な距離あります。Taxiで行ったToshiさんは凄い!

[AQ!]
 Rodezの街を一目見てみたい、という経路だったが、やはり無駄に大回りなルートだった。反省。その後も、オートルートを遠大に回るより山越えの方が何ぼ何でも近そうだし、面白そうだった。

[へべ]
 Valenceの町に入り、(PICのサイトの指示に従い)ビクトルユーゴー通りを行くと、町の役場とか名所旧跡などと同様にして「PICはこちら」という標識出現。さすが由緒正しい老舗ですな。

PICV3 [AQ!]
 訪れる前は、一応はある程度の規模の町Valenceなのにこんな簡単な地図で行き着けるのかいや、と不安でしたが、ホントに簡単に着く(^^;)。

[へべ]
●壁に大きく「PIC」と書かれた建物が見えてきました。…ボキューズみたいなコテコテ外装や、外壁にデカデカと店名を入れたりするのって「なんかちょっとシュミ悪いかも」と思ってましたが、フランスの地方はクルマ世界。「高速で飛ばす車からも、遠目に判別できる」ことって案外重要なんだな、と今回思ったのでした。
ラ・コート・ドールと同様、街道沿いのオーベルジュ。ただこちらの方が周囲に団地(マンション?アパート?)が建ったりスーパーや安洋服店ができたりと、環境的にはワリを食っているのは否めないかと。
 (AQ!「町がデカいからね、Valence」 …実際、5~10分程度の近所の散歩はいまいち“つまらない”のは確か)
しかし、
PICV4 ●建物内に足を踏み入れると、これは素晴らしいと言わざるを得ません。低いアーチの連なったサロン、PIC輝かしい歴史の"証拠品"を展示した一画、赤とオレンジを基調にしたソファなどのどっしりした家具調度、そこかしこに飾られた絵画や置物…アンティーク愛好家ならうっとりしそうな古い家具やバーカウンター、ビリヤード台なども満載。
 (AQ!「更に言えば、中庭!」 …Picの外に出てしまうと白けるValanceであるが、Picの中庭を散策していると“何て素敵な所に来たんだべ”と思える。もっとも、しばらくボーっとしてないと、数分で一周してしまうのであるが)
●ホテル(同棟上階)の部屋もまた迫力の内装。ベッドの両脇には天井まで鏡を貼ったコーナー。重厚で豪華でクラシックな感じとでも言うのか? (あやしい)
 (AQ!「この部屋は安い!」 …130euro。大都市だとIbis~Novotel程度の値段であり、マヂ安い。Picの客室の中でいちばん小さいが、十分にだだっ広い。)
PICV5 ●と、まあ何度にもわたり建て増しや拡張を重ねてきた(たぶん)年月を物語るような複雑な構造、totalでみたキャパシティの大きさ、惜しげなく飾られ使われている"年代モノ"の圧倒的な物量--などに、現Picを支える女主人アンヌ=ゾフィーの肩にかかる歴史の重圧はいかばかりか、などと思う次第。
 細腕繁盛記、とかつい言いたくなるくらい、当代アンヌは小柄で華奢で、握手した手のカ細いこと。
 にぎやかに盛り上がるサロンやサルを見渡すと、フランス人にとってPicのような(あるいはピラミッドアンリルーが再興する、といったような)"物語"は店の大きな魅力になるのかも、という気がしてくるのでした。
●料理は決して悪くはないけれど、大まかな印象としては父の祖父の曽祖母の"クラシック"の呪縛は強いのだろうと思えてしまう…。南仏風のアレンジをはじめ、工夫は好きなようですが、「工夫好きだがちょっと手先は不器用」みたいな(失礼な!)ところも散見されますね。
PICV6 ●ところで、どうしてPicの項は丁寧語尾が多いのか? やはり歴史の重圧かしらん??
●さて、この雰囲気を楽しまない手はない…と、アペリティフはオレンジ色のソファのサロンで。相客グループは地元の富裕層か、大変な盛り上がりよう。
アミューズひとくちサイズいろいろ。ブーダンはしっかり美味。あとは総じてまずまず。テーブルで出たチョリソのクレーム?は固まりすぎてたみたい?
●料理はややクリーム重めの傾向。4種茄子とかフヌイユとか。茄子は面白かったけれど。クリーム仕立てが重なっていたのが惜しい。ベニエに関しては「揚げ、って、むつかしい」。いっそグリエ&マリネ、みたいな手法が混ざっててもおもしろかったかもねーなどと勝手を言いつつ。
●ソムリエが傑作。いなせに歩き、べらんめえにしゃべる(かどうかわからないけど、そんなムード)。コルクなんかソムリエナイフを、ヤッ、トゥッ、ときて、ぐーるぐるくるくるくるっと回して抜いてしまうから驚きである。実は大層仕事熱心かつ根のまじめそうな人であるのもあわせて味わい深い。

