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  レストラン年代記  


 幾らか長く人間をやって、幾らか長く食べ歩きをしていると、その時々の流行とか風潮とか傾向とかいうものが、時間軸の上に波風を立てて、寄せては返し来ては過ぎて行くのを見聞することとなる。それらは、その時々の時点では「へぇま〜そうですか」という程度で過ぎて行く事どもであるのだが、後になって振り返ると妙に懐かしかったり考現学的興味を抱いたりする事柄である。
 で、最近気付くのは、そういう過去の小さい流行とかブームの類を回想するのは楽しいのであるが、小さいさざ波程度の出来事たちは、何年か経つと「何時、何処で、何が起こっていたのか?」を往々にしてかなり忘れてしまうことなのである。で、また、レストラン界の小ブームなんて漣は、記録から綺麗に流れ去ってしまい、後から検索にひっかかりにくいものが多い。
 …ってなわけで。メール歓迎!


目次
→2008年 ●[Michelin Espana&Portugal 2008]
→2007年 ●東京ミッドタウン開業●[ギド・ミシュラン2007●[ギド・ミシュラン2008東京版]●賞味期限など改竄・偽装事件多発 ●この冬のジビエ●ユーロ&原油高騰 ●地方イタリアンブーム、中爆発 ●「苦手・アレルギー の 食材などはございますか?」●今年って兎年だっけ?●[Gault Millau France 2008]
→2006年 ●Michelin Guide Rouge France●シェフの事件ブーム●チンタセネーゼ●アルカションの牡蠣●液体窒素●ハンガリー産の鶉●ひらまつ、盛んなり●熊肉ブーム●土のソース そしてアルギン酸●吉野シェフ、週刊誌を騒がす●作柄 2006秋〜冬
→2005年 ●Michelin Guide Rouge France 噂話●Michelin Guide Rouge France●中国野菜●ヴァンナチュール追記2005●茨城vs.日高●エゴマ豚●焼肉はもう牛豚鶏だけじゃない鴨●上海蟹食べ過ぎ?●ベカス食べ過ぎ?●2005の油事情は?●Michelin Guide Rouge 2006 Espagna
→2004年 ●Michelin Guide Rouge France●パスカル・レミ●そば湯とパン●焼野菜●手水鉢●金針菜の市民権拡大●店名について●楊枝甘露●ビオ、自然派ワインブーム●イベリコ豚●Wagyu
→2003年 ●Michelin Guide Rouge France●@フランスなる料理店雑記●ベルナール・ロワゾー逝去●ドミニク・ブシェ更迭●胡瓜●逆麦藁帽子皿●取っ手付きの椅子●ガラス皿●手荷物入れ/置きツール●ジビエ流通●トリュフ不作
→2002年 ●Michelin Guide Rouge France●Michelin Guide Rouge France 噂話●@フランスなる料理店雑記●Paris
→2001年 ●@フランスなる料理店雑記
→2000年 ●@フランスなる料理店雑記
→1999年 ●@フランスなる料理店雑記
→1997年 ●@フランスなる料理店の値段
→1996年 ●高級フランス料理店の主菜における「豚肉」の流行
→1990年 ●ロブションにて●ク・ド・ブフと赤ピーマンのムース

 
2009

 
2008
(09 Jan)
●[Michelin Espana&Portugal 2008]

 Toshiさんから教えてもらいました。
===========================
・三ツ星昇格
「サンセロニ」(マドリード)
「カン・ロカ」(ジローナ)
「エル・ポプレ」(Denia) 以上三軒。
・二ツ星昇格
「La Terraza Casino」(マドリード)
「Ca Sento」(バレンシア)
「Freixa」(バルセロナ)
「Abac」(バルセロナ) 以上四軒
===========================
のようです。

 ミシュラン、これまでスペインは星の出が悪かったですからね。東京のバラマキにあわせるには…と大盤振る舞いしてきましたね。

 カンロカは、「ミシュラン以外」のガイドの評価から言っても当然でしょうか。ってか、ワシらは一番だと思ってるし(^^;)。
 キケダコスタ(エル・ポブレ)はアドゥリスに先んじましたね。2つ星も昨年じゃなかったけ? ここ、行きたいんだよなぁ。(^^;)

 「サンセロニ」って、サンティの支店ですよね? へぇ…。マドリードでどっか3つ星出したい、ってのが先にあったのかなぁ…、って気もします。
 サンティのカンファベスは、本店も、いい人いい店だけど、3つ星はまずまず…というか今2つ星だったら3つ取るのは難しいかなぁ、とも思いましたが。

 あと、自分で行ったとこでは、アバックの2つ星は「もんのすごいトーゼン」だと思います。
 どこにあっても2つはあると思います。アルキミアだって、パリだったら絶対2つ星だと思うんだけどなぁ。

 あ、あと、Ca Sentoって、実質的料理長は日本人ですよね、たしか。
 ブラヴォ!
 ここはキケダコスタんとこに行くなら寄れますね。

 
2007
(20Dec)
●[Gault Millau France 2008]

 タイヤ屋の商魂のお口直しにゴーミヨなど如何でしょうか、…じゃないけど(^^;)。

●Cuisinier de L'Annee France 2008
 Jean-Luc Rabanel (L'Atlier de J.L.Rabanel : Arles)

 名前くらい聞いたことあったかなぁ。面白そうですこのヒト。写真は、ダリの真似してる大泉滉みたい(笑)。
 行ってみたい。サイトも面白い。

●Revelation de L'Annee France 2008
 Cedric Bechade (L'Auberge Basque : St-Pee-Sur-Nivelle)

 何処じゃそりゃ、と見ると、屋号にある通り、サンジャンドリュスの近くのようだ。

●Etablissement de L'Annee France 2008
 Restaurant Regis & Jacques Marcon

 新築なって、これはトーゼン。ところでしかしゴーミヨってずっとレジスんとこ18点なんですね。ちょっと不思議。と〜ってもゴーミヨ好みだと思うんだけどなぁ。

●Directrice de Salle de L'Annee France 2008
 Michele Vetele (Anne de Bretagne : La Plaine-sur-Mer)

 アンヌドブルターニュのマダムの方。ここは良い店らしい、ブルターニュかロワール再訪時には是非寄りたい。

●Sommelier de L'Annee France 2008
 Serge Ghoukassian (Restaurant Chez Serge : Carpentras)

 知らん〜。プロヴァンスの店。

●Icone de la restauration
 ところで、私はゴーミヨは2006.2007はサボりで覗いてもいなかったんだけど、こんなランクが出来てた。
 いつから? 2008から? (ゲンキさんによると2008からのようです)
 これは20点法の枠外の、殿堂、というか、アガリ、というか、、、(笑)。このランクに列せられると点数がなくなります。
 タイヤ屋の、「権威となってしまった三ツ星」の剥奪神経症にも処方箋になるのでは?と思うような上手い手か。
 8軒あって、
 ボキューズ、リル、シャペル、トゥールダルジャン、サンドランス、ラセール、ローラン、マキシマン

●19.20点
 タイヤ屋と違って部数のためだけに毎年ゴチャゴチャ動かすことはなく、絞り気味の11軒。

●18点へ昇格
 Passedat-Le Petit Nice : Marseille
 Pic : Valance
 ゲンキさんによると、ジェラルド・パセダはかなり面白いのでは、とのこと。ミシュランでも新espoirsだし、「今、注目」か。
 ピックに関しては慎重だったが18点へ。

●17点へ昇格
 L'Atlier de J.L.Rabanel : Arles
 Les Magnolias : Le Perreux-sur-Mame
 Flocons de Sel : Megeve
 Mirazur : Menton
 Joel Robuchon Monte Carlo
 マニョリアは如何にもゴーミヨ好み?

●17点へ新登場
 Villa Madie : Cassis
 Manoir de la Boulaie : Haute-Goulaine
 マノワールドラブレもゴーミヨ好みだと思うけど、新登場ってことは今まで載ってなかったのかな? おい、この地域の担当、怠けモノだよ(笑)。

 18点は21軒だから、18-20点で32軒。この辺がミシュラン三ツ星(26軒)相当か。

 両方に入ってると、WBC.WBA統一チャンピオン…って感じだけど、統一チャンプにも「???」はいたりするものだなぁ(?)。ヽ(^〜^;)ノ

 ところで、今になって、ミシュランとゴーミヨの来た道を振り返ってみると、
・軽い料理を評価
・泡の吹いた料理を評価
・ショーバイっ気たっぷりに転向
・アジアに進出
・店紹介コメント
・評価軸の細かい刻み
 など多くの点でゴーミヨはミシュランに先んじている。…っつうか、ミシュランは10年遅れくらいでゴーミヨの真似のようなことを始めているのが見て取れる(成功度はミシュランの方が高いものが多いが)。
 店の評価も、例えば「ミシェル・ブラス」は1988年に19.5点で1999年に三ツ星。「ミシェル・トラマ」は1991年に19.5点で2004年に三ツ星。やはり10年くらい遅れる場合が少なくない。
 嘘みたいだけど、ゴーミヨをミシュランの先行指標だと考える…のって、今までのとこは当たりなんだねぇ。
 ところで、客としてガイド本を利用するコツは、多分、ミシュラン・ゴーミヨに限らず、「どっかのガイドが発見した時が食い時」で「全てのガイドが高評価した頃にはピーク過ぎ」ってことになろうか(笑)。

今年って兎年だっけ?

 いや、違う。
 ワシがトシオトコじゃけん、マルカッサン年。
 だけど、今年は兎でびっくり。…って、これはクロニクル的というより、個人的出遭い的な話でありますが。
 あ、リエーヴルじゃなくて、ラパンね。
 バルセロナで「やっぱこっちのコネホはうめぇづら。日本に入って来るのって、どっかで劣化してるよね」なんて言ってたら、逆襲に会うが如く、帰国してからの、輸入じゃなくて、 長野県産の仔兎がやたらに良い。
 例えば、阿智村産。
 なんか、流通にムーヴメントでもあったんやろか?
「いやほんとに、ラパン観が変わりました」(へべ)

「苦手・アレルギー の 食材などはございますか?」

…って、むっちゃくちゃ皆〜んな、聞くようになりましたね。
・お任せコースが増えた
・使う食材の幅が広がった(時にはジャンルの壁を越え、 客の予想外の食材も)
・PL法的な責任意識
あたりが背景でしょか。
 大昔は、その手の店で、10軒に2軒くらいしか聞かれなかった ものが、最近は、10軒に7軒くらい、言ってこない? (^^;)
 この変化は最近5年くらい?ですかね?
 ま、いずれにしても、ウチの答えは「何でも来なさい」 なんですが。\(@▽@)/
 …あ、でも、エスニック系とかだと「超激辛は駄目」とか 言うけど。
 Toshiさんに指摘されたのだけど、予約時に、「男女比、記念日かどうかまで」聞くのも目立ってきたとのこと、確かに言われてみると、そうです。

●地方イタリアンブーム、中爆発
 ウチもカーサブルータスに借り出されたりしたけど、2007はほんとに地方イタリアンが雑誌の誌面を賑わせた。ある時点での書店の棚で、4誌に「ダ・サスィーノ」が載っていた、なんて快挙ではないか!(笑)

●ユーロ&原油高騰 (from Toshiさん)
 キッツイ! ユーロ170円・原油100ドルくらいまで行った。まぁ未来にはもっと逝ってしまってるかもしれんけど。ウチも、もろに食らって、フランス行の予定をスペイン行に変えた(^^;)。いやま、行きたかったんだけど。スペインに行ってすら、(ちょっと前の)パリで過ごしてるような感覚で円が減ります。(^^;)

(Nov)
●この冬のジビエ、出はまぁまぁいいみたいだけど、鳥インフルエンザ絡みで、欧州系の野生鴨が一部入らないのではないか?、と。
そうすると、ビュルゴーの鴨みたいな半飼育型が更に重宝されるかな?
ちなみにビュルゴーのって、そーねーどーなんでしょ?、と思っていたら、オマージュの荒井さんのが すげー美味かった(^^;)。
野兎も今年はあまり入らんのじゃないか?、というのもチラと聞いたけど、どうなんでしょ?
「いずれにしても」、なんか、温暖化でかなりジビエ地図も圧縮されて数量減少種が多いみたいですね。
ノルウェーあたりでグリーブやベカス農場でも始めたら儲からんか?ヽ(^〜^;)ノ

(Oct)
●賞味期限など改竄・偽装事件多発
 赤福・白い恋人・比内鶏・ミートホープ…、、、もう覚え切れず(^^;)。
 「吉兆」の和菓子販売の賞味期限改竄がバレた。「レストラン」にも関係してきた(^^;)。
 正確には、「事件多発」じゃなくて「発覚多発」ってことだとは思いますが。
 ってことは、根底にあるのは非正規雇用増え過ぎってことですかねぇ。
●船場吉兆は、さらに、鶏・牛肉でも偽装などがバレ、ついに当局の手入れを受ける。
 知っての通り、吉兆って歴史や伝統のある店ではなく湯木貞一氏が一代で築いた店。
 湯木さんって年譜みるとなんかすごくて、1901-1997年なんだねー。まさにミスター20世紀。
 100年が過ぎて…、うーん「吉兆」ってもの自体が、そろそろ賞味期限? (^^;)
 ニュースで京都吉兆が出てきて、「船場は吉兆名乗るな」って言ってたけど、 もう京都が吉兆の名前捨てたらどないでっしゃろ(笑)。

(18Dec)
[ギド・ミシュラン2008東京版 その5] (発表後)

●覚え書き
 掲載拒否は「京味」「かどわき」「銀座小笹」まで判明。「古拙」の石井さんは週刊誌で「拒否しとけばよかった」と発言。「有名フランス料理店に拒否された」とナレが発言しているが何処かはまだ不明、巷間ではコートドールか…じゃなければレカン・アピシウス、と噂されるが、、、
 増刷分が出てきたが、誤植はあまり直っていないそうだ。

