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フランス料理店(南部フランス)
この一覧はアルファベット順になっています。
 
 

  L'Almandin  アルマンダン、ラルマンダン
  
Boulevard de l'Almandin 66750 SAINT-CYPRIEN SUD 04 68 21 01 02 (Fax 04 68 21 06 28)
ferme lundi et mardi d'oct. au avril
Chef: Jean-Paul Hartmann
・ 目前に広がる地中海 (2001.9)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○/GaultMillau 16 (2002)

2001年 9月 ☆

 *オリーブ、チーズタルト
 *オリーブのくるくるパイ、トマト・玉葱タルト
 *ガスパチョ
 *エイのサラダ仕立てジャンジャンブル風味、ガスパチョソース
 *ジャガイモのブリニ、コリオールのアンショワと
 *サンピエールとアーティショー・ヴィオレ
 *ルジェのエスカベーシュと米、サフラン玉葱
 *ショコラのブランとノワール、パルフェ風
 *フリュイのブロシェットとパン
 +96 Cotes du Roussillon-Villages la Muntada / Domaine Gauby

ALMA1 [AQ!]
 昼の地中海は、あまりに青い。青が青い。陽射しが強い。
 入り組んだ入り江の中で、ここはちょっとした小島になっているのか、そんな場所に到着。ホテルの名は、L'Ile de la Lagune、レストランの名はL'Almandin。まぁ海辺の観光ホテルのメインダイニングかな、という予想で訪れたが、どっちかというと、「レストランAlmandinへようこそ」というお迎えの作りになっていて、「エレベータで上へ行くとホテルだよん」という感じである。つまり、割りと力点はレストランにあるのだろう。ミシュランのも貰ってるしな。
 「今日は熱海観光ホテルだぞ、ウラ~~っ」と叫びながら飛ばしてきたワシらには、まぁおおよそ、そんな観光情緒でもあるのだが、土産物売場も無く、スタッフの立居振舞いもエスタブリッシュトなこのホテルを、そういう紹介の仕方をしてはいかん、とも思う。ま、しかし、「ビーチには、当館特製ベネチア風のゴンドラでお運びいたしますわ~ん」と言っている、のもたしか。タハッ。
ALMA2
 陽が暮れていく入り江の船たちを、開け放した窓から優雅に眺めながら、ディネの開始。
 カルトの表紙はスペイン風の絵。開いて読むその内容にも、スパニッシュテイストが溢れる。そして、一面の、魚介、魚介、魚介、魚介、、、(*1)。スペイン国境まで20kmくらいだろうか、の土地で地中海に面したレストランの、真っ正直なカルトで、ここを訪れる客の要求もまさにその辺りにあるのであろう。
 よく売れているらしく、次々と出ていく「海老の焼いたん」は、なかなかに磯臭いというか、栄螺の壷焼じゃないけど、ここは熱海か江ノ島か、の情緒を誘う。
 料理は全般に、特別な物ではないが、まずまず美味しくいただける。
 エイはビストロで出てくるようなエイの料理を、焦がしバターとかでなくガスパチョをソースとしてかけてしまうもの。ジャンジャンブル風味を加え、上にツンモリと緑の葉っぱも快く、これはよく成功している作。
 ジャガイモのブリニは、近くの町コリオール産アンショワが素晴らしいものの、ブリニ自体がコンビニのお菓子みたいで、感心しない。「素直に焼くとか、ピュレにするとか、しろ!」は、へべのリクエスト。この皿は、ミシュランだったかゴーミヨだったかの「お勧め料理」にも出てくるのだが、如何なものだろうか。
ALMA3  ってゆーか、ワシは、ミシュラン「お勧めの一品」って、どうかと思うことが多いんだよね。どうなんかね、アレ。それともあのコーナー、店の自薦なのかな、よく知らんけど。
 プラは焼き魚2品っていう安心感。サンピエールアーティショーは気が効いてる。ルジェエスカベッシュというけど、焼いてあって、皮のちょっと焦げ風味が、グジの焼いたんみたいで、日本人的に嬉しい。下に敷いてある玉葱炒めが酸いいのが、エスカベッシュなのかな。小さなパンに入った米が添えられる。米とルジェと玉葱をグジャグジャに混ぜて食す、結構、旨いざんす。
 デセールも悪くない出来で、これはすぐ近くに産するバニュルスとともにいただく。ショコラと相性良いのが、85のVVだったかな。

 さて、順序は前後するが、とにかくこの店で目をひん向いてブッ倒れたのは、ワインである。
 ワインリストは常道を踏んだキチンとしたもので、最初の見開き2頁を「地のワイン:ルーションとバニュルス」にあてている。よく見ると2頁目の下が囲み欄になっていて"introuvable"なルーションのワインコーナーだという。これに興味を魅かれた。ソムリエはクラバットも洒落た、ちょいイナセな若者。「俺っちはさ、ルーションの珍しいワインをやってみたいわけよ」と尋ねると、すかさず、96のGaubyゴビィを指して、このワインが如何に素晴しいものかをトウトウと述べ出した。
96MG  第一勘は眉唾であった。というのは、このワイン、単純にこのルーション欄で「一番高い」酒なのだ。いきなり高いものを指しやがって。昨日までの2.3つ星のソムリエたちは、謹み深くどちらかというと、逆にコチラが高価な物に誘導しようとしても、「ほどほどの値段で今存分に開いて料理に合う物」を誇りをもって勧めてきていたぞよ。それを、このチャラい若僧は、いきなり「一番高い」のだぜ。価格で言うと、720FF。レストランとは言え、これはルーションのワインとしては破格。とくに古い物でも無いし。ああ、やっぱ「熱海観光ホテル」だ(^^;)。
 だけど。まぁ、騙されてみようか。ということにした。特に理由は無い(*2)。後から思うと、神の思し召しに違いない。神に感謝。

 テイストの最初の一口。巨弾炸裂。あ、まいった。「いたよ、化け物が」。南仏にはまだまだお化けワインが潜んでいる。それは、多くのワインファンが信じている伝説である。「出たよ、出た」。化け物が出た、と言ってるそばから、涙が出てきたよ、ワシは。
 ジワジワと「この酒、いいんじゃない?」なんて言うんでなく、いきなりKO。それなのに、更に経時で怒涛の変化を見せる。その方向は、ズンズンとopenしながら濃く深くなって行く、というタイプ。
 もう馬鹿になっちゃってるから、「ブラインドで」「ギガル3姉妹に混ぜてみたら」「ラヤスの良年の縦に入れてみるとか」「いっそ、ちょい古のDRC水平…」とか、ウワゴトを口走っていた。それにしても旨い。感動した!アリガトウ!
 急にハンサムに見えてきたスチャラカソムリエにも「我々は"特別に"感動した。お前のサジェスチョンはパルフェだ」と伝える。エクストラオーディネルに喜んだことは伝わったと思う。
 PS おっと、この書き方だと横殴りハンマーパンチ系かと誤解を生んでもいけないのだが、ワシらが狂喜するこのワインとくれば、とーぜん、そのずば抜けた特性は、極上のフィネスをまとった優美さ、とか、そーゆーの、である。ハイ。
 
(*1)ヴィアンド欄が無いわけではない。 →back
(*2)まぁ720FFという絶対額は、銘酒エリアのワインと比較すれば、大した額ではない、とは言える →back
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   L'Atelier de Jean-Luc Rabanel  ラトリエ・ド・ジャン・リュック・ラバネル
  
7 rue des Carmes - 13200 ARLES 04 90 91 07 69  www.rabanel.com
Chef: Jean-Luc Rabanel (1964-)
・
2009年12月 ☆☆☆
[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 ポティマロン・クミン トマト・ピマンデスプレッド 生姜醤油
トピナンブー アーティショーコンフィ アルファルファ トロンペットドボア ユイルドトリュフ シブレット パルメザン
サンジャック オレンジキャラメリゼ・粉 クルジェ・エシャロット・ラディローズ・ルッコラ パルメザンサブレ 小ハシバミ
  クルジェと茸スタッフ 茸ミジョテ後がけ ピセンリ かっこいい薄パイ
サンドル 牡蠣の泡 葉 野菜・セロリのリゾット見立て アサリ
ガンボソバージュ 蟹出汁 なんか芋ピュレ ユイットル 香草
ジャレドヴォー 紙フォアグラ・トースト マーシュ 根菜ウーブリエ 人参・ベトラーブ・根セロリ
+ラストー
カマンベールパルフェ トリュフ コンフィチュール・ポムコアンジャンジャンブル
アナナ・タピオカ・リチーソルベ、リチーと薔薇 ベトラーブのクリスタル
ショコラショー トンカ 柚子
オリーブ フヌイユコンフィ

 アルルの大泉晃・野菜の魔術師(笑)、Jean-Luc Rabanelは厨房最前線で赤く照らされて仁王立ち。大車輪のお働きである。畑にいても冗談を言ってても鋭い眼光は、レストランの本番タイムには、いや増して鋭い。そういえば、店頭に、厨房の模様の実況ディスプレイがある。
 厨房に目をやると嫌でも目につくポジショニングの彼は、スターシェフとして後で客席回遊でもするかな…と思ってたら、最後の客の最後の皿まで出し終わるとさっさと帰って行った模様であった。常連と思しき卓も幾つかあったが、とくに挨拶なし。朝6時からは畑の時間…というシェフ、石井義明シェフとコンパチか(笑)。

 料理はオンリー1コースで(短縮コースもあるようにサイトに出ていたのであるが)、入店時間を20-21時の1時間に限定…というわけで、ほぼ横一線進行に近づいて行くパターンの運営である。12皿構成、かな。

 それにしてもカジュアルというか余計な贅沢のない店内。趣味よくクールではある。テーブルクロス無しの、男女共用トイレ一室。フランスの二つ星としては、今となっても異例の感。テーブル上の白薔薇は、こちらで使った後に(セカンドの)ア・コテに回すみたい。
 ギュウギュウ詰めで30席くらい?と狭小だが、皿数が多く口上も多いので、フロアの3人は精鋭揃い。

 メテヴァンは、かなり細かく皿ごとにあわせてくる。8種くらいあったか。研究されていて、たしかにかなりの好相性が感じられた。

 過激派なルックスや店運営ではあるが、仕事は周到で味覚も繊細である。大蒜の使い方にしても、プレパラションが丁寧で、やさしく豊かな香りを出す。翌日のLe Jardin des Sensのソレがキツく粗く感じられ「シゴトしてねーなー」…という言葉が漏れたくらい。10年前のレジス…とか、こんな感じだったんだろうか?
 エマンスされた材料を重ねて行く技法が目立つ。

 ポティマロン・クミン天麩羅は、ウェルカムスペシャリテになっているようだが、それはよくわかる。美味、素晴らしい出来。 Rene Redzepiの植木鉢みたいだな。どんだけ良いポティマロンだか…で、南瓜の天麩羅には想像出来ない複雑性の魅力。衣の考え方・揚げ…もシッカリしていて、ヨーロッパでは、ほぼトップクラス。
 ボクタチの一番人気はトピナンブーとクルジェ・茸。トピナンブーのグラスには幾つか“鉄板組合せ”も含んでいるので、今宵のスターはクルジェかな。ミジョテ茸は注ぎ入れ。
 トピナンブーはほぼ「芋トリュフ」の組立てが芯になっているもの。思わず頬が緩む…という古典形容がよく似合う。多彩な出演者が細かに表情をつける。トロンペットはとりわけ良い。
 皿上、置き方の絵作りが最も鮮やかなのは、帆立の皿か。ラバネルのスケッチ帖を思わす。ただ、全体には、「最近のフランス料理傾向」から言ったら、悪凝りしたものはあまり無い。サササッ…としたプレゼンの物が殆ど。やっぱ、ああゆーチンドン屋チックなのはパリの奴にでも任せとけ…か(笑)。クルジェに添えるパイの形のように、細かくカッコいいものはチラホラ。
 サンドルの下、レギュームリゾット見立て。シジミのような小アサリの出汁は塩気控え目で、適切なアセゾネ。次の海老は所謂「フランスの甲殻類の塩」となっていて、対比をなす。この辺り、ムニュの流れは緻密だ。
 12皿とあって最終的なボリュームは結構ある。ジャレドヴォーで、救援を仰いだりギブアップするご婦人方も見受けられる。プラとして、〆の存在感。ウチらは、ペロリといけたけど。まあ、さすがにフランス料理、そうはいってもスペイン・北欧よは、腹ふくるる。ヴォーのガルニは根菜祭り、小ジャガは甘ーい。原種マーシュみたいなの、1皿目とここで、「株ごと」みたいな出し方。
 「清く楽しい」。事前の予想では、もっとザックリした斬り口とか、単純なもの・訳のわからんアート、…とか混じってくるのかとも思っていたのだが、一皿ごとにまろやかに美味しく、そしてフランス料理(良くも悪くも…いや悪いのはないが、フランス料理の範疇イメージからそんなに外れない)。この件は、パセダもそうかも。
 デセールでは、ショコラ・柚子・トンカの“葉巻”をショコラショーに沈めて溶きながら食べていくショコラ作品や黒オリーブパイが面白い。デセールセクションは、料理に比べると、ややフツー風味かな。
 食後のお飲みものは、近所に出ている鉄瓶生け花(笑)にひかれて、ハーブティーを。「本日のミックス」みたいな口上のを頼むと、コレが来るらしい。あほ(笑)。おなかスッキリ。
 スノコの便所、なかなか快適。

[↑メモ版:工事中]
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   Bistro A Cote par Jean-Luc Rabanel  ビストロ・ア・コテ
  
21 rue des Carmes - 13200 ARLES 04 90 47 61 13  www.bistro-acote.com
Chef: Jean-Luc Rabanel (1964-)
・
2009年12月 ☆☆

 *Legumes confits en Tarte fine, St.Jacques grellees
 *Ravioles de Romans, Bouillin de Poule avec truffes
 *カナル腿コンフィ、ロマラン風味、ルッコラ・じゃがいも
 *アップルパイ
 +La Buche Collection 2010
 +08 Costiers de Nimes / Domaine de Poulvarel


[へべ]
 到着日。
 やがて睡魔が降臨しそうbut今のところまあ元気で空腹。ただしちょっと雨もようand手持ちの傘は1本なのが気になるところ。
 ラバネルの2ndカジュアル店、A Coteがかなり近いはずだが念のため偵察してこよう、とAQ!が出ていく。(地図を置いて)。しばらくして「おかーさん、なんかズンドコやってます」と言いつつ戻ってくる。
 ま、なんとかなるっしょ、と出動。

[AQ!]
 シャンパンで乾杯。

 まず、口頭で(クリスマス調の)ムニュ紹介。
「アラカルトは?」
「あ、あそこよ」(と黒板を指す)
 入口脇の黒板まで出張して献立会議。
 わざわざ黒板まで出かけるのは我々だけかと思いきや、後着の皆さん、そうしてました。

 シャポンが売切れとのこと、口頭で説明があったカナルに。
 このカナル、めちゃウマで、頼んでよかった。&、とてもよく売れてた。この鴨と、オマールは出てたなあ。オマールの方は、少し、クリスマスな気分とかもあるのかな。

 ラビオリが素晴らしい。小さい切手くらいのサイズの小ラビオリが、ひたひたのコンソメに沈むスープ仕立て。ラビオリの皮自体も、スタッフィングも、コンソメも上手で美味い。へべは「フランスで見たラビオリ史上、最高クラス」と、お墨をつける。
 ヤニックアレノもこの辺りに修業にくればいいのにね。…って、アイツ自体が下手なのかは知らんけど。(笑)

[へべ]
 店じゅうに周期的にものすごくいい匂いが漂う。澄んだ熱いオイルに香り立つスパイス、みたいな。
 黒板から選んだ、ラビオリ&ブイヨンが大当たり。けっこうたっぷりトリュフ入り。切手大のちびラビオリの中身は不明(たとえばリコッタチーズとルッコラ、とか?)ながら旨い。しっかりとしたブイヨンにロマランず品よく香る。

[AQ!]
 レギュームコンフィではポワブロンの肉感に、プロバンスへの期待が高まる。サンジャック3個に渡した架け橋は、レモングラス。

 鴨は美味みたっぷり…が、軽い仕上がりタッチに乗っていて、さすがは一流レストランのセカンドラインって感じ。ジャガイモが、気が狂うほどに美味い。複雑性と香りの高さ・尖鋭さ。なんなんだコレ。鴨コンフィにどさっとルッコラ…というのは余り見たことないけど、効果的でいいと思う。
 多くの皿で、ロマランの使い方が巧み。臭くなくて柔らかいのだけど、効いている。

[へべ]
 メインには、本日の口頭おすすめメニュー、カナルをシェアすることに。
 熱々のなべごと登場。こんがり焼けた鴨とじゃがいも、そこにふんわり緑のルッコラを添えてあるのがまたよく合っている。控え目に香るきれいなエルブ、鴨のアセゾネのばっちり加減もさることながらポムドテールの清く深く旨いこと!
 いくらでも食べられる!
 いつまでも食べていたい!と心躍らせながら夢の中へ…ムニャムニャムニャ…のへべでした。
 デセール「ブッシュ」はブッシュドノエル今年風。

[AQ!]
「ワインは?…赤?…ici?…そんんならコスティエドニームの美味しいけどどお?」…と、ソムリエール担当嬢は直截サクサク(笑)。

 いい店だな。20-21時、客はワサワサおしかけほぼ満席。ベテラン客が多めかな。値段と雰囲気は若年層でもバッチリな感じ。
 日・月はなぜか閉まってた。サイトで謳ってたトゥレジュールは嘘やんか。夏はそうなのかも。プティデジュネやサンドイッチは多少期待してたのにな。

[↑メモ版:工事中]
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  L'Aubergade  オーベルガード、ローベルガード   ( Michel Trama  ミシェル・トラマ、ミッシェル・トラマ )
  
52 r.Royale 47270 PUYMIROL 05 53 95 31 46 (Fax 05 53 95 33 80) www.aubergade.com
ferme vacances de fev., lundi sauf le soir en saison et dim. soir hors saison
depuis1979 Chef: Michel Trama (1947-)
・ 創意に富んだ料理でヌーベルキュイジーヌの中堅を担ったミシェル・トラマ
Michelin ○○/GaultMillau 19 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 18 (2001)
Michelin ○○/GaultMillau 18 (2002)
祝!ミシュラン・ギドルージュ3つ星獲得! (2004)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2008)

