2003年 3月
*コックムイエ、人参ピュレ
*3つのスプーン:
玉子マスタードと青豆、フォワグラピュレ柑橘、カリフラワーとフロマージュ、ナッツ
*Le Gargouillou autour de l'hiver; feuilles, racine et fruits
" Evasion & Terre "
*comme une creme a boire; une soupe mousseuse de pain & anchois, croutes de tomme d'Aubrac, caille de vache, capres, gomasio...
(チーズ薄焼香草フロマージュサンドと野菜出汁牛乳アンショワボワ)
*Sur des jyagaimo au bouillon, le filet de 黒鰈 poele, serori et poivre noir
(黒鰈ポワレ、ジャガイモダイス、赤い線、コショウ)
*Le Foie gras de canard poele, purees de betterave et de pommes, le jus des peaux et des pepins, des miettes d'oeuf durs et pain pour assaisonner
(フォワグラ、ビーツの薄切りとピュレ、林檎)
*Le poitrine de pigeon de Bresse rotie; eclats de yurine et feuille de ta-sai, jus d'abats et beurre d'oignons piquant
(仔鳩ロティと百合根、サルミとバター玉葱のソース、エピスとター菜)
*Les fromages de notre Region
(北海道産はルーサン、ティモシー...)
*フロマージュのミルフィーユ、キャラメルのパリパリ、焦がしバターソース
*例のミニャルディーズ
*例のショコラとレのリキュール
+Ratafia (glass)
+Sureau (glass)
+98 Gevrey-Chambertin Poissenots / Geantet-Pansiot
[AQ!]
ウィンザー洞爺にブラスと美山荘が入るらしい。…大ニュースであった。正直、聞いた時は、おったまげた。ボクら食いしん坊の心の奥の院、それこそ本当の本物の、トップオブザトップスの二軒である。そしてまた、言えば、数多あるレストランの中でも、おおよそ支店展開など「しなそうな」二軒である。
そして、正直、聞いた最初から、尋常ならざる期待とともに、尋常ならざる不安感を覚えた。理由は考えると多岐に渡るんだけど、何つーかやっぱ北海道のリゾートホテルじゃん、「ボキューズと吉兆」でいいのでは?、と思えてくる。「でいい」じゃなくて、「がいい」、かな。もうちょっと凝っても、「ゲラールと菊乃井」くらいにしとけば、って。わかりやすい、って。
ブラスと美山荘。極端に言うと、ブラスはフランス料理ではなく、美山荘は京料理でない。そういうような、それぞれのジャンルでの「異端性」を少なからず持ちあわせた店である。そんな店が、コンセプトを明快に打ちだした個店ならともかく、ホテル内レストランとして進出するのはどうなのだろうか。"洞爺のエクトラオーディネルな自然に対するにエクストラオーディネルな店を持ってくるのだ" とゆー説明は、美しき理想的説明として伺うことは出来るのだが、それは果たして現実と結実できるのか。「フランス料理とはこれこれこういう物でブラスの料理はこう、京料理はそういう物で美山荘の料理はこう」という知識認識が、ブラス・美山荘を楽しむ上で必須であるという訳ではないが、さりとて、「3つ星のフランス料理なんだろ、だろだろ??」ってだけの客にとって、これはどうなんだろう。ブラスはサービスのシステムからして、オーソドックスな豪華フレンチとは趣が異なるしなぁ。
…ってのが事前知識…じゃなくて、行く前の思うところ。まぁ、応援してたインディーズの歌手のメジャーデビューが決まった、とか、好きだったアングラ女優が蜷川に準主演もらった、とか、のような心映えである、とは言える(^^;)。いや違う。が。
で行ってきました。結論を引っぱるのもアレなんで先に述べてしまうと、「尋常ならざる期待」に応えるべく「尋常ならざる尽力」がなされたのが伝わってくる店であり、素晴らしい時間を過すことができました。多くの不安は霧消した。ホテル経営陣・ブラス・美山荘は、「きわどい賭けに勝った」と称賛されるべきであろう。
ただま、すべてが払拭されたわけではない。「野菜サラダがウン千円かよ」とか「筍のアクが残ってます」という類の風評を聞くと、依然としてこの店チョイスがホテルとしての「最大多数の最大幸福」性については模範解答となっているとは言い切れないし、「いつまで持ち堪えられるんだか」という経営に対する疑問の声も、真偽はともかくよく聞こえる(しかし、小泉政権・石原都政のおかげ?で爆裂的に急伸長をとげた凶悪犯罪社会においては親会社セコムの経営は絶好調、こうなると(シロート考えだが)ウィンザー洞爺の経営の手綱にも余裕が持てそうで、そういう意味ではブラス・美山荘は運が強かったか)。 夢見がちな理想主義に終わらないためにも、継続を力としていただきたきもの。
