1995年 1月
*酸味のきいたスペアリブのテリーヌ
*鴨のソーシションとフォワグラ、イチジクのチャツネ
*季節野菜のガトー仕立て
*香草を抱き込んだ仔羊
*鴨のロースト、ピッツァ仕立て、イチジクのチャツネ
*バナナムース、サンマルク、バスク
*アプリコットのソルベ、ココナッツグラス
+83 Ch.Sociand-Mallet
[AQ!]
森本秀和の名前を記憶しよう。
[ヘベ]
やや明るめの店内。若いけど感じのよいサービス。ランチも気持ちよさそう。
さわやかな酸味がどこかに漂うアミューズに高まる期待、は裏切られず。
鴨ソーセージの皿はおいしかったな~。複雑なソーセージ、表面カリカリのフォワグラ、の仲をとりもつイチジクの個性強烈なチャツネ、茶色いソースの絡んでるの。「勢い」というようなものを感じる皿でした。
んでもって、また、季節野菜が、おとなしげな名乗りに反して濃ゆくておいしいっ。
仔羊もたぶんそんなに超上等なものじゃないんだろうけど、料理がうまい、という印象。中味を巻いてあるところがもう、たまらなくおいしいので一杯あったけどぺろり。
とにかく、皿の上の豊かで多彩な景色に心奪われて一杯食べてしまう、というような(いいわけ)。
フロマージュはどれも見た目の第一印象よりよくて、いいものが揃ってました。ブリアサヴァラン、とか、とろとろのポンレベックとか、ヤギのあれとかこれとか。
そして地下鉄の駅からとても近い。のも、いいですねぇ。
[AQ!]
サービスは若手とベテランのバランスの妙、ということもありますね。
1996年 2月
*生ハムのカナッペと豚のテリーヌ
*帆立とジャガイモのガレット、トリュフとバジル風味
*赤座海老とリドヴォーのクレピーヌ包み、モリーユとトランペット
*活サバのグリエ、煮キャベツ
*仔羊のポワレとジャガイモ、香草とポンレベック風味
*鶉のフォワグラ詰め、プラム添え
*ガトーショコラ、バスク、ホワイトチョコレートケーキ、カスタードプリン
*グラスドバニーユ、ソルベドフランボワーズ
+85 Ch.Gruaud-Larose
[AQ!]
いくつかの点は、傑出、しているぜ~。
[ヘベ]
馮は、いいですね。たしかに、若々しい感じ、というのがどことなくあります。味の「イク時はいきます」加減や、特に塩に関する趣味が好きです。
メニューも一目見て、おいしそうっ。サバ、にはことのほか惹かれました。
帆立とガレットにしたのも、ポンレベックと付け合わせにしたのも、いずれのジャガイモもとても官能的なおいしさ。パリのジャガイモみたいでした。
鯖キャベツ、も、よかった~。
仔羊は凄かった。素材の素性としてはそんなに極上ではたぶんないと思われる肉が、どうやってか、うんとレベルアップして皿の上にある、という印象でした。(その印象がどこから来るのか、というと、これもちょっとよくわからない。)とにかくおいしい。
フロマージュもとろとろ食べ頃のを含めてあれこれ。
Gruaud-Laroseはたいへん美味でゆっくり楽しむために常に自制と牽制をきかせたおかげで、フロマージュと一緒モードも味わえて幸せ。
なんとなく、ランチも一度行ってみたいような気がします。
1996年11月
*鰯のマリネ
*エスカルゴと豚足のコロッケ風
*山芋とエクルビスのムース
*蝦夷鹿のポワレ、二種の林檎ピュレ
*秋鯖の塩焼きと加茂茄子
*グラスドキャラメル
*ピスタチオムース、パリブレスト、タルトタタンなど
+88 Nuits St.Georges les Murgers A.Hudelot-Noellat
[AQ!]
相変わらず、ここは、冴えてます。恐ろしくソソるメニューと実質。
[ヘベ]
アミューズが鰯、という選択もここらしいです。しかも美味しい。
エスカルゴ豚足のカリカリ衣もよかったけど、なんといっても秋鯖。
[AQ!]
凝らした工夫が気持ちよく実るというラインナップですね。嬉しい。
それと、改めて感じたのですが、C/Pバランスが大変いいですね、ここは。最上質の素材を駆使して、という感じではないですが、かなりかなり抑えられたお値段。
メートルソムリエ鳥山氏(だっけ)は、何とも楽しそうにブルゴーニュ蔵巡りの話をしてました。「いやぁ、ロマネコンティの畑って、ほんとに細い道一つ隔てた向いの**さんのロマネサンヴィヴァンの畑と、やはり、見ただけで明らかに違うんですよ、葡萄がぁ~っ」。経堂にお住まいだそうで、小田急話も。
1997年 3月
*テリーヌ
*ヤリイカとオマールのラビオリ仕立てイカ墨ソース
*アワビの、ローズマリーを使ったブロシェット、豚足包み
*ナンショー豚のロティと山菜・さやえんどう
*仔鳩のロティ
*ガトーショコラ、林檎のゼリー寄せ
*アプリコットのソルベ、バニラのグラス
+90 Ch.Figeac
[AQ!]
さらに料理がよくなっているような気がします。C/P、素晴しい。
1997年10月
[AQ!]
鮎のような素材をとても嬉しそうに力いっぱい料理する。そんな感じが続いている。無国籍がかっていても腰が引けないし、打率も悪くない。
1998年 8月
*鰯のマリネ
*穴子を装った山芋とフォワグラ
*鴨のコンフィと豚足の大根包み、パセリのソース
*真鯛のバスクスタイル”コスケラ風”
*シャラン鴨のロティ・無花果のソース、コーンピュレ
*松の実のタルト、オレンジとラベンダーのムース
*ガトーショコラ、プディング
*グラスとソルベ:キャラメル、アーモンドミルク
*杏のソルベ
+巨峰のシャンパン
+93 Morey St.-Denis Clos de la Bussiere - G.Roumier
[AQ!]
半年ぶり、トリリン(鳥山氏)とは一年ぶり。意表を突きながらはっきりと手応えのある料理は素晴しい。クリストフ・ルーミエが春に来たとかで、「色々とれました」と見せてくれるトリリン。
[ヘベ]
やっぱり、トリリンがいると楽しい、馮。鳥山氏のいた前々回に美味しかったあの鮎は、今年もメニューにありました。ああいう、ちょっとハッとするような素材や手法をみごとなフレンチに仕立てあげる、という森本シェフの路線は今回も健在かつ冴えていました。
食前酒の「巨峰のシャンパン割り」に、うっとり。馮の食前酒はいいですね。ひとくち含むと、口中にホログラムの巨峰が再構成されるような。葡萄の皮と皮のすぐ内側の味と香りが鮮やかです。そういえば、去年のベリーニも素晴しかった…。
理屈抜きでこれ好き!とメロメロになってしまったのが、「鴨のコンフィと豚足の大根包み」。薄く薄く透けるほどの大根は、ところどころがこんがりと香ばしくて、鴨の旨みと豚足というコテコテになりそうな顔触れをすっきりと包みこんでます。そこへもってきて、パセリのソース。パセリというところでぐっとフレンチ度が高まり…というような理屈もいいからとにかく旨いのよ~ という感じでした。鴨の付け合わせの、とうもろこしのピュレと焼ポレンタ?のようなのもよかった。大地の恵み、という気分。
なお、ルーミエさんちのクリストフは「えらいイイ男」だそうです。
[AQ!]
しかもカミさんもイイ女だとか。
1999年12月
*ハムのペーストのシュー
*毛蟹の冷たいラビオリ、コンソメジュレとキャビア
*鮑の冷製トリュフ添え、ウニのリゾットと
*プサン・サンプルマン・グリエ
*ク・ド・ブフ、パルマンティエ仕立て
*苺ババロア、栗タルト、キャラメルタルト、バニラアイス
*林檎のタルト、蜜柑のソルベ
+88 Echezeaux / DRC
[AQ!]
何と今年初めてだったとは。いやいや、間があいてしまって、こりゃいかん。オーナーもトリリンも、何か、ますます元気で結構。驚くほどの複雑さを御している前菜の冴え。対して、メインは、どうも、「サンプルマン」じゃないけど単純な感じを取り入れようとしているようだ。この方向は良いと思う。さらにゴツく手厚いメインになったらさらに凄いだろうと思うけどぉ、プサン2000円・牛尾2800円と思ってしまうと、現状のC/Pも凄いぜ。
ワインリストがさらに手厚くなった。88のジャブレ・シャペル、85のブレ・カズティエ、91のDRC・サンヴィヴァンで悩んでいたら、「あ、DRCなら88Echezeauxもありますよ」。いきなり簡単に決まる。「これ、蔵出しなんです。サントリーからこっそりオファーが入りまして」。
[ヘベ]
知らぬ間にずいぶんご無沙汰してしまった。ことを、後悔するような料理とサービスとワイン。DRC88Echezeauxに陶然としつつ料理に目をみはりつつトリリンのモテモテぶりを横目に鑑賞するという楽しい夜でした。
前菜はいずれも複雑精妙にして、さえざえと旨い。多彩な参加者がみなそれぞれに生きてます。ウニリゾットの臆面もない旨さに、その温度を受けて薫りたつトリュフ、寄りそう鮑…。周囲の黒いソースがまた美味。
主菜のサンプルマン路線もまた、いいものです。クドブフのパルマンティエは、ジャガイモの薄切りを丸く並べた蓋をこんがりと戴く形で登場。中味はごろりとクドブフかと思いきや、こちらにもポテト参加。旨い。ぺとぺとも旨みもジャガイモが受け止めてお届け、という感じでしょうか。ガルニチュールのキノコがまた見事で、フレッシュと凝縮の間のちょうどギリギリのところ。プサンは開きにしてこんがり焼けて、堂々とした一皿。どちらも黒に金の幾何学線描のお皿で、よく似合ってました。
再三いってますがここのフレッシュハーブティーはやっぱりいいですね。食後のおたのしみとして、末永く続けてほしいものです。
ところでアミューズは以前より随分軽い路線でしたね。これもなにか、心境の変化でしょうか? 前の強気路線のファンだったのですが…などと客は勝手なことを言うわけですが。
[AQ!]
あのアミューズは、やや、×…(^_^;)。
[ヘベ]
使ってたハムのペーストは、平河町の味館トライアングルという店でいつも出すのとよく似てました。なんということのないもの。
そもそも最近多い、あのプチシューの突き出しは、大抵おいしくないと感じる。チーズものも、まず駄目(^_^;)
[AQ!]
そもそも、プチシューの付きだしの大流行は何なんでせう? 美味しければ小粋であることは認めるけど。
マサオさん・ベルナールさんとこのような、豪気なアミューズもやってよ、みんな。(^_^;) フウは割とその路線だったんだけどなぁ。
[ヘベ]
そうそう、あのイワシ(だっけ?)のマリネなんか、ちょっと忘れがたい。
[AQ!]
