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フランス料理店(パリを除くフランス)
この一覧はアルファベット順になっています。
 
 

  ボタン Alain Chapel  アラン・シャペル
  
01390 MIONNAY 04 78 91 82 02 (Fax 04 78 91 82 37)
ferme lundi, mardi et jeudi a dej.
depuis1969 Chef: Alain Chapel (1937-1990) 〜 Phillipe Jousse サービス: M.Doronzier
・
 ミシュラン3つ星は、1973-1990年。

Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 18  (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 18  (2002)
Michelin ○○ /GaultMillau 17  (2004)
Michelin ○○ /GaultMillau Icone  (2008)

参考:メールのページ

ACHA1 2002年10月 ☆☆

 *ラパンのジュレ寄せ
 *トンのパセリ、アイユ
 *グルヌイユ、ジャガイモと黒トリュフ
 *エクルヴィスのアロマとエピス、季節野菜
 *ロニョン・ド・ヴォー・ロティとエピナール・ソバージュ
 *セルとカレ・ダニョー、トマトタルフィ、ピスタシュ
 *白桃のロティ
 *ヌガーグラス、ポワブロン・ルージュのカリカリ
 +88 Clos de la Roche VV / Ponsot

■Mionnay____________________
[へべ]
 Lyonサン・テクジュペリ空港のTaxiだまり。AQ! が先頭車の若い兄ちゃんに声をかけた。
Mionnay村のレストラン、アラン・シャペルに行ってくれたまえよ、キミィ」
 すると兄ちゃんは言ったもんだ。
「ミヨネ。それ、どこ?」
 ガチョーン。
 今日びの若いタクシードライバーはもはやアランシャペルも知らないのであった。ということにいささかガクゼンとしつつも我々は車中の人に。兄ちゃんは後方にたむろしていた仲間のドライバーたちに
「そんなコトも知らねーのかオマエ」
と笑われつつ(かどうかは知らないが)道のあらましを教えられた模様。さっきまで我々が乗ってたレンタカーのTwingoに比べればはるかに馬力と安定感のあるなめらかな走りで、車は一路ミヨネーへ。
 夕焼けが美しい。リヨンの街はでっかい。

ACHA2 ■Alain Chapel____________________
[へべ]
 Twingoミヨネを通り抜けた時には発見しそこねたが、小村ミヨネの街道沿い、リヨンからだと右側によく見ればアランシャペルと大書した建物が。無事みつかってよかったよかった。19:30にもならないくらいで、まだうっすら明るい。今のうちにと外観撮影にいそしみ、建物のぐるりを見物し、次は庭園観光かなーと言いながら中に入る。
「やあこんばんは。予約している石井だが、いささか早く着きすぎてしまってねウォッホッホ。せっかくだからそこのお庭を拝見させていただこうか」
とでも言いたいところなのだが、そこがコトバのままならぬ情けなさ。
「予約してまちゅ。イシイでちゅ。」
くらいまで口にしたところで、やあやあようこそいらっしゃいましたお二人のテーブルはできておりますこちらへさあさあどうぞ、とばかりにセルヴールに迎え入れられ物凄い流麗さでサルへ通され、あれよあれよと言う間にあらら?…しっかりとテーブルに着いてしまっていたのであった。うーむ。
 とはいえ、相客なし(なにしろまだ早い)でサル占領、の気楽さで、窓から有名な柳の庭を鑑賞したり、サル内を撮影したり…。庭の花々は今も美しい。噴水の水無しが少しさびしい。サルはシンプルで落ち着いた造り。白い壁に間接照明、石の床、明るめの色調の木の家具など。
ACHA3  すっきりと読みやすいカルト。字も大きめだ。1枚はさみこまれたのがmenuその1。カモと風景の絵が描かれていて、裏面にはなにか昔の品書きのようなものも刷られている。でも今日はカルトから。(今回の旅では)珍しく載っているロニョンと、今回ここまでチャンスの無かったアニョーでプラは決まり。アントレはそれぞれに魅力的で目移りしたが、AQ!の「食べる機会の少ないエクルビス」、とグルヌイユに決定。
 さぁワインリスト。AQ!大興奮。59のシャプティエ・コートロティ・マグナム550Euro!  59ルロワのクロベーが600Euro弱!  59パルメがここにもあって590Euro!  「ここでお誕生会やりたい〜」(by AQ!)と頭から湯気モウモウ状態でありました。そのへんやら75ペトリュスはまた今度ということで、本日は88ポンソのクロドラロッシュをば。
 ラパンの肉片をジュレで寄せたアミューズで、食事が始まった。料理が、とてもいい。素材のいいところが自然に前面に押し出されてくるような、とてもナチュラルなおいしさ。
ベルナールパコーのように突き詰めた凝縮感、というのじゃなくて、もっと何かこう、柳に風が吹き抜けて行くみたいな料理」
AQ!。たしかに、そんな感じで、しみじみと美味しい。味わいはナチュラルだけれど、水面下で水鳥の足がモーレツに忙しく動いているように、その味を支える技術と仕事は大変なものだろう。などと口角シャンパンの泡をとばしながら食べる。
 ラパンの肉にしっとりとまつわるジュレのコンソメの旨いこと。セロリやらニンジンやら香味西洋野菜軍団の姿がありありと浮かぶようだ。
 はたまた、マグロのソテーに添えた狐色のアイユに忍ばせた酸味の可憐なこと…。
 エクルビスはザリガニの類とあなどっていたら随分と立派なものだった。ハサミも大きい!  身の味わいはエビファミリーの中では軽くてやさしい印象。殻の味の出たソースが実においしい。
 グルヌイユの腿は、ジョルジュブランのアミューズに出たようなちびっこサイズ。白と緑のソースに真珠のようにグルヌイユを散りばめて、その中ほどに3つ、ポムドテールの島が浮かぶ…といった景色。ジャガイモの間には黒トリュフ。これもいい料理でした。ワインの進むことったら。
ACHA4  ソムリエは気さくなタイプ。「ワインはどうだ? 気に入ったか?」に、「OK、すばらしい! 」と言ったら
「そうだろうとも&値段もなー」
ウィンクするといった調子。すっかりお見通しなのである。2つ星レストランのいいサービスは、肩の力が抜けてていいなー、と、ひとしきり盛り上がる。
 「**じゃ、あーりませんか」のおじさんに似た(by AQ!)年配のメートル・ドテルがまた、すばらしい。注文時にはおどけた表情で、「perfait!」を連発してくれるし、ロニョンのサーブ時には鮮やかな手さばきでデクパージュ技を披露してくれた。さらに僥倖にも、となりの大人数卓がオーダーした、ブレス鶏のトリュフ仕込み膀胱包み料理の切り分け芸まで(香りも)楽しませてもらい、大満足。
 フロマージュシャリオ係もやっていたこの人は、とてもとても働き者でもありました。アラン没後のこの店を
「マダム、フロアはお任せください、私がしっかり守ってみせますから」
とか云って支えてきたのかなぁ、などとAQ!と例によって勝手に推測。スタッフ教育にも手腕を発揮しているのか、当家のテーブルについてくれたメートルの若者も独特のジェントルな物腰でゆーーーーっくり話してくれるのが感じがよかった。
 さて、プラのロニョンがやって来た。周囲の脂に包まれたまま丸ごとロティしたロニョンの、脂をざっと取り、スパスパスパとスライスして皿にぐるりと並べる。茶色のソースと、別鍋にエピナールソバージュがつく。このエピナール風をソースにからめると実に旨い。ロニョンは文句なしの美味。ロゼの断面が花のように並び、中心にひとひら、外側の焼けた脂(これも旨い!)が添えてある。
 アニョーは焼いただけ? と思うような素直さで、肉質のきめこまかさにピスターシュの風味、ソースもかすかにシトロン風味のさりげなさ。なんて上等な料理なんだろうと溜息つきつつ、今度はシャペルの墓参もしようねとAQ!に誓ったことでした。
 アラン・シャペルの残り香、足跡を守るこの店のすばらしさに思うのは、やはり、シャペルその人の偉大さがいかばかりであったろうか…といったこと。ゆったり、信じられないほど長い時間を心楽しく過ごさせてもらいました。再訪を誓いつつ。

(2002秋 Veyrier du Lac "Auberge de l'Eridan" →  Mionnay "Alain Chapel")

[AQ! @2005]
 ところで風の噂によると、最近、アランの息子さん(まだ20歳ちょいの若者)が修業回りを終えて厨房に入り、ジュス氏と並んで料理しているらしい。これは新たな伝説の始まりになるやも。期待しちゃ〜うからっ!(笑)
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  ボタン L'Almandin  アルマンダン、ラルマンダン
  
Boulevard de l'Almandin 66750 SAINT-CYPRIEN SUD 04 68 21 01 02 (Fax 04 68 21 06 28)
ferme lundi et mardi d'oct. au avril
Chef: Jean-Paul Hartmann
・ 目前に広がる地中海 (2001.9)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2002)

2001年 9月 ☆

 *オリーブ、チーズタルト
 *オリーブのくるくるパイ、トマト・玉葱タルト
 *ガスパチョ
 *エイのサラダ仕立てジャンジャンブル風味、ガスパチョソース
 *ジャガイモのブリニ、コリオールのアンショワと
 *サンピエールとアーティショー・ヴィオレ
 *ルジェのエスカベーシュと米、サフラン玉葱
 *ショコラのブランとノワール、パルフェ風
 *フリュイのブロシェットとパン
 +96 Cotes du Roussillon-Villages la Muntada / Domaine Gauby

ALMA1 [AQ!]
 昼の地中海は、あまりに青い。青が青い。陽射しが強い。
 入り組んだ入り江の中で、ここはちょっとした小島になっているのか、そんな場所に到着。ホテルの名は、L'Ile de la Lagune、レストランの名はL'Almandin。まぁ海辺の観光ホテルのメインダイニングかな、という予想で訪れたが、どっちかというと、「レストランAlmandinへようこそ」というお迎えの作りになっていて、「エレベータで上へ行くとホテルだよん」という感じである。つまり、割りと力点はレストランにあるのだろう。ミシュランのも貰ってるしな。
 「今日は熱海観光ホテルだぞ、ウラ〜〜っ」と叫びながら飛ばしてきたワシらには、まぁおおよそ、そんな観光情緒でもあるのだが、土産物売場も無く、スタッフの立居振舞いもエスタブリッシュトなこのホテルを、そういう紹介の仕方をしてはいかん、とも思う。ま、しかし、「ビーチには、当館特製ベネチア風のゴンドラでお運びいたしますわ〜ん」と言っている、のもたしか。タハッ。
ALMA2  陽が暮れていく入り江の船たちを、開け放した窓から優雅に眺めながら、ディネの開始。
 カルトの表紙はスペイン風の絵。開いて読むその内容にも、スパニッシュテイストが溢れる。そして、一面の、魚介、魚介、魚介、魚介、、、(*1)。スペイン国境まで20kmくらいだろうか、の土地で地中海に面したレストランの、真っ正直なカルトで、ここを訪れる客の要求もまさにその辺りにあるのであろう。
 よく売れているらしく、次々と出ていく「海老の焼いたん」は、なかなかに磯臭いというか、栄螺の壷焼じゃないけど、ここは熱海か江ノ島か、の情緒を誘う。
 料理は全般に、特別な物ではないが、まずまず美味しくいただける。
 エイはビストロで出てくるようなエイの料理を、焦がしバターとかでなくガスパチョをソースとしてかけてしまうもの。ジャンジャンブル風味を加え、上にツンモリと緑の葉っぱも快く、これはよく成功している作。
 ジャガイモのブリニは、近くの町コリオール産アンショワが素晴らしいものの、ブリニ自体がコンビニのお菓子みたいで、感心しない。「素直に焼くとか、ピュレにするとか、しろ!」は、へべのリクエスト。この皿は、ミシュランだったかゴーミヨだったかの「お勧め料理」にも出てくるのだが、如何なものだろうか。
ALMA3  ってゆーか、ワシは、ミシュラン「お勧めの一品」って、どうかと思うことが多いんだよね。どうなんかね、アレ。それともあのコーナー、店の自薦なのかな、よく知らんけど。
 プラは焼き魚2品っていう安心感。サンピエールアーティショーは気が効いてる。ルジェエスカベッシュというけど、焼いてあって、皮のちょっと焦げ風味が、グジの焼いたんみたいで、日本人的に嬉しい。下に敷いてある玉葱炒めが酸いいのが、エスカベッシュなのかな。小さなパンに入った米が添えられる。米とルジェと玉葱をグジャグジャに混ぜて食す、結構、旨いざんす。
 デセールも悪くない出来で、これはすぐ近くに産するバニュルスとともにいただく。ショコラと相性良いのが、85のVVだったかな。
 さて、順序は前後するが、とにかくこの店で目をひん向いてブッ倒れたのは、ワインである。
 ワインリストは常道を踏んだキチンとしたもので、最初の見開き2頁を「地のワイン:ルーションとバニュルス」にあてている。よく見ると2頁目の下が囲み欄になっていて"introuvable"なルーションのワインコーナーだという。これに興味を魅かれた。ソムリエはクラバットも洒落た、ちょいイナセな若者。「俺っちはさ、ルーションの珍しいワインをやってみたいわけよ」と尋ねると、すかさず、96のGaubyゴビィを指して、このワインが如何に素晴しいものかをトウトウと述べ出した。
96MG  第一勘は眉唾であった。というのは、このワイン、単純にこのルーション欄で「一番高い」酒なのだ。いきなり高いものを指しやがって。昨日までの2.3つ星のソムリエたちは、謹み深くどちらかというと、逆にコチラが高価な物に誘導しようとしても、「ほどほどの値段で今存分に開いて料理に合う物」を誇りをもって勧めてきていたぞよ。それを、このチャラい若僧は、いきなり「一番高い」のだぜ。価格で言うと、720FF。レストランとは言え、これはルーションのワインとしては破格。とくに古い物でも無いし。ああ、やっぱ「熱海観光ホテル」だ(^^;)。
 だけど。まぁ、騙されてみようか。ということにした。特に理由は無い(*2)。後から思うと、神の思し召しに違いない。神に感謝。
 テイストの最初の一口。巨弾炸裂。あ、まいった。「いたよ、化け物が」。南仏にはまだまだお化けワインが潜んでいる。それは、多くのワインファンが信じている伝説である。「出たよ、出た」。化け物が出た、と言ってるそばから、涙が出てきたよ、ワシは。
 ジワジワと「この酒、いいんじゃない?」なんて言うんでなく、いきなりKO。それなのに、更に経時で怒涛の変化を見せる。その方向は、ズンズンとopenしながら濃く深くなって行く、というタイプ。
 もう馬鹿になっちゃってるから、「ブラインドで」「ギガル3姉妹に混ぜてみたら」「ラヤスの良年の縦に入れてみるとか」「いっそ、ちょい古のDRC水平…」とか、ウワゴトを口走っていた。それにしても旨い。感動した!アリガトウ!
 急にハンサムに見えてきたスチャラカソムリエにも「我々は"特別に"感動した。お前のサジェスチョンはパルフェだ」と伝える。エクストラオーディネルに喜んだことは伝わったと思う。
 PS おっと、この書き方だと横殴りハンマーパンチ系かと誤解を生んでもいけないのだが、ワシらが狂喜するこのワインとくれば、とーぜん、そのずば抜けた特性は、極上のフィネスをまとった優美さ、とか、そーゆーの、である。ハイ。
 
(*1)ヴィアンド欄が無いわけではない。 →back
(*2)まぁ720FFという絶対額は、銘酒エリアのワインと比較すれば、大した額ではない、とは言える →back
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  ボタン L'Amphitryon : Jean-Paul Abadie  ランフィトリオン : ジャン-ポール・アバディ
  
127, rue du Colonel Jean Muller - 56100 - LORIENT 02 97 83 34 04 (Fax:02 97 37 25 02) perso.orange.fr/jean-paul.abadie
ferme vacances, dimanche et lundi
Chef: Jean-Paul Abadie
・  
 Jean-Paul Abadie は Gault Millau の Cuisinier de l'annee 2004 に選ばれた。その感動的な料理に、間違いなく現在のフランスを代表するトップ・シェフの一人だと確信する。 (2005.4)

Michelin ○  /GaultMillau 18 (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 19 (2004)
Michelin ○○ /GaultMillau 19 (2008)

LAMP1 [↓メモ版:工事中]
2005年 4月 ☆☆☆☆

 " goute a tout "
 *dinette de saveurs
  ・フォアグラムース、トマトのジュ/野菜と花と山葵/クッキー/マクローのタルタル、トマトのキャラメリゼ/牡蠣と人参ピュレ、シトロン風味   ・ブランダード、トマトのキャラメリゼ
 *royale et transparence d'araignee a la reglisse
 *l'artichaut violet, l'oignon vert et le cabilolaud demi-se
 *bar en cuisson lente [fumet mousseux a la citronnelle]
 *homard saute a cru a la mode des vieux
 *filet de veau en cocotte - asperges meunieres
 *histoire de chocolat
 *creation autour d'un fruit
 *mignardises
  クレーム、人参ムース、グラスドベルモット、キウイゼリー
 +83 Ch.Palmer

(コメント工事中)
[AQ!]
 え、こんな煤けた街外れに? そうとう意表を突くロケーション。しいて言うとアルサック的。見知ったAの文字。小さい店。ガラス扉だ。多くの客が20:30予約だからか、店頭に立っただけで扉が開き、マダムはじめフロア陣に物凄い流麗さで迎え入れられる。メルキュール・ホテルでもそうだったが、日本人を見ただけで「Oh! ホントに来やがった!」状態で、ジュマペルもオノムドも不要な感じ。
 ガラス職人(Le Hen。Lorient在住の夫婦アーティストで、ギ・サヴォアも彼等の皿を使用している)とは“コラボ”に近い関係なのか、店内にオブジェが一杯。皿はほぼ全部がラス製。驚いたのは、皿と皿の間に、鑑賞用の目印皿が出ること。これは極めて気分の良いモノ。料理がイケてなかったら、空々しいアイディアかも知れんが。韓流デザインの皿がひときわ綺麗。しかも全体に変型皿が多く、一度に何枚も持てないので、フロアのセルヴールは、ごっつう忙しいこととなる。やたらよく働くフロアだ。飛ぶように走るように歩き回るのだが、エレガントで、話せばサンパ。その辺りは統括するマダムVeloniqの力が大であろう。服のボタンとヘアカットの現代的な“ロックスターのような”マダムは、髪を赤と黒の縞に染め、先頭に立ってフロアを仕切る。我々の席に来ると、極めてユックリと明瞭に仏語を発音してくれるので、我らボンクラ頭にもとてもよくわかる。…これはヴィヴァロアのマダム以来の技かも。
29-2  アーティショー・ヴィオレが、ウマ過ぎる程にウマい。これには魂を抜かれるようだ。だいたい、この皿はそもそもよく出来ている。真ん中にデミセルのキャビヨ(バスクのウルサがたも喜ぶような具合の)を置き、周りに新玉葱とアーティショー・ヴィオレ、そしてソースは泡で、キャビヨやアーティショーが白っぽい岩のように泡の間に顔を出す。アーティショーと玉葱に、ほんの数本の焦げ目が“計算通り”に入っていて、上品に香ばしい。キャビヨと玉葱を同時にいただくと、玉葱の新モノの香りと甘みがキャビヨの美味しさをクッキリと際立て、押し上げる。ナイス・サポート。キャビヨとアーティショーを一緒に食すと、今度は、キャビヨがアーティショーにスポットライトを当てる。とても複雑でテロワを感じさせるこの野菜の美味しさが、フルに発現する。先程は“かしづかれて”いたキャビヨは奴隷となって、“王侯”アーティショーに仕える。面白いものだ。
 オマールは“古典風”という名乗り。フォンドヴォーの濃いソースを使っているのが、その、含意だろうか。参りました。天上の一皿。ここまで、ここまでも、ウマいか!! オマールって、こんなにウマいか! 多分、全てが完璧に、尽くされているのだろう。ブルターニュのオマールの、“現地の”質。抜群のキュイソン。きっと掃除も。
 そして、ソースが凄い。多分、古典へのオマージュと、現代的な見つめ直しが真摯に追求されてのことと思う。これは、「今回の旅行の、この一皿」と言えるだろう。
 極めて複雑な工程、緻密で手抜きのない仕事をした結果が、シンプルとも言えるような「一つの味」となって皿上にある。JPAの料理は、ブラスやアドゥリスを食べた時のことを、思い起こさせた。
29-3  アレネはカレー風味で、蟹味噌っぽいロワイヤルと、身のトランスペアレントの2ウェイ。正直、食べなければ想像がつきにくいくらい、透明で美しい「蜘蛛蟹のカレー」である。
 アミューズは多くの店が牡蠣を使っていて、牡蠣勝負が勝手に楽しめてしまったのだが、ブッちぎりの1番はコチラ。合わせたのは人参ピュレで、後はオイルにシトロン、エピス何かってところだろう。細部は不明なのだけど「どこまで牡蠣のこと知ってんだ?!」と驚いた。知り尽くした男の料理。  バールのキュイソンでまた、2人してひっくり返った。オンブルシュヴァリエかと思うような、繊細で蛋白質凝固点を睨んだような火入れ。バールの香りが、綺麗な香りだけがこんなにわかる料理は初めて。
 ヴォーはちょっとレジスのヴィアンドみたいなまとめ方。
==============================================
 メルキュールのフロントで、ついでに聞く。
「レストラン、ランフィトリオンっつうのは知っとるかに、チミぃ?」
「あ〜ら、勿の論よ。 (ロリアン市街地図を取り出して) ホテルが此処でしょ、こー行ってあー行ってロンポワンが2つあって、はい、此処! (とボールペンでぐりぐりする)」
「ふぉふぉふぉ、さすがにゆーめーであるのね。タクシーでどのくらい?」
「うーん、10分」
「我々は実は今晩予約してあるだで、どうか20時にタクシーを呼んでくだされだども、お願げしますだ」

 L'AmphitryonのJean-Paul AbadieはGault Millau の Cuisinier de l'annee 2004に選ばれて一躍注目を浴びたが、それまでは内外ともにマスコミ露出が少ない地味なシェフという印象であった(けど、どうか)。2001年にミシュラン1つ星・ゴーミヨ18点だったのが、2004年には2つ星・19点となっているので、急進中の若手かと思いきや、写真を見る限り「おじいちゃん」っぽさも出て来たベテランシェフであるようだ。大体さ、かなり僻地なので、ミシュランもゴーミヨもろくに審査員が回ってなかったという辺りが真相、だったりするかもしれぬ。
 ここは行ってみたいものだ(こういうシェフ顕彰は地方のシェフに与えられる時は信憑性が高い)、と、2月中にFAXを入れるが、これがあーた、返事が来ない来ない。も〜、今回感じたブルターニュ全体の特徴だが、ルーズだよ(^^;) (別にFAXに限らず、e-mailの返事もゆっくりな所多し)。パスカル・レミが「ミシュランの調査員は伝統的にアルザスのしっかり者が多くて、ブルターニュあたりの連中の事務処理のいい加減さには我慢がならない。それであの辺りの星は全体的に実力より低いんでねーの?」みたいな意味のことを書いてたけど、ホントだ!(^^;)
 でリクエストは5/3だったのだが、3週間ほどしてやっと来た返信には何と「いやぁスマンスマン。5/1からメーデー休暇でね、1週間休みなのよ〜ん」と丁寧な字で書かれている。アチャー! 今年の暦上のGW、すなわち我々の休暇は4/29〜5/8なのである。
 こりゃアカンか…とカレンダーと営業コードを睨むと「む、4/30はOKかもかも?」。すぐさま4/30のリクエストに切替えFAXした所、悠長にまたしばらくして「OK」が返ってきた。うーん、まさにピンポイント、“空白の一日”(古い…)にジャスト・ヒットだー。
 そして後になって我々は、奇跡の一日にこの店を訪問できたことを神に感謝することになる。速攻で「我が心のフランスの料理長10人」を書き換えたくらい、圧倒的に好き。ワシら個人的には、この店に辿り着かでブルターニュに如何で花実の咲いたものか(^^;) (意味不明)。

 20時10分。我々はホテルフロントにいる。タクシーはまだ来ない。「タクシー遅いね」とフロントに声をかけるとオネーサンは「すいませんねぇ。もう〜、あのタクシーったら、toujours toujours toujours(と3回言った)、こうなのよ〜(^^;)」と電話する。そんなにいつも駄目なら、呼ぶ奴変えればいいのにとも思うが、そこは田舎。間もなく到着するタクシーに乗り込む。運転手のニーチャンは、我々の方に向き直って、「デゾレ。ジェウーブリエ!」と何の屈託もなく明るく笑う。…パスカル・レミの言ってたことが身をもって理解出来た気がする瞬間ですた。セ・ブルターニュ。かも。

 クルマは街中心部からやや郊外に向かう。とは言っても、まだ家・店・工場の立ち並ぶ市街地だが、だいぶ中心部に比べるとボロっとくたびれた建物が多くなり、雰囲気も殺伐…じゃないけど煤けて見える(観光客には)。そんな具合の道っ端、いきなり「着いたよ」と言われる。ホニャ?、と見ると、まぁこれも大したことない建物の横にL'Amphitryonのサイトで見慣れた「A」を変形させたロゴが浮かんでいる。よく見るとその横にガラスの扉。いやぁこりゃまた地味な場所の地味な外観のレストランである。“しなびた街外れの道端”具合はArzakを思い出すね、と意見が一致したが、Arzak以上に意外感のあるロケーションかも。

 さて、ガラスの扉は中からこちらがよく見える訳で、すかさずバーンと開け放たれて「ボンスワー」。まず最初に驚くのは、“ロックスターのような”カッティングの黒服に身をつつみ頭を“赤と黒”に染めたマダム、ヴェロニク・アバディの出迎え姿だろうか。「ええと予約したイシイで…」「ハイハイ、わかってるわヨ」と、こちらでも東洋人顔が既に今晩のパスポート状態…になっているような流麗な案内で席へ。
 主サルで30人弱の小店で、ガラスの彫刻やオブジェがキマった実にクールな内装、めっちゃお洒落で居心地良い。大体、小バコ好きだし。店外の雰囲気との差が急峻でクラクラする。
 注文は色々検討した結果、一番大きなムニュ「全部食え」が最も季節やテロワの色がよく出ているようで、それにする。一番上等でも、ミシュラン2つ星にして100euro程度だし、量的に重くないし、これは結構オススメ。

 料理は、後に詳述することもあろうが、本当に素晴らしく感動的だ。素材への敬意と直観がある。アイディアがあって、丁寧で精緻な工程を重ねて行くが、その複雑な作業の行き着く結果はとても“シンプル”で純粋である。…とそんな料理。舌や鼻に届く時の純度が高くて、珍しくもミシェル・ブラスやアンドニ・アドゥリスに似てる、と思ってしまった(別に似てるから良い・悪いってのは無いんですが)。後でネットで検索してたら、Abadieシェフは英語の記事で「私の料理はSimpleとRespect」などと答えてて、なるほどと納得。
 ブルターニュ名物、牡蠣・アーティショー・オマール。牡蠣は大概の店でアミューズで出るが、L'Amphitryonの人参ムースと合わせたシトロン風味ほど牡蠣への理解の深さを感じさせる物はない。季節を迎えるアーティショー・ヴィオレには、「これがアーティショーだったか」と驚倒(元々アーティショー好きなんだけど)。オマールは「昔風」と名乗り、フォンドヴォーのソースなのかな…それが古典的なんだろうけど、もう、ちょっと美味過ぎてヤヴァい。オマールとのこんな出会い、これからもあるものだろうか、と思うと切なくなってくる(←アホ)ような。今回の旅の「この一品」。

 …と料理はケレン味のまったくない純粋直球だが、店のアート感覚は色々凝っていて面白い。先にも触れたがガラス作品好きで、料理の皿もすべてガラス。実はこれらは、同じLorientに住むガラス工芸作家Chantal et Didier Le Henの作品で、このプレゼンは、Le HenとAbadieの“コラボレーション”としてとらえて良いと思う(Le Henの作品はGuy Savoyなどでも使われているそうな)。
 面白いのは、「料理と料理の間にも位置皿が出る」こと。えーと、レストランに行くと最初に置いてある位置皿・サービスプレート、アシェットドプレザンタシオンって奴ですが、まぁアレは最初だけ置いてある物なんだけど、この店だと、一つ料理が終わると、また違った位置皿が出てくるのだ。位置皿…ってより、「観賞用のお皿」と言えばいいか。Le Henの凝ったデザインの皿で、「次の料理が出てくるまでこれでも眺めて談笑してて下さいませや」ってことなんですな。
 作品自体も綺麗で多彩、楽しめた。まぁこういう趣向は“肝腎の料理”がイイ店じゃないと滑りそうな気もするけどね。それにしても、この鑑賞皿の上げ下げが加わるので、サービスは忙しい。優雅に、しかし、飛び回っている。先程のタクシー兄ィとはうってかわって「勤労意欲に燃えるブルターニュの若者」が見られる。ここのサービスは全体にキビキビしてて良かったな。マダムが“キリッと”采配をとってるので、カティが仕切るクラン家の「ラルンスブール」の雰囲気をちょっと思い出した。

 後になって聞いたのだが、盛んに食い歩きをするタイプの現地修業中の日本人料理人の一人が、「全土回ったけどランフィトリオンが一番」と言ったそうだ。「ウム!」と深く頷くワタシたち(笑)。

(コメント工事中)
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  ボタン L'Arnsbourg  ラルンスブール
  
18, Untermuhlthal 57230 BAERENTHAL  03 87 06 50 85 (Fax 03 87 06 57 67 )
ferme vacances d'ete, vacances de jan.,mardi et mercredi
Chef:  〜 Jean-Georges Klein
・
 ジャン=ジョルジュ・クライン(片仮名表記はひらまつのサイトによる)は「ひらまつ」と組んで、2004年、札幌に進出するそうだ。
「ル・バエレンタル」(片仮名表記はひらまつのサイトによる…ま、ちょっと悩ましかったでしょうな)
 札幌市中央区南1条西28丁目3-1 011-632-7810

Michelin ○  /GaultMillau 15 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 16 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2008)

ARNS1 [↓メモ版:工事中]
2002年12月 ☆☆

 *トマトの薄い熱々パイ
 *セロリに泡(カフェ、バルサミク)の一口スプーン
 [ Menu Decouverte ]
 *Petits Savoureux Aperitifs
  エスカルゴ、アンショワのエスカベシュ、パルメザンの芯、オリエンタルな牡蛎
 *Caviar "Oscietra" a la Creme de Chou-fleur
 *Soupe de Coco, Rouget au Curry de Madras
 *Grillade de Foie Gras de Canard et Betterave Rouge aux Epices, Huile au Citron
 *Noix de Saint Jacques Poelees, a la Creme de Nougat
 *Poitrine de Perdreau Rouge, Pattes Compotees, Ecrase de Panais
 *Emulsion de Pommes de Terre et Truffe
 *Invitation a la Decouverte
  アニス風味マスカットの一口スプーン
 *Petites Gateries de Fin de Repas
  パッションフルーツのジュレにヨーグルトグラス
 +00 Riesling GC Vorbourg / St.Landelin Mure

(コメント工事中)
[へべ]
 山の中、森の中の寒村(? 木しか見えなかった。夜だったので)に輝く3つのマカロン。美しい。磨き上げた、きめ細かな木目のみごとな、デザインはしかしモダンな細工物…のような印象。店も料理も。
 ガラスの皿に、琥珀色に輝くパッションフルーツのジュレ。なぜ今まで気づかなかった??と問いたくなるような強烈さだった。マダムのかっこよさも印象的。

[AQ!]
 Nを出たタクシーはO,Zの集落を越えるとVosge Nord自然公園の山道を走る。見える物と言えば、路傍の木立のみ、その広がり奥行きは真っ暗闇に沈みこんで何も見えない。暗い暗い森の中。
 田舎のレストランにはそれでもいくらか慣れてはきたものの、ここは凄いロケーションだ。十分ほど暗い山道を走ったタクシーの前に、忽然と光を放つ山荘が現れる。それがこの度、ミシュランに3つ目のマカロンを与えられたレストランだとは。
 ラルンスブール…、正直言って、2002ミシュランで「新3つ星店誕生」として話題になるまでは、聞いたこともない店であった。元々は木こり相手の食堂だったという(ホンマかいな)。そこに現シェフのJGKが入ってから、メキメキと頭角を現すに至ったらしい。
 エルブイに影響を受けたと広言する彼は独特の多皿構成のコースを組み、香草を多用し、自然に回帰しているらしい。まぁ、こんな抜き書きにしてしまうと、所謂「イマドキ」のコンセプトのあまりにも一例になってしまうのだが、それをアルザスの山ん中でやっているってのがちょっとイイじゃないですか。
 2002年末旅行の候補地は二転三転していたのだが、ラルンスブールが取れたらアルザスも面白いね、と傾いた。アルザスにはリルとビュルイーゼルという(今となっては)大古典の2軒があるゆえ(ちなみに02ミシュランで悲しい目に遭ったクロコディルは、年末は営業していない)、新傾向の店が組み込めるとバランスが良いのだ。
 …タクシーは、山荘の前に止った。アルザスらしく、木材をタップリと使った建物だ。辺りには森が広がるばかり…だと思うのだが、ここに至っても、手前の木々が少しばかり照明を受けて見えるだけで、情景の全貌は闇に隠れている。(今度、昼か夏に訪れて見てみたいと思います)
 この地はUMという、集落とも言えない小集落らしい。もっと大きな括りでは、Baerenthalとなる。L'Aは宿泊設備のないレストランで、何処かに宿を取らないといけない。当初はバーレンタールの中心地のホテルを考えたが、そこでもL'Aから4km。バーレンタールはごく小さな村で、「タクシーとかいるんかいな」から始まって、当日翌日の動線の折合いもあまりよくないと判明、L'Aから12kmほどのNで泊ることにした。Nはカジノもある温泉地で、ここいら辺では大きい町(とは言え、田舎の小さ〜い町にしか見えないけど)。
 一応、機能は揃っている。(Nには、Hagenauから電車とバス合せて2時間に1本程度出ている)
 N「Grand Hotel」(街で最も立派な、部屋もでかいホテル(ただし、ちょい古)だが、ダブル59E。来年、メルキュールに変わるらしい)のフロントのオバサンが「それでアナタたちは今夜は? カジノ、それともお食事?」と聞いてくるんで、「UMのL'Aっていうさ、レストラン取ってるんだけど、タクシーとか頼める?」と答える。オバサン「L'A!! あそこはと〜っても良いレストランよ、それは素晴らしいわねアナタタチ。レストランからの帰りも、タクシーでこのホテルに戻るのでいい? じゃ電話してあげるから」と早速受話器を取る。
 「もしもし、タクシーの**さん? あーら、クリスマスは如何お過ごし? え、お孫さん? お孫さんって幾つなの? … …」…って、いきなり延々と世間話かよ! いやぁ、田舎っていいですね。…。
 ドイツ系とおぼしきタクシーおじさんは、約束の19:20丁度にベンツで現れ、ワシらを山荘に降ろすと、「帰りは20分前くらいにこの番号に電話して。お勘定は後でまとめていただくよ」と去って行く。(後段でチップ入れて60Eくらい)
 山荘玄関は地味だが、入ると穏やかながらキリっと晴れがましい空間。すぐはサロンで、床の一部がガラス貼りになっていて、下階のワインカーヴの様子が覗ける。サルはL字の形の構成。やはりふんだんな木材の質感と量感、ガラス窓をとても大きく取って外への開放感がある(見えるのは暗い黒い森…?)。内装自体は特に凝った物では無いがシャープに作られ、調度や装飾品でアクセントをつけリズムを醸している。ノエルがテーマかな、という装飾だったが、大変に上品かつ美しい。
 関係ないが、客も上品かつ美しめの店だった。さすがにこの場所のせいか、3つ星には珍しく外国人が少ない(…とこの場合、アルザスではドイツ人は外国人にカウントしない(^^;))ようだ。
 葬式帰りかい?…という黒服8人組はさすがに円卓にビッシリと座って肘と肘が触れそう、とへべが興味津々である。
 どう考えても食事の途中、なのに居なくなる卓がある。デセールを別室で…?と考えてもまだ早いし、事情が生じて帰ったか…と思うと、戻ってくる。しばらく謎だったのだが、判明した(と思う)のは、l'Aは「禁煙」なのだ。喫煙はサロンでのみOK。…とすると、退席する彼らは、ヤニタイムということのようだ。喫煙国フランスもすっかり禁煙時代に突入、Parisを見ていると東京と同等か追い抜いてしまったような禁煙度の印象だが、アルザス人はよく吸う(ように見える)。
 アミューズの最初は、熱々のトマトパイ。フランスのフランス料理としては珍しいくらい熱々なのだが、この日は他にも幾つか“熱々モノ”があった。意識的に、提供温度域を広く使っているのかも知れない。アルザス人には猫舌が少ないのかも…
 次に、メートルの皿の上に乗って目前に差し出されるのは、最近流行の“一口スプーン”モノ。この柄無しスプーンは誰の発明なのか。ここしばらくは、新食器・容器の発明と売込みの世界は、賑やかそうだな。パクッ。あ、いい香り。ウトーリ。思わずメートルの顔を見ると、「根セロリに泡、その上のバルサミコにはカフェが入ってます」と説明およびウィンク。
 ここんちのメートルドテルとチーフソムリエは、温和親密でホントに「出来そうな」ヒトでした。フロアの親分は、オーナーであるマダム・クラン。黒いスタイルのズボンはややエスニック調に両足が繋がった形で「闊歩」が迫力ありつつ綺麗。その下にメートル連とソムリエ連。実行部隊は思い切って、ヒジョーに若い子を多用している。オマケにこれが大変な美少女軍団で、ピシっとした制服のよく似合うこと…。制服美少女萌え系のヒトは、アンミラで我慢してないで、アルザスに行かんといかんよ。
 全員が成熟したサービスではないが、中間管理層の指導が良いのか、勘所は押さえてとても気持ちのよいサービスであった。
 アルページュとかヴェイラんとことか、ビュルイーゼルとか、サービスがメロメロヨレヨレの3つ星もあるが、こちらは立派である。
 その美少女によって、細長い黒い木皿に乗った4つのガラス小皿が、卓上に斜めに置かれる。勿論、彼女が発展途上だから斜めに傾いた訳ではなく、斜めに置くことで食べる順番を示唆しているのだ。コースの中では小皿モノに添えるスプーンを皿前に斜めに置く、というような手筋も使われていたので、見た目の面白さも狙っているのだろう。
 一番手前は温かい泡に埋もれたエスカルゴ。細かい泡の下に緑が覗いている所を見ると、パセリのグリーンソース仕立て。ついつい、一口を大事に食べてしまう繊細な美味で、精度の高さを感じる。底に置かれたエスカルゴ本体は冷たく、多分、温度曲線趣向。
 2番目は、アンショワのエスカベッシュとの説明だが、アンショワは揚げでなく、クリュっぽい。上品な酸味が快い。3番目は御所車のようにサンドイッチしたパルメザンの芯らしい。
 一番奥が殻に乗ったユイットルで、かけてあるソースが中国風オリエンタル。香港かバンコックあたりで出て来そうな香り。大変に美味しく、「あ〜、コレは、つまりアレが何?」と慌てて口の中を探すも、既に、たった1個の身の上は微笑みながら胃の腑に納まっている。
 フォアグラとビーツ。ジャガイモや大根とフォアグラの相性を考えると、良さそうであるが、ビーツのときに愛想の良過ぎる所が、フォアグラの脂と合ってニヤケ笑いにならないか、少し心配する。ところが食べてみると、陽気な殿様の後ろに控える軍師は厳しく、ノアが両者を引き締めて、優れた一皿を完成させている。
 天上の木組みから大きな窓への磨かれた角度の内装、フロア一同の背筋の伸びたサービス、そしてこのように考えられた料理と、全てが、キリッとしたピシッとした印象を残すレストランである。
(コメント工事中)
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  ボタン  L'Atelier de Jean-Luc Rabanel  ラトリエ・ド・ジャン・リュック・ラバネル
  
7 rue des Carmes - 13200 ARLES 04 90 91 07 69  www.rabanel.com
Chef: Jean-Luc Rabanel (1964-)
・
 

2009年12月 ☆☆☆
[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 ポティマロン・クミン トマト・ピマンデスプレッド 生姜醤油
トピナンブー アーティショーコンフィ アルファルファ トロンペットドボア ユイルドトリュフ シブレット パルメザン
サンジャック オレンジキャラメリゼ・粉 クルジェ・エシャロット・ラディローズ・ルッコラ パルメザンサブレ 小ハシバミ
  クルジェと茸スタッフ 茸ミジョテ後がけ ピセンリ かっこいい薄パイ
サンドル 牡蠣の泡 葉 野菜・セロリのリゾット見立て アサリ
ガンボソバージュ 蟹出汁 なんか芋ピュレ ユイットル 香草
ジャレドヴォー 紙フォアグラ・トースト マーシュ 根菜ウーブリエ 人参・ベトラーブ・根セロリ
+ラストー
カマンベールパルフェ トリュフ コンフィチュール・ポムコアンジャンジャンブル
アナナ・タピオカ・リチーソルベ、リチーと薔薇 ベトラーブのクリスタル
ショコラショー トンカ 柚子
オリーブ フヌイユコンフィ

 アルルの大泉晃、野菜の魔術師、JLRは厨房最前線で赤く照らされて仁王立ち。大車輪のお働きである。畑にいても冗談を言ってても鋭い眼光は、レストランの本番タイムには、いや増して鋭い。そういえば、店頭に、厨房の模様の実況ディスプレイがある。
 厨房に目をやると嫌でも目につくポジショニングの彼は、スターシェフとして後で客席回遊かな、と思ってたら、最後の客の最後の皿まで出し終わるとさっさと帰って行った模様であった。常連と思しき卓も幾つかあったが、とくに挨拶なし。朝6時からは畑の時間、というシェフ、石井義明コンパチか。
 料理はオンリー1コース(短縮コースもあるようにサイトに出ていたのであるが)、ここの入店時間は20-21時の1時間幅、…というわけで、ほぼ横一線進行に近づいて行くパターンである。12皿構成、かな。
 それにしてもカジュアルというか余計な贅沢のない店内。趣味よくクールではある。テーブルクロス無しの、男女共用トイレ一室。二つ星としては、今となっても異例の感。テーブル上の白薔薇は、こちらで使った後にア・コテに回すみたい。
 ギュウギュウ詰めで30席くらい?と狭小だが、皿数が多く口上も多いので、フロアの3人は精鋭揃い。
 メテヴァンは、かなり細かく皿ごとにあわせてくる。8種くらいあったか。研究されていて、たしかにかなりの好相性が感じられた。
 過激派なルックスや店運営ではあるが、仕事は周到で味覚も繊細である。大蒜の使い方にしても、プレパラションが丁寧で、やさしく豊かな香りを出す。翌日のJDSのソレがキツく感じられシゴトしてねーなー、という言葉が漏れたくらい。10年前のレジス、とか、こんな感じ?
 エマンスされた材料を重ねて行く技法が目立つ。
 ポティマロン・クミン天麩羅は、ウェルカムスペシャリテになっているようだが、それはよくわかる。美味、素晴らしい出来。ルネの植木鉢みたいだな。どんだけ良いポティマロンだか…で、南瓜の天麩羅には想像出来ない複雑性の魅力。衣の考え方・揚げ…もシッカリしていて、ヨーロッパでは、ほぼトップクラス。
 ボクタチの一番人気はトピナンブーとクルジェ茸。トピナンブーのグラスには幾つか鉄板組合せも含有しているので、今宵のスターはクルジェかな。ミジョテ茸は注ぎ入れ。
 トピナンブーはほぼ「芋トリュフ」の組立てが芯になっているもの。思わず頬が緩む…という古典形容がよく似合う。多彩な出演者が細かに表情をつける。トロンペットはとりわけ良い。
 皿上、置き方の絵作りが最も鮮やかなのは、帆立の皿か。ラバネルのスケッチ帖を思わす。ただ、全体には、「最近のフランス料理傾向」から言ったら、悪凝りしたものはあまり無い。サササッとしたプレゼンの物が殆ど。やっぱ、ああゆーのはパリの奴にでも任せとけ、か。笑 クルジェに添えるパイの形のように、細かくカッコいいものはチラホラ。
 サンドルの下、レギュームリゾット見立て。シジミのような小アサリの出汁は塩気控え目で、適切なアセゾネ。次の海老は所謂「フランスの甲殻類の塩」となっていて、対比をなす。この辺り、ムニュの流れは緻密だ。
 12皿とあって最終的なボリュームは結構ある。ジャレドヴォーで、救援を仰いだりギブアップするご婦人方も見受けられる。プラとして、〆の存在感。ウチらは、ペロリ。まあ、さすがにフランス料理、そうはいってもスペイン・北欧よは、腹ふくるる。ヴォーのガルニは根菜祭り、小ジャガは甘ーい。原種マーシュみたいなの、1皿目とここで、「株ごと」みたいな出し方。
 「清く楽しい」。事前の予想では、もっとザックリした斬り口とか、単純なもの、訳のわからんアート、…とか混じってくるのかとも思っていたのだが、一皿ごとにまろやかに美味しく、そしてフランス料理(良くも悪くも…いや悪いのはないが、フランス料理の範疇イメージからそんなに外れない)。この件、パセダもそうかも。
 デセールでは、ショコラ・柚子・トンカの“葉巻”をショコラショーに沈めて溶きながら食べていくショコラ作品や黒オリーブパイが面白い。デセールセクションは、料理に比べると、ややフツー風味かな。
 食後のお飲みものは、近所に出ている鉄瓶生け花笑 にひかれて、ハーブティーを。「本日のミックス」みたいな口上のを頼むと、コレが来るらしい。あほ笑。おなかスッキリ。
 スノコの便所、なかなか快適。
[↑メモ版:工事中]
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  ボタン  Bistro A Cote par Jean-Luc Rabanel  ビストロ・ア・コテ
  
21 rue des Carmes - 13200 ARLES 04 90 47 61 13  www.bistro-acote.com
Chef: Jean-Luc Rabanel (1964-)
・
2009年12月 ☆☆

 *Legumes confits en Tarte fine, St.Jacques grellees
 *Ravioles de Romans, Bouillin de Poule avec truffes
 *カナル腿コンフィ、ロマラン風味、ルッコラ・じゃがいも
 *アップルパイ
 +La Buche Collection 2010
 +08 Costiers de Nimes / Domaine de Poulvarel

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 シャンパンで乾杯。
 まず、口頭で(クリスマス調の)ムニュ紹介。
「アラカルトは?」
「あ、あそこよ」(と黒板を指す)
 入口脇の黒板まで出張して献立会議。
 わざわざ黒板まで出かけるのは我々だけかと思いきや、後着の皆さん、そうしてました。
 シャボンが売切れとのこと、口頭で説明があったカナルに。
 このカナル、めちゃウマで、頼んでよかった。&、とてもよく売れてた。この鴨と、オマールは出てたなあ。オマールの方は、少し、クリスマスな気分とかもあるのかな。
 ラビオリが素晴らしい。小さい切手くらいのサイズの小ラビオリが、ひたひたのコンソメに沈むスープ仕立て。ラビオリの皮自体も、スタッフィングも、コンソメも上手で美味い。へべは「フランスで見たラビオリ史上、最高クラス」と、お墨をつける。
 ヤニックアレノもこの辺りに修業にくればいいのにね。…って、アイツ自体が下手なのかは知らんけど。(笑)
 レギュームコンフィではポワブロンの肉感に、プロバンスへの期待が高まる。サンジャック3個に渡した架け橋は、レモングラス。
 鴨は美味みたっぷり…が、軽い仕上がりタッチに乗っていて、さすがは一流レストランのセカンドラインって感じ。ジャガイモが、気が狂うほどに美味い。複雑性と香りの高さ・尖鋭さ。なんなんだコレ。鴨コンフィにどさっとルッコラ…というのは余り見たことないけど、効果的でいいと思う。
 多くの皿で、ロマランの使い方が巧み。臭くなくて柔らかいのだけど、効いている。
「ワインは?…赤?…ici?…そんんならコスティエドニームの美味しいけどどお?」…と、ソムリエール担当嬢は直截サクサク(笑)。
 いい店だな。20-21時、客はワサワサおしかけほぼ満席。ベテラン客が多めかな。値段と雰囲気は若年層でもバッチリな感じ。
 日・月はなぜか閉まってた。サイトで謳ってたトゥレジュールは嘘やんか。夏はそうなのかも。プティデジュネやサンドイッチは多少期待してたのにな。

[へべ]
 到着日。やがて睡魔が降臨しそうbut今のところまあ元気で空腹。ただしちょっと雨もようand手持ちの傘は1本なのが気になるところ。
 ラバネルの2ndカジュアル店、A Coteがかなり近いはずだが念のため偵察してこよう、とAQ!が出ていく。(地図を置いて)。しばらくして「おかーさん、なんかズンドコやってます」と言いつつ戻ってくる。ま、なんとかなるっしょ、と出動。
 店じゅうに周期的にものすごくいい匂いが漂う。澄んだ熱いオイルに香り立つスパイス、みたいな。
 黒板から選んだ、ラビオリ&ブイヨンが大当たり。けっこうたっぷりトリュフ入り。切手大のちびラビオリの中身は不明(たとえばリコッタチーズとルッコラ、とか?)ながら旨い。しっかりとしたブイヨンにロマランず品よく香る。
 メインには、本日の口頭おすすめメニュー、カナルをシェアすることに。
 熱々のなべごと登場。こんがり焼けた鴨とじゃがいも、そこにふんわり緑のルッコラを添えてあるのがまたよく合っている。控え目に香るきれいなエルブ、鴨のアセゾネのばっちり加減もさることながらポムドテールの清く深く旨いこと!
 いくらでも食べられる!
 いつまでも食べていたい!と心躍らせながら夢の中へ…ムニャムニャムニャ…のへべでした。
 デセール「ブッシュ」はブッシュドノエル今年風。

