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4285 Cape Otway Rd. Birregurra, Vic. +61 3 5236 2226 braerestaurant.com
2013年開業 料理長: Dan Hunter
豪ヴィクトリア州Birregurraのレストラン
→ 2014メルボルン旅行記はこちら
→ 2019オーストラリア旅行記はこちら
2014年11月
Spring
*Salt and vinegar potato
*Burnt pretzel, treacle, pork
*Hapuku and crisp skin
*Otway shiitake, eggplant, white miso
*Iced oyster
*Beef tendon and mountain pepper
*Ice plant and dried sake
*Asparagus, sea butter, olive plant
*Turnip and brook trout roe
*Prawan, nasturtium, finger lime
+10 Blake Estate Blanc de Noirs Deans Marsh, Victoria
+Red Hill Brewery 'Scotch Ale', Mornington Peninsula Victoria
*Calamari and fermented celeriac, barbecued peas and beef fat
+11 Weingut Prager ‘Hinter der Burg’ Federspiel Grüner Veltliner
*Warm ricotta and nettle, roasted chicken and brassicas
+12 Benedicte & Stephane Tissot 'Empriente' Chardonnay, Jura
*Egg yolk, potato and jerusalem artichoke, sauce of comte and vin jaune
+13 'The Story' Westgate Vineyard Blanc'MRV, Grampians Victoria
*Raw wallaby, wattle and lemon myrtle, charred beetroot and radicchio
+12 Domaine de Courbissac Grenache blend, Minervois
*Aged Pekin duck wood roasted on the bone, quandong, dried liver
+11 by Farr 'Sangreal' Pinot Noir, Geelong Victoria
*Lemon, blackberry and lovage, wild cabbage and caramelised buckwheat
+13 Falkenstein 'Krettnacher Euchariusberg' Riesling Auslese, Mosel
*Parsnip and apple
+04 Domaine des Baumard 'Cuvee de Paon', Coteaux du Layon
*Rhubarb and pistachio, blood and preserved berries
[へべ]
ぼくらのコレクション、ミドル・オブ・ノーウェア・レストランに新たにすごい一軒が加わった。
メルボルンのサザンクロス駅から電車にゴトゴト揺られて1時間。
ジーロング駅からさらにタクシーで40分くらい走っただろうか。
牛や羊がところどころで草を食む牧草地がえんえんと続く中、「カンガルーに注意」の標識にビビったりしつつ。
やがてそんな風景の中に突然その店は現れる。
Braeブレイ、はスコットランド(ケルト)のことばで小さな丘、なんだとか。
ロイヤルメイルですでにおもしろそうなこをやっていたダンがローカルなingredientsの生産されるその場所/すぐそばで料理を供するという。
[AQ!]
Royal Mail Hotelのレストランで既に圧倒的な評判を得ていたDan Hunterが、2013年末、満を持して“初のSolo Project”を立ち上げた。
それが、このBrae。
我々の「そりゃ食いに行かねば」ダイレクションが変わったわけだが、で、その今度のBirregurraってのは何処だねん?…と地図を見ると、また、クラっ…とする(^^;)。
ごく大雑把に言うと、メルボルンから160kmほど。
メルボルンから約80kmの位置にGeelongというVictoria州第2の都市があり、そこまでは1時間に1本程度の電車が走っている。
そこからの更に80kmは、旅行者の現実的手段としては、レンタカーかタクシー…しか無いようである。“東京から小田原までは電車で行けますから、後は静岡までタクってください”…感覚。
Geelong駅。発音は「自論」に聞こえる。
この日(だけ)は雨。一週間前の予報から「雨」になってた。気象がわかりやすいのか?、豪州。
駅前に、一応小さなタクシー乗り場があるっぽいのだが、天気のせいもあってか、タクシーは売切れ状態。多少ヤキモキしたが、10分ほど待つと、数台あらわれた。
インド系のドライバーは「BirregurraのBrae? はあ?」…って感じだが、ナビに入力して「ふうん」。 「遠いんかな?」 「小1時間って聞いてる」 …距離が出るのがわかって、心なしかニンマリ?
Geelong市内は雷&猫犬降りでエライ騒ぎだが、Birregurraに近づくとあがり始め、時には青空も。
Birregurraまで、タクシー約120AUD。発音は何ともいえないが片仮名書きすれば「ビレグラ」…かなあ。google日本は「バーリジュッラ」とふってたけど、そう聞こえる発音のヒトには会わず。
middle of nowhere,,,
空と地面は延々と広がる。
Cape Otway Rd.に「Brae」(スコットランド語で“なだらかな小さい丘”) の看板をみつけて、曲がる。
広々とした自家農園らしきを通り過ぎると、白い建物とバックヤードの駐車場が見えてくる。
13時予約だが、余裕を見てきたのでまだ12時過ぎ。 ずっと人影なき道を辿ってきたのだが、駐車場には華やかなクルマとヒトが集い始めている。
タクシーを降りて、ちょっとだけ、お庭~畑~果樹園(…は予定、か。昨年開店時に植えたと思しき果樹多し)を散策してから、入店。
「いらっさい、アキ~ラ…ですね!?」
はいはい、何とか辿り着きましたでよ♪
また東洋系は我々だけか?…と思ったら、この昼は、中国人20人弱?のグループ(4卓ほどに分散)が入ってた。在豪っぽくて、年配者多し。バラバラと2人、4人、とクルマで到着する。
でも、ワシらにはいきなり「アキ~ラ?」と切り出してきたから、…見分けつくのかな?(笑)
ダン…バーバーのとこ(Blue Hill at Stone Barns)と一緒で、まず最初に帰りのタクシーの采配を「どうしますか?」と尋ねる(笑)。お願いする。 どうも、タクシーでの来店は我々だけだったようだ。
[へべ]
あっさりしているが趣味の良い造作、わりと直線的ですっきりとしたサルの雰囲気はちょっとクロムヴァーテルハンフを思わせる。
ガラスの向こうに厨房が、けっこうよく見える。 地元でとれた、今おいしい季節の素材を、自分の流儀で料理して出す。
言葉にするとあまりにシンプルであたり前で、どこが特徴なのかと問い返されそうだけれど、ダンの料理をそれ以外の言葉で飾るのは難しい。
ほとんどはトラディショナルな技法で、よく考えて練り込んだ素材の取り合わせとシンプルな構成なのに、一皿ごとに驚きや発見がある。素直においしくてわくわくする。
今ここに来なくてどうするんだ!と食べ終えた直後にもう、次はいつ来られるんだろうとうずうずしてしまう。
アミューズの段、料理の段、それぞれ量も起伏も構成もクリアによく整理されている。なんというか、(頭の中が)クリアで、落ち着いていて、でも温かみがある。
Salt and vinegar potato
Burnt pretzel, treacle, pork
ポテチ 黒プレツェル
[AQ!]