あの思い切り臭いイワシ。ヽ(^o^)丿 旨い。見事だった。
酸味の効いたスペアリブテリーヌ、というのも忘れ難いなぁ。
2001年 4月
*筍と赤座海老のガレット、葱添え
*百合根のクレームとコンソメジュレ、雲丹添え
*トコブシの春キャベツ包み、ハーブのソース
*フォワグラ・白アスパラ・タラの芽のフリット、菜の花のリゾットの上に
*空豆のスープ
*スペイン産豚のプラム風味、ナッツとともに
*ローストした新玉葱に包まれた牛尾肉の赤ワイン煮込
*ラベンダー風味のクレームブリュレ
*軽いタルトタタンとグラスドキャラメル
+88 Hermitage La Chapelle / Jaboulet
[ヘベ]
森本さんってば、なんて料理好き! …と相好崩してしまうような前菜五品。ちょっと久しぶりの馮は、フロアも皿の上もなんだか春の景色でした。フロアにはちょっとややや、と思うほど多めの若者たち。トリリンはお休みなのか姿見えず。後で聞いたら、新しく採用された若いひとたちだったんですね。厨房のスタッフもまずはフロアを見ておく、と。なるほどと納得しました。
カルトを開くと、右側には堂々7皿(だっけ?)プラスデセール、のムニュデギュスタシオンが。おぉ、これもいいじゃないのと言いながら検討に入る。それもその筈、前菜の「わたしを食べて」的メンバーはほとんど採用されている。…と、その前菜コーナーをよくよく見ると、ムニュと同じく「上記五品」という注文ができるのでした。これは気が利いてますね。結果は、メイン自由選択のセミプリフィクスに近いのですが、なんだか嬉しい設定でした。
で、その前菜は楽しかったなー。筍があんな薄切りなのに香もほのえぐい味もしっかり立ってて、海老とトリュフのソースとばっちりの相性(葱も旨い)。百合根の真っ白なクレームは、なめらかながらぽってりとした質感とでんぷんの存在感がしっかりあって、雲丹とコンソメをしっかり受け止めてます。カリフラワーの類似企画よりいいかも、なんて言いながら味わいました。続いて、皿一面の春景色。淡いクリーム色のソースに鮮やかな緑のハーブが一面散って、小さなキャベツ巻きが二つ。トコブシです。これも美味しかった。軽い酸味のやさしいソースがよく合ってました。キャラメリゼしたフォアグラに白アスパラとタラの芽のほろにが、フォアグラの脂の甘さと抜群の相性です。白アスパラがなんだか山菜に見えてくる。これまた目に鮮やかな菜の花リゾットもいいものです。とどめを刺すように、空豆を封じ込めたような冷たいスープ。実にいい流れです。
プラは、一目惚れしたイベリコ豚。茶色や緑、いろいろなナッツが散らしてあって、エリンギ(たぶん)と新ジャガイモが添えてあります。まあなんて、堂々としたプラム色。でもこってりと照り映えた見ためよりも、食べてみた感じは軽やかです。もう一つは、新タマネギのまるごとローストの芯に、牛尾の煮込みを盛った美しい料理。大好きな、黒に金のラインの装飾的なお皿(よく鮎とか盛られてくる)で運ばれてきました。新タマネギの甘みがやさしい…予想以上に春な味でした。さっき豚の方で食べたジャガイモを口が覚えていて、なんだか肉ジャガを連想してしまうような。
88La Chapelleには終始うっとり。最初の一杯からもう頭の中はルビー色なのにこんがりとしたショコラに圧倒されて、もうメロメロです。素晴らしかった…。
タルトタタンは芯に中が空洞のサクっとしたパイ?が仕込んであって面白い仕立てでした。フレッシュのハーブティーで締めくくって、大満足。
[AQ!]
当日予約を、休日ということで(ウチにしては)早めの19:00に入れてでかけた所、知った顔が見えないフロアは、たいそう若い。大勢いる。年と経験の割にはシッカリやってる、のではあるけど、いつもの見事に流暢なサービスと言うわけにはいかずギクシャクしたり間が空いてるので「大丈夫かいな」と心配しつつ、序盤はそんな展開。
鳥山氏は休みで(何でだか、馮ではよく当たってしまうんだよなぁ、トリリンの休みの日に…)、オーナー(とウチでは勝手に呼んでるがそうなんだろうか、年配のマネージャー)が20:00過ぎに現われるというローテーションの日だったようだ。さすがにベテラン、現われるや否や、各テーブル、そつ無く回ってツジツマを合わせていく。こういう所が安心感。
さて遡って序盤戦だが、メニューを持ってくるのが遅かったぞ、ゴルァ。…ってそれはいいけど、相変わらず何とも旨そうなソソるメニュー。ワインリストは、「何か食事中にお飲みになりますか?」と問われてから出現(あ、そうそう、食前酒のグラスシャンパンはもう飲んでいたが)。ちょっと寂しい。まぁ知った顔がいないのはしょうがない…という点はいいんだけど、フリの客でも、ここんちくらいだと、ワインリストはデフォルトで持ってきちゃって「ご覧になりますか?」という運用の方がいいと思うぞ。
リストはよくまとまった、とくに値付けの良心的な優れたリスト…ということになるが、「あれぇ、おかしいな、偉そうなのが無いでや~」と暫くいぶかしんでいたのだが10分ほどそうしていたところ、割とベテランの女性サービスが気配を察したか、「あの、こちら詳しいリストもございます」と、「本気リスト」を出してきた。「やっぱりな」という感じの二重帳簿システム(^_^;;。鳥山氏などが在店していればさらに「口頭在庫」もあろうから、三重帳簿か。などと書くと悪いことみたいだが、こーゆーリスト運用は良いと思うよん。ワインに興味無い人に分厚いリスト出してもしょうがないし。
それにしても、だ、最初から最後まで、偉大以外の何者でもないジャブレの88シャペル。
へべの書いている通り、前菜5連発は唸るばかり。キレまくり。
プラの豚は天上に昇華した酢豚のようであり、牛尾は天上に昇華したスキヤキのようでありました。
好きな料理人だから勝手なことを言うと、やっぱりまだ主菜は、前菜ほどピシリと方向性というか勝負所というか、が、定まりきらない印象もあるのだが、如何がだろうか。
知らない料理人だったら「旨いぞ、天才」でオシマイ、というくらいの水準の話だが。
[ヘベ]
そういえば、アミューズがなかった。そのせいもあって、序盤はヒマな時間が長かったなぁ。…もっとも、あの前菜五連発を頼んだ客はアミューズなし、という運用やもしれず、それならば内容・構成的には正解でしょうね。真相は、謎。正解と言いつつなんで綿々と書いているかというと、ここんちの鰯とか鯖とか使った強気前菜群じゃなかったアミューズ群を愛していた私としては、前回ちょっとアレ?と思っただけにその後が気になる… (^_^;; というだけなんですが。
ついでにご要望系を並べると、筍とトコブシにはライオールみたいな、よく切れるナイフがあると嬉しかった。一部の肉料理に限りませんよね、切れるナイフを呼ぶ皿というのは。さらに勝手を言えばトコブシにはソーススプーンを添えてあったらなお嬉しかった。などなど。
それで思い出した、カトラリーのセッティングパターンも、謎でした。前菜のナイフフォークは、犬と猫の洋風箸置き(なんとかレストって言うんでしたっけ)にセットされてました。前菜五皿はこれで通すのかな?と思い、一皿食べてここに戻してみると、皿と一緒に下げられた。むむむ、と思い、今度(三皿めだったかな)は皿に置いてみると、箸置きに戻され。また外したか、などと戯れていたわけですが。五皿めの出る前だったか、ソーススプーンとフォークかなにかがセットされ、小スプーンとともにスープが供され、当然スープは添えられた小スプーンでいただいたところ、件のソーススプーンとフォークは再びしずしずと撤去されたのでした。なにか狙いがあったのかしらん。
主菜については同意。まだちょっと拡散してるような印象が、なんとなくですがありますね。個人的にはもう一声、凝縮感のある路線を希望したい…というか、皿を見た瞬間に、頭の中で料理の期待値がボンっと跳ね上がってしまうんです。これは自分の中の問題でしょうね。 (^_^;;
2002年 3月
*リドヴォーのリゾット
*2種のグラスに盛った冷製前菜Feuスタイル:胡瓜と鮭、ホワイトアスパラガス
*ホワイトアスパラガスとオマールの冷製スープ
*スパイスの香る仏産仔鳩ロティ
*タイムで燻した仔羊のココット焼
*再構成した苺のタルト
*バナナのキャラメリゼ、ヴェルジョワーズシュガー
+78 Ch.Palmer
[AQ!]
それはまさに衝撃的な、凛々しく瑞々しくそそり立つような料理である。さすがに我々は、激しく興奮していたらしい。先程「デセールは苺とバナナの二皿がシェフの強いお勧めです」とサジェストしてくれた若手メートルが、「シェフが早く出てきたくてウズウズしているようです」と伝えてきた。食卓の熱気は厨房まで届いているようだ。勿論、ワシらも新任の下村料理長の尊顔を拝したくウズウズしている…。
祝日のフウ。照明を気持ち落としたかな? 気付かないくらいの細部で内装もいじってるかな。ちょっと雰囲気がシットリしたかもしんない。前回同様、フロアは若手のサービスで溢れかえっている。妙に大勢に見えるのは、まだ動線が初々しいからだろうか。「試しに取ってみた新人がみんな居ついちゃったって感じ?」などと、失敬な憶測はワシら。
メニューはガラっと書き換わって、シンプルな眺めで、品数も控え目。コースが8000円から、に値上がり、アラカルトのとくに主菜も少し値上がって、概ね、「普通の高級店」値段くらいになっただろうか。森本シェフ時代は、結構、2000円台の主菜なんてのがあって、妙に安く見えたから。値上がり分は(当たり前な話ながら)、素材の質や全体の量に跳ね返っていて、ボリュームや起伏については、これも「普通の高級店」的なマッチョな流れになったと思う。「下村料理」を口にしてしまった今後は何の悩みも無かろうが、眺めているだけの時点では、ちょっと、茫洋として絞り込みにくさのあるカルトだなぁとも感じた。
アミューズの皿が登場。お、大振りな皿だな。リドヴォーのリゾットであった。やった~! 再三思うことだが、昨今の東京のアミューズは軽少がトレンドで、まぁ景気も悪いし理解はするのだが、みんながプチシューだとちょと寂しいとは感じている。これは久々の大型アミューズだ、良いぞ。…もっとも、そんな形式的感心は、一口食べれば、消し飛んで行く。何故なら、「旨くてビックシ」だから。リドヴォーの食感と香り、リゾットの芳醇な味は、上々の前菜のような高揚感をもたらす。ワシら結局の所、レストランには舞い上がりに来てるんだな、と再確認させられるというか。
オードヴル。胡瓜に泣いたことはあるか? あまり無い。しかし、この胡瓜は泣ける。「なんちゅーものを食わしてくれたんや」と言って京極さんが泣くのが「美味しんぼ」の名シーンの一つだけど、アレですね。何でこんなに旨いの。ジーン。香り!