 (この辺の店はさすがにミシュランをよく知ってるなぁ…って印象もありますね。「ネジュランが編集長だったら載ってもよかったんですがね」…なんてサラっと言ってたりして(笑))

●覚え書き マスコミ
 多くのヒトが触れているが、テレビがほぼ横一線右ならえで「ミシュラン東京上陸万歳」…で、週刊誌が猫も杓子も「なにこのインチキガイド?」…だったのは、現象的には面白かった。女性フンチャラ誌系とか、賛否両陣営に分かれて舌戦しそうなもんなのにね(笑)。週刊誌系にこれだけブッ叩かれて飲食専門月刊誌がどう出るかはこれからだけど、まぁ、ナニモイワナイと思います。
 テレビでも稀には、例えば勝谷氏のミシュラン批判なんてあってその内容は決して悪くないのだが、このオッちゃん、ゴーミヨがアンリゴーとクリスチャンミヨーのガイドであることも、ゴーが辞めたことも、ゴーが亡くなったことも…、要するに何も知らないのに引き合いに出すもんだから、北朝鮮の首都も言えない小学生が拉致被害者を返せと言っているような感じで、少々ツライものであった。(勝谷さんについては「たまにイイことを言う」人…くらいに私は評価しているのだけど、んー最近はグルメ本なんかも出しているらしい、頼むから食い物のことについても言論ショーバイするんなら、少しは勉強してくれ)
 週刊誌については、それぞれ暴露的なものは面白くはあったが、まぁしかし言論を担う媒体には、「ミシュラン東京版を国交省が引っ張ってきたこと、防衛庁守屋がヒトの税金で遊び惚けてた濱田家の三ツ星、農水省プロジェクトの影は」…などなどのアングルからの切り込み記事を期待したかった、けど、いくぶん匂わせたものがあったくらいで、踏み込んだ取材は無し。

●追記:「調査員、新人含めたった5人ですか?(笑)」
 ちょっと思ったのだが、この調査員の規模って、今は亡き「グルマン」のチーム規模だよなあ、大体のとこ。「グルマン」って、フランス料理オンリーで(京阪神も含んではいたが)、しかも、今と違ってまだフランス料理店の数なんかずっと少ない時代、それでこのくらいの人数で回ってて、巷間「回りきれてない」ってよく怒られてたんだよなぁ。5人とかって、そういう規模だよな…。
 最近になってナレは、「ウチの調査員は鉄の胃袋だから一人一週間に12食調査する」と突っ込みどころ満載のコメントを出したようだけど…。それがなにか?
 週刊誌報道に多くあった「調査員は小学生並」との言に従えば、来年は中学受験というわけか。お受験、頑張ってください。

●独白:百年の孤独
 mixiに、以前(ミシュラン東京版より前)に書いた日記。戯れ言ですが。
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 吉兆、ついに当局の手入れを受ける。
 菓子・鶏・牛と偽装テンコモリ。
 知っての通り、吉兆って歴史や伝統のある店ではなく湯木貞一が一代で築いた店。
 湯木さんって年譜みるとなんかすごくて、1901-1997年という人生なんだねー。まさにミスター20世紀。
 100年が過ぎて…、うーん「吉兆」ってもの自体が、そろそろ賞味期限? (^^;)
 ニュースで京都吉兆が出てきて、「船場は吉兆名乗るな」って言ってたけど、もう京都が吉兆の名前捨てたらどないでっしゃろ(笑)。

 そろそろ東京版が出るミシュランガイド、あれの創刊が1900年。ビジネスとして俺はビッグだぜとばかりのワールドワイド展開に出てるけど、風呂敷広げたせいもあってか、肝心の格付け採点システムがギシギシと軋んで歪んできているように見受けられる。
 やはり、一つのシステムを100年も使うと、システムも賞味期限みたいなものを迎えるのだろうか、、
 …って、これは話を面白くしてるのであって、3つ星システムの導入からはまだ100年にはなってないけど。

 ついでに20世紀の頭を見ると、エスコフィエのギド・キュイネールの出版が1903年。
 これによりエスコフィエの集大成したフランス料理の時代が始まるのだが、(物凄く杜撰なまとめをすると)その精華たるロブションの料理の終焉が1996年。
 ものの見事に20世紀の100年だ(^^;)。
 無理矢理、20世紀三大話に仕立ててまとめ上げれば、下手糞なエッセイストの一回分の原稿には、きっと、なる。ヽ(^〜^;)ノ


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 そう、しかし実際問題、ナレの始めたことは何かと眺めると、20世紀に築きあげたミシュランのガイドブックの権威と信用の「切り売り」なのではないか。そして、しかし、システムというものの寿命はそういうものなのだろうな、とも思う。
 今目の前にある「東京版」というガイドを、ナレのよく言う「皿の上だけを見る」(口先で言ってるだけのセリフではあるが)スタンスに従って、虚心に、単なる「一冊のガイドブック」として見てみようではないか。“ミシュラン”という威光を抜きにして。
 まぁ正直、俺が見るに(と言っても立ち読みだが(^^;))、政府観光局でタダで配っているパンフ…とまでは言わなくても、ルレ・エ・シャトーで無料でくれるガイド程度のモノってところ(…いや、あっちの方がよく出来てるか)。
 そう、ミシュランのガイド…なんて大雑把なくくりではいけない、これは、ウチの書棚にも並んでるトリショーやネジュランのガイドではない。ナレのガイドという高々3年程度の歴史をもつ代物と思うべし、それがいいんだろうね。
 (実際、ベルナール・ネジュランはミシュランの編集長を1984〜2000年の長きに亘って勤めていたのだ。ミシュランミシュランと一口に言うが、現在いる殆どの人の思う「ミシュラン」とは「ネジュランのガイド」のことなのである)

●さはさりながら…
 それでも、星を期待されながら取れなかったり少なかったりしたシェフの中には、かなり落ち込んでいるように見受けられる人もいるという噂である。あまりネガティブに考えずに…、元気を出していただきたいものだと思います。

(29Nov)
[ギド・ミシュラン2008東京版 その4] (発表後)

 はてさてご存知の通り、すっかり「みしゅらん」はテレビ・ワイドショー・マターになり果てました。こうなると、いつまでもネットで「みしゅらん」がどおの…、と言っているとホンマに教養の無い馬鹿の人なのでわ?…って思われかねないので早く口をつぐみたいのです(笑)。…けど、多少、喋り始めてしまったので…(^^;)。
 それにしても、ウチの日記でも書いた通り、大概の人が「内容イマイチで」「ショーバイっ気たっぷり」…だろうと予測してはいたのだけど、実際に出て、みんな「ここまでとは…」と固まってしまいますたね(^^;)。

●調査員のOさん?
 ボチボチ、調査員の皆さんの実名もネットその他で書かれ始めたけど、まぁ、ギョーカイではみんな知ってるんだろうよ、ね? それにしても、あの「覆面」って名乗り、ほんとにただの“イメージ戦略”だよなぁ。ああいうの、実質的には覆面とか匿名って言わないよな、日本語的には? 勝手に“パンピー”が想像をふくらませてくれるのに阿てるよなぁ。まぁショーバイ的には非常に効率よい戦略、で、見習いたいもの。
 そういえば、黒幕はMさん。アノMさんじゃなくてアッチノMさん、、、

●追記:「無星店掲載なしにはがっくり」
 実のところ、「調査」の杜撰さはかなり聞こえていたのでいい加減小出しに糾弾したろか、と思っていたのだが、販売絶好調を受けて、これにてメインミッション完了とばかり、ミシュラン側が先回りした擬似謝罪コメントのようなもの(??)を出してきている。
「(実際上)東京23区のうち、9区しか調査できなかったのよー、ごめんごめん。来年に期待して」
…みたいな。半分も調査してませんって(それは公取委的にどうなのか(^^;))。

●人々の声:「その誤植はねーだろ、ガイドブックがぁ」
 誤植・シロートはだしの写真・ヨレヨレのコメント…情けない話ではある。これ、本作りはどうしたのかね、どっかの編プロに投げたのか自社内編集部的なことなのか? それは知らんけど、とにかくお雇いの編集屋がレベル低い…っつうか、大ハズレってこってすね。
 それにしても、調査員にしても編集にしても、こんなのしか雇えなかった…ってのはマネージメントの失敗で「おまーらが悪いんだろ」と言いたいのはヤマヤマなのだが、「日本人ってこんなんしかイナカッタんだもん」と言われてるようでナサケナクもあり。(^^;)

●追記:「東京は、別版にしとけばよかったのにね…」
 今更どうでもいいが、ミシュランの歴史とシステムを勝手に省みてあげれば(笑)、鰻・鮨・河豚・天麩羅・蕎麦はやるべきではなかった。やるなら、せめて、別枠のマークを考えるべきだったとは思う。整合性を維持し論理的に回答したいのなら、ね。
 結局、それをやってしまっては、それこそ「焼肉はどうしたんだよ?」って程度の問いにもまともに答えることが出来ない。
 もっと言えば、「30席以下の小店」「地下店舗」などは(高くは)評価しない、という伝統(それはそれなりに佳き伝統)は守るべきだったろう。その一線を部分的に越えてしまったために、「ミシュラン側の回答」がいちいちハラホロヒレハレになってしまった。
 多分、内部でもこれらの点に関しては葛藤があったと思うよ。それも無かったと言うほど頭が腐ってるとは思わない。しかし、ビジネス訴求力の面で「世界的なSushiブームに乗りたい」という誘惑は大きかっただろうと思う。そこでナレ君のさ、あの顔を思い浮かべてみれば、カレがその「どっち」を選ぶかは、まぁ何となく、自明、だろうな。

 ところで、じゃあ懐石料理店的な店は問題ないのか、っつうと、大アリ。この「東京版」を基準にしてしまうんじゃ、噂の「京阪神版」出す時にどうするんじゃホイ・三ツ星幾つ出したら足りますねん?、って問題にブチ当たってしまう。…。まぁね、結局ねー、東京ですらロクに調査できなかった訳なんだし、いっそ今回は「2008日本版」にしてしまった方がまだ良かったろうね。大ダイジェスト版。それで星の総数だけテキトーに辻褄合わせといて。…。ぶっちゃけ、出来の悪い新入社員…じゃねーや調査員とやらを回らせるより日本で売ってるガイドやネットの総集編本みたいなものにした方が、内容は良かったろうし(^^;)

 ただ、日本料理について同情すべき点があるとすれば、「NobuだのMasaだのに既に星を付けちゃってるからさぁ…」ということはある、との声も。それを基準にするならば、確かに星ばら撒きもしょうがないんだろう。小さな間違いも隠し続ければ雪ダルマとなる訳だ。

●追記:「客層が劣化する」
 まぁ、ミシュランの星は星で、取ったらタイヘンですよ…の続きだけど、ホントに早くも「頼むよ(泣)」な話が聞こえてきています。
 アメリカ・中国人観光客の恐れは既述してましたが、それどころではなく、いつもの、尊敬するT島兄からの話では、
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満席が続く予約の取りにくい店でしたが、☆が付けられてから、予約ががらりと変わったそうです。
「取り敢えず押さえて置いて、平気でキャンセルする」
という、恰も飛行機か列車の座席を取る様な調子の予約が増え、予約帳は大混乱。
(中略)
私は海外からの予約FAXなどへの対応が大変だろうと思っていたのですが、実は、東京人の「民度」が余りに低かった、という事態を伺って、愕然とした処です。

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という例があったそうです。
 また、雑誌には、「電話線抜いちゃって(笑)、常連には内緒の番号を回した」という店の話も。
 実際、ミシュランの星を、注目されるような形で取ると、「電話番専任を一人雇わないといけない」ような事態もありうることは知られていたわけですけどね。そして、これまでは、ミシュランの星(とくに2,3星)というのは大規模店舗にしか出さなかったから、ある意味、対処が出来た訳だけど、30席以下…どころか10席以下のような店にもバカスカ出してきて、これでは店側も対応できないんじゃないの?
 ミシュランの御利益っていうのは、「名誉」と「ショーバイ繁盛」なわけですが、「名誉っつったってあの中に並べられてもなぁ」となると、「別にミシュランに載らなくても満席」な繁盛店では来年から掲載拒否が続出するんじゃあ…ないでしょうか…ねぇ? ミシュランの星が付くとショーバイ上もまずい…、となると、、、

(21Nov)
[ギド・ミシュラン2008東京版 その3] (発表後)

 という訳で、出ました。東京版2008。いや〜…どですか?
 しいていうと「そんなの関係ねー」と予想したわけですが(笑)…、ほんとーに見事に「関係ねー」かったでしたね(^^;)。

●人々の声:「東京は、別版にしとけばよかったのにね…」
 というのは、多く目につく。オレもそう思う。
 たしかに体裁も大きく変ったニューヨーク版以降は、ギドルージュでない別のシリーズ名をつくり、「三つナントカ」…はいいかもしれないがマカロンではない他の何かを新設していれば (三つの饅頭が輝く三つ子の魂です!…とか) 、ある種の整合性 (しいてはある種のガイドとしての誇り) を崩壊させることは無かったでしょうね。まぁそれでは部数が伸びないでしょうが。

(追記:欧州版においても、ミシュランガイドの信用が最も低いのはイタリア版だ(ガンベロロッソやエスプレッソを見よ、という)ということには留意してもいい。フランス・イギリス・ドイツ・ベネルクス、これらの版は、大雑把には、基本フランス料理店ガイドである。スペイン版(ここもロ・メホール・デ・ラ・ガストロノミアの方が権威あるけど)も、ミシュランが高く取り上げるのは、フランス国境沿いの小国(ま、カタルーニャとバスクですな)の現代料理で、フランス料理に親和性のあるもの。一人イタリア版だけ、イタリア料理中心。
 (まぁ、これはイイ意味で、だが、)ミシュランの本領はやはり、フランス文化を背景にしたフランス料理の評価・紹介にあると思う。
 そんな微妙な空気の中、ニューヨーク版は、むしろ仏人仏料理偏重に対する批判が多い選定であったのだけど、東京版では大々的に“現地料理”をフィーチャーしてきた、と。これが「アジア市場」スタイル…になって行く、んでしょうねぇ。)