…などとなどなどと、余計な話ではある(^^;)。
札幌のシゴトのついでに…という恵まれた機会を得て、初訪問となった。
温泉に入って、ゆっくりして、ゆっくり着替えしてレストランに向かう。ああ、リゾートホテルっていいなぁ。
最上階のどん突き、透明なドアにシストルが浮き彫りにされているミシェル・ブラスのエントランス。「はい、ボンスワボンスワ」といい加減に流しながら入っていくと、「おー、ボ・ン・ソ・ワ・ア~!」とえらく気の入った応対が聞こえる。改めて視線を定めてみると、あれまこれは見覚えあるはライオールの、ブラス家は、えーと確かセバスチャンのカミさんのヴェロニク!? だっけ。
と、初っぱなから縁起よく、再会を祝う。しかし、アジア人の顔は見分けにくいらしいが、よく覚えてたな。
ウェイティングバー相当のサロンへ。アペリティフ、注文決定、アミューズまでこちらで。「ライオールに来てた客よ!」とお触れが回ったか、日本人サービスも恭しさが増したようだ。「いえ、ちんぴらレストランラヴァーなだけすから」と恐縮する。
(←画像をクリック♪)
本店には無い面白い趣向なのは、壁面の数台のディスプレイに映し出されるスライド。ミシェル本人が世界のアチコチも含め色んな所で撮影したものらしく、相当な数がある上、逐次送ってくるという。この出来が美しい。唸る。しょーじき、アート系の個展に行った程度にも、楽しめる。本当に凄い才能の持ち主だ。
アペリティフ・アミューズは本店通り。コックムイエの「卵と私」な栞を日本語で読める。注文は2つあるムニュの1つ" Evasion & Terre "が面白そうでコチラ、それに贅沢にガルグイユーを追加で付けることとした。ま、するっしょ!
サルに移る。本店を擬して水が流れている。これは本店ほどの情緒はないが、乙なものである。けっこう廊下に水際がえぐりこんでいて、「足下にご注意」と言われる通りだ。I川先生(やはりブラス洞爺のファンである)はいつも「誰かサービスが落ちないかドキドキ(ワクワク?)」して見ている、と言う。「開店して一番最初に落ちたのは誰々だそうですよ」というのも伺った気がするが、忘れた(^^;)。
サル内は小ぶりだが、よく似せて作ってある。照明が、卓上でもうちょっと"キラキラっ"と見える明るさが出るといいんだけどな。
3つのスプーンを経て、ガルグイユー冬版。ライオールでは冬期は店を閉めてしまうので、言わば幻のメニュー。ジワ~ン! ガルグイユーはやっぱ、好き好き大好きとしか言いようがない。根菜バージョンとゆーのが、こりゃまたケッコーである。進むほどに溜息が出、食うほどに惜しくなり、食い終わるやいなや、次にガルグイユーに出会える日のことを考える。
ムニュ本編すべり出しは、最近よく見る comme une creme a boire タイプにミシェルお気に入りの gomasio と、見どころ多し。
黒鰈が見事な出来であった。軽やかな仕上がりに、身の汁がギュっと効率的に力溢れ、夢見るような食べ心地。この加熱はすごい。日本人はさすがにポワソンが上手なので、日本にいてフレンチの魚食ってて少々ウマくても騒がないのだが、これはしばらく忘れられなそうである。
仔鳩は純粋かつ精密にロティされ、jus d'abats et beurre d'oignons piquantがとてもブラスらしい。あんまり見ないんだよなー、オーソドックスな組立てだけど、こういうソース。あ~、美味しや。
サービス面も、ブラスの独特な感覚のシステムを何とかこなして、気持ち良い流れが作られていた。…なんて、客は呑気なもんだけど、大変だったらしいよ。ブラスのフロアの面々にも幾らか聞いたのだけど、それ以上に、札幌市内のフランス料理店では噂が色々とびかってました。「いやぁ、凄かったらしいですよ、ミシェルが来たときの"雷"。いた人みんなチビったって(笑)」みたいな。"こんなのではブラスのサービスではない!"とやって、説教、らしい。テツガクを説き、我が家に客を招いた時の気持ちを自分で考えろ、とかやったらしい。まぁ、ブラスらしい(^^;)。
…こんな山奥で人員を集めるのだって大変だし、フツーのフロアサービスからホテルレストランサービスまで一つ山越し、ホテルレストランサービスから高級フランス料理店サービスまで二つ山越し、高級フランス料理店サービスからブラスのサービスまで三つ山越し、とか考えると途方に暮れる。ま、実際は、ブラスのサービス文脈とゆーのはカチっと出来てると推察されるから、山越しルートでなく、少々険しくても直登攀ルートを目指すのが効率的なのだろうが…
オープンから半年以上過ぎていくらかは落ち着いてきて~ ~そんな今ごろ来て、ちょうど良かったかな(笑)。
2003年 7月
*コックムイエ
*3つのスプーン
" Decouverte & nature "
*Le Gargouillou de jeunes legumes, dit "classique",