参考:メールのページ

2001年 8月 ☆☆

 *アミューズ:トマト飴、目玉焼タルト、いくらムースタルト、ソモン鮨、サモサ
 *トマトのアボカド詰め、バルサミクと香草ソース
 *野菜のミルフィーユ、アンショワ添え
 *ポワロのプレッセ、酢とトリュフソース
 *キャビヨの奉書包焼、オリーブソース
 *セルリラーヴとフォアグラのミルフィーユ、バルサミコソース
 *Cinq Sens:青林檎のクリスタル、コロナ・ド・トラマ、ショコラの涙、マラスキーノ風
 +95 Champagne"2000" / Moe & Shandon
 +95 Buzet / Baron d'Ardeuil

■Eugenie-les-Bains → Puymirol____________________
[へべ]
 アジャンの町に入る一歩手前で、せっかくここで時間もあるしと、高速道路でボルドーを一目拝みに行ってみることにする。高速に入ってすぐサービスエリアへ。ガソリンスタンドのセルフサービスももう慣れたものだ(おとーさんが)。スタンドの売店で水とサンドイッチを仕入れて、裏のピクニックテーブルで食事にする。パリのような都市部はさておき、こちらのサービスエリアは広々していて緑いっぱいで、すこぶる気持ちがいい。皆、心得たもので、クーラーボックスやバスケットにあれこれ詰めて来て、緑の中でピクニックしている。「P」とトイレ、電話とピクニックコーナーだけというエリアもけっこうあるほどだ(商売気の無いったら)。
 さて、できればポムロールサンテミリオンの葡萄畑でも拝んで行きたいところだったが、へぼナビの失敗で、なぜかポムロールといってもラランド・ド・ポムロールに着いてしまった。シャトーの名前を見てもどれもピンと来ない。ううむ。とりあえず来た!見た!ブドウと記念撮影した!ということで、ぼちぼちUターンしてピュイミロルに向う。
 …と思ったら大都市ボルドーエリアに入ったところで高速工事中→下の道路へ降ろされる→あれよあれよという間に西陽カンカン照りの中、超大都市ボルドーの中心部へ向う渋滞に首までどっぷり漬かっていた。なんでやねん。これだから都会はイヤじゃー。田舎ばかり走ってきた(トゥールーズはろくすっぽ見てないし)私たちの目には、ボルドーは走っても走ってもまだボルドー、おんぶおばけのような巨大都市だった(失礼な)。

■L'Aubergade____________________
[へべ]
 なんとか道もみつかり、アジャンへ、そしてピュイミロールへ! アジャンもそこそこの規模の都市だが、ピュイミロールへの道に入ると突如、のどかな風景が広がる(心もなごむ)。行く手の高みに見える小さな町並みに、あれかな?あれかな?、と上がって行くと、果たしてそこがピュイミロール。石造りの建物などもあり、時を経た雰囲気のある家並が続く。そんな家並みにはさまれたロワイヤル通り(!)をたどれば、そこにローベルガードトラマの館がある。古い石造りの館をリストアしたという建物は、周囲と同じく、道からいきなり入口、という造り。
MT1  向って右がホテル棟、左がレストラン棟となっているが、どっちの扉を叩いたものか…(閉ざされた木の扉、というのもちょっと手を出しかねてしまう)。と、そこへ「こんにちは!」と声がかかる。白いコック服、さてはトラマのところのコミか(後でよく考えるとコミというには手も落ち着いているし厨房での風情やこのときの案内ぶりからいっても、もう少し格上のヒトかな、などとAQと話したりもしたのだが)…「えーと、どっちから入ればいいですか?」と尋ねてフロントを教えてもらう。実直そうな、ややゴツい男性が我々の荷物を車からフロントへ、さらに部屋へと運んでくれた(大汗かきかき)。あれがトラマの娘ムコか??、などと推測するボクたち。
 一歩扉を入れば、モダンな家具とオシャレな物販コーナー、プールを囲むテラスもさわやか。客室へはなんと階段で、4Fだか4.5F?まで上がる。深いきれいなブルーを基調にしたトラマの館。部屋も実にいい感じ。ブルーの扉には、部屋ごとに趣きのちょっと違う、でもほとんどがサクランボの四角い絵のプレートがかかっている。うちの部屋にはリンゴと見まごう大サクランボ。階段降りた突き当たりのあやしい絵、カルトのサクランボを食わえた唇のイラストなど、トラマ趣味を満喫できる。

 夕食はレストラン棟の石畳の中庭で。この季節はきっと昼も夜もここが「サル」なのだろう。「コ」の字形にひさしをめぐらせ、テーブルがしつらえてあり、既に多くの卓から楽しげなさざめきが聞こえている。
 たそがれから暮れかかり、トラマブルーからさらに闇に沈み、やがて星が光る空の変化…。白いクロスに青いガラス玉を散らした、小さなランプを灯した、あるいはパンを入れるペン立てみたいなガラスの容器を置いた…なんて洒落たテーブル…。そして、きわめつけはそこに集い楽しげに飲み、味わい、おしゃべりする客たち…。
 映画の一シーンのような、美しく楽しくわくわくする眺めがそこにあり、自分たちもその中にいた「トラマの夜」は、ちょっと忘れられない。

 小さなアミューズをつまみ、アボカド詰めトマトの上にX印のソース~バジルとバルサミコのreduction(この酸が旨い)。若々しく気のきいたオシャレな客景色(夜を楽しむぞ!というオーラが出ていること出ていること…)もあっていやが上にも気分は盛り上がる。アントレ、プラ、デセールとどれをとってもトラマの料理は鮮烈だった。時折、サルにも姿を見せるそのジーンズの似合うかっこよさと来たら! その、トラマその人そのままに、皿の上もスタイリッシュ。美学とかセンスとか感性から来る料理、という印象が強い。
 ポワロのプレッセのテリーヌと、デセールのCinq Sensが、その真骨頂というか、際たるものというか、美しくてかっこよく、美味だった。
MT2  料理写真を見て、忘れられなくなる皿がある。トラマの料理もさふいふタイプ。でも、ここまで、目の前に出て来た皿がまたそのようである、ことは珍しい。ポワロプレッセのあの断面、トリュフのビネグレットソースのあの色…。
 野菜のミルフィーユは夏らしい一品。青く銀色に輝くアンショワと色濃い野菜たちの美しくも元気な味わい。
 キャビヨのパピヨット(?)は、文字通り「奉書包み」といいたくなる仕立て。緑のオリーブのジュが香り立つ。キャビヨなんて魚が(スマソ)、こんなに美味しくなるなんて。
 デセールがいかしてる、といえば、ブラスだったが、トラマCinq Sensはその上を行くかも。コンパクトで演出ばっちりで、しかももちろん旨い!
 「青リンゴのクリスタル」の本物も、実に美味(ついに本家本元で御対面)。
 幸せな夜、幸せな人々の歓談は続く…いつまでもそこにいたかったけれど、冷えてきたのでおやすみなさい、ということにした。なんと名残り惜しかったこと!

[AQ!]
 中規模の地方都市Agenは、通り過ぎただけではあるが、品の良い、ちょっと由緒ありそげな街並。そこから113号で数km離れ、D16号に入る(曲がり口手前にローベルガードの看板あり)。あっという間に風景が田舎道のそれに変わるのが何ともフランス。これをまた数km走ると目の前に小山が現れる。その小山をキュルルと登った頂上付近の集落がピュイミロールである。まぁ「小高い丘の上」というのが適切な表現かもしれないが、起伏の穏やかな丘が延々と続くこの辺りでは、ちょっと目立つ急峻さで「小山」と書いてもいいかな。Agenからは20分くらいだろうか、割りと「すぐ」って印象で着いてしまうので、「辺鄙な田舎」ってほどのことはない。
 小集落の中心を大袈裟にも通る「rue Royal」、その真ん中付近に、L'Aubergade/Loges de L'Aubergadeの看板は並んでいた。中では繋がっているのだが、Logesの看板の方がホテルの入口である。L'Aubergadeの看板の方は、13世紀の建物を改築して使っており、外壁はいかにもそんな年輪を感じさせる。

 車を止めて降りると、丁度通りかかるコックコートの日本人。「コンニチワ」と挨拶されるを幸い、「ホテルのフロントって、どっち?」と聞く。案内される。応対に出た支配人に、パーキングを尋ねると、「通りの向こう側ならどこでもいいよ」。片側駐車可なrue Royalであるらしく、専用パーキングはとくに無いようだ。支配人、我々のスーツケースとボストン2つを提げて、部屋の案内……と、これが、階段を登る登る、作りが複雑でしかとはわからぬが、4階か5階に到着。額に汗している。どうもスマソ。カレは、レストランにおいても甲斐甲斐しいメートルぶりを発揮していた。噂の「トラマの娘婿」殿だったりするのかな。
 10室というホテル部分はむっちゃんこ可愛らしい。海が好き、のトラマの青を基調色として随所に配してお洒落。捻りの効いた調度品がアート好きのトラマ家の趣味を垣間みせる。到着時は冷房で部屋を冷やしていたが、夜には窓際のスチームヒーターがONであった。「何やねん」って感じだけど、やがて納得してしまう寒暖の差の激しさ
 小山の上の集落のホテルの上層階とあっては、「眺望絶佳」を期待する所だが、それは果たされず。通りの向こうの家の屋根だけが見える。(こればかりは)カルチェラタン辺りの安ホテル、と、変わらん。
MT3
 8時半、まだ薄暮の中、レストランに向う。通されたのは中庭。夏は基本的に中庭テラスでの食事ということらしい(後で拝見したところ、一部のサルや2階などの部屋は、冬に向けてか、改装工事がなされつつあった)。庭の真ん中に彫像、それを囲んで植木をまばらに配置し、一つの面は壁でそこに水場があり、他の3面は2~3mほど廂が張り出していて、その下「コ」の字形に間取りしてテーブルがセッティングされているのだが、まぁ、何て素敵なこと。照明の具合、視線の動線の計算、それぞれの調度や内装の素材の品の良さ。パルフェ! いやぁ、案内係からメートルに引き継がれる1分間ほど、中庭入口にボーッと立っていたのだが、顔面が緩む緩む。
 テーブルによっては、白い布上に、青いビー玉が散らされていたりする。テラスでお食事、って良いものだけど、これはもう天国。フランスでの食事でも滅多にない環境。
 それで、加うるに、客層がサイコーなのだ、ここ(って、日本人観光客オノボリさんベリマッチであるワシらが言うのもどうかと思うけど)。30人ほどの客のうち、東洋人はワシらだけ。英語も聞こえないし、いわゆる外国人観光客っぽい客が見当たらない。宿泊の客もフランス人の国内旅行風。それでもって、皆、ベースはカジュアルだけど、適度にオシャレ。お洒落して食事を楽しみにきているのがよくわかる。そんでもって、ほぼ全卓が、すご~~くお喋り好き。うるせ~~っ、ってくらいの会話の大渦がアチコチで出来ている。さらには、長っ尻(笑)。観光客の多い2,3つ星レストランだと、10時を過ぎるとポツポツと半分くらいの卓が収束して行くのが多いような気がするんだけど、ここは、11時くらいじゃ、まだほっとんど「宴もたけなわ」。この客の良さは、ホントに御馳走です。

 グラスシャンパンを頼むと、モエの持ちにくい「2000」ロゴ入りのグラスが登場。95ヴィンテージの「2000年」である。これ、ウマいね。「うわ、一応、ヴィンテージシャンパンの格があるわ」とテキトーなことを言って盛り上がる。
 アミューズは5,6品の盛り合わせ皿で。工夫があって、食って旨い。リのソモン巻、すなわち鮭の鮨もある。イクラのムースタルトが美味。
 BGMは、エスニック・ネタのアンビエント、などと、こちらも「らしい」
MT4  カルトは割りと平易に書かれ、別紙に「季節のお勧め」「ムニュ・グルマン」など。1つの料理に1単語くらい「何だコレ?」が混じる。例えば尋ねた1つは「ア、それはエピナールの一種デス」だった(どういう単語だったかは、やはり、すぐ忘れた)
 アントレの注文のうち「野菜のミルフィーユ」が「季節の…」から。これとポワロとジャガイモ、野菜勢3皿のうち、どの2つにするかで延々と議論。
 プラもまた、皆、美味しそうで目移り。ピジョノーが良さげだが、昨日のゲラールのピジョノーがインパクトあったのでここでは外し、仔羊の旨そうなのは2人注文から(他卓に何回か出たけど、凄い誘惑的香り)だなぁ、やっぱ魚と肉と1皿ずつにしようよ、豚足もいいけど、フォアグラ生産地帯をずっとドライブしてきたせいか、「やっぱ、フォアグラ食べないのは寂しい!」…などなどあって、決まった注文が上記。トラマの「売り」でもあるデセールは、我々が興味をもった物がみな含まれているということで、「デセールのデギュスタシオンだよ」という「Cinq Sens」に。

 2品目のアミューズは、トマトのアボカド詰めで、ややスープ仕立て。皿に一筋、黒く引かれているのがバルサミクを詰めたもので(大体、reduction de Balsamiqという表現になるみたい)、すげウマ。こーゆーバルサミクならどんどん使って欲しい(日本の仏料理店のバルサミク使いは余り好きでない私)
 ポワロのプレッセトラマの名を高からしめた一品(その原形通りか、発展形かはわからない)。皿の真ん中に位置する四角いポワロのプレッセには、一面に黒茶色いトリュフビネガーのソースがかけられ、妖しい雰囲気。誘惑的色合い。四角の一つの角にはトリュフ一枚、一つの角には岩塩が一つまみ、一つの角には胡椒が一つまみ、と絵画的でクールな眺めの盛り付け。ナイフを入れると意外なほどしっかりしたプレスで、ギュッと押し固められている。一片を口にする。ジワ~~っ!! これはコケ脅しでない、滋味の美味。大地を噛みしめているような野太さが、酸の羽根に乗って舞い上がる。二口、三口と進めていくと、ジワジワと幸福に侵されていく。ワオ!
 これは、この日の象徴的な皿で、というのは、ヌーベルキュイジーヌのシェフたちの中でも常に創意創作の文脈で語られるトラマの料理の「口にした現実や如何に?」という点には興味津々であったわけなのだが、これが何ともどれもが滋味シミジミとした、どちらかというと派手さよりも深みのリージョンにある物なのだ。いやぁ、しかし、旨い。「地味だがまた無性に食べたくなる」タイプかも。
MT5  野菜のミルフィーユは、アンショワとともに季節の野菜をツンモリとミルフィーユ状に積み上げた作品で、シンプルタッチだが美味。天辺にフワっと盛られた白い揚げ葱状の物は、セロリ揚げでもないし、何だろ? 直径5cm程のミルフィーユが皿の上に3つ。2人で分けて食べるには、ややこしい
 ワインリストは、ゲラールの所もそうだが、幅広い取り揃えで立派な物とはいえ全体には値付けが高く、稀少品は少なく、面白みは無い。で、やはり「地のワイン」のコーナーに目が行く。ここでは、マディランビュゼ。「この辺りの欄で何かお勧めは?」と指をさせば、目を輝かせての回答。そこから、ビュゼの1本を選ぶ。屁のような値段だが、なかなか旨い。
 キャビヨは、まったくもって奉書包焼。紙を結わえている紐をほどき開封すると、白い身がザラっと(キャビヨだからね)光っている。下には緑色の、オリーブジュースと呼びたいくらいのタチのオイル。ああ、なんて美味。この魚をこんなに昇華させるとは見事な魔法
 フォアグラは薄切りで、同じく薄切りのセルリラーヴと層を成し、天辺に薄皮が一枚かかる。パワーもあるのだが、それよりも何かハンナリとして心和む一品。セルリラーヴの香りに誘われるのがたまらないったらたまらない。

 ブルージーンにラフなシャツ(だけどお洒落なデザインではある)の大柄なオッサンが、あっちの卓こっちの卓、とうろついている。そういえば、さっき、ワシらも中庭に入ってくる時に「ボンソワ」したっけ…。「ねぇねぇ、あれがミシェルだったりするのかな??」へべに言ってみると、「あら、それは絶対そうよ」へべは、最初からそう思っていたのだそうだ。庭師のオッサンか何かだと思ってたワシは相当に間抜けだ。
 …と言っておいてナンだが、ミシェル・トラマは、ほんま、かっこよい!! すっかりファンになってしまった。一言で言うと「精悍」かな。年齢から想像するに、もっと丸い年寄であるかもと思っていたが、実に若々しい。ジーンズ履いてるから、って訳じゃなくて。固太りで肥満を感じさせない身体。過剰じゃなくて丁度良い加減の自信がみなぎり、放射している。
 卓上は背の低い蝋燭で照らされていた。これはちょっと消えやすくて、我々のテーブルのも根性無しで、何回か消えた。プラの済んだ頃、それに気付いたトラマ御大が自らマッチを持ってきてくれた。「アンタの料理は凄ぇぜ」と言うと、お答えは「Domo Arigato!」であった。

 フロマージュは伺いも無し。そう言えば、回りでも見かけなかったなぁ、フロマージュ。好きじゃないのかな。ま~、そうでなくても、フロマージュを食べたくならないタイプの料理ではある。
MT6  Cinq Sens、素晴しい! フランスでいただいたデセールの中でも出色。軽く濃く面白く凄みがあってチャーミング! 田の字に区切られた皿に4品が並ぶ。高名な青林檎のクリスタルショコラの涙はマジで旨く、マラスキーノのような物は妖艶、コロナ・ド・トラマは葉巻好きのトラマらしく(葉巻のコレクションも有名。この日ばかりは、葉巻道楽に参戦していない我が身が残念)、ショコラブランで作ったマッチ、ショコラノワールで作った葉巻、薄く伸ばしたショコラで作った煙という、見立ての細工モノで、愉快かつウマい。
 8時半の口開けのまだ明青色の空は、次第にトラマ好みのマリンブルーから濃紺色を経過して暗く落ち着いていく。「ピュイミロールに来られてよかったネ」「トラマに来てよかったネ」と連発のワシら。賑やかなアジャンの上流階級(?)に負けじ、と頑張る(?)が、12時頃には夜風が日本人の皮下脂肪にはだいぶ冷たくなってきたか、と、退散。
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  Auberge du Vieux Puits  オーベルジュ・デュ・ヴィユー・ピュイ   ( Gilles Goujon  ジル・グジョン、ジル・グージョン )
  
Av.de St.-Victor 1360 FONTJONCOUSE 04 68 44 07 37 (Fax 04 68 44 08 31) www.gilles-goujon.fr
ferme vacance(aout?), dim. et lundi
Chef: Gilles Goujon
・ >2001年、ミシュラン2つ星に昇格 (2001)
Michelin 記載 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2001)
Michelin ○○/GaultMillau 16 (2002)
Michelin ○○/GaultMillau 18 (2008)

2010年、三ツ星獲得!