[↑メモ版:工事中]
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  ボタン L'Aubergade  オーベルガード、ローベルガード   ( Michel Trama  ミシェル・トラマ、ミッシェル・トラマ )
  
52 r.Royale 47270 PUYMIROL 05 53 95 31 46 (Fax 05 53 95 33 80) www.aubergade.com
ferme vacances de fev., lundi sauf le soir en saison et dim. soir hors saison
depuis1979 Chef: Michel Trama (1947-)
・ 創意に富んだ料理でヌーベルキュイジーヌの中堅を担ったミシェル・トラマ
Michelin ○○/GaultMillau 19 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 18 (2001)
Michelin ○○/GaultMillau 18 (2002)
祝!ミシュラン・ギドルージュ3つ星獲得! (2004)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2008)

参考:メールのページ

2001年 8月 ☆☆

 *アミューズ:トマト飴、目玉焼タルト、いくらムースタルト、ソモン鮨、サモサ
 *トマトのアボカド詰め、バルサミクと香草ソース
 *野菜のミルフィーユ、アンショワ添え
 *ポワロのプレッセ、酢とトリュフソース
 *キャビヨの奉書包焼、オリーブソース
 *セルリラーヴとフォアグラのミルフィーユ、バルサミコソース
 *Cinq Sens:青林檎のクリスタル、コロナ・ド・トラマ、ショコラの涙、マラスキーノ風
 +95 Champagne"2000" / Moe & Shandon
 +95 Buzet / Baron d'Ardeuil

■Eugenie-les-Bains → Puymirol____________________
[へべ]
 アジャンの町に入る一歩手前で、せっかくここで時間もあるしと、高速道路でボルドーを一目拝みに行ってみることにする。高速に入ってすぐサービスエリアへ。ガソリンスタンドのセルフサービスももう慣れたものだ(おとーさんが)。スタンドの売店で水とサンドイッチを仕入れて、裏のピクニックテーブルで食事にする。パリのような都市部はさておき、こちらのサービスエリアは広々していて緑いっぱいで、すこぶる気持ちがいい。皆、心得たもので、クーラーボックスやバスケットにあれこれ詰めて来て、緑の中でピクニックしている。「P」とトイレ、電話とピクニックコーナーだけというエリアもけっこうあるほどだ(商売気の無いったら)。
 さて、できればポムロールサンテミリオンの葡萄畑でも拝んで行きたいところだったが、へぼナビの失敗で、なぜかポムロールといってもラランド・ド・ポムロールに着いてしまった。シャトーの名前を見てもどれもピンと来ない。ううむ。とりあえず来た!見た!ブドウと記念撮影した!ということで、ぼちぼちUターンしてピュイミロルに向う。
 …と思ったら大都市ボルドーエリアに入ったところで高速工事中→下の道路へ降ろされる→あれよあれよという間に西陽カンカン照りの中、超大都市ボルドーの中心部へ向う渋滞に首までどっぷり漬かっていた。なんでやねん。これだから都会はイヤじゃー。田舎ばかり走ってきた(トゥールーズはろくすっぽ見てないし)私たちの目には、ボルドーは走っても走ってもまだボルドー、おんぶおばけのような巨大都市だった(失礼な)。

■L'Aubergade____________________
[へべ]
 なんとか道もみつかり、アジャンへ、そしてピュイミロールへ! アジャンもそこそこの規模の都市だが、ピュイミロールへの道に入ると突如、のどかな風景が広がる(心もなごむ)。行く手の高みに見える小さな町並みに、あれかな?あれかな?、と上がって行くと、果たしてそこがピュイミロール。石造りの建物などもあり、時を経た雰囲気のある家並が続く。そんな家並みにはさまれたロワイヤル通り(!)をたどれば、そこにローベルガードトラマの館がある。古い石造りの館をリストアしたという建物は、周囲と同じく、道からいきなり入口、という造り。
MT1  向って右がホテル棟、左がレストラン棟となっているが、どっちの扉を叩いたものか…(閉ざされた木の扉、というのもちょっと手を出しかねてしまう)。と、そこへ「こんにちは!」と声がかかる。白いコック服、さてはトラマのところのコミか(後でよく考えるとコミというには手も落ち着いているし厨房での風情やこのときの案内ぶりからいっても、もう少し格上のヒトかな、などとAQと話したりもしたのだが)…「えーと、どっちから入ればいいですか?」と尋ねてフロントを教えてもらう。実直そうな、ややゴツい男性が我々の荷物を車からフロントへ、さらに部屋へと運んでくれた(大汗かきかき)。あれがトラマの娘ムコか??、などと推測するボクたち。
 一歩扉を入れば、モダンな家具とオシャレな物販コーナー、プールを囲むテラスもさわやか。客室へはなんと階段で、4Fだか4.5F?まで上がる。深いきれいなブルーを基調にしたトラマの館。部屋も実にいい感じ。ブルーの扉には、部屋ごとに趣きのちょっと違う、でもほとんどがサクランボの四角い絵のプレートがかかっている。うちの部屋にはリンゴと見まごう大サクランボ。階段降りた突き当たりのあやしい絵、カルトのサクランボを食わえた唇のイラストなど、トラマ趣味を満喫できる。
 夕食はレストラン棟の石畳の中庭で。この季節はきっと昼も夜もここが「サル」なのだろう。「コ」の字形にひさしをめぐらせ、テーブルがしつらえてあり、既に多くの卓から楽しげなさざめきが聞こえている。
 たそがれから暮れかかり、トラマブルーからさらに闇に沈み、やがて星が光る空の変化…。白いクロスに青いガラス玉を散らした、小さなランプを灯した、あるいはパンを入れるペン立てみたいなガラスの容器を置いた…なんて洒落たテーブル…。そして、きわめつけはそこに集い楽しげに飲み、味わい、おしゃべりする客たち…。
 映画の一シーンのような、美しく楽しくわくわくする眺めがそこにあり、自分たちもその中にいた「トラマの夜」は、ちょっと忘れられない。
 小さなアミューズをつまみ、アボカド詰めトマトの上にX印のソース〜バジルとバルサミコのreduction(この酸が旨い)。若々しく気のきいたオシャレな客景色(夜を楽しむぞ!というオーラが出ていること出ていること…)もあっていやが上にも気分は盛り上がる。アントレ、プラ、デセールとどれをとってもトラマの料理は鮮烈だった。時折、サルにも姿を見せるそのジーンズの似合うかっこよさと来たら! その、トラマその人そのままに、皿の上もスタイリッシュ。美学とかセンスとか感性から来る料理、という印象が強い。
 ポワロのプレッセのテリーヌと、デセールのCinq Sensが、その真骨頂というか、際たるものというか、美しくてかっこよく、美味だった。
MT2  料理写真を見て、忘れられなくなる皿がある。トラマの料理もさふいふタイプ。でも、ここまで、目の前に出て来た皿がまたそのようである、ことは珍しい。ポワロプレッセのあの断面、トリュフのビネグレットソースのあの色…。
 野菜のミルフィーユは夏らしい一品。青く銀色に輝くアンショワと色濃い野菜たちの美しくも元気な味わい。
 キャビヨのパピヨット(?)は、文字通り「奉書包み」といいたくなる仕立て。緑のオリーブのジュが香り立つ。キャビヨなんて魚が(スマソ)、こんなに美味しくなるなんて。
 デセールがいかしてる、といえば、ブラスだったが、トラマCinq Sensはその上を行くかも。コンパクトで演出ばっちりで、しかももちろん旨い!
 「青リンゴのクリスタル」の本物も、実に美味(ついに本家本元で御対面)。
 幸せな夜、幸せな人々の歓談は続く…いつまでもそこにいたかったけれど、冷えてきたのでおやすみなさい、ということにした。なんと名残り惜しかったこと!

[AQ!]
 中規模の地方都市Agenは、通り過ぎただけではあるが、品の良い、ちょっと由緒ありそげな街並。そこから113号で数km離れ、D16号に入る(曲がり口手前にローベルガードの看板あり)。あっという間に風景が田舎道のそれに変わるのが何ともフランス。これをまた数km走ると目の前に小山が現れる。その小山をキュルルと登った頂上付近の集落がピュイミロールである。まぁ「小高い丘の上」というのが適切な表現かもしれないが、起伏の穏やかな丘が延々と続くこの辺りでは、ちょっと目立つ急峻さで「小山」と書いてもいいかな。Agenからは20分くらいだろうか、割りと「すぐ」って印象で着いてしまうので、「辺鄙な田舎」ってほどのことはない。
 小集落の中心を大袈裟にも通る「rue Royal」、その真ん中付近に、L'Aubergade/Loges de L'Aubergadeの看板は並んでいた。中では繋がっているのだが、Logesの看板の方がホテルの入口である。L'Aubergadeの看板の方は、13世紀の建物を改築して使っており、外壁はいかにもそんな年輪を感じさせる。
 車を止めて降りると、丁度通りかかるコックコートの日本人。「コンニチワ」と挨拶されるを幸い、「ホテルのフロントって、どっち?」と聞く。案内される。応対に出た支配人に、パーキングを尋ねると、「通りの向こう側ならどこでもいいよ」。片側駐車可なrue Royalであるらしく、専用パーキングはとくに無いようだ。支配人、我々のスーツケースとボストン2つを提げて、部屋の案内……と、これが、階段を登る登る、作りが複雑でしかとはわからぬが、4階か5階に到着。額に汗している。どうもスマソ。カレは、レストランにおいても甲斐甲斐しいメートルぶりを発揮していた。噂の「トラマの娘婿」殿だったりするのかな。
 10室というホテル部分はむっちゃんこ可愛らしい。海が好き、のトラマの青を基調色として随所に配してお洒落。捻りの効いた調度品がアート好きのトラマ家の趣味を垣間みせる。到着時は冷房で部屋を冷やしていたが、夜には窓際のスチームヒーターがONであった。「何やねん」って感じだけど、やがて納得してしまう寒暖の差の激しさ
 小山の上の集落のホテルの上層階とあっては、「眺望絶佳」を期待する所だが、それは果たされず。通りの向こうの家の屋根だけが見える。(こればかりは)カルチェラタン辺りの安ホテル、と、変わらん。
MT3  8時半、まだ薄暮の中、レストランに向う。通されたのは中庭。夏は基本的に中庭テラスでの食事ということらしい(後で拝見したところ、一部のサルや2階などの部屋は、冬に向けてか、改装工事がなされつつあった)。庭の真ん中に彫像、それを囲んで植木をまばらに配置し、一つの面は壁でそこに水場があり、他の3面は2〜3mほど廂が張り出していて、その下「コ」の字形に間取りしてテーブルがセッティングされているのだが、まぁ、何て素敵なこと。照明の具合、視線の動線の計算、それぞれの調度や内装の素材の品の良さ。パルフェ! いやぁ、案内係からメートルに引き継がれる1分間ほど、中庭入口にボーッと立っていたのだが、顔面が緩む緩む。
 テーブルによっては、白い布上に、青いビー玉が散らされていたりする。テラスでお食事、って良いものだけど、これはもう天国。フランスでの食事でも滅多にない環境。
 それで、加うるに、客層がサイコーなのだ、ここ(って、日本人観光客オノボリさんベリマッチであるワシらが言うのもどうかと思うけど)。30人ほどの客のうち、東洋人はワシらだけ。英語も聞こえないし、いわゆる外国人観光客っぽい客が見当たらない。宿泊の客もフランス人の国内旅行風。それでもって、皆、ベースはカジュアルだけど、適度にオシャレ。お洒落して食事を楽しみにきているのがよくわかる。そんでもって、ほぼ全卓が、すご〜〜くお喋り好き。うるせ〜〜っ、ってくらいの会話の大渦がアチコチで出来ている。さらには、長っ尻(笑)。観光客の多い2,3つ星レストランだと、10時を過ぎるとポツポツと半分くらいの卓が収束して行くのが多いような気がするんだけど、ここは、11時くらいじゃ、まだほっとんど「宴もたけなわ」。この客の良さは、ホントに御馳走です。
 グラスシャンパンを頼むと、モエの持ちにくい「2000」ロゴ入りのグラスが登場。95ヴィンテージの「2000年」である。これ、ウマいね。「うわ、一応、ヴィンテージシャンパンの格があるわ」とテキトーなことを言って盛り上がる。
 アミューズは5,6品の盛り合わせ皿で。工夫があって、食って旨い。リのソモン巻、すなわち鮭の鮨もある。イクラのムースタルトが美味。
 BGMは、エスニック・ネタのアンビエント、などと、こちらも「らしい」
MT4  カルトは割りと平易に書かれ、別紙に「季節のお勧め」「ムニュ・グルマン」など。1つの料理に1単語くらい「何だコレ?」が混じる。例えば尋ねた1つは「ア、それはエピナールの一種デス」だった(どういう単語だったかは、やはり、すぐ忘れた)
 アントレの注文のうち「野菜のミルフィーユ」が「季節の…」から。これとポワロとジャガイモ、野菜勢3皿のうち、どの2つにするかで延々と議論。
 プラもまた、皆、美味しそうで目移り。ピジョノーが良さげだが、昨日のゲラールのピジョノーがインパクトあったのでここでは外し、仔羊の旨そうなのは2人注文から(他卓に何回か出たけど、凄い誘惑的香り)だなぁ、やっぱ魚と肉と1皿ずつにしようよ、豚足もいいけど、フォアグラ生産地帯をずっとドライブしてきたせいか、「やっぱ、フォアグラ食べないのは寂しい!」…などなどあって、決まった注文が上記。トラマの「売り」でもあるデセールは、我々が興味をもった物がみな含まれているということで、「デセールのデギュスタシオンだよ」という「Cinq Sens」に。
 2品目のアミューズは、トマトのアボカド詰めで、ややスープ仕立て。皿に一筋、黒く引かれているのがバルサミクを詰めたもので(大体、reduction de Balsamiqという表現になるみたい)、すげウマ。こーゆーバルサミクならどんどん使って欲しい(日本の仏料理店のバルサミク使いは余り好きでない私)
 ポワロのプレッセトラマの名を高からしめた一品(その原形通りか、発展形かはわからない)。皿の真ん中に位置する四角いポワロのプレッセには、一面に黒茶色いトリュフビネガーのソースがかけられ、妖しい雰囲気。誘惑的色合い。四角の一つの角にはトリュフ一枚、一つの角には岩塩が一つまみ、一つの角には胡椒が一つまみ、と絵画的でクールな眺めの盛り付け。ナイフを入れると意外なほどしっかりしたプレスで、ギュッと押し固められている。一片を口にする。ジワ〜〜っ!! これはコケ脅しでない、滋味の美味。大地を噛みしめているような野太さが、酸の羽根に乗って舞い上がる。二口、三口と進めていくと、ジワジワと幸福に侵されていく。ワオ!
 これは、この日の象徴的な皿で、というのは、ヌーベルキュイジーヌのシェフたちの中でも常に創意創作の文脈で語られるトラマの料理の「口にした現実や如何に?」という点には興味津々であったわけなのだが、これが何ともどれもが滋味シミジミとした、どちらかというと派手さよりも深みのリージョンにある物なのだ。いやぁ、しかし、旨い。「地味だがまた無性に食べたくなる」タイプかも。
MT5  野菜のミルフィーユは、アンショワとともに季節の野菜をツンモリとミルフィーユ状に積み上げた作品で、シンプルタッチだが美味。天辺にフワっと盛られた白い揚げ葱状の物は、セロリ揚げでもないし、何だろ? 直径5cm程のミルフィーユが皿の上に3つ。2人で分けて食べるには、ややこしい
 ワインリストは、ゲラールの所もそうだが、幅広い取り揃えで立派な物とはいえ全体には値付けが高く、稀少品は少なく、面白みは無い。で、やはり「地のワイン」のコーナーに目が行く。ここでは、マディランビュゼ。「この辺りの欄で何かお勧めは?」と指をさせば、目を輝かせての回答。そこから、ビュゼの1本を選ぶ。屁のような値段だが、なかなか旨い。
 キャビヨは、まったくもって奉書包焼。紙を結わえている紐をほどき開封すると、白い身がザラっと(キャビヨだからね)光っている。下には緑色の、オリーブジュースと呼びたいくらいのタチのオイル。ああ、なんて美味。この魚をこんなに昇華させるとは見事な魔法
 フォアグラは薄切りで、同じく薄切りのセルリラーヴと層を成し、天辺に薄皮が一枚かかる。パワーもあるのだが、それよりも何かハンナリとして心和む一品。セルリラーヴの香りに誘われるのがたまらないったらたまらない。
 ブルージーンにラフなシャツ(だけどお洒落なデザインではある)の大柄なオッサンが、あっちの卓こっちの卓、とうろついている。そういえば、さっき、ワシらも中庭に入ってくる時に「ボンソワ」したっけ…。「ねぇねぇ、あれがミシェルだったりするのかな??」へべに言ってみると、「あら、それは絶対そうよ」へべは、最初からそう思っていたのだそうだ。庭師のオッサンか何かだと思ってたワシは相当に間抜けだ。
 …と言っておいてナンだが、ミシェル・トラマは、ほんま、かっこよい!! すっかりファンになってしまった。一言で言うと「精悍」かな。年齢から想像するに、もっと丸い年寄であるかもと思っていたが、実に若々しい。ジーンズ履いてるから、って訳じゃなくて。固太りで肥満を感じさせない身体。過剰じゃなくて丁度良い加減の自信がみなぎり、放射している。
 卓上は背の低い蝋燭で照らされていた。これはちょっと消えやすくて、我々のテーブルのも根性無しで、何回か消えた。プラの済んだ頃、それに気付いたトラマ御大が自らマッチを持ってきてくれた。「アンタの料理は凄ぇぜ」と言うと、お答えは「Domo Arigato!」であった。
 フロマージュは伺いも無し。そう言えば、回りでも見かけなかったなぁ、フロマージュ。好きじゃないのかな。ま〜、そうでなくても、フロマージュを食べたくならないタイプの料理ではある。
MT6  Cinq Sens、素晴しい! フランスでいただいたデセールの中でも出色。軽く濃く面白く凄みがあってチャーミング! 田の字に区切られた皿に4品が並ぶ。高名な青林檎のクリスタルショコラの涙はマジで旨く、マラスキーノのような物は妖艶、コロナ・ド・トラマは葉巻好きのトラマらしく(葉巻のコレクションも有名。この日ばかりは、葉巻道楽に参戦していない我が身が残念)、ショコラブランで作ったマッチ、ショコラノワールで作った葉巻、薄く伸ばしたショコラで作った煙という、見立ての細工モノで、愉快かつウマい。
 8時半の口開けのまだ明青色の空は、次第にトラマ好みのマリンブルーから濃紺色を経過して暗く落ち着いていく。「ピュイミロールに来られてよかったネ」「トラマに来てよかったネ」と連発のワシら。賑やかなアジャンの上流階級(?)に負けじ、と頑張る(?)が、12時頃には夜風が日本人の皮下脂肪にはだいぶ冷たくなってきたか、と、退散。
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  ボタン L'Auberge Bretonne : Jacques Thorel  ローベルジュ・ブルトン : ジャック・トレル
  
2 place Duguesclin 56130 La Roche-Bernard 02 99 90 60 28 (Fax 02 99 90 85 00) www.thorel.fr
ferme le Jeudi toute la journee et le Lundi, le Mardi et le Vendredi pour le dejeuner mais l'hotel reste ouvert
Chef: Jacques Thorel
・
Michelin ○  /GaultMillau 17 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 18 (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 19 (2004)
Michelin ○  /GaultMillau 17 (2008)

ABRE1 [↓メモ版:工事中]
2005年 5月 ☆☆

 *フィナンシェ
 *コライユクレーム、フォアグラ・ユイルドノワゼットの背の高いコルネ、スリースのパイ、マクロー(!)、アランのキャビアのコルネ、三角ラビオリ、ムール燻製・細かく刻んだコンコンブル
 " Une idee de menu de Printemps "
 *Oursin, Peuce pied, coquillages, etc
 *Leger bouillon d'asperges, Truffe de coquilles Saint Jacques en surprise
 *Turbot en baluchon, Boucane comme a Hoedic
 *Boudin blanc de lapin, Praire et curry
 *Piece d'agneau, Traite a la Marocaine
 *Le grand delice de Solange
  フレーズの軽クレーム、マンゴのババ、バターケーキ、フレーズ・アグリュームのスープ、リュバーブのクレーム、
 +85 Ch.Petit Village

(コメント工事中)
[AQ!]
 Carnacの巨石群に圧倒されナンシカの感動に震えたワシらはVannesを抜け、La Roche-Bernardへ向かう。此処もクルリと簡単に一回り出来そうなフランスの小さな田舎町だが、中心部だけは町の機能が凝縮しておりそのロンポワンは混雑している。ジャック・トレルの館は、その繁華部分にデンと構えている。…あ、みつける前に一回、ロンポワンを出る方向を間違えたな、たしか住宅街に入ってしまった。
 車道からちょっと引っ込んだ所に玄関が見えるので、へべに顔を出してきてもらう。間もなくマダム・トレルと連れ立って戻る。スーツケースなどを降ろし、「パーキングはぐるっと回って裏手なのよ、今、案内させるわ」…で若い子を同乗させてそのパーキング…屋根付きの車庫へ車を回す。ホント、中心部だけは「村」でなくて「町」っぽい。
 小ざっぱりクリーンな印象の玄関から右手階段を上がって2階が客室。
「こちらでございます」
 へ〜、だだっ広からず狭からずいい感じのシャンブル。窓から望む、屋根・中庭・石塀・ロシュベルナールの家並…がなんとも気分である。Daty(当地出身)の絵がかかっている。「趣味のいい内装ねぇ」とへべ。
 これも趣味のいい湯舟にゆっくり浸かってプハー…などするうちに夕飯タイム。
 1階に降りてサラマンジェは中庭を囲んで口の字の形。雰囲気ええわ〜。中庭には野菜! (キャベツ? コールラビ? サボテンも?)が植わっている。
 さて、と。ムニュが「オリジナル」のクレアティフで、カルトが「トラディション」とのこと。カルトの方が本当は本質っぽいかもしれなかったな。「Palmer定食」もやってました。80,82,75…など並べて、オマールとシャロレ牛。
 近隣の卓はみな、ムニュからの組み立てとお見受けする。この日は3,4割の入りかな、空いてた。
 引算型のムニュは初めてみた。ズラーと品書が並ぶ名乗りで、「ここから1品マイナスは幾ら、2品マイナスは幾ら…」って表現。まぁ加算型と結局は同じことではあるのだが、印象は少し変わる。Jacque御本人は全て食べて丁度良いのかなぁ? 節々に「大食漢型シェフ」の目印が転がっている感はある。1皿ポーションはわからないけど、さすがに全部だと多そうだ、とマイナス1で注文。まぁ結果的にはマイナス2でよかったかな。
 ブルターニュは概ねどこもそうだが、サンパ。Solangeもそうだし、ゆっくりと話す。ソムリエールは若い娘。見開きの「今日のムニュに合いそうなワインのリスト」を渡してくれる。それだけでもちょっとしたレストランのワインリストくらいのvolumeがあるのだが、頼めばグランドリストが出てくる。「世界有数」、と誇るリストだ。
 今日は風が強い。いきなりの突風で外扉がバタンと音を立てて開き、セルヴールがびっくりしていた。
 まず現れるはアミューズの巨大船団。初っ端のフィナンシェから大きいが、続く船影もみなデカい。東京の店のランチなら「アントレ」って感じ? そしてクレームもタップリ奢ってあってウメー。ウメくて不安。最初からこれで、長き航路を乗り切れるのだろうか。クレームの存在感(腹減ってる時点だしやたらとウマイ)に溺れる舌の直感はしかし正しくて、まぁ後から思うと、少しずつ齧り残してもよかった(出来ないネ)。
 殻入り雲丹はオーソドックス調かな、一口スープなどお供を従えて。
 トリュフ団子モノ…って、surpriseと言いたくなるのだろうか。帆立を細かく刻んだ団子にオハギのようにトリュフをまぶし、アスパラのレジェなスープを卓上で注ぎ入れる。物凄くタップリ注ぐ。フツーの高級店ならお上品にレードル1杯かな?と目算する所で、ワー! 3杯たっぷりだー、、みたいな。割りと直球の質感なので、なにもスープまで完食しなくてもいいか…とも思うのだが、スープにトリュフが崩れ混じり入り出すと、頃合がずっと良くなり、ついつい食べてしまう(こういうのが失敗)という仕掛け。
 「クレアシオン」でもクレームは多く、スープは好きみたい。
 トゥルボは円筒形に巻いて、スープの海に浮かべた海賊船。
 ラパンの白ブーダンが実に旨い。なんか、肉ならまかせとけっ、て印象。…そ、そして、「ち、注文が違ったかなぁ」と思い知りはじめる。ううー、此処んちは少なくともワシらには、カルトからドゥプラ…だったなあぁ、、
 まぁそれでも完食には届くのだが、舌の持久体力がしょせん日本人、っちゅう、、 とゆーか、トレルおぢさんの本質的な持ち味もカルトのような気がするのだが、、 ごちゃごちゃとクレアティフなムニュ…は、ミシュランの星維持用…だったりして、、
 仔羊は可憐さの残るようなまだ小さい肉質で「ジックリ火の入ったロゼ」とでも言うべきキュイソンはとてもデリケートかつ強い。剛腕ジャック・トレル此処にアリ、って感じだ。ヴィアンドのキュイソンが得意の中心だろうか。
 さて大航海もここまで、後はマダムの名を冠した甘味の宴。デセールもクレームこってり型多皿なのだが、“別腹理論”というのは偉大なものである。オーソドックスだがそんなにボッタクなくて結構でした。
 オツカレサマー…じゃないけど、ヨレヨレとサロンに移って珈琲のおかわり。館の愛犬がお出迎え。動いて、場所が変わって気分が変わるとリフレッシュするもので、火照りもずいぶんさめる。如何にもサロンっちゅうサロンで、沈み込む座り心地を尻で楽しんでうわ言を発する。ディジェスティフももらったっけ?、忘れてもうた。堪能&退散。素敵なベッドが待つ。
(コメント工事中)
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  ボタン L'Auberge de la Charme  オーベルジュ・ド・ラ・シャルム   ( David Zuddas  ダヴィッド・ズッダス )
  
12, rue de la Charme 21370 PRENOIS 03 80 35 32 84 www.aubergedelacharme.com
Chef: David Zuddas → サービス: Catherine Zuddas →
・ 2008年閉店 / 店名はそのままに新生
Michelin ○/GaultMillau 17 (2004)

 David Zuddasは、L'Auberge de la Charme(Prenois)を閉め、DijonにDZ'Enviesを開店した模様。これは新店展開の一歩という観測もあり、今後、要注目。 (2008)

 店舗としての「L'Auberge de la Charme」は存続したようで(オーナー変更か借り手変更か知りませんが)、Nicolas et Cecile ISNARD, David et Jessica LE COMTEが営み、ミシュラン2009では1つ星を獲得した模様。 (2009)

ADLC1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆☆☆

 *Les legumes d'Hiver en carpaccio, salade de quinoa et truffes gises de Bourgogne
 *Ecrevisses du Leman, brunoise de legumes et artichauts de Jerusalem un sable pistache-noisette
 *Sandre de Pays, trompettes de la Mort au Xeres, carottes jaune et artichaut, cardamome noire et lait de verveine
 *Cote de jeune sanglier, choux de Bruxelles effeuilles et compotes, jus de carcasse, poudre d'orange et genievre
 *Tatin de coings, creme d'endive et glace caramel
 *Des de Pommes sautes au miel, petit sable au sarrasin, sorbet a la biere de Fenay
 +98 Nuits St.Georges VV / A.Michelot

(コメント工事中)
[AQ!]
カレーマドレーヌ、イワシパンデピス、シャンピニオンとパプリカクレーム、根菜温湯
冬野菜enカルパチョ、トリュフ、キノアサラダ、黄クルジェクーリ、そのパリパリ
レマン湖エクルビス、アーティショー・エルサレム、サラザントーストスティック(ピスタシュ・ノワゼット・サレ)、緑(パセリ)と赤黒ソース 若サングリエ・コート、シューブラッセル、そのピュレ、エピス、ソース別添
白人参ピュレ、サンドル・ド・ペ、ハラミと香草サラダとオニオンコンフィ、ソース別添
コアン・タタン、グラスドキャラメル、クーリ・ド・アンディーブ
ポム、サブレ、ミエル、ソルベ、キャラメルソース
セーター、Gパンのマダム
 真っ暗。Dijonを一歩二歩離れれば、真っ暗。野原だか林だかをタクシーは20分も進む。Prenoisの看板に続いて小さな集落。
 道細く静か。ピッと左側に輝きが走ったのを目ざとくみつける、即ち、AdlCである。簡単な、というか、あんまりな店名とも思うが、実は地名がrue de la Charme, Prenoisなのである。(しかしこんな名前やめて"DZ"にしてくれ。インパクトある姓だし。後記)ちなみに現在のとこ、宿は付属していない。
 ボンスワ〜、ありゃ? 玄関のガラス戸一枚開けて入って「?」である。そこからドアは2枚、正面と左手。どちらもあまり入口っぽくないやんけ。正面を覗いたへべが「こっちじゃ、いきなりサロンに突入よ」
と言うので、階段と厨房入口が見えている左手をオズオズと開けて入店する。正しかったようだ。イラッシャイマセ! スタッフは態度も衣装も若くてクールだ。
 サルへ。フレッシュでキリっとしてやる気ビンビンで居心地良くて、趣味がピリっとして…、サイコー!! もう着席するや、今晩が只ならぬ夜になる予感で満ちるくらいのサル。30人も入るかどうか、こぢんまりしている。
 狂気はアントレと共にやってくる。いや皿の上が狂っている訳ではない。十分アーティスティックで現代的に整理されたプレゼンタシオンであるにせよ。更に言えばその味覚は冷静である。極めて正確に配置された味覚には、細部にまで、DZの鋭敏な考察が施され、醒めた眼差しが到達しているようである。しかし、食べ手は、静かに、そして急速に狂って行くだろう。これはいったい、なんつー、料理であるのか!!
 アーティショーは、DZにとって一つのメルクマールである可能性がある。レマン湖産の小ぶりで極めて美味なエクルヴィスとレギュームを寄せた冷製をガコッとほおばると、妖しく押し寄せる悦楽の香りは、下に敷かれたアーティショーピューレからもたらされる部分が少なくないに違い無い。
 エウスカルやカタルーニャの料理を、別にcopyでも影響でもコンプレックスでもなく迎え撃つ、フランスの仏料理を初めて見た、とへべ。
 レギュムのカルパッチョは、言う通りだが、極めて薄い冬根菜に、たっぷり目のキノワ。質感から得られる印象が、ガルグイユや茸キノワテリーヌを思わせる。静かでクールでいながら、人をゾクゾクさせる逸品。
 シャンピニオンクレームのような先鋭系もあるものの、マドレーヌやトーストなど“コックリ”系も混じるアミューズ群は、「ま〜これでつないどいてくれよ」という意思表示か。鮮烈一尖のアントレ、ズゴンと重厚長大なプラ…と、リズムを計算してそうなシェフだし。
 ワインリストは当然若いが、中々良い集め方をしてると思われる。まぁ料理が集中力を要しそうな気配だし、今日もミディアムでテキトーなブル赤を勧めてもらいまひょ。すると、ツツツ…と滑るソムリエの指が止まるのはプスドールの60(00)。おいおい、さっきリスト眺めて喋ってた冗談がホントーになっちたよ。「ムッシュ、それは素晴らしいお勧めなんやけどさ、まさにそのプスドールは、昨日ネ、飲んだねん」。“えっウソ!”…とヒルみつつすぐ態勢を立て直したカレは「じゃ、今日はニュイにしましょう」と落とす。うまい、優秀。イタリアンで使いそうなでかいデカンタ。(プスドールは昨日100、今日92)

[へべ]
●サービスの兄ちゃんたちはグレイのハイネックでキメている。カコイイ。オーダーをとりにくる女性(これがマダムか?)はジーンズ姿でニコリともしない。クールだ。Zuddas終止姿見せず。
●相客は親子連れが2組、大きな兄弟連れと、とび色の肌の娘?母?と子供連れの仏男性の静かな卓と。まちまちな服装の男2人卓は商談?…帰りにノートPCを片付けていた。客の多くは近く(まぁディジョン圏か)から。年配堂々マダムらの卓はディジョンおエラ方?
●店内のしつらえもスタッフもそこに漂う雰囲気も若くピチピチと生きがよく粋。
●アミューズはどんなかなサテさてと舌なめずりして待つ。到着した第一陣は意外とフツーっぽくもあり実質的というかお腹にたまりそうな。見た目フルーツケーキ(のようなイワシケーキ)やマドレーヌ(カレー風味だけど)などが並んで、そう、オヤツみたい。このあとさらにチーズスティックパイとオリーブオイルも追い討ちをかける。頭の中には?が舞う。しかし案ずるより食えば道はヒラケル。シャンピニオンとクレームにパプリカをぱらり、淡黄色の根菜スープを口に含めば!!!脳内の霧が晴れて行く。
●冬野菜のカルパッチョにて、ピアスの光る若きシェフ、ズッタス君=大当たり を確信。ガルグイユに使われそうな根菜の薄造りが平皿に並ぶ。香ばしいオイル。黄色いやさしいクーリ、酸味の綺麗なキノアのサラダ。ピュアで、シャープで、イカしてる。キレキレの若手。味からのイメージでまず連想されるのはフランスよりもむしろバスクのアドゥリスあたりか。エクルビスのアルティショー使い方や、添えたナッツ板の香ばしさ、オイルにしのばせた香りなどなど。
●アントレの軽やかさから一転して、プラは堂々としているのもいい感じ。とりわけイノシシは「ジュンヌサングリエでござい」と皿に高々とそびえる骨付きの肉塊が迫力満点。(ナイフはもっと切れるライオールものなどが付くともっといい、とAQ。私はありがたくも先に切ってもらった恩恵に浴す)肉もサングリエらしい風味があらわれ、かなり締まった密な肉質で獣系ジビエならコレはやつぱりイイよなー、てな感じですが、別添で供する肉汁系のソースがまた旨い。ガルニの芽キャベツピュレは本尊そのもの。サンドルのしっとり火入れに、こちらも別添でソースもGood!
●地元のおなじみさん向けに簡潔にして要を得たmenuも用意されているあたり、も、この店らしいところか。
●今回の大発見!にして(ゴーミヨ今年のシェフ欄に感謝)再訪欲をそそりまくりのまさに明日を背負って立ちそうなシェフZuddasの料理。食えてよかったざます。
(コメント工事中)
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  ボタン Auberge de L'Ill  オーベルジュ・ド・リル
  
2, rue de Collonges au Mont d'Or 68970 ILHAEUSERN 03 89 71 89 00 (Fax 03 89 71 82 83) www.auberge-de-l-ill.com
ferme vacances de fev., lundi et mardi
depuis1878 Chef: 〜 Paul Haeberlin (1923-2008) 〜 Marc Haeberlin (1954-) サービス: Jean-Pierre Haeberlin (1926-) ソムリエ: Serge Dubs
・
ミシュランでは、1952年に1つ星、1957年に2つ星、1967年に3つ星(アルザス地方で初)を得ている。GaultMillauでは、1990年にCuisinier de l'anneeに選ばれた。
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2004)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2005)
Michelin ○○○/GaultMillau Icone (2008)

併設するホテル部門はL'Hotel des Bergesと称する。実は、長いことオーベルジュを名乗りながら宿泊部門は持っていなかったのだが、1992年にこの素晴らしいホテルが完成した。

 ポールエーベルラン老、逝去。合掌。
 あの超絶のセル・ド・フォアグラの秘密はマルクに受け継がれた模様、そうであってくれ(^^;)。 (2008)

LILL1 [↓メモ版:工事中]
2002年12月 ☆☆

 *ソモンとモヤシ
 *グジェール、テュイル
 *La terrine de foie gras truffee
 *Le Mousseline de Grenouille "Paul Haeberlin"
 *Filet de Sandre Poele nage ecrevisses
 *Le Lievre a la Royale "Paul Haeberlin"
 *La Peche Haeberlin
 *La gelee d'agrumes au pain d'epices, glace a la biere ambree
 +90 Riesling Clos St. Hune / Trimbach

■序____________________
[へべ]
 窓辺の上席に案内された。" Belle Table でしょ "と一言、そこにいるだけで千両役者のJean-Pierre(だっけ?)に脱帽。トリュフが妖しくとけこんだ絶品のフォアグラに、そして夢のように美味しい桃のデセールにも脱帽、のリルの夜。しっとりと雨に湿った風景。

■Ilhaeusern____________________
[AQ!]
 ストラスブール駅前のホテルに、どんよりとした朝が来る。

 前夜。
 21時過ぎ着のSNCFで初めてのアルザス入りを果たす。駅前すぐのメルキュールを取ったのは正解であったようだ。スーツケースをごろちゃら転がしてチェックイン。
LILL2  「靴の中敷に入れる唐辛子が必要よ」と脅されていたアルザスの厳冬であるが、着いてみると、軽く肩透かしなくらいラクな気温である。霧雨が、雪にもならず、そぼ降っていた。(実際、2002年12月末、フランスは全土的に暖冬であった。それが年が明けて2003年になるや、いきなり気温は10度くらい低下し「大雪によるCDGの空港閉鎖」騒ぎまで起きた)
 駅前なるホテルは、地方らしい部屋の広さに防犯目配りもあって、まずまず結構である。お昼はパリ「レゼリゼ」でしこたま食ってきたワシらも、そろそろ腹が減ってくる頃合で、賑やかな灯りを求めてよろばい出る。
 何か軽く気楽に食いたい気分に目立つのはトルコ料理店の多さだ。さすがはドイツ国境の町…? (サッカー界を展望すればすぐわかるように、ドイツはトルコ移民が非常に多い)
 そんな中の一軒で、これはメゼかあれはケバブか…といただいて、満腹・爆睡。

 ストラスブールまで来ていれば、オーベルジュ・ド・リルのあるイロイゼルンはもう目と鼻の先。ゆっくりの朝を、駅に向かう。今日は祝日だが、それでもストラスブール・コルマール間はSNCFの本数が多い。
 イロイゼルンは、ストラスブールとコルマールのちょうど中間くらいに位置する小村である。大体のとこ、アルザスのレストラン巡りも他の地方と似て、本来はレンタカーで回るのが一番簡便なのであろう。しかし「雪が降って当然」の今の季節となると、ちょっとばかし旅人はビビるのである。東京のリビエラと呼ばれる(嘘)南部大田区出身者としては、なおさら雪が恐いのです。 (いや、つまり、チェーン装着慣れしてる人なら何でもないんでしょうが…)
 今回は
「まぁSNCFでなるべく接近しといてタクシーですかね…」
と考える。
(のですが、フツーに金持ちのヒトは、ストラスブールからタクシー直行、で全然問題ありませぬ、念の為(^^;))
 そうは言っても、フランスの田舎というのは馬鹿みたいに寂しいものであるから、あまりに小さい駅を目指すのは不安である。地図を眺めると、「Selestat」という町が、ストラスブール・コルマール間では一番大きく、かつまたイロイゼルンに近い。
 よし、そこに降り立ってみることにしよう。
 で、…降り立つ。
LILL3  シーン。
 ヒューっ。ピューっ。風が泣いてるぜゴゴゴ。
 …これだから、フランスの田舎っつう奴は…。
 静まり返った駅。外に出てみても駅前には何も無く、人の影もクルマの影も無い。
 ┐(´-`)┌
 これは、どうしたらよいかどうか。見回すと公衆電話ボックスがあるので、電話帳に泣きついてみようとする。すると、ボックスのガラスに、ちぎれかけたカードが一枚貼り付いているのが目に入る。見ると「Taxi...」と読める。
「やったね、ラッチョイ」…と、何とか解読できたその番号をダイアルする。

 まぁそんな風にして「何とかはなる」訳だ。
 Selestatの名誉の為に(?)言っておけば、これはそれでも“祝日”ゆえの災難である。実際、翌日(=平日)にこの駅に来てみれば、駅員と乗客でそこそこは賑やかな駅なのである。フランスの日曜・祝日というのは、人があまり出歩かないことと、駅員がお休みの駅が多いことで、「日本人観光客にとってはガーン!」な状況に往々にしてなるのでありました…。

 さて、クリスマスにも働く勤労taxiニーチャン(身なりもクルマも裕福そう。アルザスってそんな人が多いけど)に、「ILHAEUSERNオーベルジュドリルっつー旅籠があると思うんすけど」と告げる。
「OK,イロイゼルン!」と趣味のいいセーターの彼氏は車を飛ばす。アルザスの固有名詞は難読で、“ILHAEUSERN”もおっかなビックリの発音だったのだが、ニーチャンの返答をヒアリングすると、ほぼ片仮名読み「イロイゼルン」…で大丈夫、って印象であった。

 イロイゼルンは、イル川の流れる小村。イル=I.l.l…って綴りゆえ、「Ill川」。…、字面を見てると、何だか変だ。縦線だらけだ。定冠詞つくと「l'Ill」だしな〜。人間のDNAには「流れる川は縦線」って書いてあるのけ?(^^;)
 …って話はおいとくとして、ホントに小さい村である。小さいのではあるが、オーベルジュ・ド・リルは、その集落のほぼ中心に位置するので、回りが田圃だ畑だ草原だ牛だ馬だ…、という訳では、ない。一応、民家や商店や公共施設がある。しかし集落の真ん中の癖して、
イル川は静かに満々と流れ・植木は手入れされ・余裕ある敷地に瀟洒な建物が佇み・“この世の極楽”のような顔をして、
世界中からの客を待ち受けている…。のである。

LILL4  イル川の橋を渡ってレストラン棟の前に着いたタクシーを降りる。見回すと、ホテル棟はその横の路地を入った所のようだ。レストランの隣は教会で、屋根に“アルザスのお約束”=コウノトリの巣、が作られている。「いやぁさすがアルザスだね〜」と言いながら、振り向いてレストラン棟の裏手を見てみると…アレマ!
 そこは、“シェフの部屋”だろうか、小部屋になっていて大きな見晴らし窓がピカリと光っている。中2階って感じの少し高い階層で、総ガラス張りだ。その窓際に置かれたソファに対面で座ってにこやかに話し込んでいる二人の男は…、ありゃま! 「ポールマルク」じゃ、あ〜りませんか! にこやかに微笑みながら語り合う親子。
 いやぁ、これは“いい絵”だったなぁ。二人ともコックコート。デジュネの戦いを終えたところだろうか。…「ああ、写真を撮っとけばヨカッタ」と後でつくづく思った光景であった。

 空はドンヨリと重いが、そこはそれ、かえって「冬のアルザスっぽくて」いいかなとも思う。
 オテル・ド・ベルジュにチェックイン。3つ星レストランの併設オテルらしく豪華に整えられているが、サンパなスタッフに迎えられて親しみやすい印象を受ける。サンパ、それも何処となく“家族経営的”な肌触りは、「フランスでも有数の“家族の絆”をもって営むエーベルラン家」…という事前思い込みがもたらす部分もあろうが、とても快い。部屋のテラスから乗りだすと、すぐ下にイル川が流れる。たっぷりとした流量は、意外に流速もある。かなり居心地のイイ部屋で、二人とも気に入る。2,3つ星レストラン併設オーベルジュの中でも、好きな方に数えられるだろう。

 何もないイロイゼルンの町を、何もないのを確認しようと散歩。何もない。帰館。入浴。実にバスタブも気持ちいい。パフー。

■Auberge de L'Ill____________________
[へべ]
 サルに足を踏み入れた途端、二人して鼻をピクピクさせる。季節の恵み、トリュフの香りが妖しくもふんぷんと漂うサル、というのは初めての経験でした。灰の中でトリュフを丸焼き、という極悪な料理があるようなので、昼のそれの残り香だったのかも。柳の揺れる川辺のオーベルジュが、夢みたそのままにここにある幸せ…。
 やはり特筆すべきはフォアグラのテリーヌ。壺からたっぷりとすくい取って盛り付けてくれた、そのなめらかな舌触り、馥郁とした香りと酸味にうっとり。そして桃のエーベルラン風に絶句。どうしてこんなに美味しいのか。定番名料理は予想以上に魅力的でした。アルザス万歳。

LILL5 [AQ!]
 ホテル棟とレストラン棟は、リル川沿いに100mほど離れて建つ。両棟の間は、手入れされた公園の遊歩道…といった趣き。美食への期待を胸に秘めたガストン達のレストランへのアプローチとして、これほど素敵なそぞろ歩きはない。更に言えば、満腹を抱えた帰り道は、「消化のため」…と言わずとも、少しばかり歩きたいもの、それにも気持ちよい。まぁ、モノのわかった作りである。

 20時を回ったところ。庭側の入り口からボンスワ。通りに面した正面玄関より幾分“裏口”っぽくはある。
 どうもアルザスは、パリに比べて食事の開始時間が早いようなのだが、此処でも既にかなりの数の卓がいい塩梅に“温まって”いる。
 「ほぉ〜っ」と溜息をつくワシらに気付かれもせずいつの間にか現れるJean-Pierreにいつの間にか案内され、漂うトリュフの霞をかき分けて(笑)着席。微笑は千金のJean-Pierreのサービスは、トロワグロのメートル以来の至芸ですだ(カンケーないけど、別の意味でのサービス至芸はシャペルとピックのメートル…名門というのはサスガなものである)。目の前に揺れる柳。イル川寄りで、景色優先型の結構な上席をくれた感じ。

 さて、此処んちのカルトの特徴は「新・旧」入り交じった品書きであることで、歴史の長さを反映している。アレやコレや検討するも、「旧」をやや多め、くらいの注文になった。
 アミューズを待ちながら「どうせ来るでしょ電話帳カルトドヴァン」…などワクテカしていると、背後から何やら随分わかりやすい言語が聞こえる。「いらっしゃいませ」とか言ってる(^^;)。フト見ると、日本人ソムリエじゃあ〜りませんか。
 聞けばこのソムリエO君もリルには来たばっかりらしい。というか、普段はパリのビストロ・デュ・ソムリエにお勤めだそうで、今はそちらが冬休みで、リルを覗きがてら仕事に来たそうだ。何たってリルのソムリエはセルジュ・デュブ(Serge DUBSは、1989年世界最優秀ソムリエで2004年にフランスソムリエ連盟の会長に就任)だもんね。
 折角の日本語会話だ、何が出てくるものやらワイン選びはお任せで…ともチラと思ったのだが、今日は「リストに手応えあればクロサンチューン」とほぼ決めて来たのだ。「アルザスに来たからにはね」のこの酒、こーゆーものは「まだ日にちがある」とか言って頼み渋ってると機会を逃したりしがちなものである。最初からビシーッと行ってしまおうという腹。
 「今日はClos St. Hune行こうと思ってるス」と告げる。ただ、さすがはリルで、ヴィンテージはやたらと揃っている訳で、そこは
「どーかにー?」
と下駄を預ける。
90…、じゃないスカ?
「Oh,Yeah!!」
 落とし所や良し、とお互いホッとして、雑談。
「アルザスどうよ? ドイツ臭いね、さすがに」
なんて水を向けると
それが、やっぱ、言葉が全然わかんなくて焦りまくりですよ。方言なんですかね。でも、やっぱりソムリエで一人、トゥールから来たばかりの奴がいるんですよ。で、そいつに『こいつら何言ってるの?』と聞いたんですけど『いやぁ俺もわからんのだわ』だって
…で爆笑。
LILL6  などあって、テケトーにアミューズ(大したことない)を摘んで、お題はフォアグラへ。前述した通りの、狂気のフォアグラ。今はどうか知らんが、パパ・ポールが、誰にも見せも教えもせず、ひたすら仕込むという伝説の一品。
 食えば気絶しそうに妖艶で…とか何とか書きたいのだけど、ハッキリ言って、食い終わってしまってから我にかえる一品。ハッキリ言って、よくわからん。
 アントレのもう一つは、これもパパの名品の蛙のムースリーヌ。だけど、こちらは冷静な出来。美味しいんだけど、ジックリ“探しながら”舌にまつわせて行くと、「まぁこんなんかな」って感もアリ。…か。
 流行の逆麦藁帽子型の皿で供される(プラとしてはややチンマリ見え過ぎるキライあり)サンドルのポワレは、しっかりと焼かれしっかりと味するが、凡庸…ということはないが、まぁ凡庸(なんのこっちゃ)
 野兎ロワイヤルの出来は、あんまし感心せんなぁ…。監視の目の甘そうな煮込み具合に、仕上げフランベの残りか何かなのか、妙にキツいアルコール香が邪魔。
[↑メモ版:工事中]
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  ボタン Auberge du Cheval Blanc  オーベルジュ・デュ・シュヴァル・ブラン
  
4 rue de Wissembourg 67510 LEMBACH 03 88 94 41 86 (Fax 03 88 94 20 74)
ferme vacance d'ete, vacance de fev., lundi et mardi
Chef: 〜 Fernand Mischler
・
Michelin ○○/GaultMillau 15 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2002)
Michelin ○ /GaultMillau 16 (2008)

[↓メモ版:工事中]
2002年12月 ☆☆

 *Salade tiede de langoustines et St Jacques a l'endive, creme de cepes
  ・ラングスティーヌのフリット、ライム添え
  ・ラングスティーヌのポワレ、胡桃のヴィネグレット、アンディーヴ煮添え
  ・ラングスティーヌの青葉巻き(上に似ている)
  ・帆立のポワレと春菊みたいな葉っぱのサラダ、茸いろいろ
  ・ラングスティーヌのブイヨン、ストローでどうぞ
 *Presskopf de poissons d'eau douce
 *Caille en croute de noix et roule de potiron
 *Declinaison de faisan facon "Cheval Blanc"
 *Chiboust au Kirsch et aux griottines, son sorbet
 *Poire au caramel de girofle
 +90 Pommard Grand Epenots / Gaunoux