releve de graines germees & d'herbes champetres
*カリッと焼いた枝豆のガレットの上に乗せた油子の身、
白目大豆の煮詰めたクリーム、時季の葉と花
*La noix de St.Jacques poelee,
vinaigrette "comme une creme" au beurre noisette,
cresson dans tous ses etats, noisettes et pains caramelises.
*Sur l'idee d'une puree froide;
des asperges de Macari-mura, creme mousseuse de truffes et huile d'amande.
*ブレス産雛鳥の胸肉のポシェ;
生と火を通したサラダオニオンとフヌイユ、クミンの香り
*飲むように;
サフランとレモンのコンフィで香りをつけたブイヨン
*Les fromages de notre chez nous et d'ici
*落花生風味のグレープフルーツの流れる、温かいビスキュイ"クーラン";
オーブラックの蜂蜜のシャーベット、当地の花.
杜松の実、胡椒、オレンジ、砂糖でスパイスを効かせ.
*Une creme glacee a l'italienne,
des sucres & des huiles au parfum de pistache & cafe
*Une mousse de banane;
des brisures de sucre, d'orange et de cacao.
*例のミニャルディーズ
*例のショコラとレのリキュール
+95 Ermitage cuvee Cathelin / J.L.Chave
[AQ!]
これは奇跡に近い。前回訪問から4ヶ月、何と、洞爺でのシゴトが入った。ヒャホーっ! 喜び勇んで、その後に夏休みをくっつけてウィンザー。
すきっぷすきっぷらららんら~ん、皆さんおげんこ~(お元気~~)?、と脳天気に、ブラスへ「あいむば~っく!」
今回は夏の輝きの日も長く、入り陽は湖面キラキラと、、なんて眺望も気持ちのよいメニュー検討会@ウェイティングバーである。ちなみに入店18時半。ライオールの緯度だと夏場は20時とか20時半入店でちょうど似たような感じであったな、と思い出す。今回はグランムニュの" Decouverte & nature "。前回冬の同ムニュは、ライオールの名物メニューが多かったので目新しい皿の目立つ" Evasion & Terre "にしたが、今回は" Decouverte & nature "のラインナップに大いにそそられる。ニコニコと卵をすすって、さぁサルへ。
フロアの諸氏と何かと一言二言、言葉をかわす。みなウヤウヤしくも慣れ慣れしくもなく実にサンパで、敢えて完璧なサービスだとかは言わないが、進化するサービスを感じる。
ガルグイユ夏版に身体と心が喜び、しかしながらムニュ版は小さいポーションなので、カルトポーションのガルグイユ食いてぇ、と阿呆な愚痴をたれる。
前回の黒鰈も良かったが、今回の油子がまた感動的。繊細微妙でいて活力に富んだ仕上がりのアブラコに枝豆ガレット。大豆のクレームが上品かつ艶がある。素軽い一皿だが心に軽くない。
帆立・クレソン・ノワゼットの三題噺とゆーのは、快感のある提案である。帆立の、美味ゆえにあるちょっとしたダラシナさを締めるような料理を作る人は、好きだ。
真狩村のアスパラ(仏輸入品は惜しまず輸入して使うとともに、道産品を本当にちゃんと研究して使っている。食材の使い方に美学がある)は、最近よく見るポコッと中央で窪んだ皿に、泡をかぶったピュレとして登場。爽快。トリュフの香りがよく効いている。
雛鳥ポシェは胸のすく快作。鶏のポシェという料理を、今まで疑ってて悪かったな、ってくらい美味い。二通りの処理のサラダオニオンにフヌイユとクミン、ってのも、つくづくよく出来ている。
名物クーランは、グレープフーツの流れ出す摩訶不思議、夏の非常に愛らしいバージョン。
全体に緻密でありながら力強い、ブラスらしい料理だが、更にそこに、清新であって勢いの良さを感じる。それが(北海道の)7月という季節の鮮やかさであるか、ということはあるが、更に料理を巡っての推論を遊ぶ。
この店に関わる"シェフ"は、ミシェル・セバスチャン・アレックス・マサアキの4人。ミシェル御大みずから、来日時には数百の食材をテストし、コンピュータデータ化(ざっつブラスイズム(^^;))し、後からも次々とサンプル送付リクエストが来ると言う。
4人のシェフの働きはそれぞれに例えば、アーティスト的だったりプロデューサ的だったりディレクター的だったりするのだろうが、その実際はわからない。「どうやってんの?」ってそのうち訊いてみようかとも思うが、所詮訊いても厨房の機微がシロートにわかる訳でもない。まぁイメージから言うと、ミシェルが作曲者でセバスチャンが編曲者、アレックスが指揮者でマサアキがコンサートマスター、って感じ?