●人々の声:「無星店掲載なしにはがっくり」
 これも、当然多い。けど、でも、掲載できなかったんでしょうね。 ソレってつまり(推測ですが)「(網羅的)調査・取材・審査は間に合いませんでしたあ、テヘ」 ってことですよね。多分。 無星店を掲載しちゃうと“なんとなく”バレますもんねぇ、そこらへん。色々なバックヤードの事情とか。
 それと、Toshiさんのアイディアでは、「無星がないんだから、全ての店をマイナス1して見ると、ちょうどいい」という… 暫定的にはそうかも(^^;)。

●人々の声:「調査員、新人含めたった5人ですか?(笑)」
 それにしても現実にガイドが出てみて感じるのは、「初めての版」が出る時って、審査されるのは「店」じゃなくて「調査員」の方、って印象が強いですねぇ。
「文春」はじめ、調査員のレベルの低さ暴露記事も増えるだろうけど、調査員諸氏には、甲子園的に「がんばって来年また来いや〜」とエールを送ろうではありませんか。いつかは育つよ。増員もあるかもしれないし。

●人々の声:「だめだこりゃ」
 とは言われますが、アメリカ人や中国人が抱えて来る観光ガイドだとして見れば、結構よく出来てると思う。まずまず、カレらの期待にこたえる、安心打率の高いチョイスという辺り、ガイド本の歴史を感じさせるではないか。(まぁ鮨屋はどうかと思うけど、今現在は、日本人を除く世界中の人が“Sushi”に対して夢と幻想を膨れあがらせているから、ちょっとやそっとのことがあっても逆に有難がるような気もする(^^;)。でも久兵衛みたいにガイジン扱いに慣れてるとこ上にしときゃいいのに(笑))
 しかし日本人にとっては、そもそも、
[日本料理89・フランス料理44・イタリア料理8・中国料理5・スペイン、ステーキ4]
なんつうイビツな東京のグルメガイド、需要があんだべか? これ、いりますか?
 ま、たしかに、外国人観光客とミシュラン社にとっては、現地日本料理とフランス料理が載ってりゃタクサン、だろうけど。

●人々の声:「あれ、PGは?」
 ガニェール二つ星はしょーじき驚いた。…ってか、みーんなみーんな言ってたじゃんかよぉ、三ツ星って(^^;)。ガニェはじめ、「星付きシェフの東京支店」の多くは、事前の噂よりは冷静めのとこに落ち着いてたね。それでも、内容に比べれば下駄履いてるのが多いとは思うけど。事前の噂…、なんだったんだろ。「“東京支店”の後方支援ガイドになるんじゃないでしょうね?」なんて、出る前からつっつかれてたから(笑)、気にしたのかな? そういえば、きれいに「吉兆」の文字は見えないし(手回しいいな)、けっこう直前まで確定しない部分が多かったのかもなぁ。

●人々の声:「写真入り?」
 はまぁいいんだけど、ってゆーか、「もうちょっと綺麗に写真くらい撮らんかい!」と(^^;)。それでもプロか、と。柴田書店にコンサル頼んだりしないのかね(笑)。

●人々の声:「だーら、あのチョビ髭が…」
 …。まぁ、もうソレはいーでしょー(^^;)。おるつおるつ、と Orz....

●世界の声:「ミシュランは東京に星をバラ蒔いた」
 東京150店191星、パリ97星、ニューヨーク54星。
 世界から「なんだとコヌヤロ」と当惑・お怒りの声も起き出してるけど、バラ蒔き先の「???」はともかく、全体数としては実際こんなもんじゃないか、結構言えてる気もする。しかしあらためて東京をミシュラン的な目で見ると(最近のミシュランは訳わからんから“20世紀のミシュラン”の目で見ると)、ホントは一つ星がやたらと多い町、って気はするなぁ。
 細かく見ると、パリの
 3つ星10軒、2つ星13軒、1つ星41軒
に対し、東京は
 3つ星が8軒、2つ星が25軒、1つ星が117軒
だったんだけど、正当には東京は、
 3つ星が5軒、2つ星が10軒、1つ星が160軒
くらいが、適正なような気がするんだけどのー。
 まぁ、それと、発表パーティの「3つ星シェフたちの集まり具合」の凄さ、ということにも現れていたけど、この10年の欧州料理における「スペイン風邪日本脳炎」効果は、バックグラウンドにはあると思う。(とはいえ、シェフたちの集まった最大の動機は「アジア市場の美味しさ」とそれに対するツールとしてのミシュランへの関心、だろうけどねー。中国睨んでるよねー(上海版リリース時に「出ました!一都市200星」とかなったら笑う(^^;)))
 しかし、今年は、191星来たけど、東京版の売行きが悪かったら「1933年版ミシュランの再来」になったりしてね(笑)。

●下で
星が付いた店には「おめでとー」と言ってあげたいし、付かなかった店には「あんなフランス国策と大企業勝手のガイド、どーでもええやん」と言ってあげたい(^^;)。
と書いたわけだけど、載って「おめでとー」と言ったら「ああハイ、ええまぁ」、載らなかったので「どーでもええやん」と言ったら「ああアレなら載らなくて良かったでした」、…と答える店が少なからずありそうでがんわ(^^;)。

●ウチの本棚にも、ご多分に漏れず、赤い背表紙がけっこう並んでる。のだけど、今あらためて見ると、一番新しいので2000Franceなのだ。今世紀になってから買ってなかったか…。黄色い背表紙は21世紀に入っても2,3年おきに買っているのだが(ご存知の通りゴーミヨは打率は低いが、発掘力の馬力があるし、論評がおもろいからにー)。まぁ、口コミとネットの普及によって赤い背表紙不要になってきたせいもあるけれど、ネジュラン編集長が辞めてから、「こういうおかしな気配」は漂い始めてはいたんだよ、という気もする。
 (少し注釈すれば、21世紀に入ってからのミシュランの傾向、「パリの星の増加」「ホテル内レストランの星の増加」「ニューヨーク・カリ版」「東京版」…と言うのは、具体的な成行きはともかく、読者として「臭ってきてしまう臭い」を指摘させていただければそれは「金の臭い」だ、というのは、感想としては正当な範囲であろう)

●ま、そんで、最後に申し上げさせていただきますには、確かにミシュランのギドルージュとゆーのは、40歳過ぎの大人が「まともにとりあう」には些かナニなものではあるけれど、「茶飲み話」のネタとしては、やっぱり、こんなに面白いものはない! …ってことには、なりますやも。(^^;)\(☆〇☆)/
 それこそ、ウチのサイトでもある種採り入れさせてもらってるけど、この、「三ツ星」システム…ってのはホントに、人間のなにかしらの部分に対して、良く出来てるんだろうねぇ。やっぱり、20点制の点の上げ下げでは盛り上がらないもんなぁ(^^;)。もしかすると、この感覚部分・面白さだけは、長く残るのかも知れませんな。

(18 Nov)
[ギド・ミシュラン2008東京版 その2] (発表前)

 ↓あー、あかんねー、やっぱり、この話(東京版)は気乗りしないんだなぁ。筆進まず。もうプレス発表やんけ(^^;)。ま、慌て、客として感じるとこを箇条書きで。

●客 「ミシュラン東京版? そんなの関係ねー!(^^;)」
●しかし、店にとっては、名誉であり約束されたショーバイの成功である。近年最大の関心事であり、ハラハラドキドキだ。
●そうなると、客も、関係ねー、とも言ってられない。
●星が付いた店には「おめでとー」と言ってあげたいし、付かなかった店には「あんなフランス国策と大企業勝手のガイド、どーでもええやん」と言ってあげたい(^^;)。
●客として、一つに困るのは、過剰な星が付いて、店がやたらと混んでしまうこと。
●とはいえ、個人的には、良い店が混むのはそんなに悪いこととは思っていない。
●しかし、近年のフランスの三ツ星なんかを見てると大概の人が感じるように、「三ツ星を取ると客層が劣化する」のは、店のファンである客として予想される憂鬱。観光客・成金・ポロシャツのアメリカ人…、が押し寄せ…ないで欲しいものだが。
●…とは思うものの、どうも、現実に東京版でイイ星を取ってきそうなのは、それこそ日仏国策的な、別に客が劣化しようとどうでもいいような店がほとんどやんけ。なんだ、じゃあやっぱ、俺らには「そんなの関係ねー」(笑)。
●メデタシメデタシ… ?

 あ、なんだ、箇条書き方式で書くと早いな(^^;)。概ね、今んとこの感想は、んなとこですかねぇ…。

(28 Oct)
[ギド・ミシュラン2008東京版 その1] (発表前)

 東京版2008について、何か書いておこう。
 …ってか、「特にありません」以上…、って感じなんだけど、後々になるとその空気はわからなくなるものだから、考現学的には今見える風景をメモっておいてもよいか、と。
 ま、昨今のベテラン客の評をまとめれば、

ミシュランってフランス「本国」のフランス版で、もっとずっと多額のお金・多数の人員・長い年月を労してやってて、それで「やっとアノ程度の精度」でしょ(笑)。それがトーキョーでちょこちょこってやって何がわかるものかと…

というような感じ、たしかに奴ら(笑)が東京の食について東京の食いしん坊ほどのことを知ってる訳ゃないし、そういう意味では「どうでもいい」のだけど、それはまぁアタリマエと言えばアタリマエ。相手は「観光ガイド」なんだし。
 ってか、それはおそらくミシュランも承知の助で、日本語版に期待しないということは無かろうけど、内容の本質について考えればむしろ「東京版2008は英語版・日本語版が同時発売」であることに着目すべきで、アメリカ人観光客あたりのトーキョー物見遊山に対しての正当なるガイドが出来ればよろし、って意味合いの本でしょう。勿論、日本語版も売れればいいな、とここんとこのショーバイ拡大路線上にあって、思ってはいるだろうけど。
 だから、発売直前と言ってもいいような時期になってもナレ氏が、それはどうかなぁと思うような筋にまで「どっかいい店な〜い?」と聞いて回ってるような進行であって、別に構わないっちゃ構わない訳なんだろう。
 (ま、フランス版だって、それぞれ各地の現地人にとっては、そんな感じ、らしぃ、、)

 …とまぁ、一義的には、そんなようなもの。
 しかしなんだ、書店で飲食関係の雑誌なんかを立ち読みしてると、ここんとこやたらと目立つ

 ミシュランの偉大なる権威を思い知るのだ、庶民どもめ!

 …みたいな、さぁ、マスコミやヒョーロン家の姿勢ってのは、もうちょっとスマートにやってくんねーもんですかねぇ。読んでてなんとも、恥ずかしいんですけど(^^;)。まぁショーバイの種ってのはそんなもんか。

…とか言ってると、「立ち読んでんじゃねー、買え」とか怒鳴られそうだな。ヽ(^〜^;)ノ

 「ミシュラン、どうですかね?」「どうでもいいよ、んなもん」
 …すなわち客としての一義的な関心は、つまりそういうことのようなんだけど、ちょっと考えると、つまり二義的な部分では、実は客にとっても、さはさりながら、さはさでない。
 というのは、直接格付けされるのは、「店」、であるのだけど、トーキョーの店の側は、さはさりとて、興味津々…ある意味ワシらから見てて「純情過ぎないか」と思うくらいに「ワクワクドギドキ」と待ってたりするみたいなんだ〜よ。「ミシュランの星、来ちゃったりなんかしてぇ(はーと)」、と。
 意外というか当然というか、…当然なんだろなぁ。
 ワシらミュージシャンなんかだと、レコード大賞とか芸術祭大賞とかあるけど、んなもんを取ろうと思ってやってやっているわけもないし、貰ったところでデヘヘとか言って終わりくらいなもんなのだが、そういう類のもんでは無いようだ。
 っつうか、俺らの周辺ギョーカイになぞらえて言えば、演歌やアイドルの歌手のヒトなんかの「レコ大、取れれば死んでもいい」…ってノリもあるわけで(もう、ないか(^^;))、そちらに近い部分があるみたいなんだなぁ。
(つづく)

(22 Oct)
[ギド・ミシュラン2007 その7]

 例年吉例ミシュランだらだら話ですが、結局今年は正式発表前の1月段階の噂の台風で、すっかり燃え尽きちゃいました(^^;)。
 まぁしかし、発表された2007年版は、実際、この段階の噂通りの内容でしたね。
 幾つか、訂正(?)と追加感想を。

●「ル・サンク」降格について
 は、下記の邪推を訂正しなければならない。多くの事情通の指摘する所によると、「ゴタゴタ騒動」が起きていることは確かで、ルジャンドルの去就にも様々な噂が飛び交っているそうな。で、それが降格の主因になっているだろう、と。
 ただし、少なからぬ事情通の指摘する所によると「そもそも3つ星に上げたのが間違い」だそうで、その点については訂正は要らなそう(^^;)。

●俺ら的にめでたい追補
 ブラボ!
・「レ・セドル」、2つ星に昇格
 やっと…、だ。パスカル・レミに「こんないいとこが1つ星…?」的なことを書かれていたので、意地でも上げないのかと思ったらそうでもなかった。料理はこの10年、「2つ星の上」くらいであり続けたんでねーの? それにしても、またもやミシュランは「レストランが大借金して資本投下するとやっと重い腰を上げる」実例を積み上げてしまいましたな(^^;)。そして、証文の出し遅れを更につつく訳じゃないけど、店は、ワシの勘だともうそろそろ上り坂ではないような気もする(これは、ハズれてほしいが)。
・「サカナ」「ユーパラビストロ」に1つ星
 開店すぐに星をゲット。とくにユーパラは開きたてなんで間に合うものかと思ったけど。
 まぁこの2軒は外し得ないですね。どちらも現店には行ってないけど、料理長の力量は既に「まぁまぁの3つ星」には十分と言っても過言ではないしょ。
 どんな店作りをしてるかミシュラン好みか…を見てみないと何とも言えないけど、料理的には、星の短期のホップ・ステップがあるかも。

(28 Jan)
[ギド・ミシュラン2007 その6]

●「タイユヴァン」 、二ツ星へ降格
 うーん…。
 最大の激震はひょっとして、これ?
 びっくりですね。ここより古くからの3つ星っていうと、もう、 リルとボキューズくらい?
 近年でも、タイユヴァン行って、「よくなかったよ…」って言うヒト、ほとんど聞いたことないですけどね(^^;)。
 いつものtoshiさんは「ひょっとしてヴリナさん引退絡みなのか?」とおっしゃいましたが、…このヨミが本線だとは思いますけどね。ミシュランは、主要人物引退は3つ星から落とす、というのを徹底したいのかも。…って、やっぱ、ロワゾーのとこはアンタッチャブっちゃうんやけど(^^;)。
 まぁ、例の年にゴーミヨも一気に2点ダウンしたし、フランス人にはまた違う視点があるのかもしれないけど。
 店内の席次なんかがハッキリしてるのが、前時代的権威主義だ、とか嫌われてたりして。…んー、まぁしかし、なさそうだなぁ… 、、
 料理はどうなんすか。アラン・ソリヴェレ、そんなに古臭い感じじゃないんでそ?