ベーコンなどを使った、おつまみプレッツェル。グリッシーニ様のうまい棒…みたい(笑)。
Hapuku and crisp skin
ハプクは鱸とかアラみたいな魚。マオリ語?
Otway shiitake, eggplant, white miso
秀逸過ぎるほどの味噌使い。
[へべ]
アミューズに地ものの椎茸が出た。
小ぶりなしっとりした椎茸にホワイトミソ、とあるが茄子を合わせた落ちついた味のピュレと、黄色い小花の可憐な仕立て。
ポイと一口に含めば広がる山椒の香。全体のバランスがものすごくいい。
Iced oyster
牡蠣アイス。
Beef tendon and mountain pepper
牛テンドン。
[AQ!]
テンドンは腱。
Ice plant and dried sake
アイスプラントに日本酒の凍結乾燥粉をまぶしただけ、の工夫だが、とてもよく合ってる。
[へべ]
Asparagus, sea butter, olive plant
Turnip and brook trout roe
かぶ魚卵。 アスパラ香草バター。
Prawan, nasturtium, finger lime
エビ。
アジアンスパイス風味の、(お好みで)頭からいける温製の後、緑の葉で包んでフィンガーライムを添えたタルタルでさっぱりしめくくるという味な仕立て。
[AQ!]
この海老のスパイス加減が、ずいぶん、すごく、旨かった。地味~に「自分の海老史上でトップクラスの…?」と思うくらい。
海老でアミューズが終わりで次から本編なのだが、この海老から多少、複雑な料理っぽさが増してて“本編への橋渡し”みたいな構成になってる。
アッティカもそういう組み方をしてたが、巧みだと思う。
裏の薪釜で焼いたパン・自分とこのチャーニングのバターが登場。
おそろしくウマイ。好き。自分の「レストラン史上に残るパン・バター」にノミネート必至(笑)。
Calamari and fermented celeriac, barbecued peas and beef fat
セルリアック熟成3週間。
[へべ]
イカ・根セロリ・青豆・牛脂。
イカに発酵根セロリ、は見るからに、もやしとえのき…とか見分けのつかない食材を合わせるところが中華的に決まっている。太めのイカソーメンとセロリアック漬(3wks.)の細切りの流れに、若いぷちぷちの青豆のバーベキュー!
上等のイカに根セロリ漬の歯ごたえと酸味、春の豆と絶妙なとり合わせ。牛脂で肉っ気も加わって味わいにまとまり感も出て、 これは大変だ! 本物だ! 大当たりだー! etc. と、早くも胸が高鳴りまくり。
Warm ricotta and nettle, roasted chicken and brassicas
次の一皿がメニューを見ても何だかわからない「ブラシカス」。
リコッタ ネトル チキン ブラシカス。
ブロッコリーなどアブラナ属(総称)だとかで、温リコッタ(ネトル入り)の土台に焼き海苔状にパリッとさせたブロッコリやらケールやらの葉が帆のように立ち並ぶ。
凝縮された葉っぱ味、というのが目からウロコ。これ(を海苔がわり)でグリーン・スシの進化版ができそう!(笑)などと大いに盛り上がる。
[AQ!]
乾燥葉っぱとかガストロバック葉っぱとか…は“ああそーそー…”くらいの出来になりがちだが、この皿は味の説得力が大きい。
Egg yolk, potato and jerusalem artichoke, sauce of comte and vin jaune
ある意味、田園のキラーコンテンツ(笑)、じゃがいも玉子!
[へべ]
そして新じゃがに、今日も泣く。
卵黄・ポテト・菊芋。
食用ほおずきくらいの小粒なイモに春が香り立つ。 すこやかな鶏のすこやかな卵黄をとろりとからめて、ぎゅっと味の詰まったエルサレムアーティチョーク・チップスで香ばしくいただく。 旨い。
Raw wallaby, wattle and lemon myrtle, charred beetroot and radicchio
次はワラビー。
皿の上に黒っぽい葉巻がポンとひとつ。 ナイフなし。フォークもなく、ラディッキオで巻いたのを手でつまみ、ビーツのソースにつけて召し上がれ、と。
ナチュラルなタルタルに、ワイルドライスのこんがりポップ添え、焼けたラディッキオの味もぴたりとマッチ。
これは楽しい!
[AQ!]