2001年 9月 ☆

 *カラマリと魚介のフリット
 *トマト・バジルのクリームスープ
 *トマトの温タルト・フィヤン&冷ソルベとパルメザンお焼き、オリーブとバジルのオイルで
 *アレネドメアとTortueのジュレ、オー・サフラン、海草のクレーム
 *モリュ・デミセル、豆のピュレとエシャロット、バルサミク・リダクシオンとポワトリヌ・コションのパリパリ添え
 *馬肉パヴェ、馬頬肉の山椒・ジャガイモ佃煮風添え
 *ショコラのアルページュ、フランボワーズ・ヴィオレソース
 *フォンジョンクスのベリー・メリメロ、黒オリーブコンフィ
 *フルール・ド・タンとオリーブとバニーユのソルベ
 +93 Corbiere / Chateau les Ollieux

VP1 ■Puymirol → Fontjoncouse____________________
[AQ!]
  PuymirolからValenceを抜け、適度に迷子観光しながらA62。畑の中の原発がフランス景色。東へ。昼飯食ったエールはLauragaisかな、観光船遊覧も出来るという大規模サービスエリア。Lezignanで高速を降りる。
 コルビエールのワイン地帯の真っ只中をシトローエンSaxoは進む。岩露出が目立つ丘や山が多く、草木の丈は低い。人を見る機会が少ない。スペイン国境も近い南仏の自然が、うっすらと荒涼感を漂わせる。その、荒涼が臭う方臭う方へとクルマを向けて行くと、フォンジョンクスFontjoncouseの村に辿り着く。…なんて言っちゃっていいのか知らんけど、村へのアプローチの最後の数十分間はホントに寂しい土地だ。

 Auberge du Vieux Puits(古井戸旅館)の、古くボロボロの看板を見て通り過ぎ、新しいピカピカの看板を見て通り過ぎ、「ここを右折Fontjoncouseへ」の看板を右折してから、道は山道と呼ぶのが相応しい登りとなる。細い。小型車同士でもすれ違うのは無理かな、という細さがしばらく続いたりする。のふちでもガードレールがあるわけでなし、踏み外したらそのまま落ちてきそうだ。谷を渡る石積みの橋も、可愛い見た目が嬉しいが、やけにか細く感じられる。
VP2  …しかしまぁ、時に山奥の温泉までクルマを飛ばす日本人ドライバーがビクーリするほどのことは無いのだが、ま、こんなに辺鄙な所とは思ってなかったあるよ。観光ドライブとしては、結構、オススメ!

■ Fontjoncouse____________________
 Fontjoncouseは山の上の集落、って感じかな。Puymirolを小さ~~くしたような。中心部を通る通りは一本で、ちょっと進むと右手に「古井戸旅館の駐車場」と見えてくる。クルマを乗り入れると、左側にレストラン棟、右手に一段高くなっているのがホテル棟、と見てとれる。ホテル側斜面はまだ工事中。ホテル入口が何処なのか見当つかないので、レストランレセプションに顔を出す。ぼんじゅ~。背は低いが何やらやる気満々のマダムが出てきた。古井戸旅館を経営するグジョン夫妻、その夫人に間違い無いだろう。
 一旦外へ出て右・右と回り込み登るとホテル入口だ、と言う。クルマを回す。ホテルパーキング・エントランス、それぞれ工事中。工事が完了しても、「フロント」はレストラン受付が兼ねる作りみたいではある。
VP3
 新築のにおいが、まだプンプンとする部屋「Thym et Citron」に案内される。オ!オ!オ!オ!オ!こりゃ良い部屋だぜ。テイストは南仏調でモダン、軽くてアートっぽい。「こりゃ若いOLさんなんざ、百発百中で死ぬよ~ん」と笑うへべ。三角屋根で天井が傾斜しているが、一番高い所はすげぇ高さ。宿泊代650FFと安いし、いい具合の山深さは、観光目的でも魅力アリです。
 ええと、実際、新築なのである。ここAuberge du Vieux Puits(古井戸旅館)は、Aubergeを名乗りながらも、これまでRestaurantオンリーの業態であった。宿泊施設を追加して名実ともにAubergeとなったのだが、宿泊部営業は、聞いてみると「7月に始めたばっかりなんだよ」とのこと。
 この店に興味を持ったきっかけは、2001年版ミシュランでの「2つ星昇格」というニュースであったのだが、ネックとなったのは(ミシュランを見てもゴーミヨを見ても)「レストランだけ」&近くにめぼしいホテルの無いこと。「う~ん、宿泊が遠いとちょっとめんどくさいかなぁ」などと言いながらwebを彷徨っていたある日、「ミシュラン2つ星獲得でノリノリのグジョン夫妻、今度は隣接したミニホテル建設に着手」とあるニュースページをみつけた。ここに泊まれればこれ幸い・物は試し、と出したFAXが、この新築の部屋まで我々を導いた。
VP4  部屋からそのままテラス、そのまま庭に出られる。ちょうどレストラン棟パーキングを見下ろす位置。庭の真ん中にはプールが完成しており、「レセプションで水着も貸しまっせ」と若いスタッフは言う。たしかにこの日の陽射しは強烈であるが、山の清涼…っつうか冷涼な気候であって、プールに入ったら寒いと思うのだが。

 近所を散歩。蜂蜜屋さん。この辺りから地中海沿岸にかけて、養蜂が盛んなのか、よく見かけた。葡萄畑でつまみ食い。ここの葡萄は食用にもなるな、って甘さ。
 山の上の廃虚まで歩く。裏の壁が一部崩れている。そこから回り込んで正面へ。う~ん、古そうだ。と、何処から現れたのか老婆が、
VP5 「あらアナタたちはどっから来たの?ジャポン!?あらまぁ。何しに?良かったら中を見ていかない?」
 …中?え、中って?…廃虚の中?…、と、バアさんは扉を開き、すると廃虚の中は…現役の教会なのであった。ありゃま~。これだからヨーロッパって奴は。12世紀にどうしてこうして、という話であった。拝み方も知らぬブディストのワシらは見学しか出来なかったが、バアさんには丁重に御礼を申し上げて退去。
 教会を下って山の反対側の葡萄畑。手入れを怠ったり、見捨てられたりした葡萄は、妙に「野生化」したような姿が面白い。
 部屋に帰ってシャワー。浴室も凝っていて素敵。変型でデカいバスタブ。

VP6 ■ Restaurant____________________
 頃は良し、レストランに突撃。大きめのサルはとくに区切りがあるわけでは無いが、奥の方半分がちょいクラシカル、手前半分がちょいモダンちょいファンシーなテイスト。全体にまぁ、フツーの高級店内装。ゴーミヨだかに「アートっぽい」と記載があった気がするが、たまに珍妙な置物がある程度(ホテル部の方が余程アートくさい)。ワシらはサルの真ん中近辺、ややクラシカル寄りで壁を背負った良い席を貰った。ホテル宿泊組は、3,4組ぐらいか。その他の客は何処から来るのかねぇ、一体。まぁ、ナルボンヌカルカソンヌ(どちらもクルマで1時間はかかるか…)からか、この近辺のコルビエールで儲けているワインプロデューサー達か。老若入り混じっているが、全体にPuymirolTramaの客を少し庶民的にした、みたいだ。

 アミューズは烏賊リングフライ武骨。トマトスープ武骨。
 注文は、髭面のジル・グージョン御大が自ら取りに来た。アントレの一品を、大書してあるレギュムドジャルダンにしようとすると、
「ああ、それはガーデンサラダだ、タダのサラダみたいなもんだ、つまらんつまらん、他のにしなさい」
とのこと。遠来の客には、やはり、自慢の腕を振るった料理を、ということか。それでは、とアレネのジュレに変更して、決定。あ、それからそういえば、南仏巡りではここに限らずどこでも、料理注文時にデセールの注文まで取られた。そーゆー習慣なのかね。デセールは「ボクの自慢の」2品。
 ヒゲのジルは気の良い男で、妻ともども、やる気満々である。英語が随分と流暢だ。だから自分で注文取りに来たのかもしれない。翌朝にトシを聞いたら、
「ボクは40歳。このレストランを10年やってるんだ。ホテルはまだ1ヶ月だけどネ」
輝く瞳。何せ、本年度ミシュラン2つ星新規昇格だもんね。2つ星の報を聞いて、銀行家の資格審査のヒモも弛んだのかもしれないし。まぁ融資を受けるには、沢山の保険に入らされたであろう肥満体。その料理を食べてもわかるように、塩分も大好きみたいだし。
VP7  …と呑気で優雅な空気の中、好漢ジルの料理の腕もエクスランならホントに良かったのだが、どうも、ワシらは首を傾げることが多かったのではある。

 技術・才能ともに「?」である。品書き上の名乗りは旨そうなんだけどなぁ。技術に精細さ・力強さともに無く、凝った工夫に期待するも皿上には何のマジックも起きない。んで、五月蝿いことを言わずにガ~っと食って…も、マァマァ、なのね。もっとも「マァマァ」って曖昧な概念で(アタリマエだ)、「地方のミシュラン1つ星」だったら賞賛されるべきマァマァかも、という面はあるのだけど。2つ星になるとやっぱ、期待がかかるんだわなぁ…。
 とくにアントレの2品は、粗いし、旨さもソコソコ止り。
 美味しかったのは、の一品。タルタル以外で馬肉料理を見るのは珍しい気がして注文したのだが、アタリマエなことに、フランス料理の中では、鹿によく似た食材として機能している。ロティは勿論旨いし、馬頬を山椒で佃煮にしたが如きガルニも大変好ましい。どうもこのヒト、タイプ的に、プラのヴィアンドは上手なんじゃないかな~、とはちょと思う。
 フォンジョンクス近郊はベリーが名物らしく、デセールの一品は山のようなベリー。朝食にもベリーはふんだんに出ていた。いやぁ、いい朝だったな~。爽やか。やはり、清涼…というより冷涼で、9月アタマの快晴というに、「寒いなオヒ」とか言いながらテラスでいただいた。
 …。
 さて、2つ星昇格、正直言って、ミシュランお得意のトンチンカンな先物買い、という感を否めないのだが、ま、いいや、この好漢夫婦のやる気ぶりを見ると、何とか成功を収めてはもらいたいものだと思う。…と何だかシツレイな日記ではあるが、古井戸旅館の客や経営関係者が日本語ページを読むとも思われないし、良かろう御家老。
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  Restaurant Regis et Jacques Marcon
  
43290 SAINT BONNET LE FROID 04 71 59 93 72 (Fax 04 71 59 93 40) www.regismarcon.fr
ferme 1er janv. au 15 mars, lundi soir sauf de juin-sept., mardi et merc.
Chef: Regis Marcon
ACC0 ・
Michelin ○ /GaultMillau 16 (1990)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2002)
Michelin ○○/GaultMillau 19 (2004)
祝!ミシュラン・ギドルージュ3つ星獲得! (2005.2)
Michelin ○○○/GaultMillau 18 (2008)

 此処んちの屋号はオーベルジュ・エ・クロ・デ・シーム(Auberge et Clos des Cimes : Regis Marcon)…だったのだが、新館完成・3つ星獲得に伴い、何となく、「Restaurant Regis et Jacques Marcon」「Hotel Le Clos des Cimes」って感じに変わったみたいである(^^;)。 (2006)

ACC1 2002年10月 ☆☆☆☆

 *サンネクテールのベニエ、グリヨトンのオーセザム、シャンピニオンのクロックムッシュ
 *シャンピニオン小フリットとクレームくるくる、シャンピニオン・ラタトゥイユ
 *シャンピニオン・ヴルーテ
 " Le Menu entre Velay et Vivarais "
  - Sur le theme des herbes et des champignons d'Automne -
 *Gateau de cereales aux champignons et legumes marines, tapenade forestiere et vinaigrette au parfum de noisette.
 *Compose de langoustine et coquillages en mariniere d'herbes sauvages facon " soupe au chou ", mousserons (Oreades) et lactaires delicieux (Lactarius deliciosus).
 *Croustillant de foie gras aux amandes et marmelade poires, pommes escabeche de lentilles vertes du Puy, des fleurs, des radis, carpaccio de cepes (Edulis).
 *L'Omble Chevalier cuit meuniere aux deux chanterelles (Cibarius et Tubaeformis) releve d'une vinaigrette a l'huile de champignons grelles, beurre d'oxalis.
 *Consomme de Craterelles (Trompettes de la mort) parfume a la feuille de tanaisie.
 *Sorbet des Champagne rose
 *Le filet de chevreuil poele aux airelles, coings caramelises avec une papillote pistachee aux cepes (Sparassis crepus, Pieds de mouton et tricholomes pretentieux).
 *フロマージュ・フレ
 *アヴァンデセール
 *バナナとキャラメリゼモリーユのバニーユ串、ソルベ・ド・ココ
 *ショコラアメール、赤い果実、ソルベ・ド・カシス
 *シャンピニオンのクレームブリュレ、シャンピニオンのショコラ
 +99 St.Joseph les Clos / Florentin

ACC2 ■ Saint-Bonnet-le-Froid____________________
[AQ!]
 アノネからTwingoはひたすら山を登る。クネクネと登る。千尋の谷が深く、踏み外したらそれまでヨ。当然の如くに眺望は絶佳にして気分は激しく盛り上がる。
 もっとも、翌日判明したのだが、Saint-Bonnet-le-FroidからPuy方面へ降りる道はなだらか。全方向に急峻ということはあまりないマッシフセントラルである。Saint-Bonnet-le-Froidはこの近辺では「ほぼ山頂」に感じられる。集落に入るとホテルやレストランが何軒か続く。昔から「ごく小規模な観光地」といった位置付けだったのだろうか。深い谷の向こうに、「山また山」が望まれ、大変に気分良い。谷でない側にはのんびりと牧草地が広がり、牛が草を食む。
 教会の隣にAuberge et Clos des Cimesを発見、とりあえず教会前に車を停めて、茸の看板の玄関を入り、ボンジュール。山の宿とあって、ファーストコンタクトからのんびり気分だ。
 案内に従い館内を進む。サロンを通り抜け食堂に出た所に、地下へ下りる階段がある。下って回り込むように進むと、薄暗い廊下は、右手壁面に絵画・左にワインカーヴという造りで、優れて洒落ている。この地下廊下は地上レベルで考えると、道を渡って隣の建物に移動していることになる。隣の建物は買い足したのかな。
 廊下をさらに進むと右手に中庭が現れ、左手が朝食食堂、突き当たりに客室が並ぶ。すなわち、地下レべルを歩いていたものが、山の斜面に突き抜けた位置まできた訳で、そこに客室が配されている。
ACC3  「茸男」「茸馬」やらの絵画が各部屋毎にテーマとしてかけられたドアを開け入室すると、遠くの山々がドッカーンと窓から一望…山岳旅行のゴチソウだ…空が青いぞ…とりあえず笑ってみるかワハハハハハ(…と果てしなくゴキゲンに…)。テラスに出てみると、すぐ下は牧場になっていて、馬がゴロチャラしている。
 部屋の造りが麗しい。曲線を活かした寝室とリビングの仕切り、石敷きのリビング、木と石と布材の案配、ベッドの後ろに大きく絵画調タペストリ、一部ガラス貼りの浴室で山を見ながら入浴…。
 「うーんこの部屋好き!この部屋好き!」と繰り返すへべである。関係ないが、Georges Blancでは閉まったキリで役に立たなかったオートマ部屋金庫が、ここでは使えた。もっとも、物盗りがいるとも思えん田舎村だが(笑)。バスタブが1/4円の形で、どっかで見たような…そう、FontjoncouseGoujonの宿と同じ。他にも似ている節々があり、「グジョンは昨年のホテル新設にあたって、同じく山の宿であるこちらなども大いに参考にしたのではあるまいか」…というのが、我々の推測。どうせなら料理も大いに参考にしたまいチミ、というのが(後々の)我々の意見。

 そうだ、旅のスケジュール立案の話も書いておかねば。
 リヨンから車で半日移動半径内ほどの高級レストランは「月曜休み」が大原則である。この地方の地域的な習慣だろうか。ちょっと行ってみたい店は、軒並み月休。我々のように過密スケジュールで絨毯爆撃する貧乏人の旅程組みには障害となる問題だ。而してしばらく思案を繰り返すうちに気が付いたのが、Auberge et Clos des Cimes"夏の稼ぎ時は月曜も営業"と言ってるらしき但し書き。これが"9月まで"ということで、エイヤ!と「9/30月曜はどーよ?」とリクエストを出した所、9月の最後の一日まで営業原則は適用されていたようで、OKの返答。効率よい日程が立った。

ACC4 ■ Regis Marcon____________________
 さて、山の夜。
 暖炉前のサロンでシャンパンを傾けながら、昨年のゴーミヨ"Chef de l'annee"レジス・マルコンのカルトを拝見するとする。
 この大自然の中、Saint-Bonnet-le-Froidで生まれた山の人レジス・マルコンは、茸を愛する料理人という。季節は秋、先ほど近所をちょこっと散策しただけで、唸りをあげて地中から枯葉の影から生えてくる茸がみつかった。「あ~やっぱり茸の山なんだねココは!」と相変わらずワシらの感想は脳天気だが、こうなると注文に際しても気にかかるのは、、、、。
 そう、そーゆー諸君には、「ムニュ・ド・秋の茸と香草」!! これだよね、やっぱ、ウン!! …とオーダー一決。

 アミューズ盛りの皿が到着。サービス君はまずは楊枝が刺さった一口コロッケを指し「サンネクテールのベニエだ、つまんでみてチョ」とのこと。パクッ。ウワーっ!
 正直、これで本気になりますた。単純ながら揚げが素晴らしい。近年、"tempura"の洪水じゃないけど、ちょっとした揚げ物がよく供されるのだが、揚げほど質がバラバラな物は珍しい。多分、デフォルトでは、フランス人には揚げの感覚は希薄なんだろう。星付レストランでも悲惨な物が幾らでも出る。ところが、僅かに存在する"イケてる"人の揚げ技術(指導)は、素晴らしい物がある。此処んちのが、そう。
 アミューズはどれも旨く極上。衿を正す。ゴーミヨ「今年のシェフ」というのもウチには今一つ信用が無いのだが、実際に口にした現実というのは恐ろしいものだ。そして、アミューズは真実を映す鏡である。たかだかオツマミに加重をかけるのは野暮なことであるが、アミューズの具合にその店の質や個性の在り方が如実に現れちゃうのが、ほっとんどのフランスの高級店における事実だ。
 「全く、アンリルーのアミューズは腑抜けだったよな~」と麓の店の回顧悪口を言っていると、レジス・マルコン氏が最初の軽い挨拶に登場。中肉中背で、とても優しそう&穏やかそうなタイプ。握手すると手も柔らかい。「優しいね~、レジさん」。この時から、それまで未定だったレジス氏の我が家の家庭内呼称は「レジさん」と決まった。何故か、「レジさん」、がピッタリくるカレ。
ACC5  (左写真がそのレジス氏。午前中の雑用タイムの姿。ピンボケですが、何ともお人柄が出てるような気がして大好きな写真です。この構図になると、ロワゾー氏やヴェイラ氏は、そのデカい手でワシらの肩をギュッと抱きしめてニカ~っとカメラ目線で笑う訳だけど、どうです、このレジさん! そうそう、記念撮影で思い出したけど、トラマ氏は、「旦那はもうちょいそっち側…そこそこ…そこがいい、デッサン構図がこれで奇麗だ」って仕切ってました。みんな妙に性格出てっしょ?)