●「エレーヌ・ダローズ」 、三ツ星獲得???
 …という噂も飛び交ってますが、フランソワ・シモンが例の韜晦難解北極海な文章中でアンヌゾフィーに触れるのに引き合いに出しただけなのが誤解されて独り歩きしているんでない?、…というのがtoshiさんの分析で、今んとこ、多分それがアタリくさいような気がしてます。

(27 Jan)
[ギド・ミシュラン2007 その5]

●「ピック」 、三ツ星獲得
 わおっ!
 なんたって、メール・ブラジエ以来の女性シェフ三ツ星!
 久しぶりにサイトを覗いてみたら、ずいぶんリニューアル してた。なんか、すげぇ顔が、親父に似てきてない、アンヌ ゾフィー? (笑)
 此処は、3つ星じゃないのがおかしい、ってくらいの美点を 山ほど持ってるし、まぁ、堂々の本命の当選ですね。
 しょーじき、行った時の料理はイマイチだったけど、んー、でもそれ以後、更に料理の評判は上がってるし、良くなってるんだろうな、きっと。
 ここはあと、2002年当時には「けっこーキャリテプリ」だと思いました。部屋なんか、近所の「ピラミッド」なんかに比べると、数段上の趣きがあるのに、「安い!」。今も、タリフ を見ると、そんなに高くないですね。
 しかし、3つ星取ると、その良さはなくなっちまうんだろう な(^^;)。

●「ラムロワーズ」、三ツ星復帰
●「ル・サンク」、二ツ星へ降格
 ガイドブック買ってる客から言わせてもらえば(って最近、買ってないけど(^^;))、これはもう、ミシュランが「自らの誤りを認めた」ようなものではないかと、、、、。
 2005年に落としたばっかりのラムロワーズについては何をかいわんや。
 ル・サンクにしても、3,4年前に三ツ星に上げたばっかりでしょ。 この数年でルジャンドルの腕が上がったり下がったりするものか、と。数年前に3つ星にふさわしかったものが今は そうではない、というのか、と(巨大資本もついてるし)。
 そう思うと、「当時の編集長がウカウカとジョルジュ・サンクの接待に乗ってしまったのだよゴメソ」… …とか、そんなんちゃう のか、と… …そんなん妄想しちゃうよ、読者ちゃんは(^^;)。

(26 Jan)
[ギド・ミシュラン2007 その4]

●「プレカトラン」 、三ツ星獲得
 此処は、料理に関してはどうも不思議で、俺ら行った時、なんか箸にも 棒にもかからなかったんだけどなぁ〜、「そうですよねダメ だよね」って声を聞く一方、「良かったよ」って話も沢山ある。
 んなのって、たいていは「趣味が違う」って類の話なんだけど、プレカトランの不思議なのは、共感を持っている知人友人間で、どうにも感想がわかれるんだよなー。
 謎。
 …って料理話を別とすると、容れ物・サービス・ロケーション ・現代の在り方・カーヴ、、、どれをとっても素晴らしい店で、 此処んちの三ツ星は、妥当感アリかな〜。 パリではやっぱ、この三ツ星ってのは、「らしい」 とは思うですわ、ネ。

●「アストランス」 、三ツ星獲得
 は、ボクらは全然わかんないけど(カンテサンスもまだ行ってないしなぁ…)、「アストランス大好き」という人でも「よく取れたなぁ、尚早」という感想が、今のところ、目立ちますね。 「アストランスいまいち」派はもとより(^^;)。
 「金かけんでもミシュランは三ツ星出しますよ」的な免罪符にでもしたいのか(笑)。
 ところで、サンドランスの一門はミシュランの星にいつも恵まれるような気がしてならないのだけど。人柄…とか、政治力…とか、がいい芸風なのかしら(^^;)。

●「ムーリス」 、三ツ星獲得
 ヤニク・アレノはテレビで見ただけだー。マダム増井が御贔屓なんですよね。とりあえずパリに行ったら食べてみたい一軒 とは思ったなぁ。
 まぁバックとしてはしっかりしてるし、これはアリなんでしょうね。まだ、30代だよね?

(25 Jan)
[ギド・ミシュラン2007 その3]

 星のワルツ、、、または、盆と暮れが一緒のミシュラン、、、
 …という訳で、ご存知の通り、大変な騒ぎになったようです。下の日記を書いた後、今年は大荒れかもね〜、と知人友人と話してたとこでしたが。(俺っていい勘してるだろ…ヽ(^〜^;)ノ)
 現在のところ、ソースは基本的に「フィガロ」でしょう。
 あ、まず、「フィガロ」より前に聞いてたのが次の二つ。

●「L'Esperance」Marc Meneau 閉店
 マルク・ムノーの3つ星レスペランスが事実上倒産状態で、閉店を余儀なくされるだろう、とのこと。
 いやぁ、キッツいですね。
 俺らは三ツ星「復活」後に行ったんだけど、やっぱ、個人的には三ツ星は厳しい感じでした。が。
 三ツ星陥落時に大枚張り込んでしまったのかもしれないし、それを見てミシュランは星を戻さざるを得なかった、のかもしれない。
 相互にとってどうだったんでしょうねぇ、、、
 この巨艦の最後を見るに、大借金大豪華三ツ星物語はもうやめにしようよ、 という風潮になって欲しくもあるような、、、 気もします。
 微妙な問題ですけどね。素敵なことをしようと思えば金は かかるし、、、

●「フェルム・ド・モンペール」売却
 ヴェイラの3つ星20点の片翼、モンペールがZannier社に売られたそうです。
 一説にはパリ本格進出を目論んでいるのではないか、とのこと。
 レリダンを残してモンペール売り、なのかぁ。この辺が俺ら的には掴みにくいんだよなぁ、マルク。
 それはともかく、彼の性格を思うに、日本進出とかはないんですかねぇ。「水面下で進んでるんだよ」と言われたら、信じるな(^^;)。

(12 Jan)
[ギド・ミシュラン2007 その2]

●ミシュランでなくてゴーミヨですが、2007今年の料理人は、レザンバサドールのジャン・フランソワ・ピエージュのようです。

●「Antoine Westermannが引退、Buerehieselは三ツ星を返上」との噂です。

 ウィナンス、ヴェスタマンと続くと、「戦後も還暦を迎えた」という時代感を肌で感じる思いがします。
1933 Michel Guerard
1934 Michel Lorain
1936 Fredy Girardet
1937 Alain Chapel
1939 Pierre Wynants
1939 Alain Senderens
1941 Jean Bardet
1941 Gerard Boyer
1941 Eckart Witzigmann
1942 Juan Maria Arzak Arratibel
1943 Georges Blanc
1943 Gerard Vie
1944 Marc Meneau
1945 Joel Robuchon
1946 Antoine Westermann
1946 Michel Bras
1947 Bernard Pacaud
1947 Jacques Lameloise
1947 Michel Trama
1948 Pedro Subijana
1950 Pierre Gagnaire
1951 Bernard Loiseau
1951 Marc Veyrat
1953 Guy Savoy
 第二次大戦をはさんで生まれた才能の大波、「ヌーベルキュイジーヌ」の第一次旗手たちのまさに大団円。
 「ゆく年くる年」の23:50付近を見ている気分ですね(違

(09 Jan)
[ギド・ミシュラン2007 その1]
 ぼちぼち色々聞こえてくる季節となりました。
 …って、いつものtoshiさんやゲンキさんとかから教えてもらって「へぇ〜」…って言ってるだけですけど(^^;)。そういう訳でお二人に感謝しつつ。

●Michelin Espana&Portugal 2007 で、ペドロ・スビハナの「アケラーレ Akelarre」が三ツ星に昇格。スペイン国内では6軒目。
 やったね、スビハナ! 実のとこ、あの辺回った感じで、レストランの諸要素がもっとも高次元にバランスしてるのは「アケラーレ」だと いう印象だったので、この三ツ星は大賛成です。
 まぁ料理そのものだって、面白さ美味しさともに、ベラサテギ・ アルサック・ムガリツに決してヒケを取らないものと思ったし(ってゆーか、味はアケラーレがいちばん、という人も多いし)。
 まぁ、「ミシュラン、たまにはよく見てるな」…という気もしつつ、「それにしても相変わらずシェフが還暦になってから星を出してくるのはど〜よ」とも思いつつ。

●Michelin Espana&Portugal 2007 で、エンリケ・ダ・コスタの「エル・ポブレ」が二つ星に昇格。
 これは予想通りなんだろうなぁ。行きたいなぁ。かなりクレージーらしいですね〜。

●ピエール・ウィナンスの「コム・シェ・ソワ」が二つ星に降格。27年間、三ツ星を守った。
 三ツ星レストラン中でも“別格”の重みある一軒だっただけに、衝撃が走ったようだ。ファンの悲嘆は深い。ただ、1939年生のピエールの引退・代替りに伴うものだとすれば、「新しい世代による三ツ星復活への道のりの始まり」と、前向きに捉えてもいいようにも思う。
 いずれにしても、個人的には、ピエール・ウィナンス食い損ないました。シクシクシクシクシク。

東京ミッドタウン開業

 再開発、第何弾目? じょじょに弾切れの危険が…(笑)

 
2006
作柄 2006秋〜冬

 蕎麦は、2004.2005に比べてずっと良い、と、これは恵比寿翁の女将談。
 ヨーロッパの野小鳥 質量ともに良いのでは、出だし早し。
 ヨーロッパの茸 質量ともに良さそう。
 日本のジビエはどうだろうか。 猪・鹿はなかなか盛んに増えているようで、シーズン前の駆除目的モノでもかなりいい質の物が流通しているよう。
(2007追記:猪鹿はこの後更に増え過ぎてしまい、駆除モノも膨大に流通したようだが、下手すると「都会で残飯食ってたなテメェ」というジビエ(^^;)も混ざってきて、判断に悩む状況になったようだ。「色んなお肉」の底辺が広がったのは確かであろう)
 トリュフは、質はいいが量は豊作でなく、またしても高価。
「野ウサギ、欧州からは入荷せず。との情報あり。 たしかに見ない気がする今シーズン」(へべ)
 ノロの流行で牡蠣がご難でした…なんてのも書いておかないと、数年後には忘れちまうんだろうなぁ(^^;)
 応援の気持ちなのか、価格の低下もあったのか、「シェフおまかせ」コースなどにはかえって牡蠣が登場する回数が多いような気もしたシーズンでした。(笑)

吉野シェフ、週刊誌を騒がす

「週刊誌読み忘れて、事件の内容をまったく知らないんですけど、どんな話が載っていたんですか? 」
「元々、浮気は公認で、愛人は多いらしい・若い愛人に子供が出来たので、離婚してそちらと再婚したい…、など書かれてました。 夫人は、 「浮気・愛人OK 外の子供の認知もOK 離婚とそちらとの 再婚はNG」 という態度だっつうことです。 愛人は***の編集、だとか」

土のソース そしてアルギン酸

AQ!
 土のソースのミニブームは2006年ですかね? 2005年くらいから? …って、私自身は全然出くわしてないんだけど(^^;)。
 ネタ元は「カン・ロカ」でしょうか。ロカさんはすんげぇ細かいことやってるんだけど、巷では結構簡単な(ナンチャッテな)バージョンで流行ってるような…。
 似たようなもので、欧州の炭のソースとか食材としての炭ブームはスペインを中心としてこの2,3年くらいすかね?