ワラビー、クリスピーワイルドライス、ラディッキョ包み。
印象的であることとウマイことの両立度合に、拍手!
Aged Pekin duck wood roasted on the bone, quandong, dried liver
ダック熟成2週間。北京の名乗りは、皮の処理の感じかな。
サラサラ…くらいにdriedな肝の仕立ては初見かなあ。とても効果的、つけて食す。
ガルニが素晴らしく舌福で何かと思ったら、ナスタチウムの茎・葉・花をちょいと炙ったもの。加熱は珍しい?かな。
ところで、こちらのワインマッチングも色々楽しかったのだが、北京ダックに合わせるのは、地元Geelongのピノ。
我々にとっては「さっきすげー雷の鳴ってた町」でしかないジロン(^^;)だが、メルボルンのワインリストを見てるとそこそこ有力なピノの産地のよう。で、By Farrは有力生産者であるらしい。
優れた飲み心地。
[へべ]
ペキンダックは2wks.熟成。
ドライな粉末仕立てにしたレバーをまぶしていただくのが乙。
***
Lemon, blackberry and lovage, wild cabbage and caramelised buckwheat
レモンベリー キャベツ ソバキャラメル。
[AQ!]
さて、デザートの始まり始まり。
取り合わせのオイシサに、様々な食感…クロカン含め、の具合の面白さ。
料理から引き続き、取り立てて飛び蹴りをかまさなくても、キッチリと印象を残して行く人物の大きさ。
Parsnip and apple
パスニップとりんご、まんま(笑)。
面白いのは、表面に乗ってる皮はそのまんまパースニップの皮を使ってることで、食感と香りが特徴的。それに合わせて、周りに置かれてる林檎は凍結乾燥モノ。
“アラ、飾りかしら?”って皮を残してるご婦人も見ましたが、まことにモッタイナイ!
ところで、流行は短い周期でも螺旋的に推移するので、何とも言い難い所はあるのだが、今回の旅ではattica, Cutler&Co.を含め、皿上に「泡」がまったく見当たらなかった。
アルギン酸なんかのケミコーもない。
で、「dried」や「fermented」「aged」の技術は随所で見る。
こーゆー諸点は、世界の同期性が上がってるなあ…とも言える。か。
Rhubarb and pistachio, blood and preserved berries
ルバーブ ピスタシュ 豚血 ベリー漬。
ちょっと大きめのお茶菓子、ミニャルディーズ。といったとこだが、こんなんまで、キリっとしたお姿で美味。
血のコク出し…はけっこー使うのね。
ところで、「食後は何飲む?」には「エスプレッソ・ダブルでも」と答えてたのだが、程なくしてやってきたメートル、
「いや~ゴメンゴメン、今日、何が気に食わなかったのか、エスプレッソ・マシンがさ…」
と言って、
「ぼむ!!」
と、爆発のポーズ。たははヽ(^~^;)ノ。
でもかわりにフィルターでいれてくれた単一農園モノの珈琲、ご自慢っぽくてウマかったので結果オーライ。
あとで見たら、メルボルンの名ロースター「St.Ali」の豆だったような…。
窓の外は、雨上がりを寿いでか、鳥が飛びまわっている。
とくに大集団でいる鳥が、羽の内側と頭・腹の一部が真っ赤なので、飛び立つときなど、まことに派手。
のんびりとした食後。
この店も、出すべきモノはきっちりとした量で供してくるし、食べ応えってぇものがあるのだが、ちっともお腹は苦しくならない。 軽快で快適。
***
旅の目的は「attica」と「Brae」。
ヴィクトリア州のシェフ2トップの料理は、ホントに空恐ろしい体験だ。
なんちゅうか、この期に及んで、
「世の中にはこんなウマイもんがあるんか!?」
といったようなベタな溜息が頭の先から天に昇って行く…。
***
厨房と客席が近いせいか、厨房にセイ・ハローしてから退けて行く客が多い。
ボクらも厨房に顔を出すと、
「あ、ダンは先客の見送りに行ってるから、ちょっと待ってネ」
で、女性シェフにしばらく話を聞く。
シェフ、ダン・ハンターは生来のオジサン顔なのか(笑)、ひじょーに穏やかな雰囲気。話してもその通り落ち着いている、けど、「静かな自信」はタ~ップリって感じ。
その料理が、精妙でクールでありながら、何とも、明るく・温かく・豊かであるのと、よく符合している。
「メルボルンはどこ行ったの? アッティカ? 良かった? 都会だよね~♪」
…って、さ、此処と比べたら世界のガストロレストランの99.9%は「都会」やがな(笑)。
ダンは、自然への思い・職人の技量・アート性…そのバランスが、凄く良いとしか言い様がない。
実は、「ヴィクトリア州が熱そうだ、行きたい~」と思い始めてからけっこー経っていたので、ベン・シュウリについてもダン・ハンターについても詳しい経歴とかは、以前には読んでいたのだが、すっかり忘れていた。
このヒトは、2006年頃の「Mugaritz」のヘッドシェフだった人物。
こちらへ戻ってからロイヤルメールホテルでやって、それで昨年にこの「Brae」での独立を果たした。
I hope I'll see you again soon!!