白アスパラもまったく同じで、切ないほどにひたむきな白アスパラの歌。どうしてこんなに違うの?、と、目を白アスパラ黒アスパラさせるワシら。
正直、震えます。
その素材感の表現の素晴らしさ。何もしない無垢さでも、詰めた本質凝縮感でもなく、何だろうやはり「ひたむき」と言うのが似合う、切々と説得してくる素材たち。
この感覚はプラでも同じ。仔鳩は仔鳩の歌を歌う。スパイス風味の名乗りは、結構ストレートに「カレー粉」を想起する香りである。これが妙に「アッチっぽい」印象をもたらす。ユイットル・オゥ・カレーじゃないけど、フランス人って案外カレー粉真直ぐの匂いを使うからなぁ。その感じ。
仔羊のココットはへべが、何処かのサイトだかでみつけて、行く前から食べたがっていた皿。燻されたタイムの香りが胃袋を直撃する一品で、漂う煙香は回りにいる人にも幸福のお裾分けあり升。滑らかだがマッシヴで、ジュースたっぷりな羊。
デセールがそのお勧めの二品。バナナのキャラメリゼは濃ゆ~い味が宙に浮かび強く印象に残る、普通ならエース格のデセールなのだが、それをもブッ飛ばしてしまいそうな勢いなのが、「再構成された苺タルト」。タイトルからして「ニヤリ、として、ネ」とウインクしている一品だが、この、苺とクリーム、乾燥苺とタルトのバラバラに崩された状態の一皿の強烈なこと。要素一つ一つから言ってそんなに強烈な訳ないんだけどなぁ、不思議なインパクトがあって、食べてる顔面がグニャグニャに笑い崩れて行く。
[ヘベ]
この日初見参の下村料理長の料理に、泣く。もっと早く来るんだったなぁぁ、でも今日来てみてよかったなぁぁ、それにしても凄いよー、旨いよー、などとウワゴトをとっちらかしながら泣きながら食べる。ああしあわせ…。
皿の上に「料理が好き」と描いてある。惜しみなく技が注がれているのに、その結果かえってピュアなところが胸に迫る。そう、ロワゾーの蛙やサンドルの印象にどこか通じるところがあるような。でもココット焼はトラマの夜を思い出させるし、再構成はエルブジだよね、などと勝手なことをあれこれ言いながらワクワクドキドキ大騒ぎしながら食べる当家。騒々しくてすみません。
[AQ!]
…「どうでしたか?」。
頃はよし、厨房からノシと現れるは下村シェフ。「いや、あーた、何がどうだって…」。以下、"とりあえず"の、通り一遍の挨拶を交わすが、料理のファンタスティックさへの感銘を、作ったご本人に伝えるちゅーのは、存外、難しい。ま、しかし、最後の客だったので、延々と色々と話も聞けて実に楽しかった。
ボクら的に嬉しかったのは、「素材のピュアな扱いに、ロワゾーの印象を強く思い出されたのだけど」と卓上の話題をぶつけてみると、
「おお、その通りです」
とのお答え(調子を合わせてくれただけかもしんない)。
「フランスでの修業中で一番強く影響を受けたのは、技術的にも精神的にもロワゾーかな」
とのこと(これはホントにホントだろう)。下村料理長を語るには、このフランス修業の話を避けて通れない。
このヒト、恰幅がいいわ自信たっぷりだわで堂々の押し出しなんだが、1967年生ということは年齢は35歳の若手。いや勿論、そう思って見ると実物も若い。で、このヒト、22歳でフランスに行っちゃったはいいが、そのまま30歳までフランスで修業を続ける。ロワゾー、トロワグロ、ギ・サヴォワ、ジャック・シボワ、マルケージ…。見事にプロデュイ・ド・フランセな料理人なのである。(これまでの)人生、殆ど、向こうじゃん。帰国後「ザ・ジョージアンクラブ」の副料理長を2年(「え、何でジョージアンなんかのスー…」と失言するワシ…内緒話ごそごそ…など)やって、馮の料理長。
そういえば、下村氏は、ウェッジウッドが主催するThe Wedgwood Awards 2001の日本代表予選(9名)にノミネートされた。プロ筋の評価は、ハナから、高いのかもしんない。
「ロワゾーの素材のこだわりは、そりゃ凄いものですよ。あんなにうるさく言ってあんなに質の良い物しか取らない人は無かったです。また、お客さんのことをとても気にするんですよ。ちょっとでも残されて下がってくる皿があると、もう落ち込むんじゃないかと思うくらい、どうしてだどうしてだ、と考え込んでるんです。ああ見えて。考えさせられますね」
トロワグロでは、また違った意味で、フランス流の仕事をカッチリと学べたと言う。
「それはいいんだけど、何か皿を任されますと、トロワグロは大変な数が出ますから、一晩味見をしてるだけで、もう嫌んなってきちゃうくらい…」
経歴にマルケージがあるのが面白い。現代的というか。ちょっとイタリアンも覗きに行こう、って感じ?
「そうですね。まぁ色々勉強にもなったんですけど、マルケージ、例の金箔なんかやるじゃないですか。リゾットに乗せるの。あれ、薄いもんだから風が吹くとまくれちゃったりしまして。アレ~っ大変…だって。俺達、何してんだろ…って。そういうのも多かったですね」
我々の「今日は最初から最後まで素晴らしかった」に対しては、
「僕は、肉とデセール、これはかなりイケてるんじゃないかと思います。得意なんです。魚がちょっとまだ…。温前菜はいいな。冷前菜も苦手だと思ってるんですが」
と言う。うーん、本人の中の満足納得度はそうなってんのかもしれない。しかし何とも、スパッと直截的な自己分析であるが、このヒトは微妙にそういうカラっとした言い方をする。ワシには、西欧風思考に馴染んでる、と映るのだがどうだろうか。料理のアイディアも、ググ~っと考え詰めるのとそこからサァ行けっと投げ放つことのバランスが、西欧的な感じがするんだよなぁ。手離れがいい、っちゅうか。
さすがに20代をフランスでの仕事で過してきただけあって、身体にフランス料理が叩きこまれている感じがある。さらにそれがこれから、安易な日本ナイズなどでなく、日仏両文化の共生的構造上の創造として花開いて行くのを見るのは楽しかろう。そのスリルは、既に派手な卓上の火花となって、ワシらを踊らせてくれる。
また近いうちに食べに来ま~す。精一杯のエールを送って、家路につく酔っ払い二人であった。
2002年 6月
*赤ムツのポワレ、トリュフ風味キャベツ
*兎のマトロート、ズッキーニ添え、サラダ
*大手長海老のリゾット、カレー風味
*3種アスパラの饗宴(緑はチーズ風味)
*鶉とフォワグラ、リゾット添え
*焼尻仔羊のロティ
*温ショコラトルテ、ベリーソース、キャラメルゼリー
*林檎とアボカドのソルベ、2種グレープフルーツスープ
*プチフール:ショコラムースと牛乳ジャム、乾燥苺、黒オリーブシロップ漬
+75 Ch.La Lagune
[ヘベ]
この日の「3種アスパラ」、楽しくも美味しかった~。オーダー時にシェフとご相談、のチャンスがあるのですが、どっちかと言えばおまかせタイプの当家はそんなときあわあわしちゃうんですよね。「何が好き?」と言われても、「おいしければ何でも」という身もフタもない食いしん坊だし…。で、この日はアスパラがなにやら、白と緑とソバージュとあるらしい、というので、これで一皿お願いしてみました。大正解でしたね。
[AQ!]
というわけで6月訪問の馮…、と、htmlをまとめている今は12月なのだ。へべは辛うじて忘れないうちの上記メモを残していたが、ワシは完全に繁忙に流されて半年経ってしまった(^^;)。いやはや。食べた物のメモだけは翌日に書きとめてあって、まぁ、良かった(^^;)。
半年も経つと、ブラボー文を綴る勢いは無くなってしまうのだけど(^^;)、さすがにこの大柄な「食った物」達の亡霊は、今でも眼前にホロスコープのように浮かんでくる。一皿一皿の眺めといい全体の流れの構築力といい、何と印象深い料理なんだろう。
下村さんの料理は「大きい」とか「強い」とかの形容詞を選びたくなる物だが、それにプラス、新時代の輝き…のような何かが魅力として付加されているのがキモだろうか…。
この日も色々フランス話を聞けて楽しかったように記憶するが、とりわけ、「豪傑マルク・ヴェイラ様の奇行録」は面白かった。これはそのうち、ヴェイラの項に書こう。
2003年 2月
*牡蛎のマリネ、緑ソース
*猪のバロティーヌ、コーニションとビーツ、南京豆のモヤシ
*セップとアーティショーのヴルーテ、ブーダンノワール
*窒息鴨と根菜、牛蒡風味
*仔鳩のロティ、しろなの詰め物
*林檎とキャラメルグラス、苺の林檎・ハイビスカス風味
+96 Nuits St. Georges Aux Murges / Meo Camuzet
[AQ!]