Toshiさん
 あとスペインで気がついたのは、 「葉緑素(クロロフィル)」、野菜料理のソースに つかわれていました。
 土、炭、葉緑素の三題でイメージするのは「園芸」 ですが、それが「料理」とは何とも。

AQ!
 かんだやぶ みたいですね (違
 園芸の解体と再構築でしょうか (違   そういえばヴェイラでは、皿に苔が生えてたなぁ(^^;)
 あまでうすさんに教えていただいたところによると、2005春にヌキテパで土のソース出してたそうです。2005トピだったかな…

Toshiさん
 あとスペインで見たのが「アルギン酸」、名前聞いただけで元気になりそうだが、実際には液体をゲル状態に変える効果がある。
 カタルーニャの一つ星「レグスァルド」の「ミクリ」 もこれに近い考えか、この液体を半固体状にする、というテクニックは来年あたり日本でも流行りそうか。

AQ!
 あ、アルギン酸は、単独でも項目たてとくべき、ここまで21世紀料理のスーパースターの一人ですねー。

熊肉ブーム

 新しくもなんともない食材ですが(^^;)、熊にこれだけ スポットが当たったのは、初めてに近いのでは?
 これは、2006年起点現象と考えてよい、、ですかね?
 更にブレイクするだろうか、、、イイのにあたるとすんげぇ旨いけど、みんながみんな旨いのか微妙な食材、、のような気も。

ひらまつ、盛んなり

 リル、ボキューズ、プールセルなど動かす。ま、このクロニクルは本家サイトを見りゃいいか。

ハンガリー産の鶉

AQ!
 …に限らず、今年は欧州鳥インフルエンザ関係の避難的な食材が多数、捜索されていそうだ(^^;)。
 ハンガリー鶉は、150g程度と雀なみの小ささで野性みがあると言い、味・香りはよろしい。
 そうかと思えば、ハンガリー産の仔牛も出回っているようで…、こういう国の産品にとっては、(更なる)チャンスなのかもしれませんね。

へべ
 羽根布団用の羽毛とフォアグラは前から結構見ましたが、やっと中身も売れるようになったぞ!
…と、ハンガリーの人は小さくガッツしているかも ヽ(^o^)丿

液体窒素

AQ!
 こういうのも書いておかないとわかんなくなっちゃうか(^^;)。
 元々やはりエルベ・ティスあたりが言いだしたようで、それが1990年代。 世界的な流行の始まりが、ダニ・ガルシアとそれに影響されたフェラン・アドリアで、2003くらい。
 で、日本でかなり使われだしたのが2006。そんな感じですかねぇ。まだファミレスとかでは見ないけど(笑)。

Toshiさん
 もともと骨折治療等の医療用として開発されたものらしいですね、料理人に聞くと日本で買うと凄く高いとの事。
 日本の不思議なところは同じ物が「工業用」として売られると安くて、「医療用」とか「学術用」として売られると急に高くなるという傾向があります。
 流通経路がそれだけ複雑になるという事なんでしょうか?

アルカションの牡蠣

Toshiさん
 今朝のフランス2のニュースで取り上げていましたが、ボルドー近く、牡蠣の養殖で有名なアルカションの病院で亡くなった2人の死因が「生牡蠣」に起因するのでは、と疑われているそうです。
 このため、フランス各地のレストランでアルカション産の牡蠣を出さないようにしたみたいですが、養殖業者は大打撃。
 これからフランスへ行く人、「生牡蠣」には注意したほうが良さそうです。

チンタセネーゼ

 アレ?アレ?…と思ってるうちに、随分とあちこちで見かけるようになったイタリア産豚。いつ頃からホットになってきたのかなー。この勢いで定着するんだろうか。

シェフの事件ブーム

 …ブームちゃうってヽ(^〜^;)ノ。
 ヒロ・ミクニは、ここに詳細に書いとかなくても忘れないな(^^;)。あと、「シェ・クリストフ」のクリストフ・コランが放火で逮捕、ってのもありました。

Michelin Guide Rouge France

 ミシュラン・ギド・ルージュ2006について。…と、すっかり証文の出し遅れになってしまいましたが(^^;)、今年は一般紙が速報で報じていたのでねぇ…。個人的には割りと関心の薄い動きが多かったし…(^^;)。いつものToshiさんからは、速攻で感想のメールをいただいておりました。1ヶ月以上寝せてしまってすいません。

Toshiさん  ミシュラン情報のキャッチも年々「福男レース」のようになって来ましたが、今年は「リベラシオン」がすっぱ抜いた?情報が翌日には日経が掲載するといった、意図的としか思えないリークでしたが、やっと公式なプレスがあったようですね。

→http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0,36-743927,0.html

 やはり、「メゾン・ド・ブリークール」の3つ昇格は本当でした、2つ昇格は5軒?、ロブション以外はまったく知らないですね。ル・モンドが「今年唯一の驚き」と評した「ツール・ダルジャン」の降格は何を今更、という気もしますが・・。
 それにしても「ケイ・ズ・パッション」と「ステラ・マリス」の昇格って本当なんでしょうかね、真偽より、どういうルートでこの情報が流れたのか、そっちの方が興味あるんですが。
 山本益博氏がどこかに書いていましたが、亡くなったベルナール・ロワゾーとの対談の中で、これだけ三つ星店があっても本当にいいのは、フランス 中でも5軒くらいだな、と言ったという記事が記憶に残っていますが、私の体験からも激しく同意。もちろん全部行ってはいませんが、パリ9軒の三つ星でも、行く価値あるのは3軒位?
 まあ、世界遺産になった観光地が何処もつまらなく感じるように、三つ星になる前にいくのが、狙い目ですか。
AQ! [5軒]
 このうち、Chez Ruffet が2つ星を取る、というのは知人から聞いてました。ここはとても良いらしいです。ゲラールの更に南、みたいな場所。
[「ツール・ダルジャン」の降格は何を今更]
 ですね(^^;)。
[どういうルートでこの情報が流れたのか]
 それは言えますね…
[パリ9軒の三つ星]
 9軒…もあるんですね(^^;)。ランブロワジーとタイユヴァン。ガニェールは行ってもいいな。ギ・サヴォアも最近評判はぜんぜんよくないけど、機会があればもう一回くらい。行ってないところではル・スケールになってのルドワイヤン。
 んー、まぁそんなとこですかねぇ、、、、
Toshiさん  日本人2人の昇格は事実のようですね、それより日本のマスコミが取り上げているのがトゥール・ダルジャンの降格ニュース、どうして日本人の昇格より先のニュースにするの?
 もう少し日本のマスコミ何とかならないんでしょうか。
 でも最高に面白かったのが、トゥール・ダルジャン側のコメント、

 「同ガイドは現在諸問題に直面し、当店がもはや掲載を望まないと 希望した事と今回の決定が軌を一にしている」

 こんな名文句が即座に出てくるとは思えないですね、かなり前から降格を知らされていたんでしょうね。

 ミシュラン以上に感心を寄せているのが、例の「鳥インフルエンザ」問題、本当にこのままだと、フランス行っても鳥類の料理が食べれない日が来るんじゃないでしょうか、鶏料理が売りの三ツ星店はどうするんでしょうかね。


 実のとこ、Toshiさんじゃないですが、これから数年はミシュランがどうのこうのなんて問題じゃないですねぇ、鳥インフルエンザ。いったいどうなっちまうんでしょうか。まぁこの年齢までにある程度は食えた俺は、良い時に生まれたもんだったな、と納得すべきなんすか(^^;)。
 近年、香港に行こうと思うと、SAASだ、また思うと、鳥インフルエンザだ、と決意の腰を折られてしまうのだけど、欧州もそうなってしまうんでせうか。いやぁ…。でもホントにヤバイ話です。
 ミシュランは、後は、ロブションにサンドランスが2つ星…なんて言っても、「フぅ〜ん」という声が聞こえてきそ。編集長が仏人に戻ったんでしたっけ、今年は「驚きのある動き」はしませんでしたね、要するに。

 
2005
Michelin Guide Rouge 2006 Espana

El 'club Michelin' se ampla
Andoni Luis Aduriz logra la segunda estrella para el 'Mugaritz' y la catalana Carmen Ruscalleda convierte su 'Sant Pau' en el quinto 'tres estrellas' espanol
とのこと。
 まぁ、スペイン国内的には、今はGarcia Santosがいるから、Michelinはガイドとしては意味が低いけど、国際的な注目度はありますからねー。

2005の油事情は?

AQ!
 来そうで来ない、あるいは、来そうで来てる、という微妙な感じなのは、アルベキーナ種とアルガンのオイルでしょうか。

へべ
 ユイルダルガン、焙煎ありとなしがあるらしい。よさげだなぁ、と思ったモノの割にあんまり国内卓上に上陸してこないところをみると、高いのかなぁ?

AQ!
 アルガンオイル、いいよね。

ベカス食べ過ぎ?

へべ
 「冬はジビエだ」と聞くと、高級レストラーンから町のビストロまでそろってジビエを出したりするのが日本の不思議なところ。で、このごろあちこちでよく見るのが「ジビエの王様ベカス」を出しますとか食べたとかいう話。…いいなぁぁぁ、とヨダレをたらしつつも、こんなにあちこちで見かけるってどこかヘンだったりしないだろうか?とも、ちょと思う。

AQ!
「おまーら、ベカスばっか食ってんじゃねーよ! 」…って(^^;)。
 上海蟹ばっか食ってんじゃねーよ!…の亜種みたいな奴。(^^;)
 いや、だから、ベカス旨いし、食うのはいいんだよね。好きなら食うよね、そんなのは当たり前。だけんどさ、ろくにフランス料理なんか食ってもいない奴が「ベカスがどーのこーの」と言うのは如何なものか、という、ね、、、。
 結局のとこ、この辺りはみんな同じなんだけど、マスコミの書き様とかだよね。「ベカス食ったら勝ち組」…みたいなこと書いてそれにまたコロッと乗せられて。ヌッ殺すぞ、てめーら。\(@▽@)/
 「勝ち組」を目指して気が付いてみたら「右にならえ」…、ってのが日本人の習性とか言われながらもやっぱりタイシューはそうなっちまう訳で、それはそれで別にいいけんどよー、食いしん坊の邪魔すんなYo!、、、とは思うことも多い昨今。
 2004,5あたりから目立ちだした、ベカス礼賛論調の一般層浮上では
・価格高騰
・エコ破壊(^^;)
・パチもんや劣悪品の流通
あたりが懸念されるところである。

へべ
 これに対して、冬にパリ・フランスに行ってみた初期(1994-96年あたり?)の印象にあるのは、ジビエに対する意外な“冷静さ”だった。
…最近(今は2005年)のあの街は、泡を吹いたりスープを注いだり、流行の追っかけに忙しくしているらしいし、当家はあまり寄りつかずにいるので、今どうなっているかはよく知らない。でも、当時のパリはちょっと京都を彷彿させるくらい“旬”に厳格な印象があった。同時期に数軒をまわると、カルトの上から自然に旬の食材が浮かび上がってくる感じなのだ。パロンブにもトピナンブールにも、こうして出会った。
 で、ソレた話を戻すと、旬には厳格でありながら、冬だそれ来たジビエ祭りだ、どの店でもジビエてんこ盛り!!!…などということは全然ない。行ってみるまでは当家も
「本場の冬はさぞかしジビエ三昧に違いない」
などと漠然とは思っていたので、ちょっと拍子抜けしたけれど。
 94年冬(だっけ)のアンフィクレス「ジビエのムニュ」と2004年冬のレ・セドル「ジビエのトリロジー」は鮮やかに記憶に残っているが、裏を返せばそれは、類似企画の少なさを物語る。二つ星・三つ星クラスの店でも、ジビエはあれコレそれからよりどりみどり…なんてことは稀で、二大定番の鴨と鹿以外のジビエが2種類ほどもあればラッキーなほうだ。
 品ぞろえという観点では、東京の一部のフランス料理店は、とっくにパリを凌駕しきっている感がある、と思う。
 自分たちはもちろん、そういう店々のおかげで野兎に感動し、雷鳥に涙をこぼし、猪にうっとりしてきたので、なんともありがたい状況だと思っている。ただ、この津々浦々まで浸透した、ものすごーく“まんべんない”感じには、どことなく違和感を覚える。食べる側にも、供する側にも、ある程度「自分は別にそんなにアレだけどやっぱり冬はそう言っとかないと」みたいな、付和雷同型“お付き合い需要”のニオイがうっすら漂っているような…気がするんだけど、どうなんだろう?

AQ!
 そうそう、フランスでは、「得意なシェフが・得意なビストロが・得意な土地が」扱うものであって、決して「みんながみんな」なんてこと無いんだよねぇ。時期も厳格だし。

上海蟹食べ過ぎ?

AQ!
 「おまーら、上海蟹ばっか食ってんじゃねーよ!」…って。 ヽ(^〜^;)ノ
 近年、やたらともてはやされるようになった。まぁ、元から人気食材なんだけど、ここんとこアツ過ぎませんか(^^;)。なんとなく、この時期、一部の中国料理店に行くのが、きぶっせいなくらい。
 関連事項として、例の「上海蟹の赤ラベル・青ラベル」…だっけ、 アレの登場は、2003年くらいでしたかのぉ?
 また、全然別の現象として、「東京湾で上海蟹が勝手に繁殖」(^^;) というニュースは、えーと、今年だっけ。ロンドンあたりでも増えすぎて、害獣扱い…

へべ
 そうそう、ちょっと「中華料理店のクリスマス」みたいな剣呑な感じが… (^^;)
 外来生物種としての上海蟹は、生命力・繁殖力が強く、川の土手を掘り抜いちゃったりと、世界的にみると「札付きのメーワクなやつ」扱いされている模様。

焼肉はもう牛豚鶏だけじゃない鴨

へべ
・鴨:これはわりと早くから見かけた気がする。かえって最近は失速気味? 薄切りで素人がただ焼いたときの旨さ(旨くなさ)加減が課題?
・羊:ジンギスカン流行のおかげで流通がよくなったかも?
・鹿:炭火マルイチでレアに焼いた蝦夷鹿を「香草辛し漬」と一緒に食べてると、「鹿って焼肉で食べるのが一番旨いのでは?」とすら思える。
・いつの間にかあまり(ちゃんとした店では)見なくなった「海鮮焼」

AQ!
 熊もあるでよ。

エゴマ豚

 福島の豚で荏胡麻を食べさせているとか。今年になってよく見かけるようになった気がするが、どうか。かなり優秀な肉質とおもたねー。

茨城vs.日高

…と、どこにいってもこの様相を呈しているのが、国産仔牛。
昨今、印象に残るフレーズを記すと、
茨城=一軒だけで引く手あまた、奪い合いだがナントカお願いする
日高=フランス人を技術指導に招いて飼育法を学ぶ、高価
だそうな。