ってのは、ま、どうでもいいんだが、今日のこの輝くような皿々を食っていて思うのは、食いしん坊の勘(貧弱ではあるが)に訴えてくるのは、きっとこれは、通常名前の出ない2人、アレックス・ブルダス/横須賀雅明が此処で大した仕事をしているのではないか、ということ。
もー何か、肌に感じちゃうんだけどなぁ。このレストランの印象が、前回はそうはいっても「ブラスの日本の支店に来た」って総体印象だったんだけど、今回は、鮮やかに今この場所で展開し飛翔している料理って感じ。
という訳で、アレックス Alexandre Bourdas。実はワシはこの人の名前と顔は知っていたのだ。ゴーミヨのギドフランスは5年に1回くらいしか買わないんだけど、近年購入したのが、2001版。点数動向・Le Chef de l'anneeと並んで気になる欄といえば、Les espoirs de l'anneeであろう。この欄の筆頭に取り上げられているのが、ノルマンディーはBayeuxのLe Chateau de SullyのシェフA.Bourdas(当時ゴーミヨ16/ミシュラン1星)。ce jeune chef a retenu l'ecoute attentive de la nature et la passion des herbesという紹介といい、黄色い花をバックにした内向的そうなポートレイト写真といい、かなり「気になる」奴であった。
かくして頭の何処かには格納されていた名前"Alexandre Bourdas"であるが、実は前回はこの"Alexandre Bourdas"が、「洞爺のアレックス」である、とは気づいていなかったのですよ。いやはや。
… …それに気づいたときは(気づいたのか正確に何時だかは忘れた、この前後の頃)、椅子からずり落ちるくらいビクーリ、は、しましただ。マヌケ。
で実際問題、21世紀初っぱなのLes espoirs de l'anneeであれば当然であるが、現在売り出し中の、2つ星はすぐそこの、将来嘱望太鼓判のシェフであったらしい。しかしこれが、そこにブラスからの電話一発(かどうか知らんが)が入り、この機を自分のシェフ人生の貴重なワンステップと直感(かどうか知らんが)し、洞爺行きを決めたらしい。
(実はMichel Brasは何が凄いって、ここが凄い。一応は名も実も備わってきているシェフに対してのこの説得力。それだけの存在感を背負ってるんだろうなー)
そんなヒトが、だ、ドンっ、ここでミシェル・ブラスの名前のもとに、黙々と仕事をしている訳ですよ。
もうワシら何やらわからんようなドキドキ話であるわけだが、アンタら、何が偉いって、「単に食ってみて」そういう背景がガーって感じられてくるようなシゴトをしてんだから、偉いもんですなぁ。
ヨコスカ氏ってのがまた大したヒトらしく、レジス・マルコンに2年(その頃にアレックスと知りあってんのかなぁ? & レジスも地味にいい日本人育ててますなー)、でアチコチ行ったあとアレックス@Le Chateau de Sullyのスーシェフとして3年やっていたと聞く(このキャリア、凱旋帰国して銀座あたりで泡スポンサーみつけてシェフでございとチャラチャラと売り出して…なーんてのでも少しも不思議でないのだが)。
などなどあんまり書いて贔屓の引き倒しになっても嫌なのでここらでやめるが、やっぱ、食いしん坊としては、アレックス/マサアキの名前も併せて是非覚えておきたい、とは思わされた今回の洞爺であった。
さてところで、今回、ワインは95 Ermitage cuvee Cathelin / J.L.Chave。ぎょえ~! 見境いなく頼んでしまいました。…なんて、この辺の話は「あんまし書くな~」って怒られそうだな。6本向こうから到着して、この時点で「まだ5本あります」でしたか。まさに心の震えるような感動的な酒。大海のような山脈のようなワイン。お値段の方もR天あたりの酒屋で売ってるのの半額よりだいぶ安い、くらい、でした。
2004年 3月
*コックムイエ人参ピュレ(黒胡麻、チーズ、胡桃)
*3つのスプーン:
菠薐草(チーズ甘カリカリ)、虹鱒、フォワグラ(桃)
" Decouverte & nature "