アミューズに、殻付牡蠣が緑のソースに覆われて、すっと出る。パクっとイって、二人とも声がない。美味い。そりゃ旨かろう組み合わせで、その通りなのだが、微妙にフルフルと胸騒ぎするような、何かワシらをかき立てる物がある。
ヤヴァい(すごくウマい)。
鮮やかな緑は、中華なら翡翠ソースと言って菠薐草、という頃合いの色で、クレソンを綺麗に濾したものだろう。まぁワシら、頭クルクルパー型食漢ではあるが、多少の場数は踏んでいるので、大筋の見当くらいはつきそうな物なのだが、この牡蠣の風味は、中井英夫に騙されたみたいだ。
牡蠣はワシントン産だっけかな、その辺に秘密があるのかなど、後で下村シェフに聞いてみると、
「春菊ですよ」
と言う。
「休みの日にウチで鍋食べてましてね、春菊旨いなぁ。って。使ってみようかと思ったんですよ。やってみると、旨いんだけど、まぁなコレ…と。ちょっとつまらない、っていうか、これだとフランス料理じゃないし。それで、パセリと合わせて、ソレとわからなくなるまで春菊の割合を落として行って、…っていう試作の結果なんですが」
優れた本格推理でも、タネが明かされてしまえば何つーことは無いのと同様、何だそんなことか、ではあるのだが、これは面白かったですた。
この所、巷では、アイディアで言えば、"牡蠣に春菊のソースかけました"の辺りまでで出て来る無国籍風の料理が多い。そりゃそれでイイんだけど、もうちょっとカンドー的琴線に接触する為には、そこから今一歩自分に(伝統に、本格に、ということもあるが)引き寄せる工夫が必要である、とゆー気にさせられる。
さてこのように滑り出し、以下も(本格推理と本格料理はところで一字違いだな、とくだらぬことに気がつきつつ)皿の上には巧緻と伏線があり、ヤブ読者はそれに気が付いたり気が付かなかったりする。
ギョっとするくらい旨い猪バロティーヌに、南京豆モヤシがいい感じ。
「セップとアーティショーのヴルーテ」は聞いただけでウチの好物ってなもんだが、いっそ侠気と呼びたいくらいの純な綺麗さ。
ブーダンノワールであるが、
「東京でも色々なとこでやってるの見て、"ボクならこうするな"ってのはどんなかと、ちょっと思いまして、作ってみました」
それは、ひっじょ~に滑らかでいて強い香りの仕上がり。とても時間と手間のかかる火入れ工程を要する物と言う。話を聞いていて、ああしてこうして寝かしてそうして、あららまだ火、入れてるよ~、なんて、弱火でじっくり。
プラの鴨と仔鳩はコーフンの絶頂。これも後で聞くと、
「肉の火入れはですね、、、、、」
「ソースは、考え方として、一つ、コンフィってものがありますが、、、」
と(具体的内容は略す…とゆーか、その時は面白いのだが所詮こちらに資質が無いのですぐ忘れる(^^;))、細密な手順を踏み、時間を惜しまない工程が隠れているのが明かされる。
下村さんは、ちょっと水を向けると、立て板に水とばかりに説明が始まるのが面白い。プレゼンが上手だ。"弁が立つ"、というのもあるが、素材に対して何を考えたか・それでどうしようと思ったか・実際どうしたか・その結果をどう受け取ったか…と言ったような事柄についてとても意識的で、明確な理解があり、それが整理されている。そして、その内容を、相手に伝わるように喋れる。
この辺、新時代・新世代のシェフだなぁ、という印象を抱く。
ワシの勝手な印象だが、もっと上の世代のシェフで、こういう地味で細かい作業に延々と耐える人って、"寡黙な職人"ってイメージが強い。無口な哲人って。何を告げても「…」とか「そうですか」「美味しいですよね」…、みたいな。言うより先に手が出る、みたいな。
また、その世代で口が立つとなると、今度は、ペラペ~ラと明るく楽しく社交するはいいがすぐに経営の方に行っちゃって、厨房に立ってたのは何時の頃まででしたっけ…となりがち、みたいな。
下村氏のように澱みなくよく喋る奴が、コツコツとした作業に耐えているのを見ると、新世代やねぇ~、って気が、するんだに。
そういえば、下村さんは、トロワグロの厨房に入って割とすぐの頃に、注文の読み上げ係に回された、と言ってたような気がする。メートルが取ってきた注文を、厨房で伝令の使徒よろしく大声で読むヤツね。なんか、昔に修業に出てたタイプの人って、地味で丁寧な作業に強くても、そういう係には行かなかったような気がするんだが。
などなど、ワシらの藪睨みがどのくらい当たってるかはわからんけど、見てて面白い料理長である。「毎日毎日、作業数が多くて大変ね」と言うと、
「いやぁ、正直、何割かのお客様には、そこまでやらなくても同じように美味しいと思っていただけるとは考えるんですが、やはり素振りというのは、バットは毎日振ってないといけないかと。"ここぞ"っていう時だけ頑張ろうと思ってると、"ここぞ"って時に力が出せないのではないかと…」
と、憎いことを言う。
更に料理長は、「お皿は今度こうしようかと…」「サービスの動きをもっと…」などなど、多岐に渡って展望を述べる。何事につけ、意識的に進歩するタイプであり、有言実行なヒトみたいだ。
シェフは「まだまだ」と言うが(自分のことも、まだまだ、と言うが)、サービスはとっても「感じが出て」きた。それから、前回訪問ではまだちょっと"客がついてこれてない"印象があったのだが(いや、単純に量とか、でもさ)、今日はおっかない客からハッピーな客まで飲食の好きそうな層で、ず~っと客席に「感じが出て」きてて、楽しゅうございました。
2003年 8月
"La lumiere estivale 2003" のバリエーション
*白アスパラガスのヴルーテ、手長海老
*夏野菜と小イカ トマトのコンビネーション
*舌鮃のスパイス・アンショワ風味
*シャラン産鶏モモ肉のロティ 赤カブ添え
*オーストラリア産ドーセット種仔羊肉のグリエ ポレンタと共に
*フロマージュフレとヨーグルト、青トマトのジャム、ピオーネとその皮のソース
*桃のコンポート、アマレットのグラス
+NV Champagne Rose / Maillart (glass)
+NV Champagne / Taittinger (glass)
+96 Latricier-Chambertin / Drouhin-Larose
[AQ!]
美味しいなぁ。美味しいなぁ。美味しいなぁ。
素材に対する深い考慮が根を張り、強い人間の意思が枝を伸ばした所に、気品溢れる花が咲く。初めて自分がフランスのイイ店のイイ料理に会ってクラクラっとした時のあの「気品」の感触が、下村さんの皿にはいつもある(それも、その頃のフランスなる実物よりは恐らく遥かに精密に)。それでまた、カレの尊敬する師匠のロワゾーにちょっと似て、下村さんの人間の感触は、気品あるんだかおっちょこちょいなんだか野心家なんだか思索家なんだか、ちょいと色々メランジェでわからん…のが…うーん、これがいいんだろうな、きっと。人間的です。
さてまた、この日に気が付いたのは、店の空気の良いこと良いこと。東京のレストランでは滅多に味わえない雰囲気だった。要は、客がイイのね。感じの良いお客さんが多かったなぁ。レストランの、客層、って論評できないから語られないんだよね。そりゃ偶然によるものが多いし、店として直接どうこう出来るものでないし。でも、客の時間の実際にとっては相客すなわち客層、ってかなり大事で、「内装」とか「サービス」「ワインリスト」「C/P」「ロケーション」みたいな諸要素と同じくらいの意味がある。
(偶然だと言われればそれまでだけど)2002~2003の馮の客席の勢いのつき方は目覚しい気がする。うーん何だろ、"ハイソ"とか"セレブ"じゃなくて"上品"とゆー感じ、そして、食いしん坊の熱気が、フツフツとあって。オヤヂだけの4人卓、みたいのも食いしん坊だとやっぱり賑やかで、カッコイイんだよね(それも、大声蘊蓄語りがいてはいけない。いるとカッコヨクない)。そーゆーカッコイイおやじは尊敬しちゃうんだよね。
こういう雰囲気の変化も、店や下村さんの目指す物と呼応しているんだろう、きっと。(偶然だと言われればそれまでだけど)そう思うと気持ちいいので、大いにそう思う。勿論、フロアでのその実行者はサービスの面々。ベテランの中村さんは勿論、メートルソムリエの山田サンの温度具合なんか、バッチリで素晴らしい。「緩さも大事で勿論くだけ過ぎてはいけない」という部分での適温って、難しいんだよね、サービスは。でも、そこが「品」に関わるんだよなぁ。
2003年 9月
*カリフラワーのヴルーテ、カリフラワーの浮身と北海浅利
*手長海老とトマトサラダ・トマト風味クスクスの冷製、蕎麦の薄いガレット
*鴨のロティ、セロリとジャガイモ
*黄金桃のコンポート、アマレットのグラス
*シコレチョコのムース
+00 Bourgogne rouge / Roumier (glass) など
[AQ!]
T代嬢とお昼。T代嬢が予約手配など仕切ってくれたゆえ、いきなり予告無く現れたワシらは馮の皆さんをおどろかせてしまったようで、どうもスイマセン。
昼なのに満席近い盛況だし、(東京では珍しく)昼からムンムンの本場的レストランの雰囲気を醸し出している“上客”
加減にビックリ。東京のお昼って「東京のお昼」って感じになっちゃうことが多いからなぁ(なんのこっちゃ)。まー、下村シェフが隣のフランス人4人卓と「どんな感じに組みましょうかねぇ」とフランス語でやり取りしてる風景でありまして。
先月に続いての馮だが、心得たもので、T代嬢にはワシらが食ったことがあるこの夏のいち押しを、ワシらにはまだ食べてないもの、でもって昼メニューが出される。それにしても、夏の鴨っつうに、死ぬほど味が乗っていました。異常なほどの火入れ技術、って感じ?
ところで、デセールもういっちょ、何だっけ(^^;)。
2003年12月
*蕎麦粉とパルメザンの超薄焼ガレット
*真鯛マリネと白緑アスパラ、キャビア添え
*フォワグラとロット、南ア産セップ・菠薐草
*雉のロティとグリエ、赤蕪・小ジャガ・人参・シロナ詰物
*栗カカオグラス、パッションソース
*洋梨スパイス 塩キャラメルグラス
*潰し苺 ハイビスカス ホワイトチョコグラス
*シコレプリン 甘オリーブ 干し苺
+93 Gevrey-Chambertin / Jadot
[AQ!]
「グリエはねぇ、焦げ目ってことじゃないんですよ。加熱法なんです」
と相変わらず明晰な語り口である。
「それを勘違いするとパサパサにしてしまう」
「白アスパラは塩・牛乳で、白アスパラの皮を落とし蓋みたいにして茹でます。今日は真鯛ですが、いいのが入ってればシマアジも面白い」
その真鯛には、ヤーマダさんお薦めのマコンがマリアージュ。
セップと酸っぱい菠薐草が強烈に旨い。セップは先にオリーブで火入れしてからバター。この素晴らしいセップが南アフリカ産だと言う。良いセップはフランスもなかなか外に出さないので時にはこっちの方が良い、と。やはりノーザンの手柄らしい。
「エシャロットは火を通して使う。ロワゾー精神は野菜からの脱水のバリエーション」
シロナ爆弾おいしい。
2004年 2月
*フォアグラとシルク豚のバロティーヌ、イチジク洋梨キンカン葡萄
*温製貝類のトマトマスタードソース、野菜のグリエ添え
*アンコウと牡蠣と浅利と千切りトリュフ、アスパラ、プチヴェールその他野菜
*シャラン産窒息鴨、豚足牛蒡と人参、ビーツなど根菜各種、キノコ、フォワドカナル入りソース
*フルーツポンチとヨーグルトのソルベ
*レーズンパンとリンゴとアマレットのグラス
+81 Ch.l'Angelus
[AQ!] @ 内緒話
この日の話は内緒…の所もあるけど、ま、いっかぁ。「ムッシュA.Dが来るんですけど、顔でも見に来ません?(笑)」とのことで伺う。馮がA.Dの日本でのイベントの料理をオペレーションすることになったので、来店して食事するという。まぁ店としても、万が一にも一見さんのお客に困ったちゃんがいたら気まずいので、知り合いで固めたいところなんだろう(推測)。そんな訳で、ムニュpour A.D。
いやー、この日は内緒話だし、ウヒヒヒヒ!、ってことにしとこう。…っつか、いつもの下村さんの料理で、ウルウルと素晴らしい。
この人ヤヴェっ、と思ったのは豚足牛蒡。豚足も牛蒡もさ、みんなやりたがる訳よ。それ、凄いわかる。だけど、下村さんにかかると、コレかぁ! 何で豚足? 何で牛蒡? ってのが、香り軸を挟んで客に説得するんだよなぁ。驚愕。ここでは鴨との対比だけど、単独でも出してたみたい。
みんな帰っちゃった後、A.Dに紹介される。「おめーら、イイ客だよな~!」とA.Dにお世辞言われて、コイツ、イイ奴だと思う(^^;)。普段は、取材写真なんかに比べると、オーラを消し気味で穏やかな方でした。
…で、こっからがホントに内緒なんだけど、A.Dのイベントを何で馮でオペレーションすることになったのか、馮でも当初わからなかったらしい。で、どうもこれは、A.Dが日本に置く先遣のフランス人がいるんだけど、こいつが東京中食い歩いて「ココ!」って言ったらしい。…とか聞いて俺ら、馮がすげぇ、以上に、さすがわA.Dの先遣隊の嗅覚って凄い、って驚いたわ。ある意味。(^^;)
…ってな話、俺ら、受け合いはしないからね~、都会の噂だと思ってけれ。
2004年 5月
*オリーブ
*イベリコ豚のサラミと莢豌豆
*阿寒湖産エクルヴィス、ニョッキ・空豆・アスペルジュ添え
*ワシントン産牡蠣とファアグラ、茸とアスペルジュソバージュ添え
*秋田産シルク豚ロティと片面こんがりリドヴォ、豪州産トピナンブー・芽キャベツ・白アスパラ・無花果添え
*スリーズの軽スープ仕立て、アマレットのグラス
*シコレプディングなどミニャルディーズ
+83 Pommard les Jarollieres / Pousse d'Or
[AQ!]