ヴァンナチュール追記2005

 ビオ・ワイン。既にクロニクルに2004版として記しているように、大変微妙な情勢になっている。ソムリエや業界関連人のワイン会においても、2005時点で「ねぇねぇ、実際のとこ、美味しいビオって、なんかあった??」という会話がフツーになされていたり。「いや、あるよ」という話にはなるのだが。先日も、「ダー*エ*ボ不味過ぎ〜!」で大いに盛り上ったり(^^;)。
 …はともかく、で、年代記的にメモっておくのは、今現在、業界&ワイン愛好会的世界の平均的には、ルロワ、ルフレーヴ、マルセル・ダイス、ヴィレーヌ、ウンブレヒト、ゴビー、ピングス、シャプティエ…なんかは、「ヴァンナチュール」「ビオ」と呼ばない、呼んでないよね、…という空気の濃厚にあること。「古くから」の所は、ビオと言わない、…それどころか、美味しかったらヴァンナチュールなんて呼ばない、…みたいな。良い出来ならばビオなんて呼ばない、…みたいな。
 今後、この点はどう変化していくのか、考現学的には楽しみである。

中国野菜

へべ
 今年、大吉で食べた新顔の葉もの「川七」。ツルムラサキのような、ちょっとぬめりのある大きめの葉で、穏やかな苦味が食欲をそそる。シンプルに、大蒜炒めで。

AQ!
 日記によると、大吉の川七は、2000年にも食べてるみたいだから、新顔…ってわけでもなさそうだけど、けっこう季節限定ではあるかもー。まぁしかし、ポコポコ色んな新顔野菜が出てくるご時世ですのー。

へべ
 2000年に食べていたのか〜。頭の中に消しゴムが ヽ(^〜^;)ノ

Michelin Guide Rouge France

AQ!
 ↓ミシュラン・ギド・ルージュ2005の正式発表が出てきました。

RM ●Regis Marcon(Auberge et Clos des Cimes)が3つ星獲得!
 ブラヴォー! ついに来ました、本命中の大本命レジス・マルコン! ウチは三つ星絶対間違い無しと思ってはいたのですが、2005年版とは思いませんでした。現在建設中の新レストラン(だから屋号も変わるかも)のオープンが今年春なので、それを見てから2006か2007を予想してました。
 →は建造中の新館。建物のすぐ先から急に山腹は下っており、よーするに大絶景(笑)となります。

●Lameloise、Jardin des Sans 2つ星に降格
 ラムロワーズ降格についてはムカムカするのであまり喋りたくない〜(^^;)。個人的には近年急落中の「ミシュランを読む意味」がさらになくなった感じ。まぁ「メニューがあまり変わらない」とかとってつけたような理由を出してくるんでしょうが、上のレジスと見比べて「やはりミシュランが評価するのは設備投資額か」という溜息が沢山聞こえてきそう…。銀行屋のガイドブックか、ってぇの(笑)。そういうこと言われたくなきゃ、レジスんとこだって、数年前に3つ星出しときゃ良かったんだよね。
 プールセルは知らないんだけど、シモンもレミも降格を噂してたくらいだからあまり良くなかったんでしょうね。これでまた、東京にはフランス3つ星店の支店は、えーと、無くなった訳か。…あ、ベージュがあるか。でもアレは、デュカス本人は、デュカスのレストランじゃなくてデュカスグループのレストランだ、くらいの態度みたいだし…。

●Ambassadeurs(クリヨンの)、L'Astrance 2つ星に昇格
 デュカスのJean-Francois Piegeが入ったレザンバサドゥールが星を戻した訳だけど、ドミニク・ブーシュは可哀想ですな(^^;)。ラストランスは、人気面から見れば順当なんでしょうか。

●Divellec 1つ星に降格
 パリのポワソンの老舗の、です。此処はそろそろ、レストラン寿命的に順当なんでしょう。個人的には15年ほど前に食べた時でも「ああ、フランス人はポワソン下手だなぁ…」という感想だったもので、何も無いのですが。

 ところで、ミシュラン・ギド情報は、今年もToshiさんにメールで教えてもらいました。今年は私もそこそこ“張って”たつもりなんですが、このヒトには敵いません、何せ向こうのプレス発表の1時間後には感想のメールが来てるんだもん(^^;)。↓です。

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 やっと今年のフランス版のプレス発表があったようです。
 これによると新しい三ツ星は1件、レジス・マルコンの「クロ・デ・シーム」降格は噂どうり「ジャルダン・デ・サンス」と「ラムロワーズ」のようです。二ツ星昇格はパリの「アストランス」(ここはちょっと意外)と一つ星に降格して料理長が交代したホテル・クリヨンの「レ・アンバサドール」(ドミニク・ブシェ可哀想)。
 ラムロワーズの降格は何とも残念、確かに現代的な料理では無いけれど、ここ2つ星にするならもっと先に降格させたい処あるのに。
 「オ・クロコディル」降格の時も感じたけど、最近は目先の新しさに走る料理じゃないと評価しない傾向がどうもあるんじゃないかな、「ランブロワジー」なんかも気をつけないと降格あるかも。
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Michelin Guide Rouge France 噂話

 ↓など言っていたら、最初に出てきた噂が「ラムロワーズLameloiseが星を一つ失うのではないか」…であった。(本当だとしたら)、あ、アフォですか? (^^;)

 前略
 ミシュラン・ギド・ルージュの季節ですね。そーそー、私もたまにサーチしてみるんですが、今年は出てきませんねぇ。やはりベネルクス版騒動でそれどころじゃないという所ですか。でもほんとにおっしゃる通り「何を今更」って感じな事件ですよね(^^;)。
 そういえば、パスカル・レミの「裏ミシュラン」は読まれました? 本屋でみかけて、「えっ、日本語版出るとは! こんなん絶対売れなくてすぐなくなりそうだから一応買っとこか」とゲットしてみたんですが、けっこー売れてるみたいで(^^;)。
 で、あまり期待しないで読んだら、つまりその期待してなかったスキャンダラスな暴露部分は「ふぅ〜ん、まぁそうでしょ」で予想通り大して面白くもない内容だったんだけど、それ以外の部分のフランスの全般的な「食いしん坊のヨモヤマ話」はかなり面白くて、意外なことに買った甲斐がありました。
 それにしても、仮にも“網羅性”を軸としているガイドブックというのは、もう辛いですよね。網羅的審査なんて無理だよそんなん、ちゅうか。パスカル・レミ氏には、ミシュランとの騒動が納まったら“そうではない”タイプのガイドなどを期待したいところ…。
 寒さ厳しき折り、お風邪などめしませぬよう。

 
2004
Wagyu

AQ!
 ラ・コート・サンジャックのカルトで「Wagyu」(和牛)を発見。記事では「欧州に和牛輸出拡大」と見ていたのだけれど、初目撃。
(2007追記)
 07年バルセロナのアルキミアでも見た。
 Gaubyが「松坂牛を持ってきたらムンタダ売ってやるだ」と言ったとか 言わないって話もあるし、向こうではある程度のブランド力を 築いているんですかにー。

イベリコ豚

AQ!
 イベリコもメモっといた方がいいんだろうなぁ。この数年急激に広まってきたイベリコ豚だけど、2004年にはついに “ファミレスでこそまだ見かけませんが” とでも言いたいような普及具合、もう何処で出会っても不思議でないです。
 ま、それに伴い、「何処がイベリコ豚やねん」と言うような、しょうもない質のイベリコも流通しておるようですな。料理の方も、小林幸司氏の作品のような“これでもか”とイベリコの魅力を活かしたものは意外と少ないかも。

へべ
 加藤清和氏の「ラ・グラップ」で出会った“イベリコ豚の舌”は良かった。その肉、その部位の風味と性質がみごとに皿に活かされてました。
ビオ、自然派ワインブーム

AQ!
 ビオ、自然派ワインブームがレストランにもだいぶ。何でもそうだけど、まっとうにちゃんと扱われる“問題”は、問題でない。トンチンカンな取り上げ方の横行が“問題”となる。これも、段々これから頭の痛い問題になりそう。
楊枝甘露

AQ!
 楊枝甘露ブーム上陸か。90年代後半から香港を席捲したこのデザートが、何時からか何処からか上陸してますね。菜單でよく見るようになった。さて、日本でブームまで行きますか。しかしまだ、湾仔満福楼に匹敵するものは見てないぞ。頑張れニッポン。ほぐせよグレープフルーツ(笑)。

へべ
 そうそう、火龍園やチャイナシャドーでもお目にかかりました。楊枝甘露の今のところ(勝手に決めた)最高峰であるところの湾仔満福楼の、ちょっとパラっとした粒状感とフレッシュな美味には及びませんが、どちらもなかなかの出来。手先の器用な日本人には向いている技かも。
店名について

へべ
 店の名前の考え方はいろいろありましょうが、昨今だと「表記が一義に決まって固有名詞性が高く、web検索でノイズが入りにくい」ってことも大事かな?などと思ったり。いや、主になんでかって言うと、うろ覚えの店にいざ行こうという段になって場所とか電話とか調べようと思ったときに…やっぱりここら辺がネックになることってあるんじゃないかな、と。
 フランス語だと「vous」なんか表記のネックになりやすいかな? あと、大好きな店ですが「店名が数字だけ」という大胆なネーミングの某店はやはり、検索は困難かも (^^;)
 「オ!ヴゥ・ラバ!」も、どう書きゃいいんだ、って感じの店名だなというところで連想したのでした (^^;)

AQ!
 焼鳥「しろ」、検索しあぐねたもんなぁ(^^;)。
金針菜の市民権拡大

AQ!
 金針菜(「百合の花」表記も多いな)が中華料理店で普及したのはいつ頃からだったか、もうワシ的には定かではない。この5年とか? いや10年なのかなぁ。しかし、スーパー等での販売が拡大し中華料理店以外での使用も現れだした、のは、2003-2004くらいか。ドゥ・ロアンヌ岡本さん、ポアソンのガルニに使ってました。焼鳥「しろ」の串焼も面白い展開。
 スーパー販売の恩恵で、“我が家の食卓”にもしょっちゅう現れる(^^;)。これ、使いやすくて旨くていい野菜。百合の茎や黒クワイも簡単にスーパーで買えるし、そんなに高くないし旨いし、いい時代になったもんや。
 ついでの軽口を記せば、これまでは中国産野菜と言えば“劣悪廉価モノ”ばっかりという印象であったが、劣悪廉価モノと並んで“高級高価中国産”ってのも出てくんじゃないかなー。

へべ
 百合の茎(葉っぱかな?)も美味しかったよ〜。あれは成城石井で買ってきて炒めてもらったのでしたが。デンプンじゃなくて糖だよな、って感じの味。
手水鉢

AQ!
 去年あたりから、新規店新規改装店で、洗面所の水受けに手水鉢型がとても目立ちますな。和食に限らず、西洋料理系でも。…と言いながら、実例を書き留めておくのがなかなか出来ない(^^;)。ほそ川@両国行ってきてメモる気になったのだが、ヴェルデュリエなんかそうね。手水鉢型、なんて言うのかね、ギョーカイでは呼称あるんだろうな。手水鉢型に限らず、色々工夫型が増えてる分野。
焼野菜

AQ!
この数年、フレンチでも野菜を焼くのは増えたね

へべ
 寺内の野菜焼は看板商品だけあって、対象野菜のセレクションも焼きもばっちりでよかったなー。

AQ!
 …と言ってる傍からイタリアンな貴方(^^;)。…いや、イタリアンではもっと前から色々あったような気がするが。三鴨さんみたいにさ、フレンチでがーんと野菜焼いてくるのを、しばしば見るようになった気が…。アンドラ熊さんなんか前から好きだけど。
そば湯とパン@2004的感想

AQ!
とろり型そば湯と“自家製パン”(仏・伊料理屋の)。遭遇頻度がかなり高くなってて、逆にいえば受け手側からすると「そんなにみんなで頑張らなくてもいいよぉ」ジャンルになりつつある鴨。
 結局、価値観とゆーのも時間軸に沿って絶対に動き遷ろうものなんだなぁ。と思う。
 出てきた頃には、ほんと、[ドロドロ蕎麦湯!蕎麦湯のためにわざわざ!]、で、[自家製パン!執念ですね!]、って感じではあったんだもんなぁ。
 ところで、とろりそば湯は、オリジネーターは、ふじおか・玄あたりなのかな。
 自家製パンになると、わけわからんが、ウチ的には何処かなぁ。やっぱ、わけわからんなぁ。マリーエ、は一つ、あると思うけど。勿論、“歴史的”にだけ言えば、「ウチはウン十年前からだよ!」ってとこも幾らもあろうが。

へべ
 自家製パン、風味工夫系のはやっぱりマリーエが早かったような気がする。イタリアンだとグリッシーニとフォカッチャが自家製でかなり旨い、という店に結構出会うよね。例えば…といいたいけど出てこない (^^;)
 ところで弘前ダ・サスィーノの自家製パンは「究極の」と呼びたい域に達してました。自家製と聞いてびっくり仰天というか、パン屋がはだしで逃げ出すような。
 このごろの感想でいえば、弘前では「焼くしかない」というある種の必然があるけど、東京だと買おうと思えばむちゃむちゃハイレベルなパンが買えてしまう、という昨今の状況もつい考えちゃいます。シェフの労力も有限だから、最適配分 してくれると嬉しいというのが、客のワガママ的にはありますねー。せっかく焼いてくれて嬉しいけど、このパワーが料理にさらに注がれたらもしかしてもっと旨いかも…とついつい妄想しちゃう欲深な客ゴコロ。
 今のところ日本で最も旨いと思うのは洞爺のミシェル・ブラスと銀座のロオジエで出てくるパン。どちらもカイザーなんだけど、こういうのを食べてしまうと、プロだからこそ使える「焼かせる」技術、というのもあるのかと思えてくる。コレドのカイザーで買ってきたパンなどとは比べ物にならない極上の味だもんね。