*Le Gargouillou autour de l'hiver;
feuilles, racine et fruits
*Un filet de nijimasu etuve;
un "court bouillon" au beurre noisette, ti'orge, fromage blanc et feuilles de chingensai
*Une brochette de Gambas croutee d'orange & de badiane,
des feuilles de ta-sai, une emulsion d'huitres, saladana et anchois.
*Cuit dans un bol a l'etouffee;
un pain brioche, des oeufs brouilles au celeri et truffes de chez nous.
*ブレスの若鶏のロティ、
des meikuin "confides au gras", pousses de Tomyo au sel, un jus simple.
*L'aligot d'ici comme a Laguiole
*Les fromages de notre chez nous et d'ici
*sur l'idee et le concept d'un coulant originel;
un biscuit de chocolat tiede, compotee de banane, caramel & beurre noisette.
*Le petit pot de lait;
garnie d'une creme aux oeufs et caramel gras au beurre
*例のミニャルディーズ
*例のショコラとレのリキュール
+95 Chateauneuf-du-Pape / Beaucastel
[AQ!]
●虹鱒エチュベには大麦のカーシャがのる
●Gambasはカレドニア産「天使蝦」
●海老は2匹が竹串で尻尾の所でbrochetteされ、太鼓橋のようなお姿で供される
●emulsion d'huitresはホントに泡だけ、牡蠣の姿無し。香りが美しい。凄い料理。
●Le petit pot de laitは、実際、牛乳を原料として薄~い容器を作り、そこに注ぎこまれたキャラメルクリームを崩して食う趣向。黒平皿にうまく広がる。
●メイクインは"かつらむき"状態。コミは大変だろうな。
●兎に角、アレックスはキレキレ。フランスの批評家どもも「洞爺時代のアレックス」の仕事を見ておかないと、後々困るんでなかろか…(ってほどの批評家、いねーか、今は)。
[へべ]
●洞爺湖の花火が見えた
●冬の根菜ガルグイユ、つくづく好きだ
●「当地のアリゴ」、まだ発展途上だが最初の頃よりはかなり進化してます、とのこと。本店の天使ほっぺたのテクスチャにはまだ及ばずながら、素朴な軽さがあって愛らしい味わい。
●とにかくアレックスの料理はいい。ブルターニュ行きのお楽しみカードが減ってしまったやんか、と思ったこともあったけど、考えてみたらブルターニュに3回は行けてなかろうから洞爺に来てくれてラッキーだったような気がする…
●それにしても送り込む刺客がこのブルダスであるというあたり、ブラスは巨大な人だと思う。バスク新時代のシェフも仰ぎ見る同時代巨匠はまずブラス、てな感じもあるし。
[AQ!]
Le Chateau de Sullyはブルターニュ…ってか、ノルマンディーだよ、あそこ。多分。
2004年 7月
*コックムイエ帆立(黒胡麻、チーズ、ピーナツトースト)
*3つのスプーン:
フォアグラ・焼カリフラワー・オレンジNIAC、トマト・アンショワ・芽キャベツ、ブレット・帆立・ナッツ
*緑トマトとパンブリオシュのトリュフ風味、はこべ添え
*ポアレしたツブ貝を冷まし、ヴィネグレットで冷たく仕上げ;
ミント風味の胡瓜、泡立てたマルニエール、グレープフルーツのコンフィで苦味をアクセントに.
*若野菜のガルグイユー“クラシック”;
発芽豆でアクセント、野原のハーブ.