レストランは旨いマズいを比べに行くもんじゃないし、比較すんのは好きでもないんだけど、この日と前日の連チャンは、こたえたな(^^;)。前日の人気イタリアンの「骨付豚の炭火焼」だって現在天下を取っている“馳名”の一品なんだが、下村さんの豚食っちゃうと、「あれは何だったか」というくらい、霞む(^^;)。
[ヘベ]
たまたま続いちゃったからねぇ…。魚もそうだけど、肉の火入れと塩の使い方には技術とか考え方によるレベルの格差が厳然とあって、しかも旨さに直結しているところが響くよね。
突き出しに新顔のイベリコ豚サラミ、ごきげんな旨さ。豆の緑と相性ばっちり。
エクルヴィスを主役に一皿、って“趣味がいい”感じがするなー。ほらほら、オマール様だぞ頭を低くせい、っていうのの対極というか。形が小さいからなにかと手がかかって大変だろうとは思いつつも、エクルヴィス自体の風味も面白いし、海老族共通の甘み旨みも一回り繊細な印象があって、魅力的な素材。この皿でははじける緑に加えてニョッキを添えてあったのが効果満点でした。下村さん的には
「まだこの皿は完成してない」
的なコメントしてたけど (^^;)
ワシントン産ぷりぷり牡蠣とファアグラには参った。旨い。この組み合わせにはむちゃむちゃ説得力があるし、ガルニの茸とアスペルジュソバージュ(好き!)も完璧。
シルク豚、完璧な旨さ。コースの組み立て上はちょうどいい量なんだけど、あまりの旨さにもう一切れ食べたくなってしまうほどだったのは私だけ? (^^;)
ガルニのくるっとくりぬいた野菜は大根かカブかイモか…と悩んでいたらトピナンブー、しかも豪州産とのこと。言われてみればたしかにそんな食感でした。素材流通世界の眺めも、この何年かで随分変わったみたいだなーなどとムニャムニャ言いつつ、はぐはぐと食べるシアワセ。
[AQ!]
南半球産品は半年ズレるから、虚を突かれるよね(^^;)。
そういえば豚のガルニ(だよね?)の無花果の具合を褒めたら、えらい手の込んだ火入れをしていた。そんとき
「こないだまではペルー産無花果が来てて、それはもうちょっと簡単にこの感じになったんだけど」
と言ってました。
この前の南アのセップといい、すごいぞ、南半球産品。
「これからはちょっと視野を広げることも考えます。何か色々講演を聞きに行ってみたり、とか。パリなりフランスに行っても、店の作り方とか、今まで気にしなかった細かい客目線を見てこようかな、と」
…と相変わらず意識的な下ちゃん。
実際、最近は、(ウチらも言うけど)「向こう行ったって、料理はもう見てくるもんねーだろ」とかお客さんに言われるらしい(内緒話)。ハハハ、いい客だな、此処んちの客(^^;)。
客…、といえば、この日も凄かったね、相客。アレ、ありりゃ、と錚々たる。此処んちの客は***や***辺りの客と違って、飄々とサラリサラリと賑やかしく食べて行って、実は大物、ってのが多くて凄い。
2004年 7月
*イベリコ豚のサラミとヘーゼルナッツ
"La lumiere estivale 2004" のバリエーション
*海水で軽く火を通したワシントン産牡蠣と白イカの冷製
*ドンブ酸カエル腿肉のフリット スペルト小麦と小さなジロール茸 菊の葉とガーリックの香油
*イサキのフィレのヴァプール 赤軸ほうれん草 ドライトマトとタマリンドーの酸味ソース
*ブルターニュ産オマールをテーマに
*白桃のコンポート
+96 Champagne rose / Veuve Clicquot (glass)
+91 Chablis Valmur / J.M Raveneau
[AQ!]
牡蠣。食べて納得の“白イカの参加”。清涼な香りは山椒か何かを思わせる? ちょっと京都の風景が通り過ぎる清涼。いつもながらワシントン産はフランス料理に向いてるなぁ。海水加熱で味がのってる。
カエル。パセリの深~い緑が目に飛び込む。「ロワゾーを偲んでだねぇ」なんて言ってるとヤ~マダ氏がツツツと寄ってきて「シェフによると“イタリアのバカンスから帰ったロワゾー”のイメージだそうですよ」。
イサキのソースは思い切ったエキゾチック調。バンコック宮廷調(笑)。「ウーティエってこんな感じ?」とか、食ったこともないのに言ってみる(^^;)。この季節メニューは7/21-8/12限定。今日も昼は35度の東京を過した身には、これは“上手く嵌まった”提案となっていると思う。
ブルターニュのオマールは意外なことに、使ったことなかった素材だと言う。薄く切ったズッキーニや根菜の上にコロコロと盛る。いやー、火入れがイイや。しっとりとして肉汁をたっぷり含んだ具合でありながら、何というか鬼殻焼(笑)風味、甲殻類の殻の焼けた香りをまとっている。これは恐らくは両立しづらいテーマだろうが、見事。
白桃のスパイス風味が素敵。
そして、ラヴノーのValmurもウルウルだぜ、ヤ~マダさん。
[番外編]
「ビストロ・トロワグロ」@新宿小田急 2004年11月
*秋田産シルクポークとフォアグラのバロティーヌ 5種のフルーツのコンフィを添えて
*サーモンオゼイユ「1984」と「2004」
*淡雪たまごのプラリネ風味
[ヘベ]
新宿小田急、年に一度の吉例フランス祭。これまた恒例になりつつあるビストロ・トロワグロのこの日は、乃木坂「馮」の下村シェフのお当番日。3時になれば空くかなーなどとフラフラ催事場フロアにたどり着いた途端に、サービスのヤーマダ氏に発見される。店内はなかなかの賑わい。
前菜が、下村シェフの名作バロティーヌを、トロワグロ風味ということで果物のコンフィを添えていただくという素敵な企画。白ぶどうの酸味が綺麗でお気に入り。
主菜は期間中通しで、ソモンオゼイユの今昔風。こうして食べてみると、今風も悪くはないのだけれど、やっぱり1984は名品だなぁと感じ入る。いい料理です。
2004年12月
*オリーブ
*ワシントン産牡蠣と牡蠣クレーム・キャビア、海水ジュレ柑橘風味
*エピス風味ラングスティーヌのパートフィロ包み揚げ、カリフラワーとブロッコリのクーリ
*ロットとフォアグラ、茸リゾットのイカ詰め、烏賊墨と赤ピーマンソース
*コルヴェールロティ牛蒡と茸入りソース、ジャンボナメコのセップヴルーテがけ、ジャガイモニョッキ/腿のサラダ、ジャガイモ細切り揚げ・キャラメリゼ胡桃・マーシュ
*洋梨のコンポート、エピス風味、そのジュレの泡
*ショコラ・スリース、パートフィロ包み
*バナナフランベとトロピカルフルーツ、パルミエ、カカオグラス
+Champagne blanc de blanc / P.Moncuit (glass)
+76 Corton Grancey / L.Latour
[ヘベ]
・客席が若いのはさすが12月か。
・牡蠣のクレームは3分の1だけ牡蠣と加熱して牡蠣合体、冷たいままの残りと合わす。
・ラングスティーヌは初演だとか。
・コルヴェールのその肉もすごいが腿サラダのカリカリ皮も旨いがそこのそのジャガイモの細切りの半ば揚がったショリカリとした食感とイモの旨さとキャラメル胡桃がいい!
・ロットの皿のバスク風ソース。赤ピーマンの赤丸がきいてます
[AQ!]
腿サラダは、例の“穴開き金属フレーム台”(フランス大使館イベントで使ってた食器台)、それに乗って登場。中空に腰を据える。キャラメル胡桃はウチのへべマダムがお気に入りだったが(いやワシもだが)、隣席のボクらよりは年配のカップルのマダ~ムもたいそうお気に召したようで「アナタ、この胡桃美味しいわね、大好き」…というような言葉を連発してらした。それがチャーミングで上品で、イイ感じだったのら。
それから、斜めに傾いで不思議な角度を保ったカップとソーサー、みたいな“新兵器”食器を使ってました。ショコラ・スリースに、だっけ? 「カップが斜めになったソーサー上で動くみたいだなぁ変なの?」…と思ってカップを引っ張ってみたら、「磁石で止まっている」のが種明かしだった。な~るほど。「これから流行るんじゃないですかね、ヘヘヘ」と下村氏。(追記:2005年になって、フランス料理界最注目シェフの一人、オートグレーヌなるマノワールドラブレのローラン・ソードー君が使ってるのに出会いました!)