番外編:[ Epicurea 2016 : Dan Hunter x Luca Fantin ] @ BVLGARI Il Ristorante
2016年 7月
[ Epicurea 2016 : Dan Hunter x Luca Fantin ]
*Crispy octopus : LF
*Sweetcorn texture : LF
*Prawn, nasturtium, finger lime : DH
*Iced oyster : DH
+06 Champagne Dom Perignon
*Calamari and fermented celeriac, peas and beef fat : DH
+14 Abbazia di Novacella (Stiftskellerei Neustift) Grüner Veltliner
*Eel with endive : LF
+04 Champagne Dom Perignon rose
*Monograno Felicetti Spaghetti with caviar : LF
+Vodka
*Eggplant and salted horse carpaccio washed with sweet onion juice, fragrant and acidic plants : DH
*Managatsuo with green pepper : LF
+12 Poderi Aldo Conterno - "BUSSIADOR" Chardonnay Langhe
*Short rib of Wagyu, vegetables pickled with Australian spices : DH
+03 Barolo Le Vigne, Luciano Sandrone
*Plum simmered with vanilla, sheep's milk and brae farm honey : DH
*Coconut with raspberries : LF
+14 La Spinetta Bricco Quaglia, Moscato d'Asti
*piccola pasticceria
[AQ!]
やっとこの日がやって来た!…ではないのだけど(笑)、申し込んで半年、寒い正月に払い込んだイベントの日の昼は35度まで上がっていたのであった(^^;)。
今や真冬のアノ国からアノ男がやって来る♪
ブルガリのコラボイベント「Epicurea」、2015はイタリア各地シェフとのコラボだったのだが、2016はグローバル版。
発表された顔ぶれは、我々的には「二度見」のエエっ!(笑)
まさかまさかのDan Hunter(とRodolfo Guzmán)! オヨヨ♪
ビックリ…ではあるが、考えてみればMugaritzのグローバル一門会ということではある。Danはちょうど10年前はMugaritzのシェフ。
はるかBirregurraからDanがやって来るとならばこれは逃せまい、とチケットをゲットしたのでありました。
マッシモやアンドゥニほどではないけどダンのチケットも早々には売切れたようなので、ナイス決断だったかなあ。
今年は7月に入るや否や、夏がゴリ押ししてきた。
ブルガリは1階エレベータ前が軽く出迎えと受付機能をもってる。いつもサンパな、さすがな対応。案内嬢はメルボルン留学経験があるという「奇遇」さ。
8階に上がり、見知ったサービスの挨拶。フロアもサンパで感じの良い面子が多い。
しょーじき「ブルガリ」ともなると、ボクらなんか価格帯的に「不相応」の世界だが、「さすが」である。
薄暗めのサルへ。このサルは苦手…というかあまり趣味でない。…というか、銀座の高級店の少なからずは何で「展望レストラン」にするんだろうなあ。
ここも展望レストラン。通される席は大ガラス窓に面していて、…今宵見えるものは向かいのビルのオフィスの改装。資材が積んであってネコ車が行き来する中、蛍光灯が嵌って行く(^^;)。
他店でも、隣接ビルの看板の裏しか見えない、とか、隣のビルの屋上のゴミが見える、とかあるのだが、それでも展望にする…って昭和だよなあ。
まあ、ネコ車見ながらディネもシュールでしょアートでしょ…と言われれば、そんな気もするが(笑)。
つい「薄暗い」とは表現したくなるのだが、卓上照明などは巧みに光量を確保している。
卓上に品書が待っている。
おおイイじゃん♪
まずRodolfo Guzmánコラボの時にはRodolfoの皿の少なさ…がちょこっとだけ残念感あったのだが、今回は両シェフ1皿ずつ多い。
そしてDanのパートを見ると「あのCalamari!」など我々にとって知ってる皿と未知の皿と半々くらいの構成。勿論、既知の料理は日本の食材でどういうヴァリエを見せてくるか…という楽しみがある、、、なんてことを言ってると、メートレスMさんが現れて、
「ブレイで食べてらっしゃる料理もあると思いますが、本日はヴァージョン・ジャパンをお楽しみ下さい」
と素晴らしいブリーフィングを見せる♪
コースに含まれるドンペリで乾杯 & フィンガースナック・スタート♪
Crispy octopus : LF Sweetcorn texture : LF
蛸の激軽チップ・タピオカの吸盤 / ヤングコーン・アンチョビ風味、ブリオッシュ / ヤングコーン・パプリカ・カモミル
サクサクの蛸は器も蛸足型。…ってことは、レギュラーでも使ってるのかな。
Iced oyster : DH
Prawn, nasturtium, finger lime : DH
三重産牡蠣・アオサ / テンドン・アオサ / 甘えびのナスタチウム包みフィンガーライム
このスナック群は「Brae」で出しているまんま…に見えるが日本産版にスライドしている。
Tendonは天丼…じゃないよw、牛アキレス腱を揚げたもの…だが知らなきゃそうとはわからないチップス。で、アオサがけ。
プローンは甘海老。日本の甘海老の甘みに敬意を表したか、Braeよりスパイシー成分少な目。ナスタチウム包み内はタマリンド・マウンテンペッパー風味甘海老。
Calamari and fermented celeriac, peas and beef fat : DH
「Brae」でむせび泣いた(笑)カラマリに再会♪ うまい!
へべのBrae日記から再掲すれば、
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イカに発酵根セロリ、は見るからに、もやしとえのき…とか見分けのつかない食材を合わせるところが中華的に決まっている。太めのイカソーメンとセロリアック漬(3wks.)の細切りの流れに、若いぷちぷちの青豆のバーベキュー!
上等のイカに根セロリ漬の歯ごたえと酸味、春の豆と絶妙なとり合わせ。牛脂で肉っ気も加わって味わいにまとまり感も出て、
これは大変だ! 本物だ! 大当たりだー! etc.