*さっと焼色を付けた、柳の舞の身;
レモンのコンフィで香りを付けたアーモンドクリーム、ブルグール、ムニエルにした独活とコリアンダー、オリーブオイル風味の鶏肉のジュ.
*ラードの風味を加えローストした、豚のロース;
ほうれん草、プルーンとグリーンオリーブ、ジュ、アーモンドオイルと牛乳.
*落花生風味のグレープフルーツの流れる、温かいビスキュイ“クーラン”;
オーブラックの蜂蜜のシャーベット、杜松の実、胡椒、オレンジ、砂糖でスパイスを効かせ.
*はかない幾何学;
サクランボのペーストと薄い葉《シガレット》、シモツケ草風味の軽く仕上げたシーブースト.
*例のミニャルディーズ
*例のショコラとレのリキュール
[AQ!]
今年の夏休みは7月アタマに取ってしまった。暑い東京を逃れて北海道ドライブ(札幌~登別~真狩~洞爺)と洒落込む。らららん。
今回の北海道行きは、2カ月前くらいに急に決めたんで、慌てて「ミシェル・ブラス・トーヤ」に予約電話を入れたんだけど、平日も含め、夜は満席で既にキャンセル待ちの行列が出来ていた。まぁ7月の洞爺じゃそうでしょう。でもね、平日の昼はまだ空きもあるのよ。そんな訳で、成否の怪しいキャンセル待ちは止め、今回はウィンザー泊は諦め、昼飯だけ食べに行く。
レンタカー「Toyota IST」を乗りつけ、ウィンザー玄関。…と、飛んできたベルボーイのニーチャンやマネージャ格や、玄関・サロン回りのホテルスタッフから次々と、「こんにちは~、アレ、今回は? お泊まりじゃないんですか~(^o^)」と声がかかる。「いやーブラスで飯だけなのよー、また来るからさー(^^;)」と答えるが、俺ら宿泊道楽じゃないからよく知らんが、高級ホテルってのは大したもんですなー。とくに田舎顔のベル兄ちゃんにこんな具合に覚えててもらえると、なんか、嬉しい(^^;)。
昼は“アラカルトのみ”で、一皿の量は軽い。標準で3皿+デセールくらい。2皿で軽く済ましてもよいし、4皿とかゴーンと食べてもよい、と、昼のホテルのフレキシビリティ。上手い所をついている。
今回は、試作の「un pain brioche jus et chair de tomates vertes, truffes noires - mourons des oiseaux」というのを、“サービス”で、ゴチになってきた。これは極めて極めてワシの魂の深部に訴える作品。まさにツボ。これはワシの末期の水、最後の一食の有力候補ではなかろか、と悩む(悩むなよ(^^;))。あ、末期の一食といえば、渡辺文雄さん亡くなっちゃったんだよねぇ。荻さんに続き、最後の大市は食えなかった…んだろうなぁ(^^;)。
アレックスの料理は今日もまた、面白い?…うん面白い。厳しい?…うん厳しい。その両方があって“喜び”に昇華していく…そんな感じ。
加茂さんも昼はリラックスしていて昔話などする。「アレックスも着任すぐはビキビキしてましてね、ホテルですからグリーンサラダ出来ますか?なんていう注文がも来るんですが「そんなもん出せん」…って(笑)。今ではもうテキトーに見繕ってホイって出てきますが」
食後にサロンで珈琲キメて寛いでると、シェフコート男が何やら相談話をしている。アレレと見ると、ブルダス氏。「おいおい、あれアレックスじゃないの?」とヒソヒソしてたら、商談終わったアレックスがこっちに来た。挨拶に来た。やれ嬉しや(握手くらいしてぇもんな)と喜んでいると、「仏語と英語どっちがいい?」(アレックスは英語ペラペラです)と聞いた後(やっぱ英語でお願いする(^^;))、「キミたちなんだって? 何かwebに書いてくれてたの、見たよ~!(笑)」って言うだよ。ほひょひょ?、と驚いたのだが、厨房の若い子がウチのページをプリントして持ってきて訳してみせてくれた、とのこと。ほひょひょ! 何か、“トモダチに託したラヴレター、ホントに読んじゃったの~!?”みたいなもんで照れ臭くもありがたいこってある(^^;)。
ま、そんなこんなで握手して記念写真撮らせてもらって一方的に激しくコーフンした訳ですが、「2005年には契約が切れるので、ここの仕事はそれまで。その後の展開を考えなくちゃいけないんだ」とのこと。NYや香港などからの大掛かりなオファーも含め、引合いは多いのだが、「実際、まだ全然決めてないんだ」と言う。で、「ボクのこと、ボクの話については、自分のサイトが出来たからさぁ、そこを見ててよ! どんどん更新するし。http://www.alexandre-bourdas.com/だ」。
後で見てみると、既に内容充実してるし、近況や新たな展開は次々に発表していく由。ファン必見!