いつもながら、下村さんの牡蠣料理はワシントン産がとてもよく合っているように感じる。牡蠣の海水ジュレはだいぶ料理としての煮詰めが進んできたようで、非常に手が込んでいて、食べると非常に自然である。多分、生牡蠣を食べるよりもなお、ピュアに牡蠣っぽい。クレームにカレー粉を“わからない程度に”効かしているそうだが、たしかに言われるまでわからず。生クレームの軽さを活かす。「牡蠣とカレー粉」という定番は、ホントによく合うんだなぁ。アベノで教えたろか、などと。ジュレの仕立ては荒砕き版である。
教えるといえば昔、「レジスの講習会に通訳兼アシで付いたんだけど、条件が悪く大変でした、なのにあのヒトは偉いもんだ、何とかしちゃいましたよ」…なんて世間話も。
ラングスティーヌに関しては「ボク、あまり揚げ物はやらないんですがね」という注釈。そういえばそうだが、天麩羅屋の海老にも負けぬ見事な揚がり具合。“この場合、パートフィロのタチに対してラングスティーヌのサイズを厳選するのが肝要”だとか。それ以上に感動的なのはブロッコリーとカリフラワーのクーリで(見た目の面はマァマァな景色だが)、この純粋さに出会うと、ロワゾーを思い出す。ものすご~く、さりげなくナニゲナイですが、コレ。
そういえば。下村シェフは、雑誌取材などでも盛んに「ロワゾーのスピリット、思想」に関して語っている。いつもそれを見て、偉いな、と思う。数奇な運命を辿ってしまったロワゾー氏について今パブリックに対してその名を出して語ることは、実のところ損得で言うと、微妙な取引であろう。でもそんなことより、自分に見えた料理の真髄は大事なのよ。時にケレン味のあるシェフでもある下村さんが、こういうとこは決して嘘をつかないのは、実に好い。
などと言いながらデセール。パルミエ見て、ウナギパイ言うな~(笑)。
時は12月。店に着いて軽く挨拶を交わすと、「いやぁ石井さん今年は色々面白かったですねぇ」と、店の皆の衆。あっけらか~ん。“馬鹿モノ~、そーゆーことは先に客に言わせろ~”と突っ込みをいれたくなりつつ(^^;)、ほんと此処んちの(人を見て使い分ける)緊張感と緩さのバランスはいつも快く楽しい。
そういえば料理も、此処んちのは、「その特徴は緊張感」と言ってもいいくらい張りつめたモノなのに、せせこましさとか禁欲性とかが無いので、とても豊かなのである。
このサービスと料理がまた、バランスが良い。そんなこんなで好きな店なのだね。うむうむ。そんな感じ。
2005年 7月
*オリーブ
*蒸しアワビ、スコットランド・サーモンマリネ、蛸 ヴィネグレット仕立ての有機トマトのコンソメ・ジュレ 胡瓜のタルタル
*北寄貝とワシントン産牡蠣、ミニ・ジロール茸とワイルドライス・麦のソテ
*キスと新潟産茄子とヤングコーンのグリル レモングラスと蜆のブイヨン注ぎ
*マトウ鯛のカダイフ包み揚げ、レモンコンフィテュールソース敷き、カリフラワークレーム
*鳩のロティ、アスパラ
*アボカドムースに柑橘
*レモン淡雪アイス
*ピスターシュ寒天玉と根シコレ
+87 Savigny-Les-Beaune Les Serpentieres / M.Ecard
[AQ!]
今日のデセールは「クレームを使わない」がテーマ。
[ヘベ]
この日、これはうまーい!と賛嘆しながら食べたカダイフ包み揚げ、レモンコンフィテュールソース敷き、カリフラワークレームを…まさか後日実習で作ることになろうとは、夢にも思わない石井家であった… (^^;)
[AQ!]
いや、まったく…、、、、(^^;)
この数ヶ月後、ヤーマダさんから「東京ガス主催の料理講習イベントをシェフがやるんですけど覗きに来ませんか~」というメールが来たので、“講義を聴くフリした後、試食ですかの”とスキップしながら行ってみたところ、実は結構直球の「料理教室」なんだもん(^^;)。
いやー。
でけしまへんがなー。(^^;)
集まってるのもこれが、大方は「料理学校のせんせー」とかなんだもんー。
…とか言いながら、コソコソと作るフリした後、ちゃんと試食はありましたからね。ホホホ。
下村さんの“塩のブチこみ方”とか、メッサ面白かったし。「フランス人はいい加減ですよ、これは勢い」といいながらガバッと塩をつかんでブチ込む。…くせにさ、ぶち込んだ後は「ま、ボクらプロですから、今のでも、“何粒”ってのがわかってんですよ。手に目がついてますから」ときたもんだ。いいなぁ、このヒトの「フランス料理人体質」。\(☆〇☆)/
2006年 7月
*鮎ベニエと薄揚芋
*ガスパチョ、ラングスティーヌと鮑・アーティショムース敷き、マイクロトマト・胡瓜くるくる添え
*フォアグラ・イチジクのモザイク仕立て、稚内夏苺添え、アルガン油バニラ風味・バルサミコかけ
*鱸ロティ、黄ズッキーニにショリソのスパイシー詰め
*オマールのカダイフ包み揚げ、レモンコンフィテュールソース敷き、カリフラワークレーム
*ブルーマーローとレモンビネガーのアンフュージョン
*シャラン鴨ロティ、レッドムーン・アーティショ・鉛筆茄子・ジロル添え
*フルーツのガスパチョ
*スリースグラス
*ブルーベリー
+95 Nuits St.Georges Les Vaucrains / B.Ambroise
[AQ!]
下村シェフ、横綱相撲を取りきって、いよいよ独立。ですか。
基礎と応用、感性と思考、すべてが素晴らしい。
2007年 6月
*ガスパチョ、ボカディージョ
*アーティショーのヴルーテ、フォアグラバター、マルドン塩
*ミンク鯨のカルパッチョ、シューフルールピュレ・松の実・キャビア・ムタール
*Joue de porc en tortue,legume saison
福島産エゴマ豚の頬肉 海亀風
*シャラン鴨“ビュルゴー”ロティ、農園よりの葱メリメロ
*Macaron “mou a la framboise
木苺の“柔らかなマカロン仕立て
*Dessert chocolat du jour
チョコレートを使った一皿
*抹茶のコンポジション
+99 Gevrey-Chambertin / Jane et Sylvain
[AQ!]
新任松本料理長をいただきに参上する。
まずのアミューズ。ガスパチョの容器、面白し。ボカティージョはインサイドアウトスタイル、パンをカリっと&中空空けて焼いたのが面白く、「(例の)フェランのよりウマい!」(と帰りに松本さんに告げる)。
鯨は、完璧に、「やられ」ました。ひじょーに美味い。料理が良い、かなり細部を合わせてきてる。
ヴルーテとプラ2品は「足が地についた」型というか、しっかりと、美味。火入れもいいです。「海亀風」なんて復古調の混ぜ方がいいですな。
マカロンは「シェフから」で、アバンデセールに組んでくれた。スペシャリテ銘品かな、うまし。
ソムリエはガニェからのヒト。そのショワは、ビオなのにビオ臭無し、村名としては大変よろし。「ダシ汁系です」とのこと。なるほろ。鯨・豚にはかなり良かったかな。食事ワインとしてはイイとこついてる。
松本シェフは素直そうな方…というか、押し出し的に強そうなタイプでは無くて、レストラトゥールと常連のサポートなんかで伸びそうなタイプかしらん? …となると、馮・中村さんとはベストマッチ?
ま、ホントにいつもながら、中村さんはすげーや。料理王国に30年前のカレーの話とか出てましたねえ(笑)…などの雑談、する。
2014年10月
*トピナンブール・トリュフのヴルーテ
*アルザス料理より 「シュークルート」のテリーヌ仕立て
*イタリア産栗のリゾットに乗せた秋かますの燻製香草風味
*牛ハラミのロースト 酸味を効かせたジュ サヴォワ風ポテトグラタンとエシャロットのコンフィ
*分解したチョコタルト
*鬼灯
+06 Montelie 1er cru Barbières / Coche-Bizouard
[AQ!]
ミッドシティを出たら予期せぬ雨。
これはあんまりウロチョロできないな…と、近くの馮に「15分後に大丈夫っすか?」と電話して10分後に到着。
おこんばんわ…ど~も~…って、挨拶するスタッフを見てアレ何だっけクラクラ…「あ、やっぱり、どうも」とか言われて、アレ、
「ロアンヌの千葉ですぅ」
って、、、 (ドゥ・ロアンヌは2013年12月末をもって閉店)
いやあ、人手不足に泣く東京のレストランのフロア陣であるが、出来るヒト達の優秀さは恐ろしい(^^;)。こんな「抜き打ちテスト」みたいな訪問なのに…よくわかったな…。
しかも、
「ロアンヌでポマールのグランゼプノは喜んでいただけてましたと思いまして…」
とワインをチョイスしてくる、、。
重ねて言えば「抜き打ち」でっせ、そんなテストするつもりで来た訳ねーけど(^^;)。過去帖も何も、10分後に来られてはあり得ないんすけど。
中村さんの「あ、お久しぶりで…」という挨拶も、抜かり無さ杉(笑)。店は人が作る。
本来のフレンチスタイルにこだわった、記憶に残る渾身のお料理3品とデザートのコース
松本シェフとも「シュークルートのテリーヌとは見事に昇華ですねぇ」と楽しく話させていただく。
「コルマールでも働いていたんですが、あっちのアレはコレでしょ…」
とフラフープのような皿形を手で描く。そうですよねアレじゃソウはソウ行きませんもん…と小錦の胴回りを手で描くワシらであった。これは、そーとー素晴らしいアントレだ。
それにしても松本さんは、イイ意味で言わせていただければ、「地味な名匠」なんだよなあホンマ。
お食後にホオズキ。
ふと鬼灯をフランス語でひいてみたら、alkékenge、cerise de terre、coqueret、physalis、amour en cage、tomate de la fraise、cerise hivernale…って、どんだけあるねん(^^;)。最後の2つはあまり使わないくさいけど。
[ヘベ]
本当に申し訳ないくらいのご無沙汰になってしまいましたが、この夜、馮に行ってよかったなぁ、と思う一夜でした。しみじみ。
2015年 6月
[Menu 35ème]
*Mozzarella, cerise, huile d’olive
自家製モッツァレラ、アメリカンチェリー、オリーブオイル
*Oreille de mer, consommé de bœuf, Algues Nori
酒蒸しの鮑、牛のダブルコンソメ、佐賀県有明の生海苔
*Terrine de foie gras, abricot, cardamome
ランド産鴨のフォアグラ、長野県産アプリコット、グリーンカルダモン
*舞鶴産鳥貝、豆とミントのソース、クルトン
*Hoya, mangue, Fraise
宮城県産のホヤ、マンゴー、苺のカクテル
*Bar de ligne, endive, agrumes
活〆の大スズキ、アンディーブ、オレンジとサフラン
*Agneau fumé, légume arrivage du Japon comme on Aime
北海道より届く仔羊の燻製 野生の山菜
*Deux desserts
木苺、クレームブリュレ
*Mignardises
マカロン、ギモーヴ
+Perrier-Jouët Grand brut
+04 Ch.Doisy Daene
+Pouilly Fuisse Domaine Cordier
+Michel Magnien Nuits Saint Georges Vieilles Vignes
[AQ!]