AQ!
 笹森クン@サスィーノのパンは、エトゥルスキ時代の修業がベースだっけ。ステファノ・キウズーラ氏も、「お、これはいいや!お前焼け」だったそうな。

へべ
 笹森氏はカンがいいというか、修業した先々でいいところを着々と身につけてステップアップしてきた感じがして、そこが好きだなー。

AQ!
 蕎麦湯の方だけど最近では、ドロドロが似合うウチとかオリジネーター系とかを除くと、サラッとしたのとか湯桶の香りを生かしたものを小粋に出してくるウチの方に“妙に感心”することがある。
パスカル・レミ

AQ!
 ギドルージュ(いわゆるミシュラン)であるが、クビになった元調査員か何かが、「ミシュランはいんちきだ、フランスの審査員なんか5人しかいない。ほとんど投書によって動向を決めていて、ろくに調査なんかしていない」とゆーよーな暴露をフィガロかなんかでぶちあげて、一般ニュースとして話題を呼んでいる。ミシュラン側も反論し、細かい所の数字(ニュースソースによっても異なってるし)などはどちらが正しいのか、興味がないではないが、「大筋の話」としてはむしろ、食いしん坊のジョーシキ…とまでは言わないが、「そんな所だろう」と思っていた向きは多い筈で、「ああやっぱり」型の報道だろうか。
 それより、世紀に変わる頃に就任した例の「英国人の編集長」、もう交代しちゃったの? 更迭? …こっちの方が興味をひかれた。

Michelin Guide Rouge France

AQ!
[ギドルージュ(いわゆるミシュラン)2004]
…ってな季節がやってまいりました。お馴染のToshiさんからメールで教わる。(いわゆる)三つ星情報が流れたようだ。

新三つ星:L'Esperance レスペランス(復活)、La Cote Saint-Jacques ラ・コート・サンジャック(復活)、L'Aubergade ローベルガード
三つ星からの降格:Boyer "Les Crayeres" ボワイエ

 何と、Tramaトラマのローベルガードが3つ星を勝ち取った! いえいっ! めでたいぜ。トラマは「ある意味サイコー」な店だったので、嬉しいことである。…けど…、な、今更57歳になるオヤヂをつかまえてなぁ…。Toshiさんは、

「昇格はうれしいのですが、もう少し早く昇格させてあげたかった。最近の昇格って、「ギィ・サボア」あたりから、「功労賞」みたいな感じもしてきていますね。」

とおっしゃる。まことに言えている、同感だなぁ。
 なんとなく「ミシュランのガイドのスタティックなポジション取りが、現今のレストラン界のダイナミズムに段々ついていけてなくなりつつある」…というような印象は抱いてしまうのだが、まぁこれは印象に過ぎない。
 へべは、「ローベルガードに変な観光客が増えたら嫌だなぁ」などと頓珍漢な第一声を発しているが、星が一つ増えたからといって、あんなとこまでそうそう行けるもんか。と思うのだがどうだろう。
 復活組の2軒は、これもToshiさんの言葉を借りると、

「二つ星に降格させたのに、くさらずに良く頑張った、みたいな感じですか。」

なんでしょう。しかしまたこの辺り、2軒まとめて3つ星復活だと、食い歩きルートとしての人気がさらに上がりますな。このルート上にある、故ロワゾーのコートドールも、「3つ星を堅持した」ということだし。
 もっとも、クルマで回るとこれも周遊ルートに入れたい所のボワイエは星を落とした。これは、料理長引退に伴い、という注釈付きのようなので、ひよっとすると、案外早い時期の復活もあるかもしれないけど。まぁ「最近のボワイエは3つ星は苦しいよ」ってのも、聞こえてはいましたな。

 
2003
トリュフ不作

AQ!
 ヨーロッパの夏の記録的酷暑を受けて、トリュフの作柄が最低。馮の下村氏によると、昨年8万円相当だったものが、今年は18万円だという。
 あ、2003年末-2004ね。
 2002-2003の昨冬は非常に良かった。コートドールの松下氏が、もうサイコー、と言っていた。ワシらの実感のサイコーは、2002クリスマス期のオーベルジュ・ド・リル。凄いかった。

へべ
 という話を聞いた日の馮の下村氏の料理。皿の上に見たこともないようなまるまるとした上物のセップ。聞けば、南アフリカから入るのだそうな。真冬の白アスパラはオセアニアから。世界は狭い…。
ジビエ流通

AQ!
 ジビエの需要の増大に伴って、今年は本当に流通がよくなった。夏の異常気象をうけて、それぞれの登場する時期は乱れ気味であった。
 流通がよくなったのはいいが、由々しき問題としては、「早めの時期に入ってくる半飼育系のジビエ」と「毛付きか否か」ということがある、とラブレーの加藤氏は指摘する。フランス本国を含め、「面倒くさいから毛を毟った奴」がよく売れるのだそうな。毛は付いていてもいなくても、同じ値段で、その時に毛無しを選ぶ店が多いとか。熟成の問題も含め、味を考えると、毛無しはかなりよろしくないと言う。
 スコットランドの雷鳥が、ほんま、旨かった年。
 それにしても実感として、フランスの都市より東京の方がホイホイと多種の欧州産ジビエが食えないか、今?
手荷物入れ/置きツール

へべ
 着席して落ち着くところにすかさず「こちらへどうぞ」と差し出されると、なかなかやるな、と思っちゃいます。これまでに見たのはイタリアンのお店が多かったかな。カアンジェリの布ラック風のとか、サドレルのオットマン風のあたり、印象的。

AQ!
 これ、何処で出会ったか忘れちゃうね(^^;)。ドノスティアでも一軒あったかなー。テーブルに鰐口して、バッグを下げる鉤を付けるタイプもあたねー。

へべ
 その古風な鰐口タイプ、銀座の資生堂パーラーで見たような気がする。
ガラス皿

AQ!
 ガラス皿、しかも、色々な起伏とか形状とか。このガラス皿流行は、世紀が明けるあたりから顕著になったと思うのだが(21世紀になって“プラまでガラス皿だ”という店が幾つも現れた)、「え、こんな店でも〜?? 使うんだ〜」という声が上がるようになったのは、2002-2003じゃないかなー。凝った店ではこの頃から、ガラス皿でもかなり変形なモノとか珍しい模様モノとかも目立つ。
取っ手付きの椅子

AQ!
 椅子の背もたれの後ろに(引き出しみたいな)取手が付いてる、そういう椅子。これにかなり気づき始めたのは2003かな。
逆麦藁帽子皿

AQ!
 麦わら帽子を逆さにしたような、あの直径がでかくて真ん中がちょんぼりと深く抉れた形のお皿の流行。ウチ的には2001,2年あたりから意識に昇ってきたかな。今年は大流行。おいおい…、っていうような所でも見る。ところであれ、何て名前なのかなぁ? さすがにちょっと調べればわかりそうな物なのに、怠け者なわたすたち(^^;)。
胡瓜

AQ!
 かなり極私的だが、2002-2003と我が家の関心をひいた、フランス料理における「胡瓜の扱い」。いや、2004も引き続き、このポイントは何かを語りかけ続けている。
ドミニク・ブシェ更迭

AQ!
 Parisのクリヨンのドミニク・ブシェ(元「トゥール・ダルジャン」のカレですね)の更迭のニュースが流れてました。パリ界隈では前から言われていたみたいだけど、報道の論調・興味は「ミシュランの星を一つ落としたことによっており」という点に集中しているようだ。この件はどちらサイドにもイレコミも無いし興味薄いんだけど、ニュースになって流れると、一つだけ、「報道ってヤ〜ね」ということは、感じる(^^;)。
 まぁ、ロワゾー親爺の時だって、ボキューズ爺ぃのつまらん尻馬じみた繰り言ばっか流してないで、老トワグロの、「彼は、な、頑張り過ぎてしまったんだよ」という人情味溢れる言葉も少しは配信して欲しかったものだが。

ベルナール・ロワゾー逝去

AQ!
 昼に電話で第一報を聞きました。
 ベルナール・ロワゾーBernard Loiseauが亡くなってしまいました。
 ソーリューの自室で、猟銃による自殺とのことです。
 謹んで故人のご冥福をお祈り致します。合掌。

 正直のところ、ひたすらに悲しく、j'ai pas de mots 言葉がありません としか言い様がない。
 でも、ワシみたいな食い歩き日記人は、やっぱせめて文章にして追悼するのが仁義のような気もするので、悲しい悲しいと書いてみます。

 「星に憑かれた男」ロワゾーは、ソーリューで食べるまで、ま、俺の趣味じゃ無いかも、と勝手な推測をしてました。ミシュランだ星だサイコーだと叫びながら突っ走る野心家の世俗シェフかと。(…それはあながちハズレという訳でも無いのだが)
 実際に食べて、会って、一発で惚れました。

 たしかに、陽気で自信タップリでヤマっ気ムラムラのオヤジでしたが、自殺…と聞くと、危うい所はわかる気もします。
 「そう見えて小心」な「気にしぃ」な人ではないかとは感じました。細かいことを気にしぃな、心配性な所のある。
 そしてあの、星がどうしたこうしたでオーバーなくらい一喜一憂する、まさに"愛すべき"「庶民性」や「子供っぽさ」が、不幸に繋がってしまったのでは、と思うと、本当に痛々しい気がします。

 「自殺」の直接の原因なんて誰にもわかりません。
 夫人の言う「過労が原因」というのが最も妥当な気はするし、年齢を考えると、初老にありがちな鬱状態とかの影が深いのでは…というような気もします。

 ガイドブックの評価、ミシュランの噂記事もあったし、とりわけゴー・ミヨ2003での点数の急落を気にしていたという報道になっていますが、まぁガイドブック側にとやかく言ってもしょうがないでしょう。

 しかし、(同じ2点ダウンを食らった)ヴリナのような大人なら「彼らはどこを見ているんでしょうね?」とでも言って笑って流すだろうし、ブラスのように超然とした奴なら例え落ちても「それがどうした」と鼻にもかけないだろうし、また、今の若手のシェフの多くは「21世紀はもう"権威あるガイドブック"がどうの、って時代じゃ無いよ」と主張するかもしれない。
 でもロワゾーはなぁ。
 天才料理人であるとともに、いつまでも、近所のオッサンのように庶民で近所のガキのように子供であった。星を勲章と思い続けていたかもしれない。
 俗な奴ゆえに持っている純粋な部分が病んでしまったようで、可哀想な気がしてなりません。
 本当に純粋なヒトって、こういう俗っぽい奴だったりするんだよな。

 彼の魂が、彼の料理に、その見いだした秘密にあるのならば、彼の魂は不滅であって永遠に光り続けることでしょう。そのことを信じてやみません。

 おっちょこちょいでお調子者のシェフのやらかした、人生最後で最大のおっちょこちょいは、世界中の多くの人を悲嘆にくれさせた。ああ、涙が止まらない。
 安らかに眠ってください。

@フランスなる料理店雑記

Toshiさん (2004記)
 ブルターニュ訪問、アルザスがドイツ人御用達観光地なら、ブルターニュは英国人御用達観光地、やたら英語が耳につく。
 日本でも最近目につくが、水飲みグラスをステムの無いゴブレットを使用する店が増えた。
Michelin Guide Rouge France

AQ!
[ギドルージュ(いわゆるミシュラン)2003]
 月末に発売を控えて、色々と情報が出てきたようだ(メールで教えてくださった方には感謝)。本年版はあまり感想も湧かなかったのだが、後で見ると面白いから、やっぱり日記には記す。
●新3つ星に、パリ「ル・サンク」/モナコ「ルイ・キャーンズ」
 デュカスのモナコは3つ星復帰ですね。
 フォーシーズンズの「ル・サンク」だけど、パリのホテル内レストランでは、「良いのはブリストル」という人が多かったので、意外っちゃ意外。個人的には、いずれにせよあまり興味が湧かない「豪勢系」だけど。「最近のミシュランってば大資本に弱いわね」のような評も、出てくるよな、それはまぁ、ねぇ。
●ロワゾーとプールセルに危機説
 「コートドール」と「ジャルダン・デ・サンス」に3つ星降格の噂。2003年版では回避されたようだが、"Figaro"によると「執行猶予」状態とのこと。プールセルの3つ星ってまだ取ったばかりじゃないの(^^;)。シェフどもの「多角経営」はケシカラン、というミシュランのポリシーが見えるようでもある(大のお気に入りのデュカスの星だって取ったり返したり、だし)。たしかにスーパーのレトルト食品にまで顔写真を売り込むような3つ星運営にイチャモンつけたくなるのはその通りだろう。しかし、レストラン運営の実態審査より、「多角経営はケシカラン」のような自らの教条に溺れてるんじゃないか、という点も垣間見える最近のミシュランの姿勢には、一定の懐疑をもっておこう。
●新2つ星に、パリ「エレーヌ・ダローズ」/トゥールーズ「ミシェル・サラン」
 最近好評な2店で、近年ワシも「行ってみべ〜」リストに入れていた所で、納得。まぁ、また「最近のミシュランは」という言い方をすれば、「エレーヌ・ダローズ」は、冠せられる「女性シェフの」という前振りでトクをしたかもね。
●パリの2つ星降格店は、「フォージュロン」「ジェラール・ベッソン」「ラストール」「アンバサドール」
 月日は百代の過客にして…
●新1つ星に、リヨン「ロジュ」/タン「リヴゴーシュ」/パリ「シャマレ」/カン「プレソワール」/ディジョン「シャポールージュ」
 リヨンのル・ベックの「ロジェ」は、ゴーミヨのシェフオブザイヤー、当然って感じですか。行ってみたい。
 タンの店は、たしか、K堂のT氏の知り合いが厨房に入った筈。タンって言うからてっきり「セドル」だと思ってたら違った…、と記憶してた所。ギョーカイ的には登り調子だったんだなぁ。そのヒトは、たしか、ジル・グジョンのとこを断られて「リヴゴーシュ」に行ったんじゃなかったか…(記憶曖昧)。さすがにギョーカイ人って、レストランの調子の情報に詳しいのね。
 「シャマレ」はモーリシャス風味がウリ、とか聞くと、昨年で言うと「パシフロール」あたりかと思うがどうなのか。かんけーないが、昨年版、「レゾルム」にプレゼントした可愛いマカロンはミシュランのヒットであったと思う。