 シャンピニオンラタトゥイユはラタトゥイユと説明しながら、スッキリとした軽い炒め煮に茸が香って快い。
 カルトドヴァンには何の期待もしていなかった。これが、手渡されたカルトを開けるとなかなかの気合い。新興のリストではあるが、良い感じ。"南の3種の神器"と勝手に呼んでいるカテランオマージュムンタダが見事に揃い踏み。まだ若くて出番を待っているが。
 97のGaubyVVにでもすべかとソムリエに聞いてみると「このムニュには重くて凝縮しすぎていると思うがよいか? よろしければサジェストさせていただけるか」と、若く熱心でスマートな口調。コヤツは信用できそげ、と、「フムフム、試みたまい、ローヌ赤かな」と願うと、指先は案の定、分厚いストックを誇るSt.Josephに向い、幾つかのサジェスチョンが述べられる。その中で、ビューティフルという表現だったフロランタンに。

 さて、サルへ。と言っても、ここんちでは、サロンから目と鼻の先に我らがテーブル。全般にコンパクトな店なのら。落ち着いてパッとしてよろしいサル。薄いカーテンのくすんだ色合いと、明るめだがコントラストある照明が力があって、昼間見たときに「ウ~ン、どうでしょコレ」と思った調度(赤い傘緑の傘…)が活き活きと見せられているのがわかる。また、どこと限らず絵画が多く配され、とても効果を上げている。
ACC6  趣味がいいんだよね。テイストに関しては色んな絵が混じっているのだが、全体バランスで美しく見えるように置いている。思い返すと、部屋の「サービス一覧」の紙の裏に「絵画と料理」by Regis Marconという小文が載ってたりしてて、ホントに趣味らしい。そう言えば、厨房が、本館側にメインキッチン、新館側にパンなど含めたパティシエと分れているのだが、菓子部の隣にデッサン室があった。料理のアイディアスケッチ室かもしれないが、絵を描いてみたりするのやも。

 ヴルーテ茸の精
 テリーヌ。ワ、包丁が細かいわ~。下に穀類(どうもキノワらしい)を敷き、それは少しだけモヤシを吹いている。上に野菜と茸を精妙に貼りつめ、その位相を裂く赤い炎はカリカリのポワブロンルージュ。パクッ。「ワワワワ、大変だよ、へべちゃん!」。涙腺にコタえる。これは半端じゃない。美しい。何てこった。間違いなくトップクラスにいる料理。それぞれの要素が山を吹き抜ける風のように香りを奏でる。
 ここまでにも感じていた料理上のシグネチャを一層際立って印象付けるのは、味わい上の「優しさ」である。優しい。香りのキレがピンピンと立っていても柔和。それはクレームやレの成分による優しさではなくて、香り油と酸のストラクチャから成るのだが、その組み合わせが、刺激や強靱さよりも、何か優しさを湛えているのである。
 ホントにこれは、表現の予定調和をする気は毛頭ないが、「あのレジさんの料理」なんだよん。あの人柄の通り。後々、再度の挨拶をしたが、このヒトは、話の通じる人。シャイな内気の成分は無いが含羞、気さくではあって温和。
 それでいて。人の良い優しい感じの料理というのは、往々にして、どこか緩い所がある物だが、それがみつからない鋭さがある。
ACC7
 …。実は大変奇偶なことに、この2日後、我々とレジさんはMichel Brasのサロンでバッタリ出会うことになる。
「ウッソ~~!」
「やぁやぁ、こちらに来ていたか貴方がたは。ボクはね、ミシェルとは友人でね、今日はこの辺りに茸採り、茸買いに来たんだよ。あの、向こうの山では、"matsutake"(シッテルダロ?)が採れるんだよ」ニコニコニコニコ
 マルク・ヴェイラが「ヲ!ミシェルか、奴は俺の大のダチさ、山の仲間はいいよな、フォフォフォ!」とか言ったりしたら「ホンマかお前、向こうもそう言ってんのかよ」と突っ込んでみたくなる(ような気配がある)のだが、レジさんが似たようなことを言うと、ホンマに2人はアミなのね、って感じが漂う。
レジス、君は何でいつもそんなにニコニコしてるんだい?」
「そーゆーミシェルはムッツリしてるよな~」
とか言いながら、楽しく2人で茸狩りしてる…、みたいな。いや、ワシの勝手な妄想ですが。

 茸のカルパチョとは何ざんしょ。生の茸をただ薄~く斬っただけ。いい香り。
ACC8  魚はオンブルシュバリエ絹のタッチに夢の膨らみ。見事な肉質と加熱だ。ソースのベースはオランデーズのようなオーソドックスな物だけど、トレ・レジェ。上手!
 茸の道はデセールまで続く。山のモリーユはバナナと串刺しの刑になって日本人に食われるとは、ひっくり返っても想像できなかったろう。
 茸クレームブリュレ茸チョコも「おしるし程度」どころでなく、プーンと胞子の花が咲くが如くに茸の香りが満ち満ちて、驚くことに美味。量的に立派なムニュの最後とあって腹は苦しかったけど。

 翌朝、寝ボスケが遅い朝食を取っていると、トレーナー姿のレジさんが通りかかる。「貴方のキュイジーヌは凄い、とんでもなくてよろしゅうございます。サイコーだぜベイベ、とても良い」の如きウワゴト仏語を投げかけると、「そう言ってもらえるのはボクの喜びですよ」ニコニコ。いい人だな~、レジさん。
 ところで、マダムの方はキビっとして、少しヤリ手タイプなのかもしれない。昨日はキリキリとフロアを仕切っていたマダムに会計を頼む。お勘定は、内容からすると脱力するくらい安い。会計マシンはiMacでした。

(2002秋 Vonnas"Georges Blanc" → Saint-Bonnet-le-Froid"Auberge et Clos des Cimes" →  Laguiole "Michel Bras")

2004年11月 ☆☆☆

RM  ←は建造中の新館(2005春オープン予定)。建物のすぐ先から急に山腹は下っており、よーするに大絶景(笑)となります。


[↓メモ版:工事中]
[へべ]
●秋色の山道をウネウネたどり、サンボネルフロワ(おお寒そうな地名であることよ)に向けてひた走る。霧たちこめる谷間から山の上へと進むにつれていつしか雲の上に出た。陽光燦々。そうこうするうちに谷も晴れ渡り、絶景! わーきれい、きゃーすてきと騒ぐ助手席をしりめに、健気なおとーさんとYarisはずんずん前進していくのでした。ついに見えてきた、懐かしの寒村。丘の上で何やら工事中で、これがウワサのRegisさんの新館かも。
●今回の部屋はなんとかサタンという茸の名前。アダムとイブと誘惑のキノコ的表札の絵柄で、室内の大きな絵も官能的な裸婦。コイビトたちの20号室ってとこか? チェックのクッションのソファがあいもかわらず、素朴で愛らしい。
●丘まで散歩。さ、寒い。気温が低くて、風もツメタイ。今回最大の重装備で出たけど、頬が耳が冷たくてやっぱり丘のてっぺんあたりで折り返す。新館と思しきその辺りからの眺めは最高。ブラスが町の中から丘の上へと移ったのをなんとなく連想するが、こちらは旧館も併用になるコンパクトな展開。…かな?
●サロンの、暖炉の前のソファでアペリティフ。目の前に、続々と到着する客また客のその数におどろく。この日の大サルには7人卓(しかもアラカルト)・10人以上のコース卓、さらに個室に14,5人くらいの超大人数御一行様というにぎわい。11月のフランス人は大宴会好きなのか?
●サロン隣席に日本人の若い男性2人。翌朝、うち1人がナプキンにせっせとリボン結びしてるところに遭遇。聞けば、この杉本兄弟、フランス語ペラペラ在仏6年のヒゲの弟氏がトゥールに友人と店を来年に出すのだとか。兄氏はサービス修業中でこのあとはムジェーブに行くそうだ。

●料理は、やはり秋の茸のムニュにしてしまう。この前食べた10月バージョンとはかなり違うようだし。あれもこれも食べたいし。
●アミューズ。まずナッツ。炉端でナッツ、というのがとても気分。ここからすでに精度が高い。揚げアミューズもカラリと絶品。
●Regisさんの料理はやっぱりすごい。おそろしく手の込んだ精妙さと、しみじみとした大地の滋味がどちらもそこにある。ソースは極限まで切り詰めたストイックな構成なのに、深い味の広がりにため息が出る。おのれに厳しく、食べ手にあたたかくやさしい。そしておそろしく知的な、考え抜かれた料理が、コントロールの手を決してゆるめることない緊張の中から次々に運ばれてくる。オンブルシュバリエのしっとりとした肌にオイルが香る。茸そのものよりも茸なコンソメ。シュブルイユの肉(極上!)はロティで。グランヴヌール調の煮込みは茸の泡帽子をかぶって小さなグラスの底から顔を出す。
●オンブルシュバリエ 3種のシャントレルの説教? ...Lecture
キノコの粉? ピュレとか シャントレル黄/黒(とくにうまい)/茶
●シャペル様はごっつい。丘の上のLe Chapelleを拝んできたよしみで…といただいた88だが。

[↑メモ版:工事中]

(2004秋 Grange-les-Beaumont "Les Cedres" → Saint-Bonnet-le-Froid"Auberge et Clos des Cimes" →  Vezley "L'Esperance")
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   La Cour de Ferme  ラ・クール・ドゥ・フェルメ
  
Route de Cadenet 84160 Lourmarin  Tel. : 04 90 68 11 79 Fax : 04 90 68 18 60 www.reinesammut.com
Chef: Reine Sammut
・
 フランスの誇る女性シェフ Reine Sammut 率いる「Auberge La Feniere」が併設するビストロ。ガストロノミックレストランが休む冬も含め、通期営業している。2009年現在、通常ムニュが35ユーロとお値頃。

2009年12月 ☆

 [Menu du reveillon 80eur hors boissons]
 *Amuse-bouche
 *Foie gras de canard en terrine, pain de campagne toaste
 *Vol au vent de brandade de morue truffee
 *Volaille fermiere en demi-deuil, riz parfume
 *Calisson au roquefort
 *Baba au rhum, fruits exotiques et sorbet passion


[へべ]
 ラ・クール・ドゥ・フェルメは田舎家/農家の納屋風?のばーんと大きなビストロで、大みそかは(毎週末やってるらしい)ロックンロールナイトのボナネ特別版つきディナー。

 スペシャリテうさぎのリエット、チーズパイ、パルメザン(とパプリカ?ひょっとして)の台にスモークサーモンが各卓にセット済み。
 8人、10人といった大人数卓がめだつのもサンシルベストルならでは?

 クレームを浮かべた栗の小さなスープ(いい香り!プラスチックのピッチャーで注ぎ分け)、片面こんがり焼いたパンエピスといちじくコンフィチュール、チョコソース(皿からとるのに一苦労するかたさがよく似合う)を添えたフォアグラのテリーヌ。
 こんがりトーストの輪っかに詰めたブランダード。モリュにフランスのうまいポムドテールたっぷりにトリュフ風味で、ちょっぴり酸味のソースを添えてある。

 プラは鶏のドゥミドゥイユ。きのこのデュクセル?を巻いた白い胸肉のソーセージ風(ソースおいしい。おかわり希望)と腿肉のこんがりポワレ?(粉をまぶしてあるのか、味わいはフライドチキンぽくもある)に味つきライス添え。
 AQ!「フランスの、おいしいもの!って感じ」 まさにそんな食べごこち。新奇なテクニックも斬新な素材もなく、しみじみおいしい。味がいい。

 デセールはラム酒たっぷりのババ。このころにはMidnightまであと10分。
 ここでやあやあやあとバンド(夕方リハをちゃんとやってた)登場。
 踊る人々。年配組が、“昔とったきねづか”的にいそいそと立ち上がって踊りだす、いい眺め。
 午前2時ごろまでゆかいに騒ぐ。


[AQ!]
 バンド、散歩から帰ったら、リハしてた。
 本番は23:50くらいから。一曲目途中でワラワラと人々が立ち上がり、ビズー。自主的カウントダウンで、ボナネ!…となる。

 サンシルヴェストル。
 オープニング指定の20時ピッタリに行くと、一番乗り。
 20時半で半分くらい埋まる。最後はコンプレ。100席弱ってとこかなあ。ちょいアーリーアメリカン調の、農家風の内装。
 「フランスの美味しいモノ」感が横溢するサンシルヴェストルムニュ。

 ラパンのリエット、サーモンクッキー、チーズスティック
 シャテーニュスープとブランダードドモリュは、ことのほか美味い。いぶし銀。
 05 Crozes Hermitage / Alain Graillot 二杯 鶏・ロックフォール
 Cote de Rhone blanc / Tardieu Laurent ブランダード
 ミュスカ豪 フォアグラ

 パリのホテル内レストランの500ユーロみたいなサンシルヴェストルを白々しく送るくらいなら、ビュンと飛んで此処の80ユーロで過ごすべし。より美味しくてより楽しい。ほぼ、ガチで。

 どうせみんなRock'nRollタイムまでいるつもりのくせしても食べるスピードなど、まちまち勝手気ままなのは、フランス人である。

 トイレはカサペパ式で別棟 頭にも気をつけて。

「ヌソン・レザミ・ド・NoNo!!」
 は効いた(笑)。 (「ノノ」、は、フニエールで実質的料理長まで勤め上げた学芸大「オリヴィエ」の尾上シェフの、こちらにいた頃の愛称)
「ヴィアン・ド・東京」
 と言ったら、
「数年前にイセタンでフェアしたのよ」
 と。ヴァイタルで明るく元気なオッカサン。

 AG.Vo(モラウさん)+EGx2(出来損ないエイドリアン)+EB(渋オヤジ)+Dr.(咆えるように歌う若者)
 ホワイトルーム

 翌朝見ると、ガストロ・レストランの方の壁には、若い頃から今までのレーヌの写真が貼ってある。
 ウォーホール調レーヌさんも、ホテル棟の部屋の一点モノの絵がカッコいい。
 ルールマランに数多くあるギャラリーで仕込むのかな。

[へべ]
 「ラミ・ド・Nono!!」

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   Le Jardin des Sens  ル・ジャルダン・デ・サンス
  
11-15, avenue Saint-Lazare ・ 34000 Montpellier  T. +33(0)4 99 58 38 38 ・ F. +33(0)4 99 58 38 39 www.jardindessens.com
Chef: Jacques et Laurent Pourcel
・
2009年12月

 [Menu Sens & Decouverte]
 *Le troncon de rouget, houmous a la menthe.
 *La salade de pistes rafraichie d'une gelee d'ail.
 *Le petit oursin farci de crabe, creme legere de son corail.
 *Le troncon de homard a l'oriental, cannelloni de betteraves au celeri et figues, emulsion coco.
 *La noix de Saint-Jacques cuite en coquille, fricassee de legumesau caviar d'Aquitaine, chips de vitelotte.
 *Le jaune d'oeuf tiede, confit d'oignons doux au thym, espuma de pomme de terre, emince de truffes(tuber Melanosporum).
 *l'escalope de foie gras de canard poelee, polenta rotie, compotee de kumquat, vinaigraette tiede au Muscat et pamplemousse.
 *Le filet de sole roule et roti au beurre, tartare d'huitre a la coriandre, et citron doux, jeunes poireaux.
 *Le sorbet en fine amertume d'agrumes et champagne.
 *La noisette de chevreuil rotie et son civet, fine puree de chataigne, tombee de choux rouge au vinaigre, jus facon poivrade.
 *La selecrion de fromages affines.
 *Nos desserts et gourmandises.