1980年オープン。35ème、、、す、すごい。
ウチは半分よりは長いか、20年ほど通ってる。
中村さんは、「いやあ…最近は年齢を聞かれて『昭和27歳です』と答えることにしてます(笑)」。
参考:
1973 ロオジエ
1974 レカン
1978 オー・シザーブル、マダム・トキ
1982 ひらまつ、クイーンアリス
1983 アピシウス
新迫さん・塙さんが“出戻って(笑)”相変わらず「信頼のフロア」。
お客さんも、濃くて・落ち着いて、いるわなー。
…このあたり、「馮の世界」♪
ところで、「周年メニュー」は力んで滑りがち…な場合も「あるある」なのだが、この松本さんの「35ème」は素晴らしかった。
プラの辺りで“どんなかんなニコニコ?”と現れたシェフに、素直に「これは凄かった」で、鳥貝とホヤと鮑…の話をしてたら、「貝がお好きなんですか!?」と言われてしまった(^^;)。
ちゃうちゅーねん(笑)。…偶然だけど、たしかに、そーか(笑)。
ホヤはそもそも松本シェフの「勝負!」ラインナップで、中村さん「んん~まぁいっか、やってみし」的な感じ?(笑)
いや美味かった、質がそもそも凄いねえ、傷みやすいんだねやっぱ。「しまった俺ってこんなに(良い)ホヤが好きなんだ」と思い知らされるほど(^^;)。
鮑の、コンソメ+生海苔(←これも質が!)あたりがキモではあるが、皿全体のまとまり・参加感は素晴らしい。珠玉の鮑前菜。ナスタチウム、ズッキーニ、カラシ菜…
フォアグラ(皿の使いこなし成功!)にサービスしてくれた豪産トリュフが香る香る! …トリュフは個体差・状態差などあるから、あんま此処で褒めてもしゃーない部分(^^;)もあるのだが、久々にフォアグラと黒トリュフの香りがぶつかったところからファンタジー系の星が見えた(笑)。豪州産黒トリュフ、ヘーゼルオイル、シストル…
鳥貝は、実はサービスで足された一品。これも質が凄く、しかし豆とミントが見事に機能していて「これなら鮨屋よりコッチで…」とヒソヒソしたくなる具合。
山菜も、シーズン末期だろうが(北海道や長野・山梨の高地から)、とても香った。羊のうっすら燻製具合がイイ。独活、木耳、こごみ、月山筍、アスペルジュソバージュ、オキサリス…
[ヘベ]
35年って、すごい。
「ボクなんか生まれてませんよ」と、新迫さんが笑ってました。私は中学生だったけど、フレンチ食べ始めるのはまだだいぶ先だなぁ…(遠い目)。
塙さんも復帰してて(懐かしいぞ!)、こういう再会って、楽しいです。
松本シェフ入魂の、35周年メニュー!
鮑にフォアグラにスズキに仔羊、と思い返せば王道食材が並んでいるのに、それぞれの料理に松本シェフらしさがいきいきと感じられるのが素晴らしい。
充実した夜でしたわー。
予告登板の時点から気になっていたホヤが、秀逸!
ホヤがマンゴーとイチゴと、高いところで響き合う。ホヤがここまで新鮮でないと、こうはならないんだなぁと、改めて思い知らされる。フルーツ部分の味の微調整もきいてましたね。
鮑が見事な料理っぷり!
コンソメと海苔で、ナスタチウムの大きな葉がワサビみたいなアクセントを添えていて。これはすごいぞ!と、こちらも気合というかスイッチが入る。
こういうメニューを組むとき案外難しいのが主菜ですが、香り立つ山菜と、軽くほどよく燻香をまとった仔羊、のびやかな感じの、いいプラでした。
やるなぁ。
2018年10月
*Amuse-Bouche du Moment...
兎リエット、バターナッツ・タピオカ、秋刀魚・グレープフルーツ・炭タルト
*Truite, Ormeau, Mangue, Sorbet fenouil
鱒、アワビ、レフォール、マンゴー ウイキョウのソルベ
*Foie gras, Figue et Caperitif no.5 Framboise, Cacao
黒イチジクとカペリティフNo.5、フォアグラ フランボワーズ、カカオ香るブリオッシュ
*St-jacques, , Celeri-rave, Marjolaine
帆立貝、ジン、根セロリ、マジョラム
*Congre, Cèpe, Betterave rouge, Pistache
穴子、セップ茸、ビーツ、ピスタチオ
*Poisson de CHIKURA, Salsifis, Raisin Noix, Sauce Vergus
千葉県千倉からの鯛、山葡萄の葉 ゴボウとクルミ、ソースベルジュ
*Filet de Canard challandais Panais, Mimolette, Sauce Poivre vert
シャラン産鴨胸肉、パネ、ミモレット オレンジ、緑胡椒のソース
*NASHI, Cardamone, Chocolat blanc
梨、カルダモン、ショコラブラン
*Comté, Poire, Vin de savagnin
コンテチーズ、洋ナシ、サヴァニャン
*KAKI, Amaretto, Fruit de la Passion
柿のタタン、アマレット、パッションフルーツ
*Pomme, Grenade, Jasmin
リンゴ、ザクロ、ジャスミン
*Mignardises, Café ou KAHO(Hojicha)
小菓子・コーヒー または 香焙(ほうじ茶)
[AQ!]
フランス料理を感じさせる威張りと豊穣 vs. 淡く清いアセゾネ・軽やかな火入れ/「お腹パンパン…とかじゃなくて(笑)(シェフ談)」
…という、掛け算とも割り算ともつかない、ビミョーな多項式に解をみつける精密な仕事♪
Truite, Ormeau, Mangue, Sorbet fenouil
鱒、アワビ、レフォール、マンゴー ウイキョウのソルベ
フヌイユの花のソルベの驚異(フヌイユもデクリネゾンする)、アップルマンゴー、的確なキャビア
Foie gras, Figue et Caperitif no.5 Framboise, Cacao
黒イチジクとカペリティフNo.5、フォアグラ フランボワーズ、カカオ香るブリオッシュ
南アフリカで奇跡の復活をとげたベルモット「Caperitif」についてはググるがよろし♪
フランボワーズのカット一つ取っても、食べると、「考えている」感。
St-jacques, , Celeri-rave, Marjolaine
帆立貝、ジン、根セロリ、マジョラム
帆立クリュとポワレの2種盛、この皿は凄い。食べると凄い。料理として、帆立料理史上の味わい。ジンのキューブはじめ、老眼だと見えない(笑)レベルの細かいパーツを多用するのだが、その小人たちの効き目が素晴らしい。インスタ要員、ではないw。
えーと、プラス松の実・オキサリス、かな。
Congre, Cèpe, Betterave rouge, Pistache
穴子、セップ茸、ビーツ、ピスタチオ
ラールにビーツ乗せ。セップのヴルーテを卓上がけ。素材が響き合うひと皿。
コース全体に、ナッツやフルーツの繊細な効き(繊細だが主張ある)が印象的。個人的には、「昔のフランス料理」ってナッツ・フルーツあたりの使い方がやや大雑把な印象があるのだが、そこはとてもモダン化している。
Poisson de CHIKURA, Salsifis, Raisin Noix, Sauce Vergus
千葉県千倉からの鯛、山葡萄の葉 ゴボウとクルミ、ソースベルジュ
このソースベルジュは一つのメルクマール。鯛に古典的に寄り添う、山葡萄葉の強調(更には海葡萄も)が小粋なモダニズム。温製の牛蒡・胡桃がまた助演枠を越える魅力で悩殺する。
Filet de Canard challandais Panais, Mimolette, Sauce Poivre vert
シャラン産鴨胸肉、パネ、ミモレット オレンジ、緑胡椒のソース
オレンジ鴨の温故知新は、激烈な革命でも頑なな復古でもなく、しなやかで伸びやかなリファインモダン。
(「ほんとにトゥールダルジャンが原型ですよ(笑)」)
鴨・ソース・キノア・各種野菜ピュレ…などを口にすると、各要素が喧嘩するでもマスクするでもなく、すべてが透過し花咲き交響する。…いやいや、珍しいほど。
ミモレットの切り方がチャーミング。
NASHI, Cardamone, Chocolat blanc
梨、カルダモン、ショコラブラン
粋だなあ。デセールも路線は揺るがない。
Comté, Poire, Vin de savagnin
コンテチーズ、洋ナシ、サヴァニャン
クラッシックな「チーズのひと幕」は、その雰囲気を醸しつつ。
KAKI, Amaretto, Fruit de la Passion
柿のタタン、アマレット、パッションフルーツ
Pomme, Grenade, Jasmin
リンゴ、ザクロ、ジャスミン
柿がタタンで、林檎は柘榴と♪(笑)
2019年 6月
*Amuse:鶏テリーヌ・人参・レモングラス/鰯 玉葱 ピサラディエール/クランブル 黄色パプリカ
*DUO DE SAINT-JACQUES
帆立貝のデュオ ミュスカ/黒米/セロリ/夏トリュフ/竹炭塩
*PatÉ DE VEAU AU FOIE GRAS, RATAFIA
仔牛とフォアグラのパテ、ラタフィアの芳醇な甘み、蓬
*TRUITE-BELLE NEIGE-, VINAIGRETTE DE NIGELLE
魚沼産美雪鱒、ブラッククミンのヴィネグレット
*AILERON DE REQUIN ET ORMEAU CONSOMMÉ DE BOUILLABAISSE
フカヒレと鮑のブイヤベース ルバーブ、フヌイユのロワイヤル、アニスキャラメリゼ
*POISSON DE SAISON AU PARFUM DE MARÉE SAUCE PINOT BLANC D'ALSACE, VERJUS
南房総千倉港から届く季節のお魚とアオリイカ ホワイトアスパラガスに蕎麦粉と生海苔のローブ ピノ・ブランのソースとヴェルジュの仄かな酸味
*CARRÉ D'AGNEAU DE LOZÈRE-FRANCETERRINE DE POMMES DE TERRE ET ABRICOT SAUCE AU PORTO BLANC ET SARRIETTE
フランス ロゼール産仔羊背肉のロティ 肩肉/新じゃがいも/ドライアプリコットのテリーヌ サリエットと白ポルトのソース
*MELON-MANTOVA-, HYDROMEL, MENTHE ANANAS
マントヴァ産メロン、イドロメル、パイナップルミント
*LITCHI ET FRAMBOISE DANS LA ROSERAIE
ライチと木苺、チムットペッパー、薔薇園
*UN TRIO DE CHOCOLATS À JOUER DANS LE POTAGER
野菜畑で奏でるショコラの三重奏
*MIGNARDISES
+16 Viognier de Rosine / S.Ogier
+17 Petit Manseng Moelleux / Dom.Sogga
+16 Heita Rose Moncaut Syrah Tannat
+15 Alexandre Bain L.D'Ange
+16 Siblings Margaret River Shiraz Leeuwin Estate
+14 Cremant d'Alsace Albert Boxler
+16 Gevrey-Chambertin cuvee V.V / P.Charlopin
[AQ!]