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今日の烏賊は萩産。青豆も処理が微妙に違うver.日本。
そんな具合に料理は材料で変わるが、同一主旨料理をいただくと、モノの味は食べ手の方のいる場所の温度・湿度などの純粋物理環境でも違う味わいを受けるもんだよなあ…ということを今更のように思い知らされる。
甘海老甘い、烏賊甘い…がまた、高温湿潤によくフィットするというか。ああコレが日本の味、って気がするというか。
もんのすごい余計な邪推連想だが、海産物も甘いを尊び・野菜も甘いを尊び・料理に砂糖味醂日本酒を多用しながら私デザートが甘いのは駄目なんですと言い・和食は油使わんのが素晴らしいんですわと言いながら和牛という脂メタボ牛を育てる…みたいな「日本人好み」の幾ばくかは、日本型高温多湿との相関があるんかなあ。
Eel with endive : LF
所謂、「琵琶湖の大鰻」。鰻焼につけるのが、赤・黒唐辛子+アニス/ホースラディッシュ/バルサミコ。
バルサミコ煮アンディーブ/アンディーブ+白バルサミコ。
アニスを効かせた三味唐辛子がナイス!…だが、これとホースラディッシュ・バルサミコの全部混ぜも存外うまい。
ルカのシンプルな傑作。
鰻はピュアな焼き魚…として仕立てたのが、味に効くよなあ、、、。
簡素な組立て直しは和食のヒトにも見せたいな♪
ソムリエも気合が入ったか(^^;)、ペアリングは04ドンピン(ドンピン言うな!(笑))。
Monograno Felicetti Spaghetti with caviar : LF
宮崎産キャビアにクロカンな蕎麦実。
ルカのパスタは絶品。味や香りも勿論だが、Felicettiスパゲティを生かした艶やかな食感テクスチャがたまらん。
風味マイルドなキャビアだが、「やっぱり色々考えましたが…」でウォッカをひと口。
Eggplant and salted horse carpaccio washed with sweet onion juice, fragrant and acidic plants : DH
熊本産馬肉・茄子揚げ・水切りヨーグルト・デビッドソンプラム… 馬肉カルパッチョは、「料理」的「アンサンブル」の印象…の出にくい皿になりがちだが(結局馬肉が旨くて強いから)、コレは料理! 曰く言い難く美味い。 オニオンジュース辺りが秘訣か。グリーンのハーブサラダ部も添えモノ的でなく参加感が大きい。
ところでこの日は卓上オリーブオイルは熊本産(普段から選択肢には入ってるが)。オリーブも馬も、がんばれ熊本♪…か。
Managatsuo with green pepper : LF
萩産マナガツオと万願寺デクリネゾンのコラボ。万願寺の中も万願寺詰め。
Short rib of Wagyu, vegetables pickled with Australian spices : DH
鳥取産和牛を鰻骨などと24時間低温調理…を柱として。 和牛のテイストを肯定的に「ならでは」な方向に感受できる、自分たち的には「稀有な」作品。香ばしさを巡って、膨らむ旅。臭さが削れてる。
おせっかいなほどプニプニむっちりする和牛に、ピュアなピクルスがうまい配役、大根・人参・カリフラワー。ナスタチウム。
バローロは食事時に合わせての早い時間の抜栓だそう。
Plum simmered with vanilla, sheep's milk and brae farm honey : DH
デビッドソンプラム・ヴァニラ・羊乳・Brae蜂蜜。
料理にも使っていたデビッドソンプラムがテーマのデセール。持ってきたのかな? ググると「クイーンズランド・デビッドソン・プラムは冬に熟す」とあるが。
***
皿数も十分、コラボ性高く良い会ですた。
ダンの料理はやはり暖かくニコヤカで、滑らかに突き抜ける大きさがある。
本人は相変わらず、いい人オーラ120%♪ 和むなあ… (いま世界で最もキレてるシェフの一人…には到底見えない(笑))
「今度は泊まれるから、またおいでよ」…宿泊棟のできたBirregurraに行きたくなるぅぅぅ
10年後のムガリツ…なんでその話も。関口・川島シェフなんかはやっぱルカの方が重なりが長いかな。ルカ、
「ハル? 小っちゃいのに最近は横に大きいな♪」
「ヒロシの奈良の新しい店は立派そうだネ!」
2019年 5月
[へべ]
はるばる戻って来ました、5年ぶりのBirregurraへ。 道中の何もなさは相変わらずながら、羊や牛が草を食む丘がなんとなく枯れ草色。 今年は雨が少なくてね、とドライバー氏。へえぇ、以前11月に来た時は土砂降りのえらい天気だったんだけどね…などと話していたら、ムムム、なんだか雲行きがあやしくなってきた。 …そんな訳で結局、なぜか Braeに着くと 雨が降る〜♪ となり、傘をさしてのチェックイン。
[AQ!]