[↓メモ版:工事中]
 アミューズ、最初の一口で****。思えば、わずか30秒で勝負のついてしまった店でした。以前は良かった、と色々な筋から聞くのですが…、様々な事情は厳しそう、かな。
 ホテルサイドのスタッフは感じいいんだけどね。

 まあ、これで(も)、材料費と部門シェフの給料をアップすれば、何とか三ツ星…とかだったかもしれんけど。
 材料グレードは、かなり落としているとしか思えん。ルジェ、ユイットル、フォアグラ、トリュフ、オマール、、「え、どうしたの?」って感じだ。二つ星としては…
 魚介は(日本人としてはかなり許容力のある)「俺らでさえ」、少し臭いモノが多い。イカは良かった。
 あんなオマール…を使うくらいなら、ちょっとは良いラングストでも…というのが本来だと思うのだけど、そうもいかない、ということなのだろう。
 とはいえ、宿泊からゼーーンブひっくるめて688ユーロ。ユニクロ商法のようだ。
 意外なことに客席は盛況、かなりの入り(これで材料買えんの? 三ツ星がらみの借金がでかいのか? Hらまつからゴッソリ取れてないのけ?)
 なんか、作り置きするタイミングも悪そうなのが多かったなあ。カトラリーは特注特製品みたいで、重厚、かなり重い。刃は丸いタイプなのだが、料理の方はスパっと切りたいものが多く、相性としては疑問。
 ホテルセクションのスタッフはなかなか感じが良いが、レストランセクションは個人差大きく、けっこう駄目臭もする。まあ、フォルフェの客なんか、餌まいてるようなもんなのか。ビュルイーゼルを思い出す。このサイズの「都市臭」なのかもしれない。
 日本人の扱い…、にも多少の疑問が残る。理由が色々考えられて、ナニがナニして複雑だが。

 15分ほど歩くと、市街中心地。逆に中心から見ると、「町はずれ」くらいの位置。
 プールセル兄弟はブラスとトラマのスーシェフ上がり(すごい経歴ではある)だが、割と古めの料理に見える。ロブションあたりの料理にちょっとだけ新しい衣装を着せたような。
 酢バターの懐かしい帆立など、このレシピでも、ランブロワジーの厨房に持ってって作ったら神々への捧げ物になるやもしれんけど、惜しい。残念のてんこもり。
 料理・サービスともに、二つ星も苦しい面が幾つか見られた。クレアシヨンについては、まったく感じられない。

[↑メモ版:工事中]
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  Michel Bras  ミシェル・ブラス
  
Route de l'Aubrac 12 210 LAGUIOLE 05 65 51 18 20 (Fax 05 65 48 47 02) http://michel-Bras.fr/
avril-oct. et ferme mardi midi, merc. midi sauf juil.-aout et lundi
Chef: Michel Bras (1946-),Sebastian Bras サービス:Ginette Bras,Veronique Bras
・ 「感動」という心の動きを、これほど強く感じたことがあっただろうか。 (1999.4)
ミシュラン3つ星獲得は1999年。
Michelin ○○ /GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)

参考:メールのページ

1999年 4月 ☆☆☆☆

 *ジット・ド・ブフのカルパッチョ風
 *鮭と白身魚のマリネ、サラダ仕立て(ハコベ似の野草添え)
 *Le gargouillou de jeunes legumes, dit "classique", releve d'herbes champetres et de graines germees.
  季節野菜のガルグイユ(レンティル他のモヤシ、赤黒い草、緑アスパラ、細ポワロ、蕪、生ハム、カリフラワー、ズッキーニ、親指姫の草、赤ピーマン、新玉葱、)
 *Sur une tarte aux cebes, le filet de turbot etuve; huile d'olive en creme, plants d'oignons et olives noires.
  トゥルボのエチュヴェ、玉葱のタルトとポワロー、薬味葱、黒オリーブのモロモロ
 *Le foie gras de canard poele; pois & gousses sans-dessus/sans-dessus, touches de balsamite et de tanaisie.
  キャナルのフォワグラのポアレ、緑のソース、さや豆の細切りと香草
 *緑アスパラにノワゼットのはかま、トリュフソース
 *仔羊のカタクリ(の仲間)添え、フロマージュフレ玉葱、茶玉葱
 *L'aligot.
  アリゴ
 *Le biscuit tiede noisette-caramel "coulant", an 99, un sobet a la reglisse noire.
  ビスキュイ・ティエッド"courant"'99、黒糖ソルベ
 *Une banane dite frecinette rotie; bouillon de raisins et d'agrumes.
  温バナナとレーズンなどのぐじゅぐじゅ
 *Le Sorbet a l'angelique; tranche d'orange et sirop de citron.
  アンジェリークのソルベ、酸っぱいソース、赤オレンジ
 *凍りんご、ナッツ入クリーム、あんず、ショコラ
 *ショコラのクリームとリキュール入ミルキークリーム
 +花の香りのアペリティフ、シェリーのようなvin de voile
 +87 Chateau Montus Cuvee des Cimes / A.Brumont
 +アンフュージョン(ベルベンヌ、ミント)

MB1 [AQ!]
 クレモンフェランHertzのオネーサンと「日本の公安の、免許証の残存期間表記」についての見解が微妙に違う。オネガイシマスヨ。上司オジサンも入って、「私は免許取得15年以上である」の宣言をすることで、ルノー・クリオの、まだようやく1万kmという新車を借り受け、ドライブは始まった。車庫では、前面が他車で埋っていてのいきなりバックだが、クリオの「バックギアはシフトレバー中間のポッチを引き上げながら入れる」の入れ具合がわかりにくくて数分間の試行。誰も見てなくてよかった。まずはクレモンフェランからA75への脱出であるが、この経路はへべ「i」の気の良いオッサンと打ち合わせ済みであり、スイスイ。A75は快適で巡航120-140km/hで天気の良い野山を駆け抜ける。サンフルールからロデ方面へのD9への進路取りもへべナビでスンナリ、もろに田舎な道を突き進む。丘-牛-丘-羊-丘-畑-丘…、の連続はまことに気持ち良い。70-80km/hキープは容易で「まったくアンリ・ゴー(「悪路だ悪路だ」と著書で脅している、昔のことだが)の奴は何と贅沢を言うておるか」と呆れる。牧草地と山道を繰り返すと、82度の熱湯が湧くというショードエイグを通り越し、山道含有率が幾分増してくる。14:20頃にクレモンフェランを発った我々がライオールに着いたのは16:30
MB2  「ついにライオールに来たぞ!」
MB19  ライオールはソムリエナイフでも有名な刃物の町だが、ほんとに小さい田舎町。中心部には「牛の銅像」が屹立している。お牛様(^_^;)。実際、人口よりはだいぶ牛口が多い土地柄らしい。ブラスへは、ライオールの町を通り過ぎてさらに10分ほど進む。幾つか目の高い丘の頂上に近い辺りにキラっと光るもの。「あ、あれ、ナニナニナニ?!」。目を凝らすと、丘陵にへばりつくように延びるスレートの平たい建物、その先端部分は広いガラス面で出来た展望ロビーのような…それがミシェル・ブラスであった。ちょっと感動的。地面から生えてきたようであり、地表に降り立った宇宙船のようでもある。 (つづく)

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MB3  …(つづく)…と記したまま、3年が過ぎた(^^;)。いや。いやいや。いやいやいや。忘れた訳で無いのよ。とか悶々とするうちに、ついに追っ手が… …じゃなくて、問い合わせメールまでいただいてしまいました。

「ところで「ミシェル・ブラス」の書き込みがずっと…(つづく)…のままですが、是非続きを読みたいので、よろしくお願いします。」

 取りあえずの言い訳(^^;)が、以下。

 は、は、ははははは~。平伏。(^^;) がんばりまっす。ってゆーか、続きを書かなきゃ、は自分的にも課題になっとるんです。
 …ここまでの言い訳…じゃないけど、、、

一番好きなとこは、書きにくいんです ヽ(^~^;)ノ
 好き好き大好き~!、に尽きちゃうんですよね。
 いや、もう満足しちゃってるし、そうすると書くモチベーションの維持が…。
 「美山荘」の項も尻切蜻蛉で、「もっと書け~」というメールが…。

・多分ご覧になったかと思うのですか、ブラスんとこは
http://michel-Bras.fr/
 サイトがすげぇ良く出来てるんですよね。何か、何を書くより、ここを見れば、全貌がわかる、紹介になってる、で、この雄弁さにちょっと負けてしまう。
 なんてことがありまして。タハハ(^^;)。

 まぁ何とか隙を見てまとめてみようとは思ってます。ただ、訪問の参考という意味では、上記の通り、ほんとにブラスのサイトはブラスの店を完璧に表現しているように感じます。是非、ご覧下さいませ。

 …何てことを言ってるうちに、先に再訪を果たしてしまいました(^^;)。とりあえず、2002年版食った物を下↓にアップ(^^;)。

 それから、上記のメールをいただいた「 Toshi 」さんからは、フランス情報を中心に色々と教わったり交歓しています。転載可の部分をメールのページ「 Toshi 」さんコーナーにまとめましたので、ご覧ください。 (2002.12)
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MB6 [1999 Michel Bras 一口メモ]

ミシェル・ブラスその人は、写真で見ていた通り、ヲタク系学者系の容貌でまったくの無愛想、焦点が遠くにある視線。身体はけっして大きくないが、何よりも印象に残るのは、その(握手した)手の平の厚み。分厚い手だった。

●客室の軒先はそのまま山腹(丘腹、と言った方がいいか)であって、数歩踏みだすと自然の中にいる。そこから振り向いて宿泊棟のクールな外観を見ると、またカッコイイもんだからシャッターを押すのだが、その肉眼の印象の、フィルムに写らないこと…(^^;)。写真だと"ホニャララ保険軽井沢保養所"…みたいになってしまう。これに限らず、Brasは写真に納めることの難しい店だった。それが何故かと考えると、その核心が「質感」から成っていることによるのだろうな。その「質感」をフィルムに捕まえるのはなかなか難しい。

MB14ライオールは刃物の街、Brasのクトーも切れ味鋭い。Brasではこの地方の習慣にならい、クトーは使い回しである。数皿を通して一本のナイフを使い回すことは、ビストロランクではよくあるが、高級レストランでは大変に珍しい。Brasの、随所に見られる「高級フランス料理とは少しズレ」ている点の一つ。この店の料理は「土地の料理」「私の料理」の掛け算であって、「フランス料理」への拘りは薄弱だ。1990年頃には既にゴーミヨや多くの評論家から「フランス最高の一軒」と評価されながら、ミシュランの3つ星獲得が1999年と遅かったのは、この辺りにも一因があろう。さらには現在も、この店は、3つ目の星にまるで頓着してないように見える。正直、「Brasのためにもミシュランのためにも」この店はずっと2つ星のままで良かったのではなかったか、と思ったりもする。

●すなわち、非常に単純な言い方においても、Michel Brasはとても「個性的な店」であり、「好き嫌いの出る店」である。

MB5 ●そういえば、客室内装を写真に撮ると何だか殺風景に写るのが悔しい。壁を飾る絵画や装飾品がある訳でなく、カラフルな色彩も無いから、素人写真には厳しいのである。実際には、ウットリするほど素敵な部屋なのだが。その魅力は…やはり、「質感」にある、と言えばいいだろうか。

●メートルだけでなく、「ソムリエも皿を下げる」タイプのサービス布陣。甲斐甲斐しい。テーブル担当や役割担当に関する考え方が他所と違うようだ。テーブル毎への担当貼り付けの意識が薄く、何処の卓にも目を利かしてサービスする。一番単純な「お運び&捧げ持ち」に関してはフレッシュマンの仕事と決まっているようで、彼らがトレイの"捧げ持ち体制"に入ると、手の空いているメートル&ソムリエ陣が寄ってきて、そこから(あまりテーブル担当に頓着なく)口上とともに卓上にサービスする(たまにメートル達の手が揃って塞がっていると、困った顔の捧げ持ちクンの顔を見ることが出来る)。このシステムは、まったく見かけないサービス陣形ではないが、「フランスの3つ星」としては異色。シンネリとした親密感は湧きにくいが、キビキビと楽しくよく働くイメージ。ワシらは慇懃より此処の実用的純朴が好きみたいだね。仕事に対する態度が上から下まで皆が魂の入った眼差しなのを見ると、ブラス家がどのようなテツガクを薫陶しておるか、朝礼(笑)を覗いてみたくなる。この辺りはミシェルの担当なのか、ジネットの担当なのか? (ちなみに、洞爺でも「薫陶」を垂れているようである) ●簡素で純粋で追い詰めた料理だと思う。「簡素で純粋で追い詰めた料理」という言葉で思い出すのは、ベルナール・パコーミシェル・ブラスベルナール・ロワゾーの3人、これが極北だな。しかし、まぁ、三者三様に「簡素で純粋」の表現の、まるっきり違うこと! 料理って、深い。人間も、見事に三者三様、だしなぁ。「簡素で純粋」であることの「多様性」。人間の面白さ。

●料理をほおばっていたら、ダーと涙が出てきた。あー、フランス料理っ食いをしてて良かったと思った。パコーの料理以来の出来事だった。純粋な料理は人を動かすものがある。そして、それと、(この視点について触れるのはあまり好きでないのだが)「これは "色々と食って来ていなければ" わからないよなぁ」というのはある。過去の自分史の時間を慈しむ契機となるような所がある。…と文章にしてしまうと自己陶酔っぽくて困ったもんだが。 MB4カトランオマージュアンリジャイエだ…と平気な顔して並ぶワインリストは壮観。口あんぐり。カーヴまで凄いとは。安いし。ワインはジネットさんの担当だと聞く。夫妻は二人ともこの地方の出で、幼馴染に近いような夫婦、だったと思う。揃いも揃ってこんな才能豊かな…と驚く、というか不思議な感じ。
2002付記:再訪してみると、レアで高価な所がダーっと飲まれてしまったような印象も。未だ壮観だが、フツーに壮観って感じに。これはアレだな、3つ星(目当て)客が押し寄せてきてパカパカ高いの空けたからなんだろうな。3つ星になるって、こういうことなのか。俺ら的には「いい店見つけた!のその後」は星なんて上がらないでいてほしい…と思う。…と客は勝手なことを言う(^^;) それから、最近ではワインは買い付けを含めてソムリエ(名前失念)が仕切っているようで、ジネットさんは"総合監修"役、と言った所か)
(2003付記:洞爺に本店から送られたカトランを発見。狂喜乱舞して頂く。やっぱり此処のカーヴは余裕がある(^^;))

驚くような辺鄙な田舎に星付きレストラン…が点在するのがフランスであるが、実際に行ってみて、回りに人家がなく自然・牧草地に囲まれているだけの2.3つ星レストランは、そう多くない。ブラスはそんな一軒(普通は超マイナーな小村でもその集落の真ん中にあることが多い)。しかも小山の高い位置だから眺望良く、単純な「観光」の目として見ても素晴らしい。
ではあるが、オーベルニュ地方ライオール近辺は、フランスきっての寂しい田舎であるようで、ゴーミヨミシュランの全土地図を、例えばドライブ巡りを念頭に眺めて行くと、このライオール辺りほど、ガラ~ンと魚影(星影?)が薄い土地は無い。「星巡りの旅」には厳しい土地である。

MB15 ●部屋に運んでもらう通常の朝食も極上であるが、もう一つ、レストランの方で食べる10時くらいの遅い朝食というのがある("Le Dejeuner de 10 heures")。この地方の伝統的な朝昼食とでも言うべきものだそうで(お百姓さんはこれを食べてから夕暮れまでノンストップで働いたそうな)、内容はというと、内臓(牛胃各部かな)を縫ったボールをスッキリ味で煮込んだオデンのような物。このトリプtripousが絶品中の絶品。これを食べに再訪したくなるような代物。少なくとも連泊の人には、是非ともお勧めしたい。
1999年 4月 昼食 ☆☆☆

 *ジット・ド・ブフのカルパッチョ風
 *豚のジャレとフォワグラのテリーヌ、葉っぱ添え
 *鮭と巻貝のサラダ
 *牛肉とチンゲン菜、アリゴ
 +89 Domaine de Chevalier 1/2

[AQ!]
 それにしてもビッツラこいたのはビフテキだよなぁ。ほんとに、俺らぁ、牛肉ってもんを知らなかったんだ、とつくづく思った。牛肉ってこんなに旨いんだ。

[へべ]
 アリゴもなー。
1999年 4月 ☆☆☆

 *ジット・ド・ブフのカルパッチョ風
 *セップの薄焼パイ
 *鮭と白身魚のマリネ、サラダ仕立て(ハコベ似の野草添え)
 *La soupe blanche aux Beauvais et au lait d'amandes; creme aux truffes et huile d'olive.
  スープ・ブランシュ
 *ラパンのサラダ
 *Le pigeon roti entier, qui s'epice de genievre, de poivre, d'orange et de sucre...
  鳩のロティ
 *Le millefeuille a la nougatine au beurre, creme "fromagere" et coulis au beurre "noisette".
  ヌガティーヌのミルフィーユ
 *nefles du Japon(びわ)のコンポートのファルシ、アーモンドミルク添え
 +91 Cote Rotie La Landonne / Guigal

MB12
2002年10月 ☆☆☆

 *Coque-Mouilletes
 *Tarte aux cepes
 *マンジュトゥ、ポトフなど3つのスプーン
 *Le gargouillou de jeunes legumes, dit "classique", releve de graines germees & d'herbes champetres.
 *Courge dite butternut au lait de noix & au jus de truffe.
 *La cote de Boeuf Aubrac - pure race - rotie a la braise ; beurre leger a la racine de persil,vert & cotes de blette.
 *Le biscuit tiede de chocolat "coulant" aux aromes de cardamome ; creme glacee au lait entier d'ici.
 *Le millefeuille a la nougatine beurree aux bananes ; creme acide aux amandes caramerisees au sucre de canne.
 *Mignardises:Menth chocolat,chocolat blanc,rhubarbe,courge,gingembre
 *Liqueur de lait & chocolat
 +97 Cotes du Roussillon-Villages la Muntada / Domaine Gauby