PICV7 [AQ!]
 人さし指でクルクルって開けちゃう…というか、あの一種見事なコルクの抜き方は後にも先にも見かけたことのないもの。「おめーら、今日の献立で飲むんならコレだよ」ともう決めてきたようなコンセイエ(日本人向き、って訳じゃなく、今日は他卓でも多く売ってた)でスポンと開けちゃって、何ていい加減なオヤヂかと思うと、目配りが効いてて各卓のメモ付けは熱心で気の利いた口をきき、回遊してるうちに何となくサルが盛り上がってくるという希有なオッサン。翌日昼には卓のアイロンの手伝いもしてたような気がする。チミにはまた会いたいよ、オッサン、ラブ。
 で。
 4種茄子がねー、発想は面白いんだけど、どうしてもこれだと“4通り”として弱いなー、と思ってしまうね。似てる。鱸カルパチョは、量との兼合いで少し単調だし。プラは古典的かしら。ラングスティーヌの塩が堂々。概ね全体に美味しいですが。
 …などということに、料理日記はなるのだけど、これについては考慮ポイントが幾つか留保される。
 Picは、1990年頃まではフランス最高シェフの一人と称された偉大なる父Jacquesが厨房を完全に仕切っていたのだが、1992年に亡くなってしまった。この後、Picの厨房は息子Alain Picが引き継ぐのだが、何があったのかAlainは辞めちゃって、97-99年頃にはその妹Anne-Sophie PicPic本家を背負って建つこととなる。(Alainは身体でも壊したかと思いきや、グルノーブルでオーナーシェフ店を営み、ミシュランの星も取っている … まぁどんな経緯なのか、コアなファンにはよく知られた話なんだろうけど…ワシゃ知らん)
 このPic家史をざっと眺め、Anne-細腕-Sophieの年齢を見ると、どう考えても、この2002年訪問はまだまだ、“彼女の船出”期のワンカットなんだろうな、と思える。
 家代々の伝統性は、この店を素敵に埋め尽し口煩くイチャモンをつけては笑顔とともに家路に向かうValenceの上流客の多くも支持する所だろう。それに対し、Anne-Sophieがサイト上の料理写真ではっきりと訴えているのは、最新の軽く美しい現代的プレゼンテーションである。この2つの対立を始め、様々な要素が様々に変動しながら新たな歴史を作っていくということではないか。ボクらが目撃したのは、きっと、皿によりタイミングにより未だ変動幅の大きい時代のヒトコマでありましょう。

[2004: ってなとこです。この項をhtml化しているのは2004.11ですが、Anne-Sophieの料理の(肯定的な)評判は近年ときどき耳にします]

(2002秋 Laguiole "Michel Bras" →  Valence "Pic" → Veyrier du Lac "Auberge de l'Eridan")
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  Pyramide  ピラミッド
  
14 bd F.Point par Vienne 38200 ISERE 04 74 53 01 96 (Fax 04 74 85 69 73)
ferme mi-fev., mi- mars
Chef: Fernand Point (1897-1955) ~ ~ Patrick Henriroux
・  
Michelin ○ /GaultMillau 16 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○/GaultMillau 17 (2004)
Michelin ○○/GaultMillau 17 (2005)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2008)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2009)

参考:メールのページ

2000年12月 ☆

 *amuse:フォワグラのプリン、オマール、栗のスープ
 *Poelee de Coquilles Saint Jacques,Crepe de Serrasin aux Trompettes de la Mort et Pieds de Cochon,Vinaigrette Moutardee
 *Rouget Farci de Gratinee Dauphinoise,Lentilles du Puy aux Cretes de Coq et Croutons Soubise,Jus au Pain Brule
 *フォワグラとトリュフの野菜スープ仕立て
 *シュヴルイユの円筒巻
 +70 Hermitage la Chapelle / Jaboulet