 
2002
Paris

AQ!
2002秋は、パリのレストランの料理長の移動が多かったようです。折角なのでちょっとまとめておきます。

2002年秋
●"Taillevent"のシェフMichel Del Burgoは、Vaucluseの"Bastide de Gordes"のシェフに就任。
●"Les Elysees"(Hotel Vernet)のシェフAlain Soliveresが、"Taillevent"の新シェフに就任。"Taillevent"のサイトでは既に、Vrinat氏との2ショット近影が見られます。
●"Le Regence"(Hotel Plaza Athenee)で2つ星を持ちながら、Alain Ducasseに追い出されるような形で失職「浪人中」の身となっていた(??)、Eric Briffardが"Les Elysees"(Hotel Vernet)の新シェフとして待望の復帰。
●パリのミシュラン1つ星で「生きの良さそう」な店というと、"Petrossian"と"Guislaine Arabian"を思い浮かべる向きも多いと思うのだけど、
・Philippe Conticiniが"Petrossian"を離脱。スー・シェフ、Sebastien Fareが後任。
・Guislaine Arabianが"Guislaine Arabian"を離脱(^^;)。店は"Seize au Seize"と改名し、Guislaineの部下が後継。

 最近、料理が混乱してるパリですが、シェフも混乱してますね(^^;)。
 注:そしてセーズオーセーズはロブションに。(2004記)

@フランスなる料理店雑記

Toshiさん (2004記)
 「ローベルガード」「ミシェル・ブラス」訪問、この料理長2人はまさに独自路線を歩む人達、ある意味パリより先進的な料理が印象に。
 この年ユーロ導入により、前年にくらべると物価高が顕著に感じた。
 レストランでは四角の皿が流行(これも現在まで続く)。

AQ! (2004記)
 ユーロ導入(2002年1月1日)のスムーズさには驚いた。あ〜っと言う間にユーロ一色、1年後にはもうフラン->ユーロの両替か出来る銀行すらかなり縮減されていようとは。
 やはりこの頃から、とりわけパリで、物価高をガーンと感じることが多くなったと思う。ついでに言うと、世紀明け前後頃から、パリなど都市部での一般照明がずいぶん明るくなった気がする。昔のくすんだ感じがなくなり、うっかりすると「アレ? 東京?」とか思う機会が増加。ひょっとして、世界の大都市というのは均質化の歩みを速めているのかなぁ。ま、東京などと比べますと、古い物などの保存に格段に熱心だから、今でもずっと東京より綺麗なのは確かだけど。
 また料理の面でも、世紀明けぐらいからのパリは情報と均質化の波に洗われてもみくちゃになっている印象が強い。私たちはややネガティブに感じているので勝手に「パリ病」と呼んでいる。
Michelin Guide Rouge France 噂話

AQ!
 下に、「ミシュラン・ギドルージュ2002速報」の感想を書いたところ、読者の方から、メールで情報をいただいた。新3つ星「ルドワイヤン」について、である。

●ルドワイヤンの新シェフは才能溢れる優れた人物であり、
●ルドワイヤンも承知の上、3つ星に勝負を賭けて彼を引き抜いたのだろう

とのことだ。おおお、これは魅力あるぞ、ルドワイヤン! 声を大にして注釈訂正しておきたい。

Michelin Guide Rouge France

AQ!
[ギドルージュ(いわゆるミシュラン)2002]
 ムッシュ平松、おめでとうございます。…というわけで、日本のジャーナリズムも騒がしき2002年度版。…というわけで、眺めながらブツブツ呟いてみよう。
 平松氏であるが、氏に限らず、まともに取り組めば、ミシュランの実質の星に相当する日本人は数多くいると思われる。障壁となるとすれば、ともすれば「政治的姿勢」を色濃く見せるミシュランの体質だろう。その点、2001年10月に開店したばかりなのに、取材に疑問を抱かせるほどの早さで星に辿り着いたヒラマツの、根回しには万全の努力が感じられる。…なんてぇんだけど、まぁ、それはいいや。
 それより、ギ・サヴォアが念願の3つ星ですね。ギにしてみれば、「やった〜」というより、「ハァ、待たされたよ」って感じかもしれないけど。昨年、
http://aq.webtech.co.jp/restmfr2.html#GSAV
ということがあったので、調子いいのかな、とは思ってました。うう、予約が入ってればなぁ。アルページュとグラン・ヴェフールが、ワシらが行った翌年に、3つ星に昇格してるんす。ミシェル・ブラスも予約を入れたときには2つ星だったんす。4軒目となると、自称「青い鳥」になれたのにぃ…。(^^;)
 それと、ルドワイヤンが3つ星。ちょとビクーリ。今のシェフは98年からで、食べてないから何とも言えないのだけど。ただ、ルドワイヤンも、ミシュラン好みの「由緒」とか「建物・雰囲気」とかの店なんで、そちらの側面が強いのかもしれないが。
 そのルドワイヤンの前任、何と「ベルギー人女性」シェフにして、落ち目のルドワイヤンを2つ星に復興したジスレーヌ・アラビアン料理長は、自分のレストランで1つ星を獲得した模様。ここは行ってみたい。ハチャメチャで旨い、才能を感じさせる人でした。ギィ・マルタンとかデヴィドヴァンラエの料理を追い込んだような印象。またベルギービールとの相性も追求していたりするのか。
 l'Arnsbourg Untermuhltal pres de Baerenthal (Moselle)が3つ星。これ、知ら〜ん(^^;)。1998年に2つ星に昇格したばかりだそうで。Baerenthalはストラスブール近郊のようで、ル・クロコディルが2つ星に降格したのとのバランス?、なんて感じも。
 ムーランドムージャンが2つに戻し、トロワマルシェが1つに落ち(アタリマエじゃ、って感じ)、などなど。

 
2001
@フランスなる料理店雑記

Toshiさん (2004記)
 アルザス訪問、ドイツ人の食欲に圧倒された。ウィンツスタウブと呼ぶ現地の居酒屋のシュークルートやベッケーホフのその量が半端でなかった。
 「ガニィール」「アストランス」訪問、特に前者の独創的な料理と器つかいに感心。また3星店で客席サービスの女性を見たのはここが最初。
 今に続く、真っ白な食器が流行しだした(エル・ブジあたりの影響か)。

AQ! (2004記)
 アルザスはドイツですよね〜(笑)。フランス語もそうとう訛るみたいだし。ボクらが「オーベルジュ・ド・リル」に行った時、たまたまパリの「ビストロ・ド・ソムリエ」(だったかなぁ?)に勤める日本人ソムリエが冬休みを利用して研修に来てたんだけど(そりゃ、セルジュ・デュプスには会いたいだろう)、彼が
「こっちの奴、何言ってんのか、全然わかんないんですよ。しょうがないから、一緒に研修のトゥールから来たフランス人に“おい、何て言ってるんだ?”って聞いたら、“俺もわからん!”ですって」
とボヤいてました。
 
2000
@フランスなる料理店雑記

Toshiさん (2004記)
 「ラムロワーズ」「ラ・コートドール」訪問、「ラムロワーズ」に早目に着いたので荷物を置いて、古都「オータン」観光に行ったが、マダム(シェフのお母さん?)にあんた達電車で行くの?と本気で疑われた、電車に乗ってわかった、途中はものすごい田舎。
 この年はガラスのプレートが流行。

AQ! (2004記)
 ひゃ〜、あの辺の鉄道は寂しそうだなぁ(^^;)。そうでなくても何かと「あんた達電車で?」って言われますよね。ものすんごく「基調はクルマ」と思ってるんだろうなぁ。「ラ・コートドール」(ウチも行ったの、2000年だ〜)の帰りに「モンバール駅行くからタクシー呼んで」って頼んだら、「えええええ!、あんたたちクルマじゃないの?」って「え」が5回くらい付きそうな顔して驚かれました、やたら愛想はよい受付のネーチャンに。
 ガラスプレートは更に隆盛の一途(2004記)、これはこのままある程度定着ということですかね。

へべ (2004記)
 そうそう愛想よかったなー、「ラ・コートドール」の受付嬢。なんかちょっと頼みごとすると「ダッコォダッコーダッコ〜よっ」てな調子で。
 鉄道旅は、それはそれで風情があっていいんだけど、いざ駅に降り立ってみるとタクシーの一台もいなくてポツネンとしてしまうことがあって、これは困る。たいていはタクシー会社(田舎だと個人)の電話番号を記した貼紙くらいはあるんだけれど、近寄ってみるとこれが破れていたりすることも多い。電話ボックスハケーン!と喜んでみたものの、肝腎の電話機が壊れていたり。これじゃホテルに電話もできないよ〜ん。ホントーに困ったらまぁ駅員に聞いてみようと思うワケですが、日曜祝日ともなると駅も無人になったりするので、つくづく油断なりません。こんなトキはやはり携帯電話があると便利。

AQ! (2004記)
 そういうの、2004年になってもちっとも変わりませんね、トホホ。いや、その「携帯電話」という手が誰にも簡単になったのが今現在2004…2002年くらいからでしょうか。鉄道旅に携帯があると安心ですが、それ以上に、レンタカードライブ旅では持っておきたいモバイルフォン。
 それにしても、「日曜」というのは旅人には鬼門ですわな。うってかわったように“シーン”としてる様子を見るにつけ、信仰心の厚い国じゃわいと思い知る。…いや、日本人が信仰無さ過ぎな訳ですが。
 
1999
@フランスなる料理店雑記

Toshiさん (2004記)
 リヨンを訪問、「ポール・ボキューズ」でポール・ボキューズに会うという、お約束どおりの観光コース、その濃厚な料理と量に圧倒され、ガラガラと運ばれたデセールをほとんど食べられなかったのは、悔しい思い出。
 当時2星で翌年3星になった「グラン・ヴェフェール」訪問、私はここの料理は割と気に入りました、ギィ・マルタンさんと握手、なかなかカッコイイ青年、そういえばこの頃は今より料理人がやたら客席に出ていたなあ。

AQ! (2004記)
 「ポール・ボキューズ」はいつも脇目に見ながら通り過ぎてしまう私たちですが、それはともかくボキューズ行って「完食完食、良かった良かった〜」と言う人には未だにお目にかかったことがありません(^^;)。凄ぇんだろうなぁ。
 「グラン・ヴェフェール」はToshiさんと同じ年に行ってるんですね。何となく箸にも棒にもかからなかったんだけど、翌年の3星を思うとToshiさんの方が正解な体験かなぁ。
 90年代(とくに前半)のパリは、当時の両横綱のロブションとパコーが客席に出ないヒトだったんで、店によって色々だなぁという印象が残ってます。(ロブションは個室の時は出てきた。パコーはよく隠れて覗いているのでトイレの時なんか挨拶できたり)

へべ (2004記)
 「グラン・ヴェフェール」…、客が爺ぃで驚いた。さすがである。
 
1997
@フランスなる料理店の値段

Toshiさん (2004記)
 私が始めてフランス(パリ)へ行った年、訪れたのは「ランブロワジー」と「アルページュ」。特に前者は「神への聖餐」と言える想像を超えたもの でした、この頃は3星店でも一人当時のレートで1万円ちょっと、円が安くなったのか、フランスの物価が高くなってしまったのか。

AQ! (2004記)
 ぐぐぐ。うーむうーむ。そういえば、物凄く、そうですねぇ〜〜〜(^^;)。
 冷静に分析すると、いったいどうなってんでしょう。
 たしかにここ数年、とくにパリで食べると、馬鹿っ高く思えてしょうがないですねぇ…。
 
1996
高級フランス料理店の主菜における「豚肉」の流行

AQ! (2004記)
 これも今では少しも珍しくなくなったが、例えば1990年以前を考えるに、高級フランス料理店の主菜に「豚肉」が主役と登場することはまず無かったと思われる。それが、90年代中盤からチロチロと見受けられるようになり、21世紀に入る頃からは各種の「ブランド豚」が繚乱する、むしろ「流行りの食材」となった。
 このことはメモしておくと面白いと思うのだが、「いつ・誰が」という点を考現学的に正確につきとめるのは難しそうである。ウチ的には「96年頃、アンフォールの五十嵐シェフ」が、強く印象に残っている。
 
1990
ロブションにて

AQ! (2004記)
 ロブションのJaminにて。「ロブションは日本の食器なんかも好んで使うんだよ」と聞いていたのだが、本当に和食器の茶碗にシューフルールのムースだっけかなぁ、を入れて供していた。勿論、ムースの外輪を彩るのは「ロブションのポチポチ」、すなわち半径数ミリ程度の丸をポチポチと置いていくアレ。
 この前後の期間に渡って、「ロブションのポチポチ」は向こうでもこっちでもかなり流行っていたと記憶する。日本の茶碗の利用、というのは、あんまり他では見かけなかった気がする。
ク・ド・ブフと赤ピーマンのムース

AQ! (2004記)
 昔の記憶を辿っていて気になってしようがないことの一つだが、この時期、上記2つの料理が密かに大変流行していた覚えがある。勿論、これは、ランブロワジー〜コート・ドールなる、パコー〜斉須のスペシャリテなのだが、「東京でいやに見るなぁ」と思ってたら何時のまにか地方でもありゃりゃと見受けられるようになった、という記憶があるのだ。「ありゃ、こんな所でも!」と何回か驚いた覚えが。もっとも15年も前のこととなると、記憶がどれだけ実相を反映しているか、誠に怪しいのではある。しかしまた、ちょうどこの頃までは、山本・見田という名前が、日本のフランス料理の店・客の双方にとって燦然と輝くビッグネームであったという観点も興味深くはある。