ACBL1 [↓メモ版:工事中]
[へべ]
 「Lembachまでよろしこ」。Taxiで目指すはミシュラン2マカロンの白馬荘ことAuberge du Cheval Blanc。Niederbronの運ちゃんも「ああ、あそこね合点だ」と車を乗り入れ、すんなり到着。小さな階段を上がりドアを開けてBonjour!
 …と、どうやらこちらはレストランの、しかも駐車場に出る裏口だった模様。スーツケースをよっこらしょと抱えて入ったAQ!はなんと、Micheler家の当主にしてシェフ、Fernand氏とおぼしきコックコートの主とご対面。いや、ホテルは一度出てあっちへぐるっと回ってねスマソいやはや、的やりとりを経て、今度は正しくホテル入り口へ。
 ようこそやぁやぁと、招じ入れられた部屋は1階のCitronelle(30数m2)←宿の案内ファイルに各室面積をまじえた紹介あり。隣のサフランはなんと55m2!と破格の広さらしい。
 さて、このChambreが素晴らしい。アルザスらしく家具や内装に落ち着いた色の木、壁は白い漆喰(だったかな)、それらによく合うオレンジ系のカーペットやカーテン、座ってよし寝てよしの素敵なソファ。ベッドサイドのランプやフロアスタンド、カーテン止めなども黒い鋳鉄のちょっといい感じのデザインで、壁にはこれまたぼくたち好みの、目に心地くもかっこいい抽象画がかかっている。「"chefのアート趣味"ってレジス(マルコン)さんのとこもそうだし、ジル(グジョン)もそうだったけど、なにか職業パーソナリティ的なものがあるのかなぁ?」などとたわごとを言いつつ、まずはウェルカムドリンクのmuscat d'Alsaceを楽しむのでした。このいい宿に早めに着いてのんびりくつろぐ至福のひとときって、好きだなぁ。
 Dinerの身支度のお供は連日、フランスのみのもんたがお届けする「Qui veux gagner des million?」。クイズの問いと答えの選択肢が文字で表示されるので、耳だけだとハテナ?だらけの当家でもクイズ参加の楽しみがあったりして(でも多くの設問はかなりカンタンらしい…"猫という動物は…1.しっぽ5本 2.頭3つ 3.4本足"…みたいな)。
 いよいよDiner。レストラン棟のサルに足を踏み入れてみると、かなりの卓がすでに埋まっている。20:00よりは前だったと思うので、やはり噂にたがわずアルザスの夜は(スタートが)早めということかも。威風堂々としたサルのしつらえにまず驚嘆。高い天井の中央は、太く重そうな梁と重厚な格子天井風の造りになっている。つややかな材がふんだんに使われ、年代物らしき色ガラスの窓も風格を感じさせる。さらにぼくらを圧倒したのが、客席のこれまた堂々とした人々。ドイツ系の?恰幅よく身なりもりゅうとしたメッシューダムがそこかしこにどっしりと構える様は、まさに地方の(それも国境の)一流オーベルジュ、といったところかしらん。
 カルトは既にサイトと部屋の資料で予習済み。変更点などさらっとチェックし、筋書き通りのオーダーを。
 セルヴィスも実に手厚い布陣で、特にえらい方の灰色ジャケット軍団は"誰が何のエライ人かあててみようゲーム"が出来そうなくらい。ところでアルザスは、ここもそうだったけれど、サラにあまりchefが出てこないようだ。「まぁ、Parisはもちろん、地方でも、マルク・"俺様がスターだぜ"・ヴェイラや売り出し中のアンヌ・ゾフィー(・ピック)とかレジスさんが"よろしく〜"と出て来るなぞを別にすれば、chefは出て来ない方が主流のようだしね」とAQ!。サービスは店の雰囲気&土地柄にふさわしく、きちんとして冷静な感じ、かな。
ACBL2  特筆すべきはサル中央部を占める4卓の意表を突く配置。サル中央に、小島のようにこの4卓が置かれている。案内されてワシら思わず「ナ、ナニー?! @☆**※」(心の中で)状態に。コンパクトなオフィスのデスク配置を思わせる、このドギマギするほどの隣卓の近さ。

[AQ!]
 今日はLembachの白馬荘へ行く。Lembach?…この仏風発音が怪しい独風の名を持つ小さな町は、フランスのイカリ肩の右肩の先っちょも先っちょ、どっちにどう走っても独領にこぼれそうな位置にある。右上一番端っこの2つ星だろう。
 鉄道はなくバスも不明だがtaxiでNBから30euro、Hagneauから40euro程度。
 白馬荘は街道沿いに代々続く旅籠で、日本人的には“集落”という方がふさわしいような小さい町の中心部にデンと構える。
 websiteの写真を見るに、典型的なアルザスの田舎のレストランで、全般的にクラシックな気配アリということで、本日はとてもノンビリと気楽で大どかな気分の移動である。逆にやはり“先鋭的”と聞く店を訪ねる時には「期待と不安」で緊張しているのだな。白馬荘に向かう気分は良い意味で「なめている」ソレで、しかしホントの田舎心地と言えるか。
 Lembach近くに来てから、Taxiの運転手のオッサンは「レンバッハの何処に行くのかの?」と聞いてくる。「白馬荘ってんだけどさ」と答えると、「お〜、そうかいそうかい!」と陽気にクルマを進める。さすがにこの辺りではユーメー店のようだ。
[↑メモ版:工事中]
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  ボタン Auberge du Vieux Puits  オーベルジュ・デュ・ヴィユー・ピュイ   ( Gilles Goujon  ジル・グジョン、ジル・グージョン )
  
Av.de St.-Victor 1360 FONTJONCOUSE 04 68 44 07 37 (Fax 04 68 44 08 31) www.gilles-goujon.fr
ferme vacance(aout?), dim. et lundi
Chef: Gilles Goujon
・ 2001年、ミシュラン2つ星に昇格 (2001)
Michelin 記載 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2002)
Michelin ○○/GaultMillau 18 (2008)

2001年 9月 ☆

 *カラマリと魚介のフリット
 *トマト・バジルのクリームスープ
 *トマトの温タルト・フィヤン&冷ソルベとパルメザンお焼き、オリーブとバジルのオイルで
 *アレネドメアとTortueのジュレ、オー・サフラン、海草のクレーム
 *モリュ・デミセル、豆のピュレとエシャロット、バルサミク・リダクシオンとポワトリヌ・コションのパリパリ添え
 *馬肉パヴェ、馬頬肉の山椒・ジャガイモ佃煮風添え
 *ショコラのアルページュ、フランボワーズ・ヴィオレソース
 *フォンジョンクスのベリー・メリメロ、黒オリーブコンフィ
 *フルール・ド・タンとオリーブとバニーユのソルベ
 +93 Corbiere / Chateau les Ollieux

VP1 ■Puymirol → Fontjoncouse____________________
[AQ!]
  PuymirolからValenceを抜け、適度に迷子観光しながらA62。畑の中の原発がフランス景色。東へ。昼飯食ったエールはLauragaisかな、観光船遊覧も出来るという大規模サービスエリア。Lezignanで高速を降りる。
 コルビエールのワイン地帯の真っ只中をシトローエンSaxoは進む。岩露出が目立つ丘や山が多く、草木の丈は低い。人を見る機会が少ない。スペイン国境も近い南仏の自然が、うっすらと荒涼感を漂わせる。その、荒涼が臭う方臭う方へとクルマを向けて行くと、フォンジョンクスFontjoncouseの村に辿り着く。…なんて言っちゃっていいのか知らんけど、村へのアプローチの最後の数十分間はホントに寂しい土地だ。
 Auberge du Vieux Puits(古井戸旅館)の、古くボロボロの看板を見て通り過ぎ、新しいピカピカの看板を見て通り過ぎ、「ここを右折Fontjoncouseへ」の看板を右折してから、道は山道と呼ぶのが相応しい登りとなる。細い。小型車同士でもすれ違うのは無理かな、という細さがしばらく続いたりする。のふちでもガードレールがあるわけでなし、踏み外したらそのまま落ちてきそうだ。谷を渡る石積みの橋も、可愛い見た目が嬉しいが、やけにか細く感じられる。
VP2  …しかしまぁ、時に山奥の温泉までクルマを飛ばす日本人ドライバーがビクーリするほどのことは無いのだが、ま、こんなに辺鄙な所とは思ってなかったあるよ。観光ドライブとしては、結構、オススメ!

■ Fontjoncouse____________________
 Fontjoncouseは山の上の集落、って感じかな。Puymirolを小さ〜〜くしたような。中心部を通る通りは一本で、ちょっと進むと右手に「古井戸旅館の駐車場」と見えてくる。クルマを乗り入れると、左側にレストラン棟、右手に一段高くなっているのがホテル棟、と見てとれる。ホテル側斜面はまだ工事中。ホテル入口が何処なのか見当つかないので、レストランレセプションに顔を出す。ぼんじゅ〜。背は低いが何やらやる気満々のマダムが出てきた。古井戸旅館を経営するグジョン夫妻、その夫人に間違い無いだろう。
 一旦外へ出て右・右と回り込み登るとホテル入口だ、と言う。クルマを回す。ホテルパーキング・エントランス、それぞれ工事中。工事が完了しても、「フロント」はレストラン受付が兼ねる作りみたいではある。
VP3  新築のにおいが、まだプンプンとする部屋「Thym et Citron」に案内される。オ!オ!オ!オ!オ!こりゃ良い部屋だぜ。テイストは南仏調でモダン、軽くてアートっぽい。「こりゃ若いOLさんなんざ、百発百中で死ぬよ〜ん」と笑うへべ。三角屋根で天井が傾斜しているが、一番高い所はすげぇ高さ。宿泊代650FFと安いし、いい具合の山深さは、観光目的でも魅力アリです。
 ええと、実際、新築なのである。ここAuberge du Vieux Puits(古井戸旅館)は、Aubergeを名乗りながらも、これまでRestaurantオンリーの業態であった。宿泊施設を追加して名実ともにAubergeとなったのだが、宿泊部営業は、聞いてみると「7月に始めたばっかりなんだよ」とのこと。
 この店に興味を持ったきっかけは、2001年版ミシュランでの「2つ星昇格」というニュースであったのだが、ネックとなったのは(ミシュランを見てもゴーミヨを見ても)「レストランだけ」&近くにめぼしいホテルの無いこと。「う〜ん、宿泊が遠いとちょっとめんどくさいかなぁ」などと言いながらwebを彷徨っていたある日、「ミシュラン2つ星獲得でノリノリのグジョン夫妻、今度は隣接したミニホテル建設に着手」とあるニュースページをみつけた。ここに泊まれればこれ幸い・物は試し、と出したFAXが、この新築の部屋まで我々を導いた。
VP4  部屋からそのままテラス、そのまま庭に出られる。ちょうどレストラン棟パーキングを見下ろす位置。庭の真ん中にはプールが完成しており、「レセプションで水着も貸しまっせ」と若いスタッフは言う。たしかにこの日の陽射しは強烈であるが、山の清涼…っつうか冷涼な気候であって、プールに入ったら寒いと思うのだが。
 近所を散歩。蜂蜜屋さん。この辺りから地中海沿岸にかけて、養蜂が盛んなのか、よく見かけた。葡萄畑でつまみ食い。ここの葡萄は食用にもなるな、って甘さ。
 山の上の廃虚まで歩く。裏の壁が一部崩れている。そこから回り込んで正面へ。う〜ん、古そうだ。と、何処から現れたのか老婆が、
VP5 「あらアナタたちはどっから来たの?ジャポン!?あらまぁ。何しに?良かったら中を見ていかない?」
 …中?え、中って?…廃虚の中?…、と、バアさんは扉を開き、すると廃虚の中は…現役の教会なのであった。ありゃま〜。これだからヨーロッパって奴は。12世紀にどうしてこうして、という話であった。拝み方も知らぬブディストのワシらは見学しか出来なかったが、バアさんには丁重に御礼を申し上げて退去。
 教会を下って山の反対側の葡萄畑。手入れを怠ったり、見捨てられたりした葡萄は、妙に「野生化」したような姿が面白い。
 部屋に帰ってシャワー。浴室も凝っていて素敵。変型でデカいバスタブ。

VP6 ■ Restaurant____________________
 頃は良し、レストランに突撃。大きめのサルはとくに区切りがあるわけでは無いが、奥の方半分がちょいクラシカル、手前半分がちょいモダンちょいファンシーなテイスト。全体にまぁ、フツーの高級店内装。ゴーミヨだかに「アートっぽい」と記載があった気がするが、たまに珍妙な置物がある程度(ホテル部の方が余程アートくさい)。ワシらはサルの真ん中近辺、ややクラシカル寄りで壁を背負った良い席を貰った。ホテル宿泊組は、3,4組ぐらいか。その他の客は何処から来るのかねぇ、一体。まぁ、ナルボンヌカルカソンヌ(どちらもクルマで1時間はかかるか…)からか、この近辺のコルビエールで儲けているワインプロデューサー達か。老若入り混じっているが、全体にPuymirolTramaの客を少し庶民的にした、みたいだ。
 アミューズは烏賊リングフライ武骨。トマトスープ武骨。
 注文は、髭面のジル・グージョン御大が自ら取りに来た。アントレの一品を、大書してあるレギュムドジャルダンにしようとすると、
「ああ、それはガーデンサラダだ、タダのサラダみたいなもんだ、つまらんつまらん、他のにしなさい」
とのこと。遠来の客には、やはり、自慢の腕を振るった料理を、ということか。それでは、とアレネのジュレに変更して、決定。あ、それからそういえば、南仏巡りではここに限らずどこでも、料理注文時にデセールの注文まで取られた。そーゆー習慣なのかね。デセールは「ボクの自慢の」2品。
 ヒゲのジルは気の良い男で、妻ともども、やる気満々である。英語が随分と流暢だ。だから自分で注文取りに来たのかもしれない。翌朝にトシを聞いたら、
「ボクは40歳。このレストランを10年やってるんだ。ホテルはまだ1ヶ月だけどネ」
輝く瞳。何せ、本年度ミシュラン2つ星新規昇格だもんね。2つ星の報を聞いて、銀行家の資格審査のヒモも弛んだのかもしれないし。まぁ融資を受けるには、沢山の保険に入らされたであろう肥満体。その料理を食べてもわかるように、塩分も大好きみたいだし。
VP7  …と呑気で優雅な空気の中、好漢ジルの料理の腕もエクスランならホントに良かったのだが、どうも、ワシらは首を傾げることが多かったのではある。
 技術・才能ともに「?」である。品書き上の名乗りは旨そうなんだけどなぁ。技術に精細さ・力強さともに無く、凝った工夫に期待するも皿上には何のマジックも起きない。んで、五月蝿いことを言わずにガ〜っと食って…も、マァマァ、なのね。もっとも「マァマァ」って曖昧な概念で(アタリマエだ)、「地方のミシュラン1つ星」だったら賞賛されるべきマァマァかも、という面はあるのだけど。2つ星になるとやっぱ、期待がかかるんだわなぁ…。
 とくにアントレの2品は、粗いし、旨さもソコソコ止り。
 美味しかったのは、の一品。タルタル以外で馬肉料理を見るのは珍しい気がして注文したのだが、アタリマエなことに、フランス料理の中では、鹿によく似た食材として機能している。ロティは勿論旨いし、馬頬を山椒で佃煮にしたが如きガルニも大変好ましい。どうもこのヒト、タイプ的に、プラのヴィアンドは上手なんじゃないかな〜、とはちょと思う。
 フォンジョンクス近郊はベリーが名物らしく、デセールの一品は山のようなベリー。朝食にもベリーはふんだんに出ていた。いやぁ、いい朝だったな〜。爽やか。やはり、清涼…というより冷涼で、9月アタマの快晴というに、「寒いなオヒ」とか言いながらテラスでいただいた。
 …。
 さて、2つ星昇格、正直言って、ミシュランお得意のトンチンカンな先物買い、という感を否めないのだが、ま、いいや、この好漢夫婦のやる気ぶりを見ると、何とか成功を収めてはもらいたいものだと思う。…と何だかシツレイな日記ではあるが、古井戸旅館の客や経営関係者が日本語ページを読むとも思われないし、良かろう御家老。
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  ボタン Restaurant Regis et Jacques Marcon
  
43290 SAINT BONNET LE FROID 04 71 59 93 72 (Fax 04 71 59 93 40) www.regismarcon.fr
ferme 1er janv. au 15 mars, lundi soir sauf de juin-sept., mardi et merc.
Chef: Regis Marcon
ACC0 ・
Michelin ○ /GaultMillau 16 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2004)
祝!ミシュラン・ギドルージュ3つ星獲得! (2005.2)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2008)

 此処んちの屋号はオーベルジュ・エ・クロ・デ・シーム(Auberge et Clos des Cimes : Regis Marcon)…だったのだが、新館完成・3つ星獲得に伴い、何となく、「Restaurant Regis et Jacques Marcon」「Hotel Le Clos des Cimes」って感じに変わったみたいである(^^;)。 (2006)

ACC1 2002年10月 ☆☆☆☆

 *サンネクテールのベニエ、グリヨトンのオーセザム、シャンピニオンのクロックムッシュ
 *シャンピニオン小フリットとクレームくるくる、シャンピニオン・ラタトゥイユ
 *シャンピニオン・ヴルーテ
 " Le Menu entre Velay et Vivarais "
  - Sur le theme des herbes et des champignons d'Automne -
 *Gateau de cereales aux champignons et legumes marines, tapenade forestiere et vinaigrette au parfum de noisette.
 *Compose de langoustine et coquillages en mariniere d'herbes sauvages facon " soupe au chou ", mousserons (Oreades) et lactaires delicieux (Lactarius deliciosus).
 *Croustillant de foie gras aux amandes et marmelade poires, pommes escabeche de lentilles vertes du Puy, des fleurs, des radis, carpaccio de cepes (Edulis).
 *L'Omble Chevalier cuit meuniere aux deux chanterelles (Cibarius et Tubaeformis) releve d'une vinaigrette a l'huile de champignons grelles, beurre d'oxalis.
 *Consomme de Craterelles (Trompettes de la mort) parfume a la feuille de tanaisie.
 *Sorbet des Champagne rose
 *Le filet de chevreuil poele aux airelles, coings caramelises avec une papillote pistachee aux cepes (Sparassis crepus, Pieds de mouton et tricholomes pretentieux).
 *フロマージュ・フレ
 *アヴァンデセール
 *バナナとキャラメリゼモリーユのバニーユ串、ソルベ・ド・ココ
 *ショコラアメール、赤い果実、ソルベ・ド・カシス
 *シャンピニオンのクレームブリュレ、シャンピニオンのショコラ
 +99 St.Joseph les Clos / Florentin

ACC2 ■ Saint-Bonnet-le-Froid____________________
[AQ!]
 アノネからTwingoはひたすら山を登る。クネクネと登る。千尋の谷が深く、踏み外したらそれまでヨ。当然の如くに眺望は絶佳にして気分は激しく盛り上がる。
 もっとも、翌日判明したのだが、Saint-Bonnet-le-FroidからPuy方面へ降りる道はなだらか。全方向に急峻ということはあまりないマッシフセントラルである。Saint-Bonnet-le-Froidはこの近辺では「ほぼ山頂」に感じられる。集落に入るとホテルやレストランが何軒か続く。昔から「ごく小規模な観光地」といった位置付けだったのだろうか。深い谷の向こうに、「山また山」が望まれ、大変に気分良い。谷でない側にはのんびりと牧草地が広がり、牛が草を食む。
 教会の隣にAuberge et Clos des Cimesを発見、とりあえず教会前に車を停めて、茸の看板の玄関を入り、ボンジュール。山の宿とあって、ファーストコンタクトからのんびり気分だ。
 案内に従い館内を進む。サロンを通り抜け食堂に出た所に、地下へ下りる階段がある。下って回り込むように進むと、薄暗い廊下は、右手壁面に絵画・左にワインカーヴという造りで、優れて洒落ている。この地下廊下は地上レベルで考えると、道を渡って隣の建物に移動していることになる。隣の建物は買い足したのかな。
 廊下をさらに進むと右手に中庭が現れ、左手が朝食食堂、突き当たりに客室が並ぶ。すなわち、地下レべルを歩いていたものが、山の斜面に突き抜けた位置まできた訳で、そこに客室が配されている。
ACC3  「茸男」「茸馬」やらの絵画が各部屋毎にテーマとしてかけられたドアを開け入室すると、遠くの山々がドッカーンと窓から一望…山岳旅行のゴチソウだ…空が青いぞ…とりあえず笑ってみるかワハハハハハ(…と果てしなくゴキゲンに…)。テラスに出てみると、すぐ下は牧場になっていて、馬がゴロチャラしている。
 部屋の造りが麗しい。曲線を活かした寝室とリビングの仕切り、石敷きのリビング、木と石と布材の案配、ベッドの後ろに大きく絵画調タペストリ、一部ガラス貼りの浴室で山を見ながら入浴…。
 「うーんこの部屋好き!この部屋好き!」と繰り返すへべである。関係ないが、Georges Blancでは閉まったキリで役に立たなかったオートマ部屋金庫が、ここでは使えた。もっとも、物盗りがいるとも思えん田舎村だが(笑)。バスタブが1/4円の形で、どっかで見たような…そう、FontjoncouseGoujonの宿と同じ。他にも似ている節々があり、「グジョンは昨年のホテル新設にあたって、同じく山の宿であるこちらなども大いに参考にしたのではあるまいか」…というのが、我々の推測。どうせなら料理も大いに参考にしたまいチミ、というのが(後々の)我々の意見。
 そうだ、旅のスケジュール立案の話も書いておかねば。
 リヨンから車で半日移動半径内ほどの高級レストランは「月曜休み」が大原則である。この地方の地域的な習慣だろうか。ちょっと行ってみたい店は、軒並み月休。我々のように過密スケジュールで絨毯爆撃する貧乏人の旅程組みには障害となる問題だ。而してしばらく思案を繰り返すうちに気が付いたのが、Auberge et Clos des Cimes"夏の稼ぎ時は月曜も営業"と言ってるらしき但し書き。これが"9月まで"ということで、エイヤ!と「9/30月曜はどーよ?」とリクエストを出した所、9月の最後の一日まで営業原則は適用されていたようで、OKの返答。効率よい日程が立った。

ACC4 ■ Regis Marcon____________________
 さて、山の夜。
 暖炉前のサロンでシャンパンを傾けながら、昨年のゴーミヨ"Chef de l'annee"レジス・マルコンのカルトを拝見するとする。
 この大自然の中、Saint-Bonnet-le-Froidで生まれた山の人レジス・マルコンは、茸を愛する料理人という。季節は秋、先ほど近所をちょこっと散策しただけで、唸りをあげて地中から枯葉の影から生えてくる茸がみつかった。「あ〜やっぱり茸の山なんだねココは!」と相変わらずワシらの感想は脳天気だが、こうなると注文に際しても気にかかるのは、、、、。
 そう、そーゆー諸君には、「ムニュ・ド・秋の茸と香草」!! これだよね、やっぱ、ウン!! …とオーダー一決。
 アミューズ盛りの皿が到着。サービス君はまずは楊枝が刺さった一口コロッケを指し「サンネクテールのベニエだ、つまんでみてチョ」とのこと。パクッ。ウワーっ!
 正直、これで本気になりますた。単純ながら揚げが素晴らしい。近年、"tempura"の洪水じゃないけど、ちょっとした揚げ物がよく供されるのだが、揚げほど質がバラバラな物は珍しい。多分、デフォルトでは、フランス人には揚げの感覚は希薄なんだろう。星付レストランでも悲惨な物が幾らでも出る。ところが、僅かに存在する"イケてる"人の揚げ技術(指導)は、素晴らしい物がある。此処んちのが、そう。
 アミューズはどれも旨く極上。衿を正す。ゴーミヨ「今年のシェフ」というのもウチには今一つ信用が無いのだが、実際に口にした現実というのは恐ろしいものだ。そして、アミューズは真実を映す鏡である。たかだかオツマミに加重をかけるのは野暮なことであるが、アミューズの具合にその店の質や個性の在り方が如実に現れちゃうのが、ほっとんどのフランスの高級店における事実だ。
 「全く、アンリルーのアミューズは腑抜けだったよな〜」と麓の店の回顧悪口を言っていると、レジス・マルコン氏が最初の軽い挨拶に登場。中肉中背で、とても優しそう&穏やかそうなタイプ。握手すると手も柔らかい。「優しいね〜、レジさん」。この時から、それまで未定だったレジス氏の我が家の家庭内呼称は「レジさん」と決まった。何故か、「レジさん」、がピッタリくるカレ。
ACC5  (左写真がそのレジス氏。午前中の雑用タイムの姿。ピンボケですが、何ともお人柄が出てるような気がして大好きな写真です。この構図になると、ロワゾー氏やヴェイラ氏は、そのデカい手でワシらの肩をギュッと抱きしめてニカ〜っとカメラ目線で笑う訳だけど、どうです、このレジさん! そうそう、記念撮影で思い出したけど、トラマ氏は、「旦那はもうちょいそっち側…そこそこ…そこがいい、デッサン構図がこれで奇麗だ」って仕切ってました。みんな妙に性格出てっしょ?)
 シャンピニオンラタトゥイユはラタトゥイユと説明しながら、スッキリとした軽い炒め煮に茸が香って快い。
 カルトドヴァンには何の期待もしていなかった。これが、手渡されたカルトを開けるとなかなかの気合い。新興のリストではあるが、良い感じ。"南の3種の神器"と勝手に呼んでいるカテランオマージュムンタダが見事に揃い踏み。まだ若くて出番を待っているが。
 97のGaubyVVにでもすべかとソムリエに聞いてみると「このムニュには重くて凝縮しすぎていると思うがよいか? よろしければサジェストさせていただけるか」と、若く熱心でスマートな口調。コヤツは信用できそげ、と、「フムフム、試みたまい、ローヌ赤かな」と願うと、指先は案の定、分厚いストックを誇るSt.Josephに向い、幾つかのサジェスチョンが述べられる。その中で、ビューティフルという表現だったフロランタンに。
 さて、サルへ。と言っても、ここんちでは、サロンから目と鼻の先に我らがテーブル。全般にコンパクトな店なのら。落ち着いてパッとしてよろしいサル。薄いカーテンのくすんだ色合いと、明るめだがコントラストある照明が力があって、昼間見たときに「ウ〜ン、どうでしょコレ」と思った調度(赤い傘緑の傘…)が活き活きと見せられているのがわかる。また、どこと限らず絵画が多く配され、とても効果を上げている。
ACC6  趣味がいいんだよね。テイストに関しては色んな絵が混じっているのだが、全体バランスで美しく見えるように置いている。思い返すと、部屋の「サービス一覧」の紙の裏に「絵画と料理」by Regis Marconという小文が載ってたりしてて、ホントに趣味らしい。そう言えば、厨房が、本館側にメインキッチン、新館側にパンなど含めたパティシエと分れているのだが、菓子部の隣にデッサン室があった。料理のアイディアスケッチ室かもしれないが、絵を描いてみたりするのやも。
 ヴルーテ茸の精
 テリーヌ。ワ、包丁が細かいわ〜。下に穀類(どうもキノワらしい)を敷き、それは少しだけモヤシを吹いている。上に野菜と茸を精妙に貼りつめ、その位相を裂く赤い炎はカリカリのポワブロンルージュ。パクッ。「ワワワワ、大変だよ、へべちゃん!」。涙腺にコタえる。これは半端じゃない。美しい。何てこった。間違いなくトップクラスにいる料理。それぞれの要素が山を吹き抜ける風のように香りを奏でる。
 ここまでにも感じていた料理上のシグネチャを一層際立って印象付けるのは、味わい上の「優しさ」である。優しい。香りのキレがピンピンと立っていても柔和。それはクレームやレの成分による優しさではなくて、香り油と酸のストラクチャから成るのだが、その組み合わせが、刺激や強靱さよりも、何か優しさを湛えているのである。
 ホントにこれは、表現の予定調和をする気は毛頭ないが、「あのレジさんの料理」なんだよん。あの人柄の通り。後々、再度の挨拶をしたが、このヒトは、話の通じる人。シャイな内気の成分は無いが含羞、気さくではあって温和。
 それでいて。人の良い優しい感じの料理というのは、往々にして、どこか緩い所がある物だが、それがみつからない鋭さがある。
ACC7  …。実は大変奇偶なことに、この2日後、我々とレジさんはMichel Brasのサロンでバッタリ出会うことになる。
「ウッソ〜〜!」
「やぁやぁ、こちらに来ていたか貴方がたは。ボクはね、ミシェルとは友人でね、今日はこの辺りに茸採り、茸買いに来たんだよ。あの、向こうの山では、"matsutake"(シッテルダロ?)が採れるんだよ」ニコニコニコニコ
 マルク・ヴェイラが「ヲ!ミシェルか、奴は俺の大のダチさ、山の仲間はいいよな、フォフォフォ!」とか言ったりしたら「ホンマかお前、向こうもそう言ってんのかよ」と突っ込んでみたくなる(ような気配がある)のだが、レジさんが似たようなことを言うと、ホンマに2人はアミなのね、って感じが漂う。
レジス、君は何でいつもそんなにニコニコしてるんだい?」
「そーゆーミシェルはムッツリしてるよな〜」
とか言いながら、楽しく2人で茸狩りしてる…、みたいな。いや、ワシの勝手な妄想ですが。
 茸のカルパチョとは何ざんしょ。生の茸をただ薄〜く斬っただけ。いい香り。
ACC8  魚はオンブルシュバリエ絹のタッチに夢の膨らみ。見事な肉質と加熱だ。ソースのベースはオランデーズのようなオーソドックスな物だけど、トレ・レジェ。上手!
 茸の道はデセールまで続く。山のモリーユはバナナと串刺しの刑になって日本人に食われるとは、ひっくり返っても想像できなかったろう。
 茸クレームブリュレ茸チョコも「おしるし程度」どころでなく、プーンと胞子の花が咲くが如くに茸の香りが満ち満ちて、驚くことに美味。量的に立派なムニュの最後とあって腹は苦しかったけど。
 翌朝、寝ボスケが遅い朝食を取っていると、トレーナー姿のレジさんが通りかかる。「貴方のキュイジーヌは凄い、とんでもなくてよろしゅうございます。サイコーだぜベイベ、とても良い」の如きウワゴト仏語を投げかけると、「そう言ってもらえるのはボクの喜びですよ」ニコニコ。いい人だな〜、レジさん。
 ところで、マダムの方はキビっとして、少しヤリ手タイプなのかもしれない。昨日はキリキリとフロアを仕切っていたマダムに会計を頼む。お勘定は、内容からすると脱力するくらい安い。会計マシンはiMacでした。

(2002秋 Vonnas"Georges Blanc" → Saint-Bonnet-le-Froid"Auberge et Clos des Cimes" →  Laguiole "Michel Bras")

2004年11月 ☆☆☆

RM  ←は建造中の新館(2005春オープン予定)。建物のすぐ先から急に山腹は下っており、よーするに大絶景(笑)となります。


[↓メモ版:工事中]
[へべ]
●秋色の山道をウネウネたどり、サンボネルフロワ(おお寒そうな地名であることよ)に向けてひた走る。霧たちこめる谷間から山の上へと進むにつれていつしか雲の上に出た。陽光燦々。そうこうするうちに谷も晴れ渡り、絶景! わーきれい、きゃーすてきと騒ぐ助手席をしりめに、健気なおとーさんとYarisはずんずん前進していくのでした。ついに見えてきた、懐かしの寒村。丘の上で何やら工事中で、これがウワサのRegisさんの新館かも。
●今回の部屋はなんとかサタンという茸の名前。アダムとイブと誘惑のキノコ的表札の絵柄で、室内の大きな絵も官能的な裸婦。コイビトたちの20号室ってとこか? チェックのクッションのソファがあいもかわらず、素朴で愛らしい。
●丘まで散歩。さ、寒い。気温が低くて、風もツメタイ。今回最大の重装備で出たけど、頬が耳が冷たくてやっぱり丘のてっぺんあたりで折り返す。新館と思しきその辺りからの眺めは最高。ブラスが町の中から丘の上へと移ったのをなんとなく連想するが、こちらは旧館も併用になるコンパクトな展開。…かな?
●サロンの、暖炉の前のソファでアペリティフ。目の前に、続々と到着する客また客のその数におどろく。この日の大サルには7人卓(しかもアラカルト)・10人以上のコース卓、さらに個室に14,5人くらいの超大人数御一行様というにぎわい。11月のフランス人は大宴会好きなのか?
●サロン隣席に日本人の若い男性2人。翌朝、うち1人がナプキンにせっせとリボン結びしてるところに遭遇。聞けば、この杉本兄弟、フランス語ペラペラ在仏6年のヒゲの弟氏がトゥールに友人と店を来年に出すのだとか。兄氏はサービス修業中でこのあとはムジェーブに行くそうだ。
●料理は、やはり秋の茸のムニュにしてしまう。この前食べた10月バージョンとはかなり違うようだし。あれもこれも食べたいし。
●アミューズ。まずナッツ。炉端でナッツ、というのがとても気分。ここからすでに精度が高い。揚げアミューズもカラリと絶品。
●Regisさんの料理はやっぱりすごい。おそろしく手の込んだ精妙さと、しみじみとした大地の滋味がどちらもそこにある。ソースは極限まで切り詰めたストイックな構成なのに、深い味の広がりにため息が出る。おのれに厳しく、食べ手にあたたかくやさしい。そしておそろしく知的な、考え抜かれた料理が、コントロールの手を決してゆるめることない緊張の中から次々に運ばれてくる。オンブルシュバリエのしっとりとした肌にオイルが香る。茸そのものよりも茸なコンソメ。シュブルイユの肉(極上!)はロティで。グランヴヌール調の煮込みは茸の泡帽子をかぶって小さなグラスの底から顔を出す。
●オンブルシュバリエ 3種のシャントレルの説教? ...Lecture
キノコの粉? ピュレとか シャントレル黄/黒(とくにうまい)/茶
●シャペル様はごっつい。丘の上のLe Chapelleを拝んできたよしみで…といただいた88だが。

[↑メモ版:工事中]

(2004秋 Grange-les-Beaumont "Les Cedres" → Saint-Bonnet-le-Froid"Auberge et Clos des Cimes" →  Vezley "L'Esperance")
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  ボタン Aux Pesked オー・ペスケ
  
59 rue du Legue 22000 Saint Brieuc 02 96 33 34 65 (Fax 02 96 33 65 38) www.auxpesked.com
ferme samedi midi et dimanche soir
Chef: Jean Marie Baudic 〜 Mathieu Aumont サービス:Sophie Aumont
・
 ガニェールのスー・シェフを4年、エレーヌ・ダローズのスー・シェフを2年勤めたボーディックは、Gault Millauの「Grands de demain 2004」に選ばれた、いま注目の若手。陽気で、すげぇ感じの良いヤツだ。 (2005)

Michelin ○  /GaultMillau 16 (2004)

 Aux PeskedからシェフJean Marie Baudic ジャン・マリ・ボーディックが離脱した模様です。自分のオーナー店の開店準備とかでしょうかねぇ? (2006)

 Jean Marie Baudic 自らの新店は「Youpala Bistrot」。サイトを見る限り、「そ〜キタかぁ!」って感じの店ですね。 (2006)

APES1 [↓メモ版:工事中]
2005年 5月 ☆☆

 [Degustation Mets & Vin]
 *ソモン・ミキュイ、蛤大根、牡蠣生ハム、トマトコンフィ、パンプルムース・サルディン楊枝
 *ラングスティーヌのサラダ仕立て コキヤージュ(浅利・ビゴルノーのオーブン焼)・ロケット
 *サンピエールのポワレ ビゴルノーのせ、白・緑アスパラ、ツルムラサキ(の酸っぱいヤツ)、サラミ、サフランの泡
 *ピジョノーのロティ ポムドテール、エシャロット・コンフィ、若豆苗、プチポワの皮揚げ
 *フロマージュブランとコンコンブル、ブリーにカイエンと泡、葉っぱ添え
 *クレームレジェのアヴァンデセール
 *黒い森の再構成
 *フレーズ尽し

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 全卓、フロマージュ・キュイジネ
 PGのスーシェフ4年のJBMの、現代的な、取り合わせにも面白みのある…料理だが、むしろ我々の“予想”に対しては、「オーソドックス」で王道、古典的色彩もある…そんな点が印象に残った。味も「しっかりとした」物で、強過ぎたり濃かったりはしないが、堂々として揺るぎのない感じ。これがJMBの個人的資質、乃至は好み、なのかな。とても美味しい。
 ラング・貝の皿は、オーソドックスの傑作で、ヒネったソースなどでないのに、まったく口が飽きず、貝のミネラルetc.がとてもキレイ。ラングのキュイソンも良い。ロケットが強烈に強いモノで、ロケットで統率が効く。
 鳩はORの鳩を蹴散らした。
 渓谷を見渡す絶景の好位置、の店。St.Bは変な街で、銀座から15分歩くと等々力渓谷…もとい、秋川渓谷に至る。とにかく、サントルヴィーユからア・ピエで辿り着ける場所なのに、凄い大自然展望である。
 Pesked(ブルトン語:poisson)だらけの店内は、とてもクールでアートっぽく、明るくて居心地よい。この日はほぼ全席が地元っぽいが、アート職業くさい客やそうでなくても“かっこいい”服で来店する客たちが、雰囲気を作っている。
 チャールズ皇太子っぽいマシューとソフィーが、チャッチャッスチャッとフロアを闊歩。ソムリエが、なかなかサンパな奴だ、とワシらに好評。こいつは笑顔が沢山。
 サンパと言えば、JMB。
「アリガトウ」
「ドウイタシマシテ」
…は日本人スタジエから習ったか。すんごく「気のいい若者」調の喋り。
「何でウチなんかのこと知ったの?」
って言うから、
「アンテルネのサイトあるじゃん」
とへべが言った後、ワシが
「チミチミ、ゴーミヨのグランドマンじゃねーかよチミ」
と突っ込むと、
「ワオワオワオ〜!そうなんだよ〜」
と喜んでおりました。
「バカンス? ブルターニュの食べ歩き?」
に「そーそー。ロリエンにロシュベルナール、カンカルにノント…」
と答えると、ここでも「ブルターニュ・レストラン」本が出てきた。
「フォフォ、チミは何処に載っとるのかね?」
と頁を開かせた所でサインしてもらう。
 それにしても気持ち良く感じ良く、アミみたいなJMBだ。言葉を換えると、未だスーシェフ根性が抜け切っていない、と言えるくらい(^^;)。
 これも日本人コミから習ったらしい
「来店ありがとう」
と記したミニャルディーズ皿は笑った。
[↑メモ版:工事中]
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  ボタン  Le Bout du Monde  ル・ブ・デュ・モンド
  
BERTHENAY 37510 02 47 43 51 50
depuis2005 Chef: Keizo Sugimoto 〜  サービス:Jacques Praud, Christophe Roublin
・
 敬三さんのサイトにある通り、諸般の事情によって杉本敬三シェフは、11月に辞任されたそうです。たいへん残念ですが、ゆっくり休み、次の目標に向かわれることを期待します。 (2005)

 杉本シェフの新しい勤め先ですが、St.Junien(リモージュ近郊)の「ローリーヴァン:Lauryvan」とのこと。 (2006)

 敬三さんのサイトによると、「ローリーヴァン:Lauryvan」を辞任されるそです。また次が楽しみですね。 (2007)

 敬三さんのサイトによると、今度はアルザスはリクヴィール「Auberge du Schoenenbourg」に着任だそうです。ワクワク。「ジャン・リュック・ブランデルのいる町じゃないですか」と言ったら、「刺激されます」とのこと。一つの町に期待できるレストランが複数あるのは、色々とヨイ!と思います。行きて〜(^^;)。 (2007)


LBDM1 [↓メモ版:工事中]
2005年 5月 ☆☆
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  ボタン Buerehiesel  ビュルイーゼル
  
4, parc de l'Orangerie 67000 STRASBOURG 03 88 45 56 65 (Fax 03 88 61 32 00) www.buerehiesel.com
ferme vacances d'ete, nouvelle an.,mardi et mercredi
Chef: Antoine Westermann (1946-) 〜 Eric Westermann
・ アントワーヌ・ヴェスタマン料理長、引退か? (2007)
Michelin ○○/GaultMillau 18 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)

 シェフパトロンAntoine Westermann氏が引退、息子に跡を継ぎ、ギドミシュランの三ツ星は返上するのではないか、という噂です。 (2007)

BUER1 [↓メモ版:工事中]
2002年12月 ☆

 *殻に載せた帆立マリネ、イワシのマリネ・トマト添え、香草カネロニ
 *Filet de Brochet aux aromates, Poireaux vinaigrette et oeuf poche
 *Schniederspaetle et cuisses de Grenouille poelees, au Cerfeuil
 *仔鳩のロティ、キャベツとジャガイモ
 *チョコムース、パイナップル、エピスの効いたフルーツのコンポート、バニラクレーム
 +87 Cote-Rotie la Landonne / Guigal

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  ボタン Les Cedres  レ・セドル
  
Granges-les-Beaumont 26100 DROME 04 75 71 50 67 (Fax 04 75 71 64 39) www.restaurantlescedres.fr
ferme vacance, lundi et mardi
Chef: Jacques Bertrand
・ 今だ注目されざる片田舎の店だが、最先端を疾走している (2000.12)
Michelin 記載/GaultMillau 14 (1990)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2002)
 ワシらが審査員なら、Michelin ○○/GaultMillau 18 くらいは付けちゃうなぁ…(^^;)

 祝!ミシュラン・ギドルージュ2つ星獲得! (2007)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2008)

2000年12月 ☆☆

 *フォワグラと生ハム、トマトとタプナードの小さなカナッペ
 *フォワ・ド・ヴォライユのムース、タプナード入り
 *アニョーのカルパッチョ、タプナード・トリュフ風味、生ハムいりサラダ添え、皿に胡椒
 *オマールのサラダ仕立てドライトマト添え、八角風味
 *ピジョノーの焼いたの、と(その?)ブーダン、プティポワ煮
 *Cerf(鹿)のグランヴヌールソース添えと、雉とシューヴェールのクルスティヤン(春巻)アリコヴェール添え、皿に血味噌(?)塗り、焼栗とベリーのジュレ添え
 *フロマージュブラン
 *小さなカソナード
 *小さなガトーショコラショー、ハーブのアイス、グラスでバニュルス
 *青林檎のソルベに青林檎のチップ
 +64 Hermitage / Chapoutier
 +エスプレッソ、アンフュージョン(バディアンヌ)

Cedres1 [へべ]
 タンレルミタージュ(ワインの「エルミタージュ」の街である)泊のこの日、街の散策から戻り、フロントで
「夜のタクシーを…」
と言いかけると、Hotel Pavillon(何とChapoutierの経営…ワイン好きの人はここで笑ってくれい)の陽気なアンヌおばさん(と勝手に呼んでた)は後を引き取って、立板に水のアングレお喋りモードに突入。
「あ〜あ、グランジレボーモンっていうとあれね、レセドルに行くの? そ〜お、そーでしょ、ハイハイ大丈夫よ任せなさい何時がいいいの?8時半ね、手配はまかせてまかせて!」
…。…というわけで、タクシーは濃い霧の立ちこめる田舎道をブンブンとばして無事到着。
 ライトアップされた前庭とファサードはなかなかの構え。なんとなく「おらが村の一つ星(…居酒屋風っつうか)」を思い描いていた予想は、ここを始めに、次々に良い方に裏切られていく。適度に広々としたサル、カーテンとカルトにお揃いの赤いケシの花が咲く。暖炉にはうず高く積まれた林檎。卓上には3本蝋燭の燭台が輝く。
 グラスでシャンパーニュとアペリティフメゾンを。後者はちょっとカンパリが濃くて、「そうそうこっちはあまり食前酒に凝ったことするお店、少ないんだっけ(たまにあるけど)」、と再度学習。
 さて、広げたカルトを眺める。ムムム…謎だらけの「読み解きつつ、サービス陣の助けを得て初めてわかる」タイプのようだ。シャロレのDuo、というのは牛の何処だ?、とか、頭の中で「?」マークを乱舞させつつ、大方針としては「アラカルトにしよう」と決定。そのお目当てはK田さんお勧めの、アニョーのカルパチョ。
 …とあれこれ悩んでいると、メートル登場。
「厨房に日本人の子がいるんですよ、お手伝いによこしましょうか?」
的なオファーがあり、渡りに舟とばかり、来てもらう。辻調から研修で入っているという山田クンという若者に助けてもらった。
「このCerfってなーに? … 鹿なんだ … 鹿とあと雉とキャベツをクルスティヤンって…パイ?違う?」
「春巻にしてあります」

…的なやりとりがあって、ジビエは当確に。
「あとは、この豚足はどう?」
「いや、折角ここまで来て豚足じゃ勿体ないでしょう。この皿は殆ど出ませんよ」
「お勧めは?」
「オマールはどうですか?」

…etc.。そうそう、シャロレのDuoは頬っぺたの煮込みと肉(どこか忘れた)の焼いたので
「はっきり言ってこれは食べ切れません。量が多くて…」
というのであった。いやー舞台ウラからの情報というのはまた面白い。
Cedres3  山田クン(多分…辻調のコックコートの胸に縫い取りがあった)のお助けで料理の注文も決定。…と、その間に運ばれてきたアミューズの旨いこと! OKマークの指の輪っかくらいのちっちゃなカナッペ、フォワグラに巻いたわずかな生ハムの帯が力強くも美味。焼いたプチトマトの南仏風味もいい感じだ。続いて登場した鶏レバーのムース、フォンの効いたソースと底に仕込まれたタプナードもばっちりの相性で、これまた旨い。アミューズの予期せぬほどの旨さに料理への期待がワクワクと高まるという、一番幸福なパターンとなった。
 「料理、好き!」というオーラが皿の上に漂っているような料理が次々に運ばれてくる。ミシェルブラスのように花(シャリっとして微妙な不思議な味。おいしい)を食べさせ、皿の縁にスパイスを散らし、南仏の香りをそこここに忍ばせる… そんな工夫のあれこれが「食べて旨い」という結果に見事につながっているのが素晴しい。
 オマールは身のしっとり加減と味の旨さがみごと。皿の縁にちりばめられたバディアンヌの粉とドライトマトを一緒に口に運ぶと、オマールってこんなにいいものだったのかと思う。アニョーは肉の赤にオリーブ・トリュフの黒が美しい。華やかな一皿。
 とっさに決めたもよかった。ガルニのプティポワが甘くみずみずしく美味しい。鹿、はコロンと四角く切ってあって、ナイフを入れると汁気たっぷり。グランヴヌールソースと栗でいただく。あとからジュレもよそってくれる。にシューヴェールは定番の組み合わせだとか。これを春巻状に仕立ててある。これまた旨い。
Cedres2  デセールも、ロビュション風ありトラマ風(?)あり、と楽しい。帰りに山田クンとまた少し話せたが、後ろのムッシュ・ベルトランにも「旨いぞ!」とハッキリ言えば良かった…。
[AQ!]
 いやぁ、とにかく、美味しくてビッツラしただよ、ここは。現代の最先端を行くか、とか思われるような料理。特に、オリーブ系多用に見る「南志向」が、これほどまで高いレベルに昇華しているのは見たことない。
 南はデュカスか、花はヴェイラか、ハーブはブラスか、オリエンタルはウーティエか、ソースはロワゾーか、クレームブリュレはロビュションか、林檎はトラマか…というような、不思議に具体的連想が浮かぶ料理で、これは、ベルトラン・シェフの勉強熱心さやアンテナの俊敏なるの現われかも知れないが、その魅力はcopy能力の高さではなく、強靭無比な「咀嚼力」にあるのではなかろうか。皿上に現われた現実は彼のオリジナルであり、すこぶる旨い。
 いっそこれは、この地グランジレボーモンから程近いオートリーヴに19世紀にあって遥か異国からの時たまの絵葉書を情報として自己の妄想の世界を理想宮に現実化した郵便配達夫シュヴァルを、引き合いに出すべき血脈であろうか。(←完全にホラ吹きモード)

[↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆☆

プラムショー、ソモントースト、海老カナッペ
レンティユ、フォアドヴォライユムース、ブフコンソメジュレ
ジャガイモカプチーノ(ガラス密閉容器、花、チーズスティック)とシャントレル茸、マーシュとトリュフと茸サラダ
ノアドサンジャック、ベーコン巻のブロシェット(変な串)、マーシュサラダノワゼット、花
ク・ド・ラングスティーヌ(ロワイヤル、陶器の箱入り)、人参とそのピュレ、クミン、フヌイユグラタン
トリロジー・ド・シャス
フザン(キャベツ)・クルスティヤン、ベトラーヴ・ピュレ
セルフ(グランヴヌール、スグリ2粒)ロティ、セルリラーヴピュレ、パロンブカナッペ、グラタンドーフィノワ (左からこの順)
クレムブリュレ
タルトタタン グラスドキャラメル
カフェ・エチオピ
Egly
90カトラン