Pyr1 [AQ!]
 「何たって、あーた」、ラ・ピラミッドである。「全世界の泣く子も黙れ」、ラ・ピラミッドである。いやはや。「美食の殿堂」ですぜ、あーた。
 おそらくは、20世紀のフランス料理の土台を作ったと言ってよいであろう名シェフ、フェルナン・ポワン。彼が1923年にリヨンの南、ヴィエンヌに開いたレストランがこの「ラ・ピラミッド」である。その名前の由来は、店の前にある小さな遺跡「ピラミッド」。瞬く間に「世界最高のレストラン」の称号を獲得し、レストラン界に長く君臨することとなった。その厨房からは、ボキューズ・シャペル・トワグロをはじめ、後のフランス料理界を背負って立つことになる大物シェフを次々と輩出する。
 1955年フェルナン逝去。伝説はまだ続く。その後も「ラ・ピラミッド」の栄光は陰らないどころか、一層の輝きを見せたという。それを支えたのが、ポワン夫人(通称「マド」)の力である。夫のルセットと味を全て「記憶」していたという愛の力が奇跡を成した。
 もっともこの美しい話が語られるのは、マド時代の前半。後半は、色々な世間の噂につきまとわれることになる。要は、「年齢には勝てない」という事実。それを補う人材の不足。そして、それなのに「なぜミシュランは三つ星を献じ続けるのか」という疑問。
 1986年マダムポワン逝去。星を一つ失うのをきっかけに衰退、閉店。
 話は終わらない。1989年、この超名門の復興という夢物語に挑戦する若武者が現われた。その名をパトリック・アンリルー。自ら「途方もない賭け」と述懐するこの挑戦は徐々に成果をあげ始めた。
90年1つ星・91年2つ星とミシュランの評価を得る。ゴーミヨでも順調で、2001年現在では19点にまで昇りつめてしまった。

 以上が「ラ・ピラミッド」の歴史概略だ。訪問意欲が湧くというものだろう。フェルナン・ポワンとマドの精霊に会いに行く。聖地巡礼。20世紀の最後に。そして待ち受けるのは、旭日の昇り龍、アンリルー。
Pyr2  …ってわけですよ、お客さん!
 …と、長々と書いたのにはちと訳がある。いや、無い。いや、どっちでもいいんだけど。その訪問の実体験記の方なんですが、何か、あまり筆が乗らないというか気乗りしないというか。
 ポワンの精霊にはお参りしました。はい、ばっちり(何が?(^_^;;)。
 アンリルーの料理なんですが、アミューズをいただいて「何かちょっと寝ぼけてるなぁ」と思ったんだけど、う~んと、ずっと、そのまま。… … そのまま …。
 何か一皿、「これは旨い」ってのがあると、だいぶ印象が違うと思うんだけど。

 客の入りが悪いのは、クリスマスの25日だったせい? わからん。入りが悪いせいもあるけど、夜が更けるにつれ、妙に寂しくなるんだなぁ、この店。サービスも「帰りたい君」が多いんだろうか。東京で言うと、ちょっと、有楽町の某店みたいな。「オタクたち、まだいたの?」って言われてるような感じ(被害妄想)。ずっと遅くなって入ってきた中国人(かな?)の8人くらいの卓だけ、内輪で大いに盛り上がっていた。
 ワインリストの一部に「栄光の残滓?」って感じがあって、73ロマネコンティ3100FFなんてひっくり返るんだが、我々の飲んだジャブレの70シャペルの感じだと、ちょっとカーヴの状態を信用するのは「??」って気も。
 悪口っぽくなっちゃいましたが、期待の大きさゆえでありまして、まぁしかし、全体に「何となく2つ星程度」ってレベルではあるんだけど、何でフランスの評論陣があんなに盛り上がってるのかは、全く謎。
 泊りの部屋は、ダブル870FFとお安くて結構なんだけど、その代わり、部屋自体はフツーの町のホテルと大差なし。

[へべ]
 フランスのレストランにただ憧れていた少女時代、いつか行きたいなぁと誦じていた店の名がトゥールダルジャンピラミッド、でした。増井和子さん(とおぼしき書き手)が暮しの手帖の「すてきなあなたに」に時折書いていたエピソードを何度も繰り返し読んではため息ついたものです。いやぁ、恥ずかしくも懐かしいなぁ。
 …そんな訳で、やっぱり私にとっても「聖地巡礼」なのでした。行ってきました。