前回の「Brae」が2014年。
東京での「Dan Hunter x Luca Fantin」が2016年。
さても再訪のしたいところ…に、明確な目標も出来ていた。前回はまだ無かった「宿泊棟」。
おお、あの大地の恵みそのものを食らった後で、大陸に大の字になってゴウゴウと寝てみたいではないか(笑)。
ディナー及び宿泊…は、木・土曜の週2日のみ、であるのだが、場所が場所だから(笑)、予約はアッティカなどに比べればフツーに取れる(土曜夜はそこそこ早く埋まるが)。
ジロンのホテルからuber 105ドル、小一時間。
農地。牧草地。。羊、牛、馬、鶏、、、まあな。
今年は極端に雨が少なかったんだよ、草が黄色いだろ?…いつもはまだ、この時分なら青々してるもんさ。…へえー。
ちょうど、着くと、通り雨。 レストラン棟に顔を出すと、お姉さんが傘を差し出してくれて、アコモデーションへご案内。
(多少は予想してたけど)ため息が出るほど、素敵。贅沢。カッコイイ。
シードルで乾杯。
お姉さんがひと通り説明してくれるが、(まだ新しい施設だし)アチコチが電動で動く(笑)。
(サイトで見て知ってたけど)ターンテーブルにブラックディスク。「こんな具合よ」…とかけてくれたのは、「Kind of Blue」。
“なるほど渋いディスク揃えなんだね”…と思うが、後ほどレコード棚を見れば、ジャズはこの1枚っきり。クラシックは、無し(笑)。ロックとポップスが15枚ほど。
だよね!…いいなあ。
ま、ボウイの「Low」をブラックディスクで聴きながら美食に思いを馳せる店が、自由が丘の某店以外にあったとわ(笑)。(…あ、ちなみにこの「Low」、日本盤だった!)
…さて、したいことは、山ほどある。
チェックインタイム15時のすぐ、に着いて、良かった。
[へべ]
部屋にはなんと備えつけのゴム長が! 日のあるうちに(秋の日は案外短い)、いそいそと畑見学に繰り出す。
[AQ!]
ひ、広い。…知ってるけど、やっぱ、広い。
畑の広大さ。メルボルンのトモダチにでも卸すのか?(笑)…ってくらい。
『水辺』でも欲しいのか、大きな池を掘ってるみたい。
畑には、小まめに札が立っている。日付入りのものも多い。それらを眺めているだけでも、
Artichoke Globe, Celeriac Caesar, Garlic Seed Italian White, Kale Red Russian, Kale Cavolo Nero, Radish, Radish Cherry Belle, Radish Watermelon, Daikon Miyashige, Turnip Japanese, Turnip Globe, Turnip Golden Globe, Carrot Red Core Chantenay, Warrigal Greens, Orach Ruby Red, Asparagus Purple, Asparagus Fat Bastard, Cabbage Tokyo Bekana, Chinese Cabbage One Kilo Slow Bolt, Cabbage Early Jersy, Cabbage Golden Acre, Burdock Japanese Takinogawa Long, Salsify Sandwich Island, Parsley Root Berliner, Pomegranate, Salvia, Lettuce Great Lakes, Lettuce Flashy Trout Back, Lettuce Buttercrunch, Lettuce Bronze Mignonette, Lettuce Deer Tongue, Achillea, Beetroot Detroit, Beetroot Bulls Blood, Kohlrabi White Vienna, Beetroot Row 7 Badger Flame, Celtuce, Chives, Garlic Chives, Society Garlic, Broccoli Romanesco, Cauliflower Violet Sicilian, Cucumber Lemon, Cucumber Space Master, Cucumber Calypso, Melon Boule dOr, Strawberry Alpine, Strawberry Brae Original Planting, Comfrey, Potato Kipfler, Basil, Mentha Piperita, French Sorrel,,,
宮重大根や滝野川牛蒡や東京べか菜まで植わっている。
野菜好きには楽園である♪
苺とかには、「Please do not pick」の札(笑)。
ビニールハウスの中には、ハーブ・花類/蔓モノ/苗…。
オリーブの樹の下に、鶏が飼われている。白と茶、10羽ほど。採卵用かな。
果樹園。そして果てには、麦を育ててフル自家製のパンまで…。
Medlar, Olives, Plum, Quince, Quince Champion, Mulberry, Plum Green Gage, Plum Damson, Plum Wickson, Plum Angelino, Plum Snta Rosa, Plum Mariposa, Plum Ruby Blood, Plum Satsuma, Elderberry Variegated, Cherry, Crab Apple, Apricot, Pear Red Anjou, Pear Beurre Bosc, Pear William, Fig Black, Fig Preston, Fig Prolific, Pistachio, Nectarine, Nectarine Fantasia, Nectarine Gold mine, Nectarine Early River, Peacharine, Rhubarb, Australian Indigenous Food Plants,,,
部屋に戻り、牧草地・牛に羊・丘陵・夕焼け…を眺めながらひと風呂。
湯上りは、「HAWKERS PILSNER」(メルボルン北Reservoirのクラフトビール)。 (既に)はっぴ~♪
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[Autumn]
*Jerusalem artichoke and southern rock lobster
*Abalone grilled with pork jowl
*Sea urchin and whole wheat croissant
+NV Geoffroy 'Expression' 1dr Cru Brut, Ay
*Prawn and kohlrabi, egg yolk, fermented rye and wild mushrooms
+NV Equipo Navazos 'I Think' Manzanilla, Sanlucar de Barrameda
*Dutch cream potato cake, cultured cream and brook trout roe
+Kettle Green Juniper Wheat Lager, Derrimut, Victoria
*Iced oyster
+NV Holly's Garden 'uberbrut', King Valley, Victoria
*Rock flathead, butter braised turnip, warrigals and finger lime
+MV Between Five Bells 'Yellow' Savagnin, Waurn Pods, Victoria
*Brae farm autumn vegetable garden
+17 Smokestack Lightning 'SCSB' Sauvignon Blanc, Yarra Valley, Victoria
*Aged Pekin duck wood roasted on the bone, eggplant and slow cooked beetroot
+16 by Farr 'Farrside' Pinot Noir, Geelong, Victoria
*Anised myrtle and angelino plum ice with frozen passionfruit
+Hiwa Shuzo 'Tsuruume' Nigori Umeshu, Wakayama
*Parsnip and apple
+06 Reichsgraf von Kesselstatt 'Josephshofer' Spatlese Riesling, Mosel
*Boule d'or melon
*Honey and macadamia ice cream sandwich
*Rhubarb and pistachio, blood and preserved blackberry
[へべ]
ウェルカムバック! あちこちで再訪をことほがれ、ほんわかホームな気分にさせてくれる。 前回はあっちの窓寄りのテーブルだっけ、などと思い返しつつ着席。 卓上花のカンガルーポーが愛らしい♪ 目を上げれば厨房のきびきびとした動きが見える(嬉しい)。
[AQ!]