(コメント工事中)
[AQ!]
 静かにタクシーは小村GBへ滑り入る。すぐに、Centre Ville。記憶より明るく(街灯)、信号がある。記憶ほど不確かな物もないが、この5〜10年程で、どこもすっかり明るくなったフランスだ、GBも少しだけ華やかになったのかも知れない。建物の横に「C」のマークが浮かんでいるのが見えた。cedresの“CI”マークシンボル。
 前庭にタクシーが停まる。アレ? 庭の風景が少し変わった。どうやら噂の“改装”は本当か。ボンスワ。玄関に入る。案内されるサルの方向が、以前と逆側だ…、と言うまでもなく、廊下の具合からして、パリッと手が入っている。モダンなサルは、キレが良く、光の輝きを感じさせ、有り体に言って“並々ならぬ意気込み”を感じさせる。ドン突きのど真ん中の「お誕生席」への御案内。ワオ。
 「何なら、ツジから来てる子がいますから呼びますよ」
 2皿+デセール=48、3皿+デセール=60だったか? 阿呆みたいに安い。48の方だとちょうど冷静な量。
 前回に、料理に受けた印象がヒリヒリするような先鋭な神経のものとすると、今回は、土地柄や年齢柄にあったものか、大らかさや伸びやかさ、即ち若干ラクで手放れの良さが印象立った気がする。
 それにしても、1つ星16点は悪い冗談みたいである。パーカー先生が2つ星の料理と書き、パスカル・レミも特筆する。「きっと、ミシュランやゴーミヨの審査員が“自分達で”来る店だから内緒なんだよ」と笑う。

[へべ]
 建物がなんだか大きい。庭の雰囲気もちがう(前はファンシーだったのが渋くなった。オリーブとか緑基調で)。Cのロゴマークがあちこちに配され、大掛かりな改装をしたみたい。グランジレボーモンの村も5年?前より明るくなった気がする。これはフランス全体に言えることだが。
 新しいサルは広くて、以前よりはしばしはモダン風味で、でもコンポートに盛ったリンゴは健在。ところどころにちりばめたクラシックが落ち着きを添える。「シャペルの丘の上から見たタンの町の風景みたいに、どこか大らかだよね」とAQ。
●長身のソフトな感じのメートル、これがシェフの兄弟らしく、オーダーをとり終えてから「ほんじゃま、俺のフレールの料理をお楽しみあれ」みたいなことを申し述べて行った。
●アペリティフは石の床の上をゴトンゴトンと木製ワゴンにて登場。店名入りの銀のクーラーにヴーヴクリコだのクリュグだの白だの冷えてますワヨ。→Eglyをいただく。
●第一の小さなアミューズはなんということもないが、小グラスで来た第二アミューズによっしゃとガッツポーズ。濃厚な鶏肝ムースに強いコンソメジュレ・歯ざわり爽やかなレンズ豆の3層構造をスプーンで。ワクワクしてきた。
●「本日のマルシェから」コーナー。食器保存用のガラス密閉ジャーとサラダが長方形の皿に肩を並べて登場。マーシュは、これもシャントレルかな?茸のデュクセルでドレッセされて上から黒いトリュフを浴びて旨いったらない。そうそう、食前にはまず例のお花を忘れずに!
●ガラス容器のフタを開けると、ンムムムム…いい匂い! 軽やかなジャガイモピュレをふんわりかぶった茶色いキノコ(シャントレル)。
●ノアドサンジャックの火入れはばっちり。こちらのマーシュは小さくか細い。プロシェットの串は海賊フックの鈎爪状。
●白い陶箱のふたを開けると、こんどはクミンの香り。繊細な旨味ののったラングスティーヌに、クミン風味の細人参とピュレがやさしくよく似合う。
●食べて悔いなし、の狩猟鳥獣三重奏! 量はコンパクトに、味はそれぞれ極まって、雉も鹿もパロンブも一気食いというむちゃくちゃお得感のある一皿。ピュアなピュレに泣き、セルフの濃く旨いソースに泣き、パロンブの中身系ペーストを山盛りにしたカナッペに泣く。
●プラもなかなか抑えた量で、これで3皿食べてって感じなんだろうね〜、などと言いつつもデセールを食べ進めるうちにおとーさんのまぶたが重くなってくる…キミ、旨いからってカトラン90飲みすぎやー!
●カトランはすごい。旨くてデカクてフィネスを感じる。デカンタして、これでもまだまだまだ…10年後にも飲みたいなどとムシのいいことを思わずにはいられない。
●カフェは口頭で諸産地を列挙された中から、エチオピアをサロンでいただく。石の焼炉に(おとーさんには)寝心地のいいソファでくつろぐ。
●ひえー、サルに大人数2卓と思ったら個室にもいたとは
●カードは…ええとこの方向でいいのかしらん?などと愛らしいマダムベルトランがよんでくれた英語を話す気のいい運ちゃんのタクシーでパヴィヨンへご帰館じゃー。バタンキュー。
(コメント工事中)
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  ボタン Cote d'Or  ラ・コート・ドール
  
2 r.Argentine Saulieu 21210 COTE-D'OR 03 80 90 53 53 (Fax 03 80 64 08 92) www.bernard-loiseau.com
Chef: Bernard Loiseau (1951-2003) 〜

・ 「星に憑かれた男」の軽妙洒脱で美しい「水の料理」 (2000.12)
ミシュラン3つ星獲得は1991年。
Michelin ○○ /GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2008)

 2003年版Le Guide Rouge Michelin直前。Figaroが、ロワゾーの3つ星のピンチを報じている。「執行猶予状態」とのこと。プールセル兄弟も危ないらしく、「多角経営シェフに冷酷なポーズ」を取るミシュランらしい所だが、まずは頑張れロワゾー親父! まぁ星が減ると、空くし安くなるし、こちらには良いことばっかりだが、やっぱアンタには3つのマカロンが良く似合うぜ。 (2003.2)

 ロワゾーが亡くなってしまいました。
 ソーリューの自室で、猟銃による自殺とのことです。
 謹んで故人のご冥福をお祈り致します。合掌。

 正直のところ、ひたすらに悲しく、j'ai pas de mots 言葉がありません としか言い様がない。
 でも、ワシみたいな食い歩き日記人は、やっぱせめて文章にして追悼するのが仁義のような気もするので、悲しい悲しいと書いてみます。

 「星に憑かれた男」ロワゾーは、ソーリューで食べるまで、ま、趣味じゃ無いかも、と勝手な推測をしてました。ミシュランだ星だサイコーだと叫びながら突っ走る野心家の世俗シェフかと。(…それはあながちハズレという訳でも無いのだが)
 実際に食べて、会って、一発で惚れました。

 たしかに、陽気で自信タップリでヤマっ気ムラムラのオヤジでしたが、自殺…と聞くと、危うい所はわかる気もします。
 「そう見えて小心」な「気にしぃ」な人ではないかとは感じました。細かいことを気にしぃな、心配性な所のある。
 そしてあの、星がどうしたこうしたでオーバーなくらい一喜一憂する、まさに"愛すべき"「庶民性」や「子供っぽさ」が、不幸に繋がってしまったのでは、と思うと、本当に痛々しい気がします。

 「自殺」の直接の原因なんて誰にもわかりません。
 夫人の言う「過労が原因」というのが最も妥当な気はするし、年齢を考えると、初老にありがちな鬱状態とかの影が深いのでは…というような気もします。

 ガイドブックの評価、ミシュランの噂記事もあったし、とりわけゴー・ミヨ2003での点数の急落を気にしていたという報道になっていますが、まぁガイドブック側にとやかく言ってもしょうがないでしょう。

 しかし、(同じ2点ダウンを食らった)ヴリナのような大人なら「彼らはどこを見ているんでしょうね?」とでも言って笑って流すだろうし、ブラスのように超然とした奴なら例え落ちても「それがどうした」と鼻にもかけないだろうし、また、今の若手のシェフの多くは「21世紀はもう"権威あるガイドブック"がどうの、って時代じゃ無いよ」と主張するかもしれない。
 でもロワゾーはなぁ。
 天才料理人であるとともに、いつまでも、近所のオッサンのように庶民で近所のガキのように子供であった。星を勲章と思い続けていたかもしれない。
 俗な奴ゆえに持っている純粋な部分が病んでしまったようで、可哀想な気がしてなりません。
 本当に純粋なヒトって、こういう俗っぽい奴だったりするんだよな。

 彼の魂が、彼の料理に、その見いだした秘密にあるのならば、彼の魂は不滅であって永遠に光り続けることでしょう。そのことを信じてやみません。

 おっちょこちょいでお調子者のシェフのやらかした、人生最後で最大のおっちょこちょいは、世界中の多くの人を悲嘆にくれさせた。ああ、涙が止まらない。
 安らかに眠ってください。  (2003.2)

2000年12月 ☆☆☆☆

 *パセリの衣をまとったエスカルゴ"sec"
 *ローズマリーの楊枝に刺した貝のマリネ
 *フォアグラと酸味野菜の生ハム巻
 *レンズ豆のヴルーテ
 <Le Menu Degustation>
 *ノワドサンジャック、コライユのソース、酸味野菜(セロリ、カリフラワ、人参)
 *グルヌイユのジャンボネット、パセリのジュに大蒜のピュレ
  Jambonnetes de grenouilles a la puree d'ail et au jus de persil
 *サンドルのロティ、エシャロットのフォンデュ、赤ワインソース
  Sandre roti a la fondue d'echalotes,sauce au vin rouge
 *シュヴルイユ、背肉とフィレ、根セロリ棒揚げ、トロンペットドモール
 *フロマージュの戦車:老若シェーブルとエポワス、ノワゼットと干葡萄のバスケ
 *パンプルムースのソルベ
 *バニラクリームとキャラメルのミルフィーユ
  Mille-feuille a la vanille et caramel au beurre sale,croquant de glace royale
 *ショコラのチュイルとグラスの三段重ね
  Rose des sables a la glace pur chocolat et coulis d'oranges confites
 +97 Chambolle Musigny Derriere-la-Grange / Amiot-Servelle
 +Infusion、ミニャルディーズ

LCD1 [へべ]
 「元々は街道筋の旅篭であった」と聞いてはいたが、実際に目にした時のインパクトはまた別物だ。鉄道駅からのバスを降り、車のぶんぶん走る街道を左右に見渡すと道の向こう側に、ほんとに街道の道端(!)に見えるのが、「星に憑かれた男」ロワゾーLa Cote d'Orなのだ。まず最初に驚かされたのは、その「まんま道端」度であった。
 とはいえ、扉の中に入ればそんなことはすっかり忘れてしまう。田舎風の、木や石を多用したがっしりとした造り、落ち着いた調度、あかあかと燃え る暖炉の火…。客室フロアとロビー階、さらに下の庭園レベルを結ぶのは、木のらせん?階段なのだが、そのらせんの中にはガラスのエレベーターが ちゃんと仕込まれているあたりがさすがフランス人である。
 客室もまた素晴らしい。ブルゴーニュの田舎風の造り(なのか)で、石の床、がっしりした木の家具、広々としていて、窓からは緑の庭園とはるか彼方の丘まで望むことができる。伝統・地方色・雰囲気などを取り込みつつ、機能的に申し分ないのがさすが一流というべきか。

[AQ!]
 「コートドール」のあるソーリューSaulieuには鉄道の駅もあるが、やたらとマイナーな路線。TGVの最寄り駅はMontbardだけど、岐阜羽島かお前、って感じで一日に何便も停らない。寂しい駅だったね。Montbard駅前からSaulieu行のバスがあるのは、Dijon辺りで調べてたんだっけ?そうそう、Dijon駅の自動券売機で乗り継ぎ切符が買えたっけ。TGV到着を待って走るので便利。小一時間くらいの乗車はなかなかのバス旅行気分。安いし。
 …とまぁ、およそ「こいつぁ不便」なのは間違いなしの片田舎にようやっとたどり着く。これだけ遠路はるばる来たからには、「広大な大自然」とか「純朴なブルゴーニュの田舎の光景」とか「黄金の作物を抱えた田畑の眺め」とか…を期待するのは人情でありましょう。ところがここって、ホントに、ただの「国道ばた」なんだよなぁ。目の前の道を渡るにもしばらく待たないといけない交通量だし。調子狂うよ。でも、このホテル、入館してしまうともう一回、調子狂う。へべの書いてる通り、実に良い造りで、すっかりブルゴーニュの田舎気分に投げ出される。ああ、極楽極楽(…簡単な客だ)。
 まぁここは、かつての大シェフ、アレクサンドル・デュメーヌが腕をふるった「コート・ドール」であり、その復興物語こそが現オーナーシェフのベルナール・ロワゾーが描きたかった物だから、つまり、此処じゃなきゃしょうがないんだけど。
 大体、この「コートドール」って、色々、調子っ外れというか調子が狂ってるのだ。ロワゾー一代記「星に憑かれた男」でわかる通り、このオッサン、人生一筋「おっちょこちょい」呼ばわりされる所のスーダラ節にして、大変な野望にギラつく激情家。実に愉快で五月蝿そうな男なのだが、このオヤヂが発明したこの「コートドール」の売り物が、ゆーめーなる「水の料理」なのだ。「水の料理」とは、ソースからバターやクリーム・酒などを極力排し、水によるデグラッセを主として抽出していく、軽くピュアな物。食べてわかったけど、真に静謐で美しく、軽やかで実直な料理なのである。
LCD2  「この男」「この料理」、それぞれはわかるんだけどさ、なんか、この取り合わせって、調子狂ってない? ねぇ。このオッサンが、豪華絢爛たるコテッコテの料理をブリブリいわしてミシュラン三つ星をもぎ取るなら…さ、わかるんだよな。でも、軽妙洒脱にして、ひたむき可憐で美しいんだぜ。うん、矛盾ちゅーか。ここが、ブラスとその料理、ロビュションとその料理、パコーとその料理 … … との最大の違いだろうか…?? (^_^;;
 ま、調子狂う、とか、調子っ外れ、とか書いてると、悪口であるとか、良く思わなかったのか、とか思われてしまうかもしんないけど、そんなことは全然ありません。面白いの。そして、素晴しい。
 ムニュデギュスタシオンでいただいたこのコースも、どちらかというとコケ脅し的な所が少なくて、実直に迫ってくる。エスカルゴのパセリまぶしは、意外なことに表面は乾いたもので、噛みしめてジワッとくるもの。いきなりの驚きは無いのに、後で「ああまた食いたい」と、来る。そのアミューズから段々と階段を昇っていくのだが、何処までも何処までも昇りつめ上がって行く。ウワ〜ウワ〜、とか言ってるうちに、まだまだ上昇する。清楚なのに色気たっぷりのグルヌイユもたまらないが、魅惑の頂点にあったのは、サンドル(川スズキ)のロティ赤ワインソース。サラリとした仕立ての中に、爆発的な魅力が息を潜めている。今だに夢に出てくる料理。

[へべ]
 夕食に降りて行くと、まずは暖炉のサロンで食前酒をいただきながらメニューを検討。ここで出るアミューズが、指でつまんでいただけるエスカルゴのパセリまぶしとか「おつまみ」的なんですが実に旨い。楽しいひとときです。料理はというと、やはりあのカエルとサンドルは外せない…ということでムニュデギュスタシオンに決定。
 テーブルに落ち着くと、まず登場するのがレンズ豆のヴルーテ。ロワゾーのヴルーテはすこぶる美味で滋味でピュアで重くない。ひと匙で今宵の食事の素晴らしさを予感させる、そんな味でした。グルヌイユのパセリのジュのピュアなこと!大蒜のピュレの清らかなことったら! …と、感動は続くのでした。サンドルも凄い。フランスで魚を食べて感動した店リスト(勝手に言ってるだけですが)に文句なしの参加、という感じです。ランブロワジー、ブラス、そしてコートドール…。あああの赤ワインソースでサンドル、また食べたい!
 マスコミ登場好きで狙って狙って三つ星獲得して、大口あけてガハハと笑うおっちょこちょいのロワゾーおじさん…は、翌朝見たら笑っちゃうくらいそのまんまのイメージだったのですが、意外だったのはAQ!も書いているように、その料理です。きわめて静かで思索的。もっと禁欲で哲学してるようなシェフが作りそう。なんというか、人間の不思議を感じます。


2000年12月 昼食 ☆☆☆

 *amuse:上に同じ
 *アリコブランのヴルーテ
 <Le Menu de Legumes en Fete>
 *アンディーブのタルト仕立てにポーチドエッグ、トリュフのソース
 *ジャガイモのガレット、玉葱のフォンデュ、パセリソース
 *野菜のポトフ(シューヴェールのファルシ、人参、ポロ葱、じゃがいも、かぶ)
 *ポワールのソルベ
 *Cafe en Tasse、珈琲のムースとグラス・ド・レ
  Tasse chocolat-cafe et glace au lait
 *パイナップルのサブレ、パッションフルーツのソルベに生コリアンドル
 +97 Meursault Genevrieres / F.Jobard

LCD3 [へべ]
 こちらは二日目の昼にいただいた野菜のコース
デュメーヌ記念サル(古い新聞記事やら写真やらいろいろ展示されている)でゆったり朝食を済ませ、ロビーに出るとそこでロワゾーおじさんに遭遇。で、記念写真撮影後、「おいしいからお昼も食べて帰るかんね」と宣言、じゃなくてお願いした。

 アミューズは夜と同じ。あのエスカルゴのパセリまぶしたのがまた食べたい…。アリコブランのヴルーテも実に旨い。深くて軽くて印象的。
 野菜のコースもまた素晴らしい。野菜自体の旨さ力強さも日本とは違うにせよ、一皿ごとの満足度の高さはお見事だ。一つ挙げるとすればジャガイモのガレット、かなぁ…。あ、でもポトフもよかった。スープに泣きました
 一つ注文をつけるとすれば、料理が他と一線を画したものであるのに比べて、デセールは上等なものではあるけれど、あくまで普通のレストラン路線なのは残念。パティシエは別なんだよね、と食べて実感せざるを得ない。ロワゾー式の、旨くて軽やか、強くて清らかなところがデセールにまで一貫して反映されればきっと幸せ度はさらにアップするだろう…などと勝手なことを思う。
 いやー、しかしLa Cote d'Orはよかったなぁ。また行こうね。

LCD4 [AQ!]
 行こう行こう。ソーリューはパリから割と近いし。そういえばフカシだと思うけど、ロワゾーは2006年くらいには引退したい、とか言ってますね。
 いやぁ、ロワゾーのオッサンは本物も笑いましたね。あの「カメラに向けてハイ笑顔」慣れしてるのが、なんかお茶目。いいキャラしてるわ。
 「美味しかったら、帰り日の昼食も食べてこ」というのは、チラっとは前から考えていたんだけど、もう、こんだけ旨いと「是非とも」でしょ。さすがに、平日の昼は満席などということは無く、簡単に席がとれて良かった。おかげで、これも前々から気になっていた「Le Menu de Legumes en Fete」にありつけた。満足!アンディーブも良かったよん。玉子のまた濃ゆいこと。
 まぁそうは言ってもやはり、此処で一食だけ、だったら「野菜のコース」では無いだろうなとは思うけど。
 デセールは、まぁ、そうですね。日本と比べて、フランスはやはり、「デセールはパティシエの王国」なのが基本だよね。食べる方も、シェフとは別にパティシエの動向も見張ってて、ついて行ったりするし。で、また、基本的にフランスではデセールは、より保守的な場合が多く感じるかなぁ。
 でも、ランブロワジー・ミシェルブラ・ラルページュ・セドル…などといったハッキリと料理のカラーがデセールにも出ている店もあるし、コートドールもそうだといいなぁ、と思いますね、たしかに。
 ま、でも、デセールは、なんつーか、グランなのが好きな人も多いし、微妙だよね。ランブロワジーなんて、結構、「デセールがつまらん」とか言う人も見るし。
 あと「コートドール」については、ときに、料理における塩加減の狂いを指摘されるのも見かけないではない。確かに精妙だから、狂い易いのは理屈だと思われるが、我々のいただいた皿は、完璧だったな〜。
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  ボタン La Cote Saint Jacques  ラ・コート・サン・ジャック   ( Jean-Michel Lorain  ジャン・ミッシェル・ロラン )
  
14, Faubourg de Paris 89300 JOIGNY 03.86.62.09.70 (Fax 03.86.91.49.70) http://www.cotesaintjacques.com/
ouvert tous les jours, ferme vacances de janv.
Chef: Marie Lorain 〜 Michel Lorain (1934-) 〜 Jean-Michel Lorain (1959-)
・
ミシュラン3つ星は1978-2000,2004-年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 18 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2004)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2008)

LCSJ1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆

 *Consomme d'Oignons doux des Cevennes en gelee, rosace tiede de Saint Jacques, Emulsion a la Citronnelle, Legumes facon Tempura
 *Aile de Raie en cuisson lente, Tomates confites, Concombre et Perles Japon, Infusion de lait de Coco et Thym citron legelement epicee
 *Truffe aux Choux 'Michel Lorain'
 *Perdreau roti en Coeur de Choux
 *Mille feuille aux trois cremes legeres ou aux Fruits de Saison
 *Brochette de Mangue et d'Ananas au Piment, Granite Creme legere au Fromage blanc et au Citron vert
 +NV Champagne / L.Pommery
 +99 Chapelle-Chambertin / Trapet

(コメント工事中)
[AQ!]
アミューズ:
1.鰯か鰊cru軽燻製、アドックのロマラン串、ラザニヤ・ベトラーヴ風味、野菜串刺し・下にガスパチョソース
2.ソモンのミキュイ・ミフュメ、サバイヨン、シトロネル、柑橘ピール
●若は大人しいタイプ。フランス人卓へ行っても静かで手短か。「チミのペルドロやトリュフのシュー使いが良かったよ」と告げる。
●エーベルラン、トワグロ、ピック、ロランとみな40代の働き盛りであるが、未だにみな何処か「自分探し」的テイストを感じる。偉大なパパの影…、は色々と大変なんだろうな。エレナ・アルサックは振りきれた感じがするけど。JMLは料理の自分らしさに関しては確立している方だろう。パパが早くから「温かく見守って」きたからか。関係ないけど逆に“初代”のシェフ、ってのは、スパーンと思い切りはいいやな、それは。
●ボクらの直前に着いたクルマはアルファロメオで、それにふさわしきゴーヂャス系がチャリラリラと降りてくる。ハンガーにカバーのかかったままのゴーヂャスドレスを何着も下げたベルボーイのおじさんが国道をトットットと渡って行くのが風情だ。それにしてもハイソな店よの〜、と少しビビる。パリから150kmだしなぁ。
●そ〜いえば、JMLのカルトには、刺身風の魚に山葵と醤油かけとか、和牛Wagyuのシャブシャブのインスピレーション物(?)とか、“パリ病”的な料理名乗りが散見される。やっぱパリに近い…のか。とは観察しながらも、もろにその手の料理には敢えてチャレンジしなかったので、実態の面はわからない。
●メートルドテルの丸い、髭のおっちゃんはニコニコしてて可愛く、話をしてもサンパ。好き。
●若手ソムリエも人間的に“良い奴”タイプだ。ワインは、指定で注文するか(全般に値付けは高めなので、V.Girardinの90Eくらいに逃げようか?)、サジェスチョンさせるか、で迷うが、聞いてみることとする。さすがに“3つ星のお客様”むけということか、値段にすると150〜250E辺りから数点、指さしてくる。またここでちょっと迷うが、第一推薦の99シャペルとする。「トラペかよ〜」と思いながらではあったけど、飲んだら正解。これは良かった。果実味、奥行き、黒い、ゴム臭さの一歩手前。
●トマトコンフィを敷いたココナツえいひれ。皿の端にエピスメランジェ。“Perle du Japon”は「ラッキョウか?」「コシヒカリか?」と、探偵間で諸説紛糾していたのだが、お答えは「タピオカ」。「Japonじゃね〜じゃん…」、…うーんしかし、perleと言えばJapon…、って連想が強いんだろうな。胡瓜と炊いてソースのように、と言うかソースと共にエイヒレにかける。タピオカは小粒のタイプ。見た感じは泡タイプのソースの、その泡が実体化したみたいで、面白い。食感も愉快。全体に、少しタイ、少しインドを思わせるオリエンタルエピス風味が、じっくり加熱のエイにあって美味である。へべによると「時にややウマ過ぎ」。そのココロは若干“緩い”所があって、尊厳に欠けるやも。もう少し、この混然を整理して、トマトコンフィやタピオカ組の配置をダラ〜っとでなく、ピンポイントにした方が現代的かもね。…時に、素のエイヒレにエピスだけ、という組み合わせでも、一口二口食べてみたくなるし。
●コンソメドニョンは、…つまり、天ツユ味だ。…いや、狙ったかどうかは知らん。が、下手糞に揚がった野菜天を浸して食らうと、そこには、天ツユの解体と再構成…がある。野菜の揚げのイマイチさは、ビショビショアルベールビショと浸すと余り気にならない。更に、主人公ノアドサンジャックは至極いい具合に小さい薄切りの姿でツルンと甘く食べ手を待ち受けている。…と、いろいろあるがまずは美味な皿。
●トリュフ・ショーはパパ・ロランの料理。トリュフを丸々、鶏・豚足のツクネでくるんで団子にし、更にキャベツ包みボールにして35分ほど加熱、…とそんなようなレシピだ。キャベツ好きにはたまらん企画だ。ツクネ成分の所は、若干ダシがら的に感じられる。幾分「当時はセンセーショナルだったんでせうな」的感想も湧いてくる一品ではある。正直、“うーん、何となくもうちょっと旨くても良さそうな”一面あり。
●さて、素敵なペロドロ・ロティ。こちらも最終加熱はキャベツで包んだ姿の登場となった。こちらは大玉キャベツに詰められ、ゲリドンでデクパージュ。シューを使った点が優しい仕上がりとなっている。ガルニのキャベツや、ソースは、本体組とは別の仕上げがなされて届けられる。慎重で丁寧なことだ。そういう訳でペルドロを取り出された大玉キャベツ君はしずしずと厨房に下がって行く。サヨ〜ナラ〜。料理としては誠に“正しい”が、あのキャベツが賄われるコミ君はちょっと羨ましいかも。
●あー、何て素晴らしきペルドロの“質”! これね、これがペルドロね。
●部屋へ案内のオネーサン、「ピシーヌはこちらよ、20時まで入れマスヨ!」。これこそ贅沢ホテル(^^;)
●アミューズが精密・繊細で、含みのある美味だったのには、実は少々驚いた。初っぱなからソモンまで、とても良い。最前線級である。ただ、その精巧さが、アントレ以降では影を潜めるのがちょっと不思議。全体の起伏に関する考えに基づくのか、応用的な側面に違いがあるのか、パパの気に召さないのか。

[へべ]
●川に向かって張り出した大きなガラス窓がご自慢の部屋は、広々と明るく快適で、今回の旅のなかではお気に入りの部類。
●料理で記憶に残るのは、なんといってもペルドロの上質さ! 食べてて素直に美味しかったのはココナツえいヒレ。ペルレドジャポン問題も解決されてスッキリ。
●コンソメドニョンは、テンプーラの不出来が惜しい一皿。味の組み立ては好きでした。
●パリから一足伸ばして、三つ星オーベルジュの豪華な泊まり心地と優雅な目覚めを楽しみたい向きには、La Cote Saint Jacquesはお薦めできる気がします。

[AQ!]
 ちなみにペルドゥリ・オ・シューは、増井さんの「パリの味」にラセールのスペシャリテとして出てくる逸品。歴史が薫る。
(コメント工事中)
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  ボタン  La Cour de Ferme  ラ・クール・ドゥ・フェルメ
  
Route de Cadenet 84160 Lourmarin  Tel. : 04 90 68 11 79 Fax : 04 90 68 18 60 www.reinesammut.com
Chef: Reine Sammut
・
 フランスの誇る女性シェフ Reine Sammut 率いる「Auberge La Feniere」が併設するビストロ。ガストロノミックレストランが休む冬も含め、通期営業している。2009年現在、通常ムニュが35ユーロとお値頃。

2009年12月 ☆

 [Menu du reveillon 80eur hors boissons]
 *Amuse-bouche
 *Foie gras de canard en terrine, pain de campagne toaste
 *Vol au vent de brandade de morue truffee
 *Volaille fermiere en demi-deuil, riz parfume
 *Calisson au roquefort
 *Baba au rhum, fruits exotiques et sorbet passion

(コメント工事中)
[へべ]
 広大な敷地 オリーブ畑 泊まりそこねた(天気予報が雨だったから…→大当たり)馬車ルーム
 好天、「道せまいし、車とばすから歩きはちょっと…」の道をてくてくルールマランへ。カーテンや壁の色づかい、洗面台の調度などなんとなくフェミニンなフニエールの部屋。
 田舎家/農家の納屋風?のばーんと大きなビストロで、大みそかは(毎週末やってるらしい)ロックンロールナイトのボナネ特別版つきディナー。
 スペシャリテうさぎのリエット、チーズパイ、パルメザン(とパプリカ?ひょっとして)の台にスモークサーモンが各卓にセット済み。8人、10人といった大人数卓がめだつのもサンシルベストルならでは?
 クレームを浮かべた栗の小さなスープ(いい香り!プラスチックのピッチャーで注ぎ分け)、片面こんがり焼いたパンエピスといちじくコンフィチュール、チョコソース(皿からとるのに一苦労するかたさがよく似合う)を添えたフォアグラのテリーヌ。
 こんがりトーストの輪っかに詰めたブランダード。モリュにフランスのうまいポムドテールたっぷりにトリュフ風味で、ちょっぴり酸味のソースを添えてある。
 プラは鶏のドゥミドゥイユ。きのこのデュクセル?を巻いた白い胸肉のソーセージ風(ソースおいしい。おかわり希望)と腿肉のこんがりポワレ?(粉をまぶしてあるのか、味わいはフライドチキンぽくもある)に味つきライス添え。
 AQ!「フランスの、おいしいもの!って感じ」 まさにそんな食べごこち。新奇なテクニックも斬新な素材もなく、しみじみおいしい。味がいい。
 デセールはラム酒たっぷりのババ。このころにはMidnightまであと10分。
 ここでやあやあやあとバンド(夕方リハをちゃんとやってた)登場。
 踊る人々。年配組が、“昔とったきねづか”的にいそいそと立ち上がって踊りだす、いい眺め。午前2時ごろまでゆかいに騒ぐ。
 「ラミ・ド・Nono!!」
 受付嬢「あなた方からは馬車(ルロットだっけ)で予約をもらってたけど雨になりそうだったからフツーの部屋の方がいいと思って変えてあったの。説明しておきたかったのよね、コレ」と。元旦タクシー予約を苦労の末確保してくれた働き者。

[AQ!]
 プチニースにちょうど到着したタクシーに乗り込む。アレ?帽子が落ちてる。到着のマダムの忘れ物であった。タクシーのオッちゃんは、えっちらおっちら進む。途中、エギュイユ村の登り降りとか綺麗。リュベロンの小さな村々を次々と通り過ぎる。ルートカデネに入ると、不安そうにキョロキョロと見回す(たしかに、わりと近くまで看板は出ない)。「→フニエール」、その看板をみつけて一安心、ガッツポーズ。おっちゃん……、、、、
 フニエールはパーキングからレセプションまでちょっとだけ距離があるのだが、スーツケースとハンドキャリーの双方を抱えて運んでくれた。アリガタヤ、とそれなりにチップを多めに。オーヴォワ…と別れたカレは、二分後に戻ってきた。私が車内に帽子を置き忘れていたのである。めるしーめるしー、、、ぼく、、

 バンド、散歩から帰ったら、リハしてた。本番は23:50くらいから。一曲目途中でワラワラと人々が立ち上がり、ビズー。自主的カウントダウンで、ボナネ!
 「フランスの美味しいモノ」感が横溢するサンシルヴェストルムニュ。
 シャテーニュスープとブランダードドモリュは、ことのほか美味い。いぶし銀。
 パリのホテル内レストランの500ユーロみたいなサンシルヴェストルを白々しく送るくらいなら、ビュンと飛んで此処の80ユーロで過ごすべし。より美味しくてより楽しい。ほぼ、ガチで。
 どうせみんなRock'nRollタイムまでいるつもりのくせしても食べるスピードなど、まちまち勝手気ままなのは、フランス人である。
05 Crozes Hermitage / Alain Graillot 二杯 鶏・ロックフォール
Cote de Rhone blanc / Tardieu Laurent ブランダード
ミュスカ豪 フォアグラ
 カサペパ式トイレ 頭にも気をつけて。
「ヌソン・レザミ・ド・NoNo!!」は効いた。(「ノノ」、は、フニエールで実質的料理長まで勤め上げた学芸大「オリヴィエ」の尾上シェフの、こちらにいた頃の愛称)
「ヴィアンド東京」と言ったら、「数年前にイセタンでフェアしたのよ」と。ヴァイタルで明るく元気なオッカサン。
AG.Vo(モラウさん)+EGx2(出来損ないエイドリアン)+EB(渋オヤジ)+Dr.(咆えるように歌う若者)
 雨だとルーローは大変だと思って。
 ルールマランへは20分も歩けば着く。歩道のない車道なので歩き辛くはあり、レセプションも「オススメはしない」。
 サンシルヴェストル。20時ピッタリ。一番乗り。20時半で半分くらい埋まる。最後はコンプレ。100席弱ってとこかなあ。ちょいアーリーアメリカン調の、農家風の内装。
 ホワイトルーム
 ラパンのリエット、サーモンクッキー、チーズスティック
 ガストロの壁には、若い頃から今までのレーヌの写真が貼ってる。ウォーホール調レーヌさんも、ホテル棟の部屋の一点モノの絵がカッコいい。ルールマランに多いギャラリーで仕込むのかな。

(コメント工事中)
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  ボタン L'Esperance  レスペランス   ( Marc Meneau  マルク・ムノー )
  
89450 St.PERE-sur-VEZELAY  www.marc-meneau-esperance.com
ferme mardi(sf a din. en saison), merc. a dej. et vacances de fin janv. debut mars
Chef: Marc Meneau (1944-)
・ 閉店か? (2007)
ミシュラン3つ星は1984-1998,2004-年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2004)

 yahoo.franceの報道によると、レスペランスは資金繰りに窮し閉店に追い込まれるのではないか、ということです。(toshiさんに教えてもらいました) (2007)

LESP1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆

 *Les Petits Plats Nouveaux
 *Sole Rotie aux Herbes
 *Perdreau Roti
 *Desserts et Friandises
ジビエのパテ、ジャム・ピール、トースト
ベニエ・ド・レギュム(クルジェ、人参、茄子?、ピーマン) ハーブタルタル
イワシ、ナヴェコンフィとピュレ、薄皮焦がし、キャビア
クラブとビゴルノーのコンコソメ、クラブと海草・ビゴルノー、香草、山椒
フォアグラ、グラニスミス、セルリラーヴ、curry、レズン、パイ
ジョーヌ・ウフ・アラ・ネージュ、トリュフ
ソール・ロティ・ア・ブラン、エルブドジャルダン アレテ・グリエ
シューフルール
ペルドローアンココット スフレポンム
キャラメルスフレ
フレーズ・クロカン・ポワブル
 +88 Clos de la Roche / Drouhin

[AQ!]
 マルクおっちゃんは、最初から最後まで、ずーっと客席巡回に余念無し。部屋に「5年ぶりのレコンキスタを果たしたMM」という"Le Chef"のインタビュー記事コピーをさりらげに置いているおっちゃんである。そうそう、鶴のようなフランソワ夫人もず〜っと回っている。
 今日も今日とて、超巨大宴会は、15人程か。
 "LM"ホテル棟から道を挟んだレストラン棟へ歩を運ぶ。ホテルの小道は気持ちいいけど、併設ビストロ前からレストランまでのしばらくの間、歩道が途切れるのは、ちと、興醒めではないかに? …とゆーか、着飾った淑女は怒らんかの。JMLとまでは言わんが何か考えて!
 レストラン棟を中庭から眺めるのがベストルックではある。ホテルは値段程ではない感じだし、デジュネに使った方が“雰囲気”かな。
 夜ともなると、外側、道沿いには、殆ど2,3mおきの密度で煌々と「MM」「L'esp」の看板が輝く。この感覚って…どうだろう。MMの他は何も無いSt.PereをMMを見逃して行き過ごしてしまうクルマがいるとも思えないが。
●これは然り!…な正しい新(?)料理はウフアラネージュ仕立てのトリュフ玉子。淡雪玉子にトロトロの黄味とジュドトリュフが鋳込まれている寸法。確かに“トリュフ玉子”としてこれはアリ!だと思うし、実際旨い。味覚にもっと練り上げられる気もするが、トリュフの旨くなる季節待ち?
●カニとビゴルノーの生温かいコンソメがよい味である。上品なカニ出汁となっていて、香草と山椒のようなアクセントと合う。見た目愉快な変型皿ゆす、すくいにくいがたまに傷。カニ足も旨い味がついているが、仰々しいカニ砕き鋏とカニほじくり(何というのか…日本でカニ関係に登場するアレ)楊枝まで出て来たのは失笑…的。…いやこれが、MM様の“骨太な”料理であらせらるか。
●フォアグラの皿には、フォアグラ・グラニスミスと根セロリ細切サラダ・カレー(カレーオイルを皿に一捌け、って感じ)・レズン・パイの五つの要素がある。うーん、それぞれ旨いけど、そんなに合わないなぁ。…ん、いや、フォアグラを除く四つは仲が良いみたいだ。ん〜、コレは多分、イケてない。カレー風味フォアが、思った程効果をあげてなくない?、マルク。
●イワシ・キャビア・ナヴェ。「キャビアは俺には“塩”だ」「イワシをぶちこんでキャビアを貶める」のMM名語録を思い起こさずにいられない小品は十分に美味。だがインパクトのあったのは、期待通りナヴェをさっと炙った代物。これ、ウ・マ・イ!
●…ってな四点は、Petit Plats Neuveauというアントレで、小皿四点盛くらいの物で出てくるかと思っていたのだが、ある程度キチンとした大きさがあり、一つずつサーヴされる。なので、このアントレに何かプラを頼んだだけで、ほぼムニュデギュスタシオン風いっちょ上がりとなる。

(コメント工事中)
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  ボタン Georges Blanc  ジョルジュ・ブラン
  
Pl du Marche 01540 VONNAS 04 74 50 90 90 (Fax 04 74 50 08 80) http://www.georgesblanc.com/
ferme lundi, mardi, merc. a dej. et janv.
Chef: Georges Blanc (1943-)
・
ミシュラン3つ星獲得は1981年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 17 (2008)

GB1 2002年 9月 ☆☆

 *エスカルゴの香草クリームスープ仕立て
 *小さい蛙腿のベニエ、緑の大蒜ソース
 *ソモンクリュのカナッペ
 *Crepe Parmentiere au Saumon et Caviar
 *Soupe Sauvage "Velours Vert" aux Grenouilles et Mariage d'Herbes
 *Aile de Pigeon Rotie Servie dans un Bouillon Corse Tartine de Halicot de Cuisse, Puree d'Aubergines et Pata Negra
 *Poulet de Bresse comme au G7 avec Gousses d'Ail et Sauce Foie Gras (Plat cree pour le diner en l'honneur des Chefs d'etats et de Gouvernements -Lyon- 27juin1996)
 *薄いパイ、クレームフランボワ
 *トリロジー・ド・フリュイ、グラス・ド・ヴェルヴェンヌ、ルバーブ
  (スフレグラス、パッション、赤オレンジ、アナナ、グレープフルーツ、バナナ)
 +59 Ch.Palmer

■ Vonnas____________________
[AQ!]
 Blancの城下町Vonnasに入ると、急に道は整備され、路傍の花壇が華美で可愛らしくなる。ピンク…。我らがTwingoはそのまま数分進み、道が左側にカーブする辺りに差し掛かって、「Georges Blanc」の文字が目に入り、爆心地!
 ウヒャー!
 ある意味ある種、見事に予想通りというか、笑ってしまった。其処には小川が流れ、川の中の島もまた一杯の花で埋まり、広い駐車場は観光客でゴッタ返し、本館こそ渋いというか地味な姿だが、今夜我々が泊まる「La Residence Des Saules(新設の安い宿泊棟)はカラフルに塗られてボキューズの館を思わせ、ばーんと派手なピンク色の建物の屋号を読むとこれが「L'Ancienne Auberge(1900年当時の雰囲気を再現して供するというビストロ)であり、その間を縫って立ち並ぶShop群も合わせ、「お伽の国のような」騒ぎである。
 へべの第一声が「ディズニーランドみたい〜」だったのは言うまでもない。…とはいえ、別に悪い意味じゃなく、無邪気なまでの"食のテーマパーク"性、それこそがGeorges Blancの魅力である。"Vonnasの日本人"、というのが、その余りの仕事好きさにBlancに与えられたアダ名だそうだが、感性も日本人に響きやすいかコヤツ、などと思う。日が暮れていけば勿論、川に木々に建物に"ステキなライトアップ"が演出される。(…なんて言う割に、同世代のグランシェフの中では日本ビジネスが少ない気もするBlanc)
GB2  さて「La Residence Des Saules」に到着するも、受付はなく電話が一台あるだけ。電話で係を呼び出す。しばらく待つ。かなり待つ(^^;)。さすがは安い棟。結局、後でわかったのだが、「La Residence Des Saules」側には常駐スタッフはいない模様。300mほど離れた本館からやって来て、部屋を指示し鍵を渡しこちらのクルマの鍵を受け取って去って行く。徹底的合理化だね。その結果、100euro以下で泊れる。宿泊道楽指向の少ないワシらとしては嬉しい取り引きだ。
 もう一度整理すると、この地でBlancは、上と並のレストラン/上と並のホテル、を営んでいるのだが、その組み合わせは自由。ワシらは「上のレストランと並のホテル」という選択である。ちょっち貧乏たらしいが、有り難いシステムである。
 それにだな… チープ宿泊棟とはいえ、だだっ広い居間に寝室、トイレと別の浴室には大浴槽、十分過ぎる程の衣服収納スペース…、と、貧乏人には「これってスゥィートルームムム…って奴ですかい?」状態で、感激。安い方でコレじゃ、本館なんか泊まったら血圧が上がってしまうかもしれない。
 居間のソファーが座って良し寝転がって良し、で、いきなりお気に入りである(「これ欲しい…」「宝クジ当ったらね」)
 ちょっとだけ近所を散歩。Shopで、Blanc謹製のテリーヌ類の缶詰など幾つか買う(これは大変旨かった。日本で何処か、輸入して売ってないものかなー)Blancはワインなども作っている(これは見ただけ)

GB3 ■ Georges Blanc____________________
 空が青から黒へ、夜は来る。照明の美しい木々の下を逍遥、そうよ本館は「レストラン・ガストロノミーク」の宴へGo!
 本館入口を入ってフロントの右横の回廊を進む。右手に小川(植物は丹精していて夜は美しい)、左手には訪問著名人ポートレイト展示に次いで厨房がガラス越しに覗ける。楽しいアプローチ。ほどなくサロン、こちらでアペリティフをいただきながらカルトの検討の段となる。
 広いサロンは、田舎調の壁と天井、とりどりな装飾・絵画、華美な調度品、間抜けな壷、コロニアルな植物、暖炉にはニワトリ様が屹立(Georges Blancの"象徴"ニワトリの置物・絵画はあらゆる所に遍在する)…、と、何ともテンコモリではあるのだが、バランスと見せ方に優れ、居心地は至極よろしい。「テーマパーク外観」を冷やかしていたワシらも、このサロンにはすっかり乗せられる。
 この年代のシェフ…レストラトゥールと言うべきか、のこーゆー上手い感覚という意味で、ウジェニーレバンの城主ゲラールさんを思い出す。
 間もなく届くアミューズのソモンエスカルゴの具合も、そんなにキチキチと細かい詰めではないが旨さのツボを押さえていて「大人のアミューズ」。これもゲラールさんを連想させる。
 アミューズ中でもは別格。ベニエなのだが、白身魚のような上品な香りと食感…だけど蛙の小さな骨が付いてる。聞いてみるとやはり蛙とのこと。大した質だ。骨から推して小ぶりな蛙なのだろうが存在感たっぷり、確かにしゃぶっているうちに、ぐ、ぐ、グルヌイユ気分が湧いてくる。
GB4  ここVonnasブールカンブレスのすぐ西で、ドンブ地方のすぐ北西という位置にある。今ではこの辺りから、日本に向けても毎日のように食材が運ばれて行く訳だが、全く旅をしなくても食材ウハウハという立地は、やっぱ、凄い。
 御注文も、ブレス鶏ドンブ蛙を外す手は、ま、ありませんな、こりゃ。
 ちなみにこの界隈をドライブしているとブレス鶏の飼育の様子が目に入る。広大な草原を疾駆する鶏には、いっそ、「放牧」という言葉がよく似合う(^^;)。いやはや。
 鶏見物に味をしめてドンブの湖沼地帯も駆け抜けてみたが、というのはみつからないものだなぁ(←きっと、何か、間違っている(^^;))。
 ま、とにかく、食事の注文決定。次はカルト・ド・ヴァン。電話帳である。1914,21,28…。…。…。ウィ。どしゃー!
 店としての「Georges Blanc」は名を成したのは、当代になってから、という色合いが強いが、19世紀から続く店だ。ワイン在庫の底力が違う。全土のワインがよく揃っているが、マコン近郊というVonnasの場所柄から思うと、70年代以前のブルゴーニュは意外と少ない。よく売れてしまうのかも。ボルドー古酒リストに魅力ありと見た。ボルドーの古いのは五大シャトーの類いだと、存在しても手も足も出ない、のが常だが、Blancのリストはもうちょい下のランクまで古酒が揃い、割合に冷静な値付になっている。
GB5  …とはいえ、詳述は避けるが、迷いに迷った我々は、逆上・暴走の果てに清水の舞台からトカチェフを決める勢いでの、御注文決定。…まぁ、身体が駄目になるより前に一度は飲んどきたい誕生年ワインの一つではありました。
 サルに移りましょう。みんな結構、決定力のあるFWを誇っているのか、注文が早くて、我々はほぼビリケツである。
 重厚で華やかな空気。これぞグランドメゾン。さんざめきの響きの波頭がきらびやかである。「う〜、五月蝿くもなくショボーンともせずに賑やか。さすがにイケてる反響具合(の建材)ね」、と妙なことを褒めるへべ
 「これまでに100万食売った」…とか威張って書いてあったのはコレだっけか、の、鮭キャビア。鮭とキャビアの思った通りの味、古典的な味ながら近代的軽さを取り入れ巧妙に工夫され…、そんな時代感覚で、実感は素直に旨い。
 蛙のスープも直球、古典ベースのスープに幾分の香草軽さ、風格の塩の強さ。これも小型蛙の腿が魅力である。
 59 Ch.Palmer。文章で万歳三唱したところでしょうがないけど、「…」で10行ほども埋めておきたい。さすがに状態も良いのか、未だ若々しさ・強さも残り、偉大な旅の途中にいる。ワシが土に還ってもこのワインは(存在していれば)生きているだろう。敢えて感想の言葉を考えると、「ギョエ〜」と際立った驚嘆方向に言葉を探るより、「完璧なワインだ」みたいな全体の存在に向うのが正しい気がする。そして何より、気品が漂う。
GB6  鳩のポシェ。「フレデリック・アントンの仇討ちだ」とかつまらないことを言いながら(前年、アントン氏の鳩ポシェがイマイチだった)。仇はとれたぞ、これはかなり旨い! ただ、「鳩が旨くて、そんで、コンソメが旨い、ね」という印象はある。コンソメの塩気と鳩のジュ、といったあたりに、相互作用が希薄な気がする。ワシの感性に無いのかな〜、この趣旨の料理…、とも。
 ブレス鶏「G7」。凄いよ。この皿は本当にG7の会食で出したらしいが、「そのネーミングは如何なものか」とゴーミヨも言っている。だよな。ま、そりゃいいか。
 コレも古典洗練系のオーソドックスな鶏クリーム煮だが、鶏は、本気で、変だ(笑)。鶏に見えん。何か、ジビエか怪鳥か…。とくに腿。強い。何つーか、紫色?にも見える。喧嘩したら誰もかなわなそうな「動物のお医者さん」のヒヨちゃん状態。とてつもなく旨い。強烈な味の強い肉の噛みごたえ…ながら、最後の最後では堅くなくて、シナヤカ。そしてジューシーさも残している。調理もイイんだろうな。
 恐ろしく売れている皿で、テーブル間を大変な勢いで次々と行軍していた。ゆんわりとして気品あるサービス陣に抱かれて。
 デセールもグランな快楽タリラリランで、ちゃんと美味。「ウルサいおじさん」として一言すれば、ちょっち盛り込み過ぎて一皿の印象やテーマ性が薄まってるデセールではあるやもしれない。
 まぁしかし、テーマ性と言えば、今宵一晩のテーマ性は素晴らしかったね。「見事なグランドメゾン」+「ドンブ蛙」+「ブレス鶏」+「59パルメ」。この実に骨太な主題を、伴奏陣も立派に支えました。(いいよね、「わかりやすい快楽」、も)
 「La Residence Des Saules」まで、広場を横切り、少々の逍遥。そうよ、夜の冷気が気持ち良い。
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  ボタン  Le Jardin des Sens  ル・ジャルダン・デ・サンス
  
11-15, avenue Saint-Lazare ・ 34000 Montpellier  T. +33(0)4 99 58 38 38 ・ F. +33(0)4 99 58 38 39 www.jardindessens.com
Chef: Jacques et Laurent Pourcel
・
2009年12月

 [Menu Sens & Decouverte]
 *Le troncon de rouget, houmous a la menthe.
 *La salade de pistes rafraichie d'une gelee d'ail.
 *Le petit oursin farci de crabe, creme legere de son corail.
 *Le troncon de homard a l'oriental, cannelloni de betteraves au celeri et figues, emulsion coco.
 *La noix de Saint-Jacques cuite en coquille, fricassee de legumesau caviar d'Aquitaine, chips de vitelotte.
 *Le jaune d'oeuf tiede, confit d'oignons doux au thym, espuma de pomme de terre, emince de truffes(tuber Melanosporum).
 *l'escalope de foie gras de canard poelee, polenta rotie, compotee de kumquat, vinaigraette tiede au Muscat et pamplemousse.
 *Le filet de sole roule et roti au beurre, tartare d'huitre a la coriandre, et citron doux, jeunes poireaux.
 *Le sorbet en fine amertume d'agrumes et champagne.
 *La noisette de chevreuil rotie et son civet, fine puree de chataigne, tombee de choux rouge au vinaigre, jus facon poivrade.
 *La selecrion de fromages affines.
 *Nos desserts et gourmandises.