 感想は、というと、うーん、日が悪かったのか(クリスマス)、何かの巡り合わせか、料理もワインもサービスも「??」だったのですが。夕方お散歩して高台までえっちらおっちら登って眺めたヴィエンヌの夜景の美しさ…あれはちょっと忘れられません。というのがあってよかったな、と。
 うーん。料理をいただいた後の肩すかし感は、グランヴェフールギィ・マルタンの料理食べた時とちょっと似ていなくもない。などと思うのでした。
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  Stephane Derbord (旧Thibert) ティベール
  
10 pl. Wilson Dijon 21000 COTE-D'OR 03 80 67 74 64 (Fax 03 80 63 87 72) 
ferme vacance, lundi midi,mardi midi et dim

・ Dijonのミシュラン1つ星 (2001)
何やら経営変更か? (2002)

Michelin ○/GaultMillau 17 (1990)
Michelin ○/GaultMillau 17 (2001)
Michelin ○/GaultMillau 15 (2004)
Michelin ○/GaultMillau 15 (2005)

 ありゃりゃ、ミシュランやゴーミヨのサイトに記述がみつからないような…。何かあったかもしれません。 (2002)
 …とか言ってないでちょっと検索かけてみっか、と思ったら、あらまどうやら「店名変更」ですな。代替わりか経営変更か。ゴーミヨのサイト辺りに詳しく書いてあるみたいだけど…御興味あらばそちらをどうぞ(^^;)。 (2002)

 上記の「Stephane Derbord」への経営変更の件ですが、メールで詳しく教えていただきました。Y.Kさん、どうもありがとうございます。以下です。

チベールは2001年の(確か)夏に「出張シェフ」として新たなスタートを切りました。
「あなたのご自宅で食材選びから始めてパーティー料理を作ります」
というコンセプトです。でも、実際に呼んだ人の評判を聞いたことがないの彼がどうやって生計を立てているのか心配ですね。

デルボーはモルバンの小さな町で評判のレストランを開いていた人です。
まだ30代半ばのはず。
チベールが店をたたんだのでディジョンに進出しました。
店の内装は壁紙やソファーのカバーくらいは変わりましたがそれ以外はあまり手を加えていません。
私はあまりミシュラン等をマメに買わないので知らなかったのですが、もう1つ星を取っているのですか?
前の店では星が付いていませんでした。

チベールはディジョン近郊では最高と言われていましたが、私は好きではありませんでした。
いつ行っても塩が効きすぎ、肉は焼きすぎ。
新しいデルボーはアミューズやガルニに出てくる揚げ物は油が悪くていただけないものの、コストパフォーマンスではチベールより上だと思っています。
ワインリストも昔は若い物ばかりでしたけど、最近は選択肢が出来ました。

ちなみにチベールのパン。
私も好きだったのですが、あれは業者から買った冷凍モノです。

「アンタのところのパンって美味しいわね~。お替りしちゃった♪」
「あ、そう。あんなの業務用の冷凍だよ」
「がちょ~ん」

 ボクらもモニターの前で「がちょ~ん」。ワハハタハハ…。だってパン美味しかったんだよ~ん。
 面白いものです。客なんてこんなもの、っつか、レストランなんてこんなもの、っつか。(^^;)
 Y.Kさんには他にも色々教わりました。感謝。
 上のような次第なので、容れ物は引き継いだものの、閉店&新店開店という方が真相に近いようですが、ま面倒くさいし、とりあえず項目はこのままということで…。

Michelin ○/GaultMillau 15 (2002)

2000年12月 ☆

 *アニョードレのエマンス、茄子とオリーブのピュレ
 *ロニョンドラパン、芋のピュレ
 *茸の泡立てスープ、クネル
 *揚げアーティショーとトリュフのサラダ
 *エスカルゴのシューヴェール包みトリュフ添えパセリソース
 *ク・ド・ラングスティーヌのアネットフリット・野菜添え
 *コションとアニョードレのテ・フュメのソース、アーティショー添えパプリカかけ
 *カフェのタルト、グラス・ド・シコレ添え
 *ショコラのタルト、ナッツ・バナナ煮添え
 +88 Chambolle-Musigny Les Amoureuses / G.Roumier