ちなみに、「本音を言うと、Parisだとか、都会は好きじゃないんだよね」とは言ってました。
[へべ]
緑トマトとパンブリオシュのトリュフ風味。泣きました。旨すぎる…。「スプーンで食べられるブリオシュ」からの発想だとか。
アレックス、そろそろ行き先きまったんでしょうか。どこ行くのかなぁ…?
2006年11月
*コックムイエ(黒胡麻、キャラウェイアニス、ピーナツトースト)
*3つのスプーン:
フォアグラ、キノア、人参
*マリネした真狩産虹鱒の身、林檎、サラダ、ビーツ&クリームのように仕上げたオイル
*帆立のポワレに海老味噌の泡、柚子風味、根セロリピュレ、ほうれん草添え
*ブルゴーニュから、ポワレしたエスカルゴと百合根、キャベツ、オゼイユ、くるみ、杜松の実の味と香り
*蝦夷鹿のロティ、バターナッツ+黒糖のソース、小蕪添え
*ライオール、オッソイラティ、大地のほっぺなどフロマージュ
*洋梨のバター煮、グラスドショコラ
*はかない幾何学;
*例のミニャルディーズ
*例のショコラとレのリキュール
+90 Corton Grand Cru / Follin-Arbelet
[AQ!]
連休の土曜夜で、ぱっつんぱっつんの大入り満員。
サービス陣はほとんど入れ替わったような景色だが、なかなかの働きぶりで、「考え方から構築するブラスの思想的システム性(笑)」の機能を再確認する。
さて、ヨアン・ユー料理長の皿と御対面だが、いやぁ一回食えて良かった…というのか、2ヵ月後に迎える2007年より3代目料理長にバトンタッチ。なんと、James君っつう英国人だとか。
もう厨房内はJames君仕切りなのかもしれないけど、料理はヨアン時代の物という理解でいいでせう。
ブラスの料理からハッとするような鮮烈さをさらに際立たせたようなアレックスの料理と違い、ヨアンの料理は、ズモッと図太い所があって、ミシェル親父の原点を思わすような感じを受けた。
噂の陽気なサービスMax君は、やはり今日は大忙しで飛び回ってた。鹿のキュイソンだけ具合を尋ねに来たなぁ。やっぱり外国人は日本のフツー人の火入れ観とか気にしちゃうんだろうなぁ。どうでもいい野郎どもの言うことなんか無視してりゃいいのに(^^;)。
エスカルゴは、豚のジュとケフィアのソース。
カルトドヴァンだけど、95オマージュはまだあったのだが7万円台まで上がっておった(^^;)。そのかわり、…オー、フォランがあるじゃんかよぉ\(@▽@)/。
[へべ]
アレックス時代には不思議なくらい縁があって何度か訪れていた洞爺のブラス。アレックスが帰国すると、ついでに行けそうなチャンスがなぜかふっつりと途絶えてしまい、2代目ヨアン・ユー料理長の皿にはぎりぎり滑り込みのご対面となった。
店内のサービス陣の顔ぶれもがらりと変わったけれど、「ブラス」というレストランとしての居心地、食べ心地にはみごとなまでの一貫性が感じられる。ホテル的マニュアル接客ならともかく、他に例のあまりない独特のあたたかみのあるスタイルを、しかもオーナー常駐ではないこの地でこうして実現しているのは、さすがとしか言いようがない。ブラスとは思想なのじゃー、と、あらためて思う。
料理もそれぞれ、つくづくおいしく、あくまでブラス的。AQ評にもあるように、才気輝くアレックスの料理に対し、ヨアン・ユーの料理(でしょう、たぶん)には、もっと大地に根ざしたような、ある種安定したものを感じる。帆立の皿の、柚子の生かされ方が素晴らしい。エスカルゴと百合根の料理も、豚のジュのソースが抜群に美味しくて好き。
この先も楽しみに、行方を見守りたい。