[↓メモ版:工事中]
 アミューズ、最初の一口で****。思えば、わずか30秒で勝負のついてしまった店でした。以前は良かった、と確かな筋から聞くのですが…、様々な事情は厳しそう、かな。
 ホテルサイドのスタッフは感じいいんだけどね。
[↑メモ版:工事中]
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  ボタン Lameloise  ラムロワーズ
  
36, place d'Armes 71150 CHAGNY 03 85 87 65 65 (Fax 03 85 87 03 57) www.lameloise.fr
ferme mercredi, mardi midi et jeudi midi : vacances de fin dec. et janv.
Chef: Pierre Lameloise 〜 Jean Lameloise 〜 Jacques Lameloise (1947-)
・
ミシュラン3つ星獲得は1979年。
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2004)

 ミシュラン・ギド・ルージュ・フランス2005で、残念ながら2つ星に降格となりました。さすがに今回は、「それはないだろう」という声も目立つような気もします。ただ、風の噂では、ジャックの息子さんは店を継ぐ意思がなく、ラムロワーズ家による“Lameloise”の運営は当代限りとなる模様で、そのことが関係するのではないか、ということが指摘されているようです。 (2005)

 三ツ星に返り咲きました。
 上層部の入れ替わりに伴いデレク・ブラウンからジャン・リュック・ナレへの人事異動など、内部がゴタゴタしてるのはラムロワーズちゃうでミシュランやわ、という観測多し。たしかに、星の出し入れで信用を落としたのは、ラムロワーズでなくてミシュランガイドの方のようです。 (2007)

 「Jacques Lameloise cede son relais trois etoiles de Chagny」
 ジャック・ラムロワーズが、店の売却を決めたようです。これに伴い、引退ということになると思います。長い間、おつかれさまでした。うーん、此処は御大がいるうちにもう一回は行きたかったなぁ、シクシク(^^;)。
 エタブリスモン「ラムロワーズ」ですが、売却先が親族であり、厨房は料理長エリック・プラ Eric Pras (MOF。レジス・マルコンのシェフだった人)が引き続き統括することから、当面は大きな変化は無いんじゃないかと思われます。 (2008)

LAME1 [↓メモ版:工事中]
2004年11月 ☆☆☆

 *Mosaique de langoustines en gelee de crustaces
 *Pommes de terre ratte aux escargots de Brougogne
 *Pigeonneau roti a l'emiettee de truffes
 *Lievre facon royale brochette de rable et coing
 *Les deux tartes aux pommes tiedes
 *Tarte fine pure au chocolat
 +00 Volnay Caillerets Clos de 60 Ouvrees / Pousse d'Or

(コメント工事中)
[AQ!]
レンゲ:シブレットサワークリーム+生ハム
シュー、チーズ、クレーム、海老、人参(?)巻
ソモンとオマルジュレ、軽い出汁のクレーム
ジャガイモエスカルゴ(ソースは香草と赤ワイン)
ラングスティーヌとポワロのモザイク、筒入りハーブサラダ、海老ジュレ
どちらも揚げた?香草一本(立体消エネ)
ポワトリーヌピジョノー
 ガルニ:ポワロ巻じゃがマッシュにフォア
リエーヴル・ファソン・ロワイヤル、串刺し
 カリン(?)+ハツ(?)、栗のピュレ別添
マンゴクレーム
リンゴ、タルト・パイとグラスドグラニースミス
タルトオショコラ+グラスドヴァニーユ
ショコラクレーム
 Bravo!! ジャックはサイコーだ。
 恐ろしくランティモンに仏語を喋る、のを対ワシらの落とし所とした笑顔のメートルドテルは素晴らしい。対日本人客講座があったら講師をして欲しいくらいだ。
 「じゃがいもエスカルゴ」「それは当店スペシャリテでございまして、柔らかく香り高いエスカルゴがたまりません、トレビアン」「リエーヴルファソンロワイヤル」「おー、マンタノン、セゾンな素材で今サイコーにおいしゅうございます、トレビアン」…ってなもんだ。
 リエーヴルは円筒形に抜き、真ん中にフォアグラを詰めたタイプだが、切った断面を見ると、かなり控え目なフォアの量。即ち、本当に料理に必要なだけを配しているので、余計なフォアグラの側の香りが余らない。地味にジャックらしい完璧性かも。澄んで濃いシヴェのソースは、舌を刺し包むように強烈だが、そこから邪推されたようには夜中にソワフにならず。無駄塩は打たれてないっぽい。
 ゴチャゴチャしたBeauneのCentralを通り抜けN6に入ると、面白み無さそうだが滅茶苦茶に小さいという訳でもなさそうなChagnyの町は、すぐに現れる。おっと、N6からChagny Centralに曲がるポイントがちょっと見逃しそうであったが、Chagnyに入ってまた、Lamloiseはどこかいな、と「?」である。何せ、Lameloiseがネットに載せている地図は「Chagnyに来ればわかるから」という程度のモノ。これはちょっと参りましたか…と思う前に辺りを見回すと、「**ホテルはこちら」「**役所はこちら」の集中方向指示番内にLameloiseの名がみつかる。お〜こっちかね、とクルマを進めると、少しの間逡巡していたのがアホみたいに、街の中心に堂々と建つLameloiseの建物に「ぶつかる」(道はLameloiseを避けるように、左へカーブを回り込んで進んで行く)。ぼんじゅー。車のキーを預ける。
 「堂々」ではあるが、Lameloiseのメゾンはブルゴーニュ〜リヨン〜ローヌの星付きグランドメゾンの「これでもか!」攻撃の中では、大きさも華麗さも地味な方と言える。地味堂々かつ地味グランドであって、ジャックの性格とは、ひょっとして似合っている。
 とにかく驚異的に旨い、というか、フランスでもっとも美しいフランス料理の一軒と思うこのLameloiseで、思い起こしてみれば、一番大したことないというか「何じゃコレ?」程度だったのが、最初のアミューズの皿の一番手前の一品、小海老の人参(だっけかな?)巻であった。何でやねん? コミがしくじったか、いやこれは、淋しそうな顔のままで高速連射されると聞くジャックの“恐ろしい冗談”の一つであったのか。
 オマルにちょとソモン、で、オマル出汁風味のクレムでとじた筒入りアミューズ。ウマ、ウマい! 泡立てクレムが素晴らしく軽い。すごい軽さだ。だが、泡とかエスプーマとか何タラ言う感じじゃなくて、キチンと、クレムと呼ぶべき存在感がある。地味な完璧性、さりげなく驚倒的。この手法はこの後も見られた。
 Lameloiseのサイトで品書き例などを拝見していて気付くのが、"Pomme de Terre"という文字列の多さ。「フランス料理って何だと思う?」と聞かれて「ジャガイモ!」と答えかねない我が家にとって、誠に“このオッサンは気の合う奴やも?”ではあったのだが、ついにお目にかかったジャガイモ実物には泣いたね、オラ。プックリとした大粒エスカルゴ(殻から出てるよ!、ジャック)がちょうど載るくらいの拍子木の焼芋、そしてフワリと香草。このエスカルゴと芋を口に含めば、「豊穣」という言葉の意味が舌の上で現実となる。目に泪。
 とはいえ、この料理を好きでない人もいるだろうし、食べて「それが何か?」という人もあろう。そーゆー意味じゃ、地味でオーソドックスながらある程度の仏料理ファン向けの料理かも知れん。…ってなことは兎も角、書いてる今も食いたくてたまらん、コレ。もし運良く再訪できたとして、再度注文して…しまうやも。
 ラングスティーヌは、地味でオーソドックスながら恐るべき味の決まり具合。Lameloiseはこーゆー言い方ばかりになるな。ブレやすい食材だけに、正確さが際立つ。

[へべ]
 遅めに降りて行ったらそのままサルへ。
 石の壁、天井にハリのきれいな落ち着くサル。
奥のサルは使ってない(この日は)+遠くから個室団体風のさんざめきが聞こえる。
 批評家風男性3人・柱時計・農民風男性3人・マダムビーズ風・若いカップルおさると英語娘・ウチ
●今夜はロゼシャンパーニュ
●アミューズのシブレットサワクレームと生ハムはマネできそう
●エスカルゴとじゃがいも、これがウマイ! でかしたジャック。君が好きなものをボクも好きだ!!!と盛り上がる。黒くぷっくりしたつややかなエスカルゴ、分厚く切ったジャガイモのねっとり、パセリとにんにくのソース。
●アミューズ2の軽いクレームは、エスプーマのような(クレーム系じゃなくて)水系の軽やかさ。
●ピジョノー、極上。ガルニがまた旨い。ポワローをくるりと巻いた筒にすてきなジャガイモピュレを盛り、内臓をトッピング。リエーブルのロワイヤルも実に旨い。
●ひねったもの、あれこれいじったものじゃなくて、ごく自然体の料理が、しみじみとおいしくて、そういうのってなんだか心に迫るものがある。たとえばカルトを眺めただけでビビビと伝わる。ポムドテール好きのたましい。おお同志よ!
●ゆっっっくりフランス語で話してくれて愛嬌のあるメートルもいい奴でした。
●シャニーのどこかなあ? オロオロと走っていくうちにAQ!が方向表示のカンバン(控え目なサイズ)を発見。街の中心に突入せずに、ヘリをなでていくように車を走らせていくと、壁に大きくLamloiseとある。
●この建物の壁にでっかく屋号を書くのは街道筋の店によくあるスタイル。日本人の目にはさすがに大きく映るのだが、走行中のクルマ(昔だと馬車…なのか?)からだとこのくらいがありがたい。
●ジャックのところはこの壁面屋号一発のみ。敷地の外周、道路沿いに「マルクムノー」「レスペランス」と交互にライトアップつきでずらりと並べたりするのと比べると、控え目なカンジである。
●ラムロワーズの宿部分にもメシ部分にもこのどことなく控え目な印象は一貫して感じられた。それがすなわち主のジャックの個性の一端のあらわれなのかしらん。
●フロの湯舟はここのが今回でいちばん気持ちよかった。すべらないようハンドルつきの、長々と寝そべってつかるタイプで、頭の側のなだらかな傾斜がばっちり。あまりの心地良さに眠りそうになるくらい。(シャワー大賞とゴージャス宿大賞はロランのコートサンジャック、アート大賞はやはりレジスさんのことかな)
(コメント工事中)
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  ボタン  Les Maisons de Bricourt "Relais Gourmand" : Olivier Roellinger 
 レ・メゾン・ドゥ・ブリクール : オリヴィエ・ロランジェ
  
1, rue Duguesclin 35 260 CANCALE maisons-de-bricourt.com/
Chef: Olivier Roellinger
・ 2008、閉店の模様
 レストラン「ルレ・グルマン」とビストロ「ル・コキアージュ」・2つのホテル「リシュー」と「リマン」、、、その全体をメゾン・ドゥ・ブリクールと称する。詳しくは公式サイトをどうぞ。

Michelin ○○ /GaultMillau 19 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 19 (2004)

 「オリヴィエ・ロランジェ、年内で引退」という愕然とするニュースが飛び込んできました。qc.news.yahoo.comのようなサイトでも報じられているので、どうやら、本当のようです。健康不調説など、憶測は色々流れている模様、、、
 と言ってたら、自分のサイトmaisons-de-bricourt.com/でも12月15日で終わり、というアナウンスが出ました。 (2008.11)

[↓メモ版:工事中]
2005年 5月 ☆☆

 *海苔佃煮山葵、ポテチにアンショワ・野菜、烏賊ダイス楊枝
 *アスパラムース、ビゴルノー、サンピエールタルタル
 *" Aventures Marines "
  Saint Pierre cru : cubes au vinaigre de gingembre, lames au vinaigre celtique
  Pieces de Saint Jacques a la fleur de sel, "gros lait" et epices de Cochin
  L'oseille sauvage, les huitres plates, le foie gras et l'huile noisettee
 *Les ormeaux en persillade a la Cancalaise, pommes de terre ecrasees
 *Pigeonneau de l'ami Paul, "parfum de falaise" et quelques graines d'autres soleils.
 *Bananes et mangues "en croustilles" parfums de feve Tonka et muscade
 *Les petites crepes et la creme Chiboust a la vanille
 +94 Cote Rotie La Moulinne / Guigal

(コメント工事中)
[AQ!]
19-1  Cancaleはコンパクトな町だ。教会を中心にグルリと回ると、案内標識がやたらと沢山出ている。その中には勿論、「Maison de Bricourt Relais Gourmand」や、その経営する宿の一つ「Les Rimains」の名もある。実は我々は、Les Rimainsに泊まるのが第一希望だったのだが、4室しかないこの質素なブルターニュの民家風のホテルは満室で、断念。今日泊まるのは、ブリクールのもう一つの宿Chateau Richeuxである。
 RicheuxはCancaleから5kmほど南下した位置にあるのだが、Chateauの名の通り堂々たる建物のホテルで、一般にはこちらの方が人気があると言われる。RicheuxからCancaleの町なかのRoellingerのレストラン「Relais Gourmand」へは、送迎車が走る。
 サンマロ湾に望む高台に建つシャトー(といってもどことなく素朴で可愛らしい)にアストラを乗りつける。どもどもボンジュールなんしょ…とフロントを見ると、おねーさんは忙しい。このヒマな時間帯だと言うのに、電話と事務に追われている。適宜適当にチェックインし、「スーツケース取りにやらせるわ」という割に人も来ないので、車をパーキングに移動してから自分で部屋まで荷物を運んでしまう。ついでに言うと、チェックアウト時には更に(電話も)忙しくて、結構ダラダラと時間がかかるのであった。このおねーさんは感じの良い人で、そもそも俺ら、荷物などは自分で運んじゃう方が簡単でラクなくらい(エレベータあるし)で、何も気にしないのであるが、この「人手の足りなさ具合」が“例えば”3つ星に届かない処の由縁ではなかろか、などとは思えるのであった(後にも出てくるが、この、「メゾンドブリクールが何故ミシュラン3つ星を取れないか」というフランス料理界の七不思議話は、食いしんぼにとって、ロランジェを話題とするときの通奏低音みたいなものなのである(^^;))
 部屋は、これでもか、というぐらいに広く、3方の窓越し(一方はサンマロ湾)に風景が開けているのが気持ち良い。日本製オーディオがあって、ロバート・ジョンソンのCDがセットされている。渋い、っつーか、測りかねるというか、カッチョヨイことである。
 外を散歩。庭をちょっと横切って小道を下れば、すぐに浜辺だ。言わずと知れた「干満差世界一」な湾でありまして、この時はだいぶ潮が引いていて、ずっと沖合まで海水に濡れた妖しい浜の内臓が見えるのだけど、やっぱりスゴイ。海鳥が何か、つついている。遠〜〜〜〜くに小さな三角帽のような島影らしき物が見えるので目を凝らしてみたら、あんれま、モンサンミッシェルであった。「モンサンミッシェル、済み」と勝手にメモする(^^;)。

 で、ブルターニュの英雄・現代のスーパーシェフ、オリヴィエ・ロランジェ。勿論(笑)、我々にとって、今回の旅を計画した“動機”であり主眼である。
 曰く。
 ・地方の個性に立脚し、現代を疾駆する料理の冒険家。
 ・ブルターニュを知り尽くす男の海に関する知識は、漁法から魚介類の締め方にも及び、専属の漁師まで抱える。
 ・化学専攻の学徒からいきなり料理人に転向した(つまり通常の修業経験は無い)という異色の経歴を持つ。
 ・この地方は交易の関係で古くからスパイス文化圏なのだが、その中でも際立ったスパイス使いで、ついたアダ名が「エピスの魔術師」!(実際、胡椒一つとっても、「それでこれは何年何月に何処の畑で収穫したものか? それがわからなければ正確な使用は出来ないし、知識も集積しない」とか言うらしい。ブラヴォ)
19-2  ・右の写真の、化学実験室の薬品棚みたいに並ぶのは、料理に合わせて調合されたエピス類と、風味付けされたオイル類で、これは販売用。少し買ってきたけど、極めて優れている。欧州内ではサイトから通販で買えるみたいなのが羨ましい(^^;)。
 そう、今から10年程前のフランスには、ミシェル・ブラスとマルク・ヴェイラ、そしてこのオリヴィエ・ロランジェこそが、「21世紀への扉を開ける」のだ…という空気が、確かにあった。そのことは、本人の言葉にも現れる。
「4,5年前、私を含めた先進的シェフたちが「フランス料理の危険人物」と叩かれた論争がある。保守派の人々にとって、それはフランス料理ではないというのだ。しかしフランス料理というもの自体、本当にあるのかどうか。今そう呼ばれているのはパリの料理だ。本物のアルザス料理、バスク料理、ブルターニュ料理に共通の土台があるかと言えば、ないと思う。国際的にはフランス料理はエスコフィエの料理だと思われている。しかしあれは20世紀初頭の、ホテル向けルセットの集大成だ。いつしかそれがすべての基準となり、料理を縛りつけた。私に言わせれば暗黒の時代だ。私が基準とするのは18世紀。当時は新しいものへの要求があり、世界に目が向けられた。フランスの料理人は新しい素材を受け入れ、把握し、さらに美しいものとして定着させた。皆が才能を表現し、フランス料理を豊かにした。料理はそのように時代と呼応しながら、新しいものを築いていくべきだと思う。」(「スペシャリテvol.3」柴田書店)
 何とも力強くも正鵠を射るステートメントではないか。
 さらに言えば、ロランジェは、ラ・ロシェル南青山の石井シェフの師匠(「ハーブ料理テクニック」の巻頭言も書いている)でもある。
 よし、ここ行くぞ!食うど! と、我々の志は漲る… …ものの、ブルターニュは遠し。冬は寒そうだし(…といきなり脆弱である(^^;))。

 そんな訳で数年をボーっと過ごすうちに、Cancaleを訪れた諸先輩方から話を伺う機会を得る。…のだが、これが悩ましい。「あぁ、メゾンドブリクールですかぁ…」…と、みな言い淀む。歯切れが悪い。「どうなんですか?」と聞いてみると、色々あるのだが、「いまいち」「出来不出来が激しい」「面白いのはある」「いいような悪いような」「ウマいのもあるよ」…などという声が凸凹と。そして、「"retour des Indes"は止めとけ」と付け加えられる。ちなみにこの"インドからの帰還"というのはサンピエールのカレー風味仕立てで、ロランジェの名を高からしめた傑作として知られる一品。ブラスのガルグイユやパコォのクドブフみたいなもので行ったら必ず頼んでしまいそうなモノなのだが、「ただのフィッシュカレーとしか思えなくて、なんだかな?」らしい(^^;)。(ちなみに、ミシュランが3つ目のマカロンを出さない主要因は「料理にムラがある」ことだ、という噂)
 そんなこんなで、行く前から作戦会議。アレはいいってコレは駄目だってインドには帰るなヴィアンドが意外と良いから海産物一色にするなっていきなり2泊はナニかなぁ…、と何か耳だけ年増になっちまったみたいだけど、研究した。

19-3  …などあるも、本物のCancaleに着いて、明るい太陽の元(実は、“この時期”のブルターニュは本来、雨天曇天が基本である。ずっと観察してた天気予報でも小雨続きだったのだが、我々の滞在していた一週間だけは妙に晴れた。妙に暑い、というありがたくないオマケまでついたが)、リシュー城の豪勢なバスタブで泡を吹いているとアレやコレやは頭から揮発していってしまう。そして、みるみる腹が減る。
 リシュー城からレストランへは送迎車で。「19:20にする?、20:40にする?」と聞かれる。基本的には、この2便でやり繰りしたいらしい。妙に、微妙な、帯と襷な時間設定だなぁ…(それが“例えば”3つ星に届かない処の…(以下略)(^^;))。ちょっと迷うが、20:40。さすがにこの季節、まだまだ明るい。
 城の1階サロンに降りる。この1階には海産物ビストロ「Le Coquillage」があり、ディネが始まっている。Chateau Richeuxに泊まりLe Coquillageで食べてしまうのが、観光的には一番手っ取り早い。日本人卓もチラホラ。ブルターニュ半島では日本人の姿を見ることは滅多に無かったのだが、ここカンカルにはかなりいました、日本人。サロンで待つことしばし、ショーファーから呼ばれる。
 ビュンビュンビュンのシュッと飛ばして、レストラン「Relais Gourmand」着。ファサードがいい感じ、本館に絡まった蔦も含め緑が目に優しい。この建物こそ、かつてインド交易で財をなしたBricourt氏の邸宅であり、後年Roellinger氏の生家となったと言う(ありゃ、ひょっとしてロランジェ君って、おぼっちゃま?)。門から建物への導入もいいが、素敵なのは池を擁する中庭で、中庭から食堂を眺める写真がよく紹介されている。本日の我々の席は、奥のサルの中庭を望むポイント。こりゃ良い席でしょ、ありがたや。グワグワグワと鴨など水鳥が池の回りを闊歩し水面に浮かぶ。イケスである(嘘)。サルはいかにも邸宅改造型な内装で、落ち着きがあり、しかしどっしりと重いというより洒落っ気のある軽いテイストが気に入った。
 セルヴールは最初だけ、何か英語のタドタドしい変な奴が現れてどうしましょと思ったけど、その後は、英語抜きだが普通の皆の衆で、一安心。
 料理は、後に詳述することもあろうが、アントレに「スペシャリテ3連発」という盛り込み皿、プラに鮑と鳩を頼む。多分、悪くない注文だったと思う。
 アミューズはまず、白い皿上に黒い石を配し、その上に串刺しや揚げポテト器を置く美しいモノ。続いて「3種の貝、海賊の香り」。
 …だが、皿上をジッと見てみると、ややユルい。アマい。
 …って言ってるのは、この店に期待する「世界トップとしての感動」の有るや否やのレベルの話ではあるのだけど、包丁とキュイソンがややタルい気がする。
 パクリ。美味い!…けど、味の細部が、ややユルい。アマい。
 料理の詳論はレストランページで後述するとして、トータル的には、このファーストインプレッションの感想は、最後まで続いたのであった。即ち、綺麗で・面白く・美味しい、のよ。だけど、「現代のトップクラスであるか」「感動があるか」という視点を持って来てしまうと、何とも、ユルくてアマくてタルい…というのが正直な感想。点数付けたら(料理に点数付けたことなんかないけど)、85点以上の皿は無かったなぁ、って感じ。だから料理については、「素晴らしい…」というのと「物足りない…」というのが、自分の中でも同居しちまうんですね。ある意味、先輩方の言葉がよくわかった、という…。
 鮑は3日間かけて柔らかくムチムチに仕上げた逸品であり、鳩の肉質には惚れ惚れとする(レンヌの鳩は本当にイイのだ)。…けど、ソースの掃き方なんかちょっとダレてるし(総じて現代型料理なのにプレゼンタシオンが乱れ気味というか雑なのはかなり印象を損なう)、味の着地も少し両足が揃わずにバタつきましたかねぇ惜しいですねぇ解説の加藤さん、って感じである。
 デセールは、それよりもうちょっと落ちて、少し情けないかなぁ。まぁ悪くもないし、2つ星な感じだけど。
 全体にエピス使いは素晴らしく、パリ辺りの凡庸な店には教えてやりたいようだけど、さりとてブルターニュを回ってみると、この地方のエピスNo.1…って印象では、ない。
 ワインはオーベルジュ・ブルトンほどではないけどなかなかのリストで、オーベルジュ・ブルトンやランフィトリオンに比べたら割高な値付けだが、2つ星としては良好な方。…だがそこに、ギガルの94のムーリーヌだけ何故かいきなり185euro。え!?、っと飛び付く。ワインが出てきて「こちらでございますね」、なんて差し出されて普段は見もしないでウィウィ言ってるんだが、この時は、ブリュンヌ・エ・ブロンドじゃないのかジッと見てしまいましたよ。いやいやちゃんとムーリーヌ。頃合いもかなり良くなってて、むちゃ旨。うーん、ハッピー(…って実は料理の方も「一軒のレストラン訪問」としては、「うーんハッピー」、ではあるんだけどね)

 そんな訳で、…まとめる必要も無いけどまとめは難しい。「モンサンミシェル観光のついでに素晴らしいレストランがある」というのは嘘では無いし、「オリヴィエ・ロランジェという夢を求めてやってきて、言葉に詰まる」というのも嘘では無い。
 帰りの送迎車は、時間差をまとめるせいかギュウ詰めの一杯、日本人も一杯。隣り合わせになったマダムは「パリではフォーシーズンスに泊まったのだけど、ル・サンクよりいいレストランあるわよ…って、ランブロワジーってとこ取ってもらったの。良かったわ」とのこと、「でも、今日の店はランブロワジーより軽くて食べやすくて、こちらの方が気に入ってよ」とおっしゃる。それは至極素直でまともなコメントであり、実際そういうもので一軒のレストランを評して…なら彼女の方がよほど正しいのかもしれないが、…つまり、“ロランジェに見た至高の夢の現実はどうなのよ?”と言い淀む我々みたいなもんは、なんですな、フランス料理ヲタって奴なんでしょうな(^^;)。
 前述したようなロランジェの言葉は本当に素晴らしく明晰だと思うし、それがどれだけフランスの地方のレストランを勇気づけたかと思うと、それはいくら評価しても、し足りないほどのものと思っている。それは本当だ。しかし、そういったことも含めた「夢」が、料理を食べることで「現実に着地」する、その快感と感動について聞かれると、先輩諸氏同様、甚だ心もとない。
 ぶっちゃけ、そのトータルを俺ら的に総括すると出て来る仮説は、“ブリクールは、スーシェフや部門シェフが弱いんでね〜の?”ってところ… …がないでもない。「石井さんがいるときに食べてみたかったわね」とか思ってみたり、してね。今日のこれは、本当にロランジェの描いた絵図通りのものだったのだろうか。厨房はシステムである。人心掌握や組織管理に弱点があるのは、理系出身の弱みよね、と理系出身の俺は思う。…ってのはどうか? (^^;)
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 大らかで脳天気。
 さすがに日本人もいるし。食べやすさはあるようで、「昨日のランブロワジーより、私にはGood」だとか。
19-4  3点盛アントレでは、帆立がブッちぎりに良い。薄切り(かなりの)にグラニスミスを合わせ、エピスとオイルでまとめた。艶っぽくも品位の高い傑作。
 鳩はエピスの魔術師としてはかなりオーソドックスに。ウマい。
 オーモーが一番面白い。まぁオーモー自体、そんなに使わないしねぇ。歯応えを残しながらの柔化にはテクがありそうだし、香草ブーレ的なソースも旨い。とりわけ、でかいオーモーにチビ助(親指くらい?)を添えてコントラストを見せたのはナイス。ポムのエクラセは、妙にシロートっぽい。
 リシュー城からルレへのリムジンは、19:20と20:40の2択。どんな運用なのかな? 帰りは乗合いである。
 リシュー城のマダムは電話と対人応対で大変に忙しい。早く3つ目のマカロンを取って人手を増やして欲しい(?)。
 3方向に向かって窓が開く部屋は、開放感があって気持ちいい。シャワー室は別、型。CDプレイヤーに何故かRobert Johnsonがセットされている。  ルレ。グワグワが散歩する窓際の席。暮れて行く庭がとてもキレイ。ムノーんとこと似た構造だが、庭は夜間照明アリマス。でも、自然光で始まる夏がイイんじゃないかな。
 ワインリストは、JPAやJTに比べ「残り具合」が悪いが、時に、お値打ち品が見られ、94ムーリーヌの180euroはよいと思う。メチャ旨。
 サンピエールキューブの方は甘酢風味。アクワイヤドに美味いが魚は可哀想。時に渋さシラズなのは、気にしないみたい。ケルティック酢はほんのり甘い感じ?
 牡蠣の影に薄〜くフォアグラを忍ばせておくのはまずまず整合していて効果的。
 デセールはどちらも、見た目・食感ともに、かなり“ボテーっ”としているが、味は悪くない。
 全体には、年齢とか歴史的実際はわからないけど、「新ブルターニュ料理の旧世代」って感じなんだよなぁ。
 量は軽め。アミューズも品目数はあるが、ほんのほんの一口ずつ。海苔の佃煮は、マテ貝の殻に乗ってるが、どう探しても貝の身は無し。スティック代わりか。
 それにしても、店内も宿も値段も、雰囲気はヒッジョーに“3つ星くさい”。
 やっぱTさんやT島さんじゃないけど、出来不出来が激しくて、「Retour de Inde」がマズいのがいかんのかのぉ? (でも“帰還”、Dさんは旨かったって)
 さすがにオオダナだけあって、JPAやJMBみたいな精度は出ないのかなぁ、と思ったが、例のブルターニュレストランガイド本を見ると、クヴェールは40で、他店に同じ。見た目より席数は絞っているのは、余裕で結構なことである。…けど、40ならもうちょっと精度出ねぇかな(^^;)。
 リシュー城泊で食事はビストロ、の日本人もいた。
 リシュー城泊だと、バーッと乗り付けてバーッと帰ってきてしまうので、ルレ回りの散策ができないのが、多少つまらん。ま、夕方にでもCancale散歩などする余裕があれば良かったんだけど。Hotelは第一希望は、ルレに近いリマンだったのだが、満室だった。
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  ボタン Auberge de l'Eridan : Marc Veyrat  オーベルジュ・ド・レリダン : マルク・ヴェイラ
  
13 vieille rte de Pensieres 74290 VEYRIER DU LAC   www.marcveyrat.fr
ferme lundi, mardi et merc. a dej. (sf juil.-aout) et mi-nov.-deb. mai.
Chef: Marc Veyrat (1951-) 〜 Yoann Conte
・ 2009年、閉店の模様
2010年、再開か
ミシュラン3つ星獲得は1995年。
ゴーミヨでは、「出ないものと思われていた」幻の20点を2003年に獲得。…しかし、20点、ねぇ、、、、。
Michelin ○○ /GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 20 (2004)

 2009年2月24日、「フィガロ」「ル・モンド」が伝えるところによると、Marc Veyratは、健康上の理由(2006年のスキー事故によるものなど)から引退を表明したとのこと。オーベルジュ・ド・レリダンもこれに伴い閉店する、というような報道となっている。いずれにしても、大変に残念です。

 公式サイトによれば、門下生のYoann Conte氏のもと、再開の運びだとか。 (2010)

2002年10月 ☆☆

 " menu sonate "
 *Sandwich et Hamberger, gelee de panplemouse et genipi,mousse de polytic (緑とピンクの筒、野菜のシューなどのアミューズ)
 *Escalope de foie chaud, vinaigre de myrrhe odorante
 *Oeuf mi-coque mi-brouille mousseuse de muscade, piqure d'oxalis
 *Gelee tiede aux aromes de lierre terrestre,concombres, encornets pistaches, effile de crabe
 *Les trois ravioli de legumes d'ici, sushi en folie,huiles epicees, noisettes, olives, soja
 *Consomme de poule, spaghetti fondants au gout de fruitiere, sorbet de foie de volaille
 *Fera du lac poelee sur la peau, cube de glace, aux aromees de benoite urbaine
 *Turbot cuit sur une pierre d'Arly, pastilles de verveine melissee, coulis d'ache
 *Soupe d'epiaire des bois, echalotes glacees fanees,lard virtuel
 *Cappuccino de rattes aux truffes, ecume de cacao
 *Irish coffee de canette tiede, souffle de mais glace bonbons de carvi
 *ヴォーの皿
 *コート・ド・ブフの皿
 *Les desserts de mon enfance
 *Pots de cremes oublies au four, a la decouverte de la flore alpine
 +90 Mondeuse Prestige / Grisard

MVEY1 ■ Annecy____________________
[AQ!]
 帽子男マルク・ヴェイラの料理が食いたい。コレが2002秋フランス旅行の主眼ではあった。しばしばミシェル・ブラスと対比して語られる大きな黒い帽子と黒いマントの鯔背な山男。香草を魔術のように操るサヴォアの山の野人。クレイジーなまでのパッションで未開の野に新天地を切り開く気鋭の料理人。…と、こんなに気になる奴も少ない。
 しかし、「アヌシー湖って何だべさ、どうやって行くとですか?」と、無い知恵を呑気に養っている間に、帽子男はすっかり時の人として脚光を浴びる存在となる。例の「ミシュラン6つ星獲得!」の騒ぎだ。実際にはヴェイラの6つ星(=すなわち3つ星2軒)は、デュカスの場合と違って「季節によって営む店が違うだけ」でスタッフはその間を移動する。夏は湖畔/冬はスキー場の店での営業で、夏の3つ星と冬の3つ星足しての6つである。どちらも建物として立派なら、後の内容は同じなんだから、片方が3つ星ならもう一方も3つ星というのは自然なことではある。
 ミシュランの星騒ぎは、アヌシー湖行決行計画者には余り良いニュースとは言えないかもしれないが、まーとにかく、行くぞ食わせろ、の2002だ。
 そんな訳で旅のメインテーマの帽子男の館。2泊ぐらいして2,3食食おうよ、が当初の目論見であった。…のだが、ガーン、実際に具体的に調べると問題が一つ…。我々には、“頭の血の巡りの悪さ”とともに、“財布の薄さ”という大弱点がある。ここでまぁ一つ、ヴェイラのサイトのタリフ関係んとこ、見てみてくれよ、兄ィ。ヴェイラのタリフの高額さったら、アータ、群を抜いて一頭地…から回りをヘイゲイするかの如き猛烈さである。単純な話、同じ3つ星19点のミシェル・ブラスやジョルジュ・ブランの料金と比較して、室料も典型的ムニュもおよそ「倍額」なのである。倍だよ、倍。これはもう、超高級ホテル・超高級旅館泊まり歩き道楽の、クラ〜スがアッパ〜な方々のタリフの世界と言っていい(しかしそう考えると、レストラン道楽って“普通”には安いもんだよな)
 このタリフにクラクラと迷う。2泊はあんまりだよな。1泊はアヌシーに安宿をとってタクシーで食いに行くか…など折衷案も検討するが、結局、“ウーン、今回は様子見”で「1泊1食」と決断。アヌシーの地勢上の位置が頭に入ってみると、思いの他Lyonからの便はよく、再訪難易度は高くないのを知ったせいもある。

 リヨン、グルノーブル、アヌシー、ジュネーヴ、シャモニー、、、「LyonからAlpesへ」のルートは高速網がとてもよく発達していて、大概の行程は複数の経路選択肢が選べるほどだ。この日はヴァランスからアヌシーへ。オートルートはよりどりみどり。一旦Lyonに向う…のも不粋かと、真直ぐグルノーブルに出るA46を使う。随所で山岳ドライブ気分を味わう。「さすがにアルプスのお山さんは“山”らしく険しいことですの〜」とマッシフセントラル暮しが長かった(3日間)日本人の目が喜ぶ。
 アヌシー着。この行程はラクで3時間もかからない。アヌシー・ノールを降りると道は新市街の中を進む。大きい街でかなり道はゴチャゴチャしており、湖畔に辿り着くのも一仕事であった。
MVEY2  お〜、湖だ! 芦ノ湖畔とかそんな風情。時計回りに湖一周のコースをとると、道は程なくヴェリエ集落に入り、キョロキョロしているうちにマルク・ヴェイラの館オーベルジュ・ド・レリダンを発見。近辺はホテルが多い。まだ日が高いので、湖一周観光を続ける。
 タロワールで停まって、カフェ昼食の算段。金曜午後ではあるが、観光シーズンが過ぎたゆえか、立ち並ぶカフェやレストランを併設したホテルも、あまりやる気なし。ちなみにこの集落に、かつての(なんて言ったら怒られるか)名店「オーベルジュ・ド・ペール・ビーズ」がある。
 タロワール集落中心部のカフェでキッシュロレーヌを食い、センスの良さげな土産アクセサリー屋で少し買い物をする。
 「ここへは初めて? 日本人もアヌシーばっかりじゃなくてタロワールにも来ればいいのにね」、とオバサン。「ちょっとこれを見て頂戴よ、"漢字"でしょコレ、何て書いてあるの?」などと逆に質問されているへべである。
 湖畔の、水がチャプチャプいっている際を更に車は進む。とんがった端まで行って、クルっと回って反対岸をアヌシー市街に戻る。こっちサイドは湖畔の道が赤い国道で交通量多く、観光的にはつまらない。
 丁度ヴェイラの対岸はここらだべか、という位置で車を停める。「水辺から向こう岸を見てみよう」と言ったものの、ここはプライヴェート湖畔らしく、柵と生け垣が障害になっている。仕方なく、ピョンピョン飛び上がってみたり、垣の切れ目から覗くとヴェイラらしき建物が垣間見える。へべが「水色の建物だったから、そうよ」と、さっきの一瞥で館の色を覚えてきていた。コレは一発写真を撮ろう、と、伸び上がったりTwingoを踏み台にしたり、大騒ぎ。なんとか撮影して、ヨシヨシと出発すると、ものの15mも行かないうちに、湖畔に出る遊歩道の入口が…。簡単に写真が撮れる…。アヌシーにもマーフィーは遍在すると思い知った一幕であった。
MVEY3  この方向からアヌシーに戻ると、シティホールを中心とした旧市街に到着、まずは観光フェリー乗場である。
 いや〜、観光地である。ディナークルーズ対応巨大フェリー太鼓橋、溢れんばかりの花・花・花、石造りの教会堂、水鳥水鳥水鳥に囲まれてスイ〜っと泳ぐ白鳥! 。全てが愛らしくディスプレイされた、何とくすぐったい(くすぐったがるなよ)尻のこそばゆい(こそばがるなよ)…大変な観光地である。まぁ芦ノ湖…より品は良いのだけどね。「地球の歩き方」によると“スイス風の街並”と言うのだそうだ。たしかにチロリアン衣装こそ見当たらないけど、スイスがどうの…とかそーゆー風情だ。
 おっとそうそう、ここではシティホール地下に車を停めたのだが、この地下地下6Fまで掘抜きになっており、その6F分を展望エレベータ2基が降りて行く。これはカッコ良い!…と、白鳥様よりパーキングに感心してりゃ、世話ない(^^;)。

■ Auberge de l'Eridan____________________

 …とか言いながら、無事に市内観光も済ませ、そろそろチェックインの時間となる。ヴェリエ集落のロータリーからヴェイラの玄関までの小道はゴチャゴチャ曲がりくねりかつ急カーブあり、であまり楽しくない。泣く子も黙る6つ星様へのアプローチ…って盛上りは無し。玄関前に乗り付ければ、ベルキャプテンが飛んで来てテキパキテキパキと、コトを進めてくれる。このヒトは翌日、Twingo後部トランクカバーの外れてるのを見事に直してくれてたくらい、イイ奴だ。
 そういえば、後で駐車場を上から見たら、BMWベンツボルボでかいモデルのプジョーetc.に囲まれて、Twingo小せぇこと小せぇこと…。キャハハ、他のクルマの半分以下だよ。此所に来るクルマはみんなでかいなー。フランスの地方ではミシュラン2,3つ星の店でも、クリオサクソVWの小さいのだオペルの小型だ…と気楽なクルマ主体ということも多いので、久しぶりにココみたいに大型車タップリの駐車場を見るとビクーリだ。箱根オーミラドーの駐車場を思い出す。これが、“大観光地”“スイス国境近く”ということ…なのかもしれない。銀行家の休日? (というか、アルザスでも、ドイツ人が乗ってくるクルマはデカい。ドイツ人は大きいからね…、じゃなくて、EUの時代になっても“国境を越えて遊びに行く”ってのはなかなか裕福なことなのかもねぇ)
 眺めながら、「あんなデカい車じゃ、ブルゴーニュ葡萄畑の畦道でUターンできねーよ(笑)」とTwingoの肩を持つ。「少しは恥じろ、ニッポンの国辱モノめ」と叱られそうだが、思うに、きっと絶対、ワシら以外で此処んちに来る日本人はみんな、ベンツのSクラスあたりで乗りつけてる。間違いナイ!((C)長井秀和) という訳で、日本の威信はその辺りの方々に任せてOKOKということで(^^;)。
MVEY4  お部屋はお2階でございます。
 案内のオネーサンの先導。実はこの時、間違いが起こっていた。オネーサンは英語モードで「ユー・ステイ・トゥナイト?」と聞く。ウィウィ。「フランス人の英語だなぁ、何か変なことゆーて」…とか聞き流してたワシは、「そうだよtonightだ、グッドステイだといいね」等と返答(英国人の英語なら「え、何何?」と聞き直す所なのだが(^^;))。ところが翌日わかった所では、向こうはどうも"2 nights?"と言っていたようなのである。
 大体、何で訊いてきたのか。「到着日・出発日・滞在1nuit」を書いたFAXは何往復もしていると言うのに(途中の予定変更も無かったし)事務整理が悪いな(笑)。
 ま、この件は翌日「ちげ〜よ、今日帰る」と言って、済み。
 さて、部屋だ。バーン! ワハハハ…こいつは、よくもやったものだ!
 「山の暮しがテーマだ」と言えばよいか。ふんだんにふんだんに木材を使いこなした部屋。木組みはアチコチで「素朴な味わい」を表現する木肌を見せている。ベッドの頭の上あたりには棚を設け、そこにギッシリと「焚き木用の小枝」が詰め込まれている(勿論、そんなもん使わないが)。天井の造作が面白い。木と金網で出来たパネルに、乾燥麦・布・豆・乾燥草花など様々な物を挟み込み、そのパネルで天井を埋めて行く。寝転がって下から見上げると、でっかい押し花図鑑のようだ。
MVEY5  おっとそういえば、壁には、採集した香草類の押し花・押し草が額装されて、何枚もかけられている。ちゃんと学名を入れた整理がなされていて、さすがに香草の魔術師(笑)。
 昔の木製農機具類も、床に壁に、装飾調度品として活躍している。その幾つかは釘で止められていて、「持って帰られないようにしてある、ってわけね」(by へべ)なのは御愛嬌。
 部屋全体がアトラクティブでチャーミングな眺めであり、居住空間として快適だ。要素が多く、綺麗にフィニッシュアップされている為、どこか、「田舎の山小屋“テーマパーク”」のようではある。
 テラスに出れば、アヌシー湖が馬鹿みたいに眼前にダダ広がっている。湖から視線を手前に戻してくると、白地に赤・青のボートがプカプカと浮かび、小さいヴェイラ専用船着き場があって緑の庭の起伏、更にその手前の屋根の下がレストラン部分、という寸法のようだ。レストラン部は玄関エントランスから見ると1階下のレベルで、すなわち部屋からは2階下にあたる。
 部屋のテラスと真反対側が浴室で、巨大ジャグジーバスがデンと構える。ジャグジーONすると泡噴射とともに浴槽下部からライトアップがなされ、泡にまみれた輝く裸体は、部屋越しに湖と山を望む。豪気なこっちゃ。これでシャンパンでも開ければさらに豪気だろうが、ま、終わっちまうだろうな(^^;)。
MVEY6  ってな訳で、例えばミシェル・ブラスの客室なんかは初めて入った時にはちょっとした感動を覚えたのに対し、ヴェイラの客室は感動ってこたぁ無いのだが感心と面白みとゴージャスなサービスを供してくれる。
 山の向こうに陽が落ちる。秋の陽は落ち出すとストンだよ。実の所は、山に関して言うならば、ヴェイラが建っているこちらサイドの山の方がずっと綺麗なのである。すなわち、山を見るなら、対岸からこっちを見る方が良いのだけどな。

■ Marc Veyrat____________________

 …と愚考しているうちに辺りは闇。我々はレストランへ出かけませう。
 レストランの造りもテイストは客室同様で、明るく元気のよい山小屋調。セルヴールの、白とオリーヴ色を基調とした明るい服装が、全体の雰囲気の素軽さを更に強調しているかもしれない。サルを進んでくると、そこはかとなく清涼な香りが漂い、快い。普通は「料理の香りか…」という所だが、此所のは、サルのフレグランス用だけに何か香らせているんじゃないかな〜。そーゆー印象。
MVEY7  ここでの注文は、ムニュデギュスタシオンの「ソナタ」かなぁ。アラカルトもあるのだが、若干このムニュに誘導的なフシのあるカルトである。“ま、とりあえず「ムニュ」食っとけ”、みたいな。それ、食っとくわ。
 カルトドヴァンは、実はweb site上で一部予習済みなのだが、値付けがクソ高い。特に有名銘柄は恥ずかしいほど高く付けている。実際に店で詳細に見ると、ローヌの一部など比較的冷静な値付けもあるが、矢張り、ある程度のワインの実勢価格(酒屋で幾らで売ってるか)を知っているヒトだったらクラクラしそうなリストだ。
 じゃぁ全滅か、というとそんなことはなくて、「イイ物」がある。何のことはない、「土地のワイン」…すなわちジュラサヴォアだ。カルトの2頁目がこれらに捧げられている。4桁(euro)価格も乱舞する他ページと違い、このページは80年代から揃っているにも関わらず全て2桁価格(絶対価格が安ければいい値付け、ってもんでもないけど)。「俺っちはサヴォア赤の古めを貰うぞ。どれだす?」とソムリエに下駄を預けると、スーッと指先は90で止る。prestige。ウン、良さそだ。
 事実、良かった。麗しい鼻を持ち、ボディは、肥えたり充実したりまろやかだったり…とまでは言えないにせよ、十分に下支えする力量がある。まー、ここいらの酒でなかなかこうはならないのだろうな、と思う。
 アミューズピンクの2層がケバいガラス筒が目をひく。シューにいこんだクレーム野菜は、旨いが意外にコテーッとしっかりしている。かなりヴォリューム感。
 うーん…。
 …う〜んどうしよ、ここでは、先に解題というか、我々の発見した結論(ではないが、“まとめ”のようなもの)を、一足お先に披露してしまいましょか。
 このディナー時もマルク・ヴェイラには軽く挨拶などしたのだが、翌朝帰りがけに玄関でバッタリ遭遇した。これは好機、と、写真をねだったのだが、握手してギョ。はいチーズ、と肩に手をまわしてギョ。デカいのだ、この男。巨大人間だ。中に絶対何か入ってるよ、コレ…。じゃなくて。牛と戦ってみるかチミ…。じゃなくて。
 えらい大男です。
 此処んちのムニュは、どうしてもこの、“巨人”の感覚で作られているとしか思えない。つまり一つには、ド単純に、絶対量が多過ぎ。ワシらには、幾らなんでも、これ全部を楽しめ、と言われたら辛い…どころか、食えん(^^;)。ま、それはワシらが“小人”なのがイカンのではあるけど。
 (だけど、ワシらとて、ムニュデギュスタシオンでも、そう滅多にギブアップした経験はないんだけどさー)
 で、それもあるが、この“大人物”のムニュは、さすがに幾つかの点で「やり過ぎ」「詰込み過ぎ」を感じるのだ。即ち、コース全体の流れとして、さすがに流麗さが無いし、対照の美が感じられない。コースの「構成」として、どうなんだろうか。ここまで“ぜ〜んぶ”出されると、やっぱ、重複を感じる所もあれば陰影が塗り潰れて感じる所もある。舌や脳の記憶層にうまく納まっていかない。
MVEY8  (ちなみに個人的に、大ムニュの流れが綺麗だと感じるのは、M.Bras,R.Marcon,A.Adurizなど。逆に此処んちのように一品一品は傑作だが流れないのはM.Berasateguiなど)
 だから、素晴らしい皿が出ても、今一つ上手く“感動が納まるべき所に納まる”ことが出来なくて、もどかしい感じがするのだ。

 ちなみにこれは日本の小人ゆえの感覚かと思っていたら、そうでも無いらしい。元ミシュラン調査員のPascal Remyは著書“L'inspecteur se met a table”(「裏ミシュラン」バジリコ刊)の中でこう言っている。
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 ミシュランガイドに載っている店のなかで、いちばん印象に残っている店はどこか? この質問に答えるのは難しい。メジェーヴにあるマルク・ヴェイラの店で、350ユーロもする有名な「お試しコース」を食べることはおすすめしない。(中略)そのときは楽しく、感激もするしお祭り気分になる。ところが一週間もたてばすべてを忘れてしまう。食べたものをまったく思い出せなくなるのだ。
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 Pascalがここで言っているのは、我々とかなり近い感覚なのではないかと思う。(ちなみにPascalはこの後、「忘れがたい思い出」として、パコォとブラスの皿を挙げている)  …と、ありゃ、文句から先に申し立てる日記になってしまったが、一品一品の料理は凄いよ。度肝を抜くようにイカれてカッコよく、それでいて味覚を捕らえて放さないような傑作がバンバン出る。紛うことなくスッパリ新しく、見たことも食べたこともないのに、味の美形が頭の中に結晶するような料理がある!、と認めるにヤブサカでない(^^;)。

MVEY9 [へべ]
 黒い帽子赤いマフラーのイカしたシェフ。ずーっと気になっていたマルク・ヴェイラの料理、やっと食べてきました。その感想は…いささか複雑。確かにこのヒトは天才的に料理、うまいのだろうな、と思う。でも、ミシェル・ブラスの時みたいに「やっと来た&やっと食べたぞ、素晴らしかったぞ、絶対にまた来るぞ」と手放しに踊りきれない、3勝2敗1引き分けみたいな気分にさせられるのはなぜかしらん。
 その一部――例えば、アヌシーみたいな小奇麗で素敵なお金持ち向けの観光地よりも荒涼としたド田舎にうっとりする、とか、懐具合が情けなく宿代などすぐケチりたがる、といったあたりは単に、こちらの趣味属性との“相性”の問題だから仕方ないや、と割り切りやすい。一番つらかったのは「量」かもしれない。一皿当たりの量が多い上に、コースの構成自体もやや冗漫。というか、後で読み返してもクラクラするような内容(アミューズに前菜5皿、魚2皿、スープ、肉2皿)で、なんぼなんでもコレ全部正気で食べきれないだろう。コースの終わりにはもちろんサヴォワご自慢の素晴らしいフロマージュを満載した見事なシャリオがテーブルにやって来るのだが、その時にはもう見ただけで貧血起こしそうな状態でした、イヤほんとに。
 ま、量についてはご当人を目にするとある程度得心がいく。なにしろ、「人間が中に入ってる?」と背中にチャックを探してしまうほどの、文字通り巨大なシェフなのだ(ディナーの翌朝に一緒に写真を撮ってもらった時には、その手の大きさにも驚かされた。ブラスは体躯も掌も“分厚い”印象だったが、このヒトはどこまでいっても“デカい”)。この巨人にして天才情熱野人のヴェイラが、そのほとばしるアイディアとインスピレーションを次々に料理の形に変え、自分の胃袋を基準にガンガン出してくるわけだ。東洋の島国からやってきた小さなボクらにはそりゃ、多いわな…。でもって、一つひとつの料理が旨かったり素晴らしかったり面白かったりするだけになんとなく残せずに食べ進むうち、ある時点から脳が危険信号をピコンピコンと発しはじめた…という次第。
MVEY10  後日AQとの反省会では「(クレームは全く使ってなくてトレトレレジェールなんだよ、という言葉に半ばつられて)冷たい鶏レバーに熱々のコンソメを注いだあの一品を全部食べてしまったのが大きな敗因」だったかなぁ、などとタメイキをついたのでした(分析するなよ)。魚の二皿目以降はほんっとに少しずつしか食べられなかったのが口惜しい。肉料理にチョコボンボン添えてみたり、秀逸な出来の皿もあって、もっと食べたかったよー。
 というわけで、ペース配分を誤って後半の走りが破綻したマラソンランナーのように息も絶え絶え状態のボクらでしたが、それでも振り返ってみれば、ヴェイラ料理は素晴らしくも面白かった。素材は当然極上(だって高いもんね)、評判通りの多彩な香草の使い方やプレゼンテーションの工夫にも目を瞠った。調理の精度もかなり高く、そして何より、食べて旨い。ここは是非いずれまた、体調を整え、綿密な作戦に基づくオーダーでリベンジといきたいところです。狙いを絞ってアラカルトにした方がいいかなぁ?.