Amuse
この黄パプリカのムースに、ふと、ランブロワジーの影が通り過ぎる。
DUO DE SAINT-JACQUES
ホタテ、溶けるアイス
PatÉ DE VEAU AU FOIE GRAS, RATAFIA
蓬 パセリ チュイル
高知茄子 自家製鴨ハム 大根
TRUITE-BELLE NEIGE-, VINAIGRETTE DE NIGELLE
美雪鱒、軽いフュメ。口にする時の、入口の挨拶と、口の中での膨らみ。全てが測られ、謀られているようである(笑)。
AILERON DE REQUIN ET ORMEAU CONSOMMÉ DE BOUILLABAISSE
「昔さあ、ガレサンラザールの駅前の安ビストロのスープドポワソンがさあ…」、、、うん、凄ぇ不味かったんだが、そーゆー記憶の残照を語らせる。思い出させる。
勿論、このコンソメドブイヤベースのお味は天上の楽の音である。
POISSON DE SAISON AU PARFUM DE MARÉE SAUCE PINOT BLANC D'ALSACE, VERJUS
黑むつ
フロマージュの薄さ
MELON-MANTOVA-, HYDROMEL, MENTHE ANANAS
メロンが生かされた♪
MIGNARDISES
柚子 グァバ マカロン/ドラゴンフルーツ(!)/ほうじ茶ミルクチョコ
見た目に小さくて軽い料理/パーツ…が、口の中で爆発する。
力強くて、天女の羽衣のように薄い。
おじいちゃんひっくり返っちゃった的。
「かつてのフランス料理、栄光の夢」…を見せてくれる未来派。
それでいて、多分、誰にも旨い。
2019年11月
[ ÉRABLE ]
*Le petit quartette
*OURSIN, CÈPE, LANGOUSTINE, CAVIAR
雲丹、胡瓜、セップ茸のロワイヤル ラングスティーヌとキャビア、ヴェルジュ
*PÂTÉ DE VEAU ET CANARD, RATAFIA, GRENADE
仔牛と鴨肉のパテ、ザクロ、蓬、ラタフィアの芳醇
*CONGRE, MUSCAT, BLÉ CONSOMMÉ DE PORC, PARFUM DE CARDAMOME
穴子、ミュスカ、ハトムギ、松坂豚のコンソメ カルダモンの香り
*POISSON DE SAISON AU PARFUM DE MARÉE SAUCE CHAMPAGNE ET TRUFFE
潮の香る季節のお魚 ホタテ貝のラメールとエシャロットのコンフィ シャンパーニュとトリュフのソース
*LE CHEVREUIL RÔTI GÂTEAUX DE CELERI-RAVE ET CHÂTAIGNES JUS DE PIMENT DE LA JAMAÏQUE ET RAISIN
蝦夷鹿ロースのロティ、ジャマイカペッパーと山葡萄のジュ 根セロリとシャテーニュのガトー、もち麦とパセリ
*KAKI, RAISIN, CAPERITIF No.7, MIEL, THYM
柿、葡萄、カペリティフ No.7、蜂蜜、タイム
*~PÊCHE MELBA~, FRAMBOISE, AMANDE, ROSE
ペーシュメルバ~、桃、木苺、アーモンド、薔薇
*CHOCOLAT NOIR, MÛRE, SHISO ROUGE
仄かな苦みのショコラ、ブラックベリー、赤紫蘇
*MIGNARDISES, KAHO(HOUJICHA) OU CAFÉ
ミニャルディーズ、香焙(ほうじ茶) 又は コーヒー
+Kagua rouge
+17 Chasselas / A.Boxlet
+10 Vouvray Nectar / Marc Bredif
+18 Chateau Thuerry Coteaux Varois en Provence 21 Rose
+18 Quintodecimo Giallo D'Arles Greco di Tufo
+13 Ch.Lagrange Saint-Julien
+Rococo Tokyo White
[AQ!]
Amuse皿の台紙にメッセージが。
「Menu realise exclusivement par chef Miyauchi et toute son equipe
Nous vous remercions infiniment de votre visite
Chef de cuisine Shinichi MIYAUCHI」
Le petit quartette
いちじくベニエ・バジル塩 シューフルール・ドラゴンフルーツ・柚子 パースニップのチップスとピュレ・ミモレット・チョリソ ミユキマス・ビーツ・春菊
チョリソ一片(マッチ棒ほど)
OURSIN, CÈPE, LANGOUSTINE, CAVIAR
胡瓜:八角エスプーマ・ノルマンディー風フロマージュブラン漬のくるくる・生の丸抜き
雲丹の料理への溶け込み具合♪…に惚れ惚れ。
ラングスティーヌはフォーク刺しで「別のひと口」として登場。ヴェルジュ漬のギリの強さ。
PÂTÉ DE VEAU ET CANARD, RATAFIA, GRENADE
コースのこの位置のパテはレギュラー化か。その、「秋の柘榴版」。
パプリカ+ココナッツ 高知産小茄子 別皿で、蓬パン
CONGRE, MUSCAT, BLÉ CONSOMMÉ DE PORC, PARFUM DE CARDAMOME
冬瓜巻(見た目は生春巻みたいだw) 別皿で、海ブドウのアクサン
穴子史上に輝く美味さ。厨房体制が整って、穴子を丸で仕入れて全部一から仕込めるのも嬉しい、と言う。
コンソメに麦入れる鋭さ♪
POISSON DE SAISON AU PARFUM DE MARÉE SAUCE CHAMPAGNE ET TRUFFE
千倉産マハタ
ラメル+蕪 すごいシャンパンソース♪ 敷いた菜葉の巧み
LE CHEVREUIL RÔTI GÂTEAUX DE CELERI-RAVE ET CHÂTAIGNES JUS DE PIMENT DE LA JAMAÏQUE ET RAISIN
グランブヌールの真実かと 青リンゴ+人参
KAKI, RAISIN, CAPERITIF No.7, MIEL, THYM
柿カペリティフ7 巨峰
PÊCHE MELBA~, FRAMBOISE, AMANDE, ROSE
~ペーシュメルバ~、桃、木苺、アーモンド、薔薇
CHOCOLAT NOIR, MÛRE, SHISO ROUGE
MIGNARDISES
カカオニブ ベリー マカロン レモンライム
「この世でいちばん美味しいもの」…という夢を、見させてくれる。そんな気持ちが溢れる…べきである、あった、仏料理、の、再興される体現。
ゾクゾクするような高揚感を味あわせてくれる、いまの「Feu」じゃ、あ~りませんか♪
一つ、観察できるのは、パーツの多さ・工程の複雑さ…に対しての完成度・細部への魂のこもり方(細部が美味しい)、であり、それは、スーシェフ並びにスタッフが、シェフの意図を汲める凄みもあるよなあ、ということ。
そんなことも含み、話を聞いていると、現在は(偶然もあって)厨房主軸が“脂ののった”30代トリオ…みたいな船団になってるそうで、力を発揮しやすいです…だそう。
2021年 1月
[Le Pente Blanche]
*Prologue - La Foret noire
*Le St-jacque et Calamar portant un vent froid du Nord
Fenouil / Moutard / Pomme
冷たい北風を纏った帆立貝とアオリイカ ウイキョウ/タスマニア産マスタード/林檎
*Galantine de Volaille - NANATANI et Vin jaune
Foie Gras mi-cuit / Nois -SHINSHU / Radis long / Comte 18mois / Brioche feuiletee a la Truffe noire
七谷赤地鶏とヴァン・ジョーヌのガランティーヌ フォアグラとピモンデスプレッドのミキュイ/信州胡桃/源助大根/紫芋/コンテ18ヶ月/イタリア産黒トリュフと竹炭塩のブリオッシュフュイユテ
*La Langoustine
Savayon d'Agrume et mineral / Topinambourg / Confit de Kumquat
手長海老 ミネラルとコブミカンのサヴァイヨン/菊芋/金柑の爽やかさ
*Le Turbot arrive du Port de Chikura - CHIBA
Sauce au Pamplemousse vert Leuquois methode Traditionelle "Domaine Lelievre"
千葉産千倉港から届く潮の香る平目 愛媛県伊予市 福岡正信自然農園のグリーングレープフルーツとロレーヌ地方ヴァン・グリ「ドメーヌ・ルリエーヴル」のソース
*Cote de Chevreuil d'HOKKAIDO saisonnier
Vin rouge / Poivre de Jamaique
季節のジビエ - 北海道産蝦夷鹿ロース ジャマイカペッパー香るヴァンルージュ
+18 Hatsuyuki Kernel NIKI Hills
+15 Tannat & Merlot 京都丹波限定醸造556本 丹波ワイン
+La Feuille Treso Reserved Koshu Maruki Winery
+18 Kisvin Syrah Rose
+19 Notre Siecle Grande Cuvee Hirakawa Winery
+16 Cornas / P.Pacalet
+Mata Yaronne Coco Farm
+はつゆき NIKI Hills
[AQ!]
2021年元日。
フランスで年を越したようで、ありました♪
Prologue
アンフュージョンから、始まり。
宮崎産猪テリーヌと柿。
静岡産鱒とその子、石榴。シュー。
ケール アボカド パルメザン ガラムマサラ。
花梨 ブーダンノワール。
コンテ練り込み
トピナンブール エクラゼ
Le Turbot arrive du Port de Chikura - CHIBA
アンディーブ
2021年 6月
[ L'Orthographe ]
*Moment de debut
*Calmar Aori et Coquille de Bulot VERDA ESMERARDA "PICUAL2019" - ESPAGNE Compote d'Oignons nouveau a la Setoise
アオリイカとツブ貝 スペイン産ヴェルデ・エスメラルダPICUAL2019のふわっと漂う芳しさ 新玉葱のコンポテ・セトワーズ
*Niche a la Porc.Veau.Bonite La richesse de Ratafia Coulis de Fenouil, Champignons et Cardamome
寄り添う鰹・豚・仔牛 ラタフィアの芳醇 ウイキョウとマッシュルームにカルダモンのクーリ
*Le Tachiuo peut arriver du Port de Chikura-Chiba Sauce au Vin jaune Noix de Maadamia / Fromage de Chevre, Fruits de Passion
南房総千倉港から届いた水無月の汐風纏う太刀魚 ヴァンジョーヌソース マカダミアナッツ・島人参・シェーブル・パッションフルーツ
*Le Boeuf facon Rossini ~『Le Lieu Geometrique 1980』~
ロッシーニ風 ~『軌跡 1980』~
*Eclair dans la Foret noire Cacao / Anmaretto / Limonade Sorbet au Cerise noire dt Poivre de la Jamaique
黒い森のエクレア カカオ・アマレット・レモネード ブラックチェリーとジャマイカペッパーのソルベ
*Mignardises
フランスの定番
+15 NSG Clos des Forets SG / L'Arlot