7時半。半分以上、始まってるかな。
土曜夜は、かなり白人寄りの客層。地元名士とか多少、多めかなー。昼にみかけた、いかにもな中国人グループとか、無し。
ペアリングは「ミックス」もあり。今日は泊まりだし、「ワイン」ペアリングで。 (先に書いちゃうと)めちゃくちゃ優れたペアリング。髭のソムリエは感じもいいし、抜群やなー。
最初のGeoffroy 'Expression'は、再会を祝して…ということで、ダンから。
卓上の花は、カンガルーポウ。へべが当てて、褒められる(笑)。
Jerusalem artichoke and southern rock lobster
[へべ] トップバッターはトピナンブール! 皮の器にサザンロックロブスター、ザクザクと香ばしくワイルドな食感が、どことなくダンハンター調。
[AQ!] トピナンブールの香ばしさよ、ひらり香草、繊維のしっかりした海老と、力強いスタート。
Abalone grilled with pork jowl
Sea urchin and whole wheat croissant
[へべ] 渦巻形の全粒粉クロワッサン上には、つんもりと雲丹、これが香りも味も清く爽やか。 豚と鮑の串焼きは、下からの小規模スモークが効いてて楽しい。もしや銀座仕事で来日時、ガード下の思い出アレンジ?(なんてね)
[AQ!] 「ガストロ焼きとん」感が漂う。東京イベント時に、ルカファンティンとガード下で呑んだ?…などと(笑)。
Prawn and kohlrabi, egg yolk, fermented rye and wild mushrooms
[へべ] 畑で見てきたコールラビにはナスタチュームを重ね、香ばしい殻付き海老を巻いてタコス仕立てに。 下の器は秋の茸。 コールラビの新鮮さか際立つ一品。
[AQ!] コールラビ!…のナチュラルな甘さの、空中に微かに踊るミスト。心を捕えて放さない♪ 大ナスタチウム葉の下には海老タルタル。海老も茸(凝った仕立て)も、もちろん素敵なんですが。
ここでのペアリングは、Sanlucar de Barramedaのマンサニージャ。「だよね、だよね、そうだよね!」…と言いたくなる。
Dutch cream potato cake, cultured cream and brook trout roe
[へべ] ビクトリアンポテトケイクは、日本で言えば「懐かしの海の家ラーメン」(のガストロ版)といったところ? クリームとブルックトラウト卵を添えて。 要は揚げジャガですが、金色の繊細な魚卵とクリームとさくさくの衣となめらかな熱々のイモの織りなす世界はもはや天国か桃源郷か、好き過ぎる…。 ペアリングのビールがまた極悪なまでに合ってて、ほとんど悶絶。
[AQ!] オーストラリアのファインダイニングが「ベジマイト」やら「ビリーティー」を出す、ま、その“冗談枠”に連なる一品だが、いやあ馬鹿馬鹿しいくらい『まんま』な眺め? 食べても実にいなたく「何かガストロな工夫しました?」ってくらい(笑)なのだが、まさにそうなのだが、コレが、アタマから湯気が出るほどに、ウマイ! めちゃくちゃ、ウマイ!
どうなってんねん? (^^;)
brook troutというのはカワマスらしいのだが、この卵がまた、あり得ないような滑らかさ。こんなん、ある?
オマケに、Juniper Wheat Lagerが死ぬほど合う。「これ、ヤバくね?」…ってソムリエに言ったら、
「このビール、イイっしょ? 旨すぎて、ボクいつも飲み過ぎ!」
だそう(^^;)。
…このセットが「サイコーにウマイ♪」…とか、言ってて気恥ずかしいくらいだが、そこはもう『術中』だろうか…
Iced oyster
[へべ] これは知ってるよね? と牡蠣アイスが登場。
[AQ!] 牡蠣のアイスクリームは「前回も食べたわよね(笑)」と。 コレと北京ダックが、スペシャリテ格でコース中に残ったようだ。みんな食いつきが良さそうな料理だし、いいアクセント…ってとこかな。
…で、前回の「Iced oyster」を見返してみると、前菜のアタマ…というかアミューズ後半みたいな位置で出されていた。
それで思うと、今回の「コース」って、食べているととても自然な感じなんだけど、後で全体を眺めると、「打順、自由やな~♪」って印象が強い。
いきなり焼きとん食ってたかと思うと、芋ケーキ行って牡蠣アイス、とか、この後もまたサラダに戻る段…とか。変、っちゃ変なんだけど、思うまま…というか、食べててシックリくるんだよねー。ナチュラル・イノベーティブ。
合わせるは地元ビクトリア州の泡(blanc de noir)、とこれも自由。
パンとバター。麦香りと焼香り、ミルク香りが強烈・颯爽。
裏の窯でストロングに焼いているので、好き嫌いが無いタイプではないが、この世で一番好きな食中のパンの一つ♪
Rock flathead, butter braised turnip, warrigals and finger lime
[へべ] 今回ちょっと食べたいなと思っていたフラットヘッドに、よもやここで出会えるとは! 皮は香ばしく身はしっとりと旨味をたたえ、その味とバターを吸ったターニップの小球にうっとり。 フィンガーライムの酸がプチプチとはじけ、酢バターソース魚の見事なオージー展開になっているのもうるわしい。
[AQ!] 「フラットヘッドは旨い!」と聞いてたんで興味津々だったのだが、うわああ、旨い! (←まんまや)