[AQ!]
 様子もわかったし、是非、アラカルトで再チャレンジしたい〜(^^;)。
 で、うん、確かにたっぷりのコンソメもそうだけど、かなりガバッと出される前半部を半分くらいカットしたい感じだったかもよ(わかっていれば!)
 アミューズがボリューミーに出るじゃん? んでしかもその「ハンバーガー(みたいなもんがチョコンと出るのですよ)とか「ピンクと黄緑の取りあわせ」とかって、後で聞くと、彼の文明批判(笑)みたいな、“巨人のエスプリ”的代物だったらしい。もしくは冗談。その意味合いも含めれば一齧りずつもすればOKだったか?
 で、次のフォアグラ(結構デカい)。極上で美味しいけど「フォアグラはフォアグラ」…、味は程なくわかる訳で、、後は、、(但し、コース始まってすぐのフォアグラって残しにくいわな(^^;))
 次は玉子。皿一面の自然苔の中に置かれた玉子に注射器から香草ソースを注入するという凝ったプレゼンの傑作だけど、ま、丸々一個キレイに食わなくても、、、。

 (「凝ったプレゼン」は他に、“コンソメのスープ注ぎ込み”や、“皿の上に漏斗を立てて濾紙を敷きその上からソースを注ぎ込んで素材にかける”など、奔放なアイディアが楽しめた)
MVEY11  (そうだ、「自然苔のお皿」で思い出したが、食器類も大変凝っている。凝っているんだが、ここでもアイディアが“ほとばしり出るままにぜ〜んぶ”採用し過ぎているように思える。例えば、「素朴な土のぬくもりに可愛らしく懐かしい絵を描いた恐らくは山の伝統的な物であろうお皿」が使われたかと思うと、「ガラス皿、しかも前衛的な“三角形”でそれを金属で縁取った皿」が出てくる。そのジェットコースター感が楽しくないとは言わないけど、やっぱ、まとまり無ぇ〜。記憶に残んねぇよな、Pascal! (^^;))  …と、“この日の人生がやり直せるなら”(^^;)、そのくらいの調子で始めるとまだ違ったかもしれない。…いやそんで、何かちょっと悔しいのがさー、前菜のケツの辺りからかなー、要するに後半戦の方が、より、良い料理が多かったと思うんだよね。フェラトゥルボは凄く香りが研究されてたし、肉も面白いし…食えないけど(^^;)。もうほんと、最後などやっと香りと味を試しただけだけど、素晴らしい。いやー。デセールのケツのクレームとかがまたいいんだよなぁ。
 まぁいつか機会があったら“作戦を練って”再挑戦したいね〜!
 ところで。
 話の続きだけど、料理(の量)以外にもやや“これは違うな”側面は多い店なのである。俺的に。いや、高いし。
 サービスなんだが、あまり皮膚感覚が馴染まないタイプ。「山の素晴らしさだ、田舎の優しさだ、魅せてやれ!」と巨人に説教はされてるような気もするが、それがあまり表れていない。とくに英語組は、イングリッシュスピーキングアビリティとホテル学校の学業成績だけで採用しちゃったんじゃないの?、って感じで、どうもサービスの心がわかってる感じが、無い。固いんだよなぁ。マニュアルに載ってない事態に弱そうだし。
MVEY12  それ以上に(やっぱりこの件に戻ってしまうのだが)、ええ例えば我々の愛読書「ヨーロッパ天才シェフ群像」(アンリ・ゴー/学研)の中でヴェイラ様は、

いつだったか車雑誌の取材班が来てオレの家を見たいっていうんだよ。彼らはベンツに乗って、オレはジープで山に登っていった。登れば登るほどオレは楽しくなり幸せな気分に浸っていったのに、彼らはため息をついてたよ。確かに着飾って登ったところで何もない所さ。オレにはすべてが素晴らしいけどね。もう都会には住めない。アヌシーだってすでにむずかしいくらいさ

 と、ゴーに語っている。
 こういうVeyrat語録・自然賛歌に魅かれて彼の館に辿り着いた訳だが、来てみるとさぁ。アヌシーみたいな“ド観光地”じゃ、アンタじゃなくたって、いい加減「住むのはむずかしい」だろうよ。Veyrat様の言うことは本当だし確かに矛盾してる訳じゃないけど、“アヌシー”を実際に見てしまうと、何かすこし予期していたものとズレちゃうんだよね。“そりゃ、これじゃ、山に帰りたくなるわなぁ”…ってか、「山だ!野だ!草だ!花だ!」ってアピールするなら何もわざわざアヌシーまでも降りて来ないでもよかったんちゃうか、と(^^;)。こういう所が、ヴェイラ様の巨人の感覚が、若干粗いのではないかと、俺ら小人には思えるんだよね。彼の最大の主張が「俺は山の男だ〜!」ってなら、もう少しそれを我らに上手にプレゼンでけへんか?と。彼の言う山や山野草への愛が、こちらの納得になって腑に落ち…れば、それが「感動」に結びつくのだろうけどさ。客室内装の、まるでアミューズメントパークみたいな“山の農家風”も、本当に彼の言う「山の生活が俺には最高なのさ」ということの客への提示になっているか、微妙な心持ちである。
 そういう意味じゃ、次はMegeveの「Mon Pere」の方に行くべきなのかもしれない(でもそちらはそちらで“スキーリゾート”みたいだし)。それこそ、いっそ生地Manigodで開店してくれればよかったのにのぉ。

(2002秋 Valence "Pic" → Veyrier du Lac "Auberge de l'Eridan" →  Mionnay "Alain Chapel")
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  ボタン Manoir de la Boulaie : Laurent Saudeau  マノワール・ドゥ・ラ・ブレ : ローラン・ソウドー
  
33 rue de la Chapelle Saint Martin 44115 HAUTE-GOULAINE 02 40 06 15 91 (Fax:02 40 54 56 83) http://www.manoir-de-la-boulaie.fr/
Ferme le dimanche soir, lundi et mercredi
depuis2000 Chef: Laurent Saudeau
・  
 Haute-GoulaineはNantesのすぐ郊外。
 年齢を聞いてみたところ「38歳だ」とのこと。この天才は、間違いなくフランス料理界の次代を担う一人である。
 2000年開業・2002年1つ星獲得・2005年2つ星獲得、の快進撃。 (2005.5)
 ところでこの辺りの人は、Nantesを「ナント」と呼ばれるのが何か気持ち悪いらしい。ワシらの出鱈目なフランス語、他は全てスルーなのに、「ナント」だけは、「ノント」(←片仮名だとこっちが近い)、と直される(^^;)。

MDLB1 [↓メモ版:工事中]
2005年 5月 ☆☆☆

 " Invitation au Voyageハ(Bacchusハ"accord mets et vins") "
 *トン赤身鮨・芥子・パッションフルーツ黄ソース、コンコンブルソルベ・松の実・フロマージュ、トリュイトタルタルとガスパチョ、クドブフ・ラビオリのスープ浸し
 *ガンバ天麩羅とプティポワムース花添え
 *Noix de St jacques aux pistaches, Mitonne de boudin noir et emulsion de Granny Smith, Croquette de polenta a la pomme
 *Pot au feu de foie gras de canard aux legumes ouglies, Bouillon, fleur de sel et poivre de maniguette
 *Pav・de Bar aux agrumes et baies de wu.w・ziハ, Samoussa de c四eri, champignons des bois et roquette sauvage
 *Filet de Rouget aux hu杯res "Marennes d'Ol屍on",ハハCompot・de chorizo Iberico, 残ume amande noisette
 *Sorbet citron et basilic, Une rasade de Vodka
 *Cataplana d'agneau cuisin・dans un bouquet deハthym et romarinハ, Bouchon de pommes de terre aux olives m仕iterran仔nnes
 *リドヴォのヴィエノワーズ au sautoir pilotis d'ail en gousse et lard fume, Jus a la quintessence de baton de reglisse
 *Milk shake de roquefort, figues et noix, Mouillette aux fruits secs
 *Le Chocolat en g姉m師rie variable
 *Inspiration exotique

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 鮨は海苔がパリパリ旨! 山葵クレーム
 海老天は例の磁石皿で
 トン赤身鮨・芥子・パッション黄ソース、コンコンブルソルベ・松の実・フロマージュ
トリュイトタルタル・ガスパチョ、クドブフラビオリ
タンピュラ、ガンバ、磁石皿、プティポワムース
ルジェ、揚げポワロキャベツ千切り風、オゼイユソバージュ、イベリコチョリソ
リドヴォーヴィエノワース
ショコラ餃子、筒
フヌイユ尽し
ティラミス、レモンマドレーヌ、クレームにナッツ
LS38歳 depuis2000 その前はラ・ロシェルで2つ星店(?)
ゴツいカミさん、優秀
享楽的にして超絶的精度
中庸の道の極北
キュイソンおそるべし
デレデレなアイディアに見えて、考え込まれ、詰められている。
帆立串ピスタシュ(何たるキュイソン)、グラス三角切とパリとア・ボワール
ブーダンノワール
安い!
ルジェ、立ってる
「バッカス」、GJ!
バールにクルクル京都風人参
フロマージュ(Ma,,,Ch,,,)
クルジェット・ムタール・マングのサンド
シリのモヤシみたいのエストラゴン
トマト(タイ風) curryヴィネグレット
パン台ビックリ!! 驚いてるとさすがに「ウケた!」顔のメートル
車の経路は計画的:来訪時は池をグル〜っと回り、帰途はあっけなく道に出る
 スシ、うまい。メートル、ギターの古川さん調。
 バール皮に大量のエピス(高効率バランス)を打って、けっこうコンガリとさせているのに、皮目の下の脂から肉のキュイソンが非常に精密正確で、魔術的。
 同じく魔法は、ルジェの、塩とキュイソン。オレロン島の牡蠣とチョリソというおツレはきわめて危うく見て取れるのだが(牡蠣とチョリソの個性や強い味がルジェを薄めてしまわないか)、この料理では、ルジェに、主賓たる格と味が確立されている。

 ロリエフルーリのオバチャン、声でかいよ。
 そのまんまのノリで日本まで電話して来て「Car Parkingは完璧よ。カードはVISAとMasterだけど大丈夫?」ってワメくし。えらく気が良くて面倒見のいいオッカサン。「オートグレーヌ、、、そーそー、マノワールドラブレに行くからTaxiよろしこ」と頼むと、「あら、スゴイ! 予約はしてあるのー?」としきりに盛り上がってました。
 ザッと調べて、ブレの最寄りのホテルであるロリエフルーリにしただけあって、taxiはもー、“すぐに”オートグレーヌに着く。それでもその短い距離の間にノントの郊外ヴェルトーの街路は終わり、ミュスカデの畑が散見されたりする。ブレの壮大な館は、“御領地”なんて言葉が似合いそうな、こちとら庶民がひっくり返りそうな佇まい。
 この館の裏手にもミュスカデ畑が広がっている。オー、本場中の本場ではないか、と、アペリティフを聞かれた時に、「チミはミュスカデのヴェールの用意などはないのかに?」と尋ねてみたのだが、あんに相違して「そんなことよりステキなアペリティフ・メゾンはどーよ?」とのこと。それに従ってやったのだが、このアラメゾンは、例の“フレンチスタイル”なアペリティフであって、ピンク色のトロピカルフルーツもの。アルコールがやや軽めで、味も上品めなのが救いか。シャンパンにしときゃよかった、、、とチビチビこわごわ(この手の、えらく回ったりする)やっていたが、隣の卓の4人組はほとんど「エイヤっ」て具合で一息に飲み干してやんの。奴らも注文は「バッカス」だったのだが、「バッカスの最初の一杯の前に、何かお持ちしましょうか?」と聞かれてやんの。でも頼まないで、テキトーにおしゃべりしてました。フランス人もいい加減だな。
 客はほぼノントの奴か、その近郊くらいかなぁ。店内は明るく軽やかでお洒落。香草テーマのデザイン画、オリエンタルアートのデザイン画。
 日本人コミ君は3月に来たばかりだとかでまだアタフタ。厨房は、比較的新築のせいか、広くて使い易そう。ローランは、話すと知的なイメージで、でも芯は相当に自信がありそう…、しかし写真に撮ると何故かあの間抜け顔になる。変な奴だ。下ちゃんを一回りデカくしたみたいな体型、下腹はだいぶ膨れ始めているかも。社交的性格。エピスをはじめ、広大な知識。
[↑メモ版:工事中]
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  ボタン Michel Bras  ミシェル・ブラス
  
Route de l'Aubrac 12 210 LAGUIOLE 05 65 51 18 20 (Fax 05 65 48 47 02) http://michel-Bras.fr/
avril-oct. et ferme mardi midi, merc. midi sauf juil.-aout et lundi
Chef: Michel Bras (1946-),Sebastian Bras サービス:Ginette Bras,Veronique Bras
・ 「感動」という心の動きを、これほど強く感じたことがあっただろうか。 (1999.4)
ミシュラン3つ星獲得は1999年。
Michelin ○○ /GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)

参考:メールのページ

1999年 4月 ☆☆☆☆

 *ジット・ド・ブフのカルパッチョ風
 *鮭と白身魚のマリネ、サラダ仕立て(ハコベ似の野草添え)
 *Le gargouillou de jeunes legumes, dit "classique", releve d'herbes champetres et de graines germees.
  季節野菜のガルグイユ(レンティル他のモヤシ、赤黒い草、緑アスパラ、細ポワロ、蕪、生ハム、カリフラワー、ズッキーニ、親指姫の草、赤ピーマン、新玉葱、)
 *Sur une tarte aux cebes, le filet de turbot etuve; huile d'olive en creme, plants d'oignons et olives noires.
  トゥルボのエチュヴェ、玉葱のタルトとポワロー、薬味葱、黒オリーブのモロモロ
 *Le foie gras de canard poele; pois & gousses sans-dessus/sans-dessus, touches de balsamite et de tanaisie.
  キャナルのフォワグラのポアレ、緑のソース、さや豆の細切りと香草
 *緑アスパラにノワゼットのはかま、トリュフソース
 *仔羊のカタクリ(の仲間)添え、フロマージュフレ玉葱、茶玉葱
 *L'aligot.
  アリゴ
 *Le biscuit tiede noisette-caramel "coulant", an 99, un sobet a la reglisse noire.
  ビスキュイ・ティエッド"courant"'99、黒糖ソルベ
 *Une banane dite frecinette rotie; bouillon de raisins et d'agrumes.
  温バナナとレーズンなどのぐじゅぐじゅ
 *Le Sorbet a l'angelique; tranche d'orange et sirop de citron.
  アンジェリークのソルベ、酸っぱいソース、赤オレンジ
 *凍りんご、ナッツ入クリーム、あんず、ショコラ
 *ショコラのクリームとリキュール入ミルキークリーム
 +花の香りのアペリティフ、シェリーのようなvin de voile
 +87 Chateau Montus Cuvee des Cimes / A.Brumont
 +アンフュージョン(ベルベンヌ、ミント)

MB1 [AQ!]
 クレモンフェランHertzのオネーサンと「日本の公安の、免許証の残存期間表記」についての見解が微妙に違う。オネガイシマスヨ。上司オジサンも入って、「私は免許取得15年以上である」の宣言をすることで、ルノー・クリオの、まだようやく1万kmという新車を借り受け、ドライブは始まった。車庫では、前面が他車で埋っていてのいきなりバックだが、クリオの「バックギアはシフトレバー中間のポッチを引き上げながら入れる」の入れ具合がわかりにくくて数分間の試行。誰も見てなくてよかった。まずはクレモンフェランからA75への脱出であるが、この経路はへべ「i」の気の良いオッサンと打ち合わせ済みであり、スイスイ。A75は快適で巡航120-140km/hで天気の良い野山を駆け抜ける。サンフルールからロデ方面へのD9への進路取りもへべナビでスンナリ、もろに田舎な道を突き進む。丘-牛-丘-羊-丘-畑-丘…、の連続はまことに気持ち良い。70-80km/hキープは容易で「まったくアンリ・ゴー(「悪路だ悪路だ」と著書で脅している、昔のことだが)の奴は何と贅沢を言うておるか」と呆れる。牧草地と山道を繰り返すと、82度の熱湯が湧くというショードエイグを通り越し、山道含有率が幾分増してくる。14:20頃にクレモンフェランを発った我々がライオールに着いたのは16:30
MB2  「ついにライオールに来たぞ!」
MB19  ライオールはソムリエナイフでも有名な刃物の町だが、ほんとに小さい田舎町。中心部には「牛の銅像」が屹立している。お牛様(^_^;)。実際、人口よりはだいぶ牛口が多い土地柄らしい。ブラスへは、ライオールの町を通り過ぎてさらに10分ほど進む。幾つか目の高い丘の頂上に近い辺りにキラっと光るもの。「あ、あれ、ナニナニナニ?!」。目を凝らすと、丘陵にへばりつくように延びるスレートの平たい建物、その先端部分は広いガラス面で出来た展望ロビーのような…それがミシェル・ブラスであった。ちょっと感動的。地面から生えてきたようであり、地表に降り立った宇宙船のようでもある。 (つづく)

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MB3  …(つづく)…と記したまま、3年が過ぎた(^^;)。いや。いやいや。いやいやいや。忘れた訳で無いのよ。とか悶々とするうちに、ついに追っ手が… …じゃなくて、問い合わせメールまでいただいてしまいました。

「ところで「ミシェル・ブラス」の書き込みがずっと…(つづく)…のままですが、是非続きを読みたいので、よろしくお願いします。」

 取りあえずの言い訳(^^;)が、以下。

 は、は、ははははは〜。平伏。(^^;) がんばりまっす。ってゆーか、続きを書かなきゃ、は自分的にも課題になっとるんです。
 …ここまでの言い訳…じゃないけど、、、

一番好きなとこは、書きにくいんです ヽ(^〜^;)ノ
 好き好き大好き〜!、に尽きちゃうんですよね。
 いや、もう満足しちゃってるし、そうすると書くモチベーションの維持が…。
 「美山荘」の項も尻切蜻蛉で、「もっと書け〜」というメールが…。

・多分ご覧になったかと思うのですか、ブラスんとこは
http://michel-Bras.fr/
 サイトがすげぇ良く出来てるんですよね。何か、何を書くより、ここを見れば、全貌がわかる、紹介になってる、で、この雄弁さにちょっと負けてしまう。
 なんてことがありまして。タハハ(^^;)。

 まぁ何とか隙を見てまとめてみようとは思ってます。ただ、訪問の参考という意味では、上記の通り、ほんとにブラスのサイトはブラスの店を完璧に表現しているように感じます。是非、ご覧下さいませ。

 …何てことを言ってるうちに、先に再訪を果たしてしまいました(^^;)。とりあえず、2002年版食った物を下↓にアップ(^^;)。

 それから、上記のメールをいただいた「 Toshi 」さんからは、フランス情報を中心に色々と教わったり交歓しています。転載可の部分をメールのページ「 Toshi 」さんコーナーにまとめましたので、ご覧ください。 (2002.12)
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MB6 [1999 Michel Bras 一口メモ]

ミシェル・ブラスその人は、写真で見ていた通り、ヲタク系学者系の容貌でまったくの無愛想、焦点が遠くにある視線。身体はけっして大きくないが、何よりも印象に残るのは、その(握手した)手の平の厚み。分厚い手だった。

●客室の軒先はそのまま山腹(丘腹、と言った方がいいか)であって、数歩踏みだすと自然の中にいる。そこから振り向いて宿泊棟のクールな外観を見ると、またカッコイイもんだからシャッターを押すのだが、その肉眼の印象の、フィルムに写らないこと…(^^;)。写真だと"ホニャララ保険軽井沢保養所"…みたいになってしまう。これに限らず、Brasは写真に納めることの難しい店だった。それが何故かと考えると、その核心が「質感」から成っていることによるのだろうな。その「質感」をフィルムに捕まえるのはなかなか難しい。

MB14ライオールは刃物の街、Brasのクトーも切れ味鋭い。Brasではこの地方の習慣にならい、クトーは使い回しである。数皿を通して一本のナイフを使い回すことは、ビストロランクではよくあるが、高級レストランでは大変に珍しい。Brasの、随所に見られる「高級フランス料理とは少しズレ」ている点の一つ。この店の料理は「土地の料理」「私の料理」の掛け算であって、「フランス料理」への拘りは薄弱だ。1990年頃には既にゴーミヨや多くの評論家から「フランス最高の一軒」と評価されながら、ミシュランの3つ星獲得が1999年と遅かったのは、この辺りにも一因があろう。さらには現在も、この店は、3つ目の星にまるで頓着してないように見える。正直、「Brasのためにもミシュランのためにも」この店はずっと2つ星のままで良かったのではなかったか、と思ったりもする。

●すなわち、非常に単純な言い方においても、Michel Brasはとても「個性的な店」であり、「好き嫌いの出る店」である。

MB5 ●そういえば、客室内装を写真に撮ると何だか殺風景に写るのが悔しい。壁を飾る絵画や装飾品がある訳でなく、カラフルな色彩も無いから、素人写真には厳しいのである。実際には、ウットリするほど素敵な部屋なのだが。その魅力は…やはり、「質感」にある、と言えばいいだろうか。

●メートルだけでなく、「ソムリエも皿を下げる」タイプのサービス布陣。甲斐甲斐しい。テーブル担当や役割担当に関する考え方が他所と違うようだ。テーブル毎への担当貼り付けの意識が薄く、何処の卓にも目を利かしてサービスする。一番単純な「お運び&捧げ持ち」に関してはフレッシュマンの仕事と決まっているようで、彼らがトレイの"捧げ持ち体制"に入ると、手の空いているメートル&ソムリエ陣が寄ってきて、そこから(あまりテーブル担当に頓着なく)口上とともに卓上にサービスする(たまにメートル達の手が揃って塞がっていると、困った顔の捧げ持ちクンの顔を見ることが出来る)。このシステムは、まったく見かけないサービス陣形ではないが、「フランスの3つ星」としては異色。シンネリとした親密感は湧きにくいが、キビキビと楽しくよく働くイメージ。ワシらは慇懃より此処の実用的純朴が好きみたいだね。仕事に対する態度が上から下まで皆が魂の入った眼差しなのを見ると、ブラス家がどのようなテツガクを薫陶しておるか、朝礼(笑)を覗いてみたくなる。この辺りはミシェルの担当なのか、ジネットの担当なのか? (ちなみに、洞爺でも「薫陶」を垂れているようである) ●簡素で純粋で追い詰めた料理だと思う。「簡素で純粋で追い詰めた料理」という言葉で思い出すのは、ベルナール・パコーミシェル・ブラスベルナール・ロワゾーの3人、これが極北だな。しかし、まぁ、三者三様に「簡素で純粋」の表現の、まるっきり違うこと! 料理って、深い。人間も、見事に三者三様、だしなぁ。「簡素で純粋」であることの「多様性」。人間の面白さ。

●料理をほおばっていたら、ダーと涙が出てきた。あー、フランス料理っ食いをしてて良かったと思った。パコーの料理以来の出来事だった。純粋な料理は人を動かすものがある。そして、それと、(この視点について触れるのはあまり好きでないのだが)「これは "色々と食って来ていなければ" わからないよなぁ」というのはある。過去の自分史の時間を慈しむ契機となるような所がある。…と文章にしてしまうと自己陶酔っぽくて困ったもんだが。 MB4カトランオマージュアンリジャイエだ…と平気な顔して並ぶワインリストは壮観。口あんぐり。カーヴまで凄いとは。安いし。ワインはジネットさんの担当だと聞く。夫妻は二人ともこの地方の出で、幼馴染に近いような夫婦、だったと思う。揃いも揃ってこんな才能豊かな…と驚く、というか不思議な感じ。
(2002付記:再訪してみると、レアで高価な所がダーっと飲まれてしまったような印象も。未だ壮観だが、フツーに壮観って感じに。これはアレだな、3つ星(目当て)客が押し寄せてきてパカパカ高いの空けたからなんだろうな。3つ星になるって、こういうことなのか。俺ら的には「いい店見つけた!のその後」は星なんて上がらないでいてほしい…と思う。…と客は勝手なことを言う(^^;) それから、最近ではワインは買い付けを含めてソムリエ(名前失念)が仕切っているようで、ジネットさんは"総合監修"役、と言った所か)
(2003付記:洞爺に本店から送られたカトランを発見。狂喜乱舞して頂く。やっぱり此処のカーヴは余裕がある(^^;))

驚くような辺鄙な田舎に星付きレストラン…が点在するのがフランスであるが、実際に行ってみて、回りに人家がなく自然・牧草地に囲まれているだけの2.3つ星レストランは、そう多くない。ブラスはそんな一軒(普通は超マイナーな小村でもその集落の真ん中にあることが多い)。しかも小山の高い位置だから眺望良く、単純な「観光」の目として見ても素晴らしい。
ではあるが、オーベルニュ地方ライオール近辺は、フランスきっての寂しい田舎であるようで、ゴーミヨミシュランの全土地図を、例えばドライブ巡りを念頭に眺めて行くと、このライオール辺りほど、ガラ〜ンと魚影(星影?)が薄い土地は無い。「星巡りの旅」には厳しい土地である。

MB15 ●部屋に運んでもらう通常の朝食も極上であるが、もう一つ、レストランの方で食べる10時くらいの遅い朝食というのがある("Le Dejeuner de 10 heures")。この地方の伝統的な朝昼食とでも言うべきものだそうで(お百姓さんはこれを食べてから夕暮れまでノンストップで働いたそうな)、内容はというと、内臓(牛胃各部かな)を縫ったボールをスッキリ味で煮込んだオデンのような物。このトリプtripousが絶品中の絶品。これを食べに再訪したくなるような代物。少なくとも連泊の人には、是非ともお勧めしたい。
1999年 4月 昼食 ☆☆☆

 *ジット・ド・ブフのカルパッチョ風
 *豚のジャレとフォワグラのテリーヌ、葉っぱ添え
 *鮭と巻貝のサラダ
 *牛肉とチンゲン菜、アリゴ
 +89 Domaine de Chevalier 1/2

[AQ!]
 それにしてもビッツラこいたのはビフテキだよなぁ。ほんとに、俺らぁ、牛肉ってもんを知らなかったんだ、とつくづく思った。牛肉ってこんなに旨いんだ。

[へべ]
 アリゴもなー。
1999年 4月 ☆☆☆

 *ジット・ド・ブフのカルパッチョ風
 *セップの薄焼パイ
 *鮭と白身魚のマリネ、サラダ仕立て(ハコベ似の野草添え)
 *La soupe blanche aux Beauvais et au lait d'amandes; creme aux truffes et huile d'olive.
  スープ・ブランシュ
 *ラパンのサラダ
 *Le pigeon roti entier, qui s'epice de genievre, de poivre, d'orange et de sucre...
  鳩のロティ
 *Le millefeuille a la nougatine au beurre, creme "fromagere" et coulis au beurre "noisette".
  ヌガティーヌのミルフィーユ
 *nefles du Japon(びわ)のコンポートのファルシ、アーモンドミルク添え
 +91 Cote Rotie La Landonne / Guigal

MB12
2002年10月 ☆☆☆

 *Coque-Mouilletes
 *Tarte aux cepes
 *マンジュトゥ、ポトフなど3つのスプーン
 *Le gargouillou de jeunes legumes, dit "classique", releve de graines germees & d'herbes champetres.
 *Courge dite butternut au lait de noix & au jus de truffe.
 *La cote de Boeuf Aubrac - pure race - rotie a la braise ; beurre leger a la racine de persil,vert & cotes de blette.
 *Le biscuit tiede de chocolat "coulant" aux aromes de cardamome ; creme glacee au lait entier d'ici.
 *Le millefeuille a la nougatine beurree aux bananes ; creme acide aux amandes caramerisees au sucre de canne.
 *Mignardises:Menth chocolat,chocolat blanc,rhubarbe,courge,gingembre
 *Liqueur de lait & chocolat
 +97 Cotes du Roussillon-Villages la Muntada / Domaine Gauby

MB20 [へべ]
Auberge et Clos des CimesからPuyへ抜ける。こちらの道の方が、アノネ側より良さそうだ(切り立っている感があまりない)。故アンリ・ゴー氏にはこちらのルートをお勧めしたい。
MB9Puyの町なかにはすんごい岩山と教会。仰ぎ見ると相当迫力がある。登ってみたかったが残念乍ら丁度昼休みだった。
St-Flour経由でLaguioleへ。よっしゃよっしゃこの道はいつか来た道、と牛の広場を越えてロータリーから適当な道に入ると…あれれ、間違えました。ぐるーっと田舎道ドライブを楽しんで(結構な道のり)到着。こんなに早く二度目の訪問が実現するとは嬉しい驚き。
Brasの建物には本当に、ほれぼれする。灰色の石と、ガラスと、木と。今回の部屋は、丘を下る廊下を端まで進んだ"最前列"棟の一番奥。部屋に通され、カーテンをさぁっと開くと、この高い丘からライオールの風景が視界いっぱいに飛び込んでくる。事前にこの風景の中をあんなに走ってきていても、この瞬間には感動せずにはいられない。ガラス戸を開けて、そのままずんずん歩いて行きたくなる。やっぱり、ここは、凄いところだ。
MB8 ●部屋の調度も見事。今回の新入荷アイテムはオーディオセット。前面の扉を手前に開き、リモコンでスイッチを入れるとポッと白く灯りがともる。かっこいい。夕食を終えて部屋に戻るとこれがついてて、ラジオの音楽が流れてる、という仕掛け。ディスクも借りられるとのこと。
●実用面ですばらしいのが両側に扉のついたウォークイン・クロゼット。スーツケース置き場、棚、引き出し、くつ置き場、ハンガー、全身鏡…parfait! 使う荷物は全部取り出せるくらい機能的。そして部屋は(散らからずに)きれいなまま
MB10 ●大好きなのが、ガラストップのテーブル(うまく描けない)と、灰白のごましお模様の石でできた洗面台! 石の質感がなんともいえない上に、ぬれたところが気になりにくい実用性も! 石鹸類がまた、いい香りです。
エルダーフラワー風味のスプリングウォーター発泡ドリンク、健在でした。嬉しい!
MB13 ●春よりは日の暮れるのが早いのか、のびのびと気持ちよく入浴しつつ黄昏の空を愛でていると、傾きはじめた陽がストンと沈んでしまう。フランスでも秋の日はつるべ落としなのかしらん。という訳で夕食に赴くころにはとっぷりと夜の気配。そのまままっすぐサルに通してもらう。通路からサルへ、いくつもかかる橋(下を水が流れていて、ライトアップされている。美しい!)のたもとに、今回はちょっと華やかな色どりの花々・可憐な草や苔などが飾られていて目に楽しい。おなじみ、窓側のテーブルへ。

[AQ!]
 オーディオセット(It's a Sony!)の趣味とか、花々とか、少し明るく華やかなテイストが増えてたね〜。この辺りは、既に厨房の実働の主力となっているというブラス家跡取りのセバスチャン・ブラスと、サービスの主戦を張るその妻ヴェロニク(2003、洞爺で再会!)の"表現"が、店全体に現れてきているのかもしれないと思う。

MB18 [へべ]
●旗のような間仕切りの薄布。下に詰めものをして、シャワーキャップのようなクロスをかぶせた独特のテーブル。職種も位もあまり関係なく、きびきびと皆よく働くセルヴールたち(チーフとおぼしきソムリエでも、通りかかればお皿だって下げる!  唯一"お盆で運んで捧げ持つのみ"カーストはあるようだが)。ここはどこにも似ていない。
●ここはカルトを開くと、フランスの一流店では比較的珍しいが、「当店のアペリティフ」コーナーがある。
1.根っこのほにゃらら
2.花のほにゃらら
3.ゲンチアナ(だったかな)とオレンジジュースのほにゃらら

というのがあって、あとはシャンパーニュなど。1.と2.を頼み、飲んで思い出す…ああ前回も同じことをしたような! 花の2.の方はフローラルな甘めの口当たり。一方、根っ子の1.は金茶色の根っ子リキュール風味。どちらも美味しいのだがやはり1.は度数的にもそこそこあるとみえるので、ほどほどにしておく。しといた方がよい。
MB16 ●さて、アペリティフをなめなめ、注文に向けて作戦会議。「例の"発見"コースは前回と内容的に大差ないね」とAQ。そこでアラカルトにするか、今回目にとまった野菜のコースにするか… そんな我々の脳裏を走馬灯… いや走牛灯のようにぐるぐるよぎるのが、ドライブの道すがら多数、まさに"人よりたくさん"見てきたオーブラックの牛たちの姿。そんな訳で「よっしゃ、本日はひとつ、コートドブフに挑戦してみまひょ」ということに相成り申した。
 ガルグイユーはめいめい食べたいから、それプラス軽そうな野菜(courge)と魚(maquereaux)でも…? と、注文しかけたところ、大向こうから「待った」の声が。オーブラック牛、それも純潔種(かな? 誇らしげに"pure race"の文字が躍っている)をナメてはいけない。悪い事は言わないから2皿構成にしてはいかがか、と諌められる。なるほどそれもその通り。
●その間にも色々なものが登場する。まずパリパリの薄焼きパン。インドスパイス風味で切り込みの入った石に刺さって出てくる。
●卵の登場!  前回来た時は世界各地の砂糖の研究中のようだったBras今回はどうやら卵のようだ。
 エッグスタンドに茶色い殻の、小ぶりの、とろとろ卵が鎮座し、中央に緑のソースがかかっている(何のハーブだったか失念)。粗めのナチュラルなパンを拍子木に切って小さなチーズトーストにしたのを添えてあるのだが、この卵の美味なこと! フレッシュで力強くて、生命力とかエネルギーとかそんなコトバを連想する。ブラスらしい、驚きのある一品。
●秋といえばセップ! クラッカーくらいの大きさの極薄のパイに、セップの薄切りをきれいに並べて焼き立てが運ばれてくる。圧倒的な香り! われに返るともうなくなっている。
MB11 ●スプーンひとくちサイズの小さなアミューズx3種類。プレゼンテーションはちょっとエルブジ風? …でもBrasは元々こういうの好きそうだし…。マンジュトウにトマトのフレッシュなソースとか、野菜ものも入ってるのがここらしい。
●秋のガルグイユーは一味違う。一番底にはキノコを忍ばせ、種々の根菜がしみじみとやさしくて、実りの秋の豊かなイメージ。その周囲をおなじみのハコベ風の緑や各種ハーブと花と豆もやし(少なめだけど旨い!)が彩る。一種で食べて、色々とりあわせて食べて…いつまででも食べていたいブラスの"古典"。空になった皿を前に、別の時季、例えば真夏にはどうなるのだろうなどと次回のことを思ってしまう希有な料理でもある。
●アントレその2のcourgeも見事な料理。2日目の野菜のコースにも組み込まれていた。カルトの深皿もいいけれど、ムニュの小さいコロンとした深い器の方が、より感じが出ていたような。カボチャ〜ウリ系野菜とおぼしき我らがcourgeのピュレにトリュフが入り、バター風味の泡がふんわりのっかっているというもの。
MB7 ●本日のメーンエベントはオーブラック牛さま。そこのけそこのけ…という訳で来ました。なんとマッシフサントラルなその雄姿! けちなビフテキの厚みを2階建てにしたくらいの肉塊が大皿に3つ載ってます! この肉が旨い。脂がまた実に旨い。脂のところをちょっと一緒に食べるとそれはもう幸せな。ジューシーな極上の肉でありながら、肉の部分は"筋肉"であること。その筋肉のピュアな滋味が… とはいえ、運動不足のまま車をすっとばしてきた小物のジャポネにはこの量はさすがに食べきれはしないのでした。うしろ髪ひかれつつも。でも旨かったなぁ。
●デセールはショコラのクーラン(でーーっと流れるアレ)とヌガティーヌのミルフィーユBrasのデセールはやはり、抜群というコトバはこのためにあったか、と思うくらい美味。次元ちょっとちがいます。

2002年10月 ピクニック

[AQ!]
 ブラスの客室に通された宿泊客がまず気がつく物に、「リュックサック」がある。純白のベッドセッティングの上に、ポ〜ンと置かれた厚手の布地のそれは、近くば寄ってみればリュックサックで、腕を通してみればあっという間に背中に収まっている。何とも「らしい」お出迎えである。これはブラスからのプレゼント。オーベルニュの大自然を訪れてくれた友よ、ちょっと歩いてその自然に触れてみてけれよ、という訳だ。
 ちなみにこのリュック、1999年には黒色だったのが、2002年には灰紫色に変更され、より厚手だが実用感ある布地に進化した。どちらも、ブラスを象徴するシストルがデザインされている。
 更に言ってしまうと、このリュック、洞爺ブラスのブティックで販売されている。レア物コレクター欲から言うとツマンナイのであるが、買えると判ればボロボロになるまで使ってしまってもヨイので、東京でもしょっちゅう背負って歩いている。取り回しの良いサイズ・デザインなのら、コレ。
MB21  というわけで、今年の2泊の中日は、ピクニックにGO!、なのである。前回は中日の昼食をレストランで取ったので、近郊ドライブ&散歩関係は手短かに済ましたのだが、今年は中日の昼がレストラン休業日ゆえ、たっぷり昼間を存分に使ってピクニックらららん攻撃に出る。
 今回は遠足したいと思っていたのだ。…というのは、以前に見たブラスのパンフの"御提案コーナー"

「ピクニックなんかどうざんしょ? リュックにパンとシャルキュトリと野菜とフロマージュとワインと詰め込んで素敵なセットを作ったげますでよ。何処を回ったら気分が良いか、コースを知りたかったら、その辺にいるダレかソレかアレにでも聞いてね。みんなこの辺は詳しいぞよ」

などとありまして、そりゃ〜、その魔法のリュックを担いでフラフラとオーベルニュの自然と語りあっちゃったりしたいものやん。(ちなみに、レストラン休業日でもリュック一杯の幸せは用意してもらえるのだ)  それではスタート! …と言っても、何しろ広大とは広く大きいこととみつけたるオーベルニュのこと、最初から歩いていると地図上の数センチも動けない。まずは車を走らせる。その後、風景をみつけては、車→歩き→車→歩き→…を繰り返す戦略である。まずは地図を見て、"Casc. du Deroc"…ん?、滝があるんか、じゃそれ行こかと、Nasbinalsを越えて20分ほどか、走る。確かに"Casc. du Deroc"の看板が現われ、駐車スペースらしき場所があり、シーズンには開くのかも知れない売店が一軒あり、付近では景勝の地として鳴らしている気配はあるのだが、見回すに一面はなだらかな丘が続くばかりで、「ほんまに滝なんぞあるんかいや、チロチロと小便小僧が夢の跡じゃねぇだろうな」などと、半信半疑の道を進む。
MB17  と、一天にわかにかき曇り…じゃなくて、大地にわかに切り裂けて、ゆるやかな丘と見えた向こうが、いきなり足下にドッカ〜ンと抜け落ちたる崖が現われ、轟々と如何にも「滝」然とした水流が落下し、水しぶきがモヤモヤと上がり…。
 ワシらも「いやアッパレアッパレ」と観光客に変身して拍手する。付近には4,5人の見物客がおり、この辺りでこんな大人数を集めるとは、さすがわ名所である(^^;)。
 時間が早かったので一渡り眺めてサヨナラしたけど、"ここでお弁当"に時間調節しても良かったな。でもここは風が強かったけな。

 …などという感じで、ドライブ&散歩をそぞろ続ける。ある時は柵を越えてしまったお牛様にビビり、ある時は強風に飛ばされ、ある時は陽だまりに抱かれ、草花と語り合おうと試みては指に棘を刺し、まとにかく、のどかなもんである。
 小高い丘から草原と池を望むポイントでお弁当。シャルキュトリは濃ゆく、野菜のドレッセはしみじみと、ライオール名産フロマージュに唸る。ああ幸せ。大きな風景に、身体から魂を取り出し、風に吹き流してリフレッシュ。
 ワインはここから一番近いアペラシオンであるマルシアックで作らせている、Brasのラベルの物。この誰も知らないようなマルシアックは、ウィンザー洞爺にまで持ってきてその決して安いとは言えない値付けを施してもなお3000円を切るような、超のつく安ワインなのだが、これがどうして、ウマい!
2002年10月 ☆☆☆

 *Coque-Mouilletes
 *Tarte aux cepes
 *烏賊サラダ、かぼちゃムースなど3つのスプーン
 " Le Menu Legume et Nature "
 *Le gargouillou de jeunes legumes, dit "classique", releve de graines germees & d'herbes champetres.
 *トマトのステーキ
 *林檎とクレソン
 *Courge dite butternut au lait de noix & au jus de truffe.
 *セップと菠薐草
 *玉葱
 *Coulant
 *無花果煮とそのグラス
 *Mignardises:Menth chocolat,chocolat blanc,rhubarbe,courge,gingembre
 *Liqueur de lait & chocolat
 +90 Hermitage blanc / J.L.Chave

MB22 [AQ!]
 さて、今晩は"野菜のコース"とした。通常用意されている2つのコースに加えられた3つ目の提案である。"Brasで野菜"、これは試してみたくなるムニュである。
 清新で純粋、それでいて圧倒的な存在感のある野菜料理だ。角がピンピンしてる上にボディ厚い、って感じ。夾雑物一切排除、な癖して、豊かである。玉葱(ロティされて煮びたし)は皿の上の王である。
 肥田順先生が書いておられたと思うが、専門家から見ると、ブラスの特徴は「バターの使い方」にあると言う。こういうちょっとした指摘には蒙を啓かれるもので、一見気付き難いが、確かに今日の野菜コースの影の立役者も、バターである。(やっぱバターって旨いんだよな。フランス料理ってバターだよな。…と、ここんとこ、Brasの話を別としても、一周してきてまたそんな思いに捕らわれることも多いなー)
 M.Brasは、元祖「21世紀の扉を開ける」男、ってなポジションの料理人で、その軽さや鋭さ、野菜や香草重視と併せ、一連の南志向やら油で言うとオリーブ油やアルガン油志向のグループリーダーみたいな印象を抱きがちであるが(それは全くの見当外れという訳ではないが)、それはちょっと違うのである。使い方こそ革新的であるかも知れないが、バターの骨格が骨太く支えている。考えてみれば、此処はオーベルニュ、なのである。
 このヒトはちょっとそーゆー所があるのである。Brasの皿上は、衆知の通り、繊細にして高度に研ぎ澄まされた美的な盛り付けの物で(彼やガニェールやトラマが現代的皿上の景色を牽引してきたのだろう)、実際に見ても何処から手を付けた物か迷うくらいの美しさである。これは、今で言うとフェラン・アドリアみたいに「何処から食え」とか「こうやって食え」みたいな勧めもあるのかと思いきや、此処では「テキトーに混ぜて食せよ、お楽しみあれ」という態度である。そして、前述した通り、ナイフは"使い回し"であったりする。
 Brasの料理・Brasの店が、目立って世を惹きつけていった魅力は例えば「先進前衛・軽快・アート」といった点にあったのだろうが、それと同時に、Brasの本質は「野太い大地との交歓」にある(そして「田舎の家に招かれたおもてなし」である)。その両面が並立するのが"感動的"であるのだ(好きな人には)。
MB23  このBrasを巡る眺めは、最近の料理界の在り方において示唆的である。
 Brasらが開いた「新世紀の扉」をくぐり抜けて、新たな才能の群れは新たな料理の地平に続々と突入していった。鮭の群れが川を上るみたいに、激しく。そして現実の時間も21世紀に入り、M.Brasはその流れの先頭を旗振りながら疾走する(Veyratは自ら宣言し旗手を勤める)…ようなポジションをとるのかというと、どうもそういうイメージではなく、むしろ、新たな地平にどっしりと在り、力強く屹立する樫の巨木のようである。
 そして、今。F.Adriaという世紀を跨がる稀代のトリックスターに導かれて料理の革命が街に広く届いた今、気が付くと、実際には、街は「迷い」の中にあるように見える。パリも東京も、少なからずの料理人が迷い、スランプにあるようにさえ見える。闇雲に走り、とにかく料理に泡を吹かせてみたはいいが、気がついてみたら泡を吹いていたのは自分の頭だった。みたいな。
 こういう図が見てとれるとすると、Brasの在り方は、時代の流れの中でもう一度、何かを指し示すのではなかろうか。迷子たちが足を止め回りを見渡した時に、己の強大な自信を持って大地に根をはるBrasの姿が、見上げればその大樹が、何かを語りかけるのではないだろうか。

 …などと、大風呂敷アジでございました。まぁしかし、最近のA.L.AdurizA.Bourdasの発言を見てると、こんなような感じなのかなぁ、と思いもするのである。

[ところで]
 故アンリ・ゴー氏の編著を学研1994年に出版した「ヨーロッパ天才シェフ群像」は素晴らしい本だった。この書に刺激されてヨーロッパへの旅を始めた人も少なくないのでは。現在では残念ながら絶版のようである。この本の中のミッシェル・ブラスの項は、アンリ・ゴーと日本側スタッフの描写力の溢れる珠玉の頁だ。ここにこの書へのオマージュやらリスペクト、再版の祈り(無理か(^^;))をこめて、少し引用させてもらお。っと。

>1988年、ミッシェル・ブラスの登場は少なからぬ衝撃をフランス料理界に与えた。どこの一流店で修業したわけでもなく、いかなる流派にも属さず、ヌーヴェル・キュイジーヌの嵐にさえいささかの影響も受けなかった独立独歩の料理人。生まれ育ったオーヴェルニュの小村ライオールにどっしりと腰をすえ、あらゆる喧騒から遠く離れ、ただひたすらオーブラックの山から吹く風と、無窮の天空から送られてくるメッセージに聞き入り、その[思想]と[願い]を皿の上に表現し続ける料理人

>ブラスを評して[香草使いの魔術師]あるいは[料理の錬金術師]という表現がよく使われる。だが、それは彼とその料理の本質の一部しか映してはいない。確かに、その技術とセンスは卓絶しているし、すべての皿にこの地の香草、野草を活かすという着想も彼の独擅場だ。しかし、だからといって、皿の上に、香草使いのなかに、彼のすべてがあるわけでは決してない。彼はいう。「私の料理はオーブラック山地にいつも鼓吹されています。私の料理は、私の生き方や私のオーブラックへの思いと合致し、すべての生命の源泉である天と地と水とに最も直接的に結びついたものであってほしいと、いつも願っているのです」

>今、ミッシェル・ブラスの存在が現代料理にひとつの深い奥行きと高みを与えていることは確かだ。料理が単に技術の洗練と意匠の先鋭化にひた走り、真の生身の料理人の姿が見えなくなってしまうのであれば、何と味気ないことだろう。
>われわれは、ブラスの皿の上に、彼の心の原風景とでもいえるものが映し出されていることに、そしてまた、真摯に清らかな緊張感のなかで生きようとする人間ブラスの姿が浮かび上がってくることに、懐かしい感動を覚えるのだ。いや、その心の風景が見えるからこそ、かろうじてブラスの料理はその高みを維持しているともいえるのだ。
>孤高の才能が、唯一無二の宿命にあるのは仕方のないことだ。だが、とりわけブラスの料理が、ミッシェル・ブラス一代限りの料理であることを、今さらながら思い知らされて愕然とする。
>そう、ミッシェル・ブラスと同時代に生きる幸福を、彼の料理世界を体験できる幸運を、われわれだけが共有できるのだ。
>しかしまた、それゆえの哀しみを、われわれだけが味わわされるのだ。

(2002秋 Saint-Bonnet-le-Froid"Auberge et Clos des Cimes" →  Laguiole "Michel Bras" →  Valence "Pic")
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  ボタン Les Pres d'Eugenie / Michel Guerard  レ・プレ・ド・ウジェニー、レ・プレ・ドゥジェニー/ミシェル・ゲラール、ミッシェル・ゲラール
  