JPT1 [AQ!]
 パンとプチフール、素晴しい。この街のパンは只者でない…(何か其処此処で見かけるパンが美味しそうなの)。
 さて、皿をはじめ、あちこちに「JPT」をあしらったロゴが目立つ。ジャン・ポール・ティベールさんの店。
 「街全体がワイン成金なのか??」という疑問も湧くDijonは、何処まで歩いてもキラキラのピカッピカで、「Ici,Tokyo?」って気もする。で、Pl.Wilsonのでっかい噴水も金がかかってそうだ。その広場に面した白くさりげない建物が上品なティベール。サーモンピンクの内装も「街中の高級レストランのスタンダード」って風情で冷静。マダムの案内も慌てず騒がず、丁度良い温度。お洒落で品良く、しかし肩肘張らず。「フネートルんとこでい~い?」と通された席からは、窓外に笹やらちょっとした草花やらが見える。

 最初のアミューズはアニョードレだと言い、茄子ピュレに乗っている。旨い。作る方と食う方の「やる気」がコミュニケート出来るアミューズのラインナップ。茸臭さが嬉しい茸スープ、浮き実のクネルは安っぽいけど。
 前菜はトリュフを使ったもの。前日までの贅沢攻勢が災いしてか、香らないこと香らないこと…(と感じられるわけね)。値段からすると仕方ない。グリーンソースにシュー包みで置かれた見た目の可愛いエスカルゴは味わいがある。後日知ったのだが、この緑色に可愛らしく仕上がったエスカルゴ包みが御自慢のスペシャリテのようである。 JPT2 揚げアーティショーとトリュフを混ぜた上にふんだんに緑を積み上げたサラダは味の一体感があって旨く、調理と素材のグレードをさらに一段引き上げれば相当に「かなりな」物になろう。ク・ド・ラングスティーヌは芯がクリュな見事な火入れ。3mmくらいの微小サイコロ切り野菜を敷き、アネットフリットがアクセントを作る、良い料理。コション+アニョードレもオーソドックスに旨い。「テ・フュメのソース」というのが目を引くが、ソースの引き締め役程度と思われ、お茶臭い、ということは良くも悪くも、無い。熱々でトロトロのタルト+添え物、というデセールも上出来。
 全体に、工夫があって軽くリズミカル、あまりアレコレうるさいことを言わない料理で、店の作りによく合っている。
 んだけんど、食べ切ったら矢鱈と腹一杯な夜であった。アミューズ3品も効いてるけど、それより、連夜の豪華ラインナップがここに来て少し溜まってきた頃合ですかのぉ。

[へべ]
 お金持ち都市(かどうか知らないけど街を歩くとそうとしか思えない)ディジョンの誇る上品なレストラン。店も料理も目に入るお客さんも、なんか「気分のいい」感じの店でした。それにしてもパンが旨かった。街のパン屋も一目惚れしてしまいそうなパンがずらりと並んでて。「bio」と書かれたオーガニックフードのショップも多くて、入ってみたら結構楽しかったし。
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  Troisgros  トロワグロ
  
pl. Gare Roanne 42300 LOIRE 04 77 71 66 97 (Fax 04 77 70 39 77) www.troisgros.fr
ferme 1er au 16 aout, vacances de fev, mardi et merc
depuis1930 Chef: Jean-Baptiste Troisgros ~ Jean Troisgros ~ Pierre Troisgros ~ Michel Troisgros
・  
ミシュラン3つ星獲得は1968年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2009)

TR1 2000年12月 ☆☆

 *L'amuse-bouche:soupe de Topinambou
 *Melba de coquilles Saint Jacques aux langues d'oursins
 *Charlotte de cuisses de grenouilles,ecrevisses a la truffe fraiche
 *Bar de ligne a l'endive epicee,sucree-salee
 *Effilochade de lievre a la Royale,coings,marrons et pommes
 *Les fromages frais et affines
 *L'Arbre de Noel
 *Buches,cremes glacees,sorbets et panache de fruits
 *Fines bouches
 +90 Vosne-Romanee / H.Jayer

[AQ!]
 ロアンヌの駅前、名門中の名門。

 アミューズはトピナンブーで温かいヴィシソワースみたいなスープ、浮き実にパイナップルを使っていて面白い。

 上質な調理・素材で間違いのない皿が並ぶ。これぞ良き3つ星の典型、って感じ。その皿たちの頂点の部分に、驚きと感動の輝きを見ることは、余り無かった。とは言える。安定と安心による満足を十分に供するのだが、我々のような「料理による感動ハンター」にとっては、そこはもの足りない。それが幸福なノエル(…なんですよ、クリスマスに寄りました)の時間を殺ぐものではないけれど。