MB20 [へべ]
Auberge et Clos des CimesからPuyへ抜ける。こちらの道の方が、アノネ側より良さそうだ(切り立っている感があまりない)。故アンリ・ゴー氏にはこちらのルートをお勧めしたい。
MB9Puyの町なかにはすんごい岩山と教会。仰ぎ見ると相当迫力がある。登ってみたかったが残念乍ら丁度昼休みだった。
St-Flour経由でLaguioleへ。よっしゃよっしゃこの道はいつか来た道、と牛の広場を越えてロータリーから適当な道に入ると…あれれ、間違えました。ぐるーっと田舎道ドライブを楽しんで(結構な道のり)到着。こんなに早く二度目の訪問が実現するとは嬉しい驚き。
Brasの建物には本当に、ほれぼれする。灰色の石と、ガラスと、木と。今回の部屋は、丘を下る廊下を端まで進んだ"最前列"棟の一番奥。部屋に通され、カーテンをさぁっと開くと、この高い丘からライオールの風景が視界いっぱいに飛び込んでくる。事前にこの風景の中をあんなに走ってきていても、この瞬間には感動せずにはいられない。ガラス戸を開けて、そのままずんずん歩いて行きたくなる。やっぱり、ここは、凄いところだ。
MB8 ●部屋の調度も見事。今回の新入荷アイテムはオーディオセット。前面の扉を手前に開き、リモコンでスイッチを入れるとポッと白く灯りがともる。かっこいい。夕食を終えて部屋に戻るとこれがついてて、ラジオの音楽が流れてる、という仕掛け。ディスクも借りられるとのこと。
●実用面ですばらしいのが両側に扉のついたウォークイン・クロゼット。スーツケース置き場、棚、引き出し、くつ置き場、ハンガー、全身鏡…parfait! 使う荷物は全部取り出せるくらい機能的。そして部屋は(散らからずに)きれいなまま
MB10 ●大好きなのが、ガラストップのテーブル(うまく描けない)と、灰白のごましお模様の石でできた洗面台! 石の質感がなんともいえない上に、ぬれたところが気になりにくい実用性も! 石鹸類がまた、いい香りです。
エルダーフラワー風味のスプリングウォーター発泡ドリンク、健在でした。嬉しい!
MB13 ●春よりは日の暮れるのが早いのか、のびのびと気持ちよく入浴しつつ黄昏の空を愛でていると、傾きはじめた陽がストンと沈んでしまう。フランスでも秋の日はつるべ落としなのかしらん。という訳で夕食に赴くころにはとっぷりと夜の気配。そのまままっすぐサルに通してもらう。通路からサルへ、いくつもかかる橋(下を水が流れていて、ライトアップされている。美しい!)のたもとに、今回はちょっと華やかな色どりの花々・可憐な草や苔などが飾られていて目に楽しい。おなじみ、窓側のテーブルへ。

[AQ!]
 オーディオセット(It's a Sony!)の趣味とか、花々とか、少し明るく華やかなテイストが増えてたね~。この辺りは、既に厨房の実働の主力となっているというブラス家跡取りのセバスチャン・ブラスと、サービスの主戦を張るその妻ヴェロニク(2003、洞爺で再会!)の"表現"が、店全体に現れてきているのかもしれないと思う。

MB18 [へべ]
●旗のような間仕切りの薄布。下に詰めものをして、シャワーキャップのようなクロスをかぶせた独特のテーブル。職種も位もあまり関係なく、きびきびと皆よく働くセルヴールたち(チーフとおぼしきソムリエでも、通りかかればお皿だって下げる!  唯一"お盆で運んで捧げ持つのみ"カーストはあるようだが)。ここはどこにも似ていない。
●ここはカルトを開くと、フランスの一流店では比較的珍しいが、「当店のアペリティフ」コーナーがある。
1.根っこのほにゃらら
2.花のほにゃらら
3.ゲンチアナ(だったかな)とオレンジジュースのほにゃらら

というのがあって、あとはシャンパーニュなど。1.と2.を頼み、飲んで思い出す…ああ前回も同じことをしたような! 花の2.の方はフローラルな甘めの口当たり。一方、根っ子の1.は金茶色の根っ子リキュール風味。どちらも美味しいのだがやはり1.は度数的にもそこそこあるとみえるので、ほどほどにしておく。しといた方がよい。
MB16 ●さて、アペリティフをなめなめ、注文に向けて作戦会議。「例の"発見"コースは前回と内容的に大差ないね」とAQ。そこでアラカルトにするか、今回目にとまった野菜のコースにするか… そんな我々の脳裏を走馬灯… いや走牛灯のようにぐるぐるよぎるのが、ドライブの道すがら多数、まさに"人よりたくさん"見てきたオーブラックの牛たちの姿。そんな訳で「よっしゃ、本日はひとつ、コートドブフに挑戦してみまひょ」ということに相成り申した。
 ガルグイユーはめいめい食べたいから、それプラス軽そうな野菜(courge)と魚(maquereaux)でも…? と、注文しかけたところ、大向こうから「待った」の声が。オーブラック牛、それも純潔種(かな? 誇らしげに"pure race"の文字が躍っている)をナメてはいけない。悪い事は言わないから2皿構成にしてはいかがか、と諌められる。なるほどそれもその通り。
MB11 ●その間にも色々なものが登場する。まずパリパリの薄焼きパン。インドスパイス風味で切り込みの入った石に刺さって出てくる。
●卵の登場!  前回来た時は世界各地の砂糖の研究中のようだったBras今回はどうやら卵のようだ。
 エッグスタンドに茶色い殻の、小ぶりの、とろとろ卵が鎮座し、中央に緑のソースがかかっている(何のハーブだったか失念)。粗めのナチュラルなパンを拍子木に切って小さなチーズトーストにしたのを添えてあるのだが、この卵の美味なこと! フレッシュで力強くて、生命力とかエネルギーとかそんなコトバを連想する。ブラスらしい、驚きのある一品。
●秋といえばセップ! クラッカーくらいの大きさの極薄のパイに、セップの薄切りをきれいに並べて焼き立てが運ばれてくる。圧倒的な香り! われに返るともうなくなっている。
●スプーンひとくちサイズの小さなアミューズx3種類。プレゼンテーションはちょっとエルブジ風? …でもBrasは元々こういうの好きそうだし…。マンジュトウにトマトのフレッシュなソースとか、野菜ものも入ってるのがここらしい。
●秋のガルグイユーは一味違う。一番底にはキノコを忍ばせ、種々の根菜がしみじみとやさしくて、実りの秋の豊かなイメージ。その周囲をおなじみのハコベ風の緑や各種ハーブと花と豆もやし(少なめだけど旨い!)が彩る。一種で食べて、色々とりあわせて食べて…いつまででも食べていたいブラスの"古典"。空になった皿を前に、別の時季、例えば真夏にはどうなるのだろうなどと次回のことを思ってしまう希有な料理でもある。
●アントレその2のcourgeも見事な料理。2日目の野菜のコースにも組み込まれていた。カルトの深皿もいいけれど、ムニュの小さいコロンとした深い器の方が、より感じが出ていたような。カボチャ~ウリ系野菜とおぼしき我らがcourgeのピュレにトリュフが入り、バター風味の泡がふんわりのっかっているというもの。
●本日のメーンエベントはオーブラック牛さま。そこのけそこのけ…という訳で来ました。なんとマッシフサントラルなその雄姿! けちなビフテキの厚みを2階建てにしたくらいの肉塊が大皿に3つ載ってます! この肉が旨い。脂がまた実に旨い。脂のところをちょっと一緒に食べるとそれはもう幸せな。ジューシーな極上の肉でありながら、肉の部分は"筋肉"であること。その筋肉のピュアな滋味が… とはいえ、運動不足のまま車をすっとばしてきた小物のジャポネにはこの量はさすがに食べきれはしないのでした。うしろ髪ひかれつつも。でも旨かったなぁ。
●デセールはショコラのクーラン(でーーっと流れるアレ)とヌガティーヌのミルフィーユBrasのデセールはやはり、抜群というコトバはこのためにあったか、と思うくらい美味。次元ちょっとちがいます。

MB21 2002年10月 ピクニック

[AQ!]
 ブラスの客室に通された宿泊客がまず気がつく物に、「リュックサック」がある。純白のベッドセッティングの上に、ポ~ンと置かれた厚手の布地のそれは、近くば寄ってみればリュックサックで、腕を通してみればあっという間に背中に収まっている。何とも「らしい」お出迎えである。これはブラスからのプレゼント。オーベルニュの大自然を訪れてくれた友よ、ちょっと歩いてその自然に触れてみてけれよ、という訳だ。
 ちなみにこのリュック、1999年には黒色だったのが、2002年には灰紫色に変更され、より厚手だが実用感ある布地に進化した。どちらも、ブラスを象徴するシストルがデザインされている。
 更に言ってしまうと、このリュック、洞爺ブラスのブティックで販売されている。レア物コレクター欲から言うとツマンナイのであるが、買えると判ればボロボロになるまで使ってしまってもヨイので、東京でもしょっちゅう背負って歩いている。取り回しの良いサイズ・デザインなのら、コレ。
MB17  というわけで、今年の2泊の中日は、ピクニックにGO!、なのである。前回は中日の昼食をレストランで取ったので、近郊ドライブ&散歩関係は手短かに済ましたのだが、今年は中日の昼がレストラン休業日ゆえ、たっぷり昼間を存分に使ってピクニックらららん攻撃に出る。
 今回は遠足したいと思っていたのだ。…というのは、以前に見たブラスのパンフの"御提案コーナー"

「ピクニックなんかどうざんしょ? リュックにパンとシャルキュトリと野菜とフロマージュとワインと詰め込んで素敵なセットを作ったげますでよ。何処を回ったら気分が良いか、コースを知りたかったら、その辺にいるダレかソレかアレにでも聞いてね。みんなこの辺は詳しいぞよ」

などとありまして、そりゃ~、その魔法のリュックを担いでフラフラとオーベルニュの自然と語りあっちゃったりしたいものやん。(ちなみに、レストラン休業日でもリュック一杯の幸せは用意してもらえるのだ)  それではスタート! …と言っても、何しろ広大とは広く大きいこととみつけたるオーベルニュのこと、最初から歩いていると地図上の数センチも動けない。まずは車を走らせる。その後、風景をみつけては、車→歩き→車→歩き→…を繰り返す戦略である。まずは地図を見て、"Casc. du Deroc"…ん?、滝があるんか、じゃそれ行こかと、Nasbinalsを越えて20分ほどか、走る。確かに"Casc. du Deroc"の看板が現われ、駐車スペースらしき場所があり、シーズンには開くのかも知れない売店が一軒あり、付近では景勝の地として鳴らしている気配はあるのだが、見回すに一面はなだらかな丘が続くばかりで、「ほんまに滝なんぞあるんかいや、チロチロと小便小僧が夢の跡じゃねぇだろうな」などと、半信半疑の道を進む。
 と、一天にわかにかき曇り…じゃなくて、大地にわかに切り裂けて、ゆるやかな丘と見えた向こうが、いきなり足下にドッカ~ンと抜け落ちたる崖が現われ、轟々と如何にも「滝」然とした水流が落下し、水しぶきがモヤモヤと上がり…。
 ワシらも「いやアッパレアッパレ」と観光客に変身して拍手する。付近には4,5人の見物客がおり、この辺りでこんな大人数を集めるとは、さすがわ名所である(^^;)。
 時間が早かったので一渡り眺めてサヨナラしたけど、"ここでお弁当"に時間調節しても良かったな。でもここは風が強かったけな。

 …などという感じで、ドライブ&散歩をそぞろ続ける。ある時は柵を越えてしまったお牛様にビビり、ある時は強風に飛ばされ、ある時は陽だまりに抱かれ、草花と語り合おうと試みては指に棘を刺し、まとにかく、のどかなもんである。
 小高い丘から草原と池を望むポイントでお弁当。シャルキュトリは濃ゆく、野菜のドレッセはしみじみと、ライオール名産フロマージュに唸る。ああ幸せ。大きな風景に、身体から魂を取り出し、風に吹き流してリフレッシュ。
 ワインはここから一番近いアペラシオンであるマルシアックで作らせている、Brasのラベルの物。この誰も知らないようなマルシアックは、ウィンザー洞爺にまで持ってきてその決して安いとは言えない値付けを施してもなお3000円を切るような、超のつく安ワインなのだが、これがどうして、ウマい!
MB7 2002年10月 ☆☆☆

 *Coque-Mouilletes
 *Tarte aux cepes
 *烏賊サラダ、かぼちゃムースなど3つのスプーン
 " Le Menu Legume et Nature "
 *Le gargouillou de jeunes legumes, dit "classique", releve de graines germees & d'herbes champetres.
 *トマトのステーキ
 *林檎とクレソン
 *Courge dite butternut au lait de noix & au jus de truffe.
 *セップと菠薐草
 *玉葱
 *Coulant
 *無花果煮とそのグラス
 *Mignardises:Menth chocolat,chocolat blanc,rhubarbe,courge,gingembre
 *Liqueur de lait & chocolat
 +90 Hermitage blanc / J.L.Chave

[AQ!]
 さて、今晩は"野菜のコース"とした。通常用意されている2つのコースに加えられた3つ目の提案である。"Brasで野菜"、これは試してみたくなるムニュである。
MB22  清新で純粋、それでいて圧倒的な存在感のある野菜料理だ。角がピンピンしてる上にボディ厚い、って感じ。夾雑物一切排除、な癖して、豊かである。玉葱(ロティされて煮びたし)は皿の上の王である。
 肥田順先生が書いておられたと思うが、専門家から見ると、ブラスの特徴は「バターの使い方」にあると言う。こういうちょっとした指摘には蒙を啓かれるもので、一見気付き難いが、確かに今日の野菜コースの影の立役者も、バターである。(やっぱバターって旨いんだよな。フランス料理ってバターだよな。…と、ここんとこ、Brasの話を別としても、一周してきてまたそんな思いに捕らわれることも多いなー)
 M.Brasは、元祖「21世紀の扉を開ける」男、ってなポジションの料理人で、その軽さや鋭さ、野菜や香草重視と併せ、一連の南志向やら油で言うとオリーブ油やアルガン油志向のグループリーダーみたいな印象を抱きがちであるが(それは全くの見当外れという訳ではないが)、それはちょっと違うのである。使い方こそ革新的であるかも知れないが、バターの骨格が骨太く支えている。考えてみれば、此処はオーベルニュ、なのである。
 このヒトはちょっとそーゆー所があるのである。Brasの皿上は、衆知の通り、繊細にして高度に研ぎ澄まされた美的な盛り付けの物で(彼やガニェールやトラマが現代的皿上の景色を牽引してきたのだろう)、実際に見ても何処から手を付けた物か迷うくらいの美しさである。これは、今で言うとフェラン・アドリアみたいに「何処から食え」とか「こうやって食え」みたいな勧めもあるのかと思いきや、此処では「テキトーに混ぜて食せよ、お楽しみあれ」という態度である。そして、前述した通り、ナイフは"使い回し"であったりする。
 Brasの料理・Brasの店が、目立って世を惹きつけていった魅力は例えば「先進前衛・軽快・アート」といった点にあったのだろうが、それと同時に、Brasの本質は「野太い大地との交歓」にある(そして「田舎の家に招かれたおもてなし」である)。その両面が並立するのが"感動的"であるのだ(好きな人には)。
MB23  このBrasを巡る眺めは、最近の料理界の在り方において示唆的である。
 Brasらが開いた「新世紀の扉」をくぐり抜けて、新たな才能の群れは新たな料理の地平に続々と突入していった。鮭の群れが川を上るみたいに、激しく。そして現実の時間も21世紀に入り、M.Brasはその流れの先頭を旗振りながら疾走する(Veyratは自ら宣言し旗手を勤める)…ようなポジションをとるのかというと、どうもそういうイメージではなく、むしろ、新たな地平にどっしりと在り、力強く屹立する樫の巨木のようである。
 そして、今。F.Adriaという世紀を跨がる稀代のトリックスターに導かれて料理の革命が街に広く届いた今、気が付くと、実際には、街は「迷い」の中にあるように見える。パリも東京も、少なからずの料理人が迷い、スランプにあるようにさえ見える。闇雲に走り、とにかく料理に泡を吹かせてみたはいいが、気がついてみたら泡を吹いていたのは自分の頭だった。みたいな。
 こういう図が見てとれるとすると、Brasの在り方は、時代の流れの中でもう一度、何かを指し示すのではなかろうか。迷子たちが足を止め回りを見渡した時に、己の強大な自信を持って大地に根をはるBrasの姿が、見上げればその大樹が、何かを語りかけるのではないだろうか。

 …などと、大風呂敷アジでございました。まぁしかし、最近のA.L.AdurizA.Bourdasの発言を見てると、こんなような感じなのかなぁ、と思いもするのである。

[ところで]
 故アンリ・ゴー氏の編著を学研1994年に出版した「ヨーロッパ天才シェフ群像」は素晴らしい本だった。この書に刺激されてヨーロッパへの旅を始めた人も少なくないのでは。現在では残念ながら絶版のようである。この本の中のミッシェル・ブラスの項は、アンリ・ゴーと日本側スタッフの描写力の溢れる珠玉の頁だ。ここにこの書へのオマージュやらリスペクト、再版の祈り(無理か(^^;))をこめて、少し引用させてもらお。っと。

>1988年、ミッシェル・ブラスの登場は少なからぬ衝撃をフランス料理界に与えた。どこの一流店で修業したわけでもなく、いかなる流派にも属さず、ヌーヴェル・キュイジーヌの嵐にさえいささかの影響も受けなかった独立独歩の料理人。生まれ育ったオーヴェルニュの小村ライオールにどっしりと腰をすえ、あらゆる喧騒から遠く離れ、ただひたすらオーブラックの山から吹く風と、無窮の天空から送られてくるメッセージに聞き入り、その[思想]と[願い]を皿の上に表現し続ける料理人

>ブラスを評して[香草使いの魔術師]あるいは[料理の錬金術師]という表現がよく使われる。だが、それは彼とその料理の本質の一部しか映してはいない。確かに、その技術とセンスは卓絶しているし、すべての皿にこの地の香草、野草を活かすという着想も彼の独擅場だ。しかし、だからといって、皿の上に、香草使いのなかに、彼のすべてがあるわけでは決してない。彼はいう。「私の料理はオーブラック山地にいつも鼓吹されています。私の料理は、私の生き方や私のオーブラックへの思いと合致し、すべての生命の源泉である天と地と水とに最も直接的に結びついたものであってほしいと、いつも願っているのです」

>今、ミッシェル・ブラスの存在が現代料理にひとつの深い奥行きと高みを与えていることは確かだ。料理が単に技術の洗練と意匠の先鋭化にひた走り、真の生身の料理人の姿が見えなくなってしまうのであれば、何と味気ないことだろう。
>われわれは、ブラスの皿の上に、彼の心の原風景とでもいえるものが映し出されていることに、そしてまた、真摯に清らかな緊張感のなかで生きようとする人間ブラスの姿が浮かび上がってくることに、懐かしい感動を覚えるのだ。いや、その心の風景が見えるからこそ、かろうじてブラスの料理はその高みを維持しているともいえるのだ。
>孤高の才能が、唯一無二の宿命にあるのは仕方のないことだ。だが、とりわけブラスの料理が、ミッシェル・ブラス一代限りの料理であることを、今さらながら思い知らされて愕然とする。
>そう、ミッシェル・ブラスと同時代に生きる幸福を、彼の料理世界を体験できる幸運を、われわれだけが共有できるのだ。
>しかしまた、それゆえの哀しみを、われわれだけが味わわされるのだ。