40320 EUGENIE LES BAINS  05 58 05 06 07 (Fax 05 58 51 10 10) http://www.michelguerard.com/
ferme vacances d'hiver
Chef: Michel Guerard (1933-)
・ 温泉保養地で1977年から3つ星を守る、名レストラン中の名レストラン
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)

2001年 8月 ☆☆

 *ベーコン練りスティック、トマトバジル、チーズのシュー
 *デミタスカップのトマトと鱈
 *プチポワのヴィシソワース
 *モリーユのクリームソース
 *タルボティンとジャンボンクリュ、シェーヴル添え
 *ピジョノーのロティ、香草ソース
 *桃の飴焼
 *ミルフィーユ
 +94 Madiran Couvent / Chateau Peiros

[Tokyo→Toulouse]
[へべ]
 トゥールーズ空港→レンタカーデスクなどCheck→Taxiでホテル空港Ibisへ。
 レストランはガラス戸を開け放って、外のテーブルではおやじたちがごきげん。
エールフランスは食前酒にシャンパーニュを積んでいる。エライ。
エールフランスは洋食/和食が選べるが、がすぐ足りなくなってしまう。は、ゴムそば付き。
成田にはえらく早く着いたが、もうCheck-inできた。成田のレストランコーナーはひどい。
トゥールーズ着以降、ジャポネにこれほど会わなかったことも珍しい。トラマの厨房の彼と、Aire(サービスエリア)で会ったモータースポーツ系チームとおぼしき4人と、国境の両替所で会った中年夫妻らの一行、など数えるほど。なんとなく清清しい。そうだ、el Bulliの厨房にもいたかな。
パリ←→トゥールーズ便は往復ともほとんど満席。小さい機体にパツンパツンに積んで行く。
トゥールーズのバゲージピックアップは、国外チェックイン荷物は、各便共通で別のコーナーにて。
●空港イビスへはタクシーで。思案したものの行ってみると、「歩いて行く」のはあり得なかった距離。
イビス←→空港はシャトルもある。チェックアウト時に頼めば有料送迎。
ハーツの貸出カウンターはなかなか混んでいた。感じのよい、手慣れた女性に当たる。ANAマイレージだけはやってみたけど「このパソコンでは出ないわ」で、諦める。
●ちなみにエールフランスJALのマイルがつくのは得した感じ。空港でcheck-in時にカードを出せばOK。
●車は最低クラスの予約が、出払っていて同額でアップグレードして、シトローエンSaxoに。色は青。「P」に出てブースで「15番の青いやつ」とか言われて、御対面。というか勝手に乗っていくだけ。返すときも" No problem? " " Yeah! " " …NO problem?" " ...NO! " で終わり。カンタンである。
●レンタカー最低グレード近辺の車で箱根「オー・ミラドー」に乗り付けると何となく恥ずかしいが、こちらの大概の3つ星レストランはノー・プロブレムちゅうか、みんな、そんなんで来ている。ゲラールもね。
[AQ!]
 IBISのトゥールーズ空港ホテルは、何故、朝っぱらのプチデジュネのサルで、サンタナの「哀愁のヨーロッパ」を流しておるのか?…などというのは、どうでもよくて、空港Herzでクルマを借り出してみるとシトロエンのSaxo。非常にキビキビして快いオネーサンの説明によると、我々の注文のエコノミー(Clioのランク)よりは1つ上のクラスの車であるとか。料金はClioクラスでOKよオホホン、ということらしい。

[Toulouse→Eugenie les Bains]
[へべ]
●空港Pを出るのにちょっと躓いたが(「ここから出ちゃ駄目」と戻された)、後は順調に。「右みぎミギ…」のおまじないを唱えつつ。
SF ●気がつくと一面のヒマワリ畑の中、どこまでも続くかのような田舎道をブンブン走っていた。町(村)に入って、通り抜けて、町(村)の出口でまた延々と田舎道…というリズムというか呼吸がだんだんのみこめてくる。よほどの大きな町でもないと信号などなく大半はラウンドアバウト方式。
●途中のNogaroとかいう町で休憩。晴れたり降ったりめまぐるしく天気は変わる。小さな闘牛場があったりして、南に来たなーと実感。「シナから来たのか?」と話しかけてきたカフェのおっかさんの息子は中国で働いているのだ、という。焼シェーブルのサラダとソーセージで軽い昼食を済ます。ビデオゲーム機、あり升。
ウジェニレバンへの道しるべが出た。道は上り坂。めずらしく木の茂った日本の小道みたいな感じ。改めてフランスのふつうの田舎の風景は「人の手の入ったひらけた丘また丘」がベースなのを実感する。空が広くて、木立もあるけど、基本的にはひらけている。荒涼としているようでも牧草地だったりする。川はと言えばどちらに流れているのかわからないくらいの平地がほとんどだ。
●ひと山越えたところが高級温泉保養地ウジェニレバン。町イコールゲラール、というくらい城下町感が強い。
[AQ!]
 空港・トゥールーズ市外環を離れ、一路ほぼ真西にコースを取り、Auch(何て読むのだ?ワシらは勝手にアウチ!と呼んでやっていたが)方面に向かうと、お馴染みフランスの田舎道は、快適至極ひたすらのんびりと続き、お馴染みフランスの絶対にのんびりとしないドライバーたちが猛烈なスピードで我々を抜いて行く。初日の感覚慣らしには丁度よい。日本では凶悪ドライバーかも知れない私も、ここで張り合おうとはつゆ思わない。折角こんなにノンビリしとるけん。
 この道のず〜〜っと先に、本日の目的地ウジェニーレバンがある。トゥールーズからはAgenあたりまでオートルートで行く手もあるが、最短距離をまっすぐ行く方向を選択。空港も鉄道駅も高速も何も近くにない、「行きにくい」ので有名な温泉旅館の3つ星、それがミシェル・ゲラールである。
 田舎道、まず一番に目をひくのは、ヒマワリ畑の多さだろうか。広い所では見渡す限り、地の果てまでのヒマワリ。惜しむらくは、もう収穫に向け花は終わっている畑が多い。2週間(?)くらい前にここをドライブした夏休み日本人は、絶句した挙句にフィルムを大量消費したことであろう。
 時たま通過する集落の店の看板を見ていると、たまに目に入るのが、スペイン風の綴り。たしかに地図上で見るとエスパニョールは目と鼻の先なんだけど。
PP  今回の立ち回り先は、みな、マイナーなワインエリアといえばワインエリア。まぁ、フランス中がそうだけど。ワインにまで気を持ってウロついていると我々のか細い体力が尽きてしまうので、基本的には「ああ葡萄畑だねぇ」と通り過ぎる。けど、目をひいたのが「プレイモン協同組合のカーヴ」の看板。何となく懐かしい、よく買っていたプレイモンの微炭酸の白。ちょっと寄ってみることにする。街はAignanと言う。つぶれたレストランやカフェがそのままの姿であるるのが、妙にサビれた感じの町並。街外れのプレイモンのカーヴは対称的にまだ新しく、立派である。…昼休みであった。チャンチャン。畑に乱入して、葡萄の盗み食いだけしてサヨウナラ。
 昼食は通りすがりのNogaroの道端のカフェでソシションと焼シェーブルサラダ。カフェの向かいには何と闘牛場があった。ひえ〜、スパニッシュ…と、その時は驚いたのだが、この辺りの街では珍しくない。とゆーか、ウジェニーレバンにも、規模は小さいがちゃんと存在する。
 さて、ウジェニーレバンの最寄りの大きな街はエールダドールになろうか。ここを過ぎると本当の田舎道を15分ばかり。幾分の起伏あり。丈の高いトウモロコシの畑が目立つ。ウジェニーレバン村の標識が出ると道はまっすぐに。はるか前方のドン突きに白い門らしきものが見えてくる。「もしや」。そう、その通り、そのドン突きの門に突入すれば、こここそがゲラールの館の始まりであった。

[Les Pres d'Eugenie]
MG1 [へべ]
 町に入る。とてもとても背の高い並木道を走っていくと、まっすぐ突き当たりがゲラール領。門番に名を告げると、まっすぐ奥へ。あずま屋風の車寄せで車を降りると、もうお客は何もしなくても車は各部屋用の駐車スペースに入れておいてくれるわ、荷物は運んでくれるわの殿さま状態。ウチは貧乏性というか人にしてもらいつけていないので、こういう時にオタオタしがちだが、つとめて堂々としてみる(どうだったかしらん)。
 いざ白い館へ。白を基調とした室内は"保養地"というコトバがよく似合う。クロゼットの大きいこと!さすが長期滞在パッケージをお勧めするゲラールらしい。門のところの看板などあちこちに"キュイジーヌマンスール"と大書されている。日本語なら「やせる料理」……不思議な感覚ではある。
 ゲラール領内は、月並ながら「楽園のようだ」と言いたくなる眺め。ところどころに噴水の、せせらぎの、あるいはハス池の水のきらめき、高く高く伸びた木々の梢が風に光る。花々が咲き、小鳥はさえずり、バラのアーチを抜けたあたりや噴水のほとりには由緒ありげな彫像が。ゆったりそぞろ歩くもよし、寝椅子でマッサージを受けるもよし、医師の処方で温泉療法を受けるもまたよし … 私たちは領内と町を散歩して、広い浴室でさっぱりして、夕食にのぞむことにした。
●室内:天井の大きな白い扇風機がゆったり回ると心地よい風が…。フランスの夏は、ここ南西部でもほとんど冷房いらずの爽やかさだ。白い壁、石のタイルを敷きつめたようなひんやりした床、アンティーク調のたんすや机。壁の絵(風景画はなかなかいい感じ)は「お求めになりたい方はフロントへお尋ね下さい」というが、立派なもの。シンプルなガラスの花瓶に赤いバラ。私たちの部屋は「マジョレーヌ」。廊下の古風な吊りランプと壁の植物画がいかにもヨーロッパの保養地らしい。
ゲラール領は広く、町は小さい。水の公園を見物、ここにも小さな闘牛場があり、町の人なのか旅人なのかオヤジたちがペタンクに興じていた。
PENogaro付近での雨風がウソのような上天気。陽はいつまでも沈む気配を見せず、ヨーロッパの夏の日はなかなか暮れない、とか言いながらカフェでペリエで一服する。
[AQ!]
 門番に名前を告げ、ゲラール館にSaxoを乗り入れる。ワシらの前の車は、Uターンして帰って行ったのを見ると、予約無しの訪問だったか?予算が合わなかったか? 広々とした前庭の木々や草花を眺めながら進み、前方右手に道は折れて、そこにアズマヤ風の車寄せ。前掛けをしたレストランのセルヴールの雰囲気の出迎えが、一人はバッグを持ち、一人は車をパーキング(部屋毎に確保されている)に回してくれる。門番からの通報で万端整っているので、何のストレスもなく部屋に直行。
 天井で大きな扇風機の回る部屋の窓を開けると、庭園全体が眺め回せ、清涼な空気がも〜気持ち良すぎ。この季節、ちょっと天国の方に出張して昼寝をむさぼってるみたい。庭のそこここに、温泉旅館らしく(温泉はヨーロッパのこと、医師の診断があって入る療養目的のもの。その他エステ系などの施設がズラリ)ガウンやらお気楽な格好やらの上流階級(だろうなぁ、ヨーロッパ的には)が、ユルユルと過ごしているのが見える。
 ちょっと町の中を散歩。この地は元々ゲラール夫人の父君が営む温泉チェーンの一軒だったとかで、今ではゲラール家が村の面積の1/4を所有しているだか何だか、ワインも自家で作ってます、などとまことにファンタスティックなゲラール城下町。闘牛場は、ワシらが散歩の途中で覗いた時には牛はおらず、近所のオヤジ連中がペタンクに熱くなっていた。

[Michel Guerard]
[へべ]
●噴水の庭に面したテラスや回廊で、鏡のサロンで、客たちはそこここで夕暮れを楽しみアペリティフのグラスを傾け、今宵のメニューを検討中。私たちはサロンのソファーでシャンパーニュのグラスを手にカルトを熟読の末、緑のお豆のヴィシソワースその他を選択。サロンの天井の扇風機4基は高速回転中、こちらはちょっと目が回りそうだ。
MG2 ●そろそろcafeに移行する組(早いなぁ)も出てくる頃に、サルを抜け、ビリヤード台のある部屋を抜けて、一番奥(建物の正面側)のサルに落ち着く。無口な家族の卓、にこやかな家族の卓、「デュカスとやらも行ってきたぞゴルァ」とかメートルにぶち上げている妙なカップルの卓などとご一緒。やや外国人&ファミリー客のサルかな?
ゲラール(の一番シェフの。カルトにもその一番シェフの名前入り)の料理は、こう言っては悪い気もするけど、予想よりはるかに素晴しく魅力的だった。ええと、まず見た目におどろく。目の前に置かれたこの薄揚げトマトとかカラフルな花とかでにぎにぎしく飾られた鮮緑色のメロンパフェみたいな… こ、これが私のアントレですかいなー、と、たじろぐのだが、食べてみると実に旨い。ブラスロワゾーパコーほどギリギリまで突き詰めたような、神経のとぎすまされたような感じはないのだけれど、おおどかながら精妙、旨いけれど重くない。「メロンパフェ」こと「プチポワのヴィシソワーズ」も、「モリーユ&クリームソース」も、しっかり素直に旨い!と言わせる味ながら、水面を優雅にすべる水鳥の足が忙しいように(何のこっちゃ)、バタやクリームや塩分的には実はたぶん味わいを損なわないところでかなり「軽く」作られているように感じた。さすが、やせ料理の祖である(私たちの食べたのはキュイジーヌマンスールでは無いが)。
 フランスではそうは言ってもほんとのトップクラス以外では、まず旨いと思わない魚も、ゲラールのはなんと旨い。おいしくて驚いては悪いとは思いながらも…いやー嬉しい驚きでした。すごく巧みなんだけど、神経のピリピリする精緻さとは無縁の、ある種「大物の余裕」とかそんなものを感じさせる料理。の美味かったことといったらもう!見田さんが以前来た時に「暖炉で焼いたオマールを食べた」と書いていたけれど、もしやこれはその暖炉で焼いた鳩では? 燻したような香ばしさ、香草の緑が鮮やかに散ったソースの思いがけないフレッシュな味わい、添えられた緑アスパラにも香ばしい風味がいっぱい。この鳩には泣きました。鉄板で焼けた姿を一度ご披露の後、お皿へ。
 そうそう、「昔風の自家製パンです」と誇らしげに運ばれてきた熱々のパンの美味しかったこと! 焼いたお餅のような香ばしい焦げ感と、ふんわりもっちりした中のところと…、うっとりするパンでした。デセールもここのは上出来。
 テラスでcool downしながら、アンフュージョン・デジェスティフ。いやー、この世の楽園に来たごたる、とまたうっとりする夜でした。
MG3 [AQ!]
 8時半。メシだ〜。まずはサロンでゆっくりシャンパンをやりながらカルトを眺める。まだ外は幾分明るい。あ〜だこ〜だと注文に関する議論をしていると、もう、食後のカフェをやりにサロンに引き上げてくるカップルもいる。保養地のせいか、めいめい、勝手なタイムスケジュールを生きているのだろう。いずれにしても、町なかよりは早め。我々も20時からでも良かったかも。天井で回る扇風機を弱めようと苦心する紳士、「止めろ」とサービスに言いつける紳士、それぞれの御婦人への奉仕のし具合を観察していると面白い。アミューズは、内容・見た目は平凡という感じのものだが、しっかりと作られており、シャンパンのアテにサイコー。
 そういえば、ゲラール「キュイジーヌマンスール」という、食べて痩せる料理でも有名。要は、ローカロリーでも美味しく、ということだろう。ダイエット&エステの滞在コースを1週間30万円とかで売ってたりする。このサロンにも痩せ料理実行中の人もいるんだろうな。
 このサロンに回り込んで入ってくる入り口には、椅子に腰掛けた黒人少年の人形。そこから窺えるように、全体に内装は「コロニアル、っちゅうですか?」な雰囲気。サルはそれぞれに少しずつ趣が違うが、我々が通された一番手前奥は、やはり「コロニアル」色が強い。開放的で、豪華は豪華だけどそんなに気張ってなくて、テキトーにボロッとしている部分もある。気楽。BGMがルイ・アームストロングで「あらま〜」って感じだが、「良く合ってるわ」と段々思えてくる。ざっと見回した印象のみでいうとこのサルは、「短期訪問外国人・観光客・子連れ」用途、と見た。
 セルヴールは、格式あるも何となく気楽、くらいなノリが基調で、しかしまぁ、このサルには余り力が入ってる気はしない。…ものの、具体的な不足があるわけでなく、良い時間を与えてくれる。
 ワインリストだが、古い豪華系ミシュラン三つ星レストランということで、ダイナマイト級がんがんの強烈なカーヴの可能性も?、と思っていたが、幸か不幸かそんなことはなく、地元中心の品良い取り揃え。あ、そういえば、ゲラール家は自分でワインも作ってます(トゥルサンのシャトー・バッサン)。マディランも地元と言っていいくらいの位置にあるので、そこからお勧めにて。良質なマディランで、94と程良い年ごろ、レストランの料理のお供の酒として花マルざんした。
 「あれはナーニ?…メロンパフェなんて、あったっけ?」へべの言う、そのメロンパフェがへべの前に置かれることになろうとは。プティポワのヴィシソワースである。フルーツパフェでも盛るような容器にプティポワやら海老を放り込んで、緑色のヴィシソワースをかけ回し、香草(花付きだから、香花、か…)を乗せて…。言っちゃ悪いが、何となく、「一昔前のヌーベルキュイジーヌ」な眺めではある。私の前の器では、クリームスープに沈んだモリーユの肩が、硫黄温泉に浸かったオヤジの頭のように見えている。
 そう、どちらも、例えば写真に撮って見せられて、そう魅かれたりするものか、甚だ心もとない。どこか「周回遅れのトップランナー」みたいなのだ(ゲラールさん、スマソ)。
MG4  しかし!しかししかし、しかしもかかしも、とにもかくにも食ってみたまえ!(誰に向かって叫んでいるのか…) 旨い旨い! もう、これがもう、美味なのである。極上の素材に極上の調理。全体を通して言えるのは、見た目はモッサリしているのだが(それはもういいって…)キュイジーヌマンスールなんかも作り慣れているせいか、脂肪分の扱い方というか、余計な枝の払い方がとても巧みな感じなのだ。だから意外と軽い。軽くて、香りや味がよく立っている。
 テュルボティンはハムの小さく切った物のソースで。何となく広東料理でいう、清蒸石斑魚の「古法」バージョン(中華ハム蒸し)を思わせる。キャベツを下に敷き、そして薄く揚げたキャベツを一枚突き刺して立体的に見せる。(そうそう、「薄〜く焼いたり揚げたり」は得意技なのかシェフのマイブームなのか、色々と見られたな。アミューズのトーストとか、プティポワヴィシソワースの揚げトマトとか) 魚の料理は、「パコーとかブラスとかロワゾーとかロビュションとか日本のシェフとかの「精緻」なのがやっぱ美味いよな、フランスの普通のは、何か大味で」、と我々は普段思っているのだが、こやつは、そんなに精度が細かい気もしないラフな印象の料理である癖に、妙に旨い。ヒャー。この辺りが「年季」かね。
 ピジョノーは素晴しかった。焼きはウットリ。香草ソースなのだが、濃く強い肉汁系の味の中で、ハーブの端々がピシッピシッと立っていて、まことに引き締まる。
 満足いく出来のデセールをいただいた後は、テラスに出て、アンフュージョン。涼しい風が心地よい。レストラン部の前庭の植生は、かなり南っぽくてオリエンターレ。「あー、はるばるとやって来て、ほんと、よかったのことあるよ」と白痴的ため息が夜空に消えていく。

MG5 [Eugenie-les-Bains → Agen]
[へべ]
 きらめく朝の日射し、みずみずしい緑、さわやかな風、そしてバスローブのままテラスで朝食!! 極楽は続くよどこまでも。
 半熟卵のあまりの旨さに朝から涙しつつ、優雅な朝食をいただく。

 名残り惜しい楽園を後に…。
 …と、思い出すのが、チェックアウト時の小さなハプニング。
 これほどまでに完璧と思われたサービス体制でも車のキーは行方不明になってしまうとは!(預けていたキーの保管場所に関する連携が悪かったようだ) 「箱根オーミラドーの一件(まったく同じような話で、チェックアウト後に、預けてあったキーが行方不明なのが発覚)を思い出すね」と話すうちに見つかったキーで車に乗り込み、一路、アジャンへ。

 (以下、L'Aubergade2001年8月編に続く)

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  ボタン  Restaurant Patrick Jeffroy  パトリック・ジェフロワ
  
20, rue du Kelenn 29660 Carantec 02 98 67 00 47 (Fax 02 98 67 08 25) www.hoteldecarantec.com/
Chef: Patrick Jeffroy
・
 宿泊部門は、「L'Hotel de Carantec」と名乗る。同一の建物内。

Michelin ○  /GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 16 (2004)

PJEF1 [↓メモ版:工事中]
2005年 5月

 *Homard Creme de Crustace
 *Presse de Tourteau
 *Poisson
 *Carre d'Agneau en Croute
 *Marquise
 *Pate Sablee

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  ボタン  Le Petit Nice : Gerald Passedat  ル・プティ・ニース : ジェラール・パセダ
  
Anse de Maldorme - Corniche J.F. Kennedy - 13007 Marseille Tel. : +33 (0)4 91 592 592 - Fax : +33 (0)4 91 592 808 www.petitnice-passedat.com
Chef: Gerald Passedat (1960-)
・
2009年12月 ☆☆☆☆

 *Les Amuse-Bouches Gourmands
 *Anemones de mer en onctueux iode, lait mousseux au caviar, puis en beignets legers, petit bouillon a la chlorophylle et coquillages
 *Bar de ligne comme l'aimait Lucie Passedat
 *Turbot grille, jus de la tante Nia
 *Tourteau roti entier au poivre melange mandarin, legumes sautes, araignee de mer
 *カレダニョー、トピナンブーピュレ、ピセンリと茸、巻き白ベトラーブ
 *Les fromages affines
 *L'avant dessert
 *Chrysalide de caramel au chocolat, emulsion de Fortissima tiede
 *Mignardises maison

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 アルルの大泉滉・野菜の魔術師・レギュームウーブリエの求道者…に続いては、マルセイユのロックンローラー・海の魔術師・ポワソンウーブリエの伝道者…ジェラールパセダの待つプティ・ニースだ。
 今回の旅行の目的の、もう半分。

 さすがマルセイユ、駅のタクシーからして、ガラが悪い。我々の乗ったタクシーのドライバー氏は、
「プティニース?おーパセダか、アソコはいいウチだな」
 と明るく請合いまくる。テメー、行ったことあるのかよ…(笑)。これがフランスシステム。
 到着。口頭のスーツケースアディショナルフィーが多少高かった気もするが、セ・マルセイユ、まあいいや。教会がどーの、ミッシェルのブイヤベースはアピエで1kmだから歩いて来れるだの、観光ガイドは熱心にするカレであった。
 本日のマルセイユは暑いくらい。コート邪魔。
 おっさんが海で泳いでました(一人だけだけど)。

[へべ]
 到着早々にパセダ本人を見る。昼食客の送り出しタイムだったようだ。その後は忠犬ブルドッグのバスティアンじゃなくて何だっけ(AQ!「ファビヨンやがな」)、をお供に、茶の革ジャンでさっそうと散歩へ。

[AQ!]
 パセダ、凄いです。脱帽。
 充実…という言葉を味にするとこうなるか。
 料理自体は、新しいモノ珍しいモノ主体なんだけど、完成度の高さの印象の方が強くなる。美味い!
 漲ってます。
 店もバリバリ。ここホントにフランス?ってくらいサービス陣がいい。
 海のフランス料理(専門…まではいかないが。肉もある)の店、という特殊な位置づけになるけど、それを越えて現代の高級フランス料理店の代表格かとも感じる。
 久しぶりに三ツ星らしい三ツ星に来た(最近のインチキ三ツ星じゃなくて、ネジュランの時代の)…って感じがしました。
 Gerald Pasedat 1960生まれ。ラバネルもだけど此処も、今が食べ時でしょう。

[へべ]
●アミューズ1と2
●海3態 海の白泡クレームにアキテーヌのキャビア ベニエ
●白身魚1 おばあちゃん風ソース ユイルにバジル これ超うまい、好き
●白身魚2 トゥルボ 甲殻だっけレンガ色ソース
●トルチュとアレニェドメア 甲殻泡ソース、豆のつる クロロフィルソース
●プラは羊。アニョーの脂が! ガルニはアーティショーほかいろいろ野菜とトピナンブールのピュレ。黄ベトラーブのうす巻きシガール。ピセンリのサラド(うれしい!)
●デセール1 青リンゴ うすパリくるりラングドシャ風、緑白レイヤーのゼリームースケーキ、ソルベ
●デセール2、鉄路風 まっすぐ細チョコ線に、チョコ2個とキャラメル3個のロール。ふんわりムース(チョコ)とフリュイ添え。
●ミニャルディーズは9マスに8種盛り、この期に及んでそれぞれ精緻で、全部食べずにいられない。

[AQ!]
 パセダ、写真はとくに髭が多く見えますね。
 でもたしかにそうで、店に着いて、すぐに昼の客の送り出しのシェフの姿を見たんだけど、あの、よくプロフィールに使われてる(穏やかそうなオジサン顔)写真に、あまり似てないのでした。
 すんげー、精悍なタイプ。
 ブルーザーブロディかロルクレームをハンサムにしたような、とも言える(言えるのか?) (^^;;;)
 ところで、EのS村さんにパセダのこと聞いたら(トロワグロ修業つながり)、当時は、とんでもなくヤンチャな放蕩息子だったそうで…。
 周囲ではほとんど、「跡取りの馬鹿息子」と見られていたとか。
 それが、Eの常連の間でも近年プティニースの評判が良いので、S村さんも「へぇ?!」と思っていた、とか。
「卒業、したんですかねえ?(笑)」
「卒業、したんで…しょうねえ(笑)」

 貝殻のクリスマスツリー。
 軽くストライプ系のナップ・クロス類。
 窓際の席セッティングは、さすがに「シービュー」。椅子は珍しいタイプ、ウチらに好評。

 3種x3口=9升:キャビヨトブランダードトリュフ、ムール、
 アミューズの最初の一口でガッツポーズ。今宵は楽しめそうです。クールで新たしくもある切り口であるのだが、何によるものか、それ以上にいい意味の「安心感」がドッシリと、ある。
 にしても、トリュフがよく香る。うっふん。
 牡蠣シトロン、ドラド・アーティショー、エピナール
 ユイットルはカンカルもの。ひとひらの葉に乗る小ぶりなもの。シトロンの産が美しく映える。
 牡蠣とドラッド。早くも、「クラッ」。眩暈すら感じる美味。後で振り返ると、ここんちで使ってるドラッド(と、その使い方)は、すんこ゜く凄い。
 次の3品は、海の秘密セットとでも言おうか、見た目は大人しいが、前衛的な食材使いのアントレ。グニューっとした食感、そこから立ち上がる様々な海の香りの要素(しかし、このヒトは、どこまでいってもヨデ臭くない)が、魅力溢れる。
 JDSに続いて、キャビアはアキテーヌ名乗り。これは要チェック。
 テュルボ、茄子
 テュルボのグリエだけど、皿が置かれた時は「あ、この一段落は焼テュルボね」…とかるーく思うんだけど、そのシンプルな一口を、まずはソースも無しでいってみると、二人して「ぎょえー」!
 なにがなんだか、絶妙に美味い。
 しかしねー、材料の質と塩の入れ方くらいしか無さそうな話なんだけど(^^;;)
 この見え方の焼魚で、空前のウマさでしたわー。
 Lucieの、所謂プロバンス組合せ…が何でこんなにウマいのか、謎。
 だいたい、西洋人の魚介のアセゾネは、どこか過剰なモノ。なんで海辺の三代目が急にこんなに絶妙になるねん。
 バールとテュルボは、食って仰け反って天に召されて笑う、ワシらの感じようを、ヒトに説明するのが、極めて難しい皿。組合せややり様は、オーソドックス、…はオーソドックスなのよ。更に、食ってても、なんでこんなに超越ウマイのか、秘密がわからない。
 アレネドメア・ラディノワール、
 蟹祭り、は、そこまで唖然としなくていい(笑)、見て聞いた通りのものが上質に供される。

 カレダニョー、トピナンブーピュレ、ピセンリと茸、巻き白ベトラーブ
 「ムニュパセダ」は、この店の三つのムニュの中で、唯一、ヴィアンドがある(笑)。(そういえば、アラカルトも、ヴィアンドのページはほとんど、スロンマルシェというかスロンアンスピラシオンみたいなことしか書いてないのであった)
「ムニュ・パセダ? パルフェ。質問が二つあります。アントレの一つはユイットルですが、大丈夫でしょうか?(隣卓のマダムの一人はポティロンに差替えだった) それから、プラはアニョーですが、キュイは? ピンクでよろしいですか?」
「OK!」

 そのカレダニョーのキュイソンは完璧。脂の柔らかい加熱は極上。聞きもせずに焼け爛れた「日本人焼」の鹿を持ってきた昨日の双子の禿とは、えらい違いだ。
 カレダニョーロティ。これがどうして、シッカリ旨い。材料と焼きの具合か、脂と赤身が、どちらもシットリ優しいタッチで香りもあるのがイイ。

 最近の三ツ星に多い、ドシャバシャしたデセールの物量攻撃が無いのが、また、イイ。
 9升皿、ミニャルディーズ時は8種+スプーン。

 この人のヨデはまったく臭わない。
 キケ並みに、海の変な臓物(笑)が出てくる。
 ソースにほんの一瞬ピカンテが入るのが、二、三あった。もしくはこれは、黒胡椒の選択によるものかもしれない。
 オーラルーディンに出会って、こいつは魚の神か、と思った2009だけど、最後にもう一人、おでましになられた。
 少なくとも、我々が従前に知っていたフランス料理のレベルじゃないし、日本ではその片鱗も食ったことのない捕らえ方の魚料理だと思う。
 お弁当箱みたいに重ねて持ってくる白陶器、活躍。

[↑メモ版:工事中]

2009年12月 ☆☆☆

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 プティニースのムニュは三種。所謂デクヴェルテと、季節のおすすめ的なのと、「ブイヤベース」ムニュ。
 第二夜は、多少…以上の興味をひかれる「ブイヤベース」に突入。
 一般論としては、「名物に美味いもの無し」の代表格、地球の迷い方レベルですら「大概まずい」とされるマルセイユのブイヤベースであるが、おそらくはフランス随一の魚料理の名匠にかかるとどうなるか!?、って訳(笑)。
 しかし、ここで「一回こっきり」の食事だったら頼みにくいムニュだ。二晩とっといて、ホントに良かった。

[へべ]
●やっぱり今宵はブイヤベース!
●アミューズは前夜と同じ3x3の9桝。イカと果物と野菜のこまかく刻んだマリネ。ムールのプロバンス風(バジルの円盤のせ)。トリュフ風味のブランダード。
 初日の質問、3つはそれぞれ同じ? 答えはイエス。食べればわかる。シャンパーニュをひとくち、片手に検討中のメニューを広げ、片手でらくらく食べるにはもってこいの、ひと口ずつの盛りつけになっているのでありました。
●ふたつめの、温アミューズ。ほうれん草の緑に浮かぶ白身魚が二片。初日はドラド(これがすごい!官能的な身の質)にカキ。酸と海ジュレ・白泡・クロロフィル。翌晩はLes Beaux Yeuxに、ポティロンを添えて(綴りはウソかも。美眼魚)。こまかなダイスに刻んだカボチャが果物のように可憐な味と香り。小さなセルクルにまとめてある。
●さてここから、ブイヤベースの解体と再構築(すでにこう言うと、ひょっとしてちょっと古い感がある?2009)。
●四角いガラス皿に、回のうすづくりマリネ。貝は何だろう、やわらかに小ぶりな数種類を、みごとに薄くスライスしてカルパッチョ調にならべてある。ホヤっぽい風味のもある。海の味、柑橘のきれいな酸。緑が香る。
●右手奥には、2枚の和紙(っぽい)を木の洗濯ばさみでとめた間にはさまれて白身魚のグジョネット風揚げもの登場(初日は同じセッティングでイソギンチャクの入ったベニエ)。
●一緒にa Boire,緑の軽いポタージュ。それ自体もおいしい&ともによく合う!
●にんじんピュレと酸味のソルベ。こ、これはひょっとして具から来ている?
●「魚と甲殻類」と称して。オマールの爪と身の間に並ぶ、白身魚4種。左寄りのドラドがやはりとび抜けていい。しっとりと吸いつくような妖艶な身の、絶妙な火入れ。わりとクリアな汁が張られていて、こちらが通常のブイヤベースのスープに近い仕立て。味もクリアで、深い。ガルニのアーティショー、フォン味がまた旨い。納豆の味?
●そして「魚」の段。朝食にも使われる、白くて丸いふたつきの器が積み重なったブイヤベースの塔がしずしずと運ばれてくる。白身魚2種(ひとつは、ギ…なんとか)は説明されたが聞きとれず。こちらのスープはスープドポワソン風、薄汁粉くらいの色でポタージュ調なのだが、すこぶる上品な味わい。要素が濃いのに、salee/sucreの味はごくごく抑えてあって、凄みがある。これに適宜、パルメザンと辛み(ピマンデスプレット?)を加えつついただく。思えばなんと、アイヨリなし。
●全体に思いもよらないブイヤベースの展開で頼んでよかった!
●デセールは緑リンゴとメレンゲ粉。
●微発泡ぽい赤がおすすめで、よく合っていた。

 コースを2つ食べて。
 海の幸、といっても貝と甲殻類と魚は特性が違う。合わせて出すことはあっても、それぞれに扱いや味香りのひき出し方はちがう…といったことを考えさせられる構成。食べている間はその多彩なそしてピュアでクリアなおいしさに夢中でついていくばかりだったけれど。
 ヨデなのに、あるいは、ホヤにあるあの海のエキスのあの味なのに、ピュアでクリアで美しい。ブイヤベース的ごった煮海の幸をひとつひとつ磨き上げて輝かせる。

[AQ!]
 内容は、ブイヤベースの「解体と再構築」。三皿構成で供される。
 ここでもパセダの美学は輝くばかり、客は唸るばかり。
 引き算と磨き込みによる、どこまでも上品な、日本人が見ても上品な、魚料理でありました。すぐまた食いたくなるくらい美味!

 シーアネモネ、そのジュルジュル、モリュ、ムールプロバンサル、セシェ白バルサミコ
 エピナール緑アーティショーの魚は、初日がドラド、二日目ボージュー。
 ブイヤベースの驚異はドラド。生きながら(いや死んでるって)、煮えながら、エスプーマ化してんのか、ってくらい軽くて、味香りが強い。オマールも上質。サンピエール。
 スープドポワソンは、塩・甘味をギリギリ切り詰め、まことに美しく品良くウメい!
 隙のない店、揺るぎのない皿。
 ブイヤベース 人参ピュレ、香草ジャガイモポタージュ
 ブイヤベースその三、の下段は高温のお湯にホンダワラ。「ひょっとして食べるの?」「まさか(笑)」 保温とわずかに香り付け用の模様。 
 ラバネルもパセダも、どことなく、勝手知ったるフランス料理の安心感はある。
 ほぼ供し終わってから、レセプションでお見送り定位置につくのがジェラール流。

 部屋の鍵の謎。
 エキゾチックな20年代のLucieおばあちゃん(の若い頃)。
 海は意外なほどに波高い。ザッパーン。
 ブジの名前はファビヨン(?)君。昼開店前の11時くらいが、お散歩タイム。
 セキュリティは固い。営業中でも固い。(門の出入り) さすがはマルセイユ?
 すぐ下の、浜の遊歩道は、一般道。日向ぼっこする人々。

[↑メモ版:工事中]
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  ボタン Pic  ピック
  
285 av Victor-Hugo 26000 VALENCE 04 75 44 15 32 (Fax 04 75 40 96 03) www.pic-valence.com
ferme dim. a din., lundi et vacance(janv.)
depuis1891 Chef: 〜 Jacques Pic (1932-1992) 〜 Alain Pic 〜 Anne-Sophie Pic (1969-)
・
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (1990)
Michelin ○○ /GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○○ /GaultMillau 16 (2002)
Michelin ○○ /GaultMillau 17 (2004)

 祝!ミシュラン・ギドルージュ3つ星獲得! (2007)

PICV1 2002年10月 ☆☆

 *ブーダンノワール団子、チーズ・トン・フリット、ムールのボート、直立するサワークリーム、烏賊フライ野菜
 *チョリソクレームと烏賊
 *Aubergine En Quatre Declinaisons
  4種茄子:グラス、ベニエ、パルメザン風味、トマト風味
 *Carpaccio De Loup De Mediterranee Sur Une Royale
  地中海スズキのカルパッチョ、フヌイユ風味
 *Fricassee De Langoustines De Petite Peche, Bouillon Acidule Au Citron Confit Et Artichauts Poivrades
  ラングスティーヌのラビオリ、シトロン・ジャンジャンブル風味
 *Pigeon Fermier De Monsieur Chabert Roti En Croute De Noix. Figues Au Banvuls
  鳩のアンクルートとその腿、バニュルス無花果と茄子添え
 *籠入りクレーム、ポワール、カシスクレーム、ミルティーユ層
 *苺のトランスペアレント
 +95 Cote Rotie La Voniere / L. de Vallouit

PICV2 [AQ!]
 夕方に厨房見学しました。「アリャ、こっちさ行くと厨房みたいだーよ」とかやってたら、そこらにいた誰かが(^^;)、「おいでおいでどぞどぞ」と案内してくれた。ナニゲに親切な人の多いPIC家です。
 コンシェルジュ・デスク…(かなぁ)、に鎮座ましますPCはiMacで、夜には灯が入ってた。何に使ってるか見てみれば良かったな。

[へべ]
 ライオール->ロデス->->->Valence。行程の長い割に見どころ(…特筆すべき…)はあまりないドライブだったかな〜体力的にも疲れの出るころかな? Bras〜Rodezは結構な距離あります。Taxiで行ったToshiさんは凄い!

[AQ!]
 Rodezの街を一目見てみたい、という経路だったが、やはり無駄に大回りなルートだった。反省。その後も、オートルートを遠大に回るより山越えの方が何ぼ何でも近そうだし、面白そうだった。

[へべ]
 Valenceの町に入り、(PICのサイトの指示に従い)ビクトルユーゴー通りを行くと、町の役場とか名所旧跡などと同様にして「PICはこちら」という標識出現。さすが由緒正しい老舗ですな。

PICV3 [AQ!]
 訪れる前は、一応はある程度の規模の町Valenceなのにこんな簡単な地図で行き着けるのかいや、と不安でしたが、ホントに簡単に着く(^^;)。

[へべ]
●壁に大きく「PIC」と書かれた建物が見えてきました。…ボキューズみたいなコテコテ外装や、外壁にデカデカと店名を入れたりするのって「なんかちょっとシュミ悪いかも」と思ってましたが、フランスの地方はクルマ世界。「高速で飛ばす車からも、遠目に判別できる」ことって案外重要なんだな、と今回思ったのでした。
ラ・コート・ドールと同様、街道沿いのオーベルジュ。ただこちらの方が周囲に団地(マンション?アパート?)が建ったりスーパーや安洋服店ができたりと、環境的にはワリを食っているのは否めないかと。
 (AQ!「町がデカいからね、Valence」 …実際、5〜10分程度の近所の散歩はいまいち“つまらない”のは確か)
しかし、
PICV4 ●建物内に足を踏み入れると、これは素晴らしいと言わざるを得ません。低いアーチの連なったサロン、PIC輝かしい歴史の"証拠品"を展示した一画、赤とオレンジを基調にしたソファなどのどっしりした家具調度、そこかしこに飾られた絵画や置物…アンティーク愛好家ならうっとりしそうな古い家具やバーカウンター、ビリヤード台なども満載。
 (AQ!「更に言えば、中庭!」 …Picの外に出てしまうと白けるValanceであるが、Picの中庭を散策していると“何て素敵な所に来たんだべ”と思える。もっとも、しばらくボーっとしてないと、数分で一周してしまうのであるが)
●ホテル(同棟上階)の部屋もまた迫力の内装。ベッドの両脇には天井まで鏡を貼ったコーナー。重厚で豪華でクラシックな感じとでも言うのか? (あやしい)
 (AQ!「この部屋は安い!」 …130euro。大都市だとIbis〜Novotel程度の値段であり、マヂ安い。Picの客室の中でいちばん小さいが、十分にだだっ広い。)
PICV5 ●と、まあ何度にもわたり建て増しや拡張を重ねてきた(たぶん)年月を物語るような複雑な構造、totalでみたキャパシティの大きさ、惜しげなく飾られ使われている"年代モノ"の圧倒的な物量--などに、現Picを支える女主人アンヌ=ゾフィーの肩にかかる歴史の重圧はいかばかりか、などと思う次第。
 細腕繁盛記、とかつい言いたくなるくらい、当代アンヌは小柄で華奢で、握手した手のカ細いこと。
 にぎやかに盛り上がるサロンやサルを見渡すと、フランス人にとってPicのような(あるいはピラミッドアンリルーが再興する、といったような)"物語"は店の大きな魅力になるのかも、という気がしてくるのでした。
●料理は決して悪くはないけれど、大まかな印象としては父の祖父の曽祖母の"クラシック"の呪縛は強いのだろうと思えてしまう…。南仏風のアレンジをはじめ、工夫は好きなようですが、「工夫好きだがちょっと手先は不器用」みたいな(失礼な!)ところも散見されますね。
PICV6 ●ところで、どうしてPicの項は丁寧語尾が多いのか? やはり歴史の重圧かしらん??
●さて、この雰囲気を楽しまない手はない…と、アペリティフはオレンジ色のソファのサロンで。相客グループは地元の富裕層か、大変な盛り上がりよう。
アミューズひとくちサイズいろいろ。ブーダンはしっかり美味。あとは総じてまずまず。テーブルで出たチョリソのクレーム?は固まりすぎてたみたい?
●料理はややクリーム重めの傾向。4種茄子とかフヌイユとか。茄子は面白かったけれど。クリーム仕立てが重なっていたのが惜しい。ベニエに関しては「揚げ、って、むつかしい」。いっそグリエ&マリネ、みたいな手法が混ざっててもおもしろかったかもねーなどと勝手を言いつつ。
●ソムリエが傑作。いなせに歩き、べらんめえにしゃべる(かどうかわからないけど、そんなムード)。コルクなんかソムリエナイフを、ヤッ、トゥッ、ときて、ぐーるぐるくるくるくるっと回して抜いてしまうから驚きである。実は大層仕事熱心かつ根のまじめそうな人であるのもあわせて味わい深い。

PICV7 [AQ!]
 人さし指でクルクルって開けちゃう…というか、あの一種見事なコルクの抜き方は後にも先にも見かけたことのないもの。「おめーら、今日の献立で飲むんならコレだよ」ともう決めてきたようなコンセイエ(日本人向き、って訳じゃなく、今日は他卓でも多く売ってた)でスポンと開けちゃって、何ていい加減なオヤヂかと思うと、目配りが効いてて各卓のメモ付けは熱心で気の利いた口をきき、回遊してるうちに何となくサルが盛り上がってくるという希有なオッサン。翌日昼には卓のアイロンの手伝いもしてたような気がする。チミにはまた会いたいよ、オッサン、ラブ。
 で。
 4種茄子がねー、発想は面白いんだけど、どうしてもこれだと“4通り”として弱いなー、と思ってしまうね。似てる。鱸カルパチョは、量との兼合いで少し単調だし。プラは古典的かしら。ラングスティーヌの塩が堂々。概ね全体に美味しいですが。
 …などということに、料理日記はなるのだけど、これについては考慮ポイントが幾つか留保される。
 Picは、1990年頃まではフランス最高シェフの一人と称された偉大なる父Jacquesが厨房を完全に仕切っていたのだが、1992年に亡くなってしまった。この後、Picの厨房は息子Alain Picが引き継ぐのだが、何があったのかAlainは辞めちゃって、97-99年頃にはその妹Anne-Sophie PicPic本家を背負って建つこととなる。(Alainは身体でも壊したかと思いきや、グルノーブルでオーナーシェフ店を営み、ミシュランの星も取っている … まぁどんな経緯なのか、コアなファンにはよく知られた話なんだろうけど…ワシゃ知らん)
 このPic家史をざっと眺め、Anne-細腕-Sophieの年齢を見ると、どう考えても、この2002年訪問はまだまだ、“彼女の船出”期のワンカットなんだろうな、と思える。
 家代々の伝統性は、この店を素敵に埋め尽し口煩くイチャモンをつけては笑顔とともに家路に向かうValenceの上流客の多くも支持する所だろう。それに対し、Anne-Sophieがサイト上の料理写真ではっきりと訴えているのは、最新の軽く美しい現代的プレゼンテーションである。この2つの対立を始め、様々な要素が様々に変動しながら新たな歴史を作っていくということではないか。ボクらが目撃したのは、きっと、皿によりタイミングにより未だ変動幅の大きい時代のヒトコマでありましょう。

[2004: ってなとこです。この項をhtml化しているのは2004.11ですが、Anne-Sophieの料理の(肯定的な)評判は近年ときどき耳にします]

(2002秋 Laguiole "Michel Bras" →  Valence "Pic" → Veyrier du Lac "Auberge de l'Eridan")
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  ボタン Pyramide  ピラミッド
  
14 bd F.Point par Vienne 38200 ISERE 04 74 53 01 96 (Fax 04 74 85 69 73)
ferme mi-fev., mi- mars
Chef: Fernand Point (1897-1955) 〜 〜 Patrick Henriroux
・  
Michelin ○ /GaultMillau 16 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○/GaultMillau 17 (2004)
Michelin ○○/GaultMillau 17 (2005)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2008)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2009)

参考:メールのページ

2000年12月 ☆

 *amuse:フォワグラのプリン、オマール、栗のスープ
 *Poelee de Coquilles Saint Jacques,Crepe de Serrasin aux Trompettes de la Mort et Pieds de Cochon,Vinaigrette Moutardee
 *Rouget Farci de Gratinee Dauphinoise,Lentilles du Puy aux Cretes de Coq et Croutons Soubise,Jus au Pain Brule
 *フォワグラとトリュフの野菜スープ仕立て
 *シュヴルイユの円筒巻
 +70 Hermitage la Chapelle / Jaboulet

Pyr1 [AQ!]
 「何たって、あーた」、ラ・ピラミッドである。「全世界の泣く子も黙れ」、ラ・ピラミッドである。いやはや。「美食の殿堂」ですぜ、あーた。
 おそらくは、20世紀のフランス料理の土台を作ったと言ってよいであろう名シェフ、フェルナン・ポワン。彼が1923年にリヨンの南、ヴィエンヌに開いたレストランがこの「ラ・ピラミッド」である。その名前の由来は、店の前にある小さな遺跡「ピラミッド」。瞬く間に「世界最高のレストラン」の称号を獲得し、レストラン界に長く君臨することとなった。その厨房からは、ボキューズ・シャペル・トワグロをはじめ、後のフランス料理界を背負って立つことになる大物シェフを次々と輩出する。
 1955年フェルナン逝去。伝説はまだ続く。その後も「ラ・ピラミッド」の栄光は陰らないどころか、一層の輝きを見せたという。それを支えたのが、ポワン夫人(通称「マド」)の力である。夫のルセットと味を全て「記憶」していたという愛の力が奇跡を成した。
 もっともこの美しい話が語られるのは、マド時代の前半。後半は、色々な世間の噂につきまとわれることになる。要は、「年齢には勝てない」という事実。それを補う人材の不足。そして、それなのに「なぜミシュランは三つ星を献じ続けるのか」という疑問。
 1986年マダムポワン逝去。星を一つ失うのをきっかけに衰退、閉店。
 話は終わらない。1989年、この超名門の復興という夢物語に挑戦する若武者が現われた。その名をパトリック・アンリルー。自ら「途方もない賭け」と述懐するこの挑戦は徐々に成果をあげ始めた。
90年1つ星・91年2つ星とミシュランの評価を得る。ゴーミヨでも順調で、2001年現在では19点にまで昇りつめてしまった。
 以上が「ラ・ピラミッド」の歴史概略だ。訪問意欲が湧くというものだろう。フェルナン・ポワンとマドの精霊に会いに行く。聖地巡礼。20世紀の最後に。そして待ち受けるのは、旭日の昇り龍、アンリルー。
Pyr2  …ってわけですよ、お客さん!
 …と、長々と書いたのにはちと訳がある。いや、無い。いや、どっちでもいいんだけど。その訪問の実体験記の方なんですが、何か、あまり筆が乗らないというか気乗りしないというか。
 ポワンの精霊にはお参りしました。はい、ばっちり(何が?(^_^;;)。
 アンリルーの料理なんですが、アミューズをいただいて「何かちょっと寝ぼけてるなぁ」と思ったんだけど、う〜んと、ずっと、そのまま。… … そのまま …。
 何か一皿、「これは旨い」ってのがあると、だいぶ印象が違うと思うんだけど。
 客の入りが悪いのは、クリスマスの25日だったせい? わからん。入りが悪いせいもあるけど、夜が更けるにつれ、妙に寂しくなるんだなぁ、この店。サービスも「帰りたい君」が多いんだろうか。東京で言うと、ちょっと、有楽町の某店みたいな。「オタクたち、まだいたの?」って言われてるような感じ(被害妄想)。ずっと遅くなって入ってきた中国人(かな?)の8人くらいの卓だけ、内輪で大いに盛り上がっていた。
 ワインリストの一部に「栄光の残滓?」って感じがあって、73ロマネコンティ3100FFなんてひっくり返るんだが、我々の飲んだジャブレの70シャペルの感じだと、ちょっとカーヴの状態を信用するのは「??」って気も。
 悪口っぽくなっちゃいましたが、期待の大きさゆえでありまして、まぁしかし、全体に「何となく2つ星程度」ってレベルではあるんだけど、何でフランスの評論陣があんなに盛り上がってるのかは、全く謎。
 泊りの部屋は、ダブル870FFとお安くて結構なんだけど、その代わり、部屋自体はフツーの町のホテルと大差なし。