TR2  セルヴールの、とくにベテラン陣の優雅な捌きが気持ち良い。メートルの長身の紳士はビッとしていて、下手に英語(さらには日本語)を使ったりしないのがいいんだろうな。フランス語をゆっくりと喋るとか、言葉が通じなくても通じる、とか、そーゆー所への落し込みが巧み。そんな人が仕切っているフロアは空気がゆったりとする。若手は「3つ星で頑張るだー」と気負い過多か、「慇懃、な子もいるねー」とへべの弁。

 蛙とザリガニの皿は現在スペシャリテのような扱いとなっているようだ。トン、と置かれた皿からトリュフの香りが噴出。強烈な香りにhappy。シャルロット型の蛙のムースの回りが真っ黒に近くトリュフで固められている。噛むほどに味が出るような、蛙とザリガニの「質」の高さがワンダフル。

 まぁ大体、予期していたことだが、サルの見渡す限りの半数くらいは、我が同胞ジャポネ。Lyon->Roanneの鈍行列車の相客も、勿論皆さん、こちらに集結。だが、サルの構成なのか、レストランに慣れた客が多いのか、あまり「日本人観光客色」は漂わない。ホッ。そういえば、諸氏、注文は結構アラカルトだったみたい。おかげで(?)、ウチは悠々と、なかなかバランスの良いムニュデギュスタシオン風の「ムニュ・ド・ノエル」を頼めた(…というのは、あんまりにも「皆が皆クリスマスメニュー」だったりすると、頼みにくいもんね)。4人組の現地滞在員風が人数に物を言わせてでっかいコルヴェール(かな…)を1羽焼かせてたりして、壮観。

 魚はバールで、良い焼き具合。アンディーヴを添えて、フルーツの甘いソース。かなり甘い。トワグロ家は料理写真を見てても、フルーツソース好きは家風なのかな?
TR3
 厨房全体が中庭から眺め回せる作りは嬉しく、ピカピカ厨房のキビキビ戦士たちが見事。それにしても、広い!
 クリスマスらしく(?)なのか、ヴァイオリン楽士2名が雇われており演奏し続けの大サービス。レスパドンの「1晩3ステージ」みたいのと違って、この2名は休みなし。偉いな。
 ミシェル・トワグロは、アミューズの後ぐらいの時期に客席を回る。「パルレ・ヴ・フランセ?」「アンプ」。…はいいけどよぉ、コレコレが旨かっただのヘチマだの、という話題が主眼の我が家は、こんな時点で出現されても困るんだな~。トホホ。料理まだ食ってねーぞ。「トピナンブーって美味しいよね」って言ってみても(みたが)、何か間抜け。

 メインのプラはお目当てのリエーヴルの煮込み。全部が全部、キッチリと煮込まれているわけではなく、したたるような濃ゆいピンクを浮かべた背肉の切り身は、煮込みの上に乗せられている。まったくもって旨いこと!

 デセールにはクリスマスツリーが立っていた。

 え~と後はですね、宿泊施設の方、ホテルが付随してまして、このホテルの部屋がファンシーだ何だと巷間、趣味が割れるような話を聞いていたんですが、全っ然、「障子もどき」の日本風まで組み込んだフランス人の好きな前衛趣味ながら何とも品良くまとまってて、ワシらはとっても好きでありました。

[ヘベ]
 ロアンヌ駅前とは聞いていたが、ほんとに駅前の旅篭、というたたずまいだったのには驚いた。しかし建物の中はモダンで洗練されている。泊った部屋もすっきりしたモダン系で「やるなぁ」感あり。中庭に出ると大きなガラス窓越しに厨房が見えるのが楽しかった。
 上質で安定感のある料理、落ち着きと余裕の感じられるサービス、堂々の三ツ星で全体としては予想の延長線上ながら予想を上回る好印象。ウチが夢中になる、というタイプの料理ではないけれど…でもあのリエーヴルは旨かったなぁ。一番残念だったのはミシェル・トワグロが食前(というか開始直後)に巡回してきたことでしょうか。

[AQ!]
 うんうん、そうだね~、今回の訪問についてはハナマルの大満足。だけど、「も一回行く?」と聞かれたら、mogomogomogo...。そんなタイプかしらん。
 ホテルの部屋の方は「割と最近の改装」と何かにあったような気がする。
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