(2002秋 Saint-Bonnet-le-Froid"Auberge et Clos des Cimes" →  Laguiole "Michel Bras" →  Valence "Pic")
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  Les Pres d'Eugenie / Michel Guerard  レ・プレ・ド・ウジェニー、レ・プレ・ドゥジェニー/ミシェル・ゲラール、ミッシェル・ゲラール
  
40320 EUGENIE LES BAINS  05 58 05 06 07 (Fax 05 58 51 10 10) http://www.michelguerard.com/
ferme vacances d'hiver
Chef: Michel Guerard (1933-)
・ 温泉保養地で1977年から3つ星を守る、名レストラン中の名レストラン
Michelin ○○○/GaultMillau 19.5 (1990)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2001)
Michelin ○○○/GaultMillau 19 (2002)

2001年 8月 ☆☆

 *ベーコン練りスティック、トマトバジル、チーズのシュー
 *デミタスカップのトマトと鱈
 *プチポワのヴィシソワース
 *モリーユのクリームソース
 *タルボティンとジャンボンクリュ、シェーヴル添え
 *ピジョノーのロティ、香草ソース
 *桃の飴焼
 *ミルフィーユ
 +94 Madiran Couvent / Chateau Peiros

[Tokyo→Toulouse]
[へべ]
 トゥールーズ空港→レンタカーデスクなどCheck→Taxiでホテル空港Ibisへ。
 レストランはガラス戸を開け放って、外のテーブルではおやじたちがごきげん。
エールフランスは食前酒にシャンパーニュを積んでいる。エライ。
エールフランスは洋食/和食が選べるが、がすぐ足りなくなってしまう。は、ゴムそば付き。
成田にはえらく早く着いたが、もうCheck-inできた。成田のレストランコーナーはひどい。
トゥールーズ着以降、ジャポネにこれほど会わなかったことも珍しい。トラマの厨房の彼と、Aire(サービスエリア)で会ったモータースポーツ系チームとおぼしき4人と、国境の両替所で会った中年夫妻らの一行、など数えるほど。なんとなく清清しい。そうだ、el Bulliの厨房にもいたかな。
パリ←→トゥールーズ便は往復ともほとんど満席。小さい機体にパツンパツンに積んで行く。
トゥールーズのバゲージピックアップは、国外チェックイン荷物は、各便共通で別のコーナーにて。
●空港イビスへはタクシーで。思案したものの行ってみると、「歩いて行く」のはあり得なかった距離。
イビス←→空港はシャトルもある。チェックアウト時に頼めば有料送迎。
ハーツの貸出カウンターはなかなか混んでいた。感じのよい、手慣れた女性に当たる。ANAマイレージだけはやってみたけど「このパソコンでは出ないわ」で、諦める。
●ちなみにエールフランスJALのマイルがつくのは得した感じ。空港でcheck-in時にカードを出せばOK。
●車は最低クラスの予約が、出払っていて同額でアップグレードして、シトローエンSaxoに。色は青。「P」に出てブースで「15番の青いやつ」とか言われて、御対面。というか勝手に乗っていくだけ。返すときも" No problem? " " Yeah! " " …NO problem?" " ...NO! " で終わり。カンタンである。
●レンタカー最低グレード近辺の車で箱根「オー・ミラドー」に乗り付けると何となく恥ずかしいが、こちらの大概の3つ星レストランはノー・プロブレムちゅうか、みんな、そんなんで来ている。ゲラールもね。

[AQ!]
 IBISのトゥールーズ空港ホテルは、何故、朝っぱらのプチデジュネのサルで、サンタナの「哀愁のヨーロッパ」を流しておるのか?…などというのは、どうでもよくて、空港Herzでクルマを借り出してみるとシトロエンのSaxo。非常にキビキビして快いオネーサンの説明によると、我々の注文のエコノミー(Clioのランク)よりは1つ上のクラスの車であるとか。料金はClioクラスでOKよオホホン、ということらしい。

[Toulouse→Eugenie les Bains]

[へべ]
●空港Pを出るのにちょっと躓いたが(「ここから出ちゃ駄目」と戻された)、後は順調に。「右みぎミギ…」のおまじないを唱えつつ。
SF ●気がつくと一面のヒマワリ畑の中、どこまでも続くかのような田舎道をブンブン走っていた。町(村)に入って、通り抜けて、町(村)の出口でまた延々と田舎道…というリズムというか呼吸がだんだんのみこめてくる。よほどの大きな町でもないと信号などなく大半はラウンドアバウト方式。
●途中のNogaroとかいう町で休憩。晴れたり降ったりめまぐるしく天気は変わる。小さな闘牛場があったりして、南に来たなーと実感。「シナから来たのか?」と話しかけてきたカフェのおっかさんの息子は中国で働いているのだ、という。焼シェーブルのサラダとソーセージで軽い昼食を済ます。ビデオゲーム機、あり升。
ウジェニレバンへの道しるべが出た。道は上り坂。めずらしく木の茂った日本の小道みたいな感じ。改めてフランスのふつうの田舎の風景は「人の手の入ったひらけた丘また丘」がベースなのを実感する。空が広くて、木立もあるけど、基本的にはひらけている。荒涼としているようでも牧草地だったりする。川はと言えばどちらに流れているのかわからないくらいの平地がほとんどだ。
●ひと山越えたところが高級温泉保養地ウジェニレバン。町イコールゲラール、というくらい城下町感が強い。

[AQ!]
 空港・トゥールーズ市外環を離れ、一路ほぼ真西にコースを取り、Auch(何て読むのだ?ワシらは勝手にアウチ!と呼んでやっていたが)方面に向かうと、お馴染みフランスの田舎道は、快適至極ひたすらのんびりと続き、お馴染みフランスの絶対にのんびりとしないドライバーたちが猛烈なスピードで我々を抜いて行く。初日の感覚慣らしには丁度よい。日本では凶悪ドライバーかも知れない私も、ここで張り合おうとはつゆ思わない。折角こんなにノンビリしとるけん。
 この道のず~~っと先に、本日の目的地ウジェニーレバンがある。トゥールーズからはAgenあたりまでオートルートで行く手もあるが、最短距離をまっすぐ行く方向を選択。空港も鉄道駅も高速も何も近くにない、「行きにくい」ので有名な温泉旅館の3つ星、それがミシェル・ゲラールである。
 田舎道、まず一番に目をひくのは、ヒマワリ畑の多さだろうか。広い所では見渡す限り、地の果てまでのヒマワリ。惜しむらくは、もう収穫に向け花は終わっている畑が多い。2週間(?)くらい前にここをドライブした夏休み日本人は、絶句した挙句にフィルムを大量消費したことであろう。
 時たま通過する集落の店の看板を見ていると、たまに目に入るのが、スペイン風の綴り。たしかに地図上で見るとエスパニョールは目と鼻の先なんだけど。
PP  今回の立ち回り先は、みな、マイナーなワインエリアといえばワインエリア。まぁ、フランス中がそうだけど。ワインにまで気を持ってウロついていると我々のか細い体力が尽きてしまうので、基本的には「ああ葡萄畑だねぇ」と通り過ぎる。けど、目をひいたのが「プレイモン協同組合のカーヴ」の看板。何となく懐かしい、よく買っていたプレイモンの微炭酸の白。ちょっと寄ってみることにする。街はAignanと言う。つぶれたレストランやカフェがそのままの姿であるるのが、妙にサビれた感じの町並。街外れのプレイモンのカーヴは対称的にまだ新しく、立派である。…昼休みであった。チャンチャン。畑に乱入して、葡萄の盗み食いだけしてサヨウナラ。
 昼食は通りすがりのNogaroの道端のカフェでソシションと焼シェーブルサラダ。カフェの向かいには何と闘牛場があった。ひえ~、スパニッシュ…と、その時は驚いたのだが、この辺りの街では珍しくない。とゆーか、ウジェニーレバンにも、規模は小さいがちゃんと存在する。
 さて、ウジェニーレバンの最寄りの大きな街はエールダドールになろうか。ここを過ぎると本当の田舎道を15分ばかり。幾分の起伏あり。丈の高いトウモロコシの畑が目立つ。ウジェニーレバン村の標識が出ると道はまっすぐに。はるか前方のドン突きに白い門らしきものが見えてくる。「もしや」。そう、その通り、そのドン突きの門に突入すれば、こここそがゲラールの館の始まりであった。

[Les Pres d'Eugenie]
MG1 [へべ]
 町に入る。とてもとても背の高い並木道を走っていくと、まっすぐ突き当たりがゲラール領。門番に名を告げると、まっすぐ奥へ。あずま屋風の車寄せで車を降りると、もうお客は何もしなくても車は各部屋用の駐車スペースに入れておいてくれるわ、荷物は運んでくれるわの殿さま状態。ウチは貧乏性というか人にしてもらいつけていないので、こういう時にオタオタしがちだが、つとめて堂々としてみる(どうだったかしらん)。
 いざ白い館へ。白を基調とした室内は"保養地"というコトバがよく似合う。クロゼットの大きいこと!さすが長期滞在パッケージをお勧めするゲラールらしい。門のところの看板などあちこちに"キュイジーヌマンスール"と大書されている。日本語なら「やせる料理」……不思議な感覚ではある。
 ゲラール領内は、月並ながら「楽園のようだ」と言いたくなる眺め。ところどころに噴水の、せせらぎの、あるいはハス池の水のきらめき、高く高く伸びた木々の梢が風に光る。花々が咲き、小鳥はさえずり、バラのアーチを抜けたあたりや噴水のほとりには由緒ありげな彫像が。ゆったりそぞろ歩くもよし、寝椅子でマッサージを受けるもよし、医師の処方で温泉療法を受けるもまたよし … 私たちは領内と町を散歩して、広い浴室でさっぱりして、夕食にのぞむことにした。
●室内:天井の大きな白い扇風機がゆったり回ると心地よい風が…。フランスの夏は、ここ南西部でもほとんど冷房いらずの爽やかさだ。白い壁、石のタイルを敷きつめたようなひんやりした床、アンティーク調のたんすや机。壁の絵(風景画はなかなかいい感じ)は「お求めになりたい方はフロントへお尋ね下さい」というが、立派なもの。シンプルなガラスの花瓶に赤いバラ。私たちの部屋は「マジョレーヌ」。廊下の古風な吊りランプと壁の植物画がいかにもヨーロッパの保養地らしい。
ゲラール領は広く、町は小さい。水の公園を見物、ここにも小さな闘牛場があり、町の人なのか旅人なのかオヤジたちがペタンクに興じていた。
PENogaro付近での雨風がウソのような上天気。陽はいつまでも沈む気配を見せず、ヨーロッパの夏の日はなかなか暮れない、とか言いながらカフェでペリエで一服する。

[AQ!]
 門番に名前を告げ、ゲラール館にSaxoを乗り入れる。ワシらの前の車は、Uターンして帰って行ったのを見ると、予約無しの訪問だったか?予算が合わなかったか? 広々とした前庭の木々や草花を眺めながら進み、前方右手に道は折れて、そこにアズマヤ風の車寄せ。前掛けをしたレストランのセルヴールの雰囲気の出迎えが、一人はバッグを持ち、一人は車をパーキング(部屋毎に確保されている)に回してくれる。門番からの通報で万端整っているので、何のストレスもなく部屋に直行。
 天井で大きな扇風機の回る部屋の窓を開けると、庭園全体が眺め回せ、清涼な空気がも~気持ち良すぎ。この季節、ちょっと天国の方に出張して昼寝をむさぼってるみたい。庭のそこここに、温泉旅館らしく(温泉はヨーロッパのこと、医師の診断があって入る療養目的のもの。その他エステ系などの施設がズラリ)ガウンやらお気楽な格好やらの上流階級(だろうなぁ、ヨーロッパ的には)が、ユルユルと過ごしているのが見える。
 ちょっと町の中を散歩。この地は元々ゲラール夫人の父君が営む温泉チェーンの一軒だったとかで、今ではゲラール家が村の面積の1/4を所有しているだか何だか、ワインも自家で作ってます、などとまことにファンタスティックなゲラール城下町。闘牛場は、ワシらが散歩の途中で覗いた時には牛はおらず、近所のオヤジ連中がペタンクに熱くなっていた。

[Michel Guerard]
[へべ]
●噴水の庭に面したテラスや回廊で、鏡のサロンで、客たちはそこここで夕暮れを楽しみアペリティフのグラスを傾け、今宵のメニューを検討中。私たちはサロンのソファーでシャンパーニュのグラスを手にカルトを熟読の末、緑のお豆のヴィシソワースその他を選択。サロンの天井の扇風機4基は高速回転中、こちらはちょっと目が回りそうだ。
MG2 ●そろそろcafeに移行する組(早いなぁ)も出てくる頃に、サルを抜け、ビリヤード台のある部屋を抜けて、一番奥(建物の正面側)のサルに落ち着く。無口な家族の卓、にこやかな家族の卓、「デュカスとやらも行ってきたぞゴルァ」とかメートルにぶち上げている妙なカップルの卓などとご一緒。やや外国人&ファミリー客のサルかな?
ゲラール(の一番シェフの。カルトにもその一番シェフの名前入り)の料理は、こう言っては悪い気もするけど、予想よりはるかに素晴しく魅力的だった。ええと、まず見た目におどろく。目の前に置かれたこの薄揚げトマトとかカラフルな花とかでにぎにぎしく飾られた鮮緑色のメロンパフェみたいな… こ、これが私のアントレですかいなー、と、たじろぐのだが、食べてみると実に旨い。ブラスロワゾーパコーほどギリギリまで突き詰めたような、神経のとぎすまされたような感じはないのだけれど、おおどかながら精妙、旨いけれど重くない。「メロンパフェ」こと「プチポワのヴィシソワーズ」も、「モリーユ&クリームソース」も、しっかり素直に旨い!と言わせる味ながら、水面を優雅にすべる水鳥の足が忙しいように(何のこっちゃ)、バタやクリームや塩分的には実はたぶん味わいを損なわないところでかなり「軽く」作られているように感じた。さすが、やせ料理の祖である(私たちの食べたのはキュイジーヌマンスールでは無いが)。
 フランスではそうは言ってもほんとのトップクラス以外では、まず旨いと思わない魚も、ゲラールのはなんと旨い。おいしくて驚いては悪いとは思いながらも…いやー嬉しい驚きでした。すごく巧みなんだけど、神経のピリピリする精緻さとは無縁の、ある種「大物の余裕」とかそんなものを感じさせる料理。の美味かったことといったらもう!見田さんが以前来た時に「暖炉で焼いたオマールを食べた」と書いていたけれど、もしやこれはその暖炉で焼いた鳩では? 燻したような香ばしさ、香草の緑が鮮やかに散ったソースの思いがけないフレッシュな味わい、添えられた緑アスパラにも香ばしい風味がいっぱい。この鳩には泣きました。鉄板で焼けた姿を一度ご披露の後、お皿へ。
 そうそう、「昔風の自家製パンです」と誇らしげに運ばれてきた熱々のパンの美味しかったこと! 焼いたお餅のような香ばしい焦げ感と、ふんわりもっちりした中のところと…、うっとりするパンでした。デセールもここのは上出来。
 テラスでcool downしながら、アンフュージョン・デジェスティフ。いやー、この世の楽園に来たごたる、とまたうっとりする夜でした。
MG3
[AQ!]
 8時半。メシだ~。まずはサロンでゆっくりシャンパンをやりながらカルトを眺める。まだ外は幾分明るい。あ~だこ~だと注文に関する議論をしていると、もう、食後のカフェをやりにサロンに引き上げてくるカップルもいる。保養地のせいか、めいめい、勝手なタイムスケジュールを生きているのだろう。いずれにしても、町なかよりは早め。我々も20時からでも良かったかも。天井で回る扇風機を弱めようと苦心する紳士、「止めろ」とサービスに言いつける紳士、それぞれの御婦人への奉仕のし具合を観察していると面白い。アミューズは、内容・見た目は平凡という感じのものだが、しっかりと作られており、シャンパンのアテにサイコー。
 そういえば、ゲラール「キュイジーヌマンスール」という、食べて痩せる料理でも有名。要は、ローカロリーでも美味しく、ということだろう。ダイエット&エステの滞在コースを1週間30万円とかで売ってたりする。このサロンにも痩せ料理実行中の人もいるんだろうな。
 このサロンに回り込んで入ってくる入り口には、椅子に腰掛けた黒人少年の人形。そこから窺えるように、全体に内装は「コロニアル、っちゅうですか?」な雰囲気。サルはそれぞれに少しずつ趣が違うが、我々が通された一番手前奥は、やはり「コロニアル」色が強い。開放的で、豪華は豪華だけどそんなに気張ってなくて、テキトーにボロッとしている部分もある。気楽。BGMがルイ・アームストロングで「あらま~」って感じだが、「良く合ってるわ」と段々思えてくる。ざっと見回した印象のみでいうとこのサルは、「短期訪問外国人・観光客・子連れ」用途、と見た。
 セルヴールは、格式あるも何となく気楽、くらいなノリが基調で、しかしまぁ、このサルには余り力が入ってる気はしない。…ものの、具体的な不足があるわけでなく、良い時間を与えてくれる。

 ワインリストだが、古い豪華系ミシュラン三つ星レストランということで、ダイナマイト級がんがんの強烈なカーヴの可能性も?、と思っていたが、幸か不幸かそんなことはなく、地元中心の品良い取り揃え。あ、そういえば、ゲラール家は自分でワインも作ってます(トゥルサンのシャトー・バッサン)。マディランも地元と言っていいくらいの位置にあるので、そこからお勧めにて。良質なマディランで、94と程良い年ごろ、レストランの料理のお供の酒として花マルざんした。