[へべ]
 フランスのレストランにただ憧れていた少女時代、いつか行きたいなぁと誦じていた店の名がトゥールダルジャンピラミッド、でした。増井和子さん(とおぼしき書き手)が暮しの手帖の「すてきなあなたに」に時折書いていたエピソードを何度も繰り返し読んではため息ついたものです。いやぁ、恥ずかしくも懐かしいなぁ。
 …そんな訳で、やっぱり私にとっても「聖地巡礼」なのでした。行ってきました。
 感想は、というと、うーん、日が悪かったのか(クリスマス)、何かの巡り合わせか、料理もワインもサービスも「??」だったのですが。夕方お散歩して高台までえっちらおっちら登って眺めたヴィエンヌの夜景の美しさ…あれはちょっと忘れられません。というのがあってよかったな、と。
 うーん。料理をいただいた後の肩すかし感は、グランヴェフールギィ・マルタンの料理食べた時とちょっと似ていなくもない。などと思うのでした。
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  ボタン Restaurant Sa.Qua.Na / Alexandre Bourdas  サカナ/ アレクサンドル・ブルダス
  
22 place Hamelin. 14600 Honfleur 02.31.89.40.80 www.alexandre-bourdas.com
ouvert tous les soirs du vendredi au mardi plus les dejeuners du weekend ; 冬季休暇あり
depuis2006 Chef: Alexandre Bourdas
・
 Michelin ○ /GaultMillau 15 (2007)
 Michelin ○ /GaultMillau 16 (2008)

 祝!、Michelin Guide Rouge France 2010で2つ星獲得!
 実のところ、フランス人としては内気で大人しいAlexには極めて可哀想なことだったのですが、フランスのギョーカイ中では2008.2009と続けて「Sa.Qua.Na、2つ星に昇格」という噂が、ほとんど確定情報のノリで流れていたのです。なまじ、そんな噂、無ければよかったのに!
 やっと2010版で、カムトゥルーしました。「料理は三ツ星!(ネジュラン時代の…)」と信じる我々としては快哉、Alexにも祝メールを打ったのですが、Alexからの返信は、やはり“実直”そのもの。カレのことは、ずっと、応援したい…との思いを新たにしました。

2007年12月 ☆☆☆

 tout en Coleur 2
 *les amuses:
  la pascade
  Une pascade Aveyronnaise a l'huile de trufe
  les praires
  Quelaues praires, epinards, bouillon d'amande & Kabossu
 *la langoustine
  Un kefir facon "Thai", langoustines roties & condiments d'ici & la
 *la saint-jacques
  Nois de Saint-Jacques croutee,
  creme de celeri, radis noir, estragon & huile d'olive "verre"
 *les ormeaux
  Ormeaux/Veau/Huitres...qui l'eut cru!!
  emulsion de beurre, pommes de terre & oseille
 *la sole
  direct...
  Sole/Yuzu & lime du Mexique/Persil
 *le foie gras
  Un foie gras de canard poele,
  bouillon de coques, feuilles de mache, jus mousse gingembre/soja/ail
 *la truffe Uncinatum
  Comme une soupe au fromage,
  foie gras, laitue, pain, jambon, laguiole & truffe
 *le pigeon
  La poitrine de pigeoneau roti,
  une pastilla d'epices & de sucre, feuilles de chou, jus & creme d'amandes/pistache
 *Le plateau de fromages
  notre selection de Fromages Normands & Aveyronnais
 *le safran
  Une crepe soufflee au safran, mousse de banana & ananas/passion
 *la truffe Melanosporum
  Une meringue caramelisee - Truffe
 *a grignoter:
  Un sorbet mandarine, chantilly a l'eau & congolais
  Guimauve au sesame grille - Feuille de cerisiers
 +03 Volnay Santenots du Milieu / C.Lafon

[↓メモ版:工事中]
[へべ]
曇り。voieが出るとやはり大慌ての仏人。premsのクセして「コンポステ忘れたわ」と車掌まで行くオバサン。

[AQ!]
 上流客層に唖然。現役初老の、異例なくらいのハイソ。アトリエ経営者と融資した銀行頭取、商工会議所会頭? 仕立てと生地の良いシャツ・ジャケット。ノーネクタイは、俺ともう一人?
 「好きなとこ座っていいよ」“サカナ”君の真下の席。ウチより先行が2卓。明るい。壁の蛍光系白色光がクールな特徴。
 Alexにカドー渡して握手。
 精緻な完成度、明らかな魅力と署名。完全に世界トップの一角。二つ星18点は目前だろう、実質はもっと上だ。
 驚きの素材の質。腹、軽い。
 全て趣向を凝らし尽した料理は、主素材への収束の、そのエッジの効いた立ち昇り方が凄い。見事。
 サイトの写真で拝見したノッポ君がニコヤカ。全体にもニコヤカで柔らかい。華やかで可愛いデルフィン(多分、人気の一方の輪)は、「Toyaに5回行ったよ」と言うと、「私覚えてる?」「勿論」「気付かなくてゴメンナサイ」などと。
 固焼パンケーキは圧倒的なトリュフの香りに包まれて。かなり甘くした“お菓子”なのだが、まったく嫌味なく、清く軽くウマい。パクパクっ。そういえば、へべはワカモレも食いまくり。  その間、“よく考えられた”((C)GM)ワインリストを拝見する。グィヨンかジャブレ、またはSudOuest…など思うも、最終頁“グランヴァン”を見ると03ラフォンが135ユーロ。これは新進レストランの価格としてはかなり頑張っている。間違いの少ないチョイスでサンシルベストルらしーじゃん…で決定。デルフィンがテーブルで抜栓。広口ワインボトル型のデカンタへ移す。
 エピナールはアモンドのブイヨンがかなりエキゾチック、浅蜊と一緒が面白い仕立てながら、ウン、とても美味なエピナール。
 ラングスティーヌは(Alexの好物の)ピビンパ丼にはったタイ風スープ仕立て。ケフィルの白がトムカーガイ(ところでトムカークンってあるのか?)風の見た目。エピスのタイ配合は(気持ち悪いほど)ピッタリ決まり、エキゾチック・パルフェ。見事に辛味抜きで(後味に毛ほどの辛さがあるのみ)成立させている。こんなん出来るのか。御本尊の素晴らしい質のラングスティーヌが、甘く味強く旨い。
 この料理は全体として“面白い仕立て”と見ることは出来るのだが、ラングスティーヌ側から洞察すると、海老身の甘味や旨味を引き出すために強く塩した場合の余剰感( これは往々にしてある)をケフィル・エピス・レギュームで吸収し引き締める…という構成になっていると感じられる。
 海産物の甘味・旨味・香りを取り出し嫌味・臭い・余剰を削る…という意味では次のサンジャックも同様で、恐ろしいような成功作。それにしても甘く身悶えるように魅力的な帆立を完璧に演出する舞台設計と照明。ルセット指定なのかは知らないが、ラディノワール(かな?)が一本切り…一本麺状態であった。細けぇ。
 鮑と牡蠣と仔牛の刺身仕立てというシュープリーズの陶酔! 仔牛はタルタル状…、日本では難しいなぁ、この仔牛が必要とあっては。小粒の鮑もたいへんオイシイ。いや、実に登場人物一人一人デギュステしたいくらいウマイのだけど、メリメロで食すと、魔味が現出する。クラクラと悦する。貝をアクサンにヴォーを食している気も、ヴォーのソース(フォンドヴォーでなく(笑))で貝を食している気も、するのが面白い。ウーン、たしかに、この辺り…ノルマンディーじゃないと出来ない料理かも。添えられた細切りジャガイモ揚げ(これだけでも大したテク)の献身も大きい。
 ソールにやられ! 完やられ! 参りました。ヤヴァイ。凄い。まさに地の素材、ソールの凄さ。バタ焼…になるのだが、ブラス家秘伝ともいうべきなのか、超透明澄ましバターのキュイソンの凄さ。柚子の、必然性・配置・具合の凄さ、これは一度、腕の立つ懐石のヒトと食べてみたいと思わずにいれない。ソール史上、…いや焼魚史上の傑作。
 フォアグラはペルセベとコラボ。貝汁に生姜醤油が仄かに香る。マーシュの緑が愛らしい。このペルセベは、細かな砂が取切れないタチのようで、そこは惜しいが、味は大変に良い。
 学名トリュフにはエマンスのフォアグラを合せて、皿の下部から掘り出されるレテュやらライオール(フロマージュ)が魅力一杯。焦がしパン粉まぶし…じゃないけどそのような類いの仕立て、Alexの得意のやつ。コレ、上手いんだよな。
 同じように言えるのは、ピジョノーに現れるエピス・シュクレ「板」で、これも素晴らしくよく出来た仕掛け。エピスをピジョンに振り掛けてロティすると“ぐじゃーぁ”とする所を、別添で用意するので、エピスの香りはフレッシュなままであり、板のクロカンと合せ、口内の楽しみとなる。登場人物と「キミは塩気、キミは甘み、キミは香り…」とシゴトを分担して行くのに長けています。
 フロマージュは、ライオール・カマンベール・リバロと取る。アミューズから引き続き、オーベルニュXノルマンディー作戦。隣の夫人はチーズはパス。
 デセールは「サフラン」と「トリュフ」で、プレザンタシオンはAlexとしては地味で実質本位。バナナ・アナナ・パッションとの対比で香り立つサフラン、2007の最後を締め括る香りの舞いを見せるトリュフ。
 パティシエ上がりとまでは言わないまでも若いうちにパティシエ主要職の長かったAlexの特徴か、精緻・正確・細密さは一種独特のもの。それでいて本人の性格の意外な大らかさ…というか長閑さを映してか、せせこましさがなくて存在感は大きい。
 洞爺で、2回目訪問から「あれ?」と思ったのだけど、ブラスのグランクラシック料理以外には、ブラス家の作風とは違う空気が漂っており、これはAlexの個性なのでは?という思いを強く抱いたのだが、更にそれを強固に確認することが出来た。
 Alexの料理って、どこか、ちょっと、“チャーミング”なんだよね。チャーミングさ…は、偉大さや感動に昇華するケースの少なそうな特性なのだが、Alexのは、偉大です。感動があります。
 チャーミングさ、ちょっと“可憐”。へべは洞爺から一貫して、Alexを、黄色い花に囲まれた花を食う牛、と呼ぶ。
 まだ訪仏2日目での大コースゆえ、3時間過ぎあたりから眠気が襲う。意味不明のお喋りを続けながら、瞬間気絶したりなど、す。
 結局、ジジババ2組に続く3組目として帰途につく。ルーシーに到着、時計を見るとjust24時。しまった、出際に時刻確認すればよかった。もう10分も居ればSQNで年越しでした。あの重々しい客たちも「ボナネ!」と乾杯するのだろうか。
 それにしても、すごい勢いで、寝る。

[へべ]
 ちょっと早いけど、もう入れるかな? ちらほらと卓についてる客も見え、いざ突入!
 (案の定)あやうく忘れていきかけた土産の壺屋焼のサカナ柄絵皿の箱を「シェフにプレゼント!」と渡すと、やさしいことに「自分で渡しますか?」的なことを。ずんずんずんと奥へ行ってアレックスにコンニチハとともにプレゼント。ついでに奥の席におちつく。
 手前が大サル、厨房寄りの奥が一段高くなった小サルで3卓ほど。カンロクの老夫婦2組、いずれもよい身なり…と思えば、あとからあとから来る客みな仕立てや布地のよい毛並みバツグンの客ばかり。
 トラマのところで見たアジャン社交界?みたいだね、などと言いつつ、さっそく良いお客がしっかりついていることを、ことほぐ。
 キッチン前の飾り棚のガラス鉢にゆったり泳ぐサカナ(大金魚)くん、を眺めつつ、20時から4時間近くゆったり楽しんだ。
 アレックスの料理はすごい。やっぱりすごい。火入れの精度、料理としての独創性、エピスやガルニや薬味のとり合わせ、塩・酸をはじめとする味の要素の立体的な配置とめりはりのきかせかた、、、おいしい。軽い。ほかにない。楽しい。
 多皿構成なのに、ひと皿がちまちましてない。精緻でこまやかなのにゆったりおおらかで、神経質じゃなくて、ユーモアとか茶目っ気が感じられる。
 魚の火入れは世界トップかと思うハイレベル。浅く、深く、ねっとりと、熱々に。
 アミューズは2日間とも、パンカード? こんがり甘い薄いパンケーキにトリュフオイルがよく香る。
 ライオールの付け根にSa.Qua.Naのロゴと店名。みぞ付き台座が使いやすい。
 タイの香り。コリアンドルの葉に、辛くなくて香るエピス。ヨーグルトベースで、2日目はノワドココのクリアなスープで。ピビンパ用の石鉢が大活躍(重そう)。
 ソールの旨いこと! こんがりとバターが甘くて清い。バタやヨーグルトや乳製品の使いこなしかた卸しかたは親方ブラスゆずり、ものすごく洗練されていて深い。結果、ふしぎに旨いのに軽く清い。
 ユズにすだちにメキシコライムにレモン。世界の酸や香りが完全に御されて料理にくみこまれている。悪目立ちはさせない。こんな生かしかたがあるのかと、目からウロコぼろぼろ。日本のシェフがくやしがりそうな展開と消化ぶり。
 いくらでも食べられそう。何日でも食べに来たい。
 フロマージュまで楽に入るくるしくない。(いっぱいでなかった?大丈夫?ときかれたけど)のどもかわかない。
 細いポワロ。ラディノワール。細ポテト。おどろいたのが1日目オーモーと仔牛とユイットルのクリュの一皿。仔牛が酸っぱい粗タルタルで細切ポテトが塩を担ってあれとこれとそれを一緒に。旨い!
 2晩目のトゥルボ→ソール→ドラド(→ヴォー)というコース構成もなんだかすごい。

[↑メモ版:工事中]

2008年 1月 ☆☆☆

 vert Olive
 *a se partager;
  souvenir de la Calmette,
  Une pascade Aveyronnaise a l'huile de trufe
 *le turbot
  Turbot poche au citron vert, feuilles de celeri & coriandre,
  un bouillon clair a la noix de coco et huile de Combava
 *la sole
  Un filet de sole poelee,
  creme de pomme de terre au fromage blanc, poireaux & Yuzu
 *la daurade
  Un filet de daurade etuvee,
  laitue braisee, emulsion de beurre & citron - ormeaux
 *le veau
  Un carre de veau roti,
  navets et feuilles de maches, le jus lie au celeri rave - echalotes
 *Le plateau de fromages
  notre selection de Fromages Normands & Aveyronnais
 *le potimarron
  Le Cappuccino "automne-hiver" de potimarron glace,
  cacao/noisettes & chantilly aux chataignes grillees
 *la truffe Melanosporum
  Une nougatine au beurre & cacao,
  chocolat blanc & truffe "Melanosporum", pate dechataignes grillees
 +04 Marcillac VV / Domaine du Cros

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 欧米人は海岸沿いを、そぞろ歩き競争する。
 対岸は興醒めするほどインダストリアルシティである所のル・アーブル。
 15年モノと1978のカルバドスを試飲。元旦はケッコーやってた店々は2日は閉まり、淋しい。2日からの正月休みってのが多いのか。意外にポコポコ、変わらず営業は「ギャラリー」群。

[へべ]
 私有地 従業員専用

[AQ!]
 ウチらだけ、デセールトリュフは、別スタイル。
 今日は客層もヴァリエに富み、ノーネクタイも沢山。ううむ、恰好が昨日と逆順じゃん、ワシ。
「いつか京都か東京で店やりたいと思う」ってホントかよ、Alex。「日本のファン、ぼーくー、が来たがってるよオンフルール」と言ったら、「ほんと? みんな、SQNを開いたって、知っててくれてるかい?」
 それにしても、タイランデーズの中核をピックアップする精度に驚く。唐辛子と魚醤をマイナスしたような形なのだが、欠如感が無い。それに、今日の一品も、主役のトゥルボを引き立てる舞台になっているのね。今日のもピビンパ丼だが。
 スープはメートルが注ぎ回す形式。すぐ隣は父母娘の3人で、不思議そうな顔でタイ風スープをすする。おとーさん、嬉しそうな顔してることが多くてこちらも嬉し。
 4皿を1.トゥルボ 2.ソール 3.ドラド 4.ヴォーで構成すんだから凄い。ハナれ技。Alex以外のフランス人じゃ空中分解じゃー、って気がする。
 ソールはクレームっぽくからめて、細く可愛い目のポワロとのコラボ。ポワロの甘さがたまらない。コレはアレです、かつてのランブロワジーのユイットル・ポワロを思い出しましたな。
 ドラドのエテュベ、は、この打順でいいのか?とおもったら、このドラドが、魚の香りを最も強く鋭角的に引き立てられていて、なるほど、コノ位置か。
 ヴォーは、煮ナヴェと生(?)エシャロットがいいコンビ、“ラッキョウか”、マーシュが映える。いいヴォー、噛んで肉旨し。
 マルシアックは「Alexの地元の酒よ」リコメンド。
 へべの後ろは画廊経営夫妻(?)風で、二人ともスンゴイお洒落な服。デルフィヌを捕まえるとスゲー勢いで話し込む。シャベリー。AQ!後ろはポロシャツ風おっさん夫妻、この翌日に帰途のBus Vertsで乗り合わせた。この人らも、パリ辺りから食うためだけに来たのだろうか?
 これだけ細かく多彩多様型の料理でありながら、時として卓上の感想が「ランブロワジーみたい?」…となるのは、偉いこっちゃ。
 プレザンタシオンでは、ガラス皿をまったく使ってないのは、イマドキそーとー珍しく、多分、意図的。これもイマドキ多用される大面積系の皿も殆ど無くて、キュリッと集中的に凝集的に見せる皿・器が多い。京懐石でいう“つんもり”って感じに近い。そういえばテーブルサイズも抑え目で、きっと仏人には「Zenだ」というと深く納得するであろう。
 クトーは完全に使い回しで、ブラスのと同じメーカーにSQN名が彫り入れられている。これを木の支持台に置く。この台はよく出来てて、「ブラスより使い易い」とへべに評判。
 カトラリーなど配膳にはちょっと流行中の木の四角盆、ここでは黒色。
 釣り好きなAlexの魚への愛情、Rodez出身Alexのブーレ・フロマージュ・クレーム・ヤウールなど乳製品への理解の広さと深さ、そこに現出する世界である。
 モンティパイソンっぽいノッポさんが最も愛想良くニコヤカ、鬚眼鏡のイケメンは寡黙。
[↑メモ版:工事中]
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  ボタン La Table du Gourmet / Jean Luc Brendel  ターブル・デュ・グルメ / ジャン・リュック・ブランデル
  
5 rue de la 1re-Armee 68340 RIQUEWIHR  03 89 49 09 09 (Fax 03 89 49 04 56 ) www.jlbrendel.com/
ferme vacance de jan., merc. a dej., jeudi a dej. et mardi (avril-mi-nov.), mardi et merc. (h.s.)
Chef: Jean Luc Brendel
・
Michelin ○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2002)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2009)

TGOU1 [↓メモ版:工事中]
2002年12月 ☆☆☆

 *干大根、干柿、干林檎のペロペロキャンディー風
 [ L'envolee des Saveurs ]
 *Mises en Bouche en 3 services
  プレスコプフとケパー、人参天クレーム、甲殻ジュレ・キャビアにカレークレーム
 *St jacques grillees piquees de Pommes acides de mon verger,
  La Peau au Beurre sale, le jus des Pommes a boire, et des Noii
 *Un Nuage de Choux Fleur au Caviar de Hareng accompagne de Naan
 *Vapeur de Bar de Ligne, Gouttes d'Huile d'Argan , Supions, Citron confit au Sel et Poireaux
 *Rouget Barbet Petit Bateau, juste raidi , Baekeoffa aux Chataignes et Legumes Anciens le Jus au Raz El Hanout
 *Langoustines au Jambon cru de Cerda , Lamelles d'Helianti, Lait Mousseux aux Truffe a boire
 *Diamant Noir en raviole ouverte au Foie Gras
 *Faon de Daim aux Epices chaudes et Epines Vinettes , Choux, Raisin, Champignons sautes au Wok, un Gros Spaetzle souffle au Beurre sale
 *Degustation de fromages Fermiers , accommodes d'Herbes, d'Huile de Toscane et Epices
 *Petit Mezze de Desserts d'hiver ( 3 assiettes )
  マロングラッセ
  ジャックフルーツの刺さった薔薇ソースのグラス、レユニオン島のライチ
  クレモンティーヌのパピヨンのブラマンジェ、ココの細切り添え
 *ミニャルディーズ
  焼きエピス、ショコラクレームにテのゼリ、筒入りオリーブのクレーム
 +95Chateauneuf du Pape Hommage a Jacqes Perrin / Beaucastel

[へべ]
 Jean-Lucの料理。正確で精妙で面白くて、それが皆"旨さ"のためにある。ブラボー! アート野郎な内装もグッとくる。サービスの親密さもいい感じ。大好きな店。サイトで予感はあったけど、こんなに(本当に)いいとは思わなかった。(失礼)

 予想はしてたけど、Jean-Luc本人、ヘンな人で嬉しかったなー。半袖コックコートの料理オタク、ってな印象。冴えた料理は、あれこれ炸裂しつつも完成度が高くて、想像をはるかに上回る素晴らしさ。帆立に林檎ジュース、の皿には脱帽。

●リクヴィル。テーマパークのような小さな観光町。水が買える店は2軒だけ。
●夕方の散歩でTable du Gourmetの下見に。街並に似合う小ぎれいな細工の看板と、ガラス窓から見える真っ赤な店内のギャップにたじたじ。卓上のカボチャ(飾り)や入口のノエル装飾に「大丈夫か、オイ」感やや強まるが…?
●床を上げてあるのか、頭にぶつかりそうな高さにハリが走る店内を「ここ気をつけてね」と注意を受けつつ、ずずいと奥へ。ゲルマン人はアウト、ぼくたちはセーフ。
●真赤に塗られた漆喰の壁、を、黒々とひきしめる焦茶のハリ。黒い(鋳鉄風だけどそうではない)壁照明と並んで、ずらりと石を埋め込んでみたり。壁には、お似合いのアブストラクト。卓上には水用の赤いグラスと真紅の薔薇、そしてカボチャが。
●Jean-Lucの料理は、旨くてエキサイティング。意志的にきっちり計算された火入れと塩づかいを感じる。魚も肉も、そして野菜も火入れはすべて精妙そのもの。ルジェの皮のパリパリ感、Barの吸い付くようなしっとりとした身、ガルニのポワロのやわらかな甘さやタケノコみたいな灰色野菜のシャクシャク感、仔鹿の完璧な食感。帆立にはリンゴの皮と身とクルミを合わせ、ソースの代わりにグラスのリンゴジュースを飲むという仕様。熱々のリンゴジュースのフレッシュな酸に出会って、帆立の味の、こっくりとした深いところが、巧みに引き出されてくる。
●皿が来るとプーンとカレーのいいにおい。オリエンタルなスパイスが好き。らしく、要所に小粋に使用。甲殻ジュレ(すごく凝縮)にダイコン細切り、上に添えたクリームにはカレー粉(系スパイス)をパラリ。尻尾を舳先に見たてたルジェの小舟の下は、"ベッカオッファ"と名乗りつつ、まるでタジンから出てきたような、すっかりモロッコ風のスパイシーな根菜のとろとろ煮ふくめたもの。
●サービス陣は皆、女性で、これはフランスでは珍しいかも。ネクタイのかわい子ちゃんをずらりとそろえたラルンスブールに続いてこの店、とあって、「制服のかわいこちゃんヲタの人はアルザス必訪!」などとくだらなくも盛り上がる当家であった。La Table du Gourmetは皆黒服ながら、ミニのお嬢さんたち(フロマージュの説明、など修業中)、ロングタイトの金髪姉さん、パンタロンのヴァレリー、眼鏡のフレームがトンがってるマダム、と装いはそれぞれ違うところも、この店らしい。
●カウンターの上には鉄瓶がずらり。アンフュージョンを頼んだら、案の定これで出てきた。
●仔鹿Faon de Daim、マダムは「バンビだよ〜ん」と説明してくれた。この肉がすこぶる美味だった。やわらかい、でも肉のセンイの感じられる、ジューシーな、こんがりした…「赤身の肉の旨いの」の理想をすごくピュアな形で皿にのせた、みたいな。栗とレザン(?赤い)とキャベツと茸を添える。これがまたいい。Spaetzleもここのはsouffle! 中空みたいになってて表面に焼き目をつけた軽い仕立てのを1ヶ添えてあるのがオシャレ。
●軽い、で思い出したのが、カリフラワーのクレームに添えられてきたナン。手のひらサイズの小さなナンは表側がこんがり、裏面が白くてふっくりしていて、こんがり面にチラホラ塩の花の粒が光る。これをブリニ代わりに、カリフラワーの甘さがやさしい白いクレームと黒いニシンのキャビアをいただく趣向。実に小粋。
●Jean-Lucのトリュフはよく香っていた。丸くて薄いギョーザの皮様の円盤2枚、その間にこんがり焼いた小さなフォアグラをはさんだ"ラビオリouvert"の上に、断面の大理石模様も艶めかしいトリュフを数枚。そこにトリュフのソースがたっぷりと。温度なのかトリュフの質なのかジュやオイルとの合わせ技のなせるものか、…とびきりの香りにうっとり。

[AQ!]
 料理との出会いの感動って何だろう。考えると不思議になるのだが、このアルザスはリクヴィールの村にあるTGでJLBが作り出す皿は、ワシらの心を揺さぶってやまない。
 この日は、年末の、パリに戻る日の一日前の日曜。当初の腹づもりは、マーレンハイムなる2つ星18点Le Cerfであった。土曜のLembach " Cheval Blanc "が取れていたので、
「おお、馬から鹿か。何と馬鹿馬鹿しくもめでたきことよ(ワシら向き)」
と喜んでいたのはよいが、Cerfから返ってきたFAXは無情にも
「今年はその日から冬休みなんだよ〜ん」
との由を告げた。
 さて、困った。1日早くパリに戻っても良いのだが、日曜のパリでは寂しい(御存じの通り、お店は軒並みお休み)。アルザス乃至は帰途途中にどっか無いかと、ミシュランゴーミヨひっくり返して鳩首捜索会議。
 クリスマス〜新年休み中の日曜で、なかなか難しい。そんな中で浮かんでくる候補は、どれもまぁまぁって感じで大した情報がなく、決め手に欠ける…んだよなぁ。
 情報といえばネット…というわけで、店名を片っ端からググって眺めている中でみつけたのが、このTGのサイト。
 お、お、お、何やこりゃ。妙にエキセントリックでイカレポンチ風の、だがクールでイカしたページである。よく見ると、シェフだという男が写っているのだが、変な眼鏡をかけてる目がトンでいる。サイコというかヲタというか…、が、入ってるよな、コイツ。
 このページ発見により、我が家では人気沸騰のTGに、勿論すぐにFAXを出す。10日ばかりして「イヤー、待たせてスマナカタなー」って調子でe-mailで返信が来た。予約をGet!
 サイトの、そして実際の店内内装の基調色は、赤である。真っ赤に塗り潰した其処に、黒でザックリと線を引く。赤と黒。ところどころに白い丸を置き、その中に白緑色でOxalisを描く。
 ちょっとレストラン離れした色彩感覚である。ワシには極めてクールで格好良く映るが、嫌いな人も少なくはないだろう(^^;)。
 店内のフロア陣は、珍しいことに全員が女性。若い娘たちが(LAほど美少女美少女してないけど)赤い床の上を滑って行く様は、ほとんど「サスペリア」の世界である。サイトではヴィスコンティじみた虚仮威しも多用されてるしね、おどろ面白い。
 こんなエキセントリックなカレであるが、サイトに上がった料理写真を見ると、ガルグイユもどきやブラス風のクーランがあったり、はたまた「自然と創造」方向の作品が見られたりして、期待が持てる。
 実のところ、旅行出発前には当家一番の「楽しみ」の店になっていたのだが、この“楽しみ”と言う所の含意は、眉唾混じりの半信半疑、博打的な意味合いの、ハズしたらハズしたでオモロイやんか、という類いの物であった。
 ところがぎっちょん、いきなり話は結論に飛ぶが、TGで出会った現実は、その広〜い想像範囲のmaxか或いはそれ以上を行く大ホームラン。大ビックリ仰天でありました。
 アルザスワイン街道中の人気スポット、リクヴィールは、中世風の落ち着いてこぢんまりとした造りの町の中にワイン生産者が試飲ショップを並べる小さな集落。…というと素敵だが、次から次へと観光バスが乗り付け、名物ヴァンショーを片手に観光客が土産物屋の軒先を流して行くのが喧しい町、とも言える。
 観光タウンゆえ、日曜でもほとんどの店が開いているのが、賑やかで嬉しい。その町の只中にTGは構えている。外壁は水色で、そこに古風な看板がかかる。中を覗くと、真っ赤なサル。
 この店、本当はやっぱり、町を出て、日照の悪い山の斜面にでも(日照の良い斜面はみな葡萄畑である)好き勝手な館を建てて営めば、まことに「らしい」のではなかろうか、とは思われる。
 ボンソワ。
 赤と黒の館の奥深くに招き入れられる。サルの奥半分は天井が低く、特に黒くゴツい梁が張り出している所だと、170cmくらいしかない。ボクらはOKだけど、ゲルマン系は大仰に身を縮めて歩を進めていた。着席した横の壁からはヌッと石が生えている。イケてる怪しい絵画。
 この時期らしく、店の入口にはクリスマスツリー、店内BGMはクリスマスソング…、とこの辺りは俗っぽい。聖俗入り乱れるとゆーか、こだわりと非こだわりがマダラになってるのが微妙にヲタ的。
 予習の成果で、御注文はムニュデギスタシオン風の「ムニュランヴォレ」にほぼ決めていたので、カルトは余裕をもって“見物”。「根菜と冬ハーブ」なんて前菜は、「らしくて美味そう」。アルザス伝統料理に触発された皿にはコウノトリ(アルザスの象徴)が付されている。
 リクヴィールにての食事とあって、ワインは当地モノかなぁ、と思っていたが、カルトドヴァンを眺めていると悩ましくなる。アルザス全体の傾向のようだが、ローヌのちょい古めのコレクションに魅力あり(ブルゴーニュは若く、ボルドーは店に依る…かな)。
 93ムーリーヌで300Eちょい、70-80年代のジャブレシャペルが200E弱、80年代のシャーヴ・ボーカステルが83くらいまで200E弱、と「お、これもいいじゃん」クラスが並ぶ。
 その中に95のオマージュを発見。「オマージュがありましたよ、おかーさん」。結局、これに決着した。
 たしかに若いと思うが、今晩は10皿を超える長丁場なので良いのではないか。また、ボーカステルのノーマルのパプより、オマージュは若い内から特徴を発揮するような気がする。
 メートル・ソムリエ役を勤めるのはマダム。「ブレインストーム」に出て来そうなキリッとした立居振舞いで、フロアを統括する。ブランデル夫人なのだとばかり、この時は思ったのだが、ゴーミヨによると姉妹であるらしい。
 ワイン番としてかなり気合いが入っていて、オマージュを頼むと「オ、ソーキタカ」と厳かに頷き、ボトルを掲げて現れて「こちらはデカンタせずに瓶からサービスして行きたいと思う」と静かに宣言。ワシらも、望む所である。
 テイスティングは、卓上で少量注ぐと、マダムがグラスをグルグル回し、それからこちらへ差し出してくるタイプ。信じられないような荘重なアロマ、神々しい深い味わいは最初の一口から押し寄せてくる。
 思わず(作戦ではなく)胸に手をあてて感服の長嘆息…してしまったのだが、それを見ていたマダム、「あ〜、うんうん、わかったわ。アナタたちにはコレを飲まれてしまってもしょうがないわねホーホホホ」…ってな具合の柔らかい表情に変じた(…と思う)。
 アミューズ。ケイパーが引き締めるプレスコプフは、「ああ、これが本当のプレスコプフだったか!」という説得力の旨さ。甲殻ジュレが大変よくとれていて美味なのに加え、カレー風味を利かしたクレームと共に行くと思わず唸る。
 人参天も良いのだが、揚がり具合は油切れがもう一つという所か。しかし、この時には、これが一晩を通しても「指摘できる唯一のミス」であろうとは思わなんだ。続く皿から皿、完成度高いのよ、コチラ。
 柿(「アナタたちは日本人だから知ってるわよね、カキよカキ」とマダム)と黒大根と林檎の超々薄焼(1mmにも満たない)をつまむ。この薄さにして、溢れる程の大根の香り、林檎の酸、干し柿のエッセンス、を純化したような味わいである。ホームランをかっ飛ばす店には、決まって「なんで、こんなモノがこんなに旨いの?」ってのがあるが、これもそうかも。
 帆立は料理名を読んだ時から「これは良いでしょ」と思っていたが、本当にイイ。帆立の坊っちゃん臭いダラシ無さを林檎でキリッと締めながら、ノワがコクの部分で共鳴して深みを出す。ジュドポムが筒に入って、「これは間の手で飲む」というスタイルで供される。普通は本体にかげてしまうのを、ハッキリ分離し、時間差をつけた。それにより、帆立の印象が鮮明になる。この手法は、帆立独特の曖昧さに対する解答になっていて、ワシも日頃の帆立感がソレやから嬉しい。奇しくも、料理はまったく違いながら、ラルンスブールのJGKも、「帆立の皿ではソース別添」で供していて、この点はとても興味深かった。
 そういえば、「キャビアabecシューフルール」ってのもJGKと一緒だな。JLBは、90Eのムニュゆえ、キャビアはHareng、ワシ的にはこれでもOK。シューフルールのクレームと共に酢漬けシューフルールを一片添えたのが巧み。“ナン”が付いてくるが、焼香りの素晴らしいナンだった。
 バールは素晴らしい料理で、個人的に殿堂入り。ちょっとウルウルきた。ジャガイモ薄片とシトロンコンフィとポワロの上に蒸されたバール(見事な火入れ!)、イカゲソとマテ貝殻にイカの細切り。過剰盛込み系に見えて、凄い統率力は、シトロンの酸味とアルガンオイルの相乗効果か。この皿に限らず、JLBは酸が上手で美しい。
 ルジェはRaz El Hanoutが働き、中東色の強い甘くエキゾチックな仕立て。栗と根菜類をワインで長時間煮込みした…のが“ベッカオッファ”見立てで、その上にルジェの焼いたんを乗せる。ルジェの尻尾がピンと残されているのが珍しい。ま、日本人やし、先端の少し焦げたルジェ尻尾まで食ってみたら、旨かった。メゴチの天麩羅…とか、そんな感じ。この皿全体は「うめぇうめぇ」ですぐなくなるタイプ。
 フォアグラトリュフのラビオリはオーソドックスで、「価格内」の素材の質だが、トリュフの香り出しが“上手”。
 ここまで来ても、胃袋はガオ〜〜ッ!!と言っている。それだけ精妙で、レジェールだ。
 仔鹿(「バンビよ〜ん」はマダムの説明)はシットリとしながら肉汁に溢れ、肉質・調理ともに見事である。いやー旨い。タオヤカ系の鹿としては屈指の出来で、レジスマルコンの鹿を思い出したが、今日のは更に季節の分、味が乗っている。シュー、レザン、茸、栗をWokで香ばしく炒めたガルニがまた良い。コンガリとしたシューのいい匂い。
 「連日の連戦」の時には我が家はフロマージュは抜く戦法だが、JLBの魔法で、今日はいただく(決して軽いムニュではないのだが)。フロマージュシャリオは娘2人組で、指導教官モードが堀ちえみを思い出させる。
 マロングラッセの極上の軽さ、ライチ・薔薇・ジャックフルーツの奏でるエキゾチック、開いたクレモンティーヌの蝶々見立てが可愛いブランマンジェ。
 更にミニャルディーズではブラス風ショコラクレームにテのジュレをかぶせる工夫で…。んで、アンフュージョンは南部鉄瓶でサービスされ…。
 …とか言っている所に御大登場。厨房が忙しいのだろう、途中では出て来ないのだが、もうどの卓も終了…というか、残っているのは遠来のワシらと後は常連らしき卓ということでサルに現れたのかな。
 このオッサン、イカれたコックコートでアートにクールに決めてんのか?…と思いきや、現れてみるとごくごくラフなお姿で、しかも半袖。いい加減太ってるし、南の島でバカンス中の床屋のオヤジみたいだ。
 精一杯のエールを申し伝えるが、相変わらず、「オイチイ!スゴイ!アナタワアルザスノカガヤケルホチデチュ」程度にしか伝わらんだろうな…トホホ。JLBは「ジャポンでしょ〜、俺は日本に凄く関心があって好きなんだよ。ホラ、その鉄瓶もな!」と笑ってました。
 カレがなぁ、新奇なアイディアを活かした面白い料理を作るんじゃないだろうか?…とは思ってましたよ。それはその通りなんだけど、この抜かりのない高度な精緻な技術と、この抜かりのない過たぬ美味を決める舌の持ち主であるとは!
 やはり、人間って面白深い、なぁ。
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  ボタン Stephane Derbord (旧Thibert) ティベール
  
10 pl. Wilson Dijon 21000 COTE-D'OR 03 80 67 74 64 (Fax 03 80 63 87 72) 
ferme vacance, lundi midi,mardi midi et dim

・ Dijonのミシュラン1つ星 (2001)
何やら経営変更か? (2002)

Michelin ○/GaultMillau 17 (1990)
Michelin ○/GaultMillau 17 (2001)
Michelin ○/GaultMillau 15 (2004)
Michelin ○/GaultMillau 15 (2005)

 ありゃりゃ、ミシュランやゴーミヨのサイトに記述がみつからないような…。何かあったかもしれません。 (2002)
 …とか言ってないでちょっと検索かけてみっか、と思ったら、あらまどうやら「店名変更」ですな。代替わりか経営変更か。ゴーミヨのサイト辺りに詳しく書いてあるみたいだけど…御興味あらばそちらをどうぞ(^^;)。 (2002)

 上記の「Stephane Derbord」への経営変更の件ですが、メールで詳しく教えていただきました。Y.Kさん、どうもありがとうございます。以下です。

チベールは2001年の(確か)夏に「出張シェフ」として新たなスタートを切りました。
「あなたのご自宅で食材選びから始めてパーティー料理を作ります」
というコンセプトです。でも、実際に呼んだ人の評判を聞いたことがないの彼がどうやって生計を立てているのか心配ですね。

デルボーはモルバンの小さな町で評判のレストランを開いていた人です。
まだ30代半ばのはず。
チベールが店をたたんだのでディジョンに進出しました。
店の内装は壁紙やソファーのカバーくらいは変わりましたがそれ以外はあまり手を加えていません。
私はあまりミシュラン等をマメに買わないので知らなかったのですが、もう1つ星を取っているのですか?
前の店では星が付いていませんでした。

チベールはディジョン近郊では最高と言われていましたが、私は好きではありませんでした。
いつ行っても塩が効きすぎ、肉は焼きすぎ。
新しいデルボーはアミューズやガルニに出てくる揚げ物は油が悪くていただけないものの、コストパフォーマンスではチベールより上だと思っています。
ワインリストも昔は若い物ばかりでしたけど、最近は選択肢が出来ました。

ちなみにチベールのパン。
私も好きだったのですが、あれは業者から買った冷凍モノです。

「アンタのところのパンって美味しいわね〜。お替りしちゃった♪」
「あ、そう。あんなの業務用の冷凍だよ」
「がちょ〜ん」

 ボクらもモニターの前で「がちょ〜ん」。ワハハタハハ…。だってパン美味しかったんだよ〜ん。
 面白いものです。客なんてこんなもの、っつか、レストランなんてこんなもの、っつか。(^^;)
 Y.Kさんには他にも色々教わりました。感謝。
 上のような次第なので、容れ物は引き継いだものの、閉店&新店開店という方が真相に近いようですが、ま面倒くさいし、とりあえず項目はこのままということで…。

Michelin ○/GaultMillau 15 (2002)

2000年12月 ☆

 *アニョードレのエマンス、茄子とオリーブのピュレ
 *ロニョンドラパン、芋のピュレ
 *茸の泡立てスープ、クネル
 *揚げアーティショーとトリュフのサラダ
 *エスカルゴのシューヴェール包みトリュフ添えパセリソース
 *ク・ド・ラングスティーヌのアネットフリット・野菜添え
 *コションとアニョードレのテ・フュメのソース、アーティショー添えパプリカかけ
 *カフェのタルト、グラス・ド・シコレ添え
 *ショコラのタルト、ナッツ・バナナ煮添え
 +88 Chambolle-Musigny Les Amoureuses / G.Roumier

JPT1 [AQ!]
 パンとプチフール、素晴しい。この街のパンは只者でない…(何か其処此処で見かけるパンが美味しそうなの)。
 さて、皿をはじめ、あちこちに「JPT」をあしらったロゴが目立つ。ジャン・ポール・ティベールさんの店。
 「街全体がワイン成金なのか??」という疑問も湧くDijonは、何処まで歩いてもキラキラのピカッピカで、「Ici,Tokyo?」って気もする。で、Pl.Wilsonのでっかい噴水も金がかかってそうだ。その広場に面した白くさりげない建物が上品なティベール。サーモンピンクの内装も「街中の高級レストランのスタンダード」って風情で冷静。マダムの案内も慌てず騒がず、丁度良い温度。お洒落で品良く、しかし肩肘張らず。「フネートルんとこでい〜い?」と通された席からは、窓外に笹やらちょっとした草花やらが見える。
 最初のアミューズはアニョードレだと言い、茄子ピュレに乗っている。旨い。作る方と食う方の「やる気」がコミュニケート出来るアミューズのラインナップ。茸臭さが嬉しい茸スープ、浮き実のクネルは安っぽいけど。前菜はトリュフを使ったもの。前日までの贅沢攻勢が災いしてか、香らないこと香らないこと…(と感じられるわけね)。値段からすると仕方ない。グリーンソースにシュー包みで置かれた見た目の可愛いエスカルゴは味わいがある。後日知ったのだが、この緑色に可愛らしく仕上がったエスカルゴ包みが御自慢のスペシャリテのようである。 JPT2 揚げアーティショーとトリュフを混ぜた上にふんだんに緑を積み上げたサラダは味の一体感があって旨く、調理と素材のグレードをさらに一段引き上げれば相当に「かなりな」物になろう。ク・ド・ラングスティーヌは芯がクリュな見事な火入れ。3mmくらいの微小サイコロ切り野菜を敷き、アネットフリットがアクセントを作る、良い料理。コション+アニョードレもオーソドックスに旨い。「テ・フュメのソース」というのが目を引くが、ソースの引き締め役程度と思われ、お茶臭い、ということは良くも悪くも、無い。熱々でトロトロのタルト+添え物、というデセールも上出来。
 全体に、工夫があって軽くリズミカル、あまりアレコレうるさいことを言わない料理で、店の作りによく合っている。
 んだけんど、食べ切ったら矢鱈と腹一杯な夜であった。アミューズ3品も効いてるけど、それより、連夜の豪華ラインナップがここに来て少し溜まってきた頃合ですかのぉ。

[へべ]
 お金持ち都市(かどうか知らないけど街を歩くとそうとしか思えない)ディジョンの誇る上品なレストラン。店も料理も目に入るお客さんも、なんか「気分のいい」感じの店でした。それにしてもパンが旨かった。街のパン屋も一目惚れしてしまいそうなパンがずらりと並んでて。「bio」と書かれたオーガニックフードのショップも多くて、入ってみたら結構楽しかったし。
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  ボタン Troigros  トロワグロ
  
pl. Gare Roanne 42300 LOIRE 04 77 71 66 97 (Fax 04 77 70 39 77) www.troisgros.fr
ferme 1er au 16 aout, vacances de fev, mardi et merc
depuis1930 Chef: Jean-Baptiste Troigros 〜 Jean Troigros 〜 Pierre Troigros 〜 Michel Troigros
・  
ミシュラン3つ星獲得は1968年。
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2009)

TR1 2000年12月 ☆☆

 *L'amuse-bouche:soupe de Topinambou
 *Melba de coquilles Saint Jacques aux langues d'oursins
 *Charlotte de cuisses de grenouilles,ecrevisses a la truffe fraiche
 *Bar de ligne a l'endive epicee,sucree-salee
 *Effilochade de lievre a la Royale,coings,marrons et pommes
 *Les fromages frais et affines
 *L'Arbre de Noel
 *Buches,cremes glacees,sorbets et panache de fruits
 *Fines bouches
 +90 Vosne-Romanee / H.Jayer

[AQ!]
 ロアンヌの駅前、名門中の名門。

 アミューズはトピナンブーで温かいヴィシソワースみたいなスープ、浮き実にパイナップルを使っていて面白い。

 上質な調理・素材で間違いのない皿が並ぶ。これぞ良き3つ星の典型、って感じ。その皿たちの頂点の部分に、驚きと感動の輝きを見ることは、余り無かった。とは言える。安定と安心による満足を十分に供するのだが、我々のような「料理による感動ハンター」にとっては、そこはもの足りない。それが幸福なノエル(…なんですよ、クリスマスに寄りました)の時間を殺ぐものではないけれど。

TR2  セルヴールの、とくにベテラン陣の優雅な捌きが気持ち良い。メートルの長身の紳士はビッとしていて、下手に英語(さらには日本語)を使ったりしないのがいいんだろうな。フランス語をゆっくりと喋るとか、言葉が通じなくても通じる、とか、そーゆー所への落し込みが巧み。そんな人が仕切っているフロアは空気がゆったりとする。若手は「3つ星で頑張るだー」と気負い過多か、「慇懃、な子もいるねー」とへべの弁。

 蛙とザリガニの皿は現在スペシャリテのような扱いとなっているようだ。トン、と置かれた皿からトリュフの香りが噴出。強烈な香りにhappy。シャルロット型の蛙のムースの回りが真っ黒に近くトリュフで固められている。噛むほどに味が出るような、蛙とザリガニの「質」の高さがワンダフル。

 まぁ大体、予期していたことだが、サルの見渡す限りの半数くらいは、我が同胞ジャポネ。Lyon->Roanneの鈍行列車の相客も、勿論皆さん、こちらに集結。だが、サルの構成なのか、レストランに慣れた客が多いのか、あまり「日本人観光客色」は漂わない。ホッ。そういえば、諸氏、注文は結構アラカルトだったみたい。おかげで(?)、ウチは悠々と、なかなかバランスの良いムニュデギュスタシオン風の「ムニュ・ド・ノエル」を頼めた(…というのは、あんまりにも「皆が皆クリスマスメニュー」だったりすると、頼みにくいもんね)。4人組の現地滞在員風が人数に物を言わせてでっかいコルヴェール(かな…)を1羽焼かせてたりして、壮観。

 魚はバールで、良い焼き具合。アンディーヴを添えて、フルーツの甘いソース。かなり甘い。トワグロ家は料理写真を見てても、フルーツソース好きは家風なのかな?
TR3
 厨房全体が中庭から眺め回せる作りは嬉しく、ピカピカ厨房のキビキビ戦士たちが見事。それにしても、広い!
 クリスマスらしく(?)なのか、ヴァイオリン楽士2名が雇われており演奏し続けの大サービス。レスパドンの「1晩3ステージ」みたいのと違って、この2名は休みなし。偉いな。
 ミシェル・トワグロは、アミューズの後ぐらいの時期に客席を回る。「パルレ・ヴ・フランセ?」「アンプ」。…はいいけどよぉ、コレコレが旨かっただのヘチマだの、という話題が主眼の我が家は、こんな時点で出現されても困るんだな〜。トホホ。料理まだ食ってねーぞ。「トピナンブーって美味しいよね」って言ってみても(みたが)、何か間抜け。

 メインのプラはお目当てのリエーヴルの煮込み。全部が全部、キッチリと煮込まれているわけではなく、したたるような濃ゆいピンクを浮かべた背肉の切り身は、煮込みの上に乗せられている。まったくもって旨いこと!

 デセールにはクリスマスツリーが立っていた。

 え〜と後はですね、宿泊施設の方、ホテルが付随してまして、このホテルの部屋がファンシーだ何だと巷間、趣味が割れるような話を聞いていたんですが、全っ然、「障子もどき」の日本風まで組み込んだフランス人の好きな前衛趣味ながら何とも品良くまとまってて、ワシらはとっても好きでありました。

[ヘベ]
 ロアンヌ駅前とは聞いていたが、ほんとに駅前の旅篭、というたたずまいだったのには驚いた。しかし建物の中はモダンで洗練されている。泊った部屋もすっきりしたモダン系で「やるなぁ」感あり。中庭に出ると大きなガラス窓越しに厨房が見えるのが楽しかった。
 上質で安定感のある料理、落ち着きと余裕の感じられるサービス、堂々の三ツ星で全体としては予想の延長線上ながら予想を上回る好印象。ウチが夢中になる、というタイプの料理ではないけれど…でもあのリエーヴルは旨かったなぁ。一番残念だったのはミシェル・トワグロが食前(というか開始直後)に巡回してきたことでしょうか。

[AQ!]
 うんうん、そうだね〜、今回の訪問についてはハナマルの大満足。だけど、「も一回行く?」と聞かれたら、mogomogomogo...。そんなタイプかしらん。
 ホテルの部屋の方は「割と最近の改装」と何かにあったような気がする。
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