焼き香りよろし、身質のしっかりしながらシットリ感よろし、焼き魚としての味わいよろし。
ターニップは俺の目から落ちた涙か!? (笑)
Warrigals…は、フランス料理ならエピナール…ってとこか、下に敷かれた味・香りのあるオセアニアの菠薐草。
合わせるはSavagninで'Yellow'…ヴァンジョーヌやね(笑)、好相性。Geelong郊外の、さっきクルマで通ってきた辺りの産。
Brae farm autumn vegetable garden
[へべ] 秋の菜園から、野菜の一皿。 とりどりの根菜、ひとひらずつのハーブの味が香りがそれぞれに楽しく多彩で、時折ハッとする魅力的なきらめきに「今のそれどれだったの」と面影を追い…いつのまにか皿は空っぽに…。
[AQ!] 秋の畑。
ひたすらひたすら、大好き。(豪州も、野菜が、濃い)
かじりつくように、没入。喪失(笑)。
ヤラヴァレーのソービニョンブランを合わせるが、それに先立って「秋の青汁」とでも言うか、野菜ジュースが置かれる。
これが絶妙に美味くて、ついつい一気に飲み干してしまったのだが、ワインサーブのお姉さん「アラ?」と笑って、青汁の“おかわり”を持ってきてくれた。ありがたや♪
Aged Pekin duck wood roasted on the bone, eggplant and slow cooked beetroot
[へべ] エイジド北京ダック、これも常打ちスペシャリテかな? とはいえ細かくは色々と進化してるのか、皮のおいしさなど一段とグレードアップしている気も。 ぎゅっと凝縮したビーツ、レバーのカネロニ仕立てをはじめガルニもお見事。
[AQ!] 冴え渡る北京ダック、更に旨くなったかも。(中国料理の北京烤鴨でこんな旨いの食ったことない(笑))
レバーを堪能できるのもイイ♪
相方は、前回同様、Geelongはby Farrのピノ。Gary Farrは13年間Dujacにいたそうで、ちょっとそれも感じさせる必殺のピノ。ソムリエの話では、by FarrとBraeは「友人関係」が深いそうだ。
Anised myrtle and angelino plum ice with frozen passionfruit
[AQ!] アニス風味レモンマート、アンジェリーノプラム、パッションフルーツの酸味が冷菓に響く爽やかさよ♪
…だが、特筆すべきはドリンクで、和歌山の梅酒「鶴梅 完熟にごり」。ひゃ~、イイもの探してるね!
途中で変な日本酒出されるのの、100倍嬉しい(笑)。
Parsnip and apple
[AQ!] これが最後の、「これは知ってるわよね♪」
やはり皮の香りが素晴らしい。
Boule d'or melon
Honey and macadamia ice cream sandwich
Rhubarb and pistachio, blood and preserved blackberry
[AQ!] なかなか豪華な(笑)ミニャルディーズ船団。
“あ? へ? メロン?”…って、まんまメロン…だけど、我々は知ってる、畑で見てきた(笑)。
樹上…というか樹下、で、とことん完熟させてた、そのメロン♪ 「もう枯れてんじゃねーの?」って見た目にぶら下がってた果実。
見事に熟してた。
いやあ、名残惜しいが終わって行く。大らかに笑顔のままに閉じて行く。
「最後はもうこんなんしょ?」の、モーゼルのシュペートレーゼと。
[へべ]
あぁやっぱりBraeはめちゃめちゃ好きだ…と自分の中で再確認する。 ingredientsを活かしきる派のなかでも、ダンハンターの料理はちょっとおおらかで、空が青い感じがする。
[AQ!]
あっはっは♪…と豪胆に、この辺の旨いもんを並べてくる。
よく見れば、極めて精緻な仕立てだ。でも、ま、「よく見れば」…でいいや。
抜けるように青い空。
ダンはますますダンらしい、のかも。此処は、此処にしかない、此処。ただ一つ。
[へべ]
参考メモ: アウトバックとは、、「オーストラリアの内陸部に広がる、砂漠を中心とする広大な人口希薄地帯」であり、奥地、未開の地というニュアンスもあり、景観としては砂漠だけでなくブッシュ、原野、荒野、岩がちな地帯などもあり。
情緒的には、北米の「ウィルダネス」+「パイオニア」をもっとワイルドでヘビーデューティーにしたような、荒くれ男どもが未開地でキャンプしてる感じがつきまとう…かな?
[AQ!]
ダンは途中まではバリバリ実働している。ケツは、今日は二階建てだし、早退。
「ダンがヨロシク言うてましたー」と伝えてくれた厨房の若手二人が、「実はボクらも、ブルガリついて行ってたんですー♪」で、ひと盛り上がり!
とろとろと部屋に戻る。何を聴こうかな…とブラックディスクを漁る(笑)。
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8時に新聞とクロワッサンが玄関脇にかけられる。
[へべ]
朝食も最高!
[AQ!]
書き出しても別にコレといってどーということのない、ごく普通のコンチネンタルブレックファストなんだけど、どうもシミジミとうんまい。
さすがだわ。
11時にタクシーが来るまで、だらだら…。
帰りたくねえなあ…(笑)。
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