 「あれはナーニ?…メロンパフェなんて、あったっけ?」へべの言う、そのメロンパフェがへべの前に置かれることになろうとは。プティポワのヴィシソワースである。フルーツパフェでも盛るような容器にプティポワやら海老を放り込んで、緑色のヴィシソワースをかけ回し、香草(花付きだから、香花、か…)を乗せて…。言っちゃ悪いが、何となく、「一昔前のヌーベルキュイジーヌ」な眺めではある。私の前の器では、クリームスープに沈んだモリーユの肩が、硫黄温泉に浸かったオヤジの頭のように見えている。
 そう、どちらも、例えば写真に撮って見せられて、そう魅かれたりするものか、甚だ心もとない。どこか「周回遅れのトップランナー」みたいなのだ(ゲラールさん、スマソ)。
MG4  しかし!しかししかし、しかしもかかしも、とにもかくにも食ってみたまえ!(誰に向かって叫んでいるのか…) 旨い旨い! もう、これがもう、美味なのである。極上の素材に極上の調理。全体を通して言えるのは、見た目はモッサリしているのだが(それはもういいって…)キュイジーヌマンスールなんかも作り慣れているせいか、脂肪分の扱い方というか、余計な枝の払い方がとても巧みな感じなのだ。だから意外と軽い。軽くて、香りや味がよく立っている。

 テュルボティンはハムの小さく切った物のソースで。何となく広東料理でいう、清蒸石斑魚の「古法」バージョン(中華ハム蒸し)を思わせる。キャベツを下に敷き、そして薄く揚げたキャベツを一枚突き刺して立体的に見せる。(そうそう、「薄~く焼いたり揚げたり」は得意技なのかシェフのマイブームなのか、色々と見られたな。アミューズのトーストとか、プティポワヴィシソワースの揚げトマトとか) 魚の料理は、「パコーとかブラスとかロワゾーとかロビュションとか日本のシェフとかの「精緻」なのがやっぱ美味いよな、フランスの普通のは、何か大味で」、と我々は普段思っているのだが、こやつは、そんなに精度が細かい気もしないラフな印象の料理である癖に、妙に旨い。ヒャー。この辺りが「年季」かね。
 ピジョノーは素晴しかった。焼きはウットリ。香草ソースなのだが、濃く強い肉汁系の味の中で、ハーブの端々がピシッピシッと立っていて、まことに引き締まる。
 満足いく出来のデセールをいただいた後は、テラスに出て、アンフュージョン。涼しい風が心地よい。レストラン部の前庭の植生は、かなり南っぽくてオリエンターレ。「あー、はるばるとやって来て、ほんと、よかったのことあるよ」と白痴的ため息が夜空に消えていく。

MG5 [Eugenie-les-Bains → Agen]
[へべ]
 きらめく朝の日射し、みずみずしい緑、さわやかな風、そしてバスローブのままテラスで朝食!! 極楽は続くよどこまでも。
 半熟卵のあまりの旨さに朝から涙しつつ、優雅な朝食をいただく。

 名残り惜しい楽園を後に…。
 …と、思い出すのが、チェックアウト時の小さなハプニング。
 これほどまでに完璧と思われたサービス体制でも車のキーは行方不明になってしまうとは!(預けていたキーの保管場所に関する連携が悪かったようだ) 「箱根オーミラドーの一件(まったく同じような話で、チェックアウト後に、預けてあったキーが行方不明なのが発覚)を思い出すね」と話すうちに見つかったキーで車に乗り込み、一路、アジャンへ。

 (以下、L'Aubergade2001年8月編に続く)

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   Le Petit Nice : Gerald Passedat  ル・プティ・ニース : ジェラール・パセダ
  
Anse de Maldorme - Corniche J.F. Kennedy - 13007 Marseille Tel. : +33 (0)4 91 592 592 - Fax : +33 (0)4 91 592 808 www.passedat.fr
Chef: Gerald Passedat (1960-)
・
2009年12月 ☆☆☆☆

 *Les Amuse-Bouches Gourmands
 *Anemones de mer en onctueux iode, lait mousseux au caviar, puis en beignets legers, petit bouillon a la chlorophylle et coquillages
 *Bar de ligne comme l'aimait Lucie Passedat
 *Turbot grille, jus de la tante Nia
 *Tourteau roti entier au poivre melange mandarin, legumes sautes, araignee de mer
 *カレダニョー、トピナンブーピュレ、ピセンリと茸、巻き白ベトラーブ
 *Les fromages affines
 *L'avant dessert
 *Chrysalide de caramel au chocolat, emulsion de Fortissima tiede
 *Mignardises maison

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 アルルの大泉滉・野菜の魔術師・レギュームウーブリエの求道者…に続いては、マルセイユのロックンローラー・海の魔術師・ポワソンウーブリエの伝道者…ジェラールパセダの待つプティ・ニースだ。
 今回の旅行の目的の、もう半分。

 さすがマルセイユ、駅のタクシーからして、ガラが悪い。我々の乗ったタクシーのドライバー氏は、
「プティニース?おーパセダか、アソコはいいウチだな」
 と明るく請合いまくる。テメー、行ったことあるのかよ…(笑)。これがフランスシステム。
 到着。口頭のスーツケースアディショナルフィーが多少高かった気もするが、セ・マルセイユ、まあいいや。教会がどーの、ミッシェルのブイヤベースはアピエで1kmだから歩いて来れるだの、観光ガイドは熱心にするカレであった。
 本日のマルセイユは暑いくらい。コート邪魔。
 おっさんが海で泳いでました(一人だけだけど)。

[へべ]
 到着早々にパセダ本人を見る。昼食客の送り出しタイムだったようだ。その後は忠犬ブルドッグのバスティアンじゃなくて何だっけ(AQ!「ファビヨンやがな」)、をお供に、茶の革ジャンでさっそうと散歩へ。

[AQ!]
 パセダ、凄いです。脱帽。
 充実…という言葉を味にするとこうなるか。
 料理自体は、新しいモノ珍しいモノ主体なんだけど、完成度の高さの印象の方が強くなる。美味い!
 漲ってます。
 店もバリバリ。ここホントにフランス?ってくらいサービス陣がいい。
 海のフランス料理(専門…まではいかないが。肉もある)の店、という特殊な位置づけになるけど、それを越えて現代の高級フランス料理店の代表格かとも感じる。
 久しぶりに三ツ星らしい三ツ星に来た(最近のインチキ三ツ星じゃなくて、ネジュランの時代の)…って感じがしました。
 Gerald Pasedat 1960生まれ。ラバネルもだけど此処も、今が食べ時でしょう。

[へべ]
●アミューズ1と2
●海3態 海の白泡クレームにアキテーヌのキャビア ベニエ
●白身魚1 おばあちゃん風ソース ユイルにバジル これ超うまい、好き
●白身魚2 トゥルボ 甲殻だっけレンガ色ソース
●トルチュとアレニェドメア 甲殻泡ソース、豆のつる クロロフィルソース
●プラは羊。アニョーの脂が! ガルニはアーティショーほかいろいろ野菜とトピナンブールのピュレ。黄ベトラーブのうす巻きシガール。ピセンリのサラド(うれしい!)
●デセール1 青リンゴ うすパリくるりラングドシャ風、緑白レイヤーのゼリームースケーキ、ソルベ
●デセール2、鉄路風 まっすぐ細チョコ線に、チョコ2個とキャラメル3個のロール。ふんわりムース(チョコ)とフリュイ添え。
●ミニャルディーズは9マスに8種盛り、この期に及んでそれぞれ精緻で、全部食べずにいられない。

[AQ!]
 パセダ、写真はとくに髭が多く見えますね。
 でもたしかにそうで、店に着いて、すぐに昼の客の送り出しのシェフの姿を見たんだけど、あの、よくプロフィールに使われてる(穏やかそうなオジサン顔)写真に、あまり似てないのでした。
 すんげー、精悍なタイプ。
 ブルーザーブロディかロルクレームをハンサムにしたような、とも言える(言えるのか?) (^^;;;)
 ところで、EのS村さんにパセダのこと聞いたら(トロワグロ修業つながり)、当時は、とんでもなくヤンチャな放蕩息子だったそうで…。
 周囲ではほとんど、「跡取りの馬鹿息子」と見られていたとか。
 それが、Eの常連の間でも近年プティニースの評判が良いので、S村さんも「へぇ?!」と思っていた、とか。
「卒業、したんですかねえ?(笑)」
「卒業、したんで…しょうねえ(笑)」

 貝殻のクリスマスツリー。
 軽くストライプ系のナップ・クロス類。
 窓際の席セッティングは、さすがに「シービュー」。椅子は珍しいタイプ、ウチらに好評。

 3種x3口=9升:キャビヨトブランダードトリュフ、ムール、
 アミューズの最初の一口でガッツポーズ。今宵は楽しめそうです。クールで新たしくもある切り口であるのだが、何によるものか、それ以上にいい意味の「安心感」がドッシリと、ある。
 にしても、トリュフがよく香る。うっふん。
 牡蠣シトロン、ドラド・アーティショー、エピナール
 ユイットルはカンカルもの。ひとひらの葉に乗る小ぶりなもの。シトロンの産が美しく映える。
 牡蠣とドラッド。早くも、「クラッ」。眩暈すら感じる美味。後で振り返ると、ここんちで使ってるドラッド(と、その使い方)は、すんこ゜く凄い。
 次の3品は、海の秘密セットとでも言おうか、見た目は大人しいが、前衛的な食材使いのアントレ。グニューっとした食感、そこから立ち上がる様々な海の香りの要素(しかし、このヒトは、どこまでいってもヨデ臭くない)が、魅力溢れる。
 JDSに続いて、キャビアはアキテーヌ名乗り。これは要チェック。
 テュルボ、茄子
 テュルボのグリエだけど、皿が置かれた時は「あ、この一段落は焼テュルボね」…とかるーく思うんだけど、そのシンプルな一口を、まずはソースも無しでいってみると、二人して「ぎょえー」!
 なにがなんだか、絶妙に美味い。
 しかしねー、材料の質と塩の入れ方くらいしか無さそうな話なんだけど(^^;;)
 この見え方の焼魚で、空前のウマさでしたわー。
 Lucieの、所謂プロバンス組合せ…が何でこんなにウマいのか、謎。
 だいたい、西洋人の魚介のアセゾネは、どこか過剰なモノ。なんで海辺の三代目が急にこんなに絶妙になるねん。
 バールとテュルボは、食って仰け反って天に召されて笑う、ワシらの感じようを、ヒトに説明するのが、極めて難しい皿。組合せややり様は、オーソドックス、…はオーソドックスなのよ。更に、食ってても、なんでこんなに超越ウマイのか、秘密がわからない。
 アレネドメア・ラディノワール、
 蟹祭り、は、そこまで唖然としなくていい(笑)、見て聞いた通りのものが上質に供される。

 カレダニョー、トピナンブーピュレ、ピセンリと茸、巻き白ベトラーブ
 「ムニュパセダ」は、この店の三つのムニュの中で、唯一、ヴィアンドがある(笑)。(そういえば、アラカルトも、ヴィアンドのページはほとんど、スロンマルシェというかスロンアンスピラシオンみたいなことしか書いてないのであった)
「ムニュ・パセダ? パルフェ。質問が二つあります。アントレの一つはユイットルですが、大丈夫でしょうか?(隣卓のマダムの一人はポティロンに差替えだった) それから、プラはアニョーですが、キュイは? ピンクでよろしいですか?」
「OK!」

 そのカレダニョーのキュイソンは完璧。脂の柔らかい加熱は極上。聞きもせずに焼け爛れた「日本人焼」の鹿を持ってきた昨日の双子の禿とは、えらい違いだ。
 カレダニョーロティ。これがどうして、シッカリ旨い。材料と焼きの具合か、脂と赤身が、どちらもシットリ優しいタッチで香りもあるのがイイ。

 最近の三ツ星に多い、ドシャバシャしたデセールの物量攻撃が無いのが、また、イイ。
 9升皿、ミニャルディーズ時は8種+スプーン。

 この人のヨデはまったく臭わない。
 キケ並みに、海の変な臓物(笑)が出てくる。
 ソースにほんの一瞬ピカンテが入るのが、二、三あった。もしくはこれは、黒胡椒の選択によるものかもしれない。
 オーラルーディンに出会って、こいつは魚の神か、と思った2009だけど、最後にもう一人、おでましになられた。
 少なくとも、我々が従前に知っていたフランス料理のレベルじゃないし、日本ではその片鱗も食ったことのない捕らえ方の魚料理だと思う。
 お弁当箱みたいに重ねて持ってくる白陶器、活躍。

[↑メモ版:工事中]

2009年12月 ☆☆☆

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 プティニースのムニュは三種。所謂デクヴェルテと、季節のおすすめ的なのと、「ブイヤベース」ムニュ。
 第二夜は、多少…以上の興味をひかれる「ブイヤベース」に突入。
 一般論としては、「名物に美味いもの無し」の代表格、地球の迷い方レベルですら「大概まずい」とされるマルセイユのブイヤベースであるが、おそらくはフランス随一の魚料理の名匠にかかるとどうなるか!?、って訳(笑)。
 しかし、ここで「一回こっきり」の食事だったら頼みにくいムニュだ。二晩とっといて、ホントに良かった。

[へべ]
●やっぱり今宵はブイヤベース!
●アミューズは前夜と同じ3x3の9桝。イカと果物と野菜のこまかく刻んだマリネ。ムールのプロバンス風(バジルの円盤のせ)。トリュフ風味のブランダード。
 初日の質問、3つはそれぞれ同じ? 答えはイエス。食べればわかる。シャンパーニュをひとくち、片手に検討中のメニューを広げ、片手でらくらく食べるにはもってこいの、ひと口ずつの盛りつけになっているのでありました。
●ふたつめの、温アミューズ。ほうれん草の緑に浮かぶ白身魚が二片。初日はドラド(これがすごい!官能的な身の質)にカキ。酸と海ジュレ・白泡・クロロフィル。翌晩はLes Beaux Yeuxに、ポティロンを添えて(綴りはウソかも。美眼魚)。こまかなダイスに刻んだカボチャが果物のように可憐な味と香り。小さなセルクルにまとめてある。

●さてここから、ブイヤベースの解体と再構築(すでにこう言うと、ひょっとしてちょっと古い感がある?2009)。
●四角いガラス皿に、回のうすづくりマリネ。貝は何だろう、やわらかに小ぶりな数種類を、みごとに薄くスライスしてカルパッチョ調にならべてある。ホヤっぽい風味のもある。海の味、柑橘のきれいな酸。緑が香る。
●右手奥には、2枚の和紙(っぽい)を木の洗濯ばさみでとめた間にはさまれて白身魚のグジョネット風揚げもの登場(初日は同じセッティングでイソギンチャクの入ったベニエ)。
●一緒にa Boire,緑の軽いポタージュ。それ自体もおいしい&ともによく合う!
●にんじんピュレと酸味のソルベ。こ、これはひょっとして具から来ている?
●「魚と甲殻類」と称して。オマールの爪と身の間に並ぶ、白身魚4種。左寄りのドラドがやはりとび抜けていい。しっとりと吸いつくような妖艶な身の、絶妙な火入れ。わりとクリアな汁が張られていて、こちらが通常のブイヤベースのスープに近い仕立て。味もクリアで、深い。ガルニのアーティショー、フォン味がまた旨い。納豆の味?
●そして「魚」の段。朝食にも使われる、白くて丸いふたつきの器が積み重なったブイヤベースの塔がしずしずと運ばれてくる。白身魚2種(ひとつは、ギ…なんとか)は説明されたが聞きとれず。こちらのスープはスープドポワソン風、薄汁粉くらいの色でポタージュ調なのだが、すこぶる上品な味わい。要素が濃いのに、salee/sucreの味はごくごく抑えてあって、凄みがある。これに適宜、パルメザンと辛み(ピマンデスプレット?)を加えつついただく。思えばなんと、アイヨリなし。
●全体に思いもよらないブイヤベースの展開で頼んでよかった!
●デセールは緑リンゴとメレンゲ粉。
●微発泡ぽい赤がおすすめで、よく合っていた。

 コースを2つ食べて。
 海の幸、といっても貝と甲殻類と魚は特性が違う。合わせて出すことはあっても、それぞれに扱いや味香りのひき出し方はちがう…といったことを考えさせられる構成。食べている間はその多彩なそしてピュアでクリアなおいしさに夢中でついていくばかりだったけれど。
 ヨデなのに、あるいは、ホヤにあるあの海のエキスのあの味なのに、ピュアでクリアで美しい。ブイヤベース的ごった煮海の幸をひとつひとつ磨き上げて輝かせる。

[AQ!]
 内容は、ブイヤベースの「解体と再構築」。三皿構成で供される。
 ここでもパセダの美学は輝くばかり、客は唸るばかり。
 引き算と磨き込みによる、どこまでも上品な、日本人が見ても上品な、魚料理でありました。すぐまた食いたくなるくらい美味!

 シーアネモネ、そのジュルジュル、モリュ、ムールプロバンサル、セシェ白バルサミコ
 エピナール緑アーティショーの魚は、初日がドラド、二日目ボージュー。
 ブイヤベースの驚異はドラド。生きながら(いや死んでるって)、煮えながら、エスプーマ化してんのか、ってくらい軽くて、味香りが強い。オマールも上質。サンピエール。
 スープドポワソンは、塩・甘味をギリギリ切り詰め、まことに美しく品良くウメい!
 隙のない店、揺るぎのない皿。
 ブイヤベース 人参ピュレ、香草ジャガイモポタージュ
 ブイヤベースその三、の下段は高温のお湯にホンダワラ。「ひょっとして食べるの?」「まさか(笑)」 保温とわずかに香り付け用の模様。 
 ラバネルもパセダも、どことなく、勝手知ったるフランス料理の安心感はある。
 ほぼ供し終わってから、レセプションでお見送り定位置につくのがジェラール流。

 部屋の鍵の謎。
 エキゾチックな20年代のLucieおばあちゃん(の若い頃)。
 海は意外なほどに波高い。ザッパーン。
 ブジの名前はファビヨン(?)君。昼開店前の11時くらいが、お散歩タイム。
 セキュリティは固い。営業中でも固い。(門の出入り) さすがはマルセイユ?
 すぐ下の、浜の遊歩道は、一般道。日向ぼっこする人々。

[↑メモ版:工事中]
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