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スペインのレストラン
この一覧はアルファベット順になっています。
 


  ABAC アバック
  
Avinguda Tibidabo 1 08022 Barcelona 93 319 66 00 (FAX 93 319 45 19) www.abacbarcelona.com
13:30~16:00/20:30~23:00 日月・金昼休、1.8月に休暇あり
料理長: Xavier Pellicer ~ Jordi Cruz
・ バルセロナの豪腕唸る若手 (2007)
 2007年中に、現在のバルセロナ旧市街からちょっと離れた住宅街へ移転の予定アリ、とか。行かれる方は要注意。此処はメールで、予約や連絡が可能。

 2008年、ミシュラン2つ星に昇格、かつ念願の移転を果たす(Rec 79-89 から上記へ)。

 2010年、何かが起きたようだ。公式サイトその他によると、Xavier Pellicerがシェフを辞し、後任としてJordi Cruzが就いたと報じられている。
 あのJordi Cruz!!…近年のスペインの最注目若手シェフが!…という点にも目が行くが、とりあえずは「Xavier、これから何処で何するの?」(^^;)。Jordiは、自身のレストラン「Angle」とは兼任みたいだけど、よくわかりません。

 Xavier Pellicerはその後、出身店でもあるCan Fabesのシェフに着任した模様。

  → 2007カタルーニャ旅行記はこちら

2007年 5月 ☆☆☆

 *オリーブ、葉っぱ天麩羅、カリカリ
 *浅利とムールのスープ、緑ピュレ・アホブランコ
 *小烏賊焼、小白花・桃花、小玉葱
 *Colmenillas a la Crema con Esparragos Silvestres
 *Macarrones con Bolonesa de Bogavante
 *Guisantes del "Maresme" con Tripa de Bacalao
 *Cochinillo Iberico de Sierra Mayor 100%, Patatas de Mango
 *Tatin con Toffe y Vainilla
 *Conguitos Helados y Yogurt Acido
 +Copa de Cava
 +02 Carod
 +04 Ocoa Moscatel
 +Muskateller Ba


(コメント工事中)
[AQ!]
 グレイト! こいつぁかなりの大物では!

 ハッピーブックスで、住所がAvingudoになっている新刊をみつけて大騒ぎ。新刊だしぃ。結局、電話して確かめると「NoNo! Rec!」とのこと。春に移転…という本もあったが、移転が遅れてるというか本が勇み足というか。スペイン、大変す。
 Taxi運ちゃん、「Recのアソコかい、あっこは店の前につけられねーづら。ちょっと歩いてもらうやが、この辺りは観光客狙いのピクポケだらけだから注意してけろ」とのこと。助言あんがと、と幾ばくかのプロピナを差し出すと「これでカフェの一杯もやらしてもらうだがや」。
 Rec通りを、一回左右間違えて折れるが、修正して到着。旧市街を「再開発した」地域という通り、なかなかナウい店が並んだはるんでがんわ。
 ところで、夜のタクシーはどうなるんかと思うと、これは、ABACから隣接するパークホテルのバルを抜け、ホテル玄関付近につけていた。すると、来るのもホントはパークホテル目指して来るのが正解かも。そういえばABACの電話も「目印パークホテル」と強調してたな。

 前日のリコンファームを求める人気店の金曜夜は、たしかに大盛況、曜日もあってか22時半を回ってからのスタートも珍しくない。店内はCool、の一言。トンガッテル…って程ではないにせよ、都会派のスマートな店。
 此処のサービスは殆ど男性。アルキミアの女性陣と好対照。クラバットがそれぞれに似合うようなカッコよさ、かつサンパ。まぁホント、スペインの一線級のサービスはレベル高い。35時間労働の煽りか水準低下著しいフランスを追い抜いて久しき、やも。
 特に傑作はソムリエで、リスト自体はプリオラート莫大という訳ではないので「ヴィノティントデスパニョールでケメリコミエンダにだ?」と切り出したのだが、流暢な英語で語る語る。
「こちらはリベラデルドゥエロの果実の特徴はホニャで構造はラララとなり、この造り手は非常に古くからの家でその葡萄も樹齢がいっておりこの**年は一般には小さい年でしたが、この蔵では余力の至る所として仕上がりにおいてナンタラがカンタラ…」
 ってな調子で3本ほど調子の良い講釈を聞く。しかも一方的な奴ではなくてこちらの言うことも聞くし、面倒見もよい。
 ポストレスで現れて「デザートワイン飲むかに?」と言うので「一寸だけ」お願いすると、それぞれのポストレスに合わせて、北の白いモスカテル・南の茶色いモスカテル(ヘレス似)をちょこっと注いでくれた。
ABAC
 ABACの扉を開けてオラ!、メヤモあきらいしー、だやも。サービスは台帳を見て探す。此処はmail予約だから、その時点ではAkira ISHIIとわかっている筈だが、本日の手書台帳上にその綴りは無い。似たような綴りをみつけて、コレコレハポネスのことあるよ…と主張して無事の歓待。いやー、何だか、また手で書き直すのよね、カレら(^^;)。それと、イシー…というのを姓名の一部として認識するのが嫌いらしいのよね、カレら(^^;)。
 ついでに、シェフへの日本土産プレゼント、と黒七味を渡す。「シェフの知り合いか?」と聞くので、写真で見ただけさ~、と答える。
 席は細長方形のサルのちょうど真ん中へん。テーブルクロスとセルヴィエットの布が、しなやかでフワ~っとした質のもので、すんばらしい。卓上スタンドも具合のいい明り。
ABAC
 貢物を献じた効果か(^^;)、早速にシャビエルの挨拶がある。デカくてゴツい上半身。ゴチック地区といえでも肩で風切るアニィ、喧嘩だって強いんだぜ…的な風情(^^;)。写真で見ても屈強そうだけど「実物はさらにガッチリ」って印象。
 「あ、ミヤゲ、あんがとな」、「ところでアレは何だがや?」と聞くので、「ハポンのエスペシアでおぢゃる」。すると「おーそれはおもろいやんけ」と破顔。お、わりとウケたかも?…しかし食いつき良すぎて凄い勢いで舐めたりしそうなので、へべが「ピカンテじゃけんココロしてくんろ」と付け加える。…うーむ、翌日の賄いでコミの被害者が出てたりしてな(^^;)。

 オリーブはごっつ見事な緑と黒、ただアルキミアのみたいな魔力は無し。

 アミューズの葉っぱ天麩羅はあんまし良く無い、ってか、作り置きすな(^^;)。しかし、点睛を欠くのは結局このくらいではあった。
 しかしなんだな、アミューズ第二陣からが良い、って店ばっかりだな。第一陣って、ホントに欠食児童向け?(^^;)

 エスパラゴス・デ・ボスケは此処ではエスパラゴス・シルベストルという表記。モリーユが阿呆みたいに立派。市場でもゴロゴロ見られたけど、優れた質の物が採られている。この皿の主役かもなぁ。味出しがフォアグラで、5mm角ダイスカット。

 人気の皿というボロネーゼ。ぎゃぁ!とクレージーに美味く、二人、平伏す。肉の、酸味と旨味の引き出し方が理想的、素晴らしい煮込、地味に手のかかった仕事を感じさせる。これはまた食べたい。

 ギサンテスはバタースープ仕立てとでも言うか、皿の上に顔を持っていくだけで、青き春が匂い立つ。その上にトリッパデバカラオを横たえ、ギサンテスの新芽・花の部分(豆苗みたい)を散らす。こりゃ、ウマ。ここにもモリーユ。
ABAC
 完成まで6年がかりのスペシャリテ、コチニーリョは、焼き上がりを一回見せにくる。そして切り分けられ、噂のマンゴ・ポンヌフと共に盛り付けられて登場。ソースを回しかける(やっぱりホントに卓上来てからの回しがけが多い、カタランは)。小さな小さな豚足付き(これはカリッ揚げ)。
 大変にシンプルな上に、何も変ったことはしてなくて、しかし超絶に美味い。ぎゃー!殆ど、半踊りしているところに再びシャビエルが登場、「どーだ、ザマミロ」って顔していやがる。「いやーまいったげな、どーにもこーにも。オラ、涙で股間を濡らしましたぜよ」と告げる(嘘)。
 ソースもね、コチニーリョの、いわゆる素直な肉汁ソースなんだけど、なんじゃコリャというくらい綺麗で旨い。焼いて半焦がしのマンゴ、予測を遥かに超えて「これじゃなきゃ」という相性。

 深夜に向けて更に盛り上がる一方の店内で、この後はシャビエルに会えなかったのは残念。
(コメント工事中)
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  abantal  アバンタル
  
C/ Alcalde José de la Bandera, nº 7 y 9 41003 Sevilla (España)  (+34) 954 540 000 www.abantalrestaurante.es
日月休
料理長: Julio Fdez. Quintero

・ セビーリャのレストランテ
Abantal 2015年 5月 ☆☆

 *人参甘酢漬、ガスパチョ再構築、galleta de chorizo y parmesano、グリッシーニ
 *Ajoblanco malagueño con orejones y ciruelas pasas
 *Gamba de Huelva, Gelatina de manzanilla, crema de alga, breca ahumado (albur), piñones
 *Ostras sobre cremoso de coliflor, cardos con piñones y enebro
 *Yogur de foie, compota de melocotón, crujiente de frutos rojos y miel
 *Merluza con cuajada de puerros, ajo negro y cebolla confitad
 *乳呑み仔豚のカリカリロースト、モホソース
 *crema de maracuyá con granizado de hierbabuena y chocolate
 *Canelón de mango relleno de crema de queso y sopa de lemon grass
 +13 Pinot Noir / Cortijo Los Aguilares

Abantal
[AQ!]
 Sevillaの夜は「アバンタル」へ。

 アンダルシアの各都市は「若手売出し中のモダン・ガストロ」を探すとわりと単純な回答(?)になっていて、
「セビリアと言えばabantal」
「コルドバと言えばChoco」
「マラガと言えばJosé Carlos García」
 と大概の人が答えることになっている(笑)。
 えーと、いずれもミチェリン1星・レプソル2太陽…かな。
 ウチは取り合えず、町ごとにこのスロットのレストランテは1軒は行くので、迷わず「アバンタル」。
 Abantal  …そう言えばちなみにマラガの「José Carlos García」は、水曜昼の予約を1ヵ月前に申し込んだのだが「満席スマソ」の返答。ここは行けなかった。
 マラガはかなりの規模の町なのだが、若手モダンガストロがほとんどこの「JCG」しかないんで、一極集中してるのかなあ。

 「アバンタル」は、サンタフスタ駅と・アルカサルなど観光中心の、ちょうど中間あたりのナニゲない街角にある。
 どちらからも歩ける距離。行きはタクったけど、帰りは散歩した。

 見ての通り、軽快な都会型レストランテ。
 軽く、明るく、ちょっと洒落て、使いやすい。お客も小ざっぱりしている。
 テープル・セッティングの位置どりが独特で、巨大な店ではないけど隣卓は遠い。それも都会的?
 俺ら以外にアジア人一卓アリ、さすがセビージャ。マラガを出てから今日まで、あまり見なかった光景。
Abantal
 声が高いお茶目ボイスのメートルに、なかなか男前なソムリエール姉さん。
「この辺のビノティントで、あんまし重かったりゴツかったりせんのが欲しいんじゃがの?」
 に、「こんなん如何?」と提示されたのが、マラガのピノ(!)。
 「え、ピノ?」…ラベルにもでかく「PN」と入ったピノノワール、後で見ると「ヨーロッパ最南端栽培」だとか。(…って、そもそも土地としてほぼ欧州最南端だからなあ(笑)。この辺・シチリア・クレタ・キプロス…)
 これがスンナリしたシットリした良いピノ。日本まで引っ張っだらどれだけ美点が残るかは謎だが、此処で呑むにはいい食事のお供チョイス。

 ソツのない、ちょびっと目新しい、器用な、美味しい料理。
 その分、強い/深い印象を残したり、カンドーに包まれたり…するタイプではない、かな。
 「やったね!」って感じの大当たりが、「◎サックリングピッグのモホ・ソース」。
 ジューシーさとサクサクさをきちんと両立した焼きがイイし(仔豚、使い慣れてるなあ!)、モホソースもばっちし。
 主菜でアタリが出たんで、とてもハッピーに物語が閉じる♪
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  Aizian アイシアン
  
C/Lehendakari Leizaola, 29 48001 - BILBAO Telefono: 94 428 00 39 Fax: 94 428 00 35  www.restaurante-aizian.com
料理長: Jose Miguel Olazabalaga

・ ビルバオのホテル・メリア内にあるレストラン

2011年 4月 ☆☆

 *フォア、アスパラと芽のソパ
 *Sardina ahumada con mouse de ajoblanco gel de tomate
 *Sopa de chipiron con cebolla morada de Zalla con ravioli cremoso de su tinta
 *Lenguado a baja temperatura sobre praline de sesamo y falso cus cus de brocoli
 *Cabrito Azpi-Gorri deshuesado sobre mantequilla de naranja sanguina y ajos tiernos
 *Torrija de pan caramelizada con caramelo de naranja y helado de arroz
 *Fluido de pistacho y chocolate blanco con helado de cacao amargo
 +Txakoli
 +08 Pago de los Capellanes
 +Don PX


[AQ!]
 ヨーロッパ到着日。
 夕食中にグングン眠くなるのは予想済みだが、それも宿泊ホテルのレストランならラクなんじゃない…という猿知恵にて、Milea HotelのAizian。…なのであるが、そんな理由で選んじゃスマンこってすというくらい評判の良い一軒でもある。

 21:20くらいだったか…に入店するが、一番乗り(^^;;)。さすがはスペインですじゃ、ホテル内でもそうですか…。その後、我々のいるサルだけでも八卓くらい入ったかな。この季節、日没はだいたい21:30。
 そういうわけで、コパのチャコリ(Jauregibarriaと同じもの)も抜栓から。高級品は、美味しい微発泡白ワインって感じですな。

[へべ]
 ドス・コパ・デ・TXAKKOLI!!
 アミューズ:緑アスパラ小スープ・オイル・スプラウト、白レバーとブドウ・果物

[AQ!]
 高級ホテル内レストランだが(セールスをみつけて安く泊まっているが)、内装は気張り過ぎず小粋な構えで、絵画に気を使っている。どの絵も、作者名プレートあり。中国の作家のものがなかなかお洒落。
 今日は手短に行きたいので、アラカルトからドス・プラトス。この店の自己紹介は「モダンと伝統のフュージョン」ということだが、品書も両者がバランス良く混ぜられている、という感じであり、またいただくと、一皿ごとの出来も上手くフュージョン…調和させている感じだ。

Sopa de chipiron con cebolla morada de Zalla con ravioli cremoso de su tinta
 紫玉葱にも惹かれて選んだチピロンのソパがこの夜の花形か。細かいシゴトの墨ラビオリとともに、魅力溢れるお味。ソパのアセゾネが「おおコレコレ、バスク!」という不思議な上品さ、ここがカタルーニャのゴッツリ感との一番の違いかもしれない、やっぱりバスクは、ラクで、美味い。

[へべ]
 小イカのラビオリ、そのスミ包み、ジュレ、クルトン、スプラウト、煮野菜、茶カルド:Zalla産玉ネギ・Sopa de Txipiron

Sardina ahumada con mouse de ajoblanco gel de tomate
 イワシアウマダ con gel トマトのジェルとアホブランコのムース

[AQ!]
 Sardinaも手堅く美味。

Lenguado a baja temperatura sobre praline de sesamo y falso cus cus de brocoli
 レングアドは、低温調理を強調してるし、カリフラワークスクス・セサミ、と、現代型の皿と思ったが、実際そうだったが、味的には王道な着地を見せていた。アラカルトらしく、量もゴツンとくる。ただ、こちらは、後で気付いたのだが、砂田さんが教えてくれていたのだが、名物はバカラオなのであった。そっちにするべきだったか。まあ、これが、「到着日」ボケ。

[へべ]
 舌平目の低温調理、ごま、緑アスパラ薄造り、ホップ芽的なスプラウト

Cabrito Azpi-Gorri deshuesado sobre mantequilla de naranja sanguina y ajos tiernos
 カブリトAzpi-Gorri焼、粉とひとふでソースとネギ3本

[AQ!]
 二皿構成の注文でカブリトを頼むと、たっぷり食えるのがイイ。こういうものはやっぱ、「一口」だけだとね…。カブリトは、背肉とバラ…というか、こういう二種構成で来る場合が多いね。スペインの山羊はシットリして味がある。「強いていうと、羊と兎に近いけど、でもまあ、何にも似てないよね山羊肉」…とアタリマエなことを確認しあう我々である。

Torrija de pan caramelizada con caramelo de naranja y helado de arroz
 あと、嬉しかったのはトリッハの美味さか。これよこれ!と子供のように大喜び。(今回の旅では)その後、案外出会わなかったし。

[へべ]
 こんがりトリッハと白helado

Fluido de pistacho y chocolate blanco con helado de cacao amargo
 ピスターシュスフレとチョコアイス

[AQ!]
 ちなみにAizianは、Hotel Meliaのデサユノも供しているが、これがまたゴキゲン。とくにエンパナーダ。
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  Akelarre アケラーレ
  
paseo del Padre Orcolaga 56, Igeldo, DONOSTIA (San Sebastian) (943)311209 Fax:(943)219268 www.akelarre.net
日夜・月・火(1~6月)休(祝なら翌) 2,10月に休暇あり
料理長: Pedro Subijana (1948-)
・  
 祝!ミシュラン・ギドルージュ3つ星獲得! Michelin Espana&Portugal 2007で昇格だそうです。
 やったね、ペドロ! 実のとこ、バスクを回った感じで、レストランの諸要素がもっとも高次元にバランスしてるのは「アケラーレ」だと いう印象が強かったので、この三ツ星は大賛成です。
 まぁ料理そのものだって、面白さ美味しさともに、ベラサテギ・ アルサック・ムガリツに決してヒケを取らないし(ってゆーか、“味はアケラーレがいちばん、という人もいる)
 まぁ、「ミシュラン、たまには“見て”るな」…という気もしつつ、「それにしても相変わらずシェフが還暦になってから星を出してくるのはど~よ(^^;)」とも思いつつ。 (2007)

AKEL1 [↓メモ版:工事中]
2003年 8月 ☆☆☆
Akelarre
 アミューズ:1.スパニッシュハムのクリームに甘いカリカリのはじけるキャンディ 2.ごくごく薄い巻きパイととうもろこしのクリームのシガリロ 3.緑色の酸っぱいスープに細切り青豆の揚げたの 4.チョなんとかという魚フライにソースとパン粉添え
Akelarre
Akelarre  *Sandwich de Foie-Gras y su Caldo
 H: フォアグラサンド:冷たい滑らかなフォアグラのテリーヌを卵白のメレンゲではさんで三角サンドに見立てたもの。メレンゲの上に甘い(パイン?)すっぱい(レモン)黄色い粉が散らしてある。ガラスの小カップに入った熱々の濃厚なフォアグラのポタージュと。あと、胡桃巻き。

 *Burbujas de Moluscos con Salicornia
 A: ムール・浅利・小烏賊と白い泡の盛られた器に熱々のスープを注ぐ。たちまち泡はとけて海の香りのスープに変身。大きな油滴が点々と浮き島ののように漂う。これがすばらしい。香りの極上のオリーブオイル。オリーブオイル潮汁。よもぎのじゅんさい。
Akelarre
 *Yema de Huevo con Huevas de Pescado
 H: 深皿に、きざみ納豆を添えた卵黄…といったルックスの物体が登場。ここへ熱々の茶色く澄んだスープを注ぐ。熱でちょっととろみを帯びた卵黄とチーズに、茶色いのはキノコの微塵切り。フリカッセ、ピーマンのジュのスープが軽やかに響きあう。なじんで旨い。
Akelarre
Akelarre  *Langostinos en infusion aromatizada
 A: ゆで海老と野菜かき揚げのミニ丼。(ハーブ天、うまい)

 *Risotto Venere con Azafran y Cigala
 H: 黒米リゾット、チーズ風味。こんがり焼に海老トッピング、リゾットおかわり付き。
Akelarre
Akelarre  *Ternera en terrina caliente con Compota
 A: 仔牛のテリーヌ仕立て、三枚肉の揚げたの添え、くりぬいたビワ球、汁粉ソース。やさしい酸、うすら甘、塩もほどほど。

 *Salmonete a la vinagreta de Piparras
 H: ルジェのバトー仕立て、薬味添え。白い花がニラニンニク系で強力。

 *Chuleta de Atun Rojo con Jugo de Tomate
 A: トンのたたき、ラッキョウネギ2本、青海苔まぶし、トマトのジュのソース
Akelarre
Akelarre  *Ternera de leche atemperada en aceite
 H: 乳呑仔牛のロースト、黒い灰粉まぶし、茶色い酸味ソース、松の実・アーモンド

 *Pechuga de Pichon con Pipas de Melon
 A: 鳩ロティ、メロンの種、甘酸味ソース、内臓のドライフルーツ包み、花・ハーブ
Akelarre
Akelarre  *Cajita de Citricos
 カステラボックス、ナランハソルベ
Akelarre
 *Nieve de Hierbas Heladas
 ハーブ砂糖かき氷と宇治っぽいグラス、アイスキャンディ

 *Sopa Tapada, da Ruibarbo y Chocolates
 ルバーブ・スープ、チョコナッツ茶パリパリ

 *Pina Jengibre y Helado de Coco
 パイン生姜ココナツグラス、

 +Txacoli (glass)
 +38 Riscal
Akelarre
 アンフュージョン沢山、カフェも色々

[AQ!]
 柔らかい酸使い。  Faxで予約を入れると、e-mailで返答。「Donostiaに着いたら、telでconfirmしてネ」とある。んだけどオレら、チミんとこにはDonostiaに着いたその日(の、しかも昼)に行くつもりなのよ。
 どうすべか、まぁ、前日にParisから電話すればいいか、ぐらいに思ってたら、Parisに発つ前日にもう一回、同一文章のメールが来る。「OKOK、リコンファーム。電話は明日、Parisから入れるからヨ」とリプライする。
 Parisに着いて、「明日行くからヨロシコ」と電話入れると、なかなか事務慣れしたオバサン(多分)が出て、「メール見たわヨ。んじゃ明日ネ」とスムーズに再確認された。「See you tomorrow、エスケリッガシコ!」とカマすと、結構ウケてた。
 さて、話は戻って、Donostia旅行計画立案編。
 長年の念願かなってDonostia食いまくりに出ることにしたはいいが、貧乏な上に貧乏性の身の上とあって、条件が厳しい。出発は土曜。土曜夜にDonostiaで食べるのは無理として、翌日は日曜。
 そのDomingoのNochesは、一線級のレストランは揃ってお休みとなる。次の月曜も休みの店が多い。となると、目標は「日曜の昼」なのだが、そうすると思い至るのが、大西洋の大眺望を誇り“昼間に行くべき”と賞される店「Akelarre」である。
 Irun->Donostia Amara Plazaは25euroくらい。正解か。インテリ臭い顔して、すげー飛ばす親父。

(コメント工事中)

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  Alameda  アラメダ
  
Plaza Félix Azpilicueta, 1, 26360 Fuenmayor, La Rioja +34 941 45 00 44 www.restaurantealameda.com

・ Fuenmayorのレストラン
  → 2019バスク旅行記はこちら

Alameda 2019年 1月 ☆☆☆

 *Cardo
 *Alcachofa
 *La Chuleta
 *Nuestra tarta cremosa de queso
 *Tarta fina de manzana
 +14 C.V.N.E. Imperial reserva

[へべ]
 フエンマヨール。
 行きはログローニョからアルサのバス(最初「このバスじゃない」とか言ってたけど結局「これに乗りな」となった)。
 着いてみると小さな町。教会裏の広場に小規模な市が立ってて野菜やバカラオや衣料品など売っている。快晴ながら冷たい風がピープー吹いてて、パンツや巣鴨系衣料品が飛ばされそう。

[AQ!]
 バスは町の中心の教会前に止まる。教会裏で小さな市がたっている。
 フツーの小さな町で、味気ない。散歩すれば、古いエリアとかも見つかるかもしれないが、快晴なれど風の強い日で、スーパー冷やかしてからカフェ。
 目的のレストランALAMEDAは教会の真ん前なので、既に確認済み。
 (Alameda:リオハ圏のアサドール…と言えば、まず名前が出て来る一軒。「Alameda」という屋号は平凡なのか、紛らわしくて、例えばオンダリビアには星付きの同名店がある。こちらは「Alameda @ Fuenmayor」)
Alameda
 本日は昼食後にビルバオへの移動を控えているので、多少早く13時半の予約で、口切りの客。
「お、ホントに来やがったな」的なノリの温かい出迎えで、二階の窓際席。
 一階・二階ともに、10人を越えるような宴会卓のセットがある。正月だしな(?)。
 へべが「ワタシら早くてすんまそん」と言うと、
「全然OK。ここらの奴は『クレイジー』なんで、隣の宴会なんか15時からだよ。夜も23時に予約する奴とかいてさ、寝るのは3時だな(笑)」

「本日はカルドあります」…(いいねー)
「アルカチョッファもあります」…(いいねー)
「魚はロダバージョとメルルーサ」
Alameda
 魚と肉は、ホントにどっちでもよくて、迷う。
 この旅で食べてない焼き魚か。
 この旅のテーマっぽくチュレータか(登板間隔、中4日入ったし)。
 まあ魚の評判もいいのだが、やはりこの内陸部にいる旅人のイメージが勝って、チュレータに。

 優しいおにーちゃん(ホントに優れたサービスです、このヒト)にワインも聞いてしまう。
「ああ、クネとかいいんじゃないかな、リストの何処だっけな…」と探しながら、ロダもいい・クラシックならムリエタ、とか数種類あげる。
 ま、カレの第一勘に乗ってみましょ…で、クネのインペリアル。

 どこもそうだったが、リオハでいただくリオハワインが、うめい♪
 やはり旅をしていないせいか、一段、細やかな味がする(気がする)。
 そして、肉屋が勧めるワインが肉に寄り添う。まあ、なんとも。身体に染み付いた感じ。
Alameda
 アミューズその1は、カラバサのソパ。適切なアセゾネ美味、いい店だな。
 カラバサの風味がよく出てる。日本のカボチャって、ぶっちゃけ、甘くなり過ぎちゃってて、料理に使い辛いんでねーかね?

 その2は、ブランダード・デ・バカラオ
 塩抜きも綺麗に決まって良い味、おお、わかっちょるやん♪

[へべ]
 まずはアミューズ2品。
 オレンジ色のクリームスープは、カラバサの味と風味が立ってていい感じ。日本のカボチャはもっと甘みが強いポクポク系が主流だけど、これくらいの味の方が使いやすそう。底に一片クルトンを忍ばせ、かりかりベーコンをトッピング。

 バカラオのブランダードは塩抜き加減よろしく軽めの仕立て、ポテトの薄チップを添えて。

 この旅ですっかり知り合いになった感のある冬野菜、カルドとの別れを惜しんでここでもオーダー。
 アーティチョークの仲間でもっぱら茎を食べる種類…らしく、市場で見かける姿は巨大なフェンネルかセロリ(の茎部分だけ)のよう。調理後の見た目もほぼ「セロリの煮たの」なのだが、味も香りもやさしくてしみじみと滋味深い。
 茹でてから柔らかく煮るのが伝統的/標準的な調理法のようだが、アラメダ版は皿の中ほどにカルドの芯らしき部分の厚めの一片が盛られているのがちょいと嬉しい。スープとオイルで煮る段もきっちりリファインされた仕上がりで、アルメンドラのスライスとかりかりベーコンのあしらいも洒落ている。
Alameda
[AQ!]
 料理はカルドから。
 よく炊いてオリーブオイル乳化、アルメンドラ・ベーコン・大蒜。…と、仕様は昨晩のリンコン・デ・アルベルトと同一。なるほどカルド料理として「ある」モノなんやね。
 大蒜なんかはずっと軽くなり、細部が精妙なガストロ版、うまいのなんの!
 「旅で印象に残ったひと皿」に入ってくる。
 付け根の方なのかな、太い輪切りがワンピース入っているのだが、こりゃまたたまらん♪

 アルカチョッファは少し凝った、少し変わった料理。
 芋と緑の2色ピュレを添え、ガンバを乗せた姿はチャーミングなので、本日宴会卓の前菜でも活躍するのかもしんない。
 アルカチョッファ本体が、若いというか小粒なのを使っているようで、それを更にダイスカットしてつんもリ積み上げた。風味の発射性がよろしい。
 なかなかガストロ調ですな。

[へべ]
 前菜もう一品はやはり季節野菜枠からアルカチョファ。
 親指と人差し指の輪っかくらいの小さいのを4分の1カットして揚げ、凝縮とほのかな香ばしさを出している。
 「わーい♪」と嬉しくなるくらいの数をセルクルで小高く盛り、ビーツのチップとシガラをトッピング。白(じゃがいも)と緑(ブロッコリー?)のクリーム/ピュレを添え、とびっ子をパラリと散らした、ちょっと華やかさもある構成で。
Alameda
 チュレータ
 本日のメインに焼いてもらうのは魚か肉か、あぁどうしよう…と悩み迷った末にやっぱりチュレータを。
 注文を聞いて兄さんニヤリと笑い、「はーいチュレトン一丁ね」。
 メニュー上の値段はキロいくらの表示だが、特にサイズ指定しなくても適当に二人前見当でいい感じの厚さで出てくる。
「これで1キロちょっとくらいかな、12歳のガリシア牛1カ月熟成だよ」
 ズキューン! 自分の心のチュレータ像のど真ん中を撃ち抜く肉がここにある。
 ノンストレスな食べ心地、焼きの香ばしさにきれいな脂、冷めてもジューシーで、するすると胃の腑におさまっていく。
 オーダーせずに来るフライドポテトがまた絶品! 外はカリッと中はクリーミーで芋の豊かな味と香り、肉に最高に合うパートナー。

「この辺(なんてったってリオハ)のリセルバで何かおススメを」とお願いしたクネのインペリアルがまた、めちゃ肉に合うじゃあーりませんか♪
 あぁやっぱりチュレータにしてよかった…とハッピーな午後は過ぎていくのでありました。
Alameda

[AQ!]
 どん、と登場する骨も立派なチュレータ。いや、こちらではチュレトンと言ってましたな。
 そのままの姿に、適宜、カットが入っている。ま、オーソドックスな供し方。(しかしアレですね、今回、laia, Casa Julian, Alameda…の3軒、供し方自体、みな違いましたなあ)
 がぶり!…うんまー♪
 王道である。
 ワシワシといただく。
 こちらのチュレトンは、、、いい意味で「フツー」な感じ。フツー、の、最高峰って感じ。
 こちらが持っているチュレータのイメージに、ぴったりと嵌る。
 それでいて、痺れるように旨い。濃厚な色気がある。
 王道、サイコーだ!

 後で聞くと、ガリシア牛12歳の4週間熟成。
「ああ、なるほどなあ」…というとこ、アリですな。
 laiaやCasa Julianに比較すると、多少、雑味的な部分も許容されて受け取られるかもしれない。…が、それが何とも「艶」として感じられる。
Alameda
 ポストレも上々。
 特に、本体部分がトロっトロのマンサナは個性的だ。

[へべ]
 クリームチーズケーキ、アップルパイ

 サービスの半袖兄さん素晴らしい。愛。今これ季節のスペシャル。

[AQ!]
 この時間になると店内はだいぶ温まってきて、各卓それぞれに盛り上がっている。
「あ、後ろの3人組、お肉2枚目に突入したわ!」と、へべ。

 なにくれと温かく朗らかに面倒みてくれるおにーちゃんのおかげもあって、なんかメチャクチャ良い店だった。
 ど真ん中に、美味しい♪
Alameda
 帰りはタクシー。道に通じているせいもあってか、10分ちょい…なんて感じで戻る。
 近いな。
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  Alborada  アルボラーダ
  
Paseo Marítimo Alcalde Francisco Vázquez, 25, 15002 La Coruña, España +34 981 92 92 01 http://restaurantesalborada.com/

・ アコルーニャ市内のモダンレストラン
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

Alborada 2018年 5月 ☆☆☆

 *Merluza de Celeiro 紙塩・緑クロケタで寿司
 *ベルベレーチョにフェンネル、ブロッコリーにナッツピカンテ、アンチョアパテ・薄パイ・エストラゴン
 *Ostras de Cambados / Guisantes de Marisa, Plaza de Lugo
 *Cigala de Camarinas / Acelgas da "Horta de Antia"
 *Vieira de Galicia
 *Fabas de Lourenza
 *Esparragos Blancos "Estraperlo"
 *Xrada "Lonja de Coruna"
 *Lomo de Vaca Rubia Gallega
 *Quesos de Aqui:Queso deo Pais(Leche Cruda de Vaca), Marianne(Leche de Cruda de Vaca, Madurado en Heno), Lara&Sara(Leche Pasteurizada de Vaca), Touza Vella(Leche Cruda de Cabra)
 *Nectarina, Cascarilla
 *Miel y Requeson, Avellanas
 +16 Cortezada Vino tinto de Bodegas Fedellos do Couto

Alborada
[AQ!]
 市バスで、Ria da Corunaに突き出して面するアルボラーダへ。
 快晴に煌く海が碧く、砕ける波が白い。
 Google mapの示す場所に来ても“何処だ?”的に地味な位置。
 看板には『Alborada espiritudegalicia』と書かれている。(後々「そうだそうだ!」)
 大きく窓がとられた開放性は、「海が見える」と感じるか「駐車場脇の店だね」と感じるか(笑)。

[へべ]
 海沿いの道路に面した建物1階に、見覚えのある、くるくるっと巻いたAの字のマークを発見。
 大きな扉をグイと開くと、やあやあいらっしゃいと、明るく落ち着いたモダンな店内へ。
 大人数の団体予約が入っていたようで、うちともう一組(年配のご夫婦で、夫君の顎からほとばしるがごとき髭は遠目にもほれぼれする迫力)は、3卓分スペースの小さなサルに通された。
Alborada
 着席するとまず、いの一番のタイミングで(水の注文やメニューの説明よりも早く)、「土地のティピコな伝統で、こちらをどうぞ」と、目の前の白いボウルに温かいコンソメが注がれる。
 おぉ、冷たい海風に吹かれて冷えた体に、深い味がしみわたる…。

 メニューはほぼ「今日の買い物(食材)リスト」状態。ここから何がどんな料理になるかは、出てきてみてのお楽しみ…。

[AQ!]
 テーマはハッキリと謳われている。
 スロンマルシェ…本日の入荷を見ての料理。「入荷次第料理」…現代では「言ってるだけ番長」も少なくないけど、コチラはその感触がずんと出ている。
 ご丁寧に、「その日の良い材料というものはえてして少量だったりもするから、隣の卓と違うものが出てても御承知くださいませ」的なことが書かれている。
 次ページに「今月の入荷例」として材料・産地だけ列挙されている。
Alborada
[へべ]
 コンソメの段を筆頭に、コースの組み方や料理や器など、随所にガリシアという土地の文化と産物と伝統への愛があふれている。
 ワインリストの冒頭には産地ごとに地図と写真入りで紹介したガリシアのワインが手厚く並び、愛情たっぷりの構成にほろりとしながら、リベイラサクラでおすすめのメンシアをボトルでいただく(地元で飲むメンシア、表情豊かでおいしくて連日お世話に。魚介料理ともばっちりでハッピー♪)。
 序盤のピチピチとした生きの良さは、まさに地元ならでは! 思わず顔がほころぶ。

緑クロケタ・紙塩・メルルーサ寿司、ベルベレーチョにフェンネル、ブロッコリーにナッツピカンテ、アンチョアパテ薄パイエストラゴン
「手でそのままどうぞ、ニギリ(すし)みたいに」
 …ぱくりと頬張ると厚切りのメルルーサはもっちり、なめらかな食感で、緑のクロケタとの対比が楽しい。塩水に漬ける伝統的な手法と紙(ラップ紙的なもの?)で包む現代テクニックの合わせ技で、風味が抜けないようにして塩を入れているとか。
 フレッシュで上質なベルベレーチョ、思いの外くっきりスパイシーなナッツのクリームを添えたブロッコリー、アンチョビのペーストと香ばしいパイ。
 アミューズ4品の味の展開がすでに小気味良く、いい予感に胸が高鳴る♪
Alborada
Ostras de Cambados / Guisantes de Marisa, Plaza de Lugo
 続いて牡蠣、海老、帆立。牡蠣にはこの季節のお楽しみ、ギサンテス(嬉しい!)を合わせて。サリコルニアの食感が心地よい。

[AQ!]
 下に敷いてる海草は食べても死なないけど料理してないわよ♪…的なことを言って笑う、担当のマリーニャ嬢。

 ワインはRibeira Sacraから、Cortezada Vino tinto de Bodegas Fedellos do Couto。
 オリーブオイルは、ABRIL:obtido das oliveiras galegas Colleita Propia 2017。今の季節は肌寒いガリシアなんでオリーブオイルどうよ?…と思うのだが、これが美味しい。
Alborada
Cigala de Camarinas / Acelgas da "Horta de Antia"
 ガリシアのシガラはええわ、やっぱ♪
 ブレット包み、Horta de Antiaは農園名かな。

[へべ]
 驚いたのが海老。
 翡翠の玉を思わせる仕立てそのままに、清らかなおいしさ。こんなきれいな海老料理があるなんて…。
 抑制が効いたレモン要素(軽いクリームと皮のコンフィ)もぴたりと調和。クリアな海老汁。
Alborada
Vieira de Galicia
 帆立はテーブル横で磯焼き風に(魅惑的ないい匂い!)。
 (貝の)フタを開け、緑の海藻をめくると、なんとこれが上品なガジェガ仕立て(じゃがいも抜きのいわば最小構成)。絶妙な火入れの帆立を、そのジュに溶け込んだスモーキーなパプリカの風味とともに。
 ガリシア万歳(^。^)
Alborada Alborada
Alborada [AQ!]
 帆立を見せて・焼いて・ソースをかけ・卓上で殻を外し・海藻をめくり・黄色い花を鋏で切って散らす…まで、マリーニャが大活躍。
 店のテーマの一貫だろうが、ゲリドンサービスの多い店だ。活きてる。
Alborada
Fabas de Lourenza
 海のファバーダだとぉ♪
 LourenzaはLugo県、ガリシアでもアストゥリアス寄りの町。

[へべ]
 続く豆と野菜の段は、ボクらのハートをわしづかみ。
 白いんげん豆をなめらかに煮込んだ「海のファバーダ」は海の旨味と香りがいっぱい、海松っぽい海藻をトッピング、陸のそれ(大好物)とはまた違った魅力がある。

Alborada
Esparragos Blancos "Estraperlo"
 蛸のガリシア風と見まごうのは白アスパラガス。ヘーゼルナッツクリームのコクが心憎い働き。
Alborada
Alborada Xrada "Lonja de Coruna"
 主菜格の魚1号は、これまたゲリドン的にライブ感の盛り上がる鯖の海藻松葉焼き。
 燻し焼きっぽく金色の輝きを帯びた鯖の力強い旨さを、マイルドな大蒜ソースと酢漬けシーフェンネルが引き立てる。
Alborada
 2号はロックフィッシュのクリアな磯汁仕立て。鉄鍋でご披露後、茶色く濃厚な磯ソース&ペルセベス(嬉しい♪ ガリシアで食べたのは小粒でも身入りが良くておいしかった)とともに登場、身質麗しく美味~。
Alborada
Alborada [AQ!]
 どちらも潔くもカッコ良く、大ぶりで骨太な旨さ。まあ「魚、食ってるよなあ」な土地のメッセージ。

Lomo de Vaca Rubia Gallega
 世界に冠たるRubia Gallega牛を、ガリシアガストロ旅行の最後に、いちばんストレートにいただけるとは、ナンタルチーヤ!!
 これぞ、牛!!!
(そう言えば、これは「焼き加減」の質問アリ。「そちらの皆さんがウマイと思ってる焼きでおながいします」…で簡単に言うとミディアムレア的に来た)
Alborada
[へべ]
「肉は一皿だけですから」と当初からの予告登板は、ミディアムちょいレアめに焼き上げたガリシア牛!
 海幸山幸ランドな上に全土に名声轟くガリシア牛(Vaca Rubia Gallega)を擁するとは、なんたる恵み。
 香る生スライスとジューシーな焼きのマッシュルーム二階建てと、ホースラディッシュの爽やかな辛味を合いの手に。
 さすが堂々の旨さ。このくらいのポーションがあると「ステーキも食べたぞ」的な実感もあって嬉しい。

Quesos de Aqui:Queso deo Pais(Leche Cruda de Vaca), Marianne(Leche de Cruda de Vaca, Madurado en Heno), Lara&Sara(Leche Pasteurizada de Vaca), Touza Vella(Leche Cruda de Cabra)
 ガリシア愛にほだされて(笑)、多皿構成のコース後とは思えない勢いでケソ4種もいただいてしまう。皿数の割にコース全体が軽快なのは、スロンマルシェの新鮮な食材をピュアな調理で供する料理が多いから?
Alborada  ケソの段も、食中から引き続いて3種(ノーマル、海藻入り、五穀)のガリシアパンで行くのがこの店らしい。
 パンのお供はガリシアのオリーブオイルと、海藻パウダーをトッピングした発酵バターで、どちらも抜群にいい。
 こんな状況(多皿コース)でなければこのパンとワインでいつまででもやってられそうにおいしかった…。
Alborada
Nectarina, Cascarilla
 ポストレス1号は、ネクタリンに甘い海藻をあしらって。
 料理にもあちこちに出てきた海藻がどれも雑味なくきれいで、それぞれの効果を上げてたよね…ガリシアの海辺でゆらゆら漂ってたりする海藻も、見るからに「あ、コレ食べられそう」と思えるルックスだったりするもんね…と、海藻話に花が咲く。

Miel y Requeson, Avellanas
 2号はチョコクリーム系。店の前に広がる紺碧の海の、対岸あたりの風景をイメージしたという造形で、上にあしらったミニ植物たちと液体窒素でパウダーにした緑の食感、香りが効いている。
Alborada
[AQ!]
 かっこよくもイメージの切れ味あるポストレス♪
 ミニャルディーズは華やかなお花畑に。
 コース最初の目印皿と珈琲碗セットは、伝統的なガリシア陶器で。
Alborada
Alborada  その日の食材…を前面に押し立てるドライブ感が快い。剛毅な美味さ。力強い、原点回帰型ガストロモダン。
 現代ガストロを細かく見れば、ピンポイントに収束させる精度を望むのか/そのピン周辺の揺らぎの中のダイナミズムを望むのか、という微妙に相違する目標があるのだが、その後者の視点を強烈にアピールしてるような印象。

 また「現代ガストロ」観についてで言えば、これでガリシアガストロを5軒回ってみたのだが、1軒1軒にちょっとずつ志向が違うのが、イイ意味で素晴らしかった。まあ、大らかなのかな。都会巡りの「ああオマエもまたコレか…」感が少ない。

 サービスについても、“ゾーンディフェンス的”任せ具合が気持ち良かった、ぐらしあすマリーニャさん(兄貴が日本人と結婚して在日だそう。飲食関係ではないが)。まあ本日は大サルには、バスで乗りつけたグループ客がいたこととの兼ね合いかもしれんが…。
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  Alkimia アルキミア
  
Industria 79, 08003 Barcelona 93 207 61 15 www.alkimia.cat
13:30~15:30/21:00~23:00 土昼・日休
料理長: Jordi Vila
・ バルセロナの若手“錬金術師”
 ここの予約は今のところ、電話しか無いみたい。 (2007)

 いつの間にかサイトが出来てました。メール予約も可能になったっぽいですね。 (2010)

[↓メモ版:工事中]
2007年 4月 ☆☆

 *パンコントマテ
 *パンコントマテの再構成、ハモンセック
 *サンディアソルベ、ラズベリ・赤胡椒・アホブランコ
 *Coca de anchovas con escalibada, mantequilla de trufa i yogurt
 *Alubias "del ganxet" con consome de arenque, tripa de bacalao y uva
 *Espardenyas con arroz Emporda y esparragos verdes
 *Conejo(imperial) con alcachofas, peras asadas y polvo de carquinolis
 *Pichon de sangre con judias verdes salteadas, coco y oliva negra
 *Gazpacho de melocoton con pepino y helado de yogurt
 *Borracho de limon al romero con helado de almendra amarga
 +04 Emilio Moro

Alkimia (コメント工事中)
[AQ!]
 アンショワのコカ、旨!
 コネホは軽く詰め焼、脂旨!
 サグラダファミリア駅、ピーカン、一山いくらの観光客。
 10分ほど歩く。まずまず新興のちょい高級の町並みに、クールに構える。隣は赤提灯の日本料理屋。

Alkimia  ISI(Japones)…と自信なさげに、予約帳に(ちゃんと)載ってたよ。我々が現れると、何故かウケる。一同ホッとしたか? 後で気付いたが、一番奥の客も同胞くさいが、随分と落ち着いた空気からは、在住かプロか…と思われた。
 (それにしてもイシイはいかん、ナカタとかマツイって名前なら良かったのにな)
 サービスは殆ど女性陣。5人くらいいた? カルタは最初、英語版が来たが、西語をもらう。やはりわかりやすい…、というか、両方置いといてくれたので見比べる。これが一番わかりやすい。

Alkimia  白インゲンの皿は柴田本で同趣向のモノを見ていたので、マーク。アンショワのコカ、というのが再構成くさくて面白そう。コカには興味津々だし。
 ペスカドのエスパルデニャスから目が離れず、これは決定、ヴィアンドを一つにしてフツーのドゥプラにするか、エスパルデニャスをプーレドゥできるか…ってとこだが、メディオ・ラシオネスOKということで、2.5皿構成で行くことに。
 ヴィアンドはスペインらしく一つはコネホ。それに鳩。
 ちなみに、価格設定けっこー控え目、のデギュスタシオンの内容は記載無し。まぁこのヒトはアラカルトの方が向いてそうなのでいっかな、ということで。

Alkimia  卓上の緑オリーブは腰が砕けるほどウマイ。さすがに何処でもウマイのだが、アルキミアのが最高だった。
 アミューズ。パンコントマテ組曲。筒型容器にトマト水ジュレ、パンの浮身。容器の上にカリカリハモンを渡しかけ。パンコントマテ再構成…だがオイシイ。パンが最後までカリカリなのが手柄で、これは技が入ってそう。

 サンディア中心の2皿目は「まさにスイカ味」のスイカ物で、複雑に構成されながら、スイカ味がバーンと来るのが偉い。西瓜はもっと単純にやっても、手を加えることですぐ味・香りが逃げちゃうのにね。

 コカは上級レストランレベルでキッチリとコカを作ったらどうなるかに?的な一品で、端々の味にキレがあって素晴らしい。とくにアンチョワがたまらない!

 白インゲン御一行様は、澄まし汁と言っていいようなクリアスープ物だが、構成要素が綺麗に協調する。葡萄…なんてのも、全然浮いてなくてハマった役どころを得ている。それにしても食感の美しさに泣くところのトリッパデバカラオである。

 エスパルデニャスのブッとさにたじろぐ。すげー。百尋か、っつの。これが腸管としたらどんな海鼠やねん。下敷きは(カタルーニャに慣れるに従い「例の」になる所の)“カタルーニャごはん”(この時は「モダンに醤油使いか?」とか騒ぐ)。エスパルデニャスの食感が嬉しくて踊る。それにしても、ホントに半量か、と思うほどの立派な皿。実際、以後観察してると、medio racionesは半分より結構多く盛るし(カタルーニャ、気前よし)、とりわけ、カタルーニャごはんは盛りがいい。

Alkimia  コネホは、仕立て(やはり、丸めて詰め物、ではある)も焼きもアセゾネも優れているのだろうが、何しろ素材の質・状態が、話にならないくらい、イイ。家兎の脂の甘さに悶絶するとは! 翻って、ラパンではあまりアタリの出ない日本であるが、材料の差であったか、のぉ。紫の花に茄子。此処んちはナニゲに盛り付けが美しい。

 鳩は焼き加減を聞かれる。メディオエチョ。メディオがだいたいデフォなんだろなって感じの焼きであらわれる。白小花が綺麗(季節がらみか、他でもこの花は使われていた)で、食べても良いアクセント。黒オリーブも「らしい」位置どり。ココを使うのが面白いのだが、バランス的には少し多いでしょか。

 「モモ・ノ・ガスパチョ」…、あらら…、と急に「(日本語が)喋れる」奴とともに現れたスープは快適。
 (ところで品書を眺めると)「WAGYU」…はここまで来てた!
(コメント工事中)
Alkimia Alkimia
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  Aponiente  アポニエンテ
  
C/ Puerto Escondido nº6 11500 El Puerto de Santa María - Cádiz - Spain  +34 956 851 870 www.aponiente.com
日月休
料理長: Ángel León

・ プエルト・デ・サンタ・マリアのレストランテ
2015年 5月 ☆☆☆☆

 *Tortillita de camarones / Pulpo
 *calamar y “gominola”
 *Sardinas
 *Salmonete de fango
 *Mejillón
 *Ostra
 *Erizo y caballa
 *Kokotxa
 *Choco
 *Navaja
 *Pláncton
 *Galera
 *Bogavante
 *Coquinas
 *Marbonara
 *Pulpo
 *Rape feo
 *Puntillitas
 *Pez espada
 *Limón/Cilantro
 *Sultana
 *Chocolate/Aceite
 *Mejillón/Piña
 +Cava Xarel-lo Macabeu Parellada 48 Mesos
 +Fino en rama "Aponiente" Gutiérrez Colosia
 +14 Manzanilla Solear en rama Saca de Invierno
 +Fino en rama Cruz Vieja
 +11 Colet Navazos extra brut
 +Manzanilla Pasada Barón
 +Amontillado 12 años El Maestro Sierra
 +Palo Cortado en rama Cruz Vieja
 +Oroloso Micaela Barón
 +Moscatel Especial Bodegas César Florido


[へべ]
 この週末にはJerezで年に一度のオートバイ祭りがあるとかで、MOTO野郎どもが続々参集しつつあるPto. de Sta Maria。
 その、何ということもない街角にさりげなくたたずむグレイの外装のその店の名は Aponiente。
 正午ごろに前を通ると、まかないの皿を手にした若者が通用口から出てきて立ったままもぐもぐ食べてたりする。
 よーし、少なくとも今日は営業してそうだ!(^^;) (Faroの後遺症、少々あります)

[AQ!]
 12時過ぎにお散歩偵察で通りがかってみたところ、路上にはみだして賄いタイムだった。
 そら、はみだすわな…ってくらい、スタッフは多い。店舗面積は狭い(笑)。
 その狭い店で厨房もフロアも流麗に動くのがまた素敵だが、「広いとこに越す」は、多分視野に入ってるだろうなあ。

 ***

 さて、今回のアンダルシア旅行の“主眼”、アンヘル・レオンのアポニエンテである。
 今、世界で最もホットな話題を呼んでいる一軒でもある。

 この店は冬期は休業で3月に2015シーズンが始まったところ。
 予約は受付開始が1ヵ月前である。その時点まで予定が確定しないのが旅行者にとっては痛いのだが、予約サイトを「時報とともにクリック」しなければいけない…みたいにタイトということはないようだ。今のところは。
 我々の旅程上、ここで5月1日に食事すると都合が良い。…のだが、ん~、メイデーかあ。欧州のメイデーには多少なりと痛い目にあっているので迷いはしたが、ま、それで行ってみる。
 Puerto de Santa Mariaでも小規模なメイデー・デモ行進はあったけど、大勢に影響無し。
 そして予測してなかった「MotoGP 第4戦 スペインGP @ ヘレス」に伴うバイク野郎の祭りで大騒ぎな街角であったが、ガストロには影響無し。
 ふぅ、無事にいただけそうである。

[へべ]
 14時、訪店時刻に再びやって来ると、戸口の両側に鉢植えの木が置かれている。
 よしよし、と入店。
 おっと、すぐそこの厨房にはシェフのアンヘル・レオンの姿が!
 欧州の若手シェフにありがちだけど、写真の印象よりも実物はもうちょい若々しい。
 陣頭指揮をとるのはもちろん、サルに出て各卓へのあいさつ、時にはサービスにも加わっている。

 壁にはイワシ(?)が泳ぎ、卓上にはロープを円盤状にぐるぐる巻いたようなものが敷かれて、海の気分をかもし出す。
 エビの背にまたがりアポニエンテの海を旅するアンヘルシェフの雄姿が描かれたメニューを眺めながら、アミューズを。

Tortillita de camarones / Pulpo
 レース状極薄クロカンテのチーズチュイル上に灰色の小エビたち。えもいわれぬ海の味。
 チュイルの下、ガラスの器には乾燥タコ。おそろしく軽くて、味の凝縮感がハンパない。
 これを皮切りに、次々に出てくる皿はいずれも海の産物、マリスコスの料理たち。
 その的確な扱いと、引き出しの多さ、多彩さに舌を巻く。

[AQ!]
 エビせんにタコせん!
 だけど、海の“珍味”っぽいしつこさはまるで無くて、クリア。

calamar y “gominola”
 「海辺のピクニックです」との口上で現れる。烏賊ホットドッグと駄菓子。
 駄菓子は見立てで、一つだけトビっ子ボールが乗っている。トビコのいたずら。それをツマミにカヴァがすすむ。他は本物の砂糖駄菓子で可食だが食ってもしゃーない。
 何や知らんけどアンダルシア人はこのネオンかと思うようなカラフル駄菓子が大好きみたいで、駅のスタンドでもスーパーでも山のように売っている(そして大量の巨デブが発生している(^^;))。
 何や知らんけど、そんなんに捧げるオマージュだろう(笑)。へべには「赤」・私には「黒紫」、と2色の用意アリ。

[へべ]
 「海辺のピクニック風」の遊び心とトビっ子づかい。

[AQ!]
Sardinas
 サルディン3段活用。
 身のベッドは脂のとろとろタルトムース、布団はカリカリ鱗。炙りマリネ仕立て、って感じ。
「ひと口でどうぞ」

 ここで現れるフィノ、
Fino en rama "Aponiente" Gutiérrez Colosia
 グティエレス・コロシアはプエルト・デ・サンタマリア町内にあり
「このちょっと先のブロックを曲がったとこにある蔵だべっちょ」
 とのこと、「Aponiente」の名前入りボトルである。
 ソムリエから「en rama」(生、無濾過)の講義。

Salmonete de fango
 サルモネテ(ルジェ)の刺身のラテンスタイル。
 ルジェの姿盛りを見せてから(さすがに欧米人客はビビるんだろうか(笑))、ピンセットで冷製スープ碗に落としてくれる。マイスを後から振りかけ。
 スープ・マイスともに中南米系の味・香りだが、上手いまとめでルジェが活きてるし、味わいも素晴らしい。
 中南米料理で言うと「Aguachile」になろうか、Sa.Qua.Naの“トムヤムクン”を思い出す手法。
(そういえば後から思うと、世界の「海の巨匠」と言うと Alex Bourdas, Edwin Vinke, Gerald Passedat, Jean-Paul Abadie, Quique Dacosta, Geir Skeie…なんか思い出すけど、Ángel LeónはAlexとは近似項が多いような印象はある)

[へべ]
 ラテンアメリカ風にライムをきかせたソース/スープにルジェの“姿造り”風に盛ったところから、マリネとクロカンなとうもろこし粒をトッピングしていく楽しい演出の一品。


Mejillón
 ムールも3段活用。
 ムールの白雲。

[AQ!]
 ムールにガスパチョの解体・再構成を組み合わせたような構造。ムールスープをかけると凍ったトマト水が溶け出す。緑はプランクトン粉。
 時間経過の面白みを支える味わいの良さ。


Ostra
 牡蠣も3段仕立て。この辺は「3段」がテーマか。
 マリネは醤油を使っている(が言われてわかった…くらい)。

 ムールの
14 Manzanilla Solear en rama Saca de Invierno
 に続いて、牡蠣には
Fino en rama Cruz Vieja
 が合わされる。
 牡蠣には日本酒か?ワインか?…って話題はみんなの大好物だけど、まあどっちゃでもえーやんけと思うことも多いのだけど、ところで俺的には、牡蠣にはシェリーかモルト…が好きだなあ!
 ヾ(〃^∇^)ノ

[へべ]
 オストラも3段活用。オストラのパウダーがけ。
 ペアリングではさすが本場の超お膝元とあって各種シェリーが大活躍。

[AQ!]
Erizo y caballa
 雲丹・鯖の共演、の段。
 ここでアンヘル大将が登場であります。
 小箱の中には雲丹コルネ。
「とても脆いのでパクっといっちゃってください」
 と横でメートル。
 うま!
 アンヘル御大は、
「そーりー、あい・きゃんと・すぴーく・いんぐりっしゅ」
 という英語だけ披露し、がっちり握手して去って行く(^^;)。
 「英語腰ひけ具合」が、エネコ・キケと大体コンパチ(^^;)。

 鯖はエムルジョンに覆われた生に近い仕立て、サリコルニア・ターニップ酢漬・プランクトン粉。


Kokotxa
 ココチャと魚パンをプランクトン・ピルピル浸し…で食う。
 カプチーナの花一輪。
 未知の美しい天体。
 美味しく、印象に残る。

 「chef del mar」として知られるアンヘルの“必殺技”の一つがこのプランクトンの使いこなしだ。
 様々な顔を見せるプランクトンだが、ベーシックな食べイメージは、 ピュアな海苔のようである。
 クリアで、ライト。
 ん、水前寺海苔か?(笑)
11 Colet Navazos extra brut
 ここでもう一度、カヴァが出る。
「シェリーの泡でがんす」
 みたいなこと言ってたなあ…と思っていたのだが、後で代々木八幡のSシェフに
「コレットのカヴァはドサージュ代わりに熟成シェリーを添加したものですよ~」
 と聞いて、納得♪

[へべ]
 緑のプランクトンソース・パウダー ←海苔っぽい味になる
0res3129.jpg(81141 byte)
Choco
 イカのラビオリ。

[AQ!]
 烏賊包み、スパイシースープ。

0res3130.jpg(73548 byte)
Navaja
 クトー貝2態。
 紫蘇で巻いた生と餃子。
 餃子仕立ても流行ってるようなのだが、ここのはとてもウマイ。
 そーゆー違いは食ってみないとわからんのだけど。

[へべ]
 紫蘇巻と餃子、これは旨い。
0res3131.jpg(50421 byte)
Pláncton
 手の上プランクトン。

[AQ!]
 おっとここで登場は「手の甲」料理。
 リブレイやリンデホフで経験済だけど久しぶりや。
 手の甲の上にピンセットで小さいサンドイッチを作る。海草を固めた円盤でプランクトンピュレをサンド、かな。
 海に触れる瞬間…

0res3132.jpg(144594 byte) Galera
 魚・茸・海草のお出汁汁仕立て。
 海草のニュルニュルは、へべによると「おきゅうと」(笑)。
 こーゆーの、百発百中臭くなりそう…なものだが、クリア。濃いけどすっきりしてて、旨味がピュア。
 アンヘルは、この辺の味がよっぽどわかってて、狙ってるんだなあ…と感じる一品。
 ここんちは、ヨデ臭のもの・珍味臭のもの…が一切無い。複雑で、新たな海の味覚の組み立てに攻め入っているが、あくまで品良い。

 ***

 サービスが卓上でカルドを注ぐ料理が続く。

 Aponienteは概ね若い店だが、フロアの上位の数人はそこそこ恰幅よく貫禄がある。
 制服も、最近はカジュアル寄りのガストロが増えてる中、バリっとしたスーツに5ボタンに蝶ネクタイだ。
 何となく「3大テノール」がテーブルにやって来た!…みたいな風情。
 このパヴァロッティだかドミンゴだかが料理を捧げ持ってきてニコヤカに口上を述べ始めると、…、ん~、その風情が 「スリーアミーゴス」(湾岸署の(笑)) のようでもあるのだ。
0res3133.jpg(82492 byte)  どことなく茶目っ気のあるオジサン連中。それも狙ってる感じではなく、お茶目半分・天然半分とゆーか、要するにスペイン人とゆーか…(笑)。
 そこもまた、楽しい時間なのであった。

 かなりの多皿構成なので、皿の上げ下げだけでもフロアの交通(笑)は激しい。上から下まで、ぶつからずに行き来するのだけでも訓練が必要そうだ(笑)。

 ***

Bogavante
 ボガバンテのメダイヨンをナランハ風味スープ仕立て、ソレル添え。
 こんなんがすこぶる美味いのは、説明に困る(笑)。
 どうやってもある程度はウマそうなものだが、「俺は違う」と胸を張りそうな出来。
 酒は、
Manzanilla Pasada Barón
 マンサニージャになっている。  
0res3134.jpg(113211 byte)

Coquinas
 ギサンテス。
 アルメハ出汁のシンプル仕立てだが、恐ろしい美味さ。
 この豆はある程度のサイズはあるのだが、「プチュっ感」が快く、透明な青い香りと清らかな甘さが魅了する。
 payoyoチーズニョッキ入り。

[へべ]
 まさに今が季節!のギサンテスはあちこちで食べられて口福を満喫したが、今回のベスト・ギサンテス賞はアンヘルのアルメハと合わせたスープ仕立て。
 「ぷちゅぷちゅ」感たっぷりの豆粒が大粒なのに信じられないくらいみずみずしくて、いつまでも食べていたかった…。
0res3135.jpg(179253 byte)
[AQ!]
Marbonara
 海のカルボナーラ…は烏賊。イベリコクリーム、プランクトン粉。


Pulpo
 蛸足薄削ぎカルパチョ+豚足コラーゲン。

[へべ]
 旨味濃厚なコラーゲンソースでタコの薄造りを食べさせる一品あたり、コースの起伏のつけ方も巧みで飽きさせない。

 ***

 とろみのあるソースをまとわせたり、スープ風にたっぷり注いだり、醤油で軽くマリネしたり、自分(=同素材)のだしやパウダーと合わせたり…
 さまざまな魚貝が、それぞれ違う仕立てで供される。
 各皿の要素はよく整理されていて、味も印象もクリア。
0res3136.jpg(62784 byte)
 19コース23品の料理はすべて海のもの!
 それぞれの味の探求が単に“おいしい取り合わせ”といったところにとどまらず、深いところを攻めている。
 (ポストレスまで入れると、23コース 28品)

 ***
Aponiente
[AQ!]
Rape feo
 ここに来て、まだまだ腹が減る(笑)。
 塩や濁りがキツイとそろそろくたびれるくらいの海産分量を食べているのだが。
 ラペをセボージャ汁で♪

[へべ]
 黒ゼラチンシートかぶせ。

Aponiente
Puntillitas
 ちびイカ 墨ソース。

[AQ!]
 墨+セボージャ+オロロソ。


Pez espada
 最後は西京焼きイメージの、カジキ…かな。
 ヒラヒラとおぼろ昆布。
 この段のお付き合いは、
Oroloso Micaela Barón
 というオロロソ、もんのすごく派手なラベルがフィナーレを盛り上げる(笑)。

 ***

「俺たち日本人だから魚介類のことは詳し………かったっけ???」
 …という思いが溢れ出す(笑)。
 いやあこのヒト、海のことよく知ってるわあ、というのが、まずの感想。
Aponiente
 訪れるまではこの「話題の渦中」の一軒、もっと過激というかセンセーショナルな、そうキケ・ダコスタみたいな想像をしていた。
 実際に食べてみると、たしかに、遊びあり見立てあり演出あり国際色あり冒険あり…といった「モダン」はふんだんに盛り込まれているのだが、印象に残るのは、「深い思索」であるとか「静かな研鑽」であるとかを感じさせる、シッカリと海と向き合った香りと味わいの奥行きであった。

 随所で漏らした感想の再掲になるが、複雑で・軽くて・ピュア、そして美味。

 ***

Limón/Cilantro
 レモン生姜アイス・海ぶどう!にコリアンダースープをかけて。

[へべ]
Sultana  メレンゲ 笹の葉(型の皿)。
 案外、ちゃんと美味しい。
Aponiente
[AQ!]
Chocolate/Aceite  キャラメルのムースにオリーブオイルとアポニエンテ特製塩をかけて。下敷のチョコムース・カカオクロカンはホノ温かい。
 オイルは、
Aceite de oliva Arbequina al humo de roble Castillo de Canena
 である。麗しき芳香。

Mejillón/Piña
 小菓子。(Mejillónは殻を使ってる(笑))
Aponiente  甘く過ごすお供は、
Moscatel Especial Bodegas César Florido
 チピロナのモスカテル。

 ***

 「Aponiente」印の塩はお土産にくれる。
 魚介のチョリソもくれる。
 一緒に「Aponiente」印トートバッグに入れて、らららん♪…と歩いて(わずか)5分のホテルに帰る。
 ああ楽しかったなあ…
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  Arcs de Monells
  
Calle Vilanova, num. 1 - 17121Monells GIRONA 972 63 03 04 Fax:972 63 03 65 www.hotelarcsmonells.com

・ Girona郊外の田舎にある現代的ホテル内のレストラン
  → 2007カタルーニャ旅行記はこちら

2007年 5月

 *ガスパチョ、松の実入り
 *野菜サラダ
 *平目アサド、玉葱ソース、焼野菜添え
 *バカラオのブーダンノワールソース、林檎ピュレ
 *ブラマンジェ

Arc (コメント工事中)
[AQ!]
 Gironaのタクシーの兄ィは、「Monells、それ何処?」で、無線でゴツゴツ調べてくれている。「モネルスだかモネイだかのホテルアルクスなんたら…」
 地元民に聞くと「モネイス」、タクシー代で30ユーロちょい。そのド田舎のちっぽけな集落に、忽然と現れる、Hotel Arcs de Monells。古い建物を生かしながら現代的なカッコイイ宿に仕立て上がっている。
 田舎の雰囲気、広~い気分が、空気越しに浸透してくる。癒されっちゃうから、も~お(^^;)。此処をスケジュールに組み込んでおいて良かった。
 レストランエリアは大人数客がいるようで、小人数宿泊客は小さい個室で。後ろのオヤジ二人のお喋り量にカンドーしながら(^^;)。
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  Arzak アルサック
  
alto de Miracruz 21, DONOSTIA (San Sebastian) (943)278465, (943)285593 Fax:(943)272753
日夜・月休 春秋に休暇あり
料理長: Juan-Mari Arzak (1942-) ~ Elena Arzak (1969-)
・  
 

  ARZA1 [↓メモ版:工事中]
2003年 8月 ☆☆☆

 *温イチジクとハモン、緑(豆?)の小さなスープ、西瓜とボニート
 *Sardina Olivada Sobre Licuado De Melon
 *Triangulos Caramelizados De Foie, Yogur Y Melon
 *Carabineros Con Tostadas Onduladas
 *Flor De Huevo Y Tartufo
 *Rape
 *Chipirones A La Plancha
 *Cordero En Pan Frito De Curry Con Sandia Y Queso De
 *Pichon Con Su Menu En Cortezas
 *Postres
 +Txakoli Txomin Etxaniz (glass)
 +94 Tondonia Reserva

(コメント工事中)
[AQ!]
 「アルサックかい、まかせときな。アケラーレっつうのも良いレストランだよ」(それ、一昨日行ったよ(^^;))…とおしゃべりな運ちゃんの飛ばすタクシーはDonostiaの東の外れ、街道沿いの一軒家Arzakへ。
 現在ではあんまし趣きも何もない場所のようだが、Arzakの裏手に回って覗くと、カマドに薪が燃えている。忙しく白コックコートが立ち回り、旨そうな雰囲気ムンムンである。
 ポテト、ムール、いちじく、すいか魚、焼葱、青豆スープ
 Rapeうまい~
 Chipiron plancha 泡
 鳩 皮フレーク胡麻つき 旨い
 仔羊 野菜のせ汁 旨い
 ミエル板 粉ショコラ
 辛子ピカンテ ショコラ
 マンゴ白アイス
 三角錐(上から、ベリー・西瓜・ピスターシュ)
 ショコラナッツサンドと胡麻アイス
(コメント工事中)
Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak Arzak
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  Atrio  アトリオ
  
Plaza de San Mateo 1 10003 Cáceres España  +34 927 242 928 restauranteatrio.com

料理長: Toño Perez

・ カセレスのホテル・レストラン
Atrio 2015年 5月 ☆

 Tasting Menu 2015 Up to date dishes to meet Toño's cuisine
 *Carrot; sea anemone and fennel
 *Fake peas; crispy pork and peas cream
 *Bloody Mary; with chives ice cream
 *Oysters...; one in lemon balm tea / the daring one, fried in strawberries and kimchi paper
 *Crawfish; in green and seaweed bread
 *Red Prawn; corn and iberian pork
 *Sea Bass; citrus fruits and cumin bread
 *Sirloin in two steps; in tartare, with mustard sorbet / roasted, in crispy herbal coating
 *Torta del casar; in both textures with quince jam and spicy oil
 *Pineapple; in textures
 *The cherry; which is not a cherry
 *Petit fours
 +09 Vosne Romanee / Meo Camuzet

Atrio
[へべ]
 ドライバーにも車体にも屈強というコトバがお似合いの、ALSAの大型バスにセビリヤから4時間揺られて古都カセレスへ。
 バスセンターからタクシーで宿に向かう。
 丘が丸ごと旧市街といった風情で、入り組んだ急坂の細道を巧みにハンドル切りながら、時にはミラーもたたんでギリギリの幅を行く。
 プロってすごい。
 石造りの建物、入り組んだ細い坂道…。
 Atrioはそんな街の、これも文化財ですよね的、壁厚な石の館の内部をみごとにリノベーションしたオーベルジュ。
Caceres
 到着すると、
 お疲れさま、よい旅でした?、何か飲み物でも?
 とにこやかに迎えられ、一気にくつろぐ。
 (そしてもちろん、のどのかわきにビールがうまい)

[AQ!]
 これも世界遺産ですかい?…という建物群の一軒に、「ルレ・エ・シャトー」旗がたなびいている。
 スペインは個店のオーベルジュは少ない印象、「ホテル・レストラン」という呼称がよく用いられている。
 ホテル・レストランの入り口は共通。玄関を入って左にレストラン、真っ直ぐどんつきがカウンターで奥のエレベーターで上がるとホテル。
Atrio  
 ルレ・エ・シャトー/ミチェリン2つ星/レプソル3太陽…など輝かしい評価が、スペイン西部の「何もない」地域でただ一人だけに降りそそぐ。
 ボクらも期待の膨らむところ。

「いらっしゃい、イシイさんですね〜」とスムースに迎えられる。
 このウチは、ホテルとレストランのスタッフ連携がとても良い。
 …というか、フランスのオーベルジュだと元がレストランに貸し部屋がついたような構造なので、高級でも「こんにちは、えーと、、ありぃ?」ということが割とよくあるのだ。
「何か飲みます?、珈琲・水・ビール…」
 ありがたや、とロビーでビール。
 着いたぁ〜、乾杯!

[へべ]
 フレンドリーで行き届いたホスピタリティは、行ったことのある欧州のオーベルジュの中でも最高レベル。
 ご自慢の素敵なテラスを見せてもらってから、案内された部屋がこれまた素晴らしい。過不足なく、すっきりと趣味が良く、機能的にも申し分ない。
Atrio
具体的にはこんなところ
  ●safeが使える
  ●クロゼットにハンガーが十分ある
  ●その他衣類収納(引き出し)たっぷり
  ●スーツケースを広げて置けるスペース
  ●ミニバーに水
  ●グラス
  ●洗面台が2つ(ぜいたく)
  ●バスローブ(ぜいたく)
  ●タオルハンガーが十分ある
  ●歯みがきセット
  ●ヘアドライヤー
  ●ティッシュ
  ●固形せっけん、シャンプー、リンス(←わりと稀)
  ●使いやすいシャワーブースとバスタブ
  ●クロゼットに全身鏡
  ●スリッパ(稀)、靴べら
  ●くつろぎセットの籐いすがものすごく座り心地良い
  ●電動日よけ(レースと遮光)
  ●グルメ系読み物
Atrio
[AQ!]
 ↑
 一つ一つはそーとーにフツーだなあ(笑)、でもそれが揃わないのが欧州(笑)。
 それに、その他の「余計な物」が無いのがイイ。

[へべ]
 優雅なバスタイムの後は、いざ夕食へ。
 天井の梁と柱の直線が目に快いリズムを刻む、レストランへのエントランス。
 今宵はようこそ!とあいさつに来たセーターにジーンズ姿の男性はどうやらオーナーのよう。
 笑顔のいいソムリエ殿に、ここはやっぱりチャンパーンでしょか、と乾杯など。
 宿泊棟の各室にも備え置かれるここのワインリストは、いわゆる「電話帳ほどもある」分厚さ、手厚さの立派に製本されたシロモノ。
 家1軒分くらいのイケムやら、18世紀の銘酒やらがずらりと並ぶ。
Atrio
[AQ!]
 リアル・クレージーなワインの館。
 自分がレストランで目にした中では、最狂・最凶ではなかろか(笑)。
 オールオーバーにとんでもないが、例えばイケムは1806年(!)から始まるリストが4頁にわたる。
 5大シャトーならば各25ヴィンテージ以上を揃える。45ムートンも47ペトリュスもあるでよ(^^;)。
 古酒の多くは正規リコルクもので、臨戦態勢。
 基本的にはここを建てたオーナーが1980年代~90年代半ばに買い集めたものだそうだ (「それ以降はもう良いワインは買えませんね(笑)」)。
 そのせいもあってか、恐らく同一のワインの本数は限られているような気がするので、(一部スペインジャーナリズムが騒ぐように)3つ星なんかが付いたりしたらゴッソリ欠番が出そうな感もある(^^;)。

 ***
Atrio
 …さて料理について、は、公開型日記を記すのを趣味としている人間にとっては、何とも書きにくい、心苦しい感もある…(^^;)

 世界遺産の真っ只中の丘頂部分にあるという絶好の立地、華美でなくクールでしかし冷たくない美しい内装、とても良く気がつきサンパながらエスタブリッシュドなサービス陣、贅沢品を趣味良く配して居心地の快適な宿泊棟、世界で最も華麗なワインリスト、温厚丁重さから好人物性が滲み出るソムリエ、ジーパンの気さくなオーナー、シェフのトーニョもニコヤカで穏やかな気の良さそうな人物である。
 まったくもって、欧州中でも最も理想に近いオーベルジュなのである。
 …のだが、
 料理だけが、
 …
 残念だ。ほんとに残念だ(^^;)。
Atrio  しかし、どうにも、…箸にも棒にもかからない。
 「ん~」「あれ~」「、、、」…とか静かに言ってるうちに、「ああんコースが終わっちゃうよぉ」…みたいな感じ。
 とくにマズイわけでもミスってるわけでもないのだが、“とくに感じることは何もない”んだよなあ。
 品書を見ても(今になって)写真を見ても、この日までの他のガストロに比べとくに劣ってたりはしないんだけど、味が、ボンヤリ。食べ物って、難しいなあ(^^;)。
 トーニョ、いい人なんだけどなあ。
 2つあるコースのうち「Tasting Menu 2015 Up to date dishes to meet Toño's cuisine」を頼んだのだけど、ワイン目当てにこちらを訪れる方は「クラシック」コースの方が、イイかもしんない。
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  Azurmendi アスルメンディ
  
Azurmendi barrio leguina s/n 48195 Larrabetzu ( Bizkaia ) Tel: +34 944 558 866 Fax: + 34 944 558 860 www.azurmendi.es
料理長: Eneko Atxa サービス: Jon Eguskiza

・ ビルバオ郊外のレストラン
 なんかやたらと余裕のある店なのだが、下記訪問時から更に改装だが新装したらしい。ミチェリン(笑)2つ星に上がったところだが、スペイン版ディレクターの性格も併せ考えると、“次の3つ星”有力候補ではないか…と思う。 (2012)

「ほうら言ったでしょ!」…じゃないけど(笑)、ミチェリン2013年版で3つ星に昇格。おめでとう! (2012)

2011年 5月 ☆☆☆

 [Menu Geroko]
 *Huevo trufado y “cocinado a la inversa”
 *Raviolis de rabo envueltos en pan y jugo meloso de su coccion
 *Ostra con gel de mar, Salicornia y aromas naturales extraidos del mar
 *La Huerta
 *Guisantes de temporada, gel de ibericos, patatas-ajo y flores
 *Caldo de ave, pechuga de codorniz a baja temperatura, pil-pil de coliflor y semillas de oro
 *Morcilla hecha en casa con caldo de alubias de Arraño, berza y vegetales
 *El Arrecife
 *Papada confitada a fuego bajo, deuxelle de setas y suero de pimientos asados
 *Musgo en la pared
 *Chocolate “apasionado”
 +Txakoli Uixar
 +04 Baigorri Reserva
 +Vilas del Turbon
 +Arima


[へべ]
 厳重間仕切りタイプのTAXI。
 ランチタイムはなぜか晴天。
 道路から見えて、AQ!が、
「あの建物かなあ、写真に似てる」
 …ビンゴ!

[AQ!]
 月曜は個人客は数卓のみらしく、我々が到着すると、メートルのJonが
「日本人、来たかな来たかな…」
 とチラチラ見ている。…のはわかったけど、快晴の丘の上、店の全景など記念撮影す。
(ちなみにJonは、予約e-mailに署名入り返信をくれるので、来る前から“何となくダチ”なのよね(笑))

「オラオラオラ!…えーとだね、メヤモ…」
「アキラ・イシイだろ!」
 握手。
「シェフが厨房を案内したい、と言ってるんだけど…」
「おおそいつぁ、グレイト!」

[へべ]
 出迎え。
 まずシェフに会ってください。料理を食べていただく前に私たちのしようとしていることをお話ししたい…的展開。
 厨房25-26人スタッフは各国顔も。広々。
 ひみつのラボ。天井にポエム(5本の指はひとつのチーム)。exp器具いろいろ。蒸留器に土?
 さらに下階へ。ボデガ。ワインづくり担当者(日本語のなにやら書かれたTシャツ)。チャコリと白ワインを地もののブドウで(no チャルドネ)。9月に収穫、仕込んで2月からその前年の新酒を出す(なんとデザートワインも作っていた)。

[AQ!]
 エネコシェフ、若いのは知っての通り。とても腰が低い。明るく穏やか。そして、熱い。

 厨房は地上階奥、広大。25人ほどが此処で働くと言う、見た感じもそのくらい。部門もキリっとした人が多いわ。
 それぞれのセクション分担を聞いた後、地下一階に下りる。まずカーヴ。ガラス貼りで中が見える。大きい敷地ゆえ、幾らでも入りそうだ。その先に“実験室”、ラボがある。ほんとに理科室のような雰囲気だ。化学兵器(笑)が、これでもか…というくらいズラリと並んでいる。とくにアロマの抽出や封じ込めあたりには腐心しているようでいくつも稼動中。
 更に地下二階があってワイン醸造所になっているのには、口アングリ。地下二階…と言っても、丘陵に建てられているので“地下”ではないようだ。

 終始一貫して、手厚く説明してくれながら、
「何を撮ってもいいからね。好きに写して」
 まさに2011年現在に生きるシェフ。
 ラボの天井には、バスク語の詩篇が綴られている。五本の指それぞれを歌い、それが合わさって一つの手として働くんだ…というような内容らしい。

[へべ]
「何で知って来た? ガストロ系ビジネス?」
「いえいえ、ミチェリン(この時はまだ2つ星)とロメホールガストロノミア」
 タカザワ氏と村田氏は来たことあるらしい。
「名刺下さい」

 シェフのエネコ・アチャ氏が静かなる情熱をこめてひたひたと語り、サンパなメートルJon(予約メールも担当)がせっせと訳す。

 ガストロのメインのサル。見晴らし抜群。
「この田舎の田園地帯の雰囲気の中で、土地の産物と風土と郷土の文化に根ざした料理を出していきたい、こうしてはるばる遠くから来ていただいた客人たちにこの土地ならではのものを、」
 …というようなことを、こんこんと。

 月曜昼とあって、ウチを入れて3卓6人プラス別室(バンケット用? 大サルがあるっぽかった)にもう1組いたのか、声がしていた。

 [Menu Geroko] 95ユーロ

Huevo trufado y “cocinado a la inversa”
 トリュフ卵 inside out

Raviolis de rabo envueltos en pan y jugo meloso de su coccion
 牛尾ラビオリ、イベリコ脂とパン巻、sticky broth

Ostra con gel de mar, Salicornia y aromas naturales extraidos del mar
 カキとgel de mar, Salicornia, 海アロマ、キノコ

La Huerta
 The Garden

Guisantes de temporada, gel de ibericos, patatas-ajo y flores
 ギサンテス、イベリコ、にんにく花、ミニポテトスフレににんにくクレーム

Caldo de ave, pechuga de codorniz a baja temperatura, pil-pil de coliflor y semillas de oro
 低温調理うずら胸肉、カリフラワーのピルピル、黄金のトウモロコシ、鳥のブロス

Morcilla hecha en casa con caldo de alubias de Arraño, berza y vegetales
 モルシージャ、Arraño産赤インゲン豆のカルド、キャベツと花輪

El Arrecife
 「The Reef」 ルジェ、ムール、海草てんぷら

Papada confitada a fuego bajo, deuxelle de setas y suero de pimientos asados
 カリカリ薄パンミルフィユ魚卵イベリコ脂透明ラップ、きのこデュクセルとピーマンの涙

Musgo en la pared
 moss on the wall

Chocolate “apasionado”
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  Bar Ganbara バル・ガンバラ
  
San Jeronimo 21, DONOSTIA (San Sebastian) (943)422575
月休 春秋に休暇あり

・
BGAN1 2003年 8月 ☆

 *Gamba Fresca a la plancha
 *Hongos a la plancha
 *ハモンのクロケタ
 *バカラオのクロケタ
 *アンショワ・青唐辛子・オリーブの串

(コメント工事中)
[AQ!]
 カウンタ奥に山と積まれた茸の山は、秋の訪れ(??)
 これが、超旨。ほんま、ウマイね~。海老も臭み無くフレッシュで、焼きよろしく、この店は上質。
 いつも凄い繁盛だが、さすがに客のサバキも感じが良い。カウンターへばりつき組は、お勘定“自己申告制”です。

BGAN2 [へべ]
 昼のGanbaraにチャレンジ! 混み目ではあったけど入れ替わりもあり、そうこうするうちカウンターに陣取る。シドラはない?(どこかBarで聞いたけどなかった)
 ガンバス・プランチャ! これが旨い。油しかないプランチャで焼いてつぶつぶ塩でそんだけなんだけどエビはジューシー、ミソも甘くてちゅうちゅう吸ってしまう。殻つき。
 超人気繁盛店、ガンバラ! 夜は遠目に見てラッシュアワーのような混みっぷりにびびり、スゴスゴと退散したこの店に、昼間のリベンジ。シドラはシードル屋(なんていうんだっけ、ビールならブラッスリ、みたいな)じゃないとない感じなのかな。
 カウンターにキノコの山!旨そう!あれだあれだ、ってなわけで口々に叫ぶのは
「オンゴス・プランチャ いっちょー!」。鉄板でチャッチャッチャ、と焼いてくれるきのこは絶品。うまいウマイと食っていたら隣の観光フランス人が皿を指さしておずおずと尋ねた。
「ぽ、ぽるけ?」

[AQ!]
 ニーチャン、それ、ケエスエストちゃうんか…と思いながら「オンゴスプランチャ言いますねん」と教える日本人…に、聞くなよニーチャン(^^;)。
 …なんて少しはドノスティア先輩面も出来る(出来てないけど)くらいに慣れてきていたので、開いてる限り人山の黒だかりと思われるGanbaraにも突入出来たんだよね。
 出盛りの旬なのか、この茸サマにはびっつら仰天。ウメェ!
 その他此処は「何食っても旨い」型のフシがあり、ドノスティアbarの横綱格なんですかねぇ。
 そうそう、オンゴス・プランチャみたいに注文して焼いてもらうタイプのピンチョスも数多い。

[へべ]
 自分がどうやって申告してたか思い出せない…。何だかわからず指さして注文したピンチョスも結構あったのにね。
 勇気をふるって突入してよかったなー、ガンバラ。あのオンゴス・プランチャの旨さはちょっと忘れがたい。
(コメント工事中)

Ganbara 2018年12月 ☆

 *Tartaleta de Txanguro
 *Hongos plancha

[AQ!]
 ホテルから事前にメールが届いていた。
Regarding New Year's Eve time (31 & 1) have you got any restaurante reserved? San Sebastian is a very traditional city and most of the restaurants and pintxo bars will be closed.
 一緒に観光協会からの営業店一覧リストも送られたが、たしかに大晦日夜はゴーストタウンだ(笑)。
 さて、昼はどうかな?…と出掛けてみると、確かに人影は少な目。
 まず、Cuchara de San Telmoを覗いてみると、シーン…とする窓に「大晦日は12時半から」とある。ほお、後で来てみよう。
 Ganbaraの通りに入ると…、アレ?いつもはメルクマールになる人山の黒だかりw…が無い。行ってみると、開いているのだが、スカスカしてる♪

[へべ]
 昼の口開けはまだ空いてて、人気店でも入りやすい。まずはガンバラ。
 チャングロ(蟹)タルト。オーブン焼き仕上げ、底には味噌もたっぷり。
 やはりここではオンゴスのプランチャ、卵黄塩ソース、うっとり。
 チャコリとカーニャ。
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  Bar Gaztelu バル・ガステル
  
31 de Agosto 22, DONOSTIA (San Sebastian) (943)421411

・  

2003年 8月
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  Bar la Vina バル・ラ・ビーニャ
  
31 de Agosto 3, DONOSTIA (San Sebastian) (943)427495

・  

2003年 8月
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  d'Berto  ドゥベルト
  
Av. Teniente Domínguez 84 36980 O Grove (+34) 986 733 447 www.dberto.com

・ オ・グローベのマリスケリア
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

d'Berto 2018年 4月 ☆

 *Mejillones en escabeche
 *Caldo Gallego
 *Pastel de Cabracho
 *Merluza a la Gallega
 *Tarta de Queso
 +14 Algueira Mencia Ribeira Sacra 11 meses en Barrica

[AQ!]
 「怪しい曇り」を中心に、天気はころころと変わる。
 ガリシアはまさに、「ガリシアのイメージ」通りに、我々の前にコンニチハと現れる。
 20時半にはほぼ「気分のいい晴れ」であったので、d’Bertoまで歩く。エスタシオデオートブスから徒歩20分という距離。
 風が肌寒いくらい、気温10度あるかないか、というところ。d’Bertoの通りは、リゾートホテルやリゾートレストランがぽつぽつあるけど閑散としている。町全体に「alquilar」の貼紙が目立つ。デニアを思い出す。

 まずd’Bertoの駐車場(ただの空地(笑))が現れ、ちょっと進むと生簀の水槽が見えてくる。青いランゴスタが凄い迫力。
 開店時間21時ちょうどくらいだが、既に1、2卓始まっている。(最終的には、客席半分くらいの入り)
 海辺の「海鮮焼き」屋…ってことで、店の雰囲気の想像はつきにくかったが、実物はかなり「ピカピカのレスタウランテ」調であった。さすが最近は「世界ランキング」系でもブイブイ言わせてる店だけのことはあるな(笑)。

 品書にはとにかく「海鮮」がずらりと並ぶ。
 シーズン的にオフめなせいか、日曜夜のせいか、欠品はかなり多い。その代わり(?)、魚はメニュー外のモノも幾つもある。
 …そういえば、日曜も昼夜ともに開いているのである、この店。
 基本的には日月休の多いエリアなので、スケジュール組みには大変助かる。
 土曜にアコルーニャに着いて日曜にすぐオグローベに来たのは「その為」と言ってもいい(笑)。
d'Berto
 で、何だ、話し戻って、戻りついでに遡って言えば、前述の通り、OADランキングでもマドリッドフュージョンでも、こちらはえらく評判の高い一軒である。…なんだけど、一方、現実は厳しく(笑)、以前に訪れた某シェフから聞いた話では、
「(ハイシーズン以外は)鮮度、やばいですよ、アソコ(^^;)」
 …(臭いらしい)…特に、甲殻類・ナマに近いもの、は御注意とのこと。
 …その辺を織り込んで作戦を立てる。

 前菜はベタに郷土料理系で、…カルドガジェゴとエンパナーダ。
「エンパナーダ、切らしてます、魚介のパステルでは如何? カルドガジェゴは1人1鉢でよかとですか」
 はい、そのように。
 カルドガジェゴは「めいめいに」を覚えたのは後々収穫であった(笑)。
「…で、メインは魚を食いたいのだけど…」
「こちらへどうぞ」
 と、店に入ってすぐの冷蔵ケースへ。
d'Berto
 猛烈に色々な魚がこちらを睨んでいる。
 案内してくれたのが店の御主人のようなのだが、ケースを指しながら凄い勢いで説明をスタートする。
 魚の名前・性質、それに向いた食べ方…塩焼き・フリット・アラガジェゴ・ギサード…。
 …えええ(^^;)、しょーじき選択肢マトリックスが膨大過ぎて迷うのであるが、ま、昨日この地に辿り着いた身としては、調理は「アラガジェゴ」でお願いしたいか、と。
 で、それに向きそうな魚から、巨体を光らせているメルルーサに決める。

[へべ]
 さて、メインは魚と行きたい。セーター姿のたぶんご店主にショーケースを見せてもらう。
 立派なロダバージョやルビーナやサルゴやメロ、メルルーサなど、それぞれの魚に合わせて天火焼きやガリシア風、小ぶりのはフリートスなどで出すという。
 ここは一つガリシア風を行っておきたいということで、それならおすすめとのメルルーサをお願いする。
d'Berto
[AQ!]
 装飾的ディスプレイも兼ねたワイン棚はピカピカである。
 泡のリストが手厚いのは特徴かな。
 ま、でも、ワシらはメンシアでお勧めを聞く…「14 Algueira Mencia Ribeira Sacra 11 meses en Barrica」。
 オリーブオイルは、「Aceite de Oliva Extra Al Alma : Coupage Picual, Hojiblanca Ecologico」。

Mejillones en escabeche
 まず出て来るアミューズはメヒヨン(ムール)のエスカベチェ(+蛸・人参・パプリカ)。…段々とわかってくるが、この地ではエスカベチェはとてもポピュラーみたい。
 メヒヨンのプックリとした身質の力強さがブイブイいわしている。…とともに、まあ多少、(生)臭いっちゃ臭い。なるほど、その辺はあまり気にしないのね。
d'Berto
Caldo Gallego
 とうとう本場でお目もじ叶ったカルドガジェゴ。
 はるばる来ましたがな、という気分にさせてくれる、生まれも育ちも遠くにありながら懐かしいお味。
 たっぷり来る。当然と言えば当然ながら強調してしまうのは、ホントにグレロがたっぷりと入っていることだ。ああ嬉しい。

[へべ]
 グレロたっぷり、芋もおいしい。豆と肉少々。これはなんとも泣ける味。食べ進んだあたりで、ガリシアパンを投入するとこれまた旨い。

Pastel de Cabracho
 エンパナーダが本日はなしとのことで、代わりにすすめられた魚介のパステルを。
 クリーミーなムース仕立て、大量のメルバトースト添えだったが、そのままでもいける味。

[AQ!]
 パステルはオコゼの類の柔らかいパテでピンク色くらいの仕上がり、これはフツーに美味しい。いじらない素直さ。
d'Berto
Merluza a la Gallega
 さて、メルルーサ・アラガジェゴ様の登場。
 派手である(笑)。
 オレンジ色の油の虹♪ …日本人的には「ラー油かけました?」色。
 この後1週間、様々なバリエーションをもって我々と相対すことになる魚介のアラガジェゴソースとの出会いその1.である。
 ラー油に見えても辛くはない。アハーダ…パプリカ・玉葱・大蒜・オリーブオイルによるソース。繊細で大人だ。
 メルルーサの筒切りが力強くも粗雑にならない、さすがの肉質を見せつける。合わせてたっぷりのグレロ・ジャガイモに頬が緩む。
 まあ、来なくちゃ食えない、来なくちゃわからない、でかいひと皿。

[へべ]
 たっぷりした筒切りメルルーサは身質、火入れともに素晴らしく、パプリカの色と風味(軽くスモーキー、わずかに辛味スパイシー)がきれいに抽出されたオイルをからめていただく。
 いい魚料理! なめらかで緻密なじゃがいもと、そしてガルニにも山盛りで嬉しいグレロともよく合う。
d'Berto
Tarta de Queso
 ふわふわチーズケーキ。
 ティピコなポストレスはどうかね、とおすすめのこちらを。

Aquavit
 店のおごりで、強い食後酒をキュッとやってシメる習慣があるっぽい。liqor(リコール)はいかが?と聞かれたりするが、ここは「アクアビット飲むか?」だった。
 ごちそうさま♪

[AQ!]
 「d'Berto」ラベルのボトルから…でしたな♪
 御主人はなかなか献身的でやる気ありそうなヒト。…かつ機械に弱い(?)、クレカ端末で支払いしたのだがメートル氏と一緒に戻ってきて「ゴメン、入ってなかった、もう一回お願い」w。
 ごちそうさま。調子よく滑り出したので、帰りも歩く。
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  BITOQUE DE ALBIA ビトケ・デ・アルビア
  
Alameda Mazarredo nº6 48001 Bilbao-Bizkaia  www.bitoque.net

・ ピンチョス選手権上位常連のバル
 ネット情報によると閉店の模様。

2011年 4月 ☆

 *Patatas Bravas
 *Rac.Antxoas Especial
 *Bikini de Rabo
 *Ravioli de Morcilla
 +Txakoli Vizcaina
 +Vino Crianza

[へべ]
 チャコリ、ビノティント

Rac.Antxoas Especial
 イワシのマリネ、焼パプリカ、黒オリーブ添え

Patatas Bravas
 しっとりフリット、にんにくマヨネサ、青ネギ、ピリ辛トマトソース

Bikini de Rabo
 牛テール煮込 トースト挟み、じゃがいもピュレ、スプラウト、トマトのカルドに玉ネギの泡

Ravioli de Morcilla
 モルシージャとキノコのラビオリ 牛テール煮のソース、ベビーリーフ、スプラウト、乾燥トウモロコシ
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  Mesón O'Bo  メソン・オ・ボ
  
Rúa Menéndez Pelayo, 18, 15005 A Coruña, España +34 981 92 72 37 mesonobo.es

・ アコルーニャのバル・レストラン
O'Bo 2018年 5月 ☆☆

 *Tortilla
 *Pulpo á Feira
 *Caldo gallego
 +カーニャ
 +Tinto de la Casa

O'Bo [AQ!]
 夜は「郷土料理をツマミに気楽呑み」…が今回旅行のベースだったのだが、案外この“郷土料理”の辺りが、行ってみると店によって色々。
 そんな中、コチラは(俺たち的に)大当たり!!!
 すんげーヨカタ。

 まず、ベタなガリシア料理がずらりと揃ってる(メニューオンリスト…で言うと、案外そうでない店は多かった)。
 そして、頼んだ3つとも、ウマイウマイ♪

 まあでも、(入りとか見てると)地元のヒトには“one of them”な店なのかなあ、「昨晩のオ・セクレトの方がナウくていいんじゃね?」とか言われるような感じ…なのかもしんないけど。
 この店に目をつけたのは、昔の「Lo mejor de la gastronomia」のTortilla部門に8点という高得点でリストインしてたから(いまweb上で見ると7.5点)。
 その意味では高評価店でもあるが、tripadviserやgoogle評点で言えば「上の中」ってとこ。
O'Bo
[へべ]
Caldo gallego
 旨いぃぃぃ!
 何だろう、この、近年までその存在すら知らなかった、グレロとハム出汁と芋と豆の日常的なスープの、奇跡のような「うわー、コレ自分としては絶対好きだ」感って…。
O'Bo
O'Bo Tortilla
 注文すると、ほどなく厨房からカッカッカッカッと玉子を打つ音が聞こえてくる。
 玉子と芋と塩とオリーブオイルと鍋と火と、ただそれだけからなる神との対話めいた不思議な滋味の世界。

Pulpo á Feira
 注文すると、ほどなく厨房からチョキチョキチョキチョキ…と蛸をハサミで切る音が聞こえてくる。
 皮周りはとろり、本体もジャストキュイな蛸をぶつ切りにして、あとは塩とパプリカ(ここのはちょいと辛味あり)とオリーブオイルだけ。
 コレがたまらない。一つ、また一つと楊枝が止まらない。
O'Bo
 ハウス赤、無印。

 何を食べてもおいしい、いい店だった。

[AQ!]
 「蛸ガリシア、蛸ガリシア…」と呟いて現地に行ったら「プルポアフェイラ(ガリシア語:ポルボ・ア・フェイラ)」だった、学習♪ (薩摩揚げじゃないです、つけ揚げです)

 ま、ワシら、「ガリシア郷土料理食い比べ」とかした訳でもないしアレだけど、ここの料理は“これがあれば何ももう申しませんとも”…ってくらいの満足感・嬉しさに溢れてた。また食いたいもん。

 ワインは思い切って(?)いちばん下の「de la casa」にしたら、完全にツルんちょの、何も書いてない・貼ってないボトル。コルクはちゃんと打ってあって、フツーに抜栓する。
 十分に、ウマイ♪
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  Cafe Briñas  カフェ・ブリニャス
  
Perez Galdos Kalea, 54, 48013 Bilbao

・ BilbaoのCafe

Cafe Brinas 2018年12月

 *ミニハンバーガー
 +カフェコンレチェ

[へべ]
 バスターミナル前の繁盛カフェ、ミニハンバーガーとカフェコンレチェで体を温める。
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  el Bulli エル・ブジ
  
Apartado 30 Cala Montjoi 17480 Rosas GERONA 972 15 04 57 (FAX 972 15 07 17) www.elbulli.com
abril-septembre
Chef: Ferran Adria (1962-)
・ 幻想の未来、2001年料理の旅 (2001.9)
2012~13年は休店とのこと (2010.1)

Michelin ○○○ (2001)
Michelin ○○○ (2007)

 予約ですが、我々は「9月頭の月曜夜の予約」を6月に入れたFAXで、一発で取れました。しかし、この話をするとビックリする人もいたりして、実際、相当に予約が取りにくい状況になってきているらしいです。2002年シーズンはこれまで以上に早く席が埋まることが予想されるようで、予定している方は、とにもかくにも早めにコンタクトするのが吉、ではないかと思います。FAXは英語で出したところ、スペイン語で返信されてきました。
 なお、カタルニヤ語では、「el Bulli」の発音は、「エル・ブイ」に近いようです。 (2002.3)

 上記の片仮名表記問題は、古来より「ギョエテとは俺のことかと…」で知られるように軽く流すのがインテリの処世法とされてましたが、山本M博氏があまりに偉そうに「エル・ブリにしろ」と言うものだから腹を立てたのか(他の点でも仲悪いのか?(^^;)…知らないけど)、W辺万里氏が殆ど名指し寸前のような形で怒って書いてらっしゃるのを見ました(Mistral Vol.29:「発音は日本語に無いが、カタルニア語ならエル・ブイに近く、標準スペイン語ならエル・ブジに近い」)。
 ま、客としてはどうでもいいけど、ま、そりゃ本件はW辺氏の肩を持ちたくなるけど、「ワダスはタカハスです」と本人が言っても高橋と書けばよろしいように、片仮名にせずel Bulliと書けば済む話ではありますね(W辺氏の結論もそういうことみたい)。(2004)

 日本でも大きな報道となりましたが、2012.13年の休業が発表されました。その理由・背景については、フェランの言葉「疲れた…」がすべてを物語っている…という感じですが、この休業は、ヨーロッパを中心にかなり「料理における“ケミカル”批判」の論調の中で報じられていることも、メモっておきましょう。すべて、憶測と噂の霧の中に語尾を飲み込む形で…ではありますが。 (2010.1)


 フェラン・アドリアの来日ドキュメンタリー番組をはじめ、「エル・ブジ」のマスコミ露出が続いたこともあり、幾つか御質問のメールをいただきました。回答をここにも転載しておきます。

Q.どの様なル-トで行こうか迷っています。El Bulliにお泊まりになったのですか?

AQ!
 El Bulliには、(公式には)宿泊設備はありません。非公式にも、El Bulliに泊まった、という話は聞いてないです。

 で。

 El Bulliがあるのは、カラ・モンジョイ(Cala Montjoi)というごく小さい村です。ここには、ひょっとすると、小さいホテルとかロッジが存在するかもしれません。私たちは調べなかったので、知らないです。カラ・モンジョイにもし宿泊できれば、El Bulliまでは歩いていけます。

 私たちが泊まったのはロサス(Rosas, Roses)です。ロサスからEl Bulliは、タクシーで、10分とか20分くらいの距離です。El Bulli訪問時には、「ロサス宿泊」が、一番オーソドックスな手のようです。
 ロサスは典型的な(通俗的な)ビーチリゾートで、呑ん気な海水浴場が延々と続き、そのビーチ沿いに延々とホテルが並んでいます。沢山あります。
 私たちの場合、ミシュランとかwebで見て、まず、Hotel MonterreyにFAXしたのですが(7月に9月の予約)、満室とのことでした。良いホテルなのかもしれません。
 次にFAXしたHotel Terrazaは、部屋があり、取れました。このホテルは、ミシュランでは「ロサスで一番立派」みたいな扱いになってる割りには大したホテルではありません。別に悪かないけど。隣のホテルでお茶をしばきながら、「こっちの方がいいね」とか言ってました。

 ロサス以外で、カラモンジョイ近辺の町は、カダケスポル・リガットで5kmくらい、フィゲラスで20kmくらい。フィゲラス泊まりでも、問題は無いと思います。
 また、国境を越えてフランスのペルピニャンまで戻っても、50km程度です。

Q.バルセロナに泊まるのですが、El Bulliは遠いのでしょうか? コースは13000円と聞きました。安いですね。

AQ!
 円の強さにも寄るけど、2001年までは1万円以下でした。(^^;) スペイン物価ですからね~。

 さて。

 バルセロナからEl Bulliは、130kmくらいあります。
 ええと、バルセロナが東京だとすると、静岡市くらいだと思います。一般論として、バルセロナ宿泊でEl Bulliに食べに行くのは、「不可能ではないけど大変」と言われています。

2001年 9月 ☆☆☆

[roses, 3 de septiembre de 2001]
 [snacks]
 *mojito
 *pina colada
 *madeja de parmesano
 *chicharrones de pollo
 *inyeccion de chufa
 *pistachos-yogurt
 *cortezas
 *whisky sour
 *ceps:en crocant..., canape 2001
 *petalos de rosa
 *trufas de macademia
 *huevo de oro
 *paises
 *cebolla en tempura
 [tapas]
 *ensalada de naranja
 *kellogg's paella-gamba
 *quinoa de foie con consome
 *parrillada de verduras
 *risotto al azafran con parmesano
 *semillas de padron con regaliz
 *calabaza a los aromaticos
 *sepia a la brutesca
 [platos]
 *necora con cous-cous de maiz
 *"espardenyes" con crujiente de pan
 *conejo en civet con caramelos de foie
 *ravioli helado de anisados y toffe
 [postres]
 *sorbete de fermento de yogurt
 *chocolate blanco con pipas y cafe
 *pequenas locuras
 *プチフールは、西瓜小玉・ヨーグルトムース・酸の砂糖・サフラン飴・ホワイトチョコ大蒜・メンタム風ペコちゃん・アナナ串ベルベンヌ・カボチャショコラ・ショコラ・山椒チュイル
 +97 Cims de Porrera Classic

EB1 [メニュー解題]
 「el Bulli」では、上に写した「その日のメニュー」をお土産にくれる。この品数になると、そうででも無ければ覚えていられるものではない(^^;)。それでも、スペイン語メニューだけでは忘れてしまいそう…と、へべが思い出して付けたメモがこれ。
snacks-1: ミントの泡ドリンク、酸味
snacks-2: ココナツの泡+パインソルベ+甘カリカリ
snacks-3: パルメザンの束
snacks-4: 鶏足のパリパリ揚げ
snacks-5: 豚皮のキャラメルコーン風、注射
snacks-6: ピスタチオのうす揚げワンタン風、ヨーグルト味
snacks-7: コルテサス…スポイトでシルキー
snacks-8: ウィスキーサワー、パッションのソルベ
snacks-9: セップのカリカリ(ペッパコッカみたい)x2、筒に入った濃いジュレ
snacks-10: 薔薇の花びら天麩羅x2、甘い、香り、塩味
snacks-11: マカデミア、白いココナツ玉+ヨーグルト+プラリネ・葡萄・ビネガー
snacks-12: 黄金の卵、卵の黄身+甘くて四角くて透明な飴+山椒
EB2 snacks-13: スパイス3都物語
      タイ:白いココナツクリーム、レモングラス風、緑の葉っぱ
      日本:海苔・山葵・ガリ・つゆジュレ
      メキシコ:とうもろこしガスパチョ・コリアンダー・唐辛子
snacks-14: 小玉葱の天麩羅+醤油のスプーマ
tapas-1: オレンジソルベの円盤/白い薄焼き甘パリパリ/グレープフルーツの実、ヨーグルト/オリーブ油/酸・スパイス
tapas-2: サフランライス・パフ・袋入り、デミタスカップにビスクスープ、海老珍味煎餅+海老串刺し+スポイト海老汁
tapas-3: フォアグラの凍結乾燥粉末+濃いコンソメ+詰めバルサミコ
tapas-4: 8-9種の野菜(セロリ、パプリカ、人参、)のジュレ、皿は熱い
tapas-5: 何かのモヤシのリゾット仕立てサフラン風味、パルメザンの泡で囲んで
tapas-6: グリーンペッパーの種にジュレ、リコリス風味(何処に?)バターの泡、+バジルの裏にマーマレード
tapas-7: オレンジに南瓜の衣(ラビオリ)+ヨーグルトの雲に南瓜の種+アーモンドきな粉、匂い紙付き
tapas-8: 烏賊のミンチ(タルタル)+レモンマーマレード+烏賊墨+コライユのソース
platos-1: クモガニのジュレ+蟹味噌ソース+ヤングコーンのクスクス風(しょっぱ)、香草
platos-2: ナマコ(?)の白ビロビロ軽薫製にパン薄パリパリ+ココナツスプーマ
EB3 platos-3: 兎のシヴェ、ココアパウダー・柑橘・スパイス、フォアにグロセル添え
platos-4: 凍結ラビオリ、抹茶(?)+中はキャラメル
postres-1: ヨーグルトソルベと香草とはじける砂糖
postres-2: ホワイトチョコムース・珈琲アイス・ブラック珈琲枝氷、南瓜のプラリネ・塩砂糖スパイス・南瓜の種

■St.Cypriene(イルドララギュンヌ)→Rosas(テラッツァ)____________________
[へべ]
 雲ひとつない上天気は、そういう日なのか南に来たせいなのか。フランスの南もかなりスペイン色が濃いものの、今日はいよいよ本丸のスペイン入り。
 帰路の予習も兼ねてサービスエリア「カタラン村」を出ればほどなく国境(やる気なし)、ここから先はAutopistaだ。国境付近のピレネー山中は風景も荒涼としている。高速や道路標識の仕様はほぼ同じだが、スペイン側に入ると目つきのどよんとした男たちが多くなり、倒れた標識なんかそのまんまになっている。Rosasへの分岐を示す道しるべがひとつグニャッとなってて危なく見落とすところだった。
 暑い。日ざかりの中、地中海に向けてひた走るSaxoであった。もうRosasも近いか、というところで道端に派手なコンテナ車がいくつも停まっているのが目をひく。サーカスだ!端の方にはなんと小ぶりながらゾウも3頭いた。我々はハンニバルの象隊も見たぞ!とかバカなことを言いつつRosasに到着。ほどなくHotel Terazzaも発見。イルドララギュンヌ「新・熱海国際観光リゾート」ならテラッツァ「熱海観光ホテル」といったところか。館内はどことなく「往年の大規模ホテル」みたいな斜陽感を漂わせ、屋上のお粗末なミニゴルフがどこかうらさびしい。しかし部屋のベッドに寝ころがればひたすら青い地中海!バルコニーに出れば、前のプロムナードをそぞろ歩く人々やビーチで肌を焼く丈夫な皆さんを見物できる、極楽お気楽海水浴場モードである。おっさんたちの下手っぴなウィンドサーフィンを眺め、水上スクーターのモーター音を聞いていたらいつのまにかウトウトしてしまった。
 海辺の遊歩道を散歩して、ティラミスアイスを食べて、土産物屋をひやかしてきて、いざシャワーを浴びてel Bulliへ。

EB4 ■el Bulliへ____________________
[へべ]
 夕暮れといってもまだかなり明るい(19時半なのに…)中、カラ・モンジョイへ向けてTaxiは走る走る。ロサス→カラ・モンジョイは、小高い半島を山越えした向こう側といった位置にあたるようだ。対向車が来ませんようにと祈りたくなるようなクネクネの細道がつづら折りにどんどん上へと続く。ワァオ! 荒涼とした山/丘の上から海を望む。絶景。でも怖い(^^;)…。さらに頂を越えて、向こう側の静かな入り江へと転げ落ちるように下っていくと、そこがel Bulliだ。
 木立の中に身を伏せたような店の、そこだけが明るく輝く大きなガラス窓の中が広々とした厨房になっている。

■知識としてのel Bulli____________________
[AQ!]
 訪問日記のような物を書くにしても、この「el Bulli」に関しては、前口上にあたる事前知識、のようなもの、があった方が良いんだろうなぁ。一応もう一度、まとめつつ、眺めてみよう。
2000-2001年、世紀を股にかけて、世界中でおそらく、最も熱い「話題の」レストラン、それが「el Bulli」である。
話題の中心となるのは、その「斬新な」料理である。
 それはもうワサワサワサワサと、遼源の火の如く(違うな(^^;))、食いしん坊の心根をユサユサユサユサと揺さぶって止まないのが、昨今の「エル・ブジ」賛歌の数々。(その料理写真を)見るにつけ(その内容を)聞くにつけ、足下がソワソワソワソワとするような魔術的誘惑を感じずにはいられない…。
 バルセロナの音楽プロデューサー、ジュリ・ソレール Julio Solerが若手料理人フェラン・アドリア Ferran Adriaの才能に賭けてレストラン「el Bulli」をスタートさせてから、18年ほどになると言う(*1)。その歴史についてはまるで知る所ではないが、フランスの一流店のコピーのような駆け出しスタイルから始まって、徐々に現在のスタイルまで進化を遂げてきたらしい。意外に長い歴史を持つ店だが、スタート時が22歳という異例の若さであったため、いまだフェラン・アドリアは、40歳になるかならないか、という年齢である(*2)
 さて、「エル・ブジが凄い」という話を聞いていて、一番、「?」となる点は、その、「料理の独創性、斬新さ」という所だ。だってそうでしょ、フランスで60-70年代に「ヌーベルキュイジーヌ」の旗が振られてからこっち20世紀後半という時間では、常に「料理の独創性」は世界中で重大テーマであり続けていたのではないか。
EB5  こぞって料理の発明が試みられてきた。様々な料理が開発された。極端な例を上げれば、ネタに詰まって、香港のある店では皿の下にカセットテープが仕掛けられて音楽を奏で・青山のある店では皿の下に電球が仕込まれてガラス皿を輝かせ、などという滑った実例にすら事欠かないくらいに。
 そんな時代であるのに、何故、一人フェラン・アドリアに、独創の冠が献じられ続けるのか。
独創的な革命の内容は、解釈・解体・構築・発明・跳躍…
 el Bulliで供されるコースは、20皿以上に及ぶ。これはスペイン古来の手法にヒントを得たと言われるが、日本人的には懐石的共鳴をもたらす物でもある。この多皿を通じて、新規な料理が続くという。圧倒的な発明のパワーである。(*3)
*解体と再構築
 フェランは料理の成り立ち・その構成を、再度、原点に立ち返って思い描く。分解し、構築する。「ケロッグの海老パエリャ」という料理があった。乾燥させたサフランライスが、ビニール袋に入って、ケロッグのスナックのように置かれる。デミタスカップには濃ゆいビスクスープ。海老の煎餅。海老の串刺しがあり、その串はよく見るとスポイトになっていて、濁り赤い液体が充填されている。海老のジュである。これらを食して考えてみろ、と言うのである。頭の中にホロスコープのように浮かぶのは、その通り、スペイン伝統の料理パエリャ。要素に分解された伝統料理は、再び脳髄の中に再現する。永劫の果てに回帰する彌勒のようだ。
 フォアグラに至っては、凍結乾燥されたパウダーと化している。これに熱々のコンソメスープを注ぎ込む。まるでプラモデルのように…。これなどは「料理のパロディ」である、ということも出来る。
EB6 *用具の発明、とりわけスプーマ
 el Bulliの名を有名にした最たる物といえば、このスプーマ(泡)の技法であろう。何でもかんでも、こまかな泡にする。泡立ての技法は目新しいものではないが、一つの調理用具を発明したおかげで、泡に出来る素材の幅がグーンと広がったらしい(と、こーゆーことになるといい加減にしか知らんけど(^^;))
 「小玉葱の天麩羅」が供された。ウヒャ、日本に来たことも無い人(*4)がこんな完璧に天麩羅というものを掴んでおるか、…というのも驚いたのであるが、それはさておき、この天麩羅に添えられたのが、醤油のスプーマ。これは心底ビックリした。細か~い泡でムースのように盛り上がった天ツユ。
 天麩羅を塩でなくツユで食べる時に、いつも割り切れない思いが残るのは、衣とタネが「ビシャっ」とすること。液体に濡れそぼること。それが、いきなり、スペインは片田舎カラ・モンジョイで解決策を提示されているのである。驚くしかあるまい。
*見なし、乃至は、入れ替え
 相似と相違。ここに人間の興味の原点の一つがある。違う物で見なしてみる、素材を入れ替えてみる。「モヤシのリゾット」と言う物があった。豆モヤシかなぁ、何かのモヤシを、長粒種米粒にみなせるサイズに細かく切り、それでリゾットを作ってみる。「あ、似てるかな?違うかな?」、揺れる頭の座標軸。(*5)
 また、ヤングコーンはバラバラになって、クスクスだと主張する。
 この技法を大胆に用い始めたのがel Bulliであるらしいのだが、既に世界中で流行している。例えば、カリフラワーを細かく細かく刻んでクスクス状に供する。魚を細切りにしたものをパスタとして調理する。こんな用例は、日本でもしばしば見受けられる。
*感覚の分離と再結合
 「南瓜とヨーグルト」の皿には、4cm四方の二つ折りの紙片が付いてくる。これが匂いを染ました紙であって、開いて嗅ぎながらこの皿を食え、と言う。子供のような玩具な心地。
*手術台の上のミシンと蝙蝠傘
 まぁ、この「常識外れの素材の組み合わせ」は、「ヌーベル」料理全体の一つの特色だから、ここでばかり声を大にすることもあるまい。
 グリーンペッパーの種とリコリス風味のバターの泡とバジルとマーマレードー、美味しいよ~。
*純化、時には厳しい引き算
 前述の海老のスポイトを始め、スポイト入りや筒入りのジュ、という手段が幾つかあった。点滴料理。それは口中に運ぶ前の鼻からの嗅覚情報を遮断し、口中に存在してから始まるピュアな部分だけを提示しようというもの。時に「損をしている」という感じもつきまとうものの、面白い考え方。
EB7 *時間差、温度差
 スポイトを使って、口中から出発しよう、というのは、考えようによっては、「通常にない時間軸」での食べ方、の提示でもある。この時間差攻撃も得意技。皿によって、「口に含んでしばらく待て」というような指示もある。香りが後から上がるのを楽しめと言うのだ。
 同じように温度軸にも冒険を試みる。冷たい物と温かい物をひと皿に盛り込むような手法だ。
脳の楽しみ
 その料理は、遊びであるとともに原点にいる。遊びを通して人間の本性を考える。この食事の楽しみは脳の楽しみである。フェラン・アドリアの料理はこう捕えられるではないか。そんな風に言ってみると、ロジェ・カイヨワ(*6)が思い出されてきた。フェランの料理を、“競争”“偶然”“模倣”“めまい”の4つの観点から考えてみるのも、面白いかもしれない。
 
(*1)「el Bulli」という店自体は、1957年からあるらしい。 →back
(*2)そういえば、「el Bulli」が注目されるようになった大きな一因として、「ジョエル・ロブションが異常なまでの高評価をした」ということがある。それで、フェランジョエルの影響があってか、「40歳になったら引退するよ」なんてことを言ってみたりして、食いしん坊をドキドキさせている。そういうところは、真似せんで、よろし(^^;)。だいたい、ジョエル50歳までは働いたぞ。 →back
(*3)そのパワーの源泉・原動力の一つとして、「短い営業期間」が上げられる。3月~9月、すなわち一年の半分だけのレストラン。残り半分は、アトリエにこもって料理の創造に当てられるという。el Bulliに行ってみるとわかるが、厳寒でも酷暑でもない土地(通年営業は容易だ)に存在する店だと思うと、大した執念である。 →back
(*4)この項をHTMLにまとめている現在2002年2月、フェランは待望の初来日を果たす。さすがに、各マスコミなどにモテモテであったようだ。 →back
(*5)へべは、これは、中国人の好きな技法に似ていると言う。たしかに、茄子と海鼠を見分けがつかないように切り揃えて煮込むといったような中国料理のノリには、近しいものがある。 →back
(*6)1913年生まれのフランスの社会学者・思想家・哲学者。ラカンバタイユに連なる実存主義と聖性への思索は「人間の心を騒がせ、魅了し、ときには隷属させる、不可解で抗しがたい情動」(『人間と聖なるもの』)に向かい、その「遊びの分析」の仕事は、ある種、文化の爛熟後の人間の本性追求の旅路である。 →back

EB8
■el Bulliにて____________________
[AQ!]
 未知の惑星に足を踏み入れるようだ。タクシーの窓から眺める、何とも言えない荒く険しい土地、謎の生物のように押し寄せる海。大衆的海水浴場丸出しのRosasから、ちょっと離れて高い崖の上を駆け抜けるだけで、海の見え方が激しく変化するのが面白い。洒落たアプローチである。
 スペイン人は話し好きだ。ずっと喋っている。
 20時オープンのこの店に早く着いてしまったのは、我々と、夫婦3組だろうか6人組のスペイン人。彼らのお喋りは…そこに街宣車が止まっているようである。しばしも休まぬ機関銃。いやしかし、その一晩の観察を通しては、物静かなスペイン人も中にはいる、ことも学習したのではあるが。
 店の前の庭が、印象的である。乾いた麗々しさ。ちょっと、砂の惑星みたいだ。逞しい植物類が整えられているのに、砂と岩の印象が強い。すぐそこにはカラモンジョイの入江。静かに寄せては返す。数km向こうに岬が見える。静かな海だ。これが何となく原始的な風景なんだな。
 店のエントランスには、階段を数段登って行く。正面はガラス張りで、デーンと厨房全体が見渡せる。噂の「厨房の中に設けられた食卓」も見える。「ワヒョ~!、el Bulliの厨房、見ちゃったよ」とか興奮しながら、左手の地味な木の扉を開くと、玄関だ。
 案内に従って奥へ。
 2つほどサルを通り抜け、一番奥へ。内装の趣味性はそれぞれに高い。サルによって趣きがかなり違うが、よく出来ている。40席くらいだろうか、小さい店なのに凝ったことだ。アチコチにダリの所縁が見られる。何せ、超級の「御当地」(カダケス・ポルリガットは目と鼻の先)だもんね。
 コースはスムーズに開始する。どんどん進行する。進行するのだが、20時開店と同時に入店した我々が、とくに滞りもなく食べ尽くして帰途についたのは、24時半を回っていただろうか。さすがに、25皿を越える品数とゆーのは、時間がかかるものなのだ。
 流れるように、常に優雅に、皿が現れては消える。全体に、サービスもこんなに良い、とは思ってなかった。まさに、つかず離れず。何となく、で言えば、フランス料理店の教科書に書いてある「理想のサービス」というのを、鵜呑みにして実現してしまったようなサービスではなかろうか。フランス人は、それはそれで、教科書を全て守ったりはしないからなぁ。英語は多少訛るが、みんな、スペイン・カタルーニャ・仏・英の4か国語は最低でも話すということか…これも大変ね。
 やっぱりまずは泡! el Bulliと言えば、スプーマ! ウェルカムドリンクのミントから泡まみれ続きで、コーフン! 実に爽やかで旨い。鶏脚豚皮といった、濃ゆい素材も巧みに混ぜられてくる。
 ヨーグルトが多用される。フェランのマイブームだろうか。このヒト、ミスター・マイブームらしくて、色々年ごとにテーマを変えて「凝る」んだそうな。
EB9  スポイトの登場には驚いた。この日、何回か現れたのだが、口の中にたらしなさい、と言うのだ。食材に向き合うとき、全て一回は化学式にまで帰りたがるというフェランであるが、理科実験器具までが食卓に登場かい…。くすぐったいような、不思議な食体験であるが、香りを思いっ切り鼻で吸えない、のが、もどかしくもある。
 分解されたウィスキーサワーセップ漫画化されたキャラクターの茸のように改造され、またも、筒入りで香りの時間を制限されたジュレが口中でいきなり濃厚に迫る。
 次の薔薇の花びらの天麩羅には、二人ともビックリ。これは、el Bulli流の新趣向に、でなくて、天麩羅が完璧なのに、驚いた。最近、パリのフランス料理店のメニューなんかで、よく見るのだ、「Tenpura」の文字。これがまぁ、まず、下手っ糞「衣つけて揚げる」とだけ聞いてきたのかね、という風情で、「わかってないなぁ」という感じなのだ。それに対して、el Bulliの、薔薇の片面に薄く衣をしてサッと揚げた天麩羅は、一口食べれば、脱水の作用とか香りの凝縮といった天麩羅の「理」が把握されている印象がある。その後で出た「小玉葱の天麩羅」では尚更それが感じられ、オマケに醤油のスプーマという技アリ。
 外国料理への理解、というテーマは、続く「paises (国)」と名付けられた皿でより鮮明になる。置かれているのは3本のスプーン。それぞれに、タイ日本メキシコが特有のスパイスで表現されている。パクリ。…おおおオオオ! 上手くて旨い! 的確な表現は、的の真ん真ん中を射抜いている。フェランの感性と頭脳の両方に脱帽。日本編は、海苔・山葵・ガリの香るつゆジュレを、ニュニュニュと吸い込む仕立てなのだが、これがお恥ずかしくも美味。
 上にも書いた、バラバラに分解したパエリャ「キット」。ハンダごての臭いまでしてきそうだ(嘘)。これ、実のところ、旨い。ビスクスープが効いているが、乾燥サフランライスも魅力ある。el Bulliの記事によく出てくるのが、「驚愕の料理、でも旨いのはそのうちの幾つか」みたいな表現。これはどの程度に受け取れば良いのか、行くまで判断しかねていたのだが、食べてみた感じだと、「殆ど、美味」でした。確かに、「好みの間口」が広くないと、「外れ」判定も増えそうだけど。ウチみたいに、2002年からのセリーグのストライクゾーンじみた奴にはOK!
 野菜のジュレ、ってのは、1cm弱幅で、長さ5cmくらいの「短冊」が10本弱ならんだお姿で、「駄菓子屋の店先」みたいな眺めでもある。皿が熱く、ジュレを口に放り込むと、溶けて野菜の香りだけが残る。
EB10  tapas-6はホントに変な料理。景色は雪ん子、東北のカマクラかと思う膨らみに、グリーンペッパーの種、ヒラリとバジルを口にした時の予期せぬ香りは見てみるとマーマレード。見事にel Bulli流。強い旨味ではないが、シミジミと、ワタシ的には1,2を争う忘れ得ぬ味覚。
 烏賊のタルタルは見事な食感で、日本以外でこれだけの烏賊が…、とか思うのは自惚れジャポネ? (^^;)
 tapasからplatosへ。この前あたりから、天候が急激に怪しく変化。時おり叩きつけるような雨。激しい稲光り。稲光り。風。稲光り。雷は延々と、延々と、続いた。帰りのタクシーの窓からも、真っ暗な目の前に、いきなり白光に眩い切り立つ崖が現れるのが眺められるくらいだったから、2~3時間の余りも断続する雷だったと思われる。何と申しましょうか、滅茶苦茶、「気分」です。美味しすぎるぞ、このお膳立て。怪しく妖しい。嵐の山荘で謎の執事が供する魔性のディネは、ウミガメのスープか。
 白いキシメンのような、しかし海産物、コリコリ、軽薫製になった、…、これなーに? 問い質して突き止めておけばよかった(一々、質問しているとキリがない店なのだ)、、、そんな一品が。どうも、我々の感じでは、コノワタ・コノコ・イリコ・キンコ…、の海鼠の内臓グループの成員のような気がしたのだが、どうだろうか。珍味なだけでない美味。(←後記:後から見れば、エスパルデニャスも知らなかったんだよなヽ(^~^;)ノ)
 兎のシヴェ。スターアニスか何かと柑橘と、エキゾチックな演出が施されている…が…、このラインナップで来ると、それでも「オーソドックス」な品だ、と身体の神経は言っていた。
EB11  凍結ラビオリから甘味。これは凍らせた八つ橋みたい。
 ヨーグルトと一緒に食べる「ドンパッチ」。こんな所で再会するドンパッチ(はじけるお菓子、当時60円。もう売ってないらしい)
 デセールからプチフール、狂乱の小人たち。フェリーニの映画のようでもあり、寺山修司が駄菓子屋を撮ったらこうなるか、みたいでもある。
 いやいやご苦労様。最後に、厨房を覗きに行く。ここもキリっキリっとしているのは勿論のことか。ピカピカっ。厳粛…ではあるが、フランス料理高峰のピリピリした厨房に比べると、微妙に、遊び心的要素あるいはラボラトリー的感覚(研究員のような部門担当)があるように感じる。
 さて、まとめ。
 やはり、問題は、海だカラモンジョイの海とel Bulliの庭を思い起こしていると、何か、三葉虫が陸に上ってくるような気がする。広い空、静かな海、止まった時間をそのまま運ぶ波、ヒソヒソと暗号を交わす浜辺。
 そして、そうかわかった、これはソラリスの海だ(*7)。ソラリスの海がもたらす料理なのである。知性を持った海は、人間の潜在意識に記憶に入り込み、幻を有機的物質として具現化して人間に送りつける。その幻の料理。「君の記憶の料理は、こんな風だったかね?」と。
 カラ・モンジョイの入江は、タルコフスキーの描く海に似る。タルコフスキーが未来都市に擬した首都高を疾駆する日本人はここまでやって来た。(いかん、また妄想が広がってきたようだ)
 しかしたしかに、ダリの絵画を理解するにはカタルーニャを旅する必要がある、という言葉が思い出されるように、el Bulliの料理はこの土地で食べることで、無限の奥行きを持つように感じられた。ああ、遥か来てみて良かったにゃ~。
 
(*7)ポーランドのSF作家、スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』に出てくる知的生命体である海。アンドレイ・タルコフスキーが映画化した「惑星ソラリス」も不朽の名作。

[2002年 4月]
[AQ!]
 上記で、「醤油のスプーマにはビックリ!」と書いたが、「料理王国」誌の記事によると、この「醤油のスプーマ」は、シドニーの和久田氏(レストラン"Tetsuya's"の料理長)の発明だそうだ。フェランをはじめ、ヨーロッパのシェフたちも和久田氏の料理には大変影響を受けて(平たく言えば、パクって)いるとのこと。
 「ああ、なるほど、テツヤスかぁ!」…たしかに、やりそうだ。今年に入ってからは、「エル・ブジ」について、初期の無邪気なまでの興奮記事から転じて、冷静な分析を含むものが増えてきている。まぁ、単純に言ってもこの「一人勝ち」的な賞賛され方は、とくに同業には面白くない側面もあるだろう。
 実際に、このテツヤスの例を見てもわかる通り、「エル・ブジ的なるもの」の本質は、一人の天才の秀作ではなく、ユンク的に世界同時多発する時代の空気、というのが本当なのかもしれない。それはそうだと思う。
 その上で、上記にも書いたが、「el Bulli」の魅力・素晴らしさは何か、と言うと、私は、「それが、カラ・モンジョイの入江にあること」だと思った。その自然との強烈な対比が、「el Bulli」を「el Bulli」たらしめている、と感じる。
 逆に考えると、今年あたりから激増しそうな、「el Bulliみたいな料理をとにかく都会に持ってきて…」という商売人的発想は、「ただそれだけ」では決して面白いものではないと思う。そこから「さらに考えた料理」に会った時にこそ、興奮が生まれるだろう。正直、ここら辺の分かれ目も早速見え出してきていると思われる2002年である。
 本サイトのTetsuya'sの記載は→こちら。たしか、シドニーの外れのちっちゃな店だったテツヤスは、近年、移転したと聞いた気がする。
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  Can Fabes カン・ファベス
  
Sant Joan, 6 Sant Celoni www.canfabes.com
日夜・月休
料理長: Santi Santamaria (1957-2011) ~ Xavier Pellicer ~ Jerome Bondaz
・ サン・セローニの名レストラン
 フルネームは「El Raco de Can Fabes」…だったけど、最近は短く「Can Fabes」表記を使ってるみたい。
 現代スペイン料理のオーナーシェフ店としては珍しく、小ホテルが付属している。こちらも素敵。 (2007)

 2011年2月、Santi Santamaria料理長は、支店のあるシンガポールで客死されたと報じられました。心臓発作ではないか、とのことです。合掌。

 後任のシェフは、“弟子”にあたる、元ABACのXavier Pellicer氏。

 Xavierが離脱、新シェフにJerome Bondaz・顧問にIvan Solàが就任…の模様。 (2013)

 カン・ファベスは2013年8月一杯での閉店を発表した。サンティの客死からの経緯を思うと仕方がないかもしれないが、まことに寂しい。店は32年間続いた。

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2007年 5月 ☆☆

 *Aperitivo:エスカルゴ・デ・マール、筒型プルポ、エルブのカナッペ、サルディン、ジットドブフ?塩マリネ、ベルベレッチョ貝
 *蟹・蕪のパンナコッタ
 *Flam de guisantes y guisantes con almejas
 *Pequeno Ragout de esparragos verdes, blancos y petoncles
 *Guisado de habitas y cefalopodos
 *Crema de zanahoria con foie a la miel y comino
 *Pescado de mercado con cebolla tierna y esparragos de bosque
 *Cerdo de payes con higos
 *Ris de Veau a la broche con polenta
 *Quesos Fabes
 *Sobetes del dia
 *Mousse de Mango con helado de Mascarpone
 *Petits Fours

Can Fabes
(コメント工事中)
[AQ!]
 Flam 青豆豆腐、ゾロッとしたアルメハ 豆!
 Pequeno Ragout 海老も 香草の描かれた皿で、皿の絵と実際の香草が繋がって見える騙し絵なのがおもろい
 トシーノにコン…(モリーユ) 得意技っぽい
 foie グリエ、炭焼調の香ばしさ 人参はカルド注ぎ、クミンもかなぁ これは名乗りの想像をずっ~と超える傑作! よくもあの身体で、このスープの塩梅にできるものだ!!(^^;) 重過ぎず軽過ぎず
 魚はカルパなんたら… エスパラゴスデボスケはヴァルテルの言う「ホップ」、春山菜の苦味で甘玉葱とコントラスト良
 ソルベはフレサにたっぷりの氷メロン、上に木苺グラス このデブは、ポストレスとなると冷たいものが食いたくなるんだろうか(笑)
 デブ離れした塩と脂

 やはりスペインは昼中心?なのか、夜は静か。夜の英語担当は、昼と違ってややオミソ君。
 さて、はてさて、やはりスペインは正餐は昼であるのか夜は幾分閑散としており、我々の通されたのは昼と同じく「昔風」造りサイドのサルの、「壁の穴」席。ウヒっ、欧州人好みのエッチな席で、よろし。
 「現代風」サイドは夜は使ってなかったみたい。…っていうか、表示マークによると「現代風」サイドは喫煙OKサイド…とも読み取れる。うーん、使い分けの確かな所は、謎。 今回の「壁の穴」からは、厨房の人の動きもそこそこ見えて、楽しい。ちょっとだけ、シェフステーブル風。
Can Fabes
 ワインは、白は昼とは違うモノにチェンジ。これは、ムニュ頭からトシーノ、モリーユ(このマリアージュは素晴らしい)から魚あたりまで、よく合う。売れそうなのは、昼に出してたサンタマリア・キュヴェのシャルドネかな。
Can Fabes
Can Fabes  鶉玉子の夜の代役、ジットドブフ(風?)は、塩で、噛むばかりであるが、ホントに噛むほどに味の出てくる嬉しさ。日本の牛の体力じゃ、この噛みの回数に耐えられないしな~。

 それにしても色んな種類が飛び出してくる「スペインの夏の青小豆」は、すんげー美味いもんだと再認識。また、こういう柄の小さい“凄玉”は、なかなか日本に入って来ないもんだ、とも再認識。やっと伊ファーベを見るくらい、だもんなー。

 食べてる時の楽しさは格別だけど、サンティのはホントに純粋で、品書に書いてある通りの物が出てくるし、ホントにその味がする。ただし、ときにその額面通りなのだが、フレームの大きさに圧倒されて自分が見えなくなるような代物があり、ここではそれは、サナホリア・フォアグラ。

 ところで、ホテル棟に帰る見送りのセルヴールが「明日の朝食はココだよ」と言って、厨房横手のスペースを指す。所謂「シェフステーブル」的な場所。「厨房の“秘密”が覗けますね」と言ってウィンク。
 翌朝。ホントだ、厨房がアレやコレだ、と楽しく拝見しながら麗しき朝食をとっていると、サンティとスーシェフがやってくる。ドッカ、とすぐ隣のテーブルに座って何やら話し込む。仕込みの指導を終えた三番手(?)もやってきて、本日の作戦会議。
 シビレますね。昼夜食ってホテル泊まったモノズキな客にすぐ横で朝メシ食わせて、堂々のミーティング。かっこいいったらアリャしねーぜ、このブーデ(^^;)。ああ、はるばる来て良かった! …というわけで、記念撮影もねだる。
(コメント工事中)
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  Espai Coch 
  
Sant Joan, 6 Sant Celoni www.canfabes.com

・ 「Can Fabes」のカジュアルバージョン
 「Can Fabes」に併設するビストロ版…、併設というか混在というか、よくわからない運用(^^;)だったけど、廉価版コースが食べられる。 (2007)

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2007年 5月 ☆☆

 *エスカルゴ・デ・マール、筒型プルポ、エルブのカナッペ、サルディン、アンディーブのスプーンに鶉玉子、ベルベレッチョ貝
 *蛸・鱈・ブロッコリのクレーム
 *Amanida de cefalopodes
 *Llagostins i semola al curri
 *Peix de mercat Colbert
 *Magret d'anec a la brasa
 *Sorbet de mores
 *Pastis de xocolata al gingebre
 *Petits fours


(コメント工事中)
[AQ!]
 アミューズのサルディン! すげー。鮨屋びっつら。
 Amanida 小烏賊と大蛸焼、サラダ仕立て、ルーコラ
 Llagostins 小海老串焼カレー風味、クスクス風のセモリナ
 Peix de mercat 「レモ」の2通り焼、大インゲン!、フィノキオ
 Magret d'anec 鴨マグレとそのソース、小玉葱
 ペラ、ブラッドオレンジ、アナナのソルベ
 チョコケーキ(ナッツタルト)、木苺グラスとソース
 タルトタタン、ショコラなどプチフール
 タラゴナのシャルドネ
 タラゴナのメルロ80テンプラ20
Espai
 アミューズ6点盛がビックリかつ、名刺がわりのような導入。ここでカン・ファベスの事前予想が拭われ、カン・ファベスの世界が始まる。どれも食った感触は「軽く塩して蒸しただけ」みたいな、めっさピュアリスト。それでいて実にシミジミと美味しい。
 鶉玉子は、あやうくも、スプーン型にカットしたアンディーヴに乗っている。柄をもってギリギリ…、怖いので両手で持っていただく。塩した半熟玉子、それだけ、って感じなのだが、なぜかウマイ。
 サルディンのヅケ…みたいな、でかい一切れは、脂が口の中で爆裂し、クラクラする。しばらく鮨屋に行かんでも大丈夫。
Espai Espai

 ペスカドはスロンマルシェのようだが、このレモの一皿は素晴らしかった。
 モダンスパニッシュの浅い火入れと、薄~くパネしてカリッとさせたのと、2切れのレモ。大インゲンが恐らくこの独創性のキモで、インゲン+白身魚でどことなく中華を思い出したりもし、緑+海の香りで確かにそういうとこがあるのだが、大変なまとまりで、食べると嘘のように官能的。あの、中華で感じる可能性をグーンと推し進めたような。
 ここにフィノキオがまた抜群の相性。全体に、見ない取り合せ・見ないやり方ではないが、この完成度は驚いた。
Espai
 「少しニホンゴが話せます」君は、かなり喋る。仏人である。フランス語アンプOKよ、と言うと喜ぶ。サカサカよく働く。「ジュヴゾンプリ=ドウイタシマシテ」と記憶しているようなのが、たまに、変。ジュヴゾンプリは広い。

 主にEspai-Cochに使う側のサルは「昔の此処らの家」風な感じなのかな。落ち着いた居心地。
 フォルフェガストロノミーは、完全にお仕着せムニュが決まってて、ラク。ワインも概ねソムリエがセレクションで出してくれる。これ「ぜ~んぶ」、フォルフェ価格に入っている。

(コメント工事中)
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  Los Caracoles ロス・カラコレス
  
Escudillers. 14 08002 Barcelona 93 302 31 85 (FAX 93 302 07 43)
13:00~24:00 無休

・ バルセロナの名門スペイン料理
 
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  Casa Carmina カサ・カルミナ
  
Embarcadero, 4. El Saler VALENCIA Tel: 961 830 254
Abierto de Martes a Domingo Mananas de 13:00 a 16:00 Noches Cerrado
・ バレンシア郊外、El Salerの米料理を得意とするレストラン
 調べた限りでは、FAX・メールアドレスはみつからず。週末は混み合うので、電話予約が必要らしい。私が電話した時は、スペイン語オンリーでした。 (2009)

2008年12月 ☆

 *緑オリーブ、生トマトソース(オリーブ油)
 *Calamar de playa
 *Croquetas de bacalao con mouse de ajoaceite (unidad)
 *Arroz de rape y setas
 *Flan de cafe
 *Helado chocolate
 +05 "Uno" monastrell / Rafael Cambra

[AQ!]
 バレンシアは、ヨーロッパ有数の米生産地で、パエリアは本場中の本場。バレンシア市の南、アルブフェラ湖近辺の水田地帯にも米料理店が点在する。市内の多くのレストランが休む日曜にも、わりと開いているのは助かる。
 そんな訳で、米専門料理店を目指す。筆頭候補は、別冊専門料理でも大きく扱われている「Casa Carmina」。

 11時半に予約tel。
「ノ・テンゴ……、トドス・レストランテ……」
 断られたのはわかったが、その後の細かい話はムリ。「Yes」系は何とかなるが、「No」系はムズカシイ、、、。
 自力突破を諦め、ホテルNH Centerフロント姉に頼む。
 、と、「チミたち希望の2時はアカンけど3時半ならお受けしよう、って言ってるわヨ」とのことで、予約ゲット!である。

 バスセンター前からタクシー。
 「え、どこ?」と、オヤヂ。地図を見て「フーン」。一応グラフィックも表示される小型ナビが頼もしい。
 市街から5分も走ると、見渡す限りの水田地帯。白鷺・鴨など、鳥類がた~くさん。
 この辺りで作っているのは、バイア・セニア米(ハイブリッド系中粒種)。

 El Salerの集落。「←Casa Carmina」の案内看板はみつけるが、店舗を見逃し、同じ区画をもう一周。
 壁を青くシンプルに塗った小さい店は、繁盛店らしく(?)ごく小さく看板を掲げている。
 店内も、田舎臭さはほとんどなく、ちょいカッコイイ系の明るい設え。壁に、「Cafe Ibiza」の文字が浮かぶ巨大派手ポスター風の絵が、軽くポップ。とーぜん満席の大盛況。

[へべ]
 El Saler自体は、自然公園だかキャンプ場だかの入り口近くの小さな村(町?)。
 Casa Carminaは曲がり角に看板も出してて、外壁はきれいなブルーに塗ってあり、はぶりよさげなたたずまい。

 いざ突入!…入り口ですでに一組、客が待っている。3時を回ってウチの前後に一組ずつ6人が入店して昼のみ営業の最終ラウンドとなる。
 店内は大もりあがり。子ども連れ、親族一同集まった的な大家族テーブルもちらほら。4人より多い卓が目立つ。

 最大の悩みが「アロス・セコ(=パエジャ)にするか、アロス・カルドソにするか、ひょっとして両方食べられたりしないか???」という点。
 入店後にたっぷり時間があったのでじっくり観察ケントーの結果、2人だったら米ひとつ、というのが妥当な線のようだ。
 ハレの日はやっぱりパエジャ!と言われる通り、エビのパエジャなどをドーンと頼んでいる卓も目立つ。
 しかしここはやはりひとつ、初めて見るスープタイプのアロス・カルドソに米自慢のこの店でチャレンジしてみたい。
 衆議一致ののち、さらに品切れ季節外などとの調整を経て注文確定。

[AQ!]
 注文量は悩ましかったけど、判明したところ、2人の場合「前菜2+米料理+ポストレス2」が丁度。これが大人数の卓だと、適宜注文数を調整して、米料理の後に主菜を組み入れるパターンもあるようだ。
 そうそう、スペインの米料理なんて知らんというヒト用、簡単でいい加減な覚え方(笑)。
アロス・セコ : パエリャ
アロス・メロッソ = アロス・クレモソ : リゾット
アロス・カルドソ : 雑炊
アロス・アル・オルノ : 炊き込みご飯
アロス・ネグロ : イカ墨ご飯
アロス・バンダ : ドライなパエリャ
さらにバレンシア人の米料理観の簡単でいい加減な覚え方 : 「子供はセコ・大人はカルドソ、ハレはセコ・ケはカルドソ、夏はセコ・冬はカルドソ」

 前菜は鰻を頼むも、無し(売切れ?季節違い?)。後はいずれがアヤメか団栗かの背比べに見えたので、
「ケメリコミエンダ?」
カラマリバカラオ!」
 アロス・カルドソは、「豆大根」を頼むも、無し(売切?)。もう一つ気になっていたラペ茸に。
 ポストレは、チョコエラードカフェフラン。クレマカタラナ無し(売切?)。

 ワインリストは、この手の店としては充実して感じられる。
 ティントはDOバレンシアから始まる。Rafael Cambraは、ウノモナストレル、ドスはカベソ・フラン。
 ウノ、つまり、リスト筆頭の一本を注文。クールなラベル、現代的若手って感じかなぁ。モナも体温冷静めの落ち着いたフィニッシュのタイプ。
 (後追い知識:Rafael Cambraは、ヴェガ・シシリアやレルミタ等に葡萄の苗木を納めるスペイン有数の葡萄栽培家を両親に持つ。ウノは、モナストレル樹齢40年)
 しかしまぁスペインワインは、現地飲みはウマイですな。C/P含めて、かなりヨイ。

[へべ]
 モナストレル(スペインのムルヴェドル)は紫の強い色あいだが内容しっかり。ムワっとした匂いのあまりないのはクールめの現代造り? エチケットおしゃれ。
 パンは、自家製らしいチャバタ(旨い)と小バゲット、オリーブ・トマトのセットとともに自動的に出てくる。

 カラマリバカラオはオーダーとりにきた兄ちゃんのオススメ。
 甲のところだけで20cmはありそう/超えそうな大ぶりで肉厚なイカのプランチャ焼き。香草(タイム=トミージョ?)入りオリーブオイル(にちょっと茶色はバルサミコ?何だろ)のソースで。
 これは素直にうまい!と言いたくなる。イカの質も鮮度も火入れもばっちり。
 AQ!いわく「しょうゆ味だと下品になるイカがオイルだとこんなに上品に!」
 バカラオは白身のフリットと丸くまとめたクロケタ。
 フリットはピペラーダ風の小切りのソースで、クロケタはにんにくと塩のきいたマヨネサが何と!純白のふわふわメレンゲ仕立てになったものを添えてある。それぞれのソースで食べると実にオツ。
 粋なおすすめでありました。

[AQ!]
 イカはデカいの一本、丸々焼き。江ノ島的風景。オリーブオイル・バルサミコ・大蒜…。トミージョがとても巧みで、これは“言えてる”。ちょっとだけモロモロもかかってるのは肝・玉葱? イカ焼きに、醤油ほど合わないものはない、と痛感(ホンマかいな)(^^;)。
 バカラオフライの、マヨネサ・メレンゲはいなたい中に巧みなやり口。

[へべ]
 ジャーン、いよいよ本尊アロス・カルドソのお出ましとなる。
 取り分け用の深皿も、スプーン・フォークもあたためてある。黒くてちょっと深い独特のカルドソ鍋は、魔女のおばあさんの深なべを寸詰まりにした風情。ラペの白身と茶色いきのこ数種入り。
 これは、うまい! アンコウもさることながら、キノコから実にいい味が出ていて、ふっくらと炊けた米ととろみのある汁と全体が渾然一体となっている。しっかりとした味わいに「酒が飲めるコメ料理だ!」とAQ!が喜ぶ。
 意外だったのは汁の具合。もう少ししゃびしゃびした「スープ」状をイメージしていたが、むしろとろりとしたシチュー的なテクスチャ。ボリュームをもったコメ粒の表面はなめらかではなく、ざらつきのあるその表面がとろみを与え、汁の旨味をとらえている、とでも言うのか。

[AQ!]
 逆にワシはもっと糊状になったものを予想していて、やはり意外。米表面がスープを吸いきって少しヒビヒビに感じられる具合(後日注:メロッソだと、もう少し表面が滑らか)。
 カルドソはバイアセニア米(アミロース18%程度)。ラペセタ、それに海老、鉄鍋。
 濃く強いが、それ以上にスッキリとしたクリア感がある汁。アロスのカルドソ具合、これは食わんとわからんわなぁ、、。米表面における澱粉質の振る舞いとスープの関数が、バレンシア人の興味なんだろうなぁ。
 クールだけど官能的な舌への当たりで、ホホォ~っと賞味を続けるうちにグイグイと食べ進む。
 2人でいただくと、1人あたり茶碗3,4杯くらいの量になるけど、さすがに飽きない。
 米料理の用意は、セコとカルドソが約5種ずつ。魚介モノ多し(バレンシア人がエル・サレールあたりまで出かけて食べる御馳走感はその辺り?)。
 で、コネホ・カラコレスのバレンシア・パエリャとか、メロッソ、ネグロ、アルオルノなどは、24時間前までに要予約という形で受付けていた。充実した仕上がりを考えると妥当なやり方。要予約欄には全部で7品目ほど記されているので、米料理探究派は事前相談が良かろう。…多分、スペイン語で(^^;)。

 このタイプの店としては美味しいポストレス。El Timonelや、某パリの星付店より上手です(笑)。

[へべ]
 ポストレスの頃には子どもたちは大はしゃぎ。
 16時頃スタートで盛り上がったので、夕食はホテルのビールとポテチで充分。大満足。

[AQ!]
 こーゆー地元付きの店なのに、サービスが帰り際に、「子供たちが騒いでスイマセンでしたね」と言ってきたのは、ある種ビックリ。俺らは、1mmも気にしないタイプなのだけど、こんな感じの立ち位置の店なのかのー、と再確認。
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  Casa Julian  カサ・フリアン
  
Sta. Klara Kalea, 6, 20400 Tolosa, Guipúzcoa +34 943 67 14 17 casajulianmg.com


・ Tolosaのアサドール
  → 2018バスク旅行記はこちら

Casa Julian 2018年12月 ☆☆☆

 *Alcachofa
 *Pimientos del Piquillo confitados
 *Chuleta a la parrilla
 *Tejas y Cigarrillos de Tolosa
 *Tarta de queso
 +Keler
 +14 Psi Ribera del Duero
 +自家製パチャラン

[AQ!]
 年末年始の欧州だからやってない店が多い。
 とりわけ、晦日・大晦日・元日は難しい。今年はこの3日間が、日月火…ということもある。
 ワシらの日程の方もイレギュラーになる。いきなり2日続けてのアサドール…2日続けてのチュレータ、ということになった(^^;)。
 でもやっててくれてありがたい、晦日日曜のCasa Julian (Tolosa)。
Casa Julian
 昨日、Irunからドノスティアへ向かう電車の車内でボーっと電光掲示板を見ていたら、Tolosaという文字列が目についた。
 ありゃ、この電車、トロサまで行くとですか!
 カサ・フリアンのあるトロサへの移動はバスを考えていたのだが、電車あるならそれもイイネ。
 駅で時刻表を見ると大丈夫そう。電車の方が多少速く、30分ほどで着く。

 トロサは、あの「トロサ豆」のトロサ、だ。
 だからって駅前に豆の彫刻像があったり…はしないのだが、町内数ヶ所の彫刻はご自慢らしく案内板が立ってたりする。
 そんなこんな、で、散歩。

 橋を渡って川の対岸。
 …と、道沿いの建物に「Casa Julian」と書かれたぺラい看板が見える。
 …アジアだったら「パチもんか?」と思うような具合だが、到着したようだw。
 道のその側に渡ると、まず、Casa Julian Barがあるが、こっちの方がまだ店舗らしい。
Casa Julian
 何の飾り気もない扉を開けると、薄暗い倉庫のような…。
 すわ入口を間違えたかと、二度見してると、「ここで良いのぢゃよ」風にオジサンに招かれる。(後で思うにご主人だな)
 「倉庫を抜けて厨房へ」向かうようなコースがクイッと曲がって、潜りこむ…みたいな先の穴蔵、が主サルで、もう結構な数が始まっている。

 道端の店の一階で外は大ピーカンなのだが、一切窓などなく「古びた居酒屋の夜更け」みたいな感じ。
 そして、すぐ目に入るのが、この店はほぼチュレータ専門のアサドールなのだが、その炉窯。
 さほど大きい訳ではない窯に上下二段の網、薪火が雄叫んでいる。傍らにはドンと積み上げられた肉。

 内装はシブシブだがサービスはこなれていて、「世界12位」です…って感じ(笑)。
 ま、コチラは注文も簡単だ。
 「今日はアルカチョッファあります」…でソレ、とピミエント、で、チュレータ。だわなー!

 ビールはDonostiaのKeler。(「Donostiaにビールあったんか」と思ったのだが、注意して見てるとバル街でもわりと使われてる(^^;))
 ワインは、リストが割りとリベラデルデュエロに手厚く見えたので、其処からオススメを聞く。
 3本ほど上がったのから、Ψ(Psi)。
 ラベルを見ると葡萄の苗木の形が「Ψ」。可愛い。
 知らんで頼んだが、ピングスのワイン。肉とノーブルに合う。
Casa Julian
 アルカチョッファは季節らしい豊かさを、ベタに炒め煮で。
 むーちょオーソドックスで、昨日のライアみたいな驚きはない。その代わり、カラフルな花やスプラウトを散らしてて、眺めはちょびっつインスタ映え(笑)。
 内装とサービス…の話もそうだが、各店、どのポイントで“イマドキアクセル”を踏むか、それぞれマチマチなんがオモロー。

 ピミエントはチュレータの直前に登場。品書上もチュレータに寄り添うように書かれていて、「定番ガルニ」みたいな感じかな。
 ジビエの血のような色w。正体無いにもほどがある・香ばしいにもほどがある…なトロトロの妖しげな魅力。
 また、チュレータ登場後は、その存在が意識から外れるのだがいつの間にかずんずん減っている…という絶妙の相方具合。

[へべ]
 サルの向こうに見える炉で、炎と肉と脂と塩が躍る。
 ほぅら焼けたよお待ちかね、こちらはセニョーラ、骨付きのこっちはセニョールにね、と手際良く取り分けてくれた肉を切る間ももどかしく、いそいそと口に運ぶ。
 ああ食べ始めたらもう止まらない! これはもう理屈じゃない、いわゆる一つの「◯◯は飲みもの」の世界では…。
 とろとろに焼けたピミエントスが絶妙な合いの手で、みるみる肉が消えていく。

Casa Julian [AQ!]
 チュレータ、こちらでは二等分…というか中心部と外郭部にだけ分けて現れる。
 どちらが?…ってそりゃフツー、中がセニョーラでそ、どうせ取っ替え引っ替え食うことになるにせよw。
 がぶり!
 おひょー、なんだこの感覚は、一瞬にして肉空間に取り込まれたような感じ。
 恐ろしく食べやすい。…というか、恐ろしい勢いで目の前の肉が減っていく(^^;。うわー、メシの時間がすぐ終わっちゃうよ…と、珍しくも自己規制をかけたくらい。
 「柔らかい」という言葉は全く浮かばないが、どこか本質的なテンダーさもあるのだろう。

 フリアンのチュレータは、丸のイメージ。丸とか、円とか球とかのイメージ。
 チュレータを2日連続食うのも珍しいのでイメージの違いをメモっておけば、
 ライアがマルチカットのダイヤだとすればフリアンは磨きこまれた水晶玉。
 ライアが微視ならフリアンは俯瞰。
 ライアがガストロならフリアンはビストロ。
 ライアがまわしならフリアンは力士。(?)

 ようやくひと落ち着きしたところで、(肉プロファイルは近いのに)「全然違うもんですなあ」の声が双方から。
 また、違いは明白ながら、どっちが旨い?と問われたら「かなり、困る」。(笑)
Casa Julian Casa Julian
 ポストレはタルタデケソと、焼き菓子のTejas y Cigarrillosがトロサ名物だと言うのでソレ。(後でググると、1924年にLuís María Eceizaって人が創作したらしー)

 余韻に浸りながら、まだまだ入店してくる客(!…2回転目の卓も多い)を眺めてると、おにーちゃんが、
「自家製のパチャラン、呑まんけ?」
 とグラスを持ってくる。(品良い出来、ウマ)
 いい店や~♪
Casa Julian
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  Casa Pepa カサ・ペパ
  
Partida Pamis, 7-30 03760 Ondara (Alicante) Tel. 96 576 66 06 Fax 96 647 66 27 www.casapepa.es
HORARIO OTONO: CERRADO DOMINGO NOCHE Y LUNES
料理長: Pepa Romans
・ Deniaの近く、Ondaraのレストラン
2008年12月 ☆☆

 *チピロン玉葱・ブラサ、トマト、ギサンテス・葱・ミント
 *"Festin" de verduras y vinagreta de frutos secos
 *Crema de patata violeta, huevo de corral, trompetas y aceite de trufa blanca
 *Arroz de pato con reboznelos y garbanzos
 *Patel de chocolate con helado de especies
 *Merangue con bizcocho de naranja y mermelada de melocoton
 +06 El Saque Monastrell
 +ガルナチャ dulce de Alicante

[↓メモ版:工事中]
[へべ]
 オレンジ畑と、オリーブの林。のどかな田園地帯の、広い敷地にゆったりと作られた美しいレストラン。田舎の店でも、レストランはへんぴな割に道端だったり、町中(村中)だったり、眺めは平板だったりすることが案外多いことが、だんだんわかってきた今、この店のすばらしさ/ありがたみはよくわかる。明るく洗練された田舎家風のゆったりとしたサル。窓の外には、緑あふれる庭園の木々の間を、子どもたちが駆け回るのが見える。
 トイレは外というのが変わっている。相客は子ども5人くらいを含む3世代風の大家族。内弁慶っぽい男の子が最後にうちの帰りがけ、おそるおそる「コンニチワ!」と言いにきたのがかわいかった。
 前日「一日に大きな食事を二つも食べて」トバしたので、今日は前菜めいめいと米料理にしようか、と衆議一致。紫ポテトのクリームと、いろいろ焼野菜ににんにくマヨネサと何だっけ?それに、鴨とキノコとガルバンゾのアロス・メロッソ。大鍋でうやうやしく運ばれてくるアロスメロッソのうまいこと! 鴨はやはりツクネ団子にしたものも入っている。ガルバンゾがみずみずしい。全体の一体感と、米のふっくらなめらかな炊け具合がたまらない。昨日の今日だというのに、おかわり分もぺろりと平らげてしまい、結局ものすごーくたくさん食べた。


[AQ!]
「Casa Pepa? いいコミーダだな」とタクシーの兄ぃ。
 Ondaraの町から出てすぐ。広がるナランハ園の中にポツンとある。一面のナランハ(一面の菜の花、みたいだ)。遠景に岩山(カッコいい)。田舎造りの一軒家の門を入る。
 ナント! 便所は“離れ”の小屋だ。雨の日は、傘をさして行くのか?
 門からのアプローチの小径を抜けると、忽然と、全面ガラスばりの食堂が現れる。
 庭先には花。庭の奥は、ずっと続くオリーブの樹の林。木の玄関、恰幅のよいメートルに迎え入れられる。恰幅紳士ドテル、ヒゲちょい鯔背ソムリエ(皿の上げ下げもする)、禿カマレロ、の3人組。メートルの英語が(なぜか)ドイツ訛り。厨房はシェフはじめ、婦人部隊のようだ。スペインは、システム中での男女配置のパターンが、実に、色々ある。

 木と石とガラスと調度と写真、伝統とモダンを気負わず調和させたくらい…のサルで、これは素晴らしい居心地。壁面の多くはガラスだから、ナランハ・オリーブ・花と緑が、眺め渡せる。天井は幾分、光を通す素材で枯れ葉模様という珍しいデザインの起用だが、これが大アタリで、落ち着いてお洒落。
 どん突きの一面ガラスの奥はカーヴで、結構な量のヴィノが静かに寝ているのが見える。

 いやー、席に着いて、座って、周りをみているだけでワクワクしてくる田園の快楽。田舎の名も知れぬ(…ったって、一応一つ星だし、この辺のタクシーはよく知ってるが笑)店に行ってみて、「アタリ!」をひいた時独特の、脳内恍惚物質がそろそろ出だしている(笑)。
 ロケーションだけでも「滅多に無い」と言ってよかろう(ロケーションだけ、…を売りにする店は除外するとして、、)。

 さて注文。ここは、伝統料理をリファインし少しだけ創作性も加味した、くらいに見受けられる。何となく、「今日はアロスあり、で行ってみようか」と話していた。アロスは数種類が並ぶ。アル・オルノがあるのが珍しい。アル・オルノとしか書いてないので具を聞くと、豚とのこと。おー!それ行ってみよか、と舵が向かったのだが、すぐにオジサン戻って来て、
「ゴメンゴメン、今日はソレ、無いわ。かわりにボガバンテのパエリヤあるでよ」
 で、再度検討だが、実のとこ、アル・オルノへの興味問題を除けば品書中では「鴨茸煮のメロッソ」が美味そ!…と意見一致していたので、そちらを通す。
 さて後は、、前菜めいめいくらいでいいかな? (まだバレンシア注文に慣れてない。品書の流れも、カタランやバスクと違うのだ)
 野菜の一皿、芋の一皿が美味しそうで、ソレで行きますか。しかし、野菜と芋で、米食って終わり、で、いいもんですかね?
野菜のフェスティンは前菜リストの一品目で、少々お安め。以前、フォンジョンクースのジル・グジョンで、似たようなポジションに書かれた“野菜”を頼んだら、ジル本人に「あー? そんなもんは野菜サラダだ、やめとけ」と断られたことがある。(じゃー、メニューに乗せるなよ、、)
 なんてことも頭をかすめはしつつ、メートルに「こんなんでどうや?」と聞いたら、「おーけーおーけー、ばっちりOK」だと。
 スペインは、食事する人数もマチマチだし、オケージョンもマチマチ。さらに、バレンシアは、捉え方が様々(とくに客の人数によって)な料理があるので、ホントに「好きなものを頼んで好きに食えばよろし」というニュアンスが大きいようだ。量の加減だけ聞きながら、好きに言ってみればよい。フランス流の「意地でも食事の形式を整える主義」とはだいぶ違いそう。

 個室は年輩の宴会。8人ぐらいか。
 我々のいる主サルは、ワシらと、大人4+子供5くらい…だっけ、の家族の大卓。
 という、大晦日。
 坊主がやってきて「コンニチハ」
 チビちゃんと、それにかまう少し大きいチビちゃんたちが、めっさ可愛い。いつの間にか、3,4人で、外のオリーブ樹林の中で鬼ごっこかなんか、駆けずり回っております。

グラナダとカバの泡ソルベ

[↑メモ版:工事中]
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  Ca'Sento カ・セント
  
Mendez Nunez, 17, 46024 VALENCIA
Cierra domingo, lunes noche, Semana Santa y agosto
1979年開業 料理長: Raul Aleixandre
・ 2012j春、閉店?
 どうも、2012年春、襲い来るスペイン経済危機に飲み込まれるようにして閉店した…という噂です。また、Raul Aleixandreは夏に新店「Restaurante 534」をバレンシア市内でオープンした模様(534…というネーミングは、スペイン国債のポイントがどーの…って話)。

 2012年にCa'Sento(カ・セント)閉店に伴いRestaurante 534を立ち上げたRaul Aleixandreだが、2014年、「534はうまく行かなかった」とし、ワイナリーをバックアップに新店「Vinicolas」をバレンシア港湾地区にオープンしたそう。

2009年 1月 ☆☆

 *Carte helado de parmesano
  Parmesano ice cream with filo pastry
  パルメザン・アイスクリームの薄パイサンド
 *Bunuelo de bacalao
  Cod daughnut
  バカラオのブニュエロ
 *Anchoas con cebollitas tiernas
  Anchovies with scallion
  アンチョビとスカリオン(葱)
 *Prawns with romesco
  海老の串揚げ 緑ハーブ塩とロメスコソース添え
 *Marisco del dia
  Fresh seafood
  ボイル海老
 *Caviar with butter, egg and ham stock
  熱々の皿にバタとキャビア、ハムのコンソメのジュレシート
 *Canelon relleno de setas y ternera
  Canneloni filled with beef and mushrooms
  仔牛とキノコのラグーを詰めたカネロニ
 *Dorada en sarten salteada de verduras vino tinto y casis
  Gilthead bream with vegetables and cassis
  ドラド 野菜とカシスのソース
 *Nuestro arroz a la plancha
  Roasted rice
  アロスメロッソのアラプランチャ
 *Cordero de Oiver con persillade de hierbas
  Lamb with aromatic herbs
  仔羊のロースト香草風味と煮込  *Flan de chocolate con helado de caramelo
  Chocolate custard with caramel ice cream
  チョコカスタード キャラメルアイス添え
 *Torrija caramelizada con helado de cafe
  Torrija with coffee ice cream
  トリッハ(ふんわりフレンチトースト) 珈琲アイス添え
 +06 Finca Terrerazo

(コメント工事中)
[AQ!]
「おっと、そいつぁーゴキゲンな食事だな」
 と、さすがに北駅タクシー溜りのニーチャンにも高名なカ・セントである。
 クルマは、一旦IVAMの辺りまで出て外殻を周り、港方向へ向かう。市街地からは案外の距離だ。10euroほど。
 西営盤から上環…といったエリア(笑)。海の香りを受けて、町並みはボロっと荒んできた辺り…の街の角に、カ・セントはいきなり現れる。周囲は、ホントに、くすんでいる。
 細い道の交差点角に、複雑な白い折り目を持つ外壁、不規則な形の曇りガラス窓(中は見えない)、白い壁沿いにあっちの角まで…、あ、壁だけだ。引き返して、こっちの辺、は、…アレ?、入口が無い(^^;;)。
 旧Tetsuya's以来の珍事だ。
 強いて言うと、こっち側の面が通用口ドアになってるっぽく見えね?コレか?…と論議逡巡するうちに時刻はちょうど14時。すると、その“ドアらしき”…が中から突然開き、出てきた若いメートルが、手にしたマグネットボードの品書を表の壁にペタンと貼り付けた。(品書を外に掲示するのは法的義務だっけ)
「や、やあ、チミチミ、わちにんこ…(^^;;)」
 という訳で、最初の客になる。

 ハーフオープンキッチン…こちらの星付き店ではわりと珍しい。あ、あれはラウール君だな…が、絶賛朝礼中。「見事にデブ」…と失礼なへべ。サンティほどじゃないだろう?(笑)

 メートレスがお相手、なのだが、声が出ない。
「ゴメン、声が出なくて…」
 と、掠れたかけそき音声が、わずかに聞き取れる。
 いやー、二日連続で“声の出ない”御婦人と出会うとは思わなんだ。今日は1月2日。どんだけ「クリスマス~新年」を騒げば気が済むんだ、チミたち。まったく、スペイン人は、気持ちが良いな(^^;;)。
 アラカルト用に魚の入荷具合の説明。それと今日は、コースでもカラマリは欠品で差し替え。中央市場でも鮮魚商は休みが目立っていた正月のバレンシア。
 まあ此処んち、まずは、ラウール君の仕切るムニュデグスタシオンで。
 ワインは、まずまず上品な取り揃えで、コチラは、とくにリスト上ではエステレヒオンに傾注する気配でもなかったので、何も決めずに「ミディアムなティントで…?」と投げると、「バレンシアのワイン、飲んでみる?」と返ってきた。
 水はスクルサルでも使ってた奴?
 年明けはあまり外食しないのか(夜のエル・ティモネルも極めて静かだった)、ボクら・30分遅れで老夫婦(アラカルト)・90分遅れで初老夫婦(「今日はアロスセコをいただきに」)…、これで全部。カマレロも若手を残して、順次、減っていく。

 ジュワーー、、…。
 揚げ物の音が聞こえる。こちらのハーフオープンは、妙に臨場感がある。
 チーズクロカンサンドを手で取った後は、バカラオのクロケットだ。浅い揚げで、中のバカラオの具合が素晴しい。繊維感が“必要なだけ”あって、うーん、滑らかで優しいタッチ、品良く旨い。
 「揚げ」それ自体は、この後も一貫して、「日本人がいた時の方が上手かったんじゃねーの?」…とへべは邪推する。

 アンショワとYema、玉葱敷き。現代的出発部門らしい皿。良質なアンショワ。Yemaはアスパラも?

 串揚げの海老、知留久か、っつの(笑)。緑粒状にエピスを散らし、ロメスコソース…の味に品があって、素晴しい。揚げは知留久の方がいいか(笑)。殻付き揚げというのが、考えてみれば日本では珍しいが、これは意味があったのか、微妙。…というか判断しかねる。食いにくく…は、ある。

 ガンバはデニア、かな、やはり何度食べてもこの産は、美味。塩釜焼かな。クルクルンと、今日も髭が丸~まる。

 フォアグラが、本日はキャビアと差し替えとのこと。皿がムーチョカリエンテな意欲作を、オネーサンが何重にもしたナップで運んでくる。
 気をつけてネ!
 たしかに、匂ごうと顔を皿に近づけただけでも、熱波がホオっと額を熱く撫でるくらいに、カリエンテ。酢バタージュレの広がりの真ん中にキャビアの黒い粒々が透けて見えていて、「新宿の目」みたいだ(笑)。
 食べると、かなり強烈にピンと立てられた酸がインパクトある。意外に本体はティエドな仕立て。この温度構成の「意図」は読み切れないが、冷めないように…というより、段々と温度を上げながら食え…とでもいう感じだろうか?

 キノコ・牛のカネロニ、は、美味しくてまあフツー、かな。

 ラペも仕立てはフツー、分厚い骨付カットを焼いて、上にテキトーな季節の焼野菜細切りをのせたもの。しかし、この肉質の豊かさ強さ、そして肉汁の湧き出る焼加減は半端じゃない。キュイソンは、厳密には、モダンとトラディションの中間くらい? なんちゅーか、フランス人にも安心して食える、ポアソンの一皿。
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  Casa Gerardo カーサ・ヘラルド
  
Prendes Ctra. AS-19,Km 9 -Asturias Tel.:+34 985887797  www.restaurantecasagerardo.com
料理長: Pedro y Marcos Moran

・ ヒホン郊外プレンデスのレストラン、現代スペイン最高の一軒

2011年 5月 ☆☆☆☆

 *El tomate en el coctel y el coctel en el tomate
 *Bocadillo crujiente de quesos asturianos
 *Coquetas del compango de la fabada
 *Pepino en declinacion
  Anchoas y alcaparras
 *Un molusco
  Fuentes de iodo y potencia marina con los contrastes que creemos mas aptopiados
 *Nabo, cochinillo y matices
  Aceite de argan, pimention de la Vera, aroma de cafe
 *Pulpo a la brasa en su jugo
  Patatin confitado y lagrimas de apio
 *Coctel solido de manzana
  Todo buen banquete se marece su sorbete
 *Un Pez
  El mar nos da "bichos" que nos hacen sentirnos orgullosos de nuestra tierra
 *Fabada de Prendes
 *Choco_Martini_Pasion
  (Coctel/postre)
  Dulce_Amargo_Acido
 *Crema de arroz con leche requemada de Prendes
 +Sidra / Tareco
 +04 El Vinculo La Mancha


[AQ!]
 カサヘラルド…プレンデス…、、あ、ああ、オマエラ今日はファバーダか、ファバーダ!、そりゃいいなワハハハ。ブィーん。
 飛ばす飛ばす。今日もアタリのドライバーおぢさんで、物凄い勢いで店の前に着く。「はい、此処よ!」…オビエドから30分かからず。

 街道沿い。コートドールを小さくするとシュタインホイヤになってそれをもっと小さくした、、、くらい(笑)。田舎の道ではあるが、街道、という感じの交通量。その街道沿いの旅籠というか食堂として19世紀から続く。
 あとでマルコス君に聞いたら、
「ボクで五代目だよ、長ぇ話だわ。いったい何してんだべ(笑)。親父がペドロでその前がアンヘル、その前が…」
 だそう。そのマルコス君はLMG2009の「今年最高の料理人」でもあるのだが。

 外観を撮影しつつちょっと覗くと、スタッフ総員配置に…ついているようなので、13時過ぎと早い時間ではあるが、突入。
 こんにちはメヤモ…ああ遠い所からよく来たななんだマレータ抱えてかこっちに置きなさあさあ、奥にずいっと。

 ずいっと入ったサルは、素っ気無い店舗外観からは想像がつきませんでしたなあ…な感じの、しっとりとしつつクッキリと美しい、古臭い良さの印象だけ残してよく磨かれた内装で、落ち着く。
一番乗りかと思ったが、別室で食前酒をきめていた三人組もいたようだ。

「メニューは英語・西語?」
「英一冊、西一冊、ちょ」
「何飲むね?」
「ああ、なんだ、エネステレヒオン・パラアペリティーヴォ・ケメリコミエンダ?」
 アストゥリアスに来たらシドラだろ、とは思っていたのだが、“レストランの食前酒として”も、アリ、なのかどうかは確信がもてなかったので聞いてみたところ、
「そりゃオメー、シドラでがんわ!」
 とのことで、嬉々としてシドラ。

 アラカルトとムニュ。ムニュはデギスタシオン2種で、「ロングコース」「ショートコース」と呼ばれていたように、基本的には同じ性格のもの。ショートは数皿少ない構成だが「当店自慢」の名品は漏れなく入っております、って感じ。この店は〆は「ファバーダ」になる訳で、ファバーダを余裕のある状態でゆっくり味わいたい(笑)…という点を重視してショートコースの方にする。

 美味いねこのシドラは、さすがだね、と喉を潤しておると、厨房から階段を駆け下りてくる(二階、というか中二階みたいなとこにある)巨体は当代のマルコス・モラン・シェフである。
「やあやあやあどうもどうも」と握手。
 デブ。はデブ、で間違ってない。サイトより太ってるかも、とへべは言う。
 しかし、眼つきはキリッとし、喋りは如何にも頭の回転が速い感じ。わ、出来そう…って、デブの場合はその辺が写真に写りにくいのよね(笑)。
 あ、それから、英語がかなり出来る。同じ世代でも「英語はちょっと…」というキケやエネコとはだいぶ違う。まあ、アストゥリアスは英国人が多く来るのよね。

「何処回ってるの?」
「ビルバオからこっち来たばかり」
「ああ、アリハか?」
「いや今回は、昨日はアスルメンディ行ったの」
「へえ!やるなチミら」
「エネコ、ナイスガイだよねえ」
「それよ! 後はどうすんの?」
「今夜はアリオンダスへ移動するよ」
「カサマルシャルか?」
「もろちん!」
 なんか童顔デブ調の人なんだが、声はスペインっぽぉく、しわがれている。

 おとーちゃんのペドロさんも後で出てきた。
 ペドロは身長的に、小柄。二階サルへ行く階段には肖像画があれば、数々のVIPとの記念写真もある。実直というか田舎者マルダシというか、しかしこの人が、この店をここまで押し上げたのであろう。
 トイレに行くときに厨房を覗きこんだら、ペドロさん、まだまだ自らで鍋ふってた。すげえ。そういうこと。

 どこまでも、純粋で素朴な味がする。だが洗練されている。美しい。美しくて静かで豊穣だ。信じられない。神々の食べ物

 …

El tomate en el coctel y el coctel en el tomate
 トマトカクテル…という、トマト水から。出来そうで出来ない、切れ味。

[へべ]
 カクテルのトマト、トマトのカクテル

Bocadillo crujiente de quesos asturianos
 アストゥリアス・チーズのパリパリサンド

Coquetas del compango de la fabada
 ファバーダのクロケタ

Pepino en declinacion : Anchoas y alcaparras
 キュウリのデクリネゾン、イワシ、ケッパー、オイル

Un molusco : Fuentes de iodo y potencia marina con los contrastes que creemos mas aptopiados
 牡蠣、きめ細かなクレーム、柑橘の酸、カカオ玉

Nabo, cochinillo y matices : Aceite de argan, pimention de la Vera, aroma de cafe
 蕪と仔豚、アルガンオイル、パプリカ、カフェの香、白い泡。Veraのパプリカ

Pulpo a la brasa en su jugo : Patatin confitado y lagrimas de apio
 タコの炭火焼、クリアな赤いスープ、じゃがいもホクホク揚げ、セロリの涙

Coctel solido de manzana : Todo buen banquete se marece su sorbete
 リンゴの固形カクテル、つめたい、手でつまんで

Un Pez : El mar nos da "bichos" que nos hacen sentirnos orgullosos de nuestra tierra
 シーブリーム的な魚、イモクレームと柑橘の酸

Fabada de Prendes
 ファバーダ・プレンデス風、白インゲンとチョリソと肉・モルシージャ
 世界に広がったこの系譜の料理(豆と肉の煮込)のどれもそれぞれに味わい深くて大好きなんだけど、なかでもすごいと思うのは、やはりスペインのファバーダ。そして、その至宝といいたいのが、カサヘラルドのファバーダ。なんたる洗練と完成。スペインの、この、土着のものが突き抜けたときの神と対話するような美しさって、何なのでしょうね。

Choco_Martini_Pasion  (Coctel/postre)  Dulce_Amargo_Acido
 ホワイトチョコとパッションフルーツ、マティーンのジュレ

Crema de arroz con leche requemada de Prendes
 アロスコンレチェのクレームとこんがり・プレンデス流 / ひとくちチョコ

[AQ!]
 最後は、アロス・コン・レチェ。
 満腹の2人の前にドカン…と現れたと思ったのだが、気がつくと無い(笑)。大変な美味さと軽さだ。

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  Casa Marcial カーサ・マルシャル
  
La Salgar, 10, 33549 Arriondas +34 985840991 www.casamarcial.com
料理長: Nacho Manzano

・ アストゥリアス地方アリオンダスの郊外山中のレストラン
2011年 5月 ☆☆☆☆

 [Menu Gastronomico]
 *Champinones con tuetano y esparrago triguero con aroma de eucalipto
 *Pasta en salazon de anchoas, parmesano, trufa y pesto
 *Foie semi - ahumado con quinoa de calabaza y mahonesa
 *アストゥリアス伝統料理 トルテュとクロケタ
 *Carabinero asado
 *Hongo con jugo de pimiento rojo, pilpil de bacalao y cebolleta
 *Ternera asturiana macerada en algas y whisky, su leche y su pasto
 *Pescado del dia (Lomo de merluza asada en su esencia)
 *野兎ロティ、カブラサピュレ・セボジート・大蒜花、クロカン、豆蔓
 *Cochinillo confitado con pina asada y cebiche
 *Quesos asturianos con sus contrastes
 *Maiz helado, chocolate blanco y agua de manzana trufada
 *Bizcocho cremoso de avellanasa con helado de nata y jengibre
 +07 Dominio de Tares Cepas Viejas Mencia Bierzo


[AQ!]
 [↑Casa Marcial]。
 アリオンダスの街中にも標識が出ている。
「これより4.5km」
 道はただただ山を登って行く。
アストリアスらしい。


[へべ]

[Menu Gastronomico]
 85ユーロ パン3種 バター(塩、りんご、濃ピュレ)


Amuse
 細小グラス、底茶カリカリ、下に黄白マイスクレーム冷、上は茶とろり、温カルドジュレ

Champinones con tuetano y esparrago triguero con aroma de eucalipto
 大円シャンピニオンさしみ薄造り、アスパラ緑葉セルバチコ、ユーカリ油香、茶濃澄ソースとピュレ

Pasta en salazon de anchoas, parmesano, trufa y pesto
 カネロニ(かため)細アンチョビ薄マッシュルーム、花とナッツと緑ピストゥソースにパルメザン汁

Foie semi - ahumado con quinoa de calabaza y mahonesa
 フォワ緑葉包み半スモークかぼちゃキノア、マヨネサ緑アホクリーム、コシード汁

アストゥリアス伝統料理 トルテュとクロケタ
 アストゥリアス風マイスのトルタ中空ケソと卵と玉ネギ、モハアのクリームクロケタ

[AQ!]
 アストゥリアス伝統トルテュはプックリ膨れて、表面に塗られたセボージャが泣くほどウマイ。

[へべ]
Carabinero asado
 赤エビのアサド、ミソ汁たっぷり

Hongo con jugo de pimiento rojo, pilpil de bacalao y cebolleta
 大肥キノコのキツネ色焼、赤ピーマン汁、(バカラオ)ピルピルに新タマネギ、こんがり色スプラウト

[AQ!]
 Hongo、でっかいのを3カットで。傘、軸をそれぞれ楽しむ趣向。山のレストランらしい。そして、シビレルほど、美味い。やはりピミエントスのフーゴが絶妙で、少し香ばしいキノアもよろしい。

[へべ]
Ternera asturiana macerada en algas y whisky, su leche y su pasto
 テルネラちょい強焼、海藻(ウイスキー)、緑ジュレに海藻とスプラウト(牧草/アルファルファ系)、黄白(酸)ソース

Pescado del dia (Lomo de merluza asada en su esencia)
 メルルサ、クリアオイルジュレ泡ソース、インゲン、アスパラ

野兎ロティ、カブラサピュレ・セボジート・大蒜花、クロカン、豆蔓
 リエブレ焼、にんじん・かぼちゃピュレ

[AQ!]
 野兎、見たこともないような質 (「捕れたけどどお?」と近所の猟師が持ってきたそう。「コース外だけど、食べるぅ?」…で出現)。ロティ。血の鉄の香りが、強くも繊細で美しい。テネドールの先でハラハラ崩れるほど柔らかくも、グズグズでない繊維感。ガルニも実に適切だ。

[へべ]
Cochinillo confitado con pina asada y cebiche
 コチニーリョ、皮つやこんがりパリ身脂しっとり、パールオニオン甘酢、パイン焼、黄ソース

Maiz helado, chocolate blanco y agua de manzana trufada
 マイスのアイスにホワイトチョコクリーム、青のりセロリ、あられトッピング

Bizcocho cremoso de avellanasa con helado de nata y jengibre
 ヘーゼルナッツとビスコチョのクレームに生姜のアイス、キャラメルこがしバター

[AQ!]
 ナチョのクロカン・砂の類の技術は、上手。
 アストゥリアス3軒の、フーゴ・ソパ類の精妙さは抜群だ。カタルーニャだと、も少しシツコくすると思う。

 ナチョは終戦後、若いの年寄り2人の卓(唯一の相客?)で話し込んでた。同業or生産者?
 穏やかで優しくて、多分、自信満々。
 ほとんどスキの無い料理で、テロワ・伝統の感覚、と、個性・モダンや面白味、とのバランスも秀でている。

 英語は、話せば話せるのもいそうだが、基調は西語で通すスタッフ。

 ワインのサジェスチョンは、カスティージャレオンの中でもこの近辺からのもので、コースへの相性も良い…というもの。リストの、その前のページでは、テルモロドリゲスなどを指していた。


Nacho 2019年11月 ☆☆☆

 *Lichen
  トサカ海苔の天婦羅
 *Cockscombs
  鶏のトサカ
 *Courgette and Foamy Cod Sauce
  ズッキーニとバカラオのミルク
 *Sea Urchin and Celeriac, Served with Seaweed Sause
  雲丹と根セロリ
 *Enoki and Squid
  えのきとアオリイカ
 *Fabes with Chicken, Clam Recipe of My Grandmother
  ファベス、比内鶏、蛤、おばあちゃんのレシピ
 *Autumn
  秋(きのこ、栗、りんご)
 *Ama-dai, 2 Cooking methods with Lettuce and Garlic
  甘鯛二種の調理法に二種のソース
 *Japanese Duck with Abalone
  京都七谷鴨、蝦夷アワビと肝のクリーム
 *Ginger Ice Cream with Juniper and Cardamon Cream
  ジンジャーアイスクリームとジュニパーベリー、カルダモンのクリーム
 *Three Kinds of Chocolate
  花粉風味のミルクチョコレート カレー風味のダークチョコレート 生胡椒のホワイトチョコレート
 +00 Torre Muga

Nacho
[AQ!]
 食の祭典…とも言うべき「Cook Japan Project」、華やかに進行中ではあるのだが、あまりにも煌く星たちが矢継ぎ早に降り注ぎ…過ぎて、ボクらには目が回るのみ(^^;)…ってところもある。いやあ。
 そんな中ではあるけど、シェフ名リストを見た当初から「この人は行こう!」と決めていたシェフがいた。それが今回の、Nacho Manzanoである。
 ミシュラン2つ星・レプソル3太陽…というスター性は勿論だが、NachoのCasa Marcial訪問は、ボクらにとって、「忘れ難い美しい食の思い出」の一つ。
 再訪も(勿論)したいところの1軒なのだが、何せ遠い(^^;)。スペインは広い。人生は短い(^^;)。
 折角、向こうが来てくれると言うんだから、これは行きましょうよ。
 1つ星(La Salgar)を持つ実妹のシェフEsther Manzanoも帯同している。

 アミューズ相当のフィンガーフード3点は、ナチョ流秋の日本イメージ?(笑)…って感じのプレゼンで。
Nacho
Lichen
トサカ海苔の天婦羅

 海苔 レモン キムチ
 ホントにスペインではもう、キムチはフツー♪ ここではキムチレモン・クリーム
Cockscombs 鶏のトサカ
 トサカ見立て、持参の鶏パテを挟み込み
Courgette and Foamy Cod Sauce
ズッキーニとバカラオのミルク

 ズッキーニに詰めて。器のせいか、巻き寿司っぽく見えるw。

Sea Urchin and Celeriac, Served with Seaweed Sause
雲丹と根セロリ

 北海道産馬糞雲丹 根セロリピュレ 柑橘海藻 青のり パセリ緑班
 ダークグリーンに雲丹…は、いま多い趣向だが、柑橘項と海藻項の関与が面白く、フツーに美味なこととオリジナリティをバランスしている。

Enoki and Squid
えのきとアオリイカ

 烏賊+ギンディージャ 湯葉 えのきシャクシャク アイスプラント
 へえ、面白い取り合わせ・面白い構築。烏賊墨ソースにエノキのアタマ。
 湯葉とエノキ、日本人だとこうはならないよなあ。エノキは日本人が見ると「エノキ」になっちゃうんだけど、「へぇ、変なキノコ(の一種)、どうしたろか?」って見えてる感じ。有効に機能している。
Nacho
Fabes with Chicken, Clam Recipe of My Grandmother
ファベス、比内鶏、蛤、おばあちゃんのレシピ

 サフラン マグロ節 シェリー 卵黄粉
 ファべス!!!!!
 fabes con almejasのウチのばあちゃん風…の日本インスパイア付き、ってとこか。
 こーゆーのが食べたくて、来たんよ! 涙、ちょちょぎれるよ♪
 スペインというのは、“むーちょむーちょかなんでがんわ…と言いながら手鼻かんでるオヤヂの所にいきなり神さまが現れディオス”…ってイメージがあるが(俺だけか?(^^;))、まさにそーゆー一品で、大地のムラムラが立ちこめる中にいきなり神が見える!
Nacho
Nacho Autumn
秋(きのこ、栗、りんご)

 白神産きんちゃく椎茸 セップ
 きんちゃく椎茸は初めて、たいへん面白美味。また、秋のカボチャの具合が良い。栗は生スライス。スープは卓上注ぎ入れ。
 快調にコースが進む。

Ama-dai, 2 Cooking methods with Lettuce and Garlic
甘鯛二種の調理法に二種のソース

 山口産グジ ピルピル レチューガ メルルーサ卵粉
 スペイン系のシェフはそれぞれのピルピルを披露する、のはお約束か(笑)。
 レチューガは面白い選択だ。

 ここでナチョが登場。(いちおー)厳しい顔してグランシェフ調…に挨拶してくる、ところに、(やっぱ面白いかなと思って持ってきた)8年前の記念写真を見せてみる♪
 ワオ、何だコレ、あひょ~!、、、と破顔一笑、笑顔に変わってみると、少し老けはしたけど元々の『童顔っぽさ』は残っているシェフなのでありました。
「さっきのファべスにはオラたち、泣いたづら♪」
Nacho
Japanese Duck with Abalone
京都七谷鴨、蝦夷アワビと肝のクリーム

 腿のアルボンディガス 珈琲マリネ 柑橘
 先ほどのファべスもそうだが、これもサンダ対ガイラ型の陸海趣向でスペイン臭い。見た目もユニークだし上出来。
 「Cook Japan Project」には、日本食材vs.海外シェフ…という副テーマもあって、それは意義深いことなのだが客的には不安材料でもありまして(^^;)、これに先立つA.T.やKobeの回に関しては“奴ら日本のこと詳しいから”という保険があったんだけど、ナチョに関しては来るまで「どうかなあ?」と思っていた。まあ、日本食材使え…と言われて、なんかA5和牛のステーキ焼いちゃいました…みたいなヒトはいる、し。
 いただいてみて、不安払拭、選択も使い方も、感性優れ聡明である。ああ(ちゃんと)賢い大シェフであることよ…と再認識いたしました。
 …と喜んでいるところにナチョが再登場、手にしたソースパンから皿に乗せるのが、腿肉のアルボンディガス! …いやあわかってらっさる & ウマ~い♪
Nacho
Nacho Nacho Ginger Ice Cream with Juniper and Cardamon Cream
ジンジャーアイスクリームとジュニパーベリー、カルダモンのクリーム

 モダンな眺め、香り高いポストレ。

Three Kinds of Chocolate
花粉風味のミルクチョコレート カレー風味のダークチョコレート 生胡椒のホワイトチョコレート


 3枚のお楽しみ、最後まで“香り”はキーワード。

*****

 量的には決して少なくないコースなのだが、いやまあ、おなかがスッキリ感に漲る(←なんぢゃそりゃ(^^;))。
 向こうでもそうだったが、『自分も材料も無理しないアストゥリアスのナチュール感』みたいなものが一貫している。
 アッハッハ…と軽やかな皿を並べつつ、“泣きのツボ”も押さえやがってよコノぉ~!…みたいな。改めていいシェフだなあ。
 “田舎のシェフは俗塵にまみれない”などと力説してしまうと、そりゃそれで思考が紋切り型や…というとこもあるのだけど、ナチョはやっぱ、伸び伸びしている。疲れた老けが、無い。若い。
 ミチェリンのディレクターも、どうも3つ星エリアを広げたくてしょうがなく見える昨今(笑)だし、ナチョんとこにも来ねぇかなあ(笑)。
 今回のコースは、「Cook Japan Project」内でも評判良かったそうだ。





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  Casa Solla  カサ・ソジャ
  
Av. Sineiro, 7, 36005 San Salvador de Poio, Pontevedra +34 986 87 28 84 www.nove.biz/pepe-solla

・ ポンテベドラ郊外のモダンレストラン
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

2018年 5月 ☆☆☆

 [Menu Viaxemos.]

 *Bloody Mary...¿o no?

 *Pan Dulce de Cebolla, Cuarto de Pizza de Anchoa, Tartar de Encurtidos y Moluscos, Algodon de Almendra, Mochi de Mejillon escabechado.
 *Tortita crujiente de Cordero y Sopa de Curri Verde.
 +15 Ribeiro, Adega do Moucho, Treixadura
 +16 Rias Baixas, Rodrigo Mendez, Cies
 *Aguachile Cremoso de Viera.
 *Solo Jurel.
 +14 Rias Baixas, Cabana das Bolboretas, Gorgola
 *Cigala, su Pata Rellena y Escabeche Citrico.
 *Esparrago Blanco, Huevo y Merluza.
 +15 Ribeiro, Manuel Rojo, Colleiteiro
 *Setas, crudas y cocinadas y noquis de boniato.
 +16 Rias Baixas, Constantina Sotelo, Vinas Vellas
 *Entrecot de Vaca, Hojas y Apionabo.
 *Rodaballo y la Patata en Caldeirada.
 *Guisante y Mar.
 +16 Mallorca, 4 kilos, 12 Volts
 *Centolla y Curry Rojo.
 +Jerez, Balandro Vinos, Palo Cortado
 *Nuestra Filloa-fajita de Raxo ahumado.
 *Nuestros callos de pulpo!!
 +15 Tentenublo Xerico

 *Sopa citrica de aromaticas.
 *Leche cuajada de cabra, acedera y calabaza.
 *Primavera (Postre o No??)
 *Carajillo de Chocolate.
 +Asturias, Valveran, 20 Manzanas Sidra de Hielo

 *Seleccion de Quesos.
 +Madeira, Justino's, Boal 10 Anos
 *Los chocolates.

La Navarra [AQ!]
 The 気まぐれ!…って感じのガリシアの天候だが、本日はず〜っと霧雨・小雨。
 5年目の再会なるか、と思ったシェフ・ペペソジャさんは、ぺぺヴィエイラさんちの話だと「奴は今、メキシコに出張中なんだよな」とのこと。
 そのソジャさんちは、ポンテヴェドラ近郊のポイオ…天気と元気が良ければポンテヴェドラから歩けるかな?くらいんとこにある。

 街道沿い、ちょっとだけ引っ込んだ立地。
 入店すると、この辺のガストロ店定跡の、見晴らしよい大きなガラス窓。
 海も近いはずだが此処からは見えず、「丘と谷」を眺めるようなロケーション。すぐ下に見下ろす庭にはオレオがあって、「ガリシア気分」を盛り上げる。

 やあやあ今日はヨロシクでがんわ…などとムニャムニャ言ってると、メートル氏が、
「アッハッハ、早速お見えで嬉しいですわ、ぺぺヴィエイラさんのインスタグラムで拝見しましたよ」
 と、かましてくる(^^;)。
 え…オヤオヤ早いなあ。そう言えばヴィエイラのシェフXoséさん、昨日自分のスマホで3ショットの記念撮影してたけど、なるほどインスタにアップという心算でありましたか(笑)。現代やなあ。もうワシら、この界隈じゃお尋ね者やね(笑)。

[へべ]
 陽気で優秀な英語担当サービスに、のっけから「アナタたち知ってるよ、ペペビエイラのインスタに上がってた♪」とかまされる(^^)。
Casa Solla
Bloody Mary...¿o no?
 食前酒にブラッディメアリーをどうぞ、ただし2人に1個だけ。くじを引いて(本当に引く)、買ったお一人様だけありつけます…というふざけた趣向。
 外れた一人は、赤いブラッディメアリー玉が載ってた小石のなかから石じゃないのを選んで正解すれば、ピーニャコラーダにありつける、というおまけ付き。

[AQ!]
 そんなジャブを皮切りに、メートル氏のワンツーが炸裂する。
 手にした小皿には小石が敷き詰められ、そこに赤玉が一つ乗る。
「こちらは実はブラディマリーなのですが、一つしかありません。食べられるのはお一人。そうですね、籤引きで決めましょう」
 と2本のお箸を取り出し、へべに引かせる。当たりを引いたへべは赤玉をパクリ。
「あれえ残念ですねご主人、でもご安心ください。皿に敷かれてます小石、実はそのうちの幾つかはピニャコラーダなんです。一つだけお召し上がっていただいていいですよ、さあ当ててみてください。お手にとってどうぞ、噛む時は歯に気をつけてね(笑)」
 わはは、凝ったことしてるな。
 ピニャコラーダはかなり小石に擬せられている。瞬間、食いしん坊の悲しい性で「正解」を探してしまったが、ネタ的にはリアル小石を齧ってみるべきだったな(笑)(あったのだろうか?)。
Casa Solla
Pan Dulce de Cebolla, Cuarto de Pizza de Anchoa, Tartar de Encurtidos y Moluscos, Algodon de Almendra, Mochi de Mejillon escabechado.
 大人の余裕…風な遊び感覚が随所にある。
 メートルは、卓上の巨大なテトリス風ブロック…を組み換えて立体的なスタンドにし、そちらに5つのお摘みアミューズを乗せていく。
 タコヤキ風セボージャは甘味、葉巻風魚介タルタルは酸味、ミニミニピザ(ハモンにサリコルニア)は鹹味、綿菓子風アルメンドラは香ばしさ、…と、味覚チェックシート風テーマ(笑)を持ったアミューズ・ラインナップ。
 もう一つは「mochi」である(!)。大福っぽい柔らかい餅の中に粘度のあるメヒヨンのエスカベチェが閉じ込められている。アミューズ船団はどれもキッチリ美味しいが、とりわけこの餅は魅力的だ。
 昨日のぺぺヴィエイラでも出た「mochi」。ガリシアガストロ界ではポピュラーなのか。…ってか、5年前にソジャ・ヴィエイラが東京から餅帰ったのかなあ?
 いずれにしても、レネレゼピも敗れ去った(笑)「餅」を気にいって自家薬籠中の物とするとは、ガリシア人、面白えぜ♪

[へべ]
 直方体の組み合わさった台(よくできてる)に甘、塩、酸、苦、旨のアミューズ登場。
 玉ねぎパン、アンチョビピッツァ、魚介のタルタル、アーモンドの綿菓子、ムール貝エスカベチェの餅(なめらかすべすべ、中身も旨い)。
Casa Solla
Tortita crujiente de Cordero y Sopa de Curri Verde.
 二階建てグリーンカレー(カレーはアボワール、口中調味するとおいしい)。

[AQ!]
 ひと口の仔羊トルティータ、そしてその後で下の器のグリーンカレーソパを召し上がれ、と言う。
 「後で」というか、追っかける感じだろう。いい口内調理で組み立たる。
 時間差的に口内調理になる構成がいくつかあった、意識されてるのかなあ。
Casa Solla
Aguachile Cremoso de Viera.
 皿の隅に、ヒラリ、と。
 タイ風に続きメヒコ風?
 すっと溶けていく帆立。
 当地の帆立は可憐に柔らかく甘く、日本に比べても磯臭さが少ない。
 アミューズのカトラリーが素朴味で可愛い。この後の展開では、様々なタイプのカトラリーが出て来たが、なかなかどれもテイストをよく合わせてきている。

[へべ]
 小ぶりな帆立を数片、セビーチェクリームで。きめ細かくなめらかな帆立の清い旨さが新鮮。
Casa Solla Casa Solla
Casa Solla [AQ!]
Solo Jurel.
 鯵のエスカベチェ、美味しい。鯵、ガリシアらしいなあ…という印象。
 ヒレは軽くサクサクに炙って添えている。
 ここには、緑の酸っぱいジュース…が添えられる。ア・ボワール的ソースと考えてもいいが、一緒に行くと、ちょっとセビーチェ的なイメージになる。

Cigala, su Pata Rellena y Escabeche Citrico.
 メートル氏…は、ガブリエル君という。このヒトは英語も達者(この旅で1、2を争う…アストゥリアスと違ってあまり英語が得意でない感じのするガリシア)で機知にたけ機微を感じ、とても優秀。何処でも務まるね、今回のメイユールメートル。
 …のガブリエルが今度は厨房から女子シェフとクロック・俎板セッティングを連れてきた。彼女は fromメヒコで此処に来て数ヶ月だそう。
 俎板上にはシガラ…の頭、と紫蘇のような葉など香草。シガラの身の方は我々の前の鉢に、刻まれて鎮座している。女子シェフはクロックで頭をすり潰すところからソース作りを始める。
 その間、ガブリエルは「調子はどうだい?」など軽口を飛ばし続ける。「仕事中もやいやいうるさいんで、彼女はボクのことを嫌いみたいなんですけどね~ハッハッハ」
Casa Solla  …と賑やかに出来上がっていく海老のひと皿、なのだが、これが、素晴らしい。静かに叙情的…であるほど、綺麗なテイストだ。シガラの、可憐で繊細な甘さが天使的である。これも、日本の海老に比べても磯臭さが無いなあ…って感じ。
 彼女の「優しい(ほど良い)すり潰し」具合も効いてる。

[へべ]
 海老は係のお姉さんが頭をクロックで潰して。

[AQ!]
 アタリマエなことながら、「メヒコ調」はスパニッシュには親戚筋であり、相性がイイ。そして、料理人に来てもらうにしても、アタリマエながら同じ言語で会話できる。メリットやなあ…。
Casa Solla
Esparrago Blanco, Huevo y Merluza.
 次の皿、見た目は「白のカムフラージュ」って感じだが、興味深い。
 主賓は白アスパラで、ここに玉子とメロのタルタル。すべてrawである。
 ま、なるほど…な組合せだが、風味の決まり具合がよろしい。アスパラの、山菜のような苦味に颯爽とした瑞々しさ、一陣の甘み。ガリシアガストロの白アスパラはこーゆー要素を押し立ててくるのが好きみたいだ。
 玉子とメロが裏方で巧みにコントロールする。
Casa Solla
Casa Solla Setas, crudas y cocinadas y noquis de boniato.
 さて。
「厨房ツアーなどは如何ですか?」
 …喜んで。
 サルの奥の厨房は前面がガラス張りで、客席の模様から庭の景色まで見渡せる。(客席の方からも、振り向けば厨房スタッフの動きは見える)
 やあやあどもども、食うもん食うもん旨いでクラクラですわ♪…とお邪魔する。
 ソジャ親分は既報の通り、メヒコ出張中。スーシェフ以下の忙しく動き回るスタッフは、みな若い。そして、屈強で聡明そうなスーシェフはいい店のメルクマール、、、当り前だけど(笑)。

 忙しい…といえばそうだ、こちらも平日だが最終的にはほぼ満席。よく入るな、ガリシアガストロ。大都市ガストロに比べちゃうと愕然とするくらい安くて、来やすいこともあろうが。
Casa Solla
 目の前でシェフが完成させたのは季節のセタのアンサンブル。
 濃いソースの上にサツマイモニョッキ、そして数種類の茸。
 実に香り高い。生~加熱は種類によって様々。大型の白マッシュルームは味わい深く、他店でも使用される頻度が高い印象があった。
 ちょっと鼻がよくなったような夢を見させてくれるガリシアである。

Entrecot de Vaca, Hojas y Apionabo.
 席に戻り、ここで一発、肉が入る。ガリシアの馬鹿♪
 ガブリエルがアピオナボを擦りかける。
 噛み味が旨い。
Casa Solla
Casa Solla Rodaballo y la Patata en Caldeirada.
 そして、次は、一つの勝負どころ、山場と言ってもよかろうか。
 ガリシアのラスボス格のひとり、ロダバージョである。
「この海の王は、ただこのまま、召し上がっていただきたい」
 と、静かにひとり塩焼き…が輿にのる。
 皮の色に近い輿…皿が選ばれているのが、渋い。
 そして、芋とカルディラーダソース・シーフェンネルは別添の器に用意される。なるほど。
 ズズーんとした食い応えが、…いや塩は軽く身もウルっと艶かしいのだが、存在感の巨大さが迫り来る。これはウンマイ!
 ソースセットもたまらない魅力。ソース・アボワールというか、舐めながらいただくソースというか。コチラのカルディラーダは、人懐こく香ばしくも、実にクリーン。
 ワインはマヨルカの地葡萄赤…ってのがまた、わかってらっさる感じ♪
Casa Solla
Guisante y Mar.
 伸びやかな大独唱を次にどう受けるかと思ったら、わーい、ギサンテスだ~。スペインの春でおじゃる。海の出汁仕立て、ピンクの花を散らして。
 豆のチビっ子な香りの粒子がスキップらららんと鼻腔を抜けて行く。
Casa Solla Casa Solla
Centolla y Curry Rojo.
 卓上のテトリスブロックが再構成されて、そこにパーツが置かれる。
 眼前の皿上に組み上げられるのは、キングタラバ蟹のレッドカレー。海藻円盤に海藻テンプラ(と言ってた)を被せる。楽しい宴。
Casa Solla
Nuestra Filloa-fajita de Raxo ahumado.
 火鉢が来て、皿に黄色い円盤が見えた…おお、タコスですか、メヒコからのメッセージか(笑)。(後で貰ったメニューを見たら「ファヒータ」ですな)
 肉をさっと火鉢で炙る、立ち昇る煙、タコスに丸めてパクっ、ウマ♪ ソースが合ってる。
(後日:メニュー解題をすると「Raxo」はガリシア、とくにアコルーニャあたりの肉料理で、まあ、豚のロモをダイスカットで炙ったもの…のようだ)
 ワインはリオハTentenublo Xerico。白葡萄も混ざってんだっけな、美味。後で画像検索すると、ラベルに年度ごとに違う人の肖像画があるのだが、一様に情けない顔に見えるのが印象的w。
Casa Solla
Casa Solla Nuestros callos de pulpo!!
 さて、サレの最後は…蛸だ!
 いやあご馳走だなあ、オールスターキャストだなあ。
 「蛸のカジョス仕立て」ですと、洒落てやがるなあ。美味しいし。
 ハラリとサリコルニアが数本。今日も複数箇所で登場してたけど、サリコルニアは「普通の野菜」的にホントよく使うなあ。
Casa Solla
Sopa citrica de aromaticas.
 口直し的プレデセールとして、ソパ・シトリカ。緑一色の酸味。
 ガリシアは狂言回し的に端々で「ソパ」が出てくる。汁人間である俺らは、その辺りもガリシアと気が合うんかいのお♪
Casa Solla
Leche cuajada de cabra, acedera y calabaza.
 山羊乳生チーズにソレルのソース・カボチャのアイス。爽快。
Casa Solla
Primavera (Postre o No??)
 石の上に花畑。ポストレなんでしょうか?w
Casa Solla
Carajillo de Chocolate.
 “カラヒージョは、コーヒーにブランデー、ウイスキー、アニス酒(パスティス)などの蒸留酒またはラム酒を注いで作るスペインの温かい飲み物である” by Wiki
 こちらでガリシアガストロは3軒目になるが、共通して言えることは、ポストレが軽い。軽い仕立て…ということもあるが、設計自体、軽い。プレデセールや小菓子に近い。ボクらには向いてるけど、「デザートが楽しみで♪」ってヒトには肩透かし気味かも?

 ポストレのお相手が、アストゥリアスのシドラなのが、なにげに嬉しい♪

Seleccion de Quesos.
 ちょびっつ変わった順番だが、ここでケソ。
 そうでなくても「フロマージュはパス」が多いウチなのだが、ガリシア料理って負担少ない…というか、おなか軽いのよねー。今日はいただく。4種ほど切ってもらう。
 また、ガリシアのケソ…って食べ軽いんだよねー。
 マデラで。

Los chocolates.
 そして小菓子。
 ここんち、変わってることに、後半戦からワイングラスが空いてもさげないんだよな~。なので、コノ頃には卓上にグラスが林立している。
 見ようによっては、とってもフェットな眺め。…それを狙ってんのかな♪
Casa Solla
 トイレから帰ってくると、へべがガブリエルと雑談してる。
「昨日がぺぺヴィエイラで今日はウチ、明日は?」
「マルハリモン」
「そりゃイイね」
「参考までにこの辺のいいとこ、教えてよ」
「そうだなあ、オグローベに戻っちゃうけどクレールドパウっていう…」
「一昨日行きますた」
「(笑)。あとねえ、クラッシックなローカルフードだと、ドゥベルト…」
「さき一昨日行きますたw」
「(^^;)。おっけー、わかったわかった、じゃあ後は我が家に来なさい。ボクが最高のトルティーヤ焼いてあげるよん♪」
 …ううむ、コイツはホントによく出来たメートルだ。

[へべ]
 シェフ・ペペソジャさんは、ご近所で聞いた噂(笑)の通りお留守のようで残念…しかしながら店のほうは、優秀でイカしたメートルのガブリエル君と、精悍で屈強そうなスーシェフ氏を筆頭に、なんとも若々しくも士気高いチームが見事な料理とサービスを供してくれて、無問題。
「これなら安心して外遊できるよねー」とAQと顔を見合わせて深くうなずく屈強な布陣でした。チーム構築中のシェフは、これ見たら、うらやましいだろうな…。
Casa Solla
 ブラディマリー争奪戦?のお茶目な趣向を口きりに、甘、塩、酸、苦、旨の五味アミューズ(mochi入り)や、目の前でクロックをごりごりやってソースを仕上げてくれるシガラの段、厨房ツアー、タコスの段など、随所に遊び心のみられる楽しい構成を繰り出しつつ、料理は緩みなくピントが合っているのが素晴らしいです。
 清らかな帆立、白アスパラに卵黄をまとったメロのタルタル、厨房でいただいた茸アンサンブル、「焼いただけ」で登場する迫力のロダバージョ、海の風味のギサンテス…鮮烈な印象がいまもクリアに残る料理の数々を、ゆったりと、時にくすくす笑いながら満喫させてもらいました。ああ、しあわせ!

[AQ!]
 ちなみにこちらは、コース2種とアラカルト。頼んだのは大コース「Viaxemos」で、
「ガリシア人であるが、旅は好き、色んな経験に影響されてるけど、ガリシアは離れない。っつうか黙って食べてみてちょ」
 みたいなテーマ(笑)。(店としてはイチオシです、とのこと)

 工夫・演出・国際・ローカル・直球・ナックル…まあ「モダン」らしきものをドカンドカン詰め込んだ(笑)コースなんだけど、実に気持ちよくいただける。
 まあ、「ほぼどの皿も美味しい」ってのは偉大なことだな♪
 背後に何となくベテラン的な余裕があるのも大きい。
 それになんだ、やっぱ、田舎ってのはイイ。こっちの気分がね、大都会のレストランでやられると「鼻白むような演出」も田舎だと「アッハッハ♪」…ってことは、あるあるだよね。
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  Casa Vergara  カサ・ベルガラ
  
Calle Mayor, 21, 20003 San Sebastián, Guipúzcoa +34 943 43 10 73 www.grupogarrancho.com/bares/casa-vergara-1948

・ DonostiaのBar/Restaurante
  → 2018バスク旅行記はこちら

Vergara 2018年12月 ☆

 *Kokotxas rebozadas
 *ギンディージャ、オリーブ、バカラオの串

[へべ]
 2軒目CASA VERGARA since1948
 ギンディージャ、オリーブ、バカラオ。ラタトゥイユ風野菜とココチャのタルト。

[AQ!]
 ウロチョロ回ってホテル近くに戻ってきた。ん~、もう一杯。サンタ・マリア教会前。
 近年の改装のようでバル街から浮いてるくらいナウっちい作りだが、1948年開業の老舗みたいだ。
 奥が空いてきてるみたいなので、入り込んで座る。ドス・ヴィノティント。
 「ピンチョはえ~と…」って言ってたら小さいオジサンが皿をくれて、
「ピンチョ? なら、カウンター上から勝手に取ってくるづら♪」
 よく見ると結構小奇麗なツマミが並んでる。
 取ってきた2品、とくにKokotxas rebozadasは美味。イイ店なんじゃないかな♪
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  Castillería  カスティッジェリア
  
Pago de Sta Lucía s/n, Vejer de la Frontera, Cádiz. España  +34 956 45 14 97 www.restaurantecastilleria.com
金昼・冬期休
料理長: Juan Valdés

・ ベヘール・デ・ラ・フロンテラの薪焼ステーキ
Castilleria 2015年 5月 ☆☆☆

 *ワカモレ
 *Pimientos asados y espárragos verdes.
 *Salmorejo con huevo y jamón.
 *Lomo alto de ternera Retinta a la parrilla (La Janda, Cádiz).
 *Lomo de vaca Frisona a la parrilla (Sevilla, Cádiz).
 *Flan de huevo con frutas rojas al vino fino de Jerez
 *Torrijas con chantilly helado de anis
 +11 Taberner Huerta de Albalá

[AQ!]
 プエルト・デ・サンタマリアをちょこっと齧ったばかりではあるが、今日は、べヘール・デラ・フロンテラに遠足。

 へべ、べヘールに行く♪
Castilleria
 べヘールはいわゆる「アンダルシアの白い村」の代表格の一つ(ロンダ、とか、ね)で人気スポットでもあるのだが、ワシらの目的はとーぜん(?)食い気。
 べヘールの村のトイ面の山腹にCastelleriaという薪焼きステーキ屋があるらしい。
 こちら、101かなんかのランキングで、スペインの焼肉店ベスト10に食い込んだ。焼肉ジャンルは通常、北部・中部スペインの天下なので、南は珍しい。

 ホテルでタクシーを呼ぶ。
 オラ!
 やあゴキゲンなオッさんだ。
 シャツから腹が出てる。明らかに出まくっている。
 へべによると、腹の腹毛がクルクルしててカワイイ、という。
Castilleria
「オッさん、ここはひとつ、べヘールへ行ってちょでムーちょ?」
「べヘールって言ったかもでがんわ?」
 やったねガッツポーズモードでオッさんは走り出す。

 町を出るとウンモメントとか言って何かと思ったらガソリンスタンドに入ったーもす。
 小走りに給油詮へ走り、小走りに戻ってコチラを向いて、
「ハピードゥ!!!」
 もおオメー、ムーチャス、スペイン人過ぎでがんわ! 素早いダロ俺…って口に出さないではおられないスペイン気質が、長距離が出て小躍りしている(笑)。
Castilleria
 Puerto de Santa MariaからVejer de la Fronteraまでは小一時間。
 タクシー7000円くらいだっけかな。バス便がかなり少ないんで、自由度を求めるとタクシーかレンタカーになる。飲む場合は、タクシー一択(笑)。

 オッさんは戸惑うことなくVejerに入っていく、さっき見せた簡単なアドレスでわかったんかいな…と見てると、まっすぐ「Oficina de Turismo」に乗り付ける。
 あ、なるほど、ネ。

「おいオマーら、向かいの山みたいだど」
 うんうん、そうなんだよ、ヨロシクね。
 その向かいの山へ登る小路に入る。
 数百メートル進んだところにカフェがあり「毎日ここで生存報告してるだよ」風の爺さんたちがたまってるとこでオッさんは停車、
「オラ爺さまがた、カスティジェリアとかいう店はあるだら?」
「あーあー、まだ先だべ、ばれ」
Castilleria
 案外進むのである。小高い中腹まで登ったところで、「Castillería」の看板が現れた。
 基本、何もない山だが、この辺りに2,3軒の店。

 おお着いたぜ、オッさんむちゃぐらしあ…と、カメラなど出してるとオッさん、
「オメーら、シャッター押してやるぜよ♪」
 と最後までゴキゲンなのでありました。

 予約時間まで小一時間・開店まで小30分…ほどあるので、あたりを散策。
 田舎の山、のどか、気持ちいい。草、花、小公園。
 滝なんかもある。「滝ぢゃ~」と喜んでたら、測量かなんかにきてるオジサンが後ろの山を指して、
「あの辺まで登るともっとでっかい滝があるんだお!」

 ***
Castilleria
「オラ!」
「いらっさい、まあ好きなとこどうぞ♪」
 のんびりして気持ちのいい作り、見渡す限りでは全てテラス席である。室内にも少しは、席あるのかな?
 屋根がしっかりしたテラスなので、雨には大丈夫だろう。嵐だったら?…幌でもおろせばOKかな?
 風が吹き抜けて心地良い。

 前菜は軽く、ピミエント・エスパラゴスのアサドとサルモレホ。
 お楽しみの焼肉は、迷う。羊と豚も手厚いのだが、今日は牛で行く。
 牛も、地元・ラマンチャ・レオン・エストレマドゥラ…とバラエティに富むのだが、やっぱ折角だからこの辺の産を。
 地元ハンダのテルネラ(8~12ヶ月)にセビージャのバカ(4~6歳)。

 半オープンの厨房の横に肉の陳列ケースが用意されている。
 目利きのヒトはこちらで見て相談して注文…というのも良い手のようだ。
 大人数で塊で焼いてる卓もあるし、家族連れで順々に色んな肉を焼いてもらってみんなで突っついてる卓もある。
 肉焼きの店だけあって食べ方はそれぞれフリーフォームだ。後から来た老夫婦は突き出しをつついた後、すぐにステーキを食べ、珈琲を飲み、帰っていった。コンパクトや♪
Castilleria
 それにしても気持ちいいテラスで、旨い野菜を食ってワイン飲んでるだけでだいぶ多幸系のニンゲンとなる。
 そこにステーキをガツンとやられれば、脳内から快楽物質が湧き出して、これはもうどのくらい旨いのかよくわからんぐらいハッピーになる♪
 もう、これこそがステーキ!
 とくにセビリアのバカは、この地を再訪する機会があったらまた食べたい!…と思うくらいの、牛肉の核心。

 ボクらはもうステーキを食べてしまったけど、名残り惜しや…と肉の顔色を見に行く。
 と、厨房の連中がみんなこっち見てニヤニヤ…「今日は珍しい奴がいるな♪」って感じで手招きする。
「オラ、泣くほどウマカッタだよ」
 と入ってくと、焼き場を見せてくれる。
 グリルの下の火は2段になってる。
 30cmほど下の引き出しになってる棚には熾火がびっしり入っている。
 その熾火と肉の間に火種の棚があって、このより肉に近い段に、激しく燃えている薪を入れたり、しんねりした熾火を置いたり…という具合でキュイソンの調整を行う。
 およそ、そんな仕掛けのようだ。

 肉の陳列ケースは「大らかな置き方だね~(笑)」って感じだが、帰り際の時間になるともう肉は撤収されてしまう。
 とーぜんとはいえ、マメなことだ。
Castilleria
 ***

「ここはイイねえ」
「この店はサイコーだねえ」
 の白痴会話を30回くらい繰り返す極楽系の昼下がり。

 店の裏手には、遊具の備わった公園もついてます。
 のんびりしてるなあ~♪
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  El Celler de Can Roca エル・セラー・デ・カン・ロカ
  
Can Sunyer, 48 17007 Girona 972 222 157  (FAX 972 485 259) www.cellercanroca.com
日月休
1986年開業 料理長: Joan Roca パティシエ: Jordi Roca ソムリエ: Josep Roca
・ 21世紀のカタルーニャ料理を代表する一軒
 久しぶりにサイトを覗いてみたら、移転したみたいです。以前(ctra. Taiala, 40 17007 Girona)には「親の代からの町外れの小さな店」の雰囲気濃厚で、そのハコで21世紀最高最先端のレストランをやっているというのも面白くはあったのですが、新店は、写真で見る限り、クールモダンに切れ上がって、料理をはじめとする内容に合ってきたような気がします。ま、これで三ツ星かな(笑)。 (2008)

 ミシュランガイド2010で、三ツ星達成。

  → 2007カタルーニャ旅行記はこちら

[↓メモ版:工事中]
2007年 5月 ☆☆☆☆

 *トリッパデバカラオのカリカリ揚げ、黒オリーブの黒テュイユ、パルメザン細切カリカリ
 *空豆とナランハのムスリーヌ、ピチョンサングレ・ブリストルクリーム・ナランハのペースト、フォアグラ・ナッツ・トリュフ・ミントのボンボン
 *Ostras al Champagne, manzana, curry, comino y pan de especias
 *Sopa fria de manzana con granizado de tomate, menta, albahaca, anchoas y helado de vinagre de Modena
 *Lubina ligeramente ahumada con compota de citricos
 *Arroz de perdiz y sepia (1999)
 *Ventresca de cabrito con parmentier de leche de cabra y menta
 *Adaptacion del perfume Miracle Forever:(Arandanos, pachuli, vainilla, sandalo, violeta, miel y almendra amarga)
 *El viaje a la Habana:(mojito-bizcocho de ron, sopa de lima, granizado de menta y azucar de cana. Puro Habano helado Serie D No.4 de Partagas con ceniza de especies)
 *カシス、パンデピス五香粉調、チョコラレチェ
 +03 Doix

(コメント工事中)
[へべ]
 オレンジ色、おちついた店内。
 カバ&つまみでメニュー検討。
 DEGUも5+2くらいでどうか?と思うがT先生おすすめの気になる皿がみえてきてMedio作戦に。
「メディオでOK?」
「うん、それだとこのクラシコのこのへんとかいいんじゃ?」
 と勧めるのをさえぎって希望の品々を伝える。
「いいんじゃない? ばっちり」
 とお許し出る。

 アミューズ3品、フォアグラとナッツとトリュフのボンボンがすごい。外に香草(エストラゴン?)一体化してて複雑で…ひきつけられる。もちろん旨い。
 牡蠣。かっこいい。泡、予想よりナチュラル。手榴弾をタテ半割り長伸したみたいな器で。フリュイ?のダイス。

[AQ!]
 超美味!!
 Ostras al Champagne 凄い。泡の具合は、予想してたのと本物の泡の、中間くらい。これがハートキャッチだが、味がスゲー!
 万華鏡的でいて求心的でもある。
 カレー部分については、「ユイットルオゥカレーもここまで来たか」の嘆息モノ。柴田書店の写真にあったワイングラスではなく、ガラス瓶を縦に二等分したような容器で供される(こっちの方が食いやすかろう)。

 Sopa カルドを卓上で注ぎいれ型。Vacaやアンチョワ。アンチョワと行く時の、アンチョワのしどけなさが印象的。これも、宇宙的に展開するが、最後に数匙のスープを口に含んでいる間に、頭の中は大きな林檎の姿に収束していく。まことに見事である。

 Lubinaのアフマダは、直接の燻製でなく、燻製オイルと真空調理…という方法によるものか、ハッ!とするような鮮やかさで、全面的に「味のボケ」を拭い去った感じ。
 火入れは「ザ・モダン・スパニッシュ」。
 ソースのレモン(?)具合も素晴らしい。いったいに此処んちのソースは、自らの美味を強調し過ぎずまことに協力的である。
 盛り付けキレイ。モヤシ、それも「豆苗の軟白みたいな感じ」、の数本が、かなり効いている。モヤシの「口の中での空気(香り)」がソースとなってLubinaを食える感じ。「エスパラゴスヴェルデよりずっと効果的」…と話す。

 Arrozはクラシックのコーナーから、1999年作品。
 目をひく組合せ(perdiz y sepia)であるが、海+山は、カタルーニャ伝統の考え方、ということもあろう。
 ズンと安定感のあるタチ。
 「コイカ・ト・ウズラ」(T島せんせ、サービスにハポネス伝授しました?)との説明、そのperdizは大層ウマイ。

 仔山羊はカルパチョじゃないけど、薄めのカットで、表面だけカリッと他はシ~ットリと焼き、非常に香り高い。また、肉の汁気を軽くまとった繊維の感触が快く、ストレートに美味なヴィアンドとなっている。
 そこに、トーゼンのように「カーチャンのケソ」のソースがぴったり合う。少しつけても、ベッチャリつけても、旨い。ソース自体は意外に穏やかであるのだが。
 へべは「考えようによってはブラックな組合せね」と笑う。
 それにしても、カタルーニャの仔山羊は美味。日本の某島のとか、比べたくないわなー(^^;)。

 Miracle Forever 比較用の「本物」の香りを含ませた“香り傘”がついてくる。匂ぐと、たしかに!似てんだよ。

 ハバナ旅行は、葉巻の香りをつけたクレームのエラード、ってのが元になっているのか、「うわ~、たばこ!葉巻!」と、食ってる最中何回ワメイタことか。
 甘い葉巻が、すげーウマイ。コロナ・ド・トラマもここまで来たか!(^^;)
 これは、次回、まだあったらまた頼んでしまうと思う。

 ま、しかし、アミューズのピチョンペーストとフォアグラボンボンを食って、頭が真っ白にならない人は、いないだろう(多分)。
 隣接する建物、トーチャンカーチャンの(先代)食堂「カン・ロカ」は、すげ~いなたいお姿で健在、先にそっちを見つけてしまったヒトは目が白黒であろう。
 それをのけても、立地はかなり“何てことない”場所で、ロリアンのアンフィトリオンを思い出した。

 サルは赤~ピンク~オレンジ系、椅子の地は赤(ワシの体形にはあまり、かけ心地よくない)で、不満ないが、スペイン前線としては特に洒脱なキレは無し。
 また、目印皿兼用で途中まで活躍する大皿が「ブルガリ」であったり、この辺りは「料理人はアーティストじゃなくてアルティザンだよ」主張派のジョアンらしいのかな、とも思う。

 コース…じゃなくてワシらのアラカルトの訳だが、全体の流れの「天空にばらまかれた星々の輝きが地表に落ちて一つの巨大なモノリスに収束する」感覚は、何なんだろう。ワシらの注文が上手いのだろう(笑)。この辺は、また明日見てみよう。

 ワインリストは3冊組で、コロがついた書棚ごとゴロゴロとやってくる。
 今日は、「プリオラートから選んでチョ」。

 バターはソースパン。
(コメント工事中)

[↓メモ版:工事中]
2007年 5月 ☆☆

 *トリッパデバカラオのカリカリ揚げ、黒オリーブの黒テュイユ、パルメザン細切カリカリ
 *白アスパラのムース、マリスコスっぽいペースト、ムールに泡
 *Sopa de Comte con cebollitas al romero, laurel, tomillo, jerez
 *"Fideua" de gambas sin fideos y muselina de ajos tiernos
 *Salmonetes con arroz de su higado, maionesa ligera de sus espinas
 *Terrina melosa de ternera con encurtidos y aceite de trufa
 *Cromatismo verde:(parfait de Chartruse, te verde, pistachos y balsamicos)
 *Postre lactico:(dulce de leche, helado de leche de oveja, espuma de recuit de oveja,logurt de oveja y nube lactica)
 +02 Seleccion Especial Mozart

Can Roca Can Roca Can Roca
(コメント工事中)
[AQ!]
 今日は一番奥。竹林とピシーヌが見える。「最上席」っぽい。「ロマンチックな席でしょ」とウィンクされる。このパートは壁が黄色で椅子の背は青、S字にのたくる照明が可愛い。やはり豪奢さより親密感のある作りだ。

 コンテスープは、生セボージャと、火入れ刻み固めてラグビーボール型にしたのと(一つ一つに白花を添えているのが小技)、謎の黒輪っか。ジュレを固めたようで、玉葱焦がしの抽出風味とかでしょうかねー?

 フィデオ(もどき)を見て「ホンダワラ!」と言う奴(^^;)。海老は何処となく香港の香り!も (後に、「そうよアレ、海鮮春雨土鍋だわ」)。
 不思議な海老エッセンスの詰まったフィデオ、美味!あーんど黄色い大蒜エスプーマソースの相性が抜群。

 アロスネグロ、このカタルーニャごはんの味は何処でも一定している。今日のはさらに肝風味だけど、それ以上にベースにあるカタルーニャ味が強い。そして量も(全体のバランスから見ると)ゴッツリ。地元民にとって、これこそカタラン、なんでしょうなぁ。

 サルモネテスはずばりルジェ、香ばしさも出るくらいに焼きあがっている。

 テルネラはトロトロに煮込んだものをテリーヌ型にまとめた…、のかなぁ、印象はそんな感じで、凝縮されきった美味。
 ここに、トリュフの香りの、これまた凝縮版を対比させてる。この濃縮同士の作る鋭角に、素敵に絡むのが、香草花・もやしたちの可憐(だがかなり力のある)な香り。

 ジョアンは、素材の味・香りの作る格子の組み合わせ方や、その合間をソースやガルニでどう縫って行くか、の感性が素晴らしい。

 ラクティコは、綿アメは冗談くさいとして、各パーツ美味しい。

 緑のクロマティズモは、緑の蛍光を仕込んだ皿で。日本人なら、テ・ヴェルデをも~っと強く出すんだろうに、って具合が、文化的には面白い。

 今日もジョアン、そして気のいいサービス連中のお見送り。ジョアン、フランス語で話しかけてきたな。また来るからヨロピクね。
(コメント工事中)
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  Bar la Cepa  バル・ラ・セパ
  
31 de Agosto Kalea, 7, 9, 20003 San Sebastián +34 943 42 63 94 www.barlacepa.com

・ DonostiaのBar/Restaurante
  → 2018バスク旅行記はこちら

Cepa 2018年12月 ☆

 *Tortilla
 *Tarta de queso con galleta y frutos rojos

[AQ!]
 21時も回り、バルの巷によろばい出る。部屋を出て25秒で最初の飲み屋。いい宿を取ったもんだ(笑)。
 すぐそこのサンテルモとラ・ヴィーニャの混雑ぶり見物。おお、さすがに鼻血が出そうですな(笑)。

 まだ身体がバルの人山に順応してないので其処は避け、…と言いながら、さほど変わらぬ人気店のラ・セパに吸い込まれてみる。
 後方でうろついてるうちにカウンター横のベンチに空きが出て、ありがたくはまる。
Cepa
 チャコリとトルティーヤ(けっこー良い)…とベタ沼にはまって、ドノスティア到着を祝う。
 この店はハモンが売れる。カーニャまでハモン(の形のサーバー)から注ぐw。

 ところでラ・セパはタルタデケソも高名、隣のラ・ヴィーニャの「焼き」に対して「生」タイプの雄と言う。
 ヴィノティントに展開して、注文。
 タルタデケソ、おい、ウマイぞ! わーい♪
Cepa
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  La Cervecería Estrella de Galicia 
  
Rúa Concepción Arenal, 10, 15006 A Coruña +34 981 29 18 19

・ Estrella Galicia 直営のセルベセリア
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

LCEG 2018年 4月 ☆

 *Patatas Bonilla
 *Empanada de atun
 *Hamburguesa de ternera gallega
 +Cerveza de bodega
 +1906

[AQ!]
 狙った訳じゃないけど、ホテルから歩いて5分ほどのところに、エストレージャガリシアの直営のセルベセリアがある。
 昼は此処でしょ♪

[へべ]
 正午の開店口開けねらいで。ポツポツ小雨。店の前にはすでに男性2人が開店待ち、続いて大人数の家族連れ、地元のおじさん達など結構な人数が。

 いざ開店!
 広い店内、味のあるカウンターでは早速位置についた若手がカーニャを注ぎはじめていて、最速の地元おじさん1号はシャッター上がって開門から30秒後くらいでもう着席して新聞広げてカーニャ飲んでたのには驚いた。

 一杯目のカーニャ、これが旨い!
 エストレージャガリシアはもともといいビールだと思っていたけれど、それでも大元はもっともっと豊かだったのだと知らされる。
 カウンターの上方には、製造タンクから直接あなたのコパヘ、的なことが大書されていて、まさにそんな味。
LCEG
[AQ!]
 吹き上げる風味、苦味と甘味の絶妙なバランス、形のいいボディ。素晴らしきダイレクト・エストレージャガリシア。

[へべ]
 開店直後はパタタスブラバスもアンブルゲサもまだ駄目、1時以降なら的なことで、これならあるよというエンパナーダスをいただく。
 これがまた旨い!
 ツナと赤ピミエントスとセボジャ、こっくりと深い味で、パイも香ばしくて。

 新聞おじさん、だんだん友達増えていく。
 若いイケメンおどおど男子たち(高い高い時代とおっさんの間の、ちょいと居心地悪そうな世代)、相席チャレンジ(他の席でさっき断られてた)OKしたらアンチョアケソとかクロケタとかもりもり食ってた。
 子供連れ大家族、老母連れ、男女、おっさん、おっさん達…。やはりおっさん達のしばしも休まぬ弾丸喋り続けモード、スペインに帰ってきたなという気になる。

 ポテチ非常においしい!、アンブルゲサ、シンプルかつちゃんとおいしい、1906カーニャ一段濃い、これも旨い。
LCEG
[AQ!]
 ビバガリシア♪
 エンパナーダとカーニャ、もう他に何も要らんぜ…ってくらい、顔がにやける。
 ポテチは、市販の大袋をガサガサガサと開けて出すだけ(どんだけ在庫してんだろう…というくらい売れて行く)なのだが、これが糞旨い!…のがスペイン。「Bonilla a la Vista」だったかなあ? (スペイン・ポテチ・ベスト8にも選ばれるアコルーニャのメーカー)

[へべ]
 フロアのおじさん給仕頭ものすごく働き者、あちこちからひっきりなしの注文やら追加オーダーやら来るのをさくさく捌き、ちょいと手が空くと7、8杯カーニャ載せたお盆を片手に客席巡り、お代わりいかが活動など。
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  Choco  チョコ
  
Compositor Serrano Lucena 14, Córdoba 14010-Córdoba (España) 957 264 863 / 647 959 388 www.restaurantechoco.es
日夜・月休
料理長: Kisko García

・ コルドバのレストランテ
2015年 4月 ☆☆☆

 Menu Kisko Garcia.
 ~Aperitivos.
 *Desayuno de vendimia. : Manteca Colorá, pan y chorizo de esturion. (Gluten, frutos secos, pescado, sulfitos)
 *Encurtidos. : Cucurucho de algas, encurtidos y kimchi. (Vegetales, hortalizas, gluten, soja, sulfitos)
 ~Entradas.
 *Trucha ahumada. : Empanadilla de árbol, trucha y caviar. (Pescado, hortaliza, lacteos, vegetales, sulfitos)
 *Capuccino de Sierra Morena. : Caldo untuoso de jamon iberico, emulsion y ajo negro. (Lacteo, trazas de pescado.)
 *Ostra !"Aliñá"!. : Ostra fresca especial Gillardeau, sibech arabe y su perla. (molusco, hortalizas, vetales, pescado.lacteo)
 *Verde que te quiero verde. : Picadillo de tomate, gamba blanca de Huelva y gazpacho verde. (Vegetales, hortalizas, marisco, lacteo, raices, soja, sulfitos)
 *Pan cálao : Brioche, boletus laminados, y meniere.. (gluten, lacteo, setas, hortalizas, sulfitos)
 *Que fue antes el huevo o la gallina. : Huevo de ganso, patata y guiso de sus interiores. (huevo, soja, lacteo, glutten, trazas de pescado, legumbres, sulfitos)
 ~Pescado
 *Anguila marina? : Anguila hecha lentamente, caldo yodado y aceite de pino. (pescado, lacteo, marisco, sulfitos)
 *Choco plancha. : Choco asado, vinagreta de limon y cebollitas. (cefalopodos, frutas, citricos, hortalizas, vegetales, sulfitos)
 ~Carnes
 *鴨のEmpanadillas : Gyozas
 ~Postre
 *Lima Limón. : Cremoso de limon de Palma, hojas crujientes y lima. (fruta citrica, lacteo, huevo, gluten)
 *Torrija amanecer de cordoba. : Vnilla, naranja, cardamomo y helado de te. (vaina, fruta citrica, semilla gluten, lacteo, frutos secos)
 +Bodegas Alvear : Lagar de las Puentes, Fino, Oloroso, Pedro Ximénez 1927


[へべ]
 キスコガルシアのChoco、いい感じ。

[AQ!]
 この地もレストランは日月休が多いのでその過ごし方が難しいのだが、コルドバの「Choco」が日昼はやってるので、コルドバに足をのばす。
 マラガ・コルドバ間はRenfeで一時間弱と動きやすいこともある。

 スパニッシュ・スタイルで、「レタウランテ」(by タクシーの運転手氏の発音)のフロントにカフェ・バーが併設してる作り。
 開店まで20分くらいあるのでブロックを一周ほど散歩してこようか、などと言ったら、バルの兄ちゃんが出てきて
「オマーら、レタウランテか? それならコッチ、こっち」
 と連れてってくれた。
 そんなわけで俺らが1組目だけど、2組目も開店時間前の着、3組目で開店オンタイムくらい。
 呑気な癖してせっかちであるのもスペイン人だべっちょ。

「あちらへどうぞ」と示される手前の席に座ろうとすると、「ちゃうちゃう、奥だ奥」と最上席くさいお姫様ポジションの卓へ通される。
 遠方エトランジェの早期予約…は、敬われたようだ。

 カヴァから。

 メートルはキレそうな人、プラスでぶっちょ1人、の2人で回す。
 この後の「Messina」もだが、英語うめ〜。思った以上にアンダルシアは観光立国性が高いのかなあ。

「こーゆーとこに来るのが楽しい!」…ってレストラン。
 まだ30代の若手Kisko Garciaの、ミチェリン1つ星・レプソル2太陽…くらいの店。
 オーソドックスな基本にいい花を咲かせている。
 アセゾネは旨味を積極的にアピールする強さで、反面、「後半に塩疲れとか塩ダレしてくるかなあ?」とも思っていたのだが、全然それは来ない。
 そのイキとヌキが巧みな感じはキスコの感性かなあ。
 餃子仕立ての包み方とかに多少のアジアンヒントはあるかもしれないが、醤油をはじめとする「日本指数」はほぼゼロ。やっぱスペインの若手は、この段階で食っとかないと(笑)。
 こういう店が大都市にあって、テキトーに何でもアルバの白トリュフやら日本の海苔やらかけておけば星は上がるんだろうけど、ね(笑)。

 オリーブオイルが途方もなく良い。「Alejandría Premium」。
 それにしても総論、アンダルシアって奴は、ここまでずーーーっとオリーブばっかり生やしているとは、やっぱ実物見るまでは思いませんでした。
 電車やバスから見てると、その「延々と続く畑」状態は驚きだ。まあ乾いているし、オリーブくらいしか金になる作物もないんだろうが。

 さてコースは「Desayuno」をテーマに始まる。おはやうございます♪

Desayuno de vendimia. : Manteca Colorá, pan y chorizo de esturion
 まず「Manteca Colorá」は今回のアンダルシア・キーワードの一つ。
 一応wikiりますと
「Se llama manteca colorá a la manteca de cerdo de color anaranjado cocinada con trozos de carne (a veces picada), normalmente también de cerdo, pimentón (de ahí el color que le da nombre) y otras especias, habitualmente orégano y laurel. En ocasiones se le añade también un chorro de vinagre, cáscaras de naranja o algún otro ingrediente ácido.」
 となるピメント・オレガノ・ローレル入りのラール味噌。
 市場で見るとアチコチでずらっと並んでる。
 これの「チョコ」版。
 それと、メートルが目の前で切ってくれるチョウザメ(Guadalquivir川産、らしい)のチョリソ。で、パンを食う。

Encurtidos. : Cucurucho de algas, encurtidos y kimchi
 乾燥海草のコルネに発酵野菜を詰めて。
 今回の発見だが「キムチ」という用語がアチコチで使われてた。韓国政府のキャンペーンも成功したもんだが、発酵野菜にピカンテ…くらいをそう呼ぶようになってきてる感じかなあ?

Trucha ahumada. : Empanadilla de árbol, trucha y caviar
 南瓜練り込み皮のエンパナディージャで。

Capuccino de Sierra Morena. : Caldo untuoso de jamon iberico, emulsion y ajo negro
 イベリコハムのブロスのカプチーノ、は、凝り過ぎずに素直に味わえる。アホネグロはアチコチで見た。
 酒がうめー!

Ostra !"Aliñá"!. : Ostra fresca especial Gillardeau, sibech arabe y su perla
 オストラに野菜のヌーべ…は随分と上手く行っている。おいしい。
 この野菜ソースの具合が「Aliñá」風、かな?
 ヨーグルトの「真珠」付き。

Verde que te quiero verde. : Picadillo de tomate, gamba blanca de Huelva y gazpacho verde
 あと緑の「ガスパチョ」、こらスゲーうまい。
 発酵汁的なニュアンスを感じる味わいは、どうしてるのかなあ?
 手渡しRegañá付き。

Pan cálao : Brioche, boletus laminados, y meniere..
 一緒に付いてくるオンゴスのブロスもしみじみ美味かったなあ。
 ブリオッシュに乗ってる方のオンゴスを見てもやっぱ、「スペインのキノコ、うめ〜」感アリ。
「この辺の山の朝食」風、だそうで。

Que fue antes el huevo o la gallina. : Huevo de ganso, patata y guiso de sus interiores
 鶏が先か卵が先か…と言ってる鵞鳥の玉子。

 さて、デグスタシオンにはワインペアリングの用意があり、お願いするのだが、これがズバリ、へレスのコース。
 ペドロヒメネス4連発!
 へレスになる前の白・フィノ・オロロソ・甘口。
 まず、ヘレス前白ワイン、これは代々木八幡の巨匠の予習が効いた、とも(笑)。
 フィノ・オロロソはノーラベルの瓶から。樽買い…とかなのかなあ。
 とくにオロロソは繊細豪胆、うま。
 いずれもBodegas Alvearのモノのよう、この蔵はヘレス三角地帯ではなくコルドバに近いMontillaにあるらしい。
 …と言う訳で、正しくはヘレス・シェリーではなく、「モンティージャの強化ワイン」アルヴェアール…である。

Anguila marina? : Anguila hecha lentamente, caldo yodado y aceite de pino
 鰻は大変良い。わ~、食いに来て良かった!
 レンタメンテな調理。この魚のフックラした感じと弾力あるブリンとした感じ…のいいとこ取り出来てる。赤野菜とエシャロットの下敷ソースも、蒲焼でいうとタレの役職で、いい働き。

Choco plancha. : Choco asado, vinagreta de limon y cebollitas
「チョコ」は店名でもある烏賊。ハンペン・蒲鉾ジャンルの英雄…って食感のアサド、どんな処理なんかなあ?
 これのソースなんかも「クラシック好き」な人にOKそうなのが、この店の特徴。

鴨のEmpanadillas
 メニュー上「コネホ」の表記は、鴨ラビオリに差し代わってた。
 …というか、gyozasと書いてあるな、餃子。食材の差し代わりは入荷都合かな。


Torrija amanecer de cordoba
 トリッハのガストロ冷製ポストレ版も軽くて秀逸。
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  El Corral del Indiano エル・コーラル・デル・インディアヌ
  
AVDA. DE EUROPA, 14 ARRIONDAS TEL. 985 84 10 72 www.elcorraldelindianu.com
料理長: José Antonio CampoViejo

・ アストゥリアス地方アリオンダスの街中のレストラン
 IndianoはIndianuとも綴る。なんでやねん?(^^;)
 アリオンダスは「Casa Marcial」だけで通り過ぎるのはまことに惜しい。この珠玉の一軒も、是非。

2011年 5月 ☆☆☆

 *Tortu con guacamole
 *Anchoa y queso de cabra afinado en ceniza
 *Xarda marinada y asada, fresca a la pimienta y manzana verde
 *Acelga, ligada con pan y aceite, gel de verduras liofilizadas
 *Interiores de pitu, ostra y papada iberica
 *Ternera ecologica atunizada en un remake de Vitello-tonatto
 *Fabariques con centollo
 *そこの川のサルモン、ギサンテスレグリマ、季節セタ薄切り、ジュレスープ

 *Pichon asado en salmis con cremosos de gamoneu
 *Fabada
 *Queso artesano de leche cruda de cabra
 *Leche fresca, helada y cremosa
 *Chocolate frito, helado de mantequilla tostada
 *Bombones de te y cuajo de queso de los Beyos, membrillo y frutos secos para acompartar el cafe
 +Sidra Nueva Expresion
 +Venta La Ossa


[AQ!]
 アリオンダスのアユンタミエントの近く、街道沿いに地味に小ぢんまりと建つ。我がホテルから歩いて一分。これだけ近いのは、ホテル内レストランはともかくとして、珍しいパターンである。

 いい天気だ。こんにちは。

 入店してみると、適度に採光された空間がシットリとワシらを待っている。
 目の端々に入ってくる絵画が、アーティスティック、実にいい感じ。奥行きがズンとあり、外観から想像するよりずっと広い。サルの奥の方は、天井ガラス張りのテラスとなっている。
 テラスがいいんじゃないかしら、何処でもどうぞ (この町の、オフシーズン平日昼とあって、この後16:15までワシらで貸切)。

 一番奥の、中庭へのガラス扉近くに陣取る。そう、最奥はこれもちゃんとした広さの中庭が手入れされている。木にかかったランタンが可愛い。ソファ、テーブルもある。
 本日昼間はかなり快い気候ゆえ、庭への扉は開けっ放しでスタート。

 日程的には、この日この店は、調整的意味あいもあり、さてどんな具合でしょうか…とメニューを開く。
 デギスタシオンが他店との食材カブリが多かったら、アラカルトで組みましょうか、の心積もり。ところが、こちらデギスタシオンは、メインが鳩で、その他眺め回しても、いい感じにバッティングが少なく、更に、皿々の名乗りが美味そうにうつる。
 ああ、これならデギスタシオンで行っちゃいますか。

 シェフは英語はまったく自信ないようで、厨房の「一番話せる子」を連れてくるのだが、カレも「俺を連れてこられてもなあ」って感じ(笑)。

[へべ]
Tortu con guacamole
 中空こんがりmaizeのtortu、ワカモレ添え

Anchoa y queso de cabra afinado en ceniza
 アンチョビとヤギのチーズ、灰とオイル

Xarda marinada y asada, fresca a la pimienta y manzana verde
 シャルダ(地元の青魚)マリネして焼、pimienta、イチゴと緑リンゴ

Acelga, ligada con pan y aceite, gel de verduras liofilizadas
 acelga(Swiss chard)をオイルとパンでつないだ、アーティチョーク、凍結乾燥野菜のジェル、カリフラワー、にんじん

Interiores de pitu, ostra y papada iberica
 pitu(平飼い地鶏)の内臓の円盤、カキとpapada("papo")イベリコハム、タピオカ玉スープ

Ternera ecologica atunizada en un remake de Vitello-tonatto
 Vitello tonnatoのリメイク

Fabariques con centollo
 カニと豆

Salmonete, asado, esencia cremosa del mar, tratado como una sopa de higado
 サーモン

[AQ!]
 サルモネテ、って品書上はなってたけど、サーモンに差し替えだった。
  *そこの川のサルモン、ギサンテスレグリマ、季節セタ薄切り、ジュレスープ


[へべ]
Pichon asado en salmis con cremosos de gamoneu
 鳩サルミとクリーミーなgamoneuスモークチーズ

Fabada
 ファバーダ

[AQ!]
 オーソドックスなファバーダ

[へべ]
Queso artesano de leche cruda de cabra
 ヤギ・牛 生乳チーズ

Leche fresca, helada y cremosa
 生乳アイス

Chocolate frito, helado de mantequilla tostada
 チョコfrito(クーラン)

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  La Cuchara de San Telmo  ラ・クチャラ・デ・サン・テルモ
  
Santa Korda Kalea, 4, 20003 Donostia +34 943 44 16 55

・ DonostiaのBar/Restaurante
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San Telmo 2018年12月 ☆

 *Kokotxas Gigantes de Bacalao confitadas y asadas, pure de brocoli, algas codium
 *Pulpo Gallego asado con Tximitxurri, Berza templada con un refrito de ajos y tocino de Guijuelo

[AQ!]
 ホテルから事前にメールが届いていた。
Regarding New Year's Eve time (31 & 1) have you got any restaurante reserved? San Sebastian is a very traditional city and most of the restaurants and pintxo bars will be closed.
 一緒に観光協会からの営業店一覧リストも送られたが、たしかに大晦日夜はゴーストタウンだ(笑)。
 さて、昼はどうかな?…と出掛けてみると、確かに人影は少な目。
 まず、Cuchara de San Telmoを覗いてみると、シーン…とする窓に「大晦日は12時半から」とある。ほお、後で来てみよう。
San Telmo
***

 ガンバラで抓んだ後、1時前。
 もう開いているけど、まだマバラ♪
San Telmo
[へべ]
 クチャラサンテルモ。なんと、入れる!
 ヴィノ赤。

 本日おすすめのココチャ。立派なココチャを表面こんがりプランチャ仕上げ、大蒜の効いたブロッコリー入りピルピルソース、サリコルニア添え。

 蛸ガリシアをチミチュリソースで。旨い蛸の厚めスライスの間にキャベツ! いい料理。

[AQ!]
 ほど良い創作性のある料理をほど良くいただきゴキゲン。
 …と我々が食ってるうちにドヤドヤと人山が雪崩こんできて、(いつも通りの)ほど良くない混み具合になってきた(笑)。
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  Culler de Pau  クーレルドパウ
  
Calle Reboredo, 73, 36980 O Grove, Pontevedra, España +34 986 73 22 75

・ オ・グローベのレストランテ
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Culler de Pau 2018年 4月 ☆☆☆☆

 [Descuberta]
 *Esparragos de mar y tierra con fugo de hierbas de litoral
 *Moluscos con fondo de roca y collinabo encurtido
 *Hierbas de Adelina, crocante de arroz y crema de anchoa
 *Caballa, escabeche, zanaholia y rabanito encurtido
 *Centollo "a galega" y guiso de tallos
 *Cebolla de Vilanova, caldo ahumado y aceite especiado
 *Espinaca tres caldos: kombu, lacon y tomate
 *Rodaballo, salsa "meuniere" e hinojos
 *Oreja de cerdo glaseada y mizuna salteada
 *Kefir de leche cruda, frambuesa y vinagreta de remolacha
 *Uva catalana, kiwi y pomelo
 *Tarta de Santiago
 +Fino Capataz, Solera de la Casa. Bodegas Alvear
 +15 Chans e Lus Arnoia Bernardo Estevez

Culler de Pau
[へべ]
 オレオ街道をタクシーでGO! 海を展望する高台に建つ、白い箱のようなモダンなレストラン。
 早めに着いてしまったので周辺を散歩でもしようか…と思ったところへ店から人が出てきて、いらっしゃい♪
 海に向かって開けた展望、明るいグレイの布使いや卓上に石を配したセッティング。どこかブラスに通じるものを感じる。

[AQ!]
 晴れ曇り雨、激しく変わる天候、美しい光。
 今日は晴れの時間が長め。
 Culler de PauはO Groveの市街からタクシーで5分つーか10分つーか、すぐ。
 広い入江を望むほんのちょい高台。そこに白い箱。…白い箱のようなレストラン。
 裏手の傾斜には巨石。たまに巨石が表出してるような地形。
 入江には筏が多く浮かぶ、何作ってんのかなあ。(後日判明したところによれば、多くはメヒヨン)
 全視野の最大面積を占めるのはガリシアの表情豊かな雲。アレが天気に悪戯する。

 開店1時半、予約1時45分、現在1時20分。
 ちょこっと散歩で回って来ようかと思ったとこで、ドアと思しきところから人影。淡いパジャマのような制服(笑)のメートルが、「やあやあいらっしゃい」。
 さすがにO Groveの辺りだとアジア人の姿がなく、ホテルに足を踏み入れただけで「オマエがアキーラだな?」だし、Culler de Pauなんか何も聞かんと「オマエがアキーラだ」と決め打ちだ(笑)。Culler de Pau
「ちょっと早く着いて…」とへべが言うと、「OKOK、入って何か飲んでくださいまし」と案内されて、フィノで乾杯。
 玄関先で捕獲されるのって、トリオに行った時のエリックやアスルメンディに行った時のジョンを思い出す。
 白い店内。メインのサルは8卓くらいかなあ、コンパクト。海に向かったサイドは一面巨大ガラスで、大眺望が開ける。まあ気分良い。ライオールのブラスの開放感と少し似てる。もっとフツーに民家など多いんだけど。
 卓上には各卓趣きの違う石ころ。
 我々が先頭バッターだったがチラリホラリと客は到着する。ベンツ・ポルシェ・BMW・シトローエンエグザンティア…と、顧客は地元名士って感じですかな。結局ほぼ満席。

 大コース・小コース・アラカルト…から大コースを選ぶ。ペアリングは、聞かなかったけどやってないっぽかった。「この辺のヴィノティント」を勧めてもらって1本。
 相客は、地元っぽいせいか、小コースやカルトっぽい卓も多く、帰りはウチより早い卓がいくつか。
Culler de Pau
 さてお抹茶から…じゃなくて、温かいソパ・ヴェルデ。
 斜めに傾いた器に鮮烈な緑。…これが、息をのむ美味しさ。
 クリアで緑・ハーブを効かせた少しだけ粘度あるスープドポワソン、ってところだが、天使が鍋をつついた後の汁を再生の息吹きに変えたような美しさ。
 後で学習したところによると「食前にまずコンソメ」はガリシアの伝統的な様式にあるそうだ。

[へべ]
 傾斜のついた器に、やさしい緑の温かいスープ。海の滋味、大地の滋味からガリシア昼の宴は始まった。
Culler de Pau
 ころりと丸いメレンゲにクレームと、ソースをまとったモハマ。はかない甘さとモハマのライトな凝縮感。

[AQ!]
 若いモハマを軽いメレンゲに合わせてパクっ。
Culler de Pau
 アルガスのジュレをハーブ・ジンジャーのスープで。リフレッシング。
 …と軽快に滑り出す。

[へべ]
 ひんやりと氷を浮かべた小グラスで、海藻のジュレとハーブ水を。
Culler de Pau
 緑の草の丘にふわりと載った、海のパテをサンドしたマッシュルームのディスクと、ビーツピクルスと緑ハーブの巻物。
 一つひとつの仕事の精度がピュアな味わいを生んでいる。

[AQ!]
 手でいくツマミが浜辺の茂みに浮かぶ。
 魚介パテをマッシュルーム薄切りでバーガー仕立て、かなりウンマイ。
 ナスタチウムなど酸味の効いたビーツ薄切りが、鮨ならガリ役。

 シェフJavier Ollerosが軽く挨拶に来る。
 若いんだが爺くささもあるフシギなヒト。威圧感はまったくないのだが、情熱は溢れている。おとなしくてフニャフニャしているのだが、フニャフニャしたままグイグイ来る(笑)。
 英語はダメでゴメソ…と言いながら、店のコンセプトを語る。
「自然を愛しこの土地を愛し、敬う気持ちで料理している…」
「うんうん、ひとツマミふたツマミいただいただけで感じるよソレ♪」
「ウチの食材は、基本的に店の周囲15kmくらいの中で調達しています」
(ところで後知恵だが、「AdurizやNoma、何より父に影響を受けた」と語るJavierだが、「龍吟」でも修業しているみたい。今度山本さんに聞いてみよ~)
Culler de Pau
 ガリシアの大きな葉、ナスタチウムとアイスプラントにちょと似てる。ガルム・林檎・豆乳?で微妙にバランスをとった爽やかさでいただく。

[へべ]
 丸い緑の葉っぱの上にはガルム入りソース、下は豆乳のようなニュアンスのある白いソース。
Culler de Pau
 極薄二重パイ、中味はしっかりケソでありながら、上に載せた花の味と香りが生き生きしてる。

[AQ!]
 ケソのサクサク(少しカリカリ)のパイサンドに3種類ほどの花をあしらって。
 この花の香り風味酸味が素晴らしい。ケソは「ワインのツマミ」に適正な存在感ある味付けなのだが、花の要素は生き生きとアンサンブルする。実食的計算が行き届いた感じ。
 この昼は凄いことになりそうだぞ…という予感が膨らみ続けて止まらない。
Culler de Pau
 小レタスと海藻…とこの地らしい競演を一口で。
 緑クロマティズムな見た目通りの瑞々しさとかすかな甘味。
 欧州の海藻は土地により色々だが、この辺のワカメ類は海で見てても使い勝手良さそう。少なくともガストロ店で出てくるものはみな、扱いもよく(臭わず)、楽しくいただける。

[へべ]
 緑の海藻ベールをかぶった若レタス芯には甲殻類(かな?)のサラダを潜ませて。
 静かなトーンで、各要素が互いに塗りつぶさずに響く感じに、初めて出会った頃のノマを思い出す。

Culler de Pau
Esparragos de mar y tierra con fugo de hierbas de litoral
 そして海と陸のアスパラ。薄く削った生白アスパラのシリアスな結界に、ビーチハーブのクリアなカルド。

 シェフは結構パッションの人で、ビーチハーブの生えてるところはこんなでね、ここらへんにサリコルニアが…と画面のひび割れたスマホで説明してくれ、今の訳せる?と英語担当班を動員し、あふれる想いに言葉が追いつかなくなると、その温かい両手で何度もひしと握手する。
Culler de Pau Culler de Pau
Culler de Pau [AQ!]
 ここまでがアミューズ相当で、これより本編。
 陸のアスパラと海のアスパラ。白アスパラの香気が口中に広がる。透明感ある双対アスパラ。

 いやあ凄いよね、シェフ。さっき「そうだなチュレルだ♪」と盛り上がったせいもあるか、アスパラはどうしても説明したくて英会話メートレスを連れてすっ飛んできた(^^;)。
「ほら、アスパラとサリコルニアが一緒に生えてたりするんだヨ!」
 …で言葉が足りなくなってグニグニと手を握ってくる。…のがあんなにイヤらしくないヒトも珍しい、つか、こっちも嬉しくなってグニグニと握り返してしまう(^^;)。

Moluscos con fondo de roca y collinabo encurtido
 海の鮮烈さにドキっとする石のスープ、冷製。ペルセベスとアルメハは当地では頻繁に現れるが、こちらの可憐にぷっくりとしたアルメハの綺麗な甘味には震える。ここんちの料理では繰り返しのワードとなってしまうが、透明なクリーンさのスープ。
 口直しのガリみたいな柑橘生姜ミニダイスカット・ルタバガ?がワンスプーン添えられるのが、面白い。
Culler de Pau
 貝がもう一つ、サンブリーニャ。こちらは対比的にコッテリ型の仕立て、ティエド。ロダバージョの出汁に魚卵クレームソース…かな。グッと旨みが立つ。
 タイプはコッテリだが、ま、ヒジョーに素軽い。

[へべ]
 帆立貝の殻に大粒のアルメハとペルセベス、クリアな「石のスープ」を注いで。一粒のアルメハから豊かな潮が寄せてくる。
 続いて一回り小さく、サンブリーニャ(姫帆立)を魚卵入りソースで。それぞれの貝の違いが際立って旨い
Culler de Pau
Hierbas de Adelina, crocante de arroz y crema de anchoa
 アデリーナさんの農園のハーブとアンチョビクレームを、米粉のクロッカンで軽やかに。

[AQ!]
 アンチョア主題。もんのすごく軽い(物理的にも)イカ墨米粉パイにアンチョアクレーム、香草・花。酒が進むでがんわ♪
 こちらの料理は清廉さと旨みの存在感を巧みにバランスしてるので、修行僧的ではなく、「呑める」(笑)。
Culler de Pau
Culler de Pau Caballa, escabeche, zanaholia y rabanito encurtido
 美しい鯖の皮目にそそられる。ホワっとほんのり温い。温製〆さば(笑)…酸味は人参・蕪のピクルス・ソースから。
 ヒヤア?!…と思わず声が出るような、整っていながらもコーフンを呼ぶ美味しさ。
 鯖の王道を行く感じ。ソースが、黒・白・黄色の粘性も違う3種なのだが、実によく機能する。
 ウマイ、お見事♪

[へべ]
 鯖のエスカベチェ、人参、小ラディッシュ。

Centollo "a galega" y guiso de tallos
 スパイダークラブ、はさみのガリシア風煮込みには、食感のいいシーブロッコリーを添えて。

[AQ!]
 蟹の「ガリシア風」。これもこの後、段々とわかってくるのだが、この地のガストロ多皿コースの魚介では、1つ2つ、「ガリシア風」ソース仕立てが入ってくる。ソウルフルなんやね♪
 こちらでは蟹。
 アウマドな中に蟹の甘味がほんのり、それが(もう一々言うのもどうかと思うが)透き通っている。
Culler de Pau
 料理の出来栄え〜旨さ…を考える時に、食卓側は「これは精度の問題ではないか」という角度で納得することがたまさかあるが、Culler de Pauはまさに「精度が高い!」と唸る店だ。

Cebolla de Vilanova, caldo ahumado y aceite especiado
 当地でも「新玉葱の季節」みたいな感じはあるのだろうか。皿の中心でセボージャがふるふるっと微笑む。
 心憎いコース組みだよなあ。たまらん♪
 スペイン料理のまさに核心であるセボージャでござるし。

[へべ]
 ここで野菜の段、小さな玉ねぎを燻香ブロスとスパイシーオイルで。
Culler de Pau
Espinaca tres caldos: kombu, lacon y tomate
 続いて、昆布・ラコン(豚肩)・トマトの三種カルドでほうれん草を。鮮緑色の円盤にはさまれた中身もまたほうれん草。
 これにはやられた! どこがどうなってこの味になるのやらだが、ものすごく好き。
 「ノマの緑茶蒸しに始まるほうれん草名菜史上に連なる逸品、キタ~!」などと大盛り上がりしながらコースは続く。

[AQ!]
 刻んだ菠薐草に菠薐草の葉一枚をちょと被せ。それを、昆布・ラソン・トマトのカルドで浸す。
 …まあそれだけの皿なのだが、完全にヤバい。涙が出そうだ。
 菠薐草ってこんなウマイものだったか!?
 「本日の一品は?」と聞かれたら(この質問は嫌いだが(笑))、コレを挙げてもいい。
 最終的には「物凄い菠薐草の味」が印象に残るのです。
 あまり単純なこたあ言うもんじゃないのだが、卓上の軽口としては「ガリシアのミシェルブラス」みたいなフレーズは出てくる。

 後で旅全体を振り返っても、魚介はさすがにガリシア・何れ菖蒲か…諸家すごいのだが、野菜はコチラが際立っていたような気がする。
Culler de Pau
Rodaballo, salsa "meuniere" e hinojos
 魚の主将を務めますはロダバージョ…やっぱこの魚が大将格に来ることは多いようだ。
 「ムニエール」成分をソースに持ってきたような仕立て。
 海の威風堂々…であり、堂々としながらウルウルである(笑)。また、皮の具合が、どうしたものか素晴らしい。カリカリに焦がした…とかではないのだがサクサク…くらいかな、香ばしくいただける。
 上に乗るのは当地でよく使う「海のフェンネル」、働きがある海藻だ。

[へべ]
 魚と肉は、ポーションこそ控えめながら味でスケール感を表現。
 こんがり焼いたロダバジョは、ムニエルソースとシーフェンネルで。
Culler de Pau
Culler de Pau Oreja de cerdo glaseada y mizuna salteada
 豚耳はツラミ周りを成形、表面をキャラメル色に焼いて(ここが旨い)、水菜とともに。
 日本のより味がしっかりした小ぶりな水菜が相性ばっちり。ちょいとあしらわれた花や海藻も味や香りや食感の役割を担ってる率が高いのは、今回行ったガリシアのガストロに共通する特徴か。

[AQ!]
 「サル(塩味)はここまでです」と〆るのは、オレハでした。
 …ところでガリシアのサービスは「塩味はここまで」「魚介はここまで」「甘味はここから」みたいな説明をよくする。まだ「長大なコース」に慣れてない客も相当数混じっているからかもしれない。
 ガリシアの白豚のオレハ…の爆弾のようなジューシーな仕立ての料理で、気持ちが肉に活性化する。
 水菜(mizuna…なんですね)とそのソース・セロリピュレ。…なのだが、その水菜が素晴らしい。山菜みたいな苦味が巧みに引き出されて肉の甘みに献身している。生産の問題なのか料理の問題なのかわからないけど、日本の水菜、負けてます(笑)。
Culler de Pau
 さてここで、グリーンのブロスが出てきて、冒頭のソパヴェルデと「ブックエンド」を構成する。
 後ろのヴェルデは、香草・林檎の酸味が効いたお口直し的さっぱりソパ。
Culler de Pau
Culler de Pau Kefir de leche cruda, frambuesa y vinagreta de remolacha
 乳・果実・野菜・酸味…の爽快。
 コチラらしい。

Uva catalana, kiwi y pomelo
 器と内容の形状と色彩が目をひく。
 食べても個性的だ。
Culler de Pau
Tarta de Santiago
 そして、解体され隠蔽された(笑)タルトデサンチアゴ。口の中で巡礼は完成する(のか?(笑))。

[へべ]
 タルタデサンティアゴ…は白いメレンゲ板の下にカムフラージュされた解体再構築タイプで、楽しい。
Culler de Pau
Culler de Pau  …地元の食材とシェフの発想がスパークして生まれるガリシア・モダンガストロの世界のなかでも、ここの料理は、精度の支えがありつつ、自然体かつ生き生きとした、自由で伸びやかな印象が特徴かしらん。
 繰り出される球種の多彩さ、味のレンジや強弱バリエーションの広さは、今回訪店したなかでも出色では。

 帰り際、シェフとまた握手会になったりしているところへ、厨房から日本人の青年「タカさん」が登場。
 おぉ、本日随所に感じてた精度の一角はこうした布陣で実現していたのかと深く納得。

[AQ!]
 ナチュレルでローコーでクリーンで美味しい。
 控え目で静かに微笑むようでいて、熱いパッションが手をグニグニ握りながらグイグイ迫ってくる(笑)…というその通りのレストラン♪
 昨今のモダンのど真ん中核心を見事に具現したような店だが、いやあしかしガリシアでこんな高いレベルでお目にかかるとは、愕然とした…というかカンドーした。

 最後のお見送りまで、タカさんは出て来ない…というか日本人がいることに気付きすらしなかったのだが、超~実働エンジンなんだろうなあ。シゴト、半端じゃないっす♪

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  Dani García Restaurante  ダニ・ガルシア
  
Puente Romano Beach Resort Marbella : Bulevar Príncipe Alfonso von Hohenlohe, s/n, 29602 Marbella., España www.restaurantedanigarcia.com
日月休
・ マルベーリャのレストランテ
 2019年、3つ星を保持したまま突然の閉店を発表。反響を呼んだ。「次の夢」は、(おそらくはカジュアルでファインな)アンダルシア料理追及の道へ向かうと言う。

Dani 2015年 4月 ☆☆☆☆

 Once upon a time... is here and now
 *Just eat me gluttony
  Cómeme-Gula : Aceite de oliva, caviar y trufa. Brillante!
 *One-bite Muffin
  Magdalena que se come entera : Zanahoria y bacalao ahumado. Es come un cupcake, pero todo lo contrario
 *Sharpening the pencil
  Afilando el lápiz : Yogur de foie con naranja y anguila ahumada para tomar nota
 *Poplar mushroom
  Seta de chopo : En serio?
 *Nitro tomato
  Tomate Nitro : Cuando tomate nitoro conocio a ceviche de ostras
 *What does Alicia's forest smell like?
  A que huele el bosque de Alicia?
 *Non Nitro Tomato
  Tomate NO nitro : Impactante tomate semiseco y pil-pil cremoso
 *Secret box
  Caja secreta : Y si te lo digo ya no es un secreto
 *Crab/conch chateaubriand
  Chateaubriand : de cangrejo / de caracola

Dani

 *Malaga Gazpachuelo
  Gazpachuelo malagueno : especial & especiado
 *Whiting of Marbella, in clam sauce
  Pescadilla de Marbella : en salsa de chirlas
 *Drink me
 *Crochet
  Croche : El glorioso estofado de choco de mi abuela
 *Fried sea bass with black pepper
  Lubina frita a la pimienta negra : No es una fritura cualquiera
 *Creamy Mille-feuille
  Milhojas de crema : Falso postre de jamon y pleles de cerdo iberico
 *Door handle
  Picaporte : Pase sin llamar
 *Silkworms
  Gusanos de seda : Fresa, queso, yogur y algodon de azucar en su caja
 *Crystal ball
  Bola de cristal : Un futuro muy dulce
 *Up Air
  Up air : Una tarta al whisky por los aires
 +Champagne Louis Roederer
 +Tio Pepe Fino en Rama
 +12 Oppenheim Riesling Trocken / Kühling-Gillot
 +李白
 +11 Odysseus Garnatxa Blanca
 +10 El Titán del Bendito
 +12 Tintilla de Rota Gonzáles Byass

Dani 訪問記に関する注記:
 ↓ここより「Dani Garcia」訪問日記が始まる訳ですが、このレストランは物語性に富み極めて演出にも注力した店となっています。
 もしや、これより後にこちらを訪問して楽しみたい…という方の場合には、この訪問記を読まれたり写真を見られたりしない方がサプライズが留保される可能性も多大にあります。

「行くんだったら、読まない方が面白いかもしれね~ぞヽ(^~^;)ノ」

 その点、一言、申し添えさせていただくことといたします(^^;)。
Dani
[AQ!]
 レストラン都合で行程が決まって行く喜劇…にて、連日、マルベージャにおもむく。
 泊まればいいじゃん、って話もあるが、このくらいの距離だとマラガ連泊で通った方がラクかなあ。

 今日は昼メシ。 眩しすぎるほどのビーチ散歩の後に向かうのは、今回の旅の主要目的の一つ、「ダニ・ガルシア」。
「スペインが止まらない」世代のシェフでは、残り少ない未訪店。

 そしてこちらは、…ライフタイム・トピックス級の、素晴らしい一軒だった。
Dani
「フェラン・アドリアに液体窒素を教えた男」の売り出しから、ケミカル・ソーサラーみたいなイメージを持たれがちだが、ずっと以前にダニを訪れたG氏から
「…じゃなくて(でもあるけど)、美味しいんですよアソコ」
 と聞いていたが、まさにその通り。
 一皿ごとに主張と複雑性がある華やかな美味(が19皿)、節度を感じるほど突き詰めたバランスには「道徳」という言葉までが頭に浮かぶ。

 ***

 数年前だっけ…に移転して、現在は高級リゾートホテル「プエンテロマーノ」内にある。
 もろちん、御立派なホテルである。一旦タクシーで表に着く→まだ早いのでビーチ散歩→裏口から入りホテル内庭園散策。
 正面に戻ると「Dani García」がある。
 …が、開けにくい扉(^^;)。どこで見てんだが、中から開く(^^;)。
 …えーとたしか、「やあ…」とかろくなことも言わんうちにズンズンと案内される。
 (…というのは実は、この昼は2卓だけ。高級ホテル内高額レストランのシーズンオフ…って感じ?)
Dani
[へべ]
 広々としたガラス張りのクールな厨房で整然と働くキュイジニエたち。このステージに面する形でサルの客席が配置されている。

 ダニ劇場へ、ようこそ。

 サルの随所に、デグスタシオンのテーマ「不思議の国のアリス」のモチーフがあしらわれている。
 メニューの代わりにケースにおさめられた一束のカード(カルタ、だじゃれだろうか?(笑))が渡される。
 リボンに金色のカギ。
Dani
[AQ!]
 厨房舞台に向かって最前列。
 スタッフ30人(厨房の見えてるとこに15人)vs. 客4人\(☆〇☆)/。

 ダニの料理コースのテーマは「不思議の国のアリス」。
 トランプカードに一品ずつ書かれている。「鍵はなくさないで」。
 パーマネントなテーマなのか、テンポラリな企画なのかは知らないけど、アリスのストーリーに沿って展開する。
 まず史上空前の水準のアリス料理だと思われる、アリス・ファンとしても、いただけてよかった(笑)。

 泡はロデレール。高級店や(^^;)。
Dani
 テーブル上のグシャグシャのスプーンにはオイルと塩が用意される。ハエンのアルベッキーナでダニガルシア・ラベル。ほんとに毎日、オイルが美味い。
 (Castillo Canena Arbequino Temprano "Dani Garcia")

Magdalena que se come entera
 本をめくるとくり抜かれたページの中からワンバイト。
 玉葱マフィンみたいな、回りのギザギザ紙もドライ野菜製みたいで可食。最初、「食べるな」と言われたと勘違いして残しそうになっちったよ。人参・燻バカラオ。

[へべ]
 物語の本を渡され、ページをめくるとそこにはお菓子が!
 …キャラメル風味のメレンゲ風にふんわり甘い玉ねぎの軽いクレームを、ひと口でどうぞという趣向。

Afilando el lápiz
 “鉛筆削り”で味の良さにうなる。
 今や世界のあちこちでいろんな肝(フォア)が凍らして削られていることでしょうが、凍らせたフォアの口どけ、甘さ、イールのアウマド香、下のクレームと、ところどころに忍ばせたちょっとビターなナランハの果実味…  このすべてがぴたりとバランス良く調和している。
 文句なしに「おいしい味」でありながら、複雑で、精妙で、おとなのニュアンスが感じられる。
 この旅に来て良かった!…と実感した瞬間だ。
Dani
Dani [AQ!]
 「鉛筆削り」。うん、まさに!
 しかし、ひと口するとこの絶妙な見た目の面白さが消し飛んでしまう(笑)。
 スモークイールにフォア、凍結のシェーブだろう。酸を軽く差し、たまにナランハのダイスが転がっている(これが快い)。ウマイ!
 nomaの凍結アンキモを思い出すが、さらに完成度高く(アレほどすぐ溶けてはしまわないし)美味。

Seta de chopo
 「ポプラ茸…マヂ?」、という作品。
 ゆるい茶碗蒸しに焦がし菜花…は、和食料理人が悔しがりそうな解法(笑)。

[へべ]
 小品ながら鮮やか。ふるっふるのやわらかフランにこんがりブロッコリーの苦味ときのこの対比がこころよい。
 まんま、茶わん蒸しと菜花でいけた…と和食の人が口惜しく思いそうな効果的なとり合わせだった。

[AQ!]
Tomate Nitro
 「うちのザ・クラシック」…ニトロトマトにご対面。
 けっこう具沢山で、直下には牡蠣を敷いている。
 これがまたウメぇでござる。ちょっと、良質な梅干しをヒンヤリさせて食べてるような気分も。

A que huele el bosque de Alicia?
 森の香りは、ひとつまみのリヴィングフォレスト。かなりハラリと危険な大地で、不器用なスペイン人たちは皆とり落とさずにつまめているのだろうか? このミニサイズでも「私を香って」とばかりに主張するスペインの茸たち。
Dani
Dani Tomate NO nitro
 (笑)、わかりやすい言葉遊びもキャロってル!
 ましてこの、皿上の遊び加減!!
 ノンニトロなトマトの殺人事件。

 ***

 この段で、
「キッチンツアーなどは如何でしょう?」
 と声がかかる。
「今」である。
 わーい、と厨房へ。
「鍵を忘れずに、ネ」(ウインク)
Dani
 厨房の手前サイドは白いカウンターになっていて、そう、立ち飲みバルみたいな作りである。
 目前で忙しく働く料理人たち。
 カウンターの最初のパートには木の箱が置かれている。
「この箱には鍵がかかっておりまして…」
 …という訳である。

Caja secreta
 手にした鍵でカチャリと解錠すれば、並ぶアーモンド。
 そのうち一つがフォアグラ・ナッツのおつまみだ。
 ソーテルヌが注がれる。
Dani
 こいつぁ結構と厨房軍に手を振りなどしてると、隣のカウンターへ移動の号令が下る。
 グツグツと地獄の釜は…そう、こちらでは名刺代わりのようなニトロ漕である。
 目の前の海老のカルパッチョのソースを、ニトロをかき混ぜて作成中。熱い汁で煮るのと超冷たい汁で煮るのは、見た目は似たような感じだなー。
Dani
Dani  グラスの中にはこの辺り産の法螺貝のひと口。
 ペアリングは「李白」である。やっぱ生い魚介には日本酒…アリでしょ、認定だなあ。

Chateaubriand
 更に「さあさあ、ホレ」と卓上の白い凸蓋を外すと蟹ブリアンが現れる。
 ハハハ、手品かよ。この流れ用に卓上には予め窪みなんかがつけられてるのだから、芸が細かいものだ。
 カトラリーにピンセットが加わっている。

 ***

 さて、テーブルに戻って第2ラウンド。
Dani
Gazpachuelo malagueno
 ここでは、どの皿にも陰影があって複雑。ウルサン+コリフロール+キムチ汁を見よ。
 食器が、先日コルドバ「チョコ」で使われていたのと同一シリーズなのもちょっとビックリ。アンダルシアのものなんかしら。

[へべ]
 味でいえば、ウニにキムチのクレームを合わせた一皿も衝撃的。
 生カリフラワーの食感のアクセント、発酵由来の旨みを含んだやわらかな酸と合わさったとき、ウニからじわっと放たれる「きれいな苦み」にうっとりする。
 こんな提示のしかたがあるなんて…。
 アンダルシアで人気なのか複数店で見たこのガラスの皿・器がまた、土地のイメージと合っていて、とてもいい。

Pescadilla de Marbella
 ホワイティングの、青豆のソースはこの季節のスペインの幸せを運んでくれる。
 ひとひら、ふたひら程度、ヘテロに出会うコリアンダー葉の入り方が新鮮。

[AQ!]
 ハッとさせるコリアンダー♪ 浅利のダシ。
 青豆は「出ないわけない」季節の魅力。
 こちらをいただいていると、メートルが卓横でサイホンとアルコールランプをセットし、何やら準備を始めた。
Dani
Dani
Dani DRINKME
 「わたしをお飲み」
 きゃ~、小っちゃくなってしまうま!ヾ(〃^∇^)ノ

[へべ]
Croche
 イカの煮込み(名乗りは「おばあちゃんのイカシチュー」…だったか?)の上にはイカ墨のリコリスレースで編んだレース編みのコースター的なものが敷かれていて美しい。
Dani
Dani Lubina frita a la pimienta negra
 モダンの多皿コースでわりと難題ではある魚・肉の段がまた、エレガントな解法とでも言いたい秀逸な着地ぶり。
 どう包丁を入れるとこうなるのか、木組みのパズル?と見まごう魚のフリート。さっくり揚がったところに黒胡椒をきかせて、軽い食べごこち。

[AQ!]
 花火のようなシーバスのバルサミコソース。

Milhojas de crema
 イベリコミルフィーユ、脂のジャムクリーム。
 「Falso postre」だそうです(笑)。

[へべ]
 肉は「なんちゃってポストレス」のミルフィーユ仕立て。
 思いつき倒れになりやすいスタイルだが、各層の味と食感がここでは見事に機能している。
Dani
 ***

 精度と技術とエンタメ性のトリプルターボ。遊園地的な享楽性には、セルジオ・ヘルマンに通じるところも。
Dani
[AQ!]
 巨視にも微視にもヘテロ感が活きる。

 なんとなくな推測で言うと、「今まさに円熟」を迎えてますか。

 ***

Picaporte
 ドアノブ。ノックなしでお入り。
Dani
Gusanos de seda
 いま流行りのリアル昆虫ではない(笑)。
 苺、チーズ、ヨーグルト、キャンディ。
Dani
 ミニャルディーズの面白い眺め…味はフツー。これと、ド頭のキャビアトースト解体はわりと凡庸。
 んー、それと料理に比べると、ポストレはオーソドックスかな。

 ***

 ダニガルシアの演出はまことに素晴らしい。
 多くの場合レストランの大仕掛けのケレンというのは、滑ったり気恥ずかしかったりしがちなのだが、しっくり楽しめる。
Dani  ただ、「プエンテロマーノ」という高級リゾートホテルのメインダイニングの位置も兼ねているせいか、サービスは如何にも固い。まあ無礼はつかない慇懃?…もうちょっと柔らかくてもいいかなあ。
 まあ、自称セレブの捌き方なんかは上手いんだろうけど、ちょい残念。

 ***

 お腹も心も大満腹。
 お腹も心も余韻嫋々…すぐにタクシーも興醒めか、と再びホテル内庭園をビーチまでそぞろ歩く。
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  Dani García Deli Bar  ダニ・ガルシア・デリ・バー
  
Malaga Airport, Málaga, España

・ マラガ空港のバル
Dani Bar 2015年 5月 

 *Porra Antequerana Caprese
 *Gourmet Hot Dog
 *カーニャ

[AQ!]
 マラガ空港。
 発券カウンターの横にタパスカフェが見える。
 ふーん、と覗くと開店9時半。
 これでは間に合わない。

 出国ゲートに入って中を流していると、こちらにもタパスバーがある。
 お、ダニ・ガルシアと書いてあるではないか!
 話には聞いていたダニの空港店というのは、こっちだったか。
 薄布シャッターが下りているが、タイムテーブルに8時半開店とある。
 我々の便は9:45発。
 お、これなら何かつまめるんじゃね?
Atrio
 で、シャッター前のカウンターを睨んで、待つ。
 8時半。
 開かない。
 うーん。
 スペインだ。
 中で人影が、機械類を順次スイッチオンしていく様子だけはなんとなく見えるのだが。
 ついには9時。
 まだ開かない。
 うーん。
 スペインだ。
 これは駄目ですかねー、と言い出した9時5分過ぎ、おもむろにシャッターは開いた。
Atrio
 さささっ。オラ!
 カウンターにかけて手をふる。
 ウナカーニャとポラデアンテケーナとグルメホットドッグをくだされべっさ!

 さすがに時間が迫っているので当初の目論見より注文は減らしたが、何とか、ダニのタパスを食うことに成功した。
 ポラはショーケースの中で個別にもられてるので数秒であらわれる。そのためか、粘性高い仕立てとなっているが、味は美味しい。玉子じゃなくてモッツァレラが入ってた。
 グルメホットドッグはちょびっとトマトソース、温かく供される。美味い。食べやすい。
 いやいや結構!
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  Bar Donaire Azabache 
  
Calle Santo Tomás, 11 41004 Sevilla, España  +34 954 22 47 02

・ セビーリャのバル
Azabache 2015年 5月 

 *クロケタ
 *サルモレホ
 +カーニャ

[AQ!]
 セビージャ。
 見どころは割りと固まってるようなので、タクシーでアルカサルまで行く。
 入場口に列が出来てるのは見えたが、腹減ったでやんす…と、まずはバルへ。
 ものすごくテキトーにそこらに入って、サルモレホとクロケタ。
 でも、ど観光スポット目の前の店の癖して、食べ物は悪くなかった。
 揚げ物の水準とか、高いねー。
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  Er Beti 1959  エル・ベチ
  
Calle Misericordia, 7, 11500 El Puerto de Santa María, España  +34 956542601

・ プエルト・デ・サンタマリアののバル
El Beti 2015年 5月 

 *アルボンディガス
 *サルモレホ

[AQ!]
 屋号から見て、1959年開業の老舗…なんだろう。
 バル・ストリートにあるが、2晩眺めた感じでは、かなり人気のある方の店。
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  L'Esguard レスグアルド
  
Passatge de les Alzines, 16 08392 Sant Andreu de Llaveneres, Barcelona www.miguelsanchezromera.com
月火休 4.9月休暇あり
料理長: Miguel Sanchez Romera
・ 脳外科医とシェフの二足の草鞋、ミゲル・サンチェス・ロメラの独創性が光る
 Miguel Sanchez RomeraはL'Esguardを閉め新天地で新展開を画す、との噂。いずれにしても、www.miguelsanchezromera.comでアナウンスされることと思われます。要チェック。 (2009)

 あくまで噂ですが、計画はリーマンショックの影響で頓挫することも多かったよう。リーマンショックの時期には「Per Se」で研修中だった…との噂も。

 2011年9月 NYCのDream Downtown Hotel内にレストラン「Romera」を開店。"nuerogastronomy"を謳う、コース2万円超の高級グレード。
 2012年3月 「Romera」閉店。

[↓メモ版:工事中]
2007年 4月 ☆☆

 [[Autorretrato Essentia No.5:"Transparencias" del Construccionismo]]
 primavera-verano 2007
 [Primera Parte]
 *Eiro;griego:significa anunciar
  Un coupage de primavera con aceites de oliva virgen extra, hojiblanca, picual y arbosena, pure de pistacho y menta, flores de pensamiento, agua de rosas y mini patatas fritas en laminillas
 *Odran;germanico:riqueza,joya
  Patata dorada en laminas de tres colores, reproduciendo un mini gnocci y un mini ravioli con sabores marinos y una mayonesa de algas, hojitas de tomillo con salsa agridulce de rosas
 *Nimma;del griego:agua que purifica
  Fideua fria con fideos transparentes, mariscos de concha y huevas de trucha ahumada, flores de nuestro invernadero desecadas en un caldo trasparente de algas con un curry de flores, frutas, verduras y especias
 [Segunda Parte]
 *Aprilis;del latin:abrir la primavera
  Laminas de nabo en forma de cilindros con el olor y el sabor de las aguas de azafran, rosas y romero, por dentro rellenas de una veloutte de chocolate blanco ahumado y vieiras guisadas en agua de mer
 *Alsos;del griego:bosque sagrado
  "Lasagneta" transparente de trufa negra con queso fresco a la llama de cereales secos y doce nano-hierbas aromaticas frescas cultivadas en nuestro invernadero. Al final, una jarrita con agua de trufa negra flameada al alcohol de trufa
 *Unda;del latin:ola de mar
  Suquet translucido de arroz con mariscos y pescados sobre "laminetas" de pescados y mariscos, lacadas con algas marinas y cristalinos de oro con Micrifilm a la pimienta blanca de Madagascar
 *Teres;del romano:tierno, fino, delicado
  Finos, brilantes y aterciopelados pures de verduras con remolacha, nabo, tomate, puerro, espinaca, acelga, y zanahoria, napados con un pure transparente de patata vieja de los Andes; y vieira en papillote de naranja con verduras del mar crujientes al perfumede flores y especias
 *Isis;Diosa egipcia personificadora del poder fecundador de la naturaleza.
  Alfombra de verduras desecadas que huele a ajo silvestre y vanilla; y por encima, nucleos de verduras de nuestros almacigos guisados en cocotte con Beurre Micri y caldo de verduras
  (Perfume Culinario:"Agua de Vainilla y Ajo Silvestre" que podra percibir en el centro y alrededor de la alfombra, que nos recuerda a campos sembrados pero vestidos de noche con la vainilla)
 [Tercera Parte]
 *Rosa del Azafran
  Nuestro clasico salmon ahora en aguas de remolacha, azafran, naranja y jengibre; cocido en un envoltorio comestible de Micrifilm transparente y crujiente; y crudites de olivas negras, jenegibre rojo y con algas secas, crujientes y plateadas
 *Orestes;del griego:montanes. Oros:montana
  Lomo de pichon en "crochette" asado y servido en barbacoa a la mesa, perfumado con el humo de la mirra, el benjui, el incienso y el sendalo. En el fondo del plato, verduritas en forma de marco, caramelitos de trufa y especias; Damero con polvo de trompeta, ceps, trufa negra y coco; y un blend de mini setas con berenjenas a la brasa guisadas en un caldo de pichon
 [Cuarta Parte]
 *Libentia;del latin:gusto, placer
  Exposicion y degustacion de quesos afinados en nuestra cava
 [Postres]
 *Cloris;del griego, Diosa de las flores y jardines
  Helado de chocolate blanco con flores secas y frescas que huele y sabe a jazmin, violeta y rosa, puesto encima de un manto brillante y cristalino que deja ver unas flores y hierbas frescas de montana, recubierto de un glaseado de licores de frutas
 *Sisoe;del griego, que tiene los cabellos trenzados
  Sopa fia de chocolate blanco, helado de jengibre rojo encurtido y gotas de curry rojo en vaso; recubierta de una gelee de oro con chocolate negro criollo de Venezuela y cristalinos dulces y crujientes de oro picante
 [Petit Fours]
 *Denique;del latin:finalmente
  Panuelitos de choco-Micrifilm y oro, rellenos de dos formas diferentes de hacer la trufa de chocolate
 +04 Les Terrasses

(コメント工事中)
[AQ!]
 Taxiはニーチャン。どこだソレ?顔しながらも、一生懸命探してくれる。料金所で降り口を聞いていたから、St.Andreuには行ったことないかも。
 郊外高級住宅街。13:10着につき、散歩。少年サッカー。キックボード小僧。バギーの列。
 レスグアルドは、雰囲気ある歴史ありそな建物。ロランジェんとこみたい。13時半、玄関先に臨戦態勢ひかれるを見て、「ボンディア」。すぐ後からも日本チームもう一組。門から玄関までのタップリの距離が快い。

 サンパなネーチャンの旗振りで、館内ツアー。玄関は料理写真の展示ホール。左に入ってリブラリ、料理関係の膨大な書籍。その奥、左がワインカーヴで右がオリーブ油カーヴ兼ハモン熟成庫。鳥のハモンも下がっている。
 (しかしイイとこでやってたな、fujiwara(笑))
 ボコッと地下へ向かう口の狭い急な階段。「頭に気をつけてね」と言う通り、かなりギリギリな掘削で、デカいメートルとか通れないのでは? 久が原の防空壕を思い出す地下通路の果てにはケソが暗く鎮座ましましている。ケソの熟成庫なのだ。2度目訪問とおぼしき日本人によると、前回は地下ツアーは無かったらしい。

 サルは階段上がって2階。白い。白く明るく、外庭の緑、内庭の壁ともに光に溢れ、美しい。手術室のような照明(笑)が、皿の置き位置にピントを合わせている。
 前にシターラにいたカレにちょい似のソムリエが実にサンパでチャーミング。プリオラートの頁を開けてたら「あ、ソレソレ、そのパラシオスの安いの、美味いよ」と言うので即決。これ、たしかにすごく高C/P。
 料理は、そういえばシカとは事前チェックしていなかったのだけど、おまかせワンコースのみ。アレルギーの有無を聞かれる。
レスグアルド レスグアルド

 トリュフとピュレの上に、ミクリに閉じ込められたハーブ新芽を置く皿は、目に清しく、食べて、より清新に魅了する。カルドがけで新芽がムックリ起き上がるという趣向。トリュフって実は、若青いモノともよく合うですね。アレックスブルダスの例の奴みたい。
レスグアルド
 マリスコスのアロスサラダ的一品もイケてる。刺身の皿にひかれてるような薄緑と紫の海草が細かく刻み込まれているのだが、このヨデの香りが効いている。日本人的には、生臭方向アウト判定するヒトもいそうなギリギリ具合だが、よろし。
 それにしても、「メスで切ったような」カットの多いのは、さすが、と言いますか…。

 格子野菜カルドがけは傑作。ガルグイユのフォロワーの大河中に輝ける一品。色とりどりエピス粒状の野菜・ハーブを1cm角程度のペーブに敷き詰め、そこにメートルがバター水で茹でた野菜を置く。最後にカルド。
 ミゲルの「味覚的には伝統的なカタランの範疇にあって、表現を語尾変化させてるのさ」という言葉通り、味覚への到達時には穏やかに安定している。
レスグアルド
 ミクリシートでラッピングして過熱したように見えるソモン。真空パック調理途中みたいな不思議な見え方だが、生っぽい火入れはバッチリで美味い。
 ソースなんかミクリそのものをクチャクチャにしたみたいだし。

 カルネの「香炉」は面白い調理具。網に鳩を乗せ、下の熱源にパッとエピスを振りかけ降ろすと、妖しい煙が立ち昇る。すかさず、蓋。モーロ人の儀式のようだ。これで軽燻製。野菜エピス・ペーブメントに野菜を置き、ここに出来上がった鳩をのせ、最後にカルドを流しかける。
 赤・緑・黄のシンボルマーク「テーマ」は、ほぼ全皿に付く。ピーマンのメス・カット。ポストレスではミクリ。
レスグアルド
レスグアルド  コース組自体は、若干、皿数減らせるような気もする。減らした方が良いような。アタマのヨーグルトクレーム系連発とか、帆立とか、幾分埋没してしまっているかもね。
 値段はそこそこお高いが、雰囲気は抜群。うーん、店をやるヤツが羨ましがりそうな物件だ。
 「世界一のアマ」出身(笑)らしく、この館の内装、カーヴとかリブラリの設計には、どこやら2割ほどの“アマチュア臭さ”が感じられる。ほぼ「いい意味で」。
 本館の横手に見えたビニールは、自家菜園のビニールハウスかな。

 「ナイスガイ」と紹介されるオトモダチのタクシーが呼ばれ、ベンツを飛ばして帰館。
 実のところは、脳外科医の兼業という両刃の宣伝文句や「ミクリ」への熱情・執着…、といった辺りを隠しちまって下手に出てれば(そして、ムニュの書き換えローテを増やしてアラカルトも出せば)、ミシュランにおいては二つ星楽勝で三つめを狙ってそう…な気もするが、それじゃあレスグアルドじゃ、ねーよな(笑)。
 しかし、“一つ星”と聞くと、意外感があるほどの店ではありました。
(コメント工事中)
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  Asador Etxebarri アサドール・エチェバリ
  
Plaza San Juan, 1 48291 Atxondo- Bizkaia Tel. (+34)946583042  www.asadoretxebarri.com
料理長: Victor Arguinzoniz

・ ビルバオ郊外のレストラン

2011年 5月 ☆☆☆

 *バカラオマリネ
 *Mantequilla casera de cabra
 *Percebes a la brasa
 *Gambas de Palamos a la brasa
 *Pulpitos a la brasa
 *Yema a la brasa con zizas
 *Guisantes a la brasa
 *Bacalao a la brasa
 *Chuleta de vaca a la brasa
 *Helado de leche reducida a la brasa
 *Flan de queso
 +06 Roda reserva

(コメント工事中)
[へべ]
 タクシー、ごきげんな兄ちゃん。カタコトの英語でおしゃべり。
「テレビつけててスマソ、ビルバオ出身の俺のダチがこのバイクレースに出てるもんで。どこから? 東京か。日本といえばアレ知ってるかな、アシックスのオニツカタイガー。俺、大好き。サパトス? いや違うよ、サパティージョス!!」
 (iPhoneアプリで翻訳してくれる。「スリッパ」と片仮名表示…Orz)
 スポーツシューズ・ヲタらしい。あと、バイクはスズキの、持ってる。
「親戚でひとり東京で働いているのがいて、町がでかくて食いものが高いってね。エチェバリ? 知ってる知ってる、すごい良いレストランで高いんだよね。キミたちムーチョ、モニーもってるね」
「この辺はレインレイン…スン(サン?)っていうくらい雨ばっかり。左の山の向こうは海だよ、サーフィンできるよ、オレ好きなのは、あそこのあの山ね」
 ごきげんにすっとばして、予約の1時間前に着く。

[AQ!]
 「アサドールエチェバリ? ああ、アレ。アレか。いいレストランだよ、だけどエクスペンシブ、エクスペンシブね。金、持ってるの?」
 …と、「トモダチが今走ってるんだよ」とバイクレース観戦中(^^;)(彼のバイクはスズキ)のタクシー運転手は、アウトピスタをぶっ飛ばす。
 ビルバオ近郊店ではかなり遠くややこしい場所…と聞いていたので、
「ああアレ」
 はラッキー。
 鬼塚タイガーが好きだが(サパトスじゃないサパティージョだ!)日本料理は嫌いで、ベルギーはビールとレオニダスで、この辺の料理はサイコーでバカラオとチピロンはサイコーだがシガラはマァマァ…、と喋り散らすゴキゲンなドライバーは、あ、ついでに言えば、
「ビルバオ大学の辺りは一等地でそこに俺は住んでいるんだぜ」
 は、Atxondo付近で多少こころもとなかったが、ビルバオから30分ほどでEtxebarriの駐車場に乗りつけた。

 教会があってエチェバリのある小プラサ、小集落。日曜午後って感じの人々がワヤワヤしている。
 付近は小山で囲まれ、とくに岩肌の露出した山は美しい。その辺りを散策に…くらいの人たち?
 後でわかったが、エチェバリの1階はフツーのバルになっており、そこからセルベッサやらツマミを買ってきたオッサンらが、プラサでくっちゃべっている。

 天候不安定の予報だったが、とりあえず快晴。タクシーの健闘で思惑より一時間も早く着いてしまったので、我々も彼らとまじって「散策」。
 手前の小山を登り、草花を冷やかし、カウベルの谷をカランカランと一周して、松の木の森を抜けて戻ってくるのが、小一時間。

[へべ]
 車はけっこう止まってる。
 うららかなお昼。
 店前のベンチに人、前の広場にも家族連れなど。
 バスク風スカッシュの音が響く。
 なだらかな牧草地の丘の先に、案外近く岩山がそびえたつ。

 カウベルの谷。

[AQ!]
 そろそろ頃合もよろしいでしょう、と足を踏み入れる、と、バルスタンドでオッサンらが盛り上がっている。ハウレヒバリアで予習(笑)してたので見当はついたが、やはり、「ガストロは奥」。
 こちらでは奥階段を上がって二階がレストランテになっている。用を足してから、と1階のトイレを拝借してから上がったが、二階にもトイレはあった。そりゃそか。
 二時ちょい前、一、二卓が始まっている。一人客がデカイ一眼レフを構えている、なんてのは、こちららしいか。

[へべ]
amuse
 バカラオマリネ トマト

Mantequilla casera de cabra
 マンテキージャ、焼パン、うす切マッシュルーム、黄花

Percebes a la brasa
 ペルセベス

Gambas de Palamos a la brasa
 ガンバス

Pulpitos a la brasa
 プルピートス すみソース・セボジャ

Yema a la brasa con zizas
 卵黄ときのこ(zizas)

Guisantes a la brasa
 ギサンテス、イベリコ

Bacalao a la brasa
 バカラオ・アラブラサ にんにくマヨネサ、赤パプリカ、豆苗、新セボジャ

Chuleta de vaca a la brasa
 Lボーン牛炭火焼 グリーンサラダ添

Helado de leche reducida a la brasa
 スモークミルクのアイス、ベリーソース

Flan de queso
 フランデケソ

[AQ!]
 ギサンテスの花が沈んで行く。
 ステーキのサラダは、レタスとセボージャ。牛テキ(笑)は、ブラス・パコォ以来…と言って過言ではなかろう。

 ちなみにお勘定は、今回回ったレストランの中では飛び抜けてエクスペンシブ。タクシー氏の認識は誤りではなかった。上記ムニュが120ユーロ。素材命スタイルの料理であるから、ある程度材料費をかけないと面白くない、とは言えていると思う。
 また、今回回った中で、客層も、飛び抜けて「国際ガストロレストラン」化していた。東洋系の客を見たのは此処とminaだけ。
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  Bar : El Faro de El Puerto  バル:エル・ファロ・デ・エル・プエルト
  
Ctra. de Fuenterrabía, km 0,5, 11500 El Puerto de Sta María, Cádiz - Spain  +34 956 87 09 52 www.elfarodelpuerto.com
日夜休

・ プエルト・デ・サンタ・マリアのレストランテ・バル
 人気高級レストランテでバルを併設する。今回の我々はバルの利用。

P d SM 2015年 5月 ☆

 *Moussaka de berenjenas con salsa de yogurt
 *Salmorejo
 *Pincho de langostino relleno de queso y envuelto en brick con una salsa de tomate picante
 *Guisantes temporada
 *烏賊ボール  *Morcilla

[AQ!]
 移動もしたし、夜は軽い感じで。
 町なかのバルでもいいんだが、町外れにEl Faro de Puertoというレプソル2太陽の豪奢なレトランテがあり、ここがバルを併設してるらしい。
 散歩も兼ねて、向かってみる。

 オズボーン発見。
 闘牛場を行き過ぎる。巨大だ。本場だ。

 ファロデプエルトは巨大ロトンドの向こうにあった。
「どうやって歩いて行くんだよ」的なクルマ立地。かすかに横断歩道マークのあるとこを怖々渡る。
P d SM
 …と、それはいいんだけど、シーンとしている。 情報では20時半開店で、今、20:40といったところ。
 店の駐車場がありその横の扉へ向かう門は閉まっている。
 回り込んで大きい方の門は開いているのだが、入ると、打ち捨てられたようなテラスに使う気配のない外テーブルが固まって置かれている。
 館を覗き込むとボンヤリと灯りはともっている所もあるのだが、ヒトケがない。扉には鍵。コンコンやってみても反応は無い。

 そこへ、何となく俺らと同じような経緯でか、中国人らしき若者2人がやって来る。
 俺らと同じように館を覗き込み、扉をガチャガチャやり、ダメだこりゃ…という顔をすると、すごい勢いで帰ってしまった。
 …。
 こりゃ、あきまへんかねえ。
P d SM
 21時になったら何か起きんじゃね?という期待にも応えるものなく、こらホンマにあきまへんわ…と来た道を返すことにする。
 シーンと静まる庭を出て、駐車場の横を
 …
 あれ、?
 駐車場横の扉に灯火が入ってるような…
 覗いてみる。
 シーン
 明かりはついてる。
 扉をガチャ
 …と、開いてるわ。
 シーン
 えと、アレですよ、と顔を突っ込むと、
「ブエナス」
 といきなりメートルの挨拶が。
 やってんじゃんかよお!
P d SM
 まったく、こーゆーとこがヨーロッパはようわからん。
 中国人の坊ちゃんがたは御愁傷様。
 ま、我々は粘りと経験で、夕飯にありつくこととなった。

「バルでやりたいんだけど」
「こっちこっち」
 と通されるのは、丁度ワシらがテラスから覗き込んでいた辺りである。
 気付けよ、オマーら。

 ドスカーニャ。
「メシにありつける!」
 勝利の凱歌の乾杯じゃ。
P d SM
 サルモレホ、海老ケソ包み揚げ、ギサンテス・テンポラーダ、茄子のムサカ。
 美味しい。いい料理だ。

 サルモレホは、刻みハムの質が高い。ソパ本体はややトマト多めパン少なめバランスのサラッと寄りタイプ。

 季節の豆がいい。素晴らしい。涙豆と小空豆。 豆のあっさりスープ煮に落とし玉子…って、どオーソドックスな仕立て。
「これ食いにここに来ていかったべ」 と小踊り。 食材の質が高いし、素晴らしいスープを使ってる。…という辺りは、このバルが2太陽レトランテの併設であることが、効いてる。そりゃイイもん、使ってるさ。
 こーゆーのは、なかなか狙っても食べられないところでもある。ガストロに行けば、もっと料理自体が凝ってしまうし、街場のバルだと食材の質に限界がある。
P d SM
 追加で、烏賊ボールとモルシージャ。

 始まってしまうとサービス陣は感じが良い。
 レトランテにはビックリするくらい着飾った連中がどんどん到着し、吸い込まれていく。
 きっといいレトランテなんだろう。

 帰りはタクシー。
 酔っ払ってあのしょぼい横断歩道を渡ってたら轢かれてしまうでがんわ(笑)。
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  Gastrobar by Carles Gaig 
  
Terminal 1, P3 | Barcelona El Prat Airport, El Prat de Llobregat +34 932 59 62 10

・ バルセロナ空港のバル
GBCG 2018年 4月 

 *Patatas bravas "al cubo"
 *Albondigas con sepia
 *Callos con garbanzos
 *Croquetas de "rostit"
 +16 Atrium Merlot Penedes Torres

[AQ!]
 バルセロナ、乗換えに5時間ほど。
 中で軽夕食&ヒマつぶしを探す。土夕で閉めてる店もある。
 巨匠Gaigが店を出している。Gaig本店は行ったことない(多少、年代が違うw)が、バルセロナ・フィンガープリントにえーじゃないか…と覗く。
「今日はフードはコレだけです」
 と店頭のケースを指され、一度は躊躇するが、結局こちらでいただくのがベターなようだ…と判断。
 エストレージャ・ダムで乾杯。

[へべ]
 バルセロナのトランジット。gastrobar by carles gaig。

Albondigas con sepia
 アルボンディガス、イカ入り。
 団子はイカの風味がしっかりとソースに出た海幸山幸のカタルーニャらしい仕立て、具にはタコも入って。

Callos con garbanzos
 カジョス、ひよこ豆入り。
 カジョスはがっつりした肉とモツに天使のようになめらかに炊けたひよこ豆、これはスペインの世界。

Patatas bravas "al cubo"
 パタタスブラバス。
 小じゃれた仕立てのパタタスブラバス、円柱形のイモは外こんがり中はとろりとなめらか、ニンニクの効いた白ソースはこの料理の街場DNA由来、赤ソースのコクはガストロバル調の小粋な一品。

Croquetas de "rostit"
 クロケタの、強めに決めた塩味はまさにカタルーニャの兄貴味。

 ボトル赤でまったりとフライトを待つにはちょうど良いくらいにはツマミがあって、助かりました♪
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  Gandarias  ガンダリアス
  
31 de Agosto Kalea, 23, 20003 Donostia, Gipuzkoa +34 943 42 63 62 www.restaurantegandarias.com

・ DonostiaのBar/Restaurante
  → 2018バスク旅行記はこちら

Gandarias 番外編:テイクアウト・サービス

2018年12月 ☆

 *Fish soup
 *Assorted fried snacks
 *Cod cheeks in pil-pil sauce
 *Intxausalsa (walnut cream)
 +Txakoli K5
 +10 Allende

Gandarias
[AQ!]
 大晦日の夕食については、ホテルから事前にメールが届いていた。

- Refering the 31st December dinner all the pintxo bars and almost all the restaurants will be closed. After 00:00 the night pubs will be open to celebrate the new year.
- There is a restaurant called "Gandarias" that is going to be closed also but now they have a Take Away Service that will be open until 19:00 the 31st December. Attached I send you the take away menu and the pintxos they have.

 このオススメには従うこととする。
Gandarias
 Gandariasは、バル街でトップクラス人気のBar/Restaurant。
 その数軒隣にテイクアウェイ「Xibaritak Gandarias」がある。食料品・惣菜・ワイン…。奥の冷蔵庫には肉の塊もドンと入っている。
 一昨日、ホテルに頼んだセットが出来ていた。ピックアップ。

 ホテルのフロントには、食器セット・電子レンジが出ている。ありがたや。
 部屋で、スペイン大晦日の馬鹿テレビ(何かパロディ特集らしいが、マヂ馬鹿♪)を見ながら小宴会。
 料理が「美味くてビックリ」と書きたくなるくらい(^^;)美味しい。テイクアウェイでコレだから、お店も期待度大だなあ。

[へべ]
 ガンダリアスのデリでお持ち帰り。どれもとても旨い。アセゾネ上品、さすがバスク。
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  Goiz-Argi  ゴイス・アルギ
  
Fermin Calbeton Kalea, 4, 20003 Donostia, Gipuzkoa +34 943 42 52 04 

・ DonostiaのBar/Restaurante
  → 2019バスク旅行記はこちら

Goiz-Argi  2019年 1月 ☆

 *Brocheta de Gambas
 *Piemento des padron
 *Champi con bacón

[AQ!]
 元日夜のバル街は、大晦日夜よりはだいぶ開いてる店もある。
 ただし、ごった返しやすくもなっている。
 流していると、ゴイスアルギに隙アリ!…と見て突入。

[へべ]
 電光板メニュー、トグルで各国語表示。
 ヴィノ赤、ガンバ串、パドロン、チャンピベーコン串揚げ。

[AQ!]
 赤を呑むアテに好きなパドロンが積みあがってる。ガンバ串は後でググると当店名物らしかった。
 どちらも旨かったので、チャンピをベーコン巻してるのを頼んでみる。揚げて出してくる。思いの外、軽くて良。

 へべの隣に在住らしきハポネス。
 ヒマそうなのでへべが「(さっき注文の時)何て言うたとですか?」と聞く。
 そのキーワードは『スリート』。「カーニャ」のバスク風の言い方らしいが、量の言い分けに使われているようで、カーニャがジョッキ なら スリートはグラス…みたいな感じだそう。へえ♪
 ワインの仕事・勉強で来てるKさん、こっち事情をチラホラと習う。

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  Nerua ネルア  (旧 Guggenheim Bilbao Restaurante Gastronomico)
  
av. de Abandoibarra 2, BILBO (Bilbao) Tel. 944000430 www.nerua.com
13:30~15:30/21:00~23:00 日夜・月・火夜休
料理長: Josean Martinez Alija
・ グッゲンハイム美術館内のレストラン
 グッゲンハイム美術館のカフェ・レストランを、マルティン・ベラサテギが営んでいます。カフェ・定食食堂・レストランと取り揃っていますが、レストランは要予約なので御注意。 (2003)

 2011年…だったか、に、資本関係が変わったのか、「Nerua」と改名。同時に、改装も入ってすっかり“新店”の趣きの模様、です。

  GBIL1 [↓メモ版:工事中]
2003年 8月 ☆

 " CREATION, FREEDOM AND TENDENCY "
 *Parmigiao-Reggiano curdled infusion in natural way,
  With truffle tear toasted bread noddles and sisho leaves
 *Light baked egg on a bed of "ratte" potatoes,
  Dressed with kalamata oil and nectar of sweet red peppers
 *Cub of cod,
  With a concentrated milk, bergamot and raisin soup
 *Fish of the day, over tender almonds, wild asparagus and tomato jice with olive oil,
  Extracts of fresh herbs and green apple
 *Roast lamb "carre",
  Served over "Delta del Ebro" rice with a touch of vanilla and chicory
 *Nectar of wild berries curdled "au bains marie",
  Over a dry violet meringue, bathed in fruity red wine and fermented milk
 *Couscous of caramelised bread,
  With an iced sauce of toasted almond, washed over with a soup of egg yolk and cinnamon
 *Almond praline with a hint of salt,
  Sweet fragrances of rosemary and iced cream with squeezed lemons
 +99 Pagos Viejos / Artadi

Nerua
[AQ!]
・魚はatun
・バカラオかなり生。ぶどうと乳の泡、甘。
・Guggenheim Bilbao ロゴ入りのグラス、皿、肉切りナイフ
・クスクスというにはデカい8mm角
 パルミジャーノ茶碗蒸しには、ほんの少しの"Shisho"が、よく香る相性。さすがに「和」までは感じられないのが良い。「パンのヌードル」が、濡れてもカリカリとしてるのが不思議な工夫。
 atunは切り口を上に立てて供される。「モリエール」のビフテキに同じ。
 仔羊は、“雷おこしをゆるく溶いて”つけて食べる。なかなか良い。英語での焼き加減の注文には「medium」と答えておいたが、来てみると「丁度よいロゼ」。どんな言語対応表なのか。ウェルダンの人だけよく火を通す、とかかな。
 アーモンドプラリネにレモンのグラスがグッド。

 ワインは、96Pingsの950euro!!!、に唖然。ま、それはおいといて。
 ソムリエは「Pagosかい? 俺もウチで一番好きなんだよ」…とまんざら世辞でもなさそう。ハネでまずセニョーラのグラスをすすぎ回し、続いてセニョールのグラス、そして自分のソムリエグラスと進む。どれも丹念に回してから、テイスティング。
 うーん、いい作りだ。
 今日のPagosくらい、デカンタとの相性がありそうと思うが、やはり、デカンタは使わない。回りでも見ないし、あまりデカンタの習慣がない地域なのかも。で、ウチ、ウチは“余程”でない限り、非デカンタ的領域に住まう者であるので、全然これでOK。しかし、イタリア人が何でもかんでもデカンタしたがるのと好対照だな。
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  Bar Ibai  バル・イバイ
  
Getaria Kalea, 15, 20005 Donostia, Gipuzkoa +34 943 42 87 64

・ Donostiaのバスク料理店
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Ibai 2019年 1月 ☆☆☆

 *Bogavante
 *Percebes
 *Verduras de temporada
 *Arroz caldoso con almejas
 *Kokotxas
 *Tarta helada
 +06 Vina Tondonia Rva.

[AQ!]
「えーと、じゃ、イバイとか行くんスカ?」
 と言ったのは、かつてムガリツ(今はとーぜん冬休み)に勤めてた関口シェフ。
 そーなんスよ、行きたいんですがね、やはり時期がビミョー。
 問い合わせてみたところ、「年末年始のことは12/15過ぎになってから聞いてくれ」とのこと(^^;)。
 そんなわけであまり期待してなかったのだが、日本では討ち入りも済んだ頃に連絡すると、スルっと1/2の予約が取れてしまった。大らっちょい♪
Ibai
 この日は昼食後、ログローニョに移動する。
 …のだが、イバイって、ドノスティアのバス・ステーションのすぐそばなんよね。
 どう考えても動き的にはイバイからバスへ直行した方がいいんで、ゴロゴロとスーツケースを転がしてお邪魔する。
 13時開店の13時予約。その2分過ぎくらいに扉を引くと、アレ、鍵がかかってるか、ってか、カウンターで賄い食ってますねー・早くて悪かったかねー…。…と思う間もなく、我々に気付いたご主人に招き入れられる。
 店の手前のバル部分は現在使ってないようで、多少の荷物を置かせてもらうのも気兼ねない。
 食堂は奥の半地下。

 ボクらは初訪問だが、バスク料理の名店。…なのだが、色々とムツカシイ…というかユニークな店として知られる。
 昔は、ご主人・マダムとのスペイン語会話でしか注文は入らなかったそう。
 その点は今はメニューの用意があるのでいいが、価格欄は無い。これがクセモノで、庶民的な眺めの店の気さくな眺めの品書きの中に、いきなりひと皿が3万円とか5万円…なんてのが、混じっているのだ。
 しかもカードの扱いはなく、現金払い。
 どうも間抜けなアメリカ人などがよく地雷を踏むようで、トリップアドバイザーあたりには怨嗟の声が溢れている…見ると面白い。
 実際には、アルカチョッファが1万円…的なイミフがある訳じゃなく、トリュフやら鰻稚魚やらの糞高い食材がそのまんま高い、というだけのことではある。
Ibai
 品書が来て、本日の用意の有無をマダムが説明。Ostrasを指して「ノ」・Almejasを指して「シー」・Meroを指して「ノ」…といった具合。
「今日のヴェルデュラスは何どすか?」
「アルカチョッファ・カルド・ボラハよ」
「お、いっスね~」
 で、この野菜と浅利ご飯、ココチャはピルピルで。
「量はどんなもんす?」
「もうひと皿くらいかしら」
「じゃ、ペルセベス♪」

 ワインは種類は少ないが幅は広い。うーん、何か似合いそうか、と06トンドニア(レゼルバなら安い…ワインリスタは値段入り)。

[へべ]
 1階はバンコ(バルは今はやってない)、階段降りて地下にサル。7-8卓くらい。客入りは6卓とか。
Ibai
 アミューズになんと本日は、ボガバンテのサルピコン。
(仕込みの都合でチョリソはないとのこと、残念)
 さすがに名菜、火入ればっちりの上質なロブスターをレモンドレッシングの軽い酸味で、うまい(一口で充分堪能)。

Percebes
 温かい!いい温度。大ぶり。
「手首の付け根から、こうやってむいてどうぞ」
 質感よく、ジュがたっぷり。

[AQ!]
 ぶっとい♪ 太いせいか剥きやすくもある。
 お味も、タップリ派の雄…って感じ。やっぱ、温っくい温度が嬉しい。
 さすがにお値段も、このひと皿で5000円とか、逝くw。

Verduras de temporada
 で、その野菜、3種煮込み。
 これはたまらん、サイコー♪ 冬を満喫。
 これよこれ…を食べに来ました!
Ibai
[へべ]
 季節野菜の煮たのシチュー。
「アルカチョファ、カルド、ボラハ…ナバラの葉野菜よ〜」
 これを食べたかった!的な一皿。野菜それぞれの深い味と食感と香りとほの苦さ。
[メモ:borrajaは「ナバラ」やアラゴン/cardo イタリア冬野菜カルチョフィと同種。茎を食べる大型アーティチョーク的な]

Arroz caldoso con almejas
 アルメハごはん。
 米と塩の具合がめちゃバスク。入りははっきり、抜けは軽くてきれいな塩。

[AQ!]
 「塩は効いているが綺麗に余韻に溶け込むのがバスクでしょか」…って似たようなメモが(笑)。
 カルドソ表記だけど、独特な米食感、スープを吸いきったとこ…みたいな。でも米エッジも立ってるよね。
Ibai Ibai
Ibai Kokotxas
 ココチャスのピルピル。
 カスエラで持ってきて卓で取り分けられる。大ぶりなココチャスが1人8片(食べるとこの量…まで完璧な感じw)。
 うわ、ダメだこりゃ、失神系! 煩悩サティスファクション。この世のすべての艶や色気がカスエラで揺すられて霞み立つ。
 「その料理の頂点」を食べることは大事だなあ…と、たまには思う、その「たま」(^^;)。

[へべ]
 ココチャの具合と質とプルプル部。ピルピルってこういうこと?感。
 卓に持ってきたカスエラをなおも揺する。
 魚のサイズ? 部位の取り方? ゼラチン質と筋肉繊維の比率、繊維の細やかさ、蝶の羽根、絶妙なソース質と量、緑金色、、、

Tarta helada
 上はカラメル、セミフレッド。

[AQ!]
 ポストレはタルタエラーダにした。何となくポストレの品書に冷菓が多かったから?
 ほっと落ち着く。
Ibai
Ibai [へべ]
 バスク料理を、ある意味そのまま、素材の質と調理の極め方によってリファインしきる見事さ。

 隣の席はチュレータをやたらと細切れで食べる謎家族。
 奥の席はアンギラスにレングアルド、お勘定はいかに?(笑)

 帰りがけ、バルのポジションにご主人が。
「日本からか。いいレストランたんとあるんだろ?大勢来るけど、みんなピルピル食べるな(笑)」

[AQ!]
 「世紀の一発」的側面もある恐ろしい店。
 でも、迎え入れは、フツーに優しい。
 随所に、バスク人好きの食感の感触がある。良い材料をシンプルに、しかも出来る限りのことはして供する。
Ibai
 隣の席に出た焼きレングアドの香りで「呑める」(^^;)。
 色々と価格はタイヘンだが、「味と質を基準として発注するので値段はめちゃくちゃになりました的(笑)」ってことで。

 ご主人、帰りに2,3言葉を交わしてみると、すぐ感じるのが、クールで頭が切れそうなとこ。
 えーと、Alicio Garro…かな。後ググリだが、もう一人の、ピルピルの取り分けとかしてくれるサービス男性はご兄弟のようだ、Juantxo Garro。

 ところで後で勘定書を2度見。…いや、金額じゃないよ。
「19/0001」
 ↑コレ!
 年間どれだけのお客さんが来るか知らんけど、「2019年の第0001番目のお客さん」ってことだべ!?
 ま、なんか、縁起モンじゃん!
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  Bar Irrintz  バル・イリンツ
  
Arrandegi Kalea, 12, 20003 Donostia, Gipuzkoa +34 943 42 42 34

・ DonostiaのBar
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Irrintz 2018年12月

 *クロケタ:ウエボチョリソ、ハモン
 +Keler

[AQ!]
 のたのたとバル街をうろつく。
 座って呑みたくなったので、空いてるバル探し(^^;)。…空いてると言っても、客ゼロとか一組だけとかは、つい引いてしまう(^^;)。
 ちょうどヨサゲなIrrintzにお邪魔。
 覚えたてのKelerで夜に乾杯。クロケタ2種、注文から揚げてくれるんで、悪くない。
 オッサン2人でやってる店なのだが、厨房が暗いらしく、調理担当の方がヘッドライトなんがオモロい(^^;)。
 勘定払うと「エシュケリッガシコ」。向こうから言ってくるのは珍しいなw。
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  Jauregibarria ハウレヒバリア
  
Barrio Bideaur no. 4 48340 Amorebieta-Etxano (Bizkaia) Telefono: 94 630 16 32  www.jauregibarriajatetxea.com
料理長: Benat Ormaetxea

・ ビルバオ郊外のレストラン

2011年 4月 ☆☆

 *Nuestro aperitivo
 *Carpaccio de Cigalas, con pinones, helado y microvegetales
 *Ostra crocante con cama de alga y concentrado de crustaceos
 *Huevo de caserio a baja temperatura (version 2011)
 *Lomo de Lubina asada al horno con pure de chirivia y caldo de pimiento morron
 *Foie-grass asado al momento con pincelada de arrope y arroz inflado
 *Torrija caramelizada de pan de brioche con helado de queso fresco
 *Cuajada casera de oveja con galleta rota y mandarina
 +07 Muga

[AQ!]
 終わってから厨房へ行くと、「ムーチャスアリガトス!」…とBenat Ormaetxeaシェフ(笑)。

 ***

 タクシードライバーに店住所を見せると、「何、この町行くの?」と多少怪訝な顔つきだったが、道中、どっかに電話してJauregibarriaの詳しい場所を聞きつけてくれた。
 20分ほどで真っ直ぐ到着。広く開けた、つまり回りに大したものの無い、土地なので、近くまで来ればすぐわかる。
 ちょっと先に、可愛い青い電車の走る線路がある。よく調べれば、鉄道で来る手もあるかもしれない。

 朝から快晴のビルバオであったが、アウトピスタの途中は一部土砂降りの箇所もあり、Jauregibarria到着時もパラパラと天気雨。駐車場にはビッシリとクルマが停まり、店を取り巻くようなテラスに出てきた連中がもんのすごい勢いで盛り上がっている。
 何故か玄関脇にも爺さんが門番のように日光浴。
 あなたは客ですか店の人ですか(笑)。

 その玄関をヌッと入ると、バルカウンター。ごく大衆的な設えで人々が飲み物食い物をひっつかんではテラスに出撃していく。
「ありゃりゃそんで、えーと?」
 とバルねーちゃんに
「テンゴレゼルバションデレストラン…」
 など言うと、
「ああアキラね、奥よ奥」
 と指差す。
 何も書いてないカーテン扉を開けると通路が続いていて、そこから先がガストロレストラン。ちなみにエチェバリもそんな作り(ガストロは2階)。

「わ、ホントに来たわ」
 って顔の、黒Tシャツのコチが英語担当らしく、拙く案内してくれる。二時少し前、一番乗り、「好きなとこに座っていいわよ」。
 …スペインの座席は「好きなとこに…」がとても多い。客のグレードとかあんまし考えてないんでしょう(笑)。

 一番上のガストロノミックムニュでたった50ユーロ。ワインリストもそれに見合ったクラス。注文はスンナリ決まる。
 コチが
「このムニュには無いけどウエボがほにゃらら…」
 と言っている。食材入荷具合で何かが差し替えなのか、とも思ったのだが、実際にはウエボ2011がシェフ自慢の一品らしく、ムニュに足してくれたのであった。

 さて、品書一品目は「アペリティーヴォ」とある。
 ドン、と目の前にオリーブオイルの入った皿とスプーンが現れた。横に…ではなく、目の前。
 パンも来た、が。ん、むむむ、…。これを飲む、というか、舐めるらしい。ほにゃ。さすがに美味いが、アペリティフか(笑)。コンバルゼロなんかの「チューニングサラダ」「チェックサラダ」…という単語が浮かぶ。基準点決めですか。

[へべ]
 アミューズ1. アルベッキナのオリーブオイル

 アミューズ2. アボカド、オイル、オレンジピール nuestro aperitivo

[AQ!]
 続いて、アボカドのガスパチョ。バスクらしく、上手なアセゾネ。これは期待できる。

Carpaccio de Cigalas, con pinones, helado y microvegetales
 次は、シガラのカルパチョ、クレームと鱒子・ハーブ添え。見かけは、マアマア「よくある」アレであるが、やはり味が良い。上手にしたはる。
 窓の外の風景、遠くに山まで望むが、ガキどもがはしゃいでいたかと思うと、乗馬オヂサンが現れた。

[へべ]
 シガラのカルパッチョ、緑紫スプラウト、白クレーム(松の実helado)、オイル、マス卵

Ostra crocante con cama de alga y concentrado de crustaceos
 カキのさくさく衣 紫スプラウト、緑のりのどろりん、パプリカ水あめ、茶色汁

[AQ!]
 粘性スープのカリカリ揚げ牡蠣、も、味が…良い、そういう店なのね。下に海苔、具合は柔らかい佃煮(笑)みたいになっている、これも良いです。

Huevo de caserio a baja temperatura (version 2011)
 さてここで、御自慢のウエボ…は、流行のギリギリ温泉玉子コンソメ仕立て・レグリマ・ギサンテスに芋ピュレ・芽葱…と美味しくない訳がない鉄壁の陣容だが(笑)、それを超えてよく出来ていて美味い。

[へべ]
 ウエボ2011 温泉卵、ギサンテスの涙、いもピュレ、茶カルド、芽ネギ

Lomo de Lubina asada al horno con pure de chirivia y caldo de pimiento morron
 ルビーナ セボージャ、パースニップピュレ、緑紫スプラウト

Foie-grass asado al momento con pincelada de arrope y arroz inflado
 フォアグラ 青ネギ、茶汁、フリュイ(パッション)

Torrija caramelizada de pan de brioche con helado de queso fresco
 トリッハとナランハ・ケソ・アイス

Cuajada casera de oveja con galleta rota y mandarina
 白なめらか

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  Jean Luc Figueras ジャン・リュック・フィゲラス
  
Santa Teresa, 10 08012 Barcelona 9
日休
料理長: Jean Luc Figueras
・ バルセロナ市内のベテラン
 2007年頃に閉店した模様。…うーん↓下記は閉まる直前だったのか?
 現在はMercer Hotel Barcelonaのレストランで指揮をとっている、ようだ。 (2013)  

  2007年 5月 ☆☆

 *カレーパン、カレーのパリパリ、赤いパイ
 *サクランボ・蟹のガスパチョ、ピチョンサングレ・フォアグラナランハ・パンブリオシュのスプーン、“ハンバーガー”の解体
 *Salmorejo asado con bogavante, jamon iberico y grissini de sesamo
 *Steak tartar, caviar, mascarpone de mostaza y patatas Pont-Neuf
 *Ala de raya con colmenillas, anis y holandesa de germinados
 *Espalda de cabrito a la cuchara con pan de ajo, Torta del casar y cappuccino de rumero
 *Fruta cxotica al perfume de especias con granizado de cassis
 *Sabayon frio de pomelo rosa con helado de alquequenjes y reduccion de Burdeos
 +Copa Champagne : Ruinart rose
 +Speyside Glenlivet
 +92 Clos de L'Obac
 +Cafe solo

[へべ]
 きらきらお天気。
 某デザイナーの元邸宅という館の入口に、もの静かなメートルが待ちうける。
 奥の上席に通され、ハンドバッグ用のオットマンがこれまた恭しく差し出される。

「チャンパンでもいかがでしょうか?」
 ゴロンとしたボトルから注がれるドン・リュイナール。大変結構。
 シニョーレス、と口を切るここのサービス陣は皆、ゆっくりと優雅にスペイン語で押し通す。たいへんに感じがよい。仏ヴィヴァロワを思わせる堂に入りっぷり。
 チャンパンおつまみ3品は、パプリカマヨ、スパイス、カレー風味。
 英・西カルト検討の末、メディオラシオーネス4品決定。

[AQ!]
 土曜昼。
 メートルが扉で待ち受けている。
 んでもって、なんと、客は終始ワシらだけ。そーゆー日?
 へべは「貸切執事レストラン」と喜ぶ。
 トーゼン、最上席で、とても麗しい。
 2階にも中サル・個室・トイレなどあり、階段から望む1階サルの眺めの広がりが快い。

 静かで恭しくサンパなメートルドテルは最高です。
 ヒジョーにゆっくりとカスティージャ語を話す。トワグロのメートルやマダム・ペローを思い出す。ゆっくりだとけっこー単語が拾えるのだが、んでなくとも「通じなくても通じさせてしまう」秘力あり。

 カバじゃなくてチャンパン(笑)だし、スコットランドの水を使ってるし、フランス系らしい「一味違うでよ」な店。
 ただT島先生の話だと、スペイン評論陣との折り合いは必ずしも良くないらしい。

 アミューズはガスパチョなどの第二陣の出来が良い。

[へべ]
 スリーズの“ガスパチョ”カニ添え、鳩フォアグラ・オレンジ風味、ミニハンバーグ・メルバトースト(ごっつい旨い)。

 サルモレホ・ボガバンテの皿にやさしく注がれるトマトスープ。
 「皿セット後に汁を注ぐ」サービスは、バスク同様にとても多く見かける。

[AQ!]
 Salmorejo asado con bogavanteは、卓上でカルド注ぎ込み型で、トマトスープ風の外見となる。

 タルタルのpatatas Pont-Neufがとっても美味。黒皿の上の幾何的置き方はとてもモダンだが、タルタル上のキャビアはオーセンティック(現代的にはもう一捻りかも)。

[へべ]
 続いて仔牛のタルタル、マスタードとマスカルポーネのクリーム添え、トーストがナプキンの層の間にずらり。

 カタルーニャではここだけ、チャンパンで始まり、皿と皿の間隔もたっぷりあって、おもむろに件のメートルが、万事つつがないか…とか、プリオラートの味わいの複雑さ、かの地の面白いことインテレッサンテ(「是非一度いらして下さい」)などを、ゆったりと語っていく。
 これってフランス風味?

 歩道をゆく人々の話し声がときたまニギヤカに響く他は、邸内はもの憂いような静けさに満ちている。
 黒服のメートルも、生成り上着にロゴ入りエプロンの大柄なサービス君も、静かにソフトに口上を述べていき、下げる時には毎回、グスタビエン?的なことを尋ねていく。お口に合いましたか?的な恭しさ。ケ・タル(ど~お?)とはノリが違う。

 ロメスコソースでいただくエイヒレは、巨大。分厚い塊は魚用ナイフをはね返す弾力をもつ。
 スペインの人はエイとかバカラオとかロットとかルビーナとか、ちょっと半透明成分と色気ねばり気のあるような白身が好きなのかしらん。
 カルトでも市場でも、ドラッド的なフツーの白身魚は扱いが軽いような気がする。

[AQ!]
 Ala de rayaのrayaは巨大だったろう、季節のモリーユ添え。

 cabritoは大デクパージュ大会で、素敵なメートル芸を堪能できる。最終的に3色ソースとなる。

[へべ]
 プラはカブリート=仔ヤギを。ここのは煮込み…とあって、どんなかな?と。
 モモ肉まる1枚?くらいの塊をご披露後、ワゴンでデクパージュしてくれる。
 端正な手さばきで骨を除き、淡い茶色のやや甘いソースで皿にさらりとLの字を描き、その内側に泡立った白いカプチーノソース、肉の上からはタラリと濃いめのグレイヴィソース。
 にんにくチーズのごつごつしたパンが添えてある。
 トロリと煮込まれオーブンで焼き上げられたカブリートはとても美味。はしっこの、少しこんがり濃縮されたところがまた旨い。さすがにこの辺りで満腹になってきたので、少し残す。

 ケソのワゴンも残念乍らおことわりして(サービスの彼は少しかなしそうだった)、ポストレス。
 エキゾチックなフルーツ盛りは、ダイスに切った赤メロン、パイン、キウイを飴の棒で串刺しにして積み上げたものに、カシスのソルベ(in 飴の器)とスグリ添え。

[AQ!]
 デセールの味わいは大時代的だが、プレゼンは立体的に頑張っている。

 ワインは、プリオラートでかつこの料理ショワに合いそうなもの…、ナイスお勧めと思われる。
「プリオラートに行ったことはございませんか? 是非おいでになるといいですよ」
 とのこと。
 カレはこの時も、行ったことあるか、をちゃんと完了形で言う。わからんので何回も聞き返すのだが、このキチンとした言い方を変えない。変えないうちに、最後には「あ、完了形か」…とわかってくる。偉大なることだ。ケラーなら「うぉーたーぁ!」だ(笑)。

[へべ]
 カタルーニャではここだけ、チャンパンで始まり、皿と皿の間隔もたっぷりあって、おもむろに件のメートルが、万事つつがないか…とか、プリオラートの味わいの複雑さ、かの地の面白いことインテレッサンテ(「是非一度いらして下さい」)などを、ゆったりと語っていく。
 これってフランス風味?

(コメント工事中)
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  Laia Erretegia  ライア
  
Arkolla Auzoa Auzoa, 33, 20280 Hondarribia, Gipuzkoa +34 943 64 63 09 laiaerretegia.com

・ ArkollaのAsador Restaurante
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laia 2018年12月 ☆☆☆

 *Aceituna
 *Cecina
 *Hongos
 *Alcachofa
 *Txuleta Iruki PREMIUM
 *Tarta fria de queso
 *Hojaldre de manzana y helado de vainilla
 +14 El Puntido / Bodega y Vinedos de Pagnos

[AQ!]
 ドノスティア着。
 バル街のペンションに無事チェックインして、昼食へ。
 Irunのlaiaへ向かう。タクシー、ぶいーん。
 Irunから小高い丘に上がる。途中、視界が開けるとドライバー氏は入り江の向こうを指して「あっちはフランシアだっちゃ」。なるほど。
laia
 欧州の年末年始だからすごい勢いで店は休んでいる(^^;。そんな中、チュレータのアサドールはありがたくも大晦日と元日以外は割りと開いている。
 ギプスコア圏でチュレータと言うとまず出てくるのが、高名なCasa Julianを筆頭にCasa Nicolas、Patxikuenea、laiaあたり。
 この日の選択は、Patxikueneaと激しく悩みながらlaia。
 この店を一番に挙げる地元サイトもありーの、…とかあるのだが、決定打は自店サイト上のビデオでのシェフの熱い語り(^^;。(後でわかるが「その通り」な店だった)
 シェフは、2015サンセバスチャンガストロノミカのConcurso Nacional de Parrilla優勝者である。

[へべ]
 タクシーはアルサック前を通過してひた走る。見覚えのある洒落た書体で店名の標識、急坂をぐんぐん登って高台へ。
「入り江が見えるだろう、あの向こうはフランシアだよ」、さらに奥へ。

 ルンバのような掃除機のような芝刈りロボットが前庭で働いてる。

 いきなりシェフがお出迎え!コートもシェフに。その日の食材の口頭説明もシェフから。
 今日はメニュー以外にアーティチョークとワイルドマッシュルームもあるよ、魚は後で持ってくるね…と、良さげなトゥルボとヘイクの頭をご披露。

 グラス泡はシャンパーニュ…で乾杯しつつ作戦会議。
 「アルカチョファは行くとして」「茸も是非」「で、ロダバジョとチュレータ…多いかな?」「うーん、とりあえず聞いてみよっか」…ご相談の結果、
「それは多すぎね! トゥルボはシェアするサイズだからチュレータと両方だと多いわね」
 ってことで、魚はパス。あとで周囲の卓に出てるのを見ると平目は丸ごと焼いて4〜6人前って感じでした(^^;; ご助言に感謝。

 的確な助言を惜しまぬサービス陣、見晴らしの良い立地、モダンで趣味良い大空間。ちょっとガリシアのペペさんを思い出す。
laia
[AQ!]
 田舎道の分岐には「laia こちら」の立て札が立ち、迷うことなく「laia」の大看板の前に着いた。
 見晴らしもよろしき一軒家、庭の芝生を自動の芝刈りマシンが走り回っている。
 駐車場で待ち合わせしている大人数グループの矯声を横目に、扉を開けてみる。オラ!

 …と、先頭で迎えてくれるのは、サイトで見知ったその顔の、シェフJon Ayalaじゃあ~りませんか!
 うひょ、メヤモ…
 ああハイハイこっちこっち…と窓際の眺めの良い席に案内される。
 泡(シャンパーニュだ!)をもらった後、シェフは、「今日はメニュー外にアーティチョークとワイルドマッシュルームがある。それから魚は…」
 と見せるトロ箱には、巨大なロダバージョとメルルーサ頭。

 オンゴスとアルカチョッファいいっしょ、魚と肉はべら悩むね…で、試しに両方言ってみたら、「無理無理(笑)」。で、チュレータ。
 さすがに、二人だと、魚なら一尾、肉なら1kgちょい…というのがオキマリってもんで、小分けしてみる…みたいなアタマは無いのである。
 ギャル曽根なら楽勝だけどなあ。
laia
 ワインは、「リオハ赤でミディアム、ちょいエレガント」みたいなことをゴニョゴニョ言ったら、14 El Puntido。
 大人。綺麗で肉にびったし。素晴らしい。
 このワインはこの後、あちこちの高級店のリストでおみかけした。

 まだそこそこ新しそうなメソンはぱりっとしてイカしている。アサドールは店のタイプとしては色々あるのだが、こちらは内装もサービスも完全にガストロな「ファインダイニング」。こないだ行ったペペヴィエイラやカサソジャみたいな雰囲気だ。
 年末の土曜昼ということもあるかもしれないが、お客のクルマはどっかんどっかん到着、見る間にぱつぱつ満席。なるほど昨日、リコンファーム電話が来てたわけだ。
laia
[へべ]
 アミューズは骨にひらりと載せた肉2片、自家製セシーナかな、綺麗な味わい。

 野生茸。
 グリルしてからプランチャ仕上げ…とかだろうか、セップ系の茸のかさも軸も豊かなタイプで、あまりの旨さに泣きそうだ。

[AQ!]
 セップ中心のうるっとしたオンゴス、到着。
 ヤバい。ヤバ過ぎる!
 頭を抱える。
 茸のイデアだけが、洪水のような莫大な誘惑を引き連れて、襲いかかってくる。
 むしろ絶望的なほど(笑)。「生涯の…」クラス。
 (後日、2人でlaiaサイトのビデオを見てたら、“バスク風魚焼き網”の“茸版”みたいな網で熾火で炙ってた)
laia
 こちらも季節のアルカチョッファ。少しのラールと。ぐるりはマヨネサ。
 いただくと、不思議な不思議なさくっとした軽さに濃ゆい風味。熾火炙り的なんかなあ、一風変わったモダンさ。美味。

[へべ]
 続いてアルカチョファ。こちらもグリルで焼いてから仕上げ、ラルドを添えて供される。
 驚きのうまさ。焼き香ばしくて緑で自分史上最高においしいアーティチョーク。
laia
laia  チュレータ。
 部位ごとにカットしてきれいに並んだ状態で登場。
 一切れ食べて目をみはる。なんだろう、この感じ。翼を広げて、チュレータの沃野を俯瞰しながら飛んでるみたいだ。
 部位ごとの違い、焼けた筋の歯応えと味、脂の旨さ、肉の焼き香ばしさとジューシーさと旨味とほのかなアミノ酸の酸味、すべてを裏打ちする過不足のない熱と塩、そっと絶妙に寄り添い支えるフリッツ=揚げじゃがいもの静かな献身…。
 焼いた肉の良い味が全部ここにあるだろ、ほぅら…と、そっと差し出されたような。
 肉なのに思索的、本能より知性に語りかけるような味わいはちょっと独特かつ魅力的で、こんなステーキは初めてかも。
laia
laia [AQ!]
 さて、先ほどお姿を拝見したチュレータが焼けて参りました。
 こちらではチュレータ内の部分を三ヵ所ほどにカット分けし、サーブされる。
 よっしゃ、がぶり!
 ふつふつと胸の奥からステーキ魂が沸き上がる。かなり久しぶりに、ガッツな肉っ食いだ♪

 へべは早速、「“旅の最初に一番美味しいものに当たっちゃったわ”パターン…じゃないかしら」と要らぬ心配を拝見している(笑)。

 この辺のチュレータ文明(笑)の中での特徴を、敢えて挙げれば、やはり、シェフJonの顔つきのようなチュレータだ…ということになろうか(笑)。
 知的で精緻。肉の中のミクロクリマ…とでもいうか、数センチ違えば其処は其処の味…みたいのまで表現したい、というような味がする。あくまで「イメージ上」の話ではあるが。当然、「筋張ったとこ」や「脂」の固有の旨みも素晴らしい。
 大きな熱が完璧に入り肉汁をコントロールしたステーキは、冷めても…というか、温度が下がって来てもあまり魅力を損なわない。それもありがたい。

 今日の肉「プレミアム」は(ここらでは使われることの少なくない)ドイツ産Simmental 8歳で、熟成は4週間。(熟成8週間の肉の用意もあり、そちらはポーランド産だったよう。熟成庫の巨大塊はガリシア産も)
 肉の卸はこの辺りで最有力な一軒「Iruki」。Irukiとの関係は密接なようで、メニュー上に「Iruki」の表記があるし、また、Irukiのサイトに行ってみるとアチコチで「laiaのjonはこう言っている」…というような記述がある。
laia
 タルトフリア・デ・ケソはゴルゴンゾーラを使ったものだというから、ガストロらしいひと工夫モノ。フレッシュなタイプの青黴香…にちょいビターなソースで、独特な大人味。好き。

[へべ]
 チーズのデザートはゴルゴンゾーラ。洒落ていておいしい。

 焼きたて林檎のパイとアイス。
laia
laia  駅までぶらぶら歩いて帰る、気持ちいい。

[AQ!]
 いやあ良かったね! 初日からアゲアゲざます。
 オンゴスとチュレータに、深く座標を刻む。

 よく晴れた夕方。(さすがはスペイン時間で、年末年始で日没は18時過ぎ)
 スマホによれば、バス停まで1km、鉄道駅まで3km、山下りである。
 これは歩かぬ手はない。
 ああ、気持ちいい。
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  L'escaleta レスカレタ
  
Pujada Estacio Nord 205, 03820 Cocentaina, Alacant Tel: 965 592 100 www.lescaleta.com
13:00~16:00/21:00~23:00 月・日火水夜休 1月にバカンス
料理長: Kiko Moya
・  
2009年 1月 ☆☆

 [Ano Nuevo 2009]
 *Aperitivos y Snacks
  Equilibrio de "Parfait" de Pichon
  Caldo de gallina y "Facedures" trufadas
  Teffina de foie de Pato
  Jamon de Bellota G.R. y Queso de Oveja curado
  Chipirones de Bahia salteados y Habitas
  Espuma de Patata y Trufa negra (Tuber Melanosporum)
 *"Llucet" a la brasa y Sopas de Pan
 *Costron de Cochinillo y "Ceroles" confitadas
 *Sorbete de Pina asada flambeado con Ron negro
 *Barrita de Chocolate, Vainilla y Caramelo
 *Chocolate de Habas de Cacao y Curry
 +98 Casa Castillo Pie Franco

[↓メモ版:工事中]
[へべ]
 (たぶん)元日メニュー
●鳩(レバー?)なめらかペーストムース・カレー風味スプーン入り・トースト添え“チョコカレーパン”仕立て。平均台?
●バカラオの皮のパリパリ揚げ
★小鍋入りコンソメ(gallina=鶏) 「なんちゃって白トリュフ」つみれ団子ふんわり入り
★ハモンデベジョータのグランリゼルバ、超絶旨い!とチーズ
●フォアグラ
★ちびそら豆(Habitas?)と小イカのソテー すごくいい
●じゃがいものエスプーマ(たしかに軽い!)と黒トリュフ メニュー上でキノコ名にラテン語の学名(Tuberとか)を使っていることがよくある
★“Lucet”(スズキ)のア・ラ・ブラサとパンのスープ なめらかな白いやわ肌に素朴なスープのソース
●仔豚のパリパリ焼き ブエノ
★焼きパインのソルベにラム・ネグロのフランベ サービスの小さいおじさんがやってくれた
●チョコレートのケーキ、バニラとキャラメルのクリーム
●板チョコ(まだ食べてない。おみやにしたので)
 おっきなシェフのキコ・モヤさん、いい人そうです。
 超近眼らしいのっぽのメートル、やさしいし。
 食後のタクシー待ちのひととき、となりの卓のセニョールが「ジャポンからかい?ワシはチャイナはけっこう行ったんだけどな」などと話しかけてきたりする。入れ代わりに戻ってきたマダムは「ちょっと騒ぎすぎちゃって…」かどうか不明だが声嗄れのハスキーボイス。別れ際に握手を求めたら、スペインじゃこれよ!と両頬にビズー。マダムのほっぺたはふんわり、いいにおいがした。

[AQ!]
 13:15。賑わいの絶えない元旦のホテルのカフェテリアを抜け出して、フロントのガブリエラにタクシーを頼む。
 「何処まで? バレンシア?」
 に
「レスカレタちゅうレストランなんだがや」
 と答えると、
「ワオ!それはステキじゃなーい!、わかったわ」
 と、相変わらず凄い勢いでタクシーに電話をかける。…かけるのだが、出ない。出ても断られていたりする。元旦…。
 ダンっ!
 「もう、どいつもコイツもトラバハしやがらねえんだから!」
 と机を叩く。冗談みたいな超モデル顔のネーチャンなので(フロントにいる限り、半端じゃない数のオトコどもが粉をかけていく)、なんか、コントでも見てるようで笑っちゃうんだが、んー、しかしタクシーいないかソイツは困ったがや…。
 尚も奮闘するがダメ…。
 かなりな時間を要しているが、出ない電話が増えている。
 …と、
 1人つかまった。
「あーたらこーたらどーたら、、ペルフェット!」
 お、何とかなったらしい。天に両手を突き上げ、
「私、やったワ!」
 と雄叫びを上げるガブリエラ。冗談みたいな超モデル顔の破顔一笑は、まるでコント…。
「ねー、こーんなにかけたのに、最後の1人だったワヨ!」
 と手帳を突き出す。10件くらいの電話番号が並んでいる。ウ、ウーム、AlcoiとCocentainaの町の規模じゃ、これで全部くらいかもなあ…。ヒヤヒヤ、、、
 俺もガッツポーズ。ムーチョにムーチャスにグラシヤスでやす、と1ユーロ玉をガブリエラに差し出すと、これが、「いえ、コレは私のビジネスだから」と、頑強に受け取らない。戻してくる。昔風のチップ習慣は消え去ったヨーロッパではあるけど、これは1ユーロとしたものではないか?  もう、全く、取ってくれない。冗談みたいな超モデル顔が…(笑)。
 いやあ、そう言われてもこれはマヂ感謝だから、とユーロ玉をフロントカウンター上に置去りにし、ソファでタクシーを待つ。

 実のところレスカレタは、モーロ村ホテルから、すぐっちゃすぐ。Alcoi抜けて、Cocentainaに向かう途中でモンターニャ方向に曲がる。すぐ…と言っても、歩いたら、道を知ってて30分はかかだろう。

 何もない。山がある。美しい山だ。
 後にダチになった(笑)隣席の、近所ショコラテリーのオッサン夫婦も、ここの山は形がいいんだヨ!、と自慢してた。

 広々として複雑な作りの、オヤカタ。広大なテラス。庭の向こうはバンケット棟かな。
 前庭のアレやコレやを眺めながら何じゃコレは…など言うておると、重厚な玄関が開き、ケントデリカット眼鏡のメートルが、ワケワカ日本人客迎え入れの段に入る。
 ブエナタ、ミノンブレ石井でやも…と告げると、嬉しそうに、ワシが送ったFAXのConfirmationを取り出し、
「これだろ! この変な綴りの名前!」
「しーしーしーしー!」
 わーい、今日も何だかノッケから楽しいなあ!
 程よい広さの主サルを横切り、中央奥のひな壇・お誕生席へ。

 帰りがけに、「どうやってウチをコノセルア?」…と聞くので、インターネットとロメホールガストロノミヤとミチェリンじゃ、と答える。
 「うほうほうほ、そうかい!」

 Kiko、でかい。巨大。このヒトのオヤジくらいが始めた店とかなのかなあ…それは聞かなかったけど。
 根を張った安定感のある味なので、名門修行系、もしかしてフランスにも少し出てたとか?…とも思ったのだけど、どうやら、独学系らしい。

 この店は、誰も、一言も、英語を話さない。…それはそれで爽やか、というか、こっちの方が(あんまりな英語…よりは)ラク。隣席の客の御夫婦は、そこそこ上手な英語を話す。

 賀正メニューの小冊子が、既に卓上にある。元旦はこのコースのみであるらしい。小変更はきくようで、たまに、コース外のものが流れていく卓もある。

 キッチリと下半身が定まった料理。デップリ、ではなく、カッシリ、とした下半身。安定感のある。

 鳩パルフェは、一口スプーン型御提供(一口、にはデカいが)。箸立てのようにスプーン立て、が、トースト。で、カレー味、口の中で高級なカレーパンになる。美味、今日はモリモリと食べましょう、という感じ。

 赤い可愛いツボに入ったのは、ツクネ(白トリュフ見立て?)入りコンソメ、雉とかかな。ヒジョーにウマい。コンソメおかわり、でも、いいくらい。隣席のオッサンにはこれが大皿で出ていて、ツクネは別添だった。「ワシゃアレが好きやけんね、倍量で持ってきてチョ」…とかか?

 ホセリートのグランリゼルバ。ウメぇもんだな! まさに、ドングリ食っているみたいだ。食ったことないけど。
 脂もいいが、赤身もいい。熟成と酸とが適度に上品にあって、バランスがよく、過剰でなくて奥深い。

 チピロネス(ほたる)は、小空豆とギサド。豆は、近くば寄ってよく見ると空豆なのだ。長辺で1cm弱くらい。皮つき。これが、プチュっとして香りがあって、楽しい。

 じゃがいもエスプーマは、その名乗り通り、モデルヌな一品。と言ってもシンプル、エスプーマに黒トリュフ。芋は適度な苦味やミネラル感を残し、甘みなどの化粧は少な目の美しい仕上げ。
 こちらに来てから、トリュフが実によく香る(笑)。日本より多少は安く買えるんだろうし、そのタチを熟知して使いこなしているということはあろう。堪能できる。
 …こちらの空気だとトリュフが香るんだよ…って話だったら、どうしよ?(^^;;)

フォアグラテリーヌはオーソドックスに。「プティポワンの“炭焼き”の、あそこまでは香ばしくない版」…とよくわからん例え(^^;;)をするワシら。

 リュシェが「今日の一品」か。リュシェは、ルビーナみたい。典型的な、モダンスパニッシュのペスカドのキュイソン。皮には、少しだけ焦げ目を入れている。パンのスープとの相性が素晴しい。パンの海を泳ぐスズキの芳しい体臭、肉汁一杯。アホの誘惑。

 コチは、表面サックリ中シットリを上手にやり、強気のソースとともに堂々。ガルニは、花梨のコンフィですかね。

 約満席…くらいの盛況。カップルが、ウチを入れて4卓くらい、4人ぐらいのとこ、多人数、多人数の個室、、、みたいな。誰にとっても元旦でゴザル。
 ケント・デリカットとテリー・ジョーンズ風の小さいオジサン。後から出てきた鯔背なソムリエ風。メートレスもいる。若いのも。此処んちは大所帯。
 小さいオジサンが可愛い。料理を置いて、簡単にその名を言って行くのだが、ワシが「おお、コチニージョだか!」などとリピートすると、妙に嬉しそうに「そーだそーだ」とかぶせて、ウキウキと去るのである。

 ワインは、ケントと。「近所のティントを飲まして欲しーやも」…と頼む。このフミージャは、98.00.05.06と持っていたのだが、丸みで98・果実味で05、がオススメだと。強烈にパンチ食らいたいなら06もアリ、だと。
 んー、…で、98をいただく。ナカナカ結構。メシとの具合もよく、へべ、喜ぶ。
 モナ100%、どうもフィロキセラ以前の接いでいないものらしい。

[↑メモ版:工事中]
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  Loidi
  
Mallorca 248 08008 Barcelona 93 492 92 92 (FAX 93 445 32 32) www.loidi.com


・ Hotel Condes de Barcelonaが営むカジュアルレストラン
[↓メモ版:工事中]
2007年 5月

 *季節野菜のエストファーダ
 *ポテトのリオハ風
 *ラペのロメスコソース
 *Pargoのアサド、緑アスパラとそのピュレ
 *ブティファラと白インゲン、赤ピーマン
 *テルネラのステーキ、薄いポテトタルト
 *レチェのポストレ
 *シトラスのカスタード
 +04 Legaris

(コメント工事中)
[AQ!]
 バルセロナの高級ホテルでは、近年、ホテル内レストラン競争が激化している。ロカ兄弟に依頼したOmm、サンティサンタマリアを口説いたHesperia Tower、エルブジ出身シェフを押し立てるMajesticなどがその最たるもの。ここに負けじと、パセジ・デ・グラシアの老舗コンデス・デ・バルセロナが担ぎ出したのは、地元カタルーニャではなく、バスクの巨匠Martin Berasateguiである (バスク料理が美味しい、というのはスペイン全土的なジョーシキであり、バルセロナ市内にも古来よりバスク料理店・バルなどは数多くある。よって、とりたてて奇手という訳ではない)。
 そのレストラン「Lasarte」はライバルたち同様、ミシュランでも一つ星を獲得している。
 さてその「Lasarte」と通りを挟んで反対側に、コンデス=ベラサテギは「Loidi」という更にカジュアル版の店も展開している。こちらは、内容・価格ともに、かなり気楽な設定である。
 そんな訳で、お邪魔する。

 リオハ風はチョリソを使ったもの。
 全体に家庭料理っぽい。アセゾネが穏やかなのはバスクスタイル?
 かなりラクに食べられる・使える店。

[へべ]
 クールな店内、冷静な入り。
 やさしい料理でのんびりワイン。

 アミューズ:焼ししとう
 エストファーダ:野菜生ハム煮
 ラペ:ロメスコ ロット
 Pargo:白身魚ポアレ 緑アスパラ 緑ソース
 シトラスカスタード レチェショコラ

(コメント工事中)
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  Maruja Limón  マルハ・リモン
  
Montero Ríos, 4 36210 Vigo, España +34 986 473 406 www.marujalimon.es

・ ビーゴ市内のレストラン
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

Maruja Limon 2018年 5月 ☆☆

 [ MARUJA EN ESTADO PURO ]
 Para comer con las manos:
 *Roca de algas
 *Torrezno de bacalao y pisto ligeramente picante
 *Tartar de ternera y berros
 *Huevo frito y jamon iberico
 De tenedor, cuchillo y cuchara:
 *Secuencia de esparrago
 *Vieira encebollada
 *Molleja de ternera, boniato y verduras marinadas
 *Menestra de verduras y un jugo de perdiz
 *Chuleton de vaca gallega
 *Rape, guisante, nabo y menta
 *Pescado de mercado
 *Pieza de cerdo, glaseado agridulce, yogurt de cabra y pepino
 *Chocolate y tofe
 *Queso fresco, cafe y cacao
 *Tocinillo de vainilla, caldamomo y huevas de la pasion
 +15 Quinta das Bágeiras Bruto Natural
 +13 As Bateas Vino Blanco Atlantico
 +16 Cies tinto Rodrigo Mendez
 +16 Viña de Martin Os Pasás
 + Volátil vino tinto

Maruja Limon
[へべ]
 海風冷たいビゴの街は、どことなく裕福っぽい。巨大客船。謎の地下市場。おじさんDJ看板のカフェ。

[AQ!]
 そんなビゴの港の近く、公園があってMaruja Limonがある。…のだが、店のすぐ前に来るまで気付かないくらいの地味な看板。…都会的だ。

 内装は、まだ店が出来て新しいのかな?…と思わせる。クールでカジュアル、スマートで洒落てる。
 サービスは“えーとどうしましょ…だっけ”な顔で、サルから厨房に折れてカウンターに案内してくれる。
 おお、とくに頼んだ訳じゃないけど、オープンキッチンのかぶりつき席だ。ムチャグラシアス。

[へべ]
 オープンキッチンカウンター♪
 都会的。スペインモダン趣味が良い
Maruja Limon
Roca de algas
 海藻の石(固いスポンジ、スコーピオンフィッシュ、海藻)
 針金スタイルの皿…って最初に見たのどこだったろう、Piazza Duomoとか懐かしいね…などと。
Maruja Limon
Torrezno de bacalao y pisto ligeramente picante
 鱈の皮タコス、ピミエントス
 Torrezno:カリカリのトースト、通常はトシーノ(ベーコン)
Maruja Limon
[AQ!]
Tartar de ternera y berros
 berros:クレス
 ミニハンバーガーというか、今川焼き仕立てw。
Maruja Limon
Huevo frito y jamon iberico
 ややややや!…半割りの玉子フライで、見た目はそう奇異ではないんだけど、フワッフワのトロットロで、食べるとけっこー驚く。揚がるかコレ?…みたいな。
 ハモンと合わさってお味としても、とてもよろしい。
 後で、アレ凄いべさ?…と聞いたら、「15年くらいやってんだよ」とのこと、スペシャリテ格かね。Vigo版瓢亭玉子(違)。

 品書上はここまでが「お手で」、ここからが「カトラリーで」。
Maruja Limon
Secuencia de esparrago
 一瞬、何かと思う(笑)。
 白アスパラの蝋燭見立て(何で蝋燭に見立てんとアカンのかわからんけどw、よく似てる)と白アスパラ和え麺(タイ風)…見立て。
 アスパラそばには、割箸。丼の上に箸の先っちょがコッチを向いて置かれている。後から思うと、「ああ惜しいねチミ、箸の置き方が逆サマや」とでも言ってあげればヨロシかったんだけど、そん時ゃ何か意図がおるのか?とか思ってそのまま食っちゃうんだよね(^^;)。
 ま、箸だと食いやすい!…って思ったんだろうね、その通りだ(笑)。
 欧米人は、サラダなんかにも、箸を出してくれていいゾ。
Maruja Limon
Maruja Limon Vieira encebollada
 帆立+オニオンリング、椎茸敷き(とその濃いソース)。オーソドックスな仕立て。
 “かんけーねーけど、もうこーゆー欧州の若い連中とか「シータケ」が日本語だなんてまったく知らんだろうなあ…”
Maruja Limon Maruja Limon
Molleja de ternera, boniato y verduras marinadas
 リドヴォー。
 国内でもそうだが、旅先食い歩き「おまかせ」系は、食材の重なり・散り具合…が運次第なのだが、今回はほんとに散りの部分がうまく行ってくれた。
 サツマイモピュレの甘み、野菜マリネの酸で。
Maruja Limon
Menestra de verduras y un jugo de perdiz
 煮込野菜とサラダのアンサンブル、中央に緑アスパラ。ペルディスのフーゴ…には、ギンディージャが刻んで加えられているのが巧み美味。
Maruja Limon
Chuleton de vaca gallega
 ガリシア牛たたき(温製)。
 名物牛はコース1ヵ所くらいには挨拶に出るw。噛み味がジュワっ。
Maruja Limon
Rape, guisante, nabo y menta
 とても明るい、陽気な、春のラペと豆。
 ガリシアが香る。
Maruja Limon
Maruja Limon Pescado de mercado
 本日の魚はロダバージョ。
 魚紋…と言いたくなる断面が光る。旨い。カリフラワーと白いソース、ソサエティガーリック的な小花。

Pieza de cerdo, glaseado agridulce, yogurt de cabra y pepino
 厨房の奥に小さい炉釜があって、肉はそこで火が入る。旨そうだなあ、カウンター特権w。
 豚の甘酢っぱ照焼…風。イタリアンで言えばアグロドルチェ。ガルニは、胡瓜+ヨーグルト。
 ガリシアって、“魚介が名物で牛豚がウリで野菜のごった煮を食ってる”…って最強だよなあ、と改めて思う(笑)。
 ところでこれでガリシアガストロ4軒目となるが、肉…とくに豚、は、柔らかい仕立て…トロトロというかな、(誤解を招きやすい表現になってしまうが、イイ意味で)柔らかく供するのが目立つ。
Maruja Limon
Chocolate y tofe
 チョコ版カンノーリ…みたいなひと口。

Queso fresco, cafe y cacao
 カフェ・カカオのチーズクリーム…まあ実にオーソドックスな甘味なんだが、無闇に美味い。
 言ってもしょーむないようなことだが、書いとかないと忘れるから書くと、とても美味い(^^;)。
Maruja Limon
Maruja Limon Tocinillo de vainilla, caldamomo y huevas de la pasion
 バニラ・カルダモン・パッションフルーツタピオカのトシニージョ。
 小菓子にクッキー。
Maruja Limon
Maruja Limon  軽快な昼食。
 感触もテイストも、随所で(今回旅行の中では)アーバンなw印象だ。
 全行程も3時間弱で出終わる…と、(今回旅行の中では)かなりコンパクト。“テンポが良い”って感じだ。
 仕事・作業に熱があり、キッチリと出してくるので、ハズレなく美味しくいただける。まあ、まだ、巨砲一発胸を打ち抜くようなひと皿…とかは無いかなあ、というところは無いでも無いが。
 「イイ店」であった。

 退けるに従ってどんどん厨房は綺麗になっていく。焜炉向こうの壁は、自然の石壁(あれ、汚れちゃわないか?)の前にガラスを張っていて(ああ、なるほど!)、見た目麗しい。
 シェフは、多少はアジア人が気になっていたか、最後には「で、何ナニ?」と出てきて、記念撮影♪
 ラファ(Rafa Centeno)シェフ。サイトを見ると、女性Inés Abrilとの「ダブル・シェフ」みたいなんだけど、イネスは居なかったかな。
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  Martin Berasategui マルティン・ベラサテギ
  
Loidi Kalea 4, LASARTE (943)366471,(943)361599 Fax:(943)366107 http://www.martinberasategui.com/
13:00~15:30/20:30~23:00 日夜・月火休 年末年始・春に休暇あり
料理長: Martin Berasategui (1959-)
・  
 

  MBER1 [↓メモ版:工事中]
2003年 8月 ☆☆☆

 LO MEJOR DE LA COCINA DE MARTIN BERASATEGUI
 " EL GRAN MENU DEGUSTATION "
 MIS APERITIVOS SON DISTINTOS SEGUN EL ANTOJO DEL CAMPO, EL MAR Y LAS ESTACIONES.
 OS PROPONGO DEJAROS SEDUCIR POR LOS PEQUENOS BOCADOS CON LOS QUE ABRIRE VUESTRO APETITO.
 SEDUCTORES, LIVIANOS Y SOBRE TODO SABROSOS.
 QUE SEAN EL PREAMBULO DE UNA BUENA COMIDA Y UNA MEJOR SOBREMESA.
 *2002 CREMA DE REMOLACHA CON INFUSION DE BERBERECHOS AL TXAKOLI
 *2002 CROQUETA CREMOSA DE PATATA
 *2003 ALMEJA AL ACEITE DE OLIVA
 SEGUIRA EM PEQUENAS RACIONES CON
 *1995 MILHOJAS CARAMELIZADO DE ANGUILA AHUMADA, FOIE GRAS, CEBOLLETA Y MANZANA VERDE.
 *1999 TOFFE DE MANTEQUILLA SALADA DE GUISANTES CON GELE DE PERCEBES.
 *2003 VIEIRA Y CIGALA EN FINAS LAMINAS CON LICUADO GELATINIZADO DE SU CORAL.
 *2002 ENSALADA TIBIA DE TUETANOS DE VERDURA CON VERDEL LIGERAMENTE AHUMADO, CREMA DE LECHUGA DE CASERIO Y JUGO YODADO.
 *1999 GELATINA CALIENTE DE FRUTOS DE MAR CON SOPA DE ANIS Y SORBETE DE HINOJO.
 *2003 GERMINADO DE CEBOLLETA DULCE Y ANCHOA, CON EMULSION DE PIMIENTO ASADO, PATATA Y TOMATE.
 *2003 VENTRESCA DE ATUN SALTEADA CON CREMA DE MARMITAKO Y PAN FRITO.
 *2003 PICHON ASADO CON PENCA, QUESO COMTE, CEREZAS Y MANZANAS.
 LOS DULCES PARA TERMINAR
 *2003 INFUSION DE PINA CON HELADO DE COCO, CHOCOLATE Y GRANIZADO DE RON.
 *2003 PAN CARAMELIZADO DE FRUTOS SECOS, CREMA HELADA DE WHISKY Y CORTEZA DE NARANJA.
 +98 R. de Ganuza RVA.

[↓メモ版:工事中]
[AQ!]
 行ってみると、ラサルテのベラサテギは、けっこう町の中にある。「近郊住宅地の中にある」って感じか。  テラスで食べていると、夜中まで隣近所の飼い犬の吠え声が聞こえる。逆に言うと、犬の声くらいでしか近隣が感じられない程の広壮な敷地に、ゼイタクに構える豪気な一軒家である。
 taxi(Donostiaから片道5euro。思ったより近い)がラサルテに入ると、各ラウンドアバウトに、各曲がり道に「ベラサテギ=>」の標識看板が出る。さすがわ3つ星様。…いや確かに、「こっち曲がれ」がないと、ちょいややこしそうな道みたいだ。
 DonostiaのHotelの部屋から花に溢れるMBの玄関口まで約10分…とあっては、さすがに目指したのより随分と早い到着で、まわりを散策する。
 MBパーキングに入る曲がり口のオリーブの古木が枝振り眺めよろしと(ワシらに)評判である。Donostia近郊のレストランはおしなべてそうだが、広大なパーキングである。此処んちは従業員車両が見当たらない。別にあるのか。パーキングを取り囲むように鉄骨彫刻風のポストがあり、庭(果樹が植わっている)にかけては大きい鉄骨が配される。「これはチイーダでショ」と、昼間、チイーダLekuで遊んで来たハポネスは、早速フカすのである。いや、でも本物または「チイーダ調」なんでしょう。

 我々の前を、やはり早くに着いてしまったらしき3人客が、カラコレスのような時間つぶし逍遥にも飽きたか、入館の儀に向かって行く。ワシらも一回りしたら、入店するにしよう。
 前庭に器量よしの猫ちゃんがいるので、話しかけていたら、その手前の岩の上に、でっかい生カラコレスが這っているのをハケーン! 動物の仕込み(?)まで気が利いてやがるわ、と賞賛(?)。
 その間に、5人組のマダムが入店して行く。「彼女らの次に行こうかね」と決めるが、いやま~、セニョーラたちの歩みの遅いこと。階段を3歩上がっては花が綺麗だの、踊り場のベンチを見ては誰それんとこに孫が出来ただの、まぁとにかく目と鼻の先の玄関ドアまで何分かかるのだろう。これがレストランの時間を楽しむということか、と、学習する(ほんまに)。

 さて、ワシらも、オラ!オラ!、と挨拶を交わす人となる。
 こちらでの最初の動議は、「コメドール? オ、テラス?」であった。この日は夕方の通り雨でぐっと気温が下がり、かなり涼しい陽気。せやけど(せやから)、野外の食事もあろうかと二人とも「上着持参」であった。迷いはしたが、「テラスだ! テラス!」と進む。
 テラスはコメドールを抜けた先で、6卓ほどの軒先軒下。行ってみたら極楽だったというように、「やっぱりテラスは、気持ちいーーー」。
 このテラスは軒から先も広がっていて、花壇があって、公園にあるようなベンチと街灯があって、手摺りの所から下のお庭が見渡せる(ここは日本でいう3階レベル。元々の土地の起伏を活かした作りの建物)という贅沢さ。ベンチの前の高さ1mほどの白い柱は、中で炎が揺らめいている所を見ると蝋燭をいこんであるのか…と、後で近付いてみると、柱全体が巨大蝋燭であったのことよ。
 更に壁際には絵画がかかり、我々が案内されたmesaの横にはハナ肇の胸像が置かれている。勿論よく見れば、ハナ肇の訳はなく、MBその人の像なのである。後から挨拶に来られた本人よりは幾分小ぶりな像かな。
 さて、弟子たちんとこと違って、こちら本家ではアペリティフの注文を聞かれる。
「えー、チャンペンにカバはいかが~?」(へべによると、その後、アペリティフ・ア・ラ・メゾンもあるよ、的な口上もあったとか)
 それにしてもオサーン、“チャンペン”かよ(^^;)。続けてチャサーニュモンラッチェでも出てくんかい、と近くて遠い言語の壁を笑いながら、ケチなハポネスは、ドスコパデカバを貰う。
 オサスナ!
 やぱり、アペリティフは、あると盛り上がる。
「カルタは何語よ?」と聞かれるには、この滞在で定石化した、「パラセニョーラ・フランセ、パラミ・カスティリャ」である。コック帽の横顔を紙に刻印し、スプーンを描き込んだオサレなデザイン。
 品書きには、一部例外を除いて、制作年度が入っている。例外とは「偉大なりハモンイベリコ!」とかその類いね。1995と1999~2003がやけに目立つ。
 さすがに初めてのベラサテギ様だ、注文はムニュデギスタシオンだろう、と一決しながらも、仏西を照らし合わせて読ませていただく。注文に関してはマダム(?)が一元化して取っているせいか、場内一周に時間がかかり、こちらにはなかなか来ないので更にジックリと読める。「決まったかに?」と問われれば「ムニュDでよろしこ」と一言するだけだが。
 ワインリストを眺めていると、アミューズ3品が登場。ワシは、ここいらの時間が忙しいんだよ。リストはベラサテギ一門共通仕様で、何つーか、読みにくいのだよコレ。何でペスケラの次にムートンが来てまたウニコに戻るねん、とか。リオハとリベラdDとプリオラートもゴッチャになって出てくるし。それでまた、分量はあるので、打順の謎には拘泥せず、ただひたすら読み進む。Pingusは00で500euroだぜ(^^;)。一体どうなっとるんじゃこの酒は。さすがにコレは日本の方が安くなかったけなぁ。でも最近、高騰しとるか。

 …などと流し思考をしていると、前に座るへべの目が丸くなっている。主犯は、真ん中の赤い奴らしいな。これは海鮮ジュレのような物をカップに入れ、ベトラーヴのスープを注ぎ込んだ、という具合か。これが驚倒的に旨い。ラルンスブールのベトラーヴを回想、さらに鮮やかな感じ。浅利も深みのある複雑な作り。
 とはいえ、ワインリスト読まなきゃエサホイサッサ、と忙しいんだよ、オラ。そ~かそかそかなるほど、アレハンドロ・フェルナンデスの91,94の180~200euroは微妙な所ね、と頷きながらベトラーヴに戻ると、全体が溶けて均質化し、先程の驚きよりは凡庸化している。う~ん、けっこう時間関数的ビミョ~なモノなのね。
 ひとつまみのクロケットも上々。添え物のポテトチップは「作り置きかしら、イマイチ油がキレイでない」とへべ。
 さて、ワインリスト格闘編の成果だが、こーゆー料理のスンバラシイ店でムニュD、と条件が見えた今、高価系に踏み込んでもワイン用の脳味噌空き容量が不足しそうだ。6,70euroの
[↑メモ版:工事中]
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  El molino de Urdániz  エル・モリーノ・デ・ウルダニス
  
Crta. Nacional 135, km.16,5, 31698 Urdániz, Navarra +34 948 30 41 09 elmolinourdaniz.com

・ パンプローナ近郊ウルダニスのレストラン
  → 2019バスク旅行記はこちら

Molino 2019年 1月 ☆☆☆

 *CARAMELO DE PIMENTÓN RELLENO DE MOUSSE DE TXISTORRA
  ADAPTACIÓN DEL EMBUTIDO A NUESTRA COCINA
 *PEPINO ENCURTIDO
  PEPINO OSMOTIZADO, CREMA DE OSTRAS, HIERBAS Y NOTAS LÁCTEAS
 *OSTRA
  JENGIBRE, AIRE DE LIMÓN
 *CIGALA
  HINOJO, HUEVAS Y MEUNIERE
 *CORAL DE VIEIRA
  CARPACCIO Y EXTRACTO DE NUECES
 *CONSOME DE PALOAMA
  TUBERCULOS, TAPIOCA Y MELISA
 *MOLLEJA DE VACA
  COCINADA A LA BRASA Y ACOMPAÑADA DE CEBOLLA ROJA ENCURTIDA
 *HIGADO DE PATO ASADO
  CON UN CALDO DE COLIFLOR TOSTADA
 *TRUCHA
  CREMA DE REMOLACHA, LIMA, NOTAS DE HUMO
 *PECHUGA DE PICHÓN ASADA
  GLASEADA CON SU JUGO
 *CREMA HELADA DE REGALIZ DE PALO
  MANZANILLA Y HABA TONKA
 +15 Santa Cruz de Artazu / Artadi

Molino
[AQ!]
 明けましておめでとうございます問題(^^;)。
 元日がやってくる。「お店なんか何処もやってませんから」とホテルから事前にメールが来ちゃうくらいの元日が。
 悩ましい。
 バルでさえ、多くが閉まる。頼みのアサドールも、大晦日・元日は全滅の構えだ。
 しかし希望を捨ててはいかん。例えばバレンシア圏での年越しの時には、Cocentainaの山中に元日営業をみつけた(L'escaleta…今じゃ立派な2つ星)じゃないか。

 今回の朗報は意外?なところから届いた。
 発表になった2019ミチェリン。バスクに2つ星が誕生した。…って、3つ星がゴロちゃらしてるバスクに2つ星って何軒あるかしっとるけ?…という話があって、実は、ムガリツしか無かったのであるが(エネコが3つ行っちゃったので)、2軒目が出たのね。
 その店を見ると、パンプローナ郊外(20km弱)の山中?ウルダニスにある。
 ううむ、サンセバ泊の我々にとって、ギリ、行動可能圏内ではないか。
Molino
 もう「何でも聞いてみよう」モードだったので、「元日はどうけ?」とメールしてみると、あっさりOK♪ たまには赤本に感謝しよ~w。
 やった、元日問題が解決した! たしかに、L'escaletaのケースもそうだが、「中都市近郊の郊外型レストラン」は狙い目なのである。

 と言っても問題がすべて解決した訳ではない。
 移動をどうするか? スペインはヤバいのである。
 またL'escaletaの話に戻るが、アルコイのホテルのガブリエラ嬢(いまだに名前覚えてる(^^;))が電話10件目にしてやっとタクシーをゲットすることが出来た。
 ググっても、元日は空港バスが来なくて飛行機に乗り損ねそうだった…なんて話もある。
 ドノスティア-パンプローナのバスの空席検索をかけても、元日だけ何故か空白が返ってくる。
 …と、ま、元日交通ヤバイ問題は若干アタマに入っていたので、この日だけは多少贅沢して、事前にホテルにウルダニス往復のタクシーを手配してもらった。

 元旦。ドノスティアはどんよりした曇り。パンプローナへの山越えへは霧の中に吸い込まれて行く。
Molino
[へべ]
 霧と雨のギプスコアからナバラに入ったらピッカピカの晴天に。
 店は郊外の街道沿いにあり、一階はガヤガヤと賑やか、食事を終えたバイクの兄さんたちが出発していく。

[AQ!]
 道の標識によく「→フランシア」と出てくる。この道は真っ直ぐ山を越えるとサンジャンピエドポに出るみたい。
 典型的街道沿い食堂、現シェフが2代目だか3代目らしい。
 「1階(店の手前)がバルで2階(店の奥)がガストロ」…という、バスクではよく見かける形態のようだ。
 オラオラ…と入店すると、早速、2階に上がる階段へ案内される。サービスのイニホさん(だっけかな)、
「英語?スペイン語?どっち? 英語か、オラ、下手だけど頑張って話しちゃうからよろしこ♪」
 …と、ま、こんなこと言うヒトは実はペラペラだ…としたものだw。極めて優秀なマネージャー。

「寒いけどイイ天気だねえ、今日は」
「ここの谷って不思議なくらいいつも雲ってる土地なんだけど、元日から馬鹿っ晴れでビックリだよ。ハッピー♪」
 落ち着いた居心地の2階の口切りの客。…というか、本日昼は、あと一組の家族連れが来ただけ。
 サルの入口には誇らしげにミチェリン2つ星のパネルが張られている、早っ!
 おまかせデグスタシオン。
 ワインはリストを眺めながら「やっぱナバラが呑みたいワン!」に、アルターディのガルナチャ。麗しく呑める良酒。
Molino
CARAMELO DE PIMENTÓN RELLENO DE MOUSSE DE TXISTORRA
[へべ] ピメントンのカラメロ、チストラムース詰め
 アミューズは15年これ、という志の一品、チストラのカラメル薄飴ロール。旨い!
 イニホさん、サービス、ホはジ(スペイン語で)。シェフはダビッド、David Yárnoz。
[AQ!] 「チストラはこの辺の名産で、コッチとアッチの2つの村で9割は作ってる(何の9割かは聞き忘れた、「ナバラの」かな)」「こんな変わった形を15年前に始めたんだけど、13年前にミシュランの星が付いたんだよ」 初っ端から魅力的。

PEPINO ENCURTIDO
[へべ] ぺピーノ、エンクルティード、牡蠣とハーブ
 皿の上空に胡瓜が香り立つ♪
 胡瓜ガストロバックでビネガー入れて爽やか、黒い粉は胡瓜皮を焼いたの、牡蠣の2色クリーム、緑はパンプルネル、白はパルメザン液窒。
[AQ!] しっかりした味。
Molino
OSTRA
[へべ] 牡蠣は殻にGの刻印(?)「こいつのが最高に旨いんだ」。レモン泡、軽い甘酢生姜醤油。
[AQ!] 生姜・醤油は言われんと気付かないくらいちょっと。牡蠣は3つにカット、生産者の名前を(誇らしく)何回か言ってたけど忘れちった(^^;)、良質。下に敷いてる海藻は「食べなくていいけどAgarAgarの原料だよ」

CIGALA
[へべ] クレイフィッシュ=シガラ、イノホ、玉子、ムニエールソース
 しっとり火入れの海老、生マッシュルームが香る。
[AQ!] シガラとレモンのバター
Molino
Molino CORAL DE VIEIRA
[へべ] 帆立のコラル、ノワのカルパッチョ
 胡桃のエクストラクト…帆立の胡桃汁、綺麗でやさしく滋味深い。
[AQ!] コライユの7分間ハム 軽い薫香の胡桃
 へえ! 素晴らしい解釈の帆立で美味。昨晩の胡桃汁粉もだけど、バスクは胡桃汁みたいなん、やるのね。
「ヌエス絞りやるぞ~、って言うとみんな逃げるんだけどね(笑)、大変で。でも、機械より香り立つんだわ」

CONSOME DE PALOAMA
[へべ] トピナンブール、パロマのコンソメ、トリュフ、タピオカ、メリッサ=レモンバーム
[AQ!] タイトルは「コンソメ」だが、鳩コンソメ(旨し)は中心にちょんぼりアクセント。主役となるのはトピナンブールで、ピュレと皮揚げ。焼きのメリサ粉が撒かれて香る。軽いタピオカがピュレのアクセントにちょいと。
 …と工夫も多いが本質はオーソドックス路線で、とても美味。

MOLLEJA DE VACA
[へべ] モレハデバカ、アラブラサ、赤玉葱
[AQ!] リドヴォにライスビネガーとSAKE漬の赤玉葱、ナスタチウム
Molino
Molino HIGADO DE PATO ASADO
[へべ] 鴨フォアにカリフラワー焼きのカルド
[AQ!] カルド卓上注ぎ。「フォアグラのお碗」って感じの仕立てで吸口は松の新芽。全体に軽いタッチで、コース起伏的にいい感じ。
Molino
Molino TRUCHA
[へべ] 鱒、ビーツのクレーム、リマ、燻香
[AQ!] 「お口直しと魚料理の合体(笑)」。鱒カルパッチョ崩しアイス…みたいな、「やり杉」「アイデア先行型」の皿に見えて、めっちゃくちゃ美味い。これは凄い。
 見え隠れするアルファルファや干し鱈皮ほぐしなど、全要素が活き活き。

PECHUGA DE PICHÓN ASADA
[へべ] 鳩焼き
[AQ!] 裏山から摘んできた緑(ハコベ系)と刻みトリュフ。
 この皿の前までもそうだったが、それぞれに濃淡ついたソースが上手。この鳩のソースも絶品、好き。
Molino
Molino CREMA HELADA DE REGALIZ DE PALO
[へべ] クレマエラーダ、レガリス
[AQ!] リコリスとガルナチャも面白い相性だ♪
 もう一品、トリュフアイス+ミルクスキン(ベーキングソーダ仕立て)+裏山ハーブ、が出て、ミニャルディーズ。
 ミニャルディーズの焼菓子のチョココーティングに「ミチェリン2つ星」のマカロンがデザインされてる。アハハ、可愛いな♪
Molino
Molino [へべ]
 素材の鮮度、地元愛が香りに出る。
 なんとなく(よく知らないけど)ナバラっぽさを感じる。

[AQ!]
 ビックリするほど満足度の高い昼食。
 非常にモデルノであって、根底がとってもナバラな味。…と思わせてくれるものがある(正確に言えば)(だってそんなにナバラ味を知ってる訳じゃないもん(^^;))。
 そしてナバラのガルナツチャは、ナバラ味だなあ。…と思わせてくれるものが、、、(正確に言えば)、、、

 この店は、核となるのはたったの4人の、小規模ファミリー営業だという。
「毎日、シェフが窓を磨いて1日が始まるのさ」

 “採点”したって高得点の店だが(だから新2つ星)、それ以上に、俺ら大好物なタイプの店。
 何か辺鄙な田舎にあって、小さな家族経営で、地元素材で、だけどモデルノでイノベイティブな料理を作ってて、それは斬新だけど地の味がして、親密でざっくばらんなサービスで、、、とかさ、大ストライク。
 まあ勿論、「色んなタイプの店を色んな楽しみ方で」というのは根本にはあるのだけど、でも、「大都市の豪奢なバラスで世界中から集めた食材を人海で調理して恭しく供する」のの100倍好き(^^;)。

 さて、紅顔の美少年…ならぬ紅顔の酔っ払いは帰るぞよ、とイニホさんの先導で階下に降りる。と、イニホ氏、
「おおい、ダヴィド、遠路はるばるのお客がお帰りだ、はよ来い」
 えー、この呼びかけ方がですねえ、某自由が丘のMのT氏の「おい、Mヤキ~っ!」にそっくり!なんですね(笑)。Mのお客さんに聞かせたいです。
 そして、店のシステムもよく似てるようで、料理説明の端々でわかるのだけど、こちらのイニホ氏も、新作料理試作の○×やダメ出し・アイデア出し…に大きく関わっているようだ。こーゆーとこが、イイんですね~。
「え、美味しかったですか、それはヨカッタです」…が、やはりMヤキさん風のシェフDavidと、店の前で記念写真♪
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  Cafe Bar Mercado Atarazanas  カフェ・バル・メルカド・アタラサナス
  
Mercado de Atarazanas Atarazanas, 10 Málaga, España www.facebook.com/pages/Bar-Mercado-Atarazanas
日休
・ マラガのアタラサナス市場のバル
Malaga 2015年 4月 ☆

 *Fritos: Boquerones, Pulpo
 **Pimientos del padron

Malaga
[AQ!]
 マラガ市内。

 活気あるアタラサナス市場。
 11時、魚市場は冷凍店以外は終わり。バーは12時くらいから、が多い。

 市場の前の路上の香草売りは、活けのカタツムリも扱っている。
 脱出を試みてる奴も、な(笑)。

Malaga  狙いの店は「カフェ・バー・アタラサナス」というベタな名前の立ち食いバル。
 オッサンが準備してるがまだ客はいない。
「え~と、、、」
 と声をかけると、
「まだだよ、オンセ・イ・メディア!」
 とのことで、市場見物を続ける。
 そろそろ11時半か…という頃合、覗いてみるが、動きがない。
 もう一周。
 そろそろか? …動きがない。…もう一周。
 11時45分、そろそろ油が支度され、ネタは切り揃えられ、粉を篩にかけ始めた。
 …けど、まだ、だって。
 …えーホンマかいな?…と思う12時になって、やっと、店は客を招き始めたのであった。

 さあ、アンダルシア名物と聞く魚介フリートを試さねばいかんね、と臨む。
 カーニャ。チャンケテは入荷なく、ボケロネスとプルポとピミエントデパドロン。

 どっかん、名物にもウマイものあり! こら参った。
 軽く、爽やかかつ香ばしく、素材の味がダイレクト。恐ろしくウマイ!
 プルポとボケロネスでは、粉も揚げ方もガラッと違う。天麩羅職人さんに「面白いでしょ?」と食べさせたくなるような感じ(笑)。さっきの「粉篩い」、効いてるなあ。
 ピミエントデパドロンもトップクラスの揚げ上手、めちゃウマ。

 後日譚になるが、アンダルシアの揚げ物のレベルは確かに高くアチコチで旨かったのだが、「アタラサナス・バルのこだわりは一味違ったなあ」…がよく出た感想だった。
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  Bar : El Meson de Cervantes  バル:エル・メソン・デ・セルバンテス
  
Calle Alamos 11, Málaga, España (+34) 952 216 274 www.elmesondecervantes.com
火休
・ マラガの人気バル&レストランテ
Cervantes 2015年 5月 

 *Pimientos del padron
 *Patatas bravas
 *Gambas rebozadas, con miel de cana
 *Porra de Antequera con tomatitos y huevo frito de codorniz
 *蛸プランチャとごはん
 *Secreto iberico con calabaza asada y mermelada de pina
 *頬肉煮込み
 +10 Paramo de Casser "reserva"

[AQ!]
 Malagaに戻ってきた。
 Sevillaで運良く高速列車に飛び乗れたので、17時半着。
 おなかがすいてるので夕飯は早めかな…何ならハシゴか…、で、バル飯とする。

 一軒目は人気バル、メソン・デ・セルバンテス。
 定休日の火曜以外は19時から開くようだ。
Pimpi
 こんばんは。
 奥がレトランテ、手前がバル。バルにも予約札が出てる卓がある。さすが人気店。
 メニュー見たり黒板見たり兄ちゃんの話を聞いたりで、ツマミを順次頼む。

 「本日」が、蛸プランチャ+カリカリごはん、と、頬肉煮込、で、この2品は上出来。
 市場でよくみかける「イベリコのセクレト」…聞いた名前だが何だっけ(^^;)、で注文。モチトロっとした脂ウマ。
 この「秘密」はググると「肩ロースの上に潜む」「首筋に潜む」「前脚付け根部分に潜む」…など書かれてるんで、まあ何かその辺の一部なんだろう。
Pimpi 「Porra de Antequera」って何ですねん?と聞くと、
「マラガから18kmくらいのとこにアンテケラって町があるんだけど、そこのサルモレホみたいな…」
 だって。スペイン人は何の根拠も無く(?)、細かい数字を言う(笑)。
 説明と実食からは、ハム少な目のサルモレホかなあ?…と言う感じだったが、ググると (諸説わかれる(^^;)が) まあ「サルモレホの異称」ということでいいみたい。
 翌日のダニ・ガルシアの空港バルでも「Porra de Antequera」の名前で用意があったので、いい予習になった。
 勿論ワインもD.O.Sierras de Malagaから。

 人気店の骨格で、サービスが非常にこなれている。いい感じで頼もしい。
 勘定したらフロアマネージャ風のオネーサンがやってきて
「どう、お楽しみいただけたかしら…」
 の後、(一番頼もしい兄貴じゃなくてその下の)若い子を連れてきて、
「カレ、頑張ってたでしょ? トリップアドバイザーとか書く?…だったらこの子、***って名前だから、褒めてあげてネ」
 だって。
 いやあ現代の、人気店人材育成法だなあ。感心。
 …そう、この店、トリップアドバイザーでマラガのトップ(時に変動はあるが)を取っている。
 まあそれだけに、客層の方も「トリップアドバイザー見たかあ」って感じのヒトは多いんで、ソッチ系が苦手なヒトにはアレなんですが。
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  Messina  メッシナ
  
Av. Severo Ochoa, 12, 29603 Marbella., España +34 679 77 00 62 www.restaurantemessina.com
日休
料理長: Mauricio Giovanini

・ マルベーリャのレストランテ
Messina 2015年 4月 ☆

 Tasting Menu April-May 2015
 *Amuse:グジェール、蓮根xユッカ・しめじ、鶏・牛蒡のカナッペ、Payoyoチーズのパン
 *Sea urchin mi cuit and celery water
 *Neck of tuna with slices of parmesan cheese, crispy bread and fresh tomato juices
 *Skate from Marbella's coast with creamy potatoes with saffron
 *Grilled sweetbread with yuzu English cream
 *Iberian pork curry, crispy rice and nan soufflee
 *Mango and mint
 *"Spanish French toast" Thai style
 +13 Moscatel seco botani / Jorge Ordonez
 +13 Albariño La Caña
 +11 Pago El Espino Los Aguilares Ronda
 +Moscatel Bodegas Malaga Virgen Reserva de Familia

Messina
[AQ!]
 月曜日なのでガストロは多少、不便だ。
 少ない候補の中、マルベージャに出掛けてみる。

 マラガは鉄道中央駅とバス中央駅が隣接している…ので便利・明快。案外、スペインで少ない。
 直通バスで50分。

 そうですなー、へべ曰く「温泉の出ない熱海」。
 …くらいかなあ。小さいがアンダルシアらしい「旧市街」もアリ。ビーチ、ヨットハーバー。
 外国人も含め、観光客がめちゃ多い。ついでに警官のパトロールもめちゃ多い。
 ビバ安穏?
Messina
 目的店は「Messina」。
 スパニッシュ・ガストロではかなり珍しい「夜営業のみ」の店。…あ、後期のel bulliはそうだっけ?
 これも「外国人観光客タウン」だからか、な。

 101レストランかなんかのランキングで、スペインのモダン・ベスト10に入ったのが目をひいた点。
 今日は「ケレンさんいらっしゃ〜い」である。

 ***

 こんばんは。
 先にやってるのはスペイン人親子4人。
 まだかなり明るい。
Messina
 メニュー立てがユニーク。立ってたものがそのままゴロンと横に出来るというか。
 デグスタシオンコースは2本立て、カルトもあり。軽い方のコースにする。

[へべ]
 すっきりモダンでスタイリッシュな店内(ただしバーコーナーには紫の照明)、黒革ミニスカートのサンパなサービス陣、ひと工夫したメニュースタンド、紙袋に入れて出てくるパン(これも金属スタンドに立てて登場)。
 意欲と研究熱がはしばしに感じられる、食後わくわくとうれしそうにテーブルにあいさつに現れたマウリシオ・シェフ(ちょっとスニルぽい)。
 これで精度ともう一段のひねりが加わってくれば、今後おもしろいのでは?

[AQ!]
 黒革のミニスカのネーチャンず、ムイビエン(フロアは2人で全部こなす)。
Messina
 アミューズは、
 サラダ・ルスのグジェール (ぼったい)
 ユッカx蓮根、しめじ(オイル)
 鶏・牛蒡のカナッペ (台に問題…くっつく)
 パジョパジョ・チーズのナン的なもの

 紙袋入りパンとともに、卓上オリーブオイルはエストラマドウラとハエン(強)の2種類が供される。
 (ハエンの「Olisierra Gourmet Limitada」とカセレスの「Pago Baldíos San Carlos Premium Arbequina)
 喉でカッと開くのがたまらんハエン。

Sea urchin mi cuit and celery water
 無加糖・無加水の「セロリ水」はご自慢のようで、確かに、このセロリ水とオンゴスほぐしの組み合わせは秀逸、かなり可能性を感じさせる。
 雲丹はフォアグラと練ってある。
Messina
[へべ]
 無添加手しぼりのセロリ水は、いい工夫(大小どちらのコースにも入れてた、たぶん自慢の一品)。生マッシュルームのパートとよく響き合っていた。

Neck of tuna with slices of parmesan cheese, crispy bread and fresh tomato juices
 まぐろの腹身にトマトのガスパチョソースを注ぐ前菜。

[AQ!]
Skate from Marbella's coast with creamy potatoes with saffron
 スケートは地元のごった煮風郷土料理の再構築で、スケートの蒸し煮+煮汁ソース、みたいに組み立てたモノ。
 ソース美味、本体の扱いなど、この皿は「伸びしろ」がある。
Messina
Grilled sweetbread with yuzu English cream
 リドヴォは(どうしても)焼きスパムを連想させる匂いがする(^^;)。
 柚子は殆ど香らないが、程良いとも言う(笑)。

Iberian pork curry, crispy rice and nan soufflee
 豚カレーは、案外悪くない。
 豚扱いの基本は出来てる。カレーカレーし過ぎてない。クロカンなライスは丁度良いアクセント程度に。

 食材は、欧州モダンで出るモノとして良質。さすがスペインである。

 ペアリングではマラガのワインを多用しているのは◎。
 (グラスなのにいちいち「お味見」アリ…なのがご丁寧。たま~にありますね)
Messina
Mango and mint
 ストローでかき混ぜてスプーンで食う(?)。

"Spanish French toast" Thai style
 タイ風味トリッハは、トリッハという基本が確立しているので、物珍しいフレーバーを入れてみるのも成功。
 英語品書は「スパニッシュ・フレンチ・トースト・タイ・スタイル」と滅茶苦茶だ(笑)。

 ***

 ま、これも楽しい。
 ガリガリのモダンかとも思ってたけど、国際フレーバーの取り入れが始まったくらいんとこ。

 やったるでー、って感じのシェフ・マウリチオがやってきて、
「イシイサーン」
 と言う。
 なんでもアミゴのトシオサンに「サン」を習ったらしい(笑)。

 シェフ、意気やよし、上に行くには、まだ大分精度を上げて詰めてく必要はあるだろうが。
 へべじゃないけど、どこかしらヌエネン「デ・リンデホフ」のスニル・バハドール・シェフっぽい(笑)。

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  mina ミーナ
  
C/ Muelle Marzana 8003 Bilbao 944 795 938 restaurantemina.es
料理長: Alvaro Garrido

・ ビルバオ市内のレストラン
2011年 5月 ☆

 [Menu Degustacion]
 *Crema de queso "carranzano" con confitura de tomate.
 *Ostra Gillardeau tibia con veloute de mar.
 *Taco de bacalao con sopa de tuetano.
 *Merluza acompanada de sopa Kanala.
 *Solomillo asada con crema de manzana y Perretxikos.
 *Crema de almendra amarga, lichi granizado y limon helado.
 *Chocolate con chiboust de Bourbon.
 +10 Itsas Mendi
 +Cava Grimau Reserva familliar
 +09 Petit Chablis / Patrick Puize
 +08 Malbec Lurton
 +08 Mallorca 12 Voltios
 +06 Murcia Olivares

(コメント工事中)
[へべ]
Crema de queso "carranzano" con confitura de tomate
 チーズのクリーム(黒顔羊)、青リンゴ、ナッツ、アンズ、トマトのジャム、角チーズ、青小ネギ

Ostra Gillardeau tibia con veloute de mar
 カキ、マス卵、青小ネギ、パプリカ、カレー風味黄ソース

Taco de bacalao con sopa de tuetano
 バカラオ(下はコンチャ)、茶ソースとろみ黒カリカリ

Merluza acompanada de sopa Kanala
 メルルーサ焼皮こんがい、小クラム緑ソース、そら豆ちび

Solomillo asada con crema de manzana y Perretxikos
 ソロミーリョ、青リンゴピュレ、きのこ

Crema de almendra amarga, lichi granizado y limon helado
 アーモンドクリーム、レモンアイス、ソルベ、香港新派調

Chocolate con chiboust de Bourbon
 みそアイス、バーボンジュレ、ショコラクレーム

 最後の一口:マンダリン冷、カフェショコラ、底に白クレーム
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  Sidreria El Mirador  シドレリア・エル・ミラドール
  
La Peruya 1, NIF 10567946K Arriondas, España

・ アリオンダス市内のシドレリア
2011年 5月 

 +Sidra Natural Foncueva

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  Meson El Rincon del Castanu  メソン・エル・リンコン・デル・カスタヌ
  
Calle de Ramón Valle, 3 33540 Arriondas, España +34 985 84 16 74

・ アリオンダス市内のシドレリア
2011年 5月 

 *Patatas Bravas
 +Sidra Natural Los Angones

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  Misturas  ミストラス
  
Calle Platería, 20, 36989 El Grove, Pontevedra, España +34 986 73 28 774

・ オ・グローベ市内のレストラン・バル
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

Misturas 2018年 4月 

 *Croquetas de Jamon de Lugo
 *Pulpo a la brasa con cachelos
 *Burger de Rodaballo
 +as maltes de misturas
 +15 Albamar o Esteiro Tinto Rias Baixas

[AQ!]
 ホテルで休息。
 ガリシアは大英帝国より西の位置だがスペイン時間、すなわちパリと同じ時間帯なので、中緯度であるのに21時でもまだ明るい。
 そんな中、よろばい出る。
 ウチのホテルの向かいのレストラン、「Mesón do Mar」も評判いいようなので覗いてみる。…と、客ゼロ(^^;)。
 それもなあ…と通りを進み、評判のバル「O Peirao」。…と、こっちは、客が溢れている(^^;)。バルだっちゅうに、外の客は「待ち行列」的雰囲気。
 ちょ、ちょっと歩いてみるか。
Misturas
 バル・レストランの密集地点あたりに歩を向ける。
 お茶をひいている店、爆裂してる店、それぞれ軒を連ねる中、目当ての店の一つ「Misturas」が“ほどよく温まっている”感。
 オラオラとお邪魔する。

 サルは手前と奥の2ヶ所にわかれている。落ち着きそうな奥へ。
 家族連れがほんわかとやってたりする。
 木製デッサン人形を大量に使ってるのが個性的な店内で、覗き窓から厨房の様子が見える。厨房は2人で回している。
 ワールドモダンなコースメニューも置いてるくらいで、バル枠としては料理自慢のようだ。
Misturas
 スペインもクラフトビールが増えたが、こちらも多く揃えている。
 その中から、店の名前が入った?一本で乾杯。
 後は、リアスバイシャスのメンシア。

 ガリシアはパン好きゆえ、どこもドカンとパンが来るが、こちらはバターもフレイバーバターが4種並ぶ。
 クロケタにプルポ、プルポは典型的ガリシア風ではなくアルオルノでいただく(ウマ)。
 フィッシュバーガー…というか海産物バーガーがウリであるらしい。15種類もオンリストしている。(肉のバーガーも6種くらいある) こりゃ迷うが、直球路線でロダバージョを。
 仰々しい俎板に乗って登場、オネーサンが2つにカットしてくれる。
 う~ん、バッチリですね♪ ちょうど欲しいモノ・欲しい時間が得られた一軒・一夜。
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  Mugaritz ムガリツ、ムガリッツ
  
Otzazulueta baserria, aldura aldea 20 zk., ERRENTERIA (Renteria) (943)522455,(943)518343 Fax:(943)518216 www.mugaritz.com
12:30~14:30/20:00~21:30 日夜・月・火昼休 冬季休暇あり
料理長: Andoni Luis Aduriz (1971-) / Llorens Sagarra
・  
 2010年2月、なんと火災にあってしまい焼失。現在(3月)、再開準備中。
 日本との繋がりも深いシェフ・店ゆえ、「復興支援」が、ヒロ・関口氏/アコルドゥ・川島氏/龍吟・山本氏はじめ多くの日本の飲食業界人から送られたのも記憶しておきたいところ。

 何とか再開にこぎつけた模様。 (2010)

MUGA1 [↓メモ版:工事中]
2003年 8月 ☆☆☆☆

Mugaritz  *バカラオ・じゃがいも"シャリ"の削り節がけ

 *Por una combinacion de esences analogas MEZCLA TIBIA DE NECORA Y SALICORNIA Alto de aceite de azafran y ceballino
  オカヒジキとペルセベ、よく効くサフラン

 *GEL MARINERO DE PAN Y CHIPIRON Chipiron salteado brotes del huevo y aceite simple de granos del paraiso [Elettana Cardamomum]
  烏賊とハーブ、烏賊墨モロモロのソース

 *LOMO DE SALMONETE DORADO Espina crocante y base yodada al enebio
  大きいルジェとその骨煎餅、赤く厳しいハーブソース
Mugaritz
 *MENDRESKA DE ATUN CUBIERTA DE VIRUTAS DE ALMENDRA TIERNA Y MACADAMIAS Curry fresco de hierbas silvestres Ramita de pimpinela
  ラペみたいなキンキみたいな、クスクス仕立て被り、ナッツと緑色スープがけ

 *PIEZA DE VACA GUISADA A 70 GRADOS Y CORTADA AL MOMENTO Lagrimas de verdura asada Mezcla de pimentas de los mundos
  バカのピーマンカラメリゼスープ浸し

Mugaritz  *LAS FRUITAS ROJAS DEL DIA
  ベリーのピメントスープ

 *すっぱいメロンの種キャラメリゼ煎餅
Mugaritz
 *HELADO DE PULPA DE CALABAZA Y VAINILLA DE TAHITI
  ピメント・メロン・グラスの重い苦い・うま~

 *CACAO/BADIANA/MENTOL
  カカオ・バディアンヌ・ミント・粉エピスのグラスと黒・灰のボール、クリヤな液体ソース

 +98 Torre Muga

Mugaritz
[AQ!]
 静謐で美しき世界の幕開け
MEZCLA ミックス
TIBIA 温かい
MARINERO 航海の
salteado ソテーされた
brotes 芽
granos 穀物
LOMO 背肉
SALMONETE ルジェ
DORADO 黄金の
Espina 骨
CUBIERTA 覆われた
TIERNA 柔らかい
hierbas ハーブ
silvestres 野生の
PIEZA 部分
GUISADA 煮込み
CORTADA 切られた
Lagrima 涙
verdura 野菜
PULPA 果肉
CALABAZA カボチャ
ムガリ(ツ)。
 バカラオ じゃがいも「シャリ」 かつぶし
おかひじきとペルセベス、よく利くサフラン
いかすみ、ハーブ、もろもろソース
大ルジェ、骨せんべい、厳ハーブソース
ラペ?キンキ?ナッツと緑スープがけ
ピーマンカラメリゼスープのバカ
ベリーのピメントスープ
メロンの種(キャラメリゼ)せんべ すっぱい
 ピメントムロングラスうま~重い苦い
カカオ、バディアンヌ、ミント
 粉、グラスと黒灰の球二つ、クリア液体

Hal関口クン…(この時はまさか、数年後にリストランテヒロの料理長として出会うことになろうとは…(^^;))、のおかげで食後に厨房でアンドゥニの話を聞く。
「ところでチリーダ・レクにはもう行かれました? まだ? では是非」
 翌日、素晴らしい快晴のもと、チイーダの庭園美術館であるレクへ。感銘を受ける作品群。
 アンドゥニが何故チイーダを見ろ、と言ったか、よくわかった。魂に繋がるもの…、そういった視点からの料理であること、が、よく、わかった、、、

[へべ]
 敷地内にハーブガーデンなどもあると噂のムガリツにはせっかくだからと早めに到着。
 Taxiを降りてそぞろ歩き体勢に入ると、おお、その香草園とおぼしき辺りでTシャツ姿の若者が何やら手入れにいそしんでいる。「オーラ!」と声をかけつつ目を走らすと、ムムム?、今回の旅でめったに会わないジャポネでは。
 こんばんは!
 彼の名はハルオ・セキグチ。ここの前はイタリアにいたそうで、菜園手入れ仲間は
「南の方の(非バスク)人で、ウァーーって感じ(ゆるい)、でも気はいいから」。
 これはミント系、とか、コスモスも葉先のこのへんは風味があってハーブに使えるんです、とか、案内&説明してもらいました。
 12月まではずっとここで一旦帰るけどまた来たい(だったかな?)、とにかくここはすごい、と。
 ここの2階に住み込みです。もうちょっとしたら厨房へ。日本にちょっと似て、持ち場がきっちり分かれた規律のなかなかきびしい職場。

(コメント工事中)
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  La Navarra  ラ・ナバラ
  
Rúa da Princesa, 13, 36002 Pontevedra, España +34 986 85 12 54

・ ポンテベドラ市内のバル
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

La Navarra 2018年 5月 

 *Cecina da montana de Leon
 +Estrella Galicia

[AQ!]
 5月1日祝日のスペイン、店は猛烈にやってない…。スーパーマーケットまで閉まっている…ほどだ。
 何軒くらい覗いただろう、少なくとも、Veracruz, O Bioco, Pitillo, Fidel, Pontetapas…はやってなかったのを覚えている(^^;)。

 O Biocoが閉まってて、ググルとその先のバルの点数が良いので行ってみたらやってた。…のが、この「La Nabarra」。オラ。
 …で、こちらも「今日は乾きモンだけだよ」的に祝日メニューだったのだが、まあそもそも腹もそんなに空いてないし、かまへんかまへんで邪魔する。

 今宵もエストレージャガリシアから。
 お通しにパンにチョリソが乗って出てきたんで、ハムは切れるんじゃん…と、セシーナを頼む。
 ドンと構えてたオカーサンがしずしずと切りに向かう。
 レオンのセシーナ。わちょー、うめぃ! いきなりゴキゲンだぜい。
 (しかし、ガリシアでレオンのハムが売りで屋号ナバラ…って、なあ)
La Navarra
 良いツマミも得て、あとはメンシアと壁のテレビのサッカー中継があればてぇげぇハッピーなスペインの夜だべっちょ。(割りとこーゆー、何してんねん…って夜もヒツヨーなのがスペイン旅)

 ついでの余計な話。
 …もっともこの日は、日付を見てもらえばわかる通り、あるある的なアコルーニャvs.ビーゴ…みたいな田舎試合じゃなくて、CL準決勝レアルマドリーvs.バイエルンの大一番だった(笑)。
 ところで、R.C.Deportivo de La CorunaとCelta de Vigoって、ユニフォームを見ると、どちらもEstrella Galiciaがメインスポンサー…なのだろうか。
 最近のスペインの空港、胸に「RAKUTEN」と書いた奴が多いのも、慣れないが…w。
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  Pepe Vieira  ペペ・ヴィエイラ
  
Camiño da Serpe, s/n, 36992 Poio, Pontevedra, España +34 986 74 13 78 www.pepevieira.com

・ ポンテベドラ近郊Poioのレストラン
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

Pepe Vieira 2018年 5月 ☆☆☆

 [ACTO 1]
 *Pan de trigo e ova de pescada a brasa
 *Empanadilla de millo, congrio e maruca
 *Freixons de millo miudo, coco, ourizo e oxalis
 [ACTO 2]
 *O Rei dos Xibaros.
  Cigala o sal, coco, titote e fiuncho
 *O canto da Maruxaina.
  Percebe, caldo de anchoa, ortigas e pina
 *O Home Peixe.
  Rape e cinzas de porro
 *Peixes de Horreo.
  Salazons, fumados e secados
 *Sargo nun guiso.
  Tripa guisada, pataca e allo
 *Foie de galo celta.
  Pan de millo amarelo de Tui, maza e mostaza
 *Rabo de porco.
  Requeixo e zume cortado de oxalis
 *Romasanta.
  Todo corazon
 *Auga de alicornio.
  Vaca e millo

Pepe Vieira

 [ACTO 3]
 *Bunuelo de vainilla de Tahiti
 *Queimada fria dentro dunha lima
 *Chicolate picante e acido
 *Limon de A Serpe
 *Rosquillas de praline
 *Semente de eucalipto
 +Gorgola Brut Nature
 +白ワインカクテル
 +Manzanilla Maruja Juan Pinero Sanlucar
 +03 Lapena Dominio Do Bibei Ribeira Sacra
 +Sazon Ponte da Boga Adeca Ribeira Sacra
 +08 Cote-Rotie Blonde du Seigneur Georges Vernay
 +12 Gomariz Dende O Seculo X


Pepe Vieira [AQ!]
 Restaurante Pepe VieiraはPontevedraとO Groveの中間くらいにある。海に臨む高台に建つ。
 街道から細い道Camiño da Serpeに入る。「Serpe」はガリシア語で蛇の意、らしい。クネクネ登る。
 広大な敷地に高級感ある白い大バコ。概略は知っていたけど、立派なメソンだ。
 タクシーのホセ氏が「じゃ、楽しんでおいで♪」と手を振る。
 移動日なので手荷物カートをごろちゃら引き摺りながら、大扉を開ける。

 入ってすぐのサロンから、ガラス張りなので、厨房が見える。
 厨房スタッフの方が先にワシらの到着に気付いたようで、「おい、もう客が着いたでがんわ」とサービスを呼んでいる(笑)。
 荷物を預けて案内される、サルを通り抜け、庭に出る。
 と、庭で談笑する料理人2人…お、シェフではないか。

 Xosé Torres Cannasシェフ。2013年に日本・スペイン交流400年記念『スペイン・ガリシアフェア』で、Pepe Sollaとともに来日。その時にいただいた料理は、今回のガリシア旅行の“動機”でもある(笑)。
 いやあシェフどもども…と握手した後、来日時の記念写真を見せてみる。「お、なんだなんだ、5年前のトキオじゃないか、懐かしいなあ」…と頬が緩む。今日はひとつ、よろしくたのんます♪

 明るい庭のソファに落ち着く。
Pepe Vieira
[へべ]
 ガリシアへ来て初めての、輝くような快晴の日。
 シェフの笑顔に迎えられ、海を望むテラスのソファにくつろいで、冷えたアルバリーニョで乾杯!
 …海が青い。空も青い。
 ここは楽園か? 楽園なのか? と、AQと顔を見合わせる。

[AQ!]
Pan de trigo e ova de pescada a brasa
Huevos de pan de trigo y jamones a la plancha

 庭にも屋台のような調理台があって、そこからツマミが届く。
 実に気持ちよいひととき。コチラはまず間違いなく、ハイソな結婚式会場なんかに使われることも多かろう。
Pepe Vieira
Empanadilla de millo, congrio e maruca
Pasta de maíz, congrio y maruca

 現代的なアミューズ。
 そういえばさっきシェフが、「Pepe Sollaは行くの? Pepeはちょうど今、メヒコへ出張なのが残念だなあ」と言っていたのだが、“メヒコ調”はこの辺りのガストロでよく使われているテイストのようだ。
Pepe Vieira
Freixons de millo miudo, coco, ourizo e oxalis
Freixons de maíz dulce, coco, erizo y oxalina

 ではそろそろお席へ、と室内へ戻る。席へ…着く前に、サル中央の調理台の女子から声がかかる。「オニーサン、ちょっと寄ってお行きなさいよ」(違)
 ニコニコと進める作業は、タコス番長…というところか。チューブからチューっ、ピンセットでサササっ。

[へべ]
 訪れる客をくつろがせ、楽しませる心配りが随所に凝らされ、効果を上げている。
 テラスで二品、テーブルへの道すがらでも一品が供されるアミューズは、それぞれ担当の若い女性料理人がちょっぴり照れながらも誇らしげに、目を輝かせて説明してくれる。
Pepe Vieira
[AQ!]
O Rei dos Xibaros.
Cigala o sal, coco, titote e fiuncho
El Rey de los Xibos.
Cigal o sal, coco, carne picada y fiuncho

 着席第一弾はシガラ。担当で現れるのは精悍なヒゲ。スーシェフと言われたら信じる…ってタイプ。
 海老を捌いて汁碗に投入していただく。“海老のセビーチェ”風の味わいとなる。
 この地のシガラは優しい食感と爽やかな甘みで、美味。
Pepe Vieira
O canto da Maruxaina.
Percebe, caldo de anchoa, ortigas e pina
La canción de Maruxaina.
Percebe, caldo de anchoas, ortigas y piña

 ドンっ、ペルセベスだ、食え♪
 ボールに20個あまりも入ってるだろうか、イラクサ・パイナプル風味…と多少はモダンだが、ほぼベタに「さあ食え」という潔い出し方。嬉しい♪

[へべ]
 ペルセベスがどっさり!
 わりと小粒だが身がよく入っていて、たいへん美味しい。手で剥きながらもりもり食べるうち、自然とリラックスして打ち解けた気分になる。
Pepe Vieira
O Home Peixe.
Rape e cinzas de porro
El hombre pez.
Pan rallado y puerros

 紙包みを開くと、ごろりとラペの塊が。こちらもそのまま、手でどうぞ。
 ちょっとワイルドなお膳立てと、鮟鱇の見事な身質と味の力強さとぴったり合っている。

[AQ!]
 シェフが持ってきたシワシワの紙包みから炭団…みたいなラペ。
 いただくと、プリプリな鮟鱇と悪戯な仕立てがピッタシ。ベテランらしく様々な娯楽性を盛り込んでくる料理だが、「ツボ」を押さえてる。
 この店はワインペアリングなのだが、ここに合わせるのは“ワインカクテル”。サイホンからシュワシュワのミックスが注がれる。
Pepe Vieira
Peixes de Horreo.
Salazons, fumados e secados
Pez Horreo.
Salazons, ahumado y secado

 次は厨房の方で如何?…ということでキッチンツアー。
 待ち受けているのは乾き物番長(笑)、キリっとした女子。横からシェフがマンサニージャを注いでくれる。
 塩漬・燻製・干物…の魚・魚卵・貝を、切ってそのまま・軽く炙って…などで、いただく。(番長の後ろの巨大炙り釜が迫力)
 この段はほぼ、「ガリシアの伝統」の紹介って感じ。
 目をひき・説明を聞いて「やっぱりそうか!」・食べて面白かった♪…のが、ランプレア(ヤツメウナギ)。長年いただきたかった魚なのだが、これまで縁無く、多分はじめて。実際、欧州でも現在では、ある程度まとまった数が捕獲できるのはほぼガリシアに限られる…くらいであるようだ。変な骨格。
 これら基本の説明はシェフが行うのだが、「コレって何度で何時間干すんだっけ?」的なことは一々、番長に聞く。
 こちらの店では、ざっと見、シェフが最も英語が堪能かもしれない。残念ながらサービスの英語担当は大したことない…人物的にも大したことない(^^;)(翌日のCasa Sollaのメートルは超優秀)。
 厨房でシェフが「記念撮影しよ~」というので、はいチーズ。…その日のうちに「トキオからダチが来た」ってインスタグラムに上がってたのはワラタ♪
Pepe Vieira
Pepe Vieira Sargo nun guiso.
Tripa guisada, pataca e allo
Ciervo en un estofado.
Tripas hinchadas, patata y ajo

 テーブルに戻り、軽く煮たサルゴのガリシア風。サリコルニアをあしらって。
 直球かつ洗練された料理でたいへん美味しい。この料理に合わせたパンが出る。
 サルゴ…ふうん知らんけど、といただいたが、後にメルカドで見ると、こちらではポピュラーそうな、見た目は石鯛とかみたいな魚(見た感じより味が良い)。英語は「ホワイトシーブリーム」らしい。

[へべ]
 料理はサルゴが良かったなあ…
Pepe Vieira
[AQ!]
Foie de galo celta.
Pan de millo amarelo de Tui, maza e mostaza
Foie de gallo celta.
Pan de maíz amarillo de Tui, macis y mostaza

 薄焼きコーンおやきで蓋をした石臼。その蓋をヒゲが割り落とす。中には、鶏フォア・玉葱・オキサリス/ナツメグ・マスタード。別添でmochi…餅♪
 Tuiは南ガリシア、ポルトガル国境に近い町。
Pepe Vieira
Pepe Vieira Rabo de porco.
Requeixo e zume cortado de oxalis
Trapo de cerdo
Zanahorias y jugo cortado de Oxalis

 さて、肉の時代。
 バリっとした料理。豚の旨味が、人参ムース・オキサリスの酸味ソースに映える。ケールみたいな青菜が秀逸。
 クールで熱い。
Pepe Vieira Pepe Vieira
Romasanta. Todo corazon
Romasanta.
Todo corazón

 メニューの「Romasanta」は後でググルと、「ガリシアの獣 Romasanta」という2005年の狼男映画であるらしいのだが…。
 凍結コンソメ球にコンソメを注いだ…みたいな一品…コレのことなんか?、狼男。
 面白い口直し?…なのだが、量が多い。“まあコレは呑みたいだけでいいっしょ”…というのがワシらなのだが、隣卓のオジサンはグビグビと飲み干していた。
 そういえばこのオジサン、ペルセベスの汁もペロリと行っていたなあ。ペルセベスの煮汁も俺ら的には“美味しいけどお味見程度”って感じだったんだけど(^^;)。好きなモノに対しては多少、塩分濃度がイってても強いんやなあ…。
Pepe Vieira
Auga de alicornio.
Vaca e millo
Auga alicorn
Vaca y maíz

 ええと何回目だw、ヒゲが今度は焜炉を抱えてやって来た。
 乗っているのは葉っぱ…牛肉の玉蜀黍葉包み焼き、のようだ。
 焼いて捌いて盛り付けてソースの仕上げをして、さあどうぞ♪
 なんてったってガリシア牛!
Pepe Vieira
Bunuelo de vainilla de Tahiti
Galleta de vainilla tahitiana

 山盛りのブニュエロ、「はい、どうぞ」…から甜品。
Pepe Vieira
Pepe Vieira Queimada fria dentro dunha lima
Quemado frío dentro de una lima

 ケイマーダ♪
 刳り貫きライムからしゃくって呑んで、冷ケイマーダ。

Chicolate picante e acido Chicolate y ácido picantes
 表面の薄チョコ蓋をクチャーラでパキンと割って、中の甘酸っぱ辛いチョコを舐める。

Limon de A Serpe
 クチャーラでパキンと割れる偽レモン…先ほどの真ライムと対照か。
 頭の天辺にスコンと抜ける酸味…酸っぱさのレモンクレーム。ガリシアは、酸っぱいものは本気で酸っぱい…ものが幾つかあった。
Pepe Vieira
Rosquillas de praline
Donuts de praliné
Semente de eucalipto
Semilla de eucalipto

 小菓子も個性的に。…というか、コチラのポストレは全体に「小菓子船団」って雰囲気が濃かったかな。
 “ガリシアにおけるユーカリ”の講義がサラっとあったんだけど忘却。後でググルと「製紙業のために導入されたユーカリが多くなり過ぎ、生態系のバランスを崩している」ということはあるらしい。
 まあ、あるモノは食ってしまえ、とw。

*****
Pepe Vieira
 何ともノンビリとユッタリとした4時間ほど。
 Xoséシェフはガリシアのガストロ界ではそろそろ重鎮・ベテランってポジションかな、と思うのだが、その良さがよく出てる。
 余裕綽々で客目線のわかったコース。娯楽性をもった動線・モダンはモダンにかまし・ところどころにベタなほどのローコーな皿を・冗談は冗談として・勝負どころには本格的勝負皿を持ってくる。
 巧い! ゆえに、楽しい♪ (ひと皿ごとの完成度の絶対値も、けっこー、高い)
 まあお天気まで、そういう店キャラによく合ってくれた午後でした。
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  El Pimpi  エル・ピンピ
  
Calle Granada, 62 y Calle Alcazabilla 29015 Málaga, España 952 228 990 | 952 225 403 www.elpimpi.com

・ マラガ市内のバル
Pimpi 2015年 4月 

 *Hamburguesa de Rabo de Toro con mahonesa
 *Salmorejo
 *Chanquete frito

Pimpi
[AQ!]
 すべり台で下るホテルを後にして、午後は移動の日。

 こんな日に最適なのは、旧市街地でブイブイ言わせてるバル・レストラン「El Pimpi」。
 絶大なる集客力に物を言わせて、朝10時から営業でござる。
 バルの料理・伝統料理などは「何でもある」っぽい品書きの手厚さ。
「如何にも老舗」な内装が嬉しい。
Pimpi
[へべ]
 赤い水玉のポップなキャラクターが目印…だが行ってみると古く趣のあるエントランスのアプローチがしばらく続き、親密な感じのカウンター、ボデガ調の古いサル、大きなサルとあって、さらに外のテラス席へ。
 大店にして繁盛店、地元ホテルからもアユンタミエントからも信頼あつきピンピさまなのであった。

 欧米人はそりゃ外のテラスさ、という陽気ですが屋内のひんやりサルも心地良し。
 ガイドに引率された一団がぞろぞろと通っていくのもこの店ならでは。
Pimpi
[AQ!]
 ではさてと、サルモレホにラボデトロをバーガーで、そんでへべが
「チャンケテはあるでがんす?」
 と聞くと、ちゃんと用意がある。
「おおコレよコレ」なイメージ通りの料理。
 チャンケテはシラスと白魚の中間というか…な艶かしい姿をパラリとフリート、 下に玉子ピメントトマトが敷いてある。まあチャンケテの質自体は真価を問えばもっとずっと上もあるんだろうが、楽しい。

 ナイスです。フロアの軍曹は頼もしく、たまにレジスに見える。
Pimpi
[へべ]
 ラボデトロ、バンズにはさんでマヨネサたっぷり気前良く!
 なんともこなれた味わい、レタスとトマトは別添…も言えてる。チップスがオイルよしイモよし、でやっぱり旨い。
 小ぶりな器にサルモレホ。ひんやり食べるサラダ、くらいの食べごこち。
Pimpi
 カルタにはないけど落ち着いた感じのカマレロさんに聞いてみたら、あった!
 チャンケテのフリートス、パラッと揚がった白魚くらいの小魚が皿に山盛りで登場。
 下にちらほら赤白すけて見えるのは、食べ進むと出てくるくずし玉子焼きとトマトと赤パプリカ(←これが甘美にうまい)。
 どっさり揚げ魚…と見えて、食べ終えたときにはミックスサラダ的な感じもあって、ガルニ下敷きシステム、おもろい。

 カルトに並ぶアイテムの豊富さもみごと。さらにカルトにのってないものも頼めば、あいよ、とばかり出てくる頼もしさ。
 気になっていたChanquetes fritosも、ここならもしや、と尋ねれば二つ返事でムイビエン!
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  Bar El Pitillo  バル・エル・ピティージョ
  
Rúa Alta, 3-5, 36002 Pontevedra, España +34 665 31 13 32 www.facebook.com/pages/El-Pitillo/167533199949508

・ ポンテベドラ市内のバル
  → 2018ガリシア旅行記はこちら

El Pitillo 2018年 5月 

 *Pulpo
 *Pimientos de Padron
 *Zamburinas a la plancha
 +Estrella Galicia
 +Mencia de la casa

[AQ!]
 バルめがけて出かける。
 宿の主人“ジェントルジャイアント”の勧めのうち、「蛸のFidel」は水休み。「サンブリーニャのPitillo」を覗く。

[へべ]
 バルやメソンは案外奥が広い。

[AQ!]
 馬鹿の一つエストレージャで乾杯。続く赤ワインはメンシアの「de la casa」を頼んでみると、ボトルに『M』一文字だけというラベルの潔い一本。(けっこーイケる)
El Pitillo
[へべ]
 タコ。温製・オリーブ油・パプリカちょいと辛味、楊枝で。

 パドロン! 「隣の席のアレをください」

 サンブリーニャス天火焼き。素朴に旨い(ジェントルジャイアントおすすめ)。
El Pitillo
[AQ!]
 呑みには、パドロン置いとくと、ホント落ち着くよなあ♪

 熱々のサンブリーニャ(姫帆立)はちゃんと旨かった。

[へべ]
 赤ちゃん連れも。

 よく食べる男女4人席のお勘定タイムに、延々と話し込む店の姉さん…(笑)

 締めのリコールは店のおごり。

[AQ!]
 リコール(リキュール)は、カフェとミルクの2杯だっけ。
 ほんとガリシア、“締めにリコールいかないとか、ありえな~い”って感じだなー。あ~んど、だいたい奢りだな♪
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  El Portal del Echaurren  エル・ポルタル
  
C/ Padre José García, 19, 26280 Ezcaray, La Rioja +34 941 35 40 47 echaurren.com


・
Portal 2019年 1月 ☆☆

 ---TAPEANDO
 *INFUSIÓN FRÍA DE FRUTAS ROJAS
 *ACEITUNAS NEGRAS
 *TORTILLITA CON CREMA DE PATATA
 *CORTEZAS DE MERLUZA
  brandada, hinojo y clorofila de algas
 ---APERITIVOS INSPIRADOS EN EL VALLE
 *UN BOCADO DE TONDELUNA
 *HIERBA FRESCA
  o comerse una pradera de alta montaña
 *BAJO UN MANTO DE HOJAS SECAS
  recreando un paseo por un hayedo
 ---LA FRITURA
 *HOJAS DE BORRAJA FRITAS
  para mojarlas en salsa riojana
 *BUÑUELO SAIGNANT
 *CROQUETAS
  que le quitamos a mi madre
 ---PRIMERA PARTE
 *ESPÁRRAGO VERDE
  con caviar imperial y mahonesa de perrechicos
 *PUERRO EN VINAGRETA
  cocinado a 90o durante 5 horas
 *EL PEZ DE RIO
 ---SEGUNDA PARTE
 *CIGALA
  y PIL-PIL de nueces de Ezcaray
 *GAMBA ROJA
  jugo de ave y un toque de vino blanco viura
 *PARFAIT DE HIGADITOS DE POLLO
  con virutas de alcachofas y pan
 ---TERCERA PARTE
 *ALUBIAS ROJAS
 *LOMO DE BACALAO
  confitado sobre una riojana de caracoles
 *PICHÓN ASADO
  con uvas al vino tinto, cereales y su canelón
 ---POSTRES
 *LA LANA
  crema helada de jugo verde, manzana y apio
 *RUSOS DE ALFARO
 *TENDONES DE CHOCOLATE
 *PETIT FOURS
 +Champagne La Fontinette Extra-brut Meunier Domaine Nowack
 +12 Allende blanco
 +17 Abel Mendoza Viura
 +15 arizcuren solo mazuelo
 +12 Miguel Merino reserva
 +Supurao Naturalmente Dulce Tinto

Portal

[AQ!]
 さて、リオハでモダンガストロ…と言えば此処!、ってのが、「El Portal del Echaurren」。リオハに唯一輝く、2つ星&3つ太陽。
 “HOTEL GASTRONÓMICO”という形態なこともあり、年末年始も開いてる日が多い。予約げっと♪

 Ezcarayってとこにある。
 細かく探せばバスもみつかるかもしれないけど主要路線検索には出ず。まあタクシーかな。…で、ログローニョから小一時間走る。
 小さな町。…かろうじて村というより町w。
 店は町のど真ん中、多少早く着いたので回りを多少、散策。
Portal
[へべ]
 ちょっと早く到着。
 散歩の後、予約10分前に入館。
 ホテルフロントが総合受付。
「時間まで待ってね」で暖炉が燃えるサロン。カバ。

INFUSIÓN FRÍA DE FRUTAS ROJAS
ACEITUNAS NEGRAS
TORTILLITA CON CREMA DE PATATA
CORTEZAS DE MERLUZA

「さあこちらへ」、前室で、立ったままバルカウンター気分で、第一のアミューズ群。
 オリーブ…のピキージョ詰め物に騙され。
Portal
[AQ!]
 オリーブはホントに騙される見た目。ケソ・アンチョビのピキージョ・オリーブジュレ詰め。
 葡萄・ローズマリー・タイム・ミントのリフレッシュドリンク。
 網々のジャガ揚げで、再構築トルティーヤ。
 鱈ブランダード・フェンネル・海藻。ガリシア・アストゥリアスの「buchos」風…とのこと。

[へべ]
HIERBA FRESCA
  o comerse una pradera de alta montaña
BAJO UN MANTO DE HOJAS SECAS
  recreando un paseo por un hayedo
UN BOCADO DE TONDELUNA

 続いてキッチンでシェフの説明で。
Portal
[AQ!]
 ハンドバッグ類はサービスが「卓に持ってっとくから」ということで、手ブラで厨房へ。
 熱い男w、シェフFrancis Paniegoに迎えられる。活気に漲っている。
 3品ほどのツマミと、店全体の説明もシェフから。
 俺で5代目だ、って言ってたかな、このメソン。メソン内の各レストランの料理は全てこの厨房で。ガストロの料理は(手で示して)ここから向こうまで…が担当。
「メインのコースは2つあって、この後テーブルで決めてもらうが、2人で別でもいいからね」
 シェフ(とマダム)は、英語がペラッペラ。(対してフロアサービスは、ヘッドでも覚束ない英語(^^;))

 「谷で発想するツマミ」
 高山の草を食べる:大ぶりな葉に、山羊チーズクリーム・フォアグラ粉・草粉・燻香する山羊乳泡
 森の散歩:キノコ、クミン、トリュフ。この茸香は美味しい。
 ひと口Tondeluna:毎週届くTondelunaのMaria y Goyoの山羊乳バターを主役に、ハーブのクリスピーブレッド。

[へべ]
HOJAS DE BORRAJA FRITAS
  para mojarlas en salsa riojana
BUÑUELO SAIGNANT
CROQUETAS
  que le quitamos a mi madre

 テーブルでメニュー選びの後、ボラハスの葉(温辛ソース)の揚げ物、クロケタ、ブニュエロ液ロメスコ。
 タイムラグ埋める巧みな設計。
Portal
[AQ!]
 着席、シャンパーニュ。
 ムニュは「Tierra」と「Entranas」。後者は内臓料理Casqueriaをテーマにしている、ということで興味深いのだが、やはり初回は”この土地を表現する”Tierraで。シェフは“泣き別れ”てもいい、って言ってたけど、この皿数で別コースを食ってると、エントロピーが増大し過ぎそうでw、2人同じコース。
 で、揚げ物コーナー。此処までは全コース共通。
 温辛なソースsalsa riojanaがたいそう美味。このソースは、コース中盤まで置いといてくれる。
 「ウチのおかんのクロケタ」「ウチの婆さんのブニュエロ」…ってのも素敵♪
Portal
Portal ESPÁRRAGO VERDE
  con caviar imperial y mahonesa de perrechicos

 シャキっとした青草さと茸香がいいハーモニー。
 オリーブオイルのみで65度25分真空調理。2016年にダニガルシアのとこでロブション・オマージュとして創作した料理、だとか。
 ここまでも・ここからも、ひと皿につき一枚、料理説明の書かれた栞(表裏にスペイン語・英語)がつく。最後にすべてまとめて、くれる。とても親切。…ま、まだサービス陣の英語が育ってないから、その補助としても機能している。

PUERRO EN VINAGRETA
  cocinado a 90o durante 5 horas

 葱の白い部分の90度5時間、リオハのバルの葱ビネガー・タパス…を下敷きとする仕立て。アーモンドクリームとビネグレットのエンゼルヘア。
 ベタに、なまら美味い♪
Portal

EL PEZ DE RIO
 自然に近い方法の養殖鱒1.5kg、100度2分調理。ピクルスと鱒卵のクリーム。

Portal
Portal
[へべ]
CIGALA
  y PIL-PIL de nueces de Ezcaray

 これより第2章。
 胡桃ピルピルの海老。

[AQ!]
 なるほど、バスクからこの辺り…ってこの“胡桃汁”芸が色々あるんだなあ。
 トリュフを乗せて。
Portal
GAMBA ROJA
  jugo de ave y un toque de vino blanco viura

 ガラガラガラ…とシャリオ。お、ゲリドン物だな。
 ガンバは地中海から、なんだなやっぱ、30分塩漬のちワイン漬でティエドに温め。
 海老頭・チキンストック・リオハ白…でクロックでごりごり擂る。
 ペアリングも同じAbel Mendoza Viura、このワインが“テーマ”と言ってもよい。
 ボクらの卓は、メートルドテルが頑張った。半分くらいの卓では、シェフ自らゲリドンサービス。

PARFAIT DE HIGADITOS DE POLLO
  con virutas de alcachofas y pan

 鶏レバーパルフェを、アルカチョッファ揚げとトーストパンのサクサクひらひらで埋め尽くした皿。
 アルカチョッファの効きが素晴らしく、コイツぁ美味しい♪

[へべ]
 アルカチョファ苦味がいい。
Portal
[AQ!]
ALUBIAS ROJAS
 これより第3章。
 このエリアの“iconicos”な豆料理「caparrones」を慎重にリファインした、という。
 むちゃウマ、本日いちばん好みな皿♪
 豆と肉の味ハーモニーはスペインの根源的旨さ。チョリソ・モルシージャ・ベーコン・ベルサ…、アルギン酸ボール(かな)になって登場するものもあるが、しっくり収まっている。
Portal
Portal LOMO DE BACALAO
  confitado sobre una riojana de caracoles

 鱈コンフィ、リオハ風カラコレスソース。
 へぇ~。蝸牛ソースがポピュラーなんかあ。勉強だわ。ふむふむ、こういう味なんですねえ。…と完全に入門者モード、もっと色々食べてみたいわ。
 ここでは、ピルピルとリオハ風ソースを合体したような構築になってるそう。

PICHÓN ASADO
  con uvas al vino tinto, cereales y su canelón

 ブレス産450g。やっぱファインダイニングだとブレス産になるのかw。
 仕上げは「リオハワインの力を借り、敬意をこめて」。
 堂々とコースを締め括る。

[へべ]
LA LANA
  crema helada de jugo verde, manzana y apio

 綿菓子ちょっと久々。

[AQ!]
 一時流行った綿菓子も、ここんとこ見なかった感じだからねー。
 …とそんな卓上会話をしている段階では、ここでの綿菓子の「意味」はわかってなかったw。
 この後、食後の散歩で知ることになるが、このEzcarayの町で抜群の知名度を誇るのがモヘヤ製品の「mantas ezcaray」。
 それに引っ掛けた、お菓子の第一陣。
 アピオなど緑のニュアンスで爽快な綿菓子。
Portal
RUSOS DE ALFARO
 リオハの伝統菓子「RUSOS DE ALFARO」の、軽~い再構築。

TENDONES DE CHOCOLATE
 こちらのビーントゥバー職人Pol Contrerasによるチョコのポストレ。

[へべ]
 ショコラ甘み抑えカカオの風味。
 小菓子もうまい。
Portal
[AQ!]
PETIT FOURS
 眺めは、「再び、森の地面」のイメージ。
 プチフールとしては量が豊かなのだが、チョコが旨くて食っちゃう。

*****

「どうだった?」
「茸から、プエロ、豆…なんか筆頭に美味しかっただ~」
「はっはっは、リオハってさ、7割が山で残り3割の畑でせっせとみんな働いてるんだよ。その感じが伝わったら、ヨカッタな♪」

 …とやはり熱い、フランシス・シェフであった。
 熱くて、生真面目なんだろう、よく詰めて作りこまれていて素晴らしい。
 まあ、フランシス・パニエゴ…「次代のエース」的な取り上げられ方も多かった50歳。残るは“リオハ初の3つ星なるか”…みたいなとこもあるのだが、そんな面も含めてメモっておくと、
Portal  料理は非常に整っていて完成度が高い。実行力も高い。反面、やや爆発力に欠けるような印象はある。
 前室~厨房~サル…みたいな流れにしても、幾つか仕掛けられたサプライズにしても、サプライズではあるのだが「教科書に書いてあるサプライズ」…みたいな感じが残るのだ。
 真面目に勉強してるなあ、っていうイメージがある。
 3つ星…みたいなことを考えると、先行指標になるだろうアンヘルやダニ…彼らは、もちょっとどこか、ドロドロとしてかつ爆発的な、滾る思い…や俺様力…が背後に感じられたような気がするのだ。
 フランシスの料理は、もし天下取りを目指そう…と言うなら、少しまだ、いい人…なのかもしれない。「何がなんでもここに来やがれ」なマスト感はいくらか薄いかもしれない。
 …ま、勿論、世界中、「このくらいで3つ星」な店は一杯あるけどヽ( ´▽`)丿。

 あと、書いたけど、サービスはいかんせん、弱い。
 ま、英語が全然ダメ…とかは俺らはそんなにかまわんのだけど(栞もあるし)、いかにもまだ「言われた通りにやる(ので精一杯)」感が出ちゃってるのよねえ。
 まあしかし、そーゆー人材育成は大変だよねえ。

*****

 ログローニョへ戻るので、タクシーを頼む。
 …とマダムが、
「了解です。ただこの辺りってタクシーが一人しかいなくって、いまちょっと外出中だったみたいなんで、19時に来てくれることになりました。ちょっと間があるし、Ezcarayを見て回るといいんじゃないかしら。『mantas ezcaray』はご存知?…え、知らないの? 皆さん、mantas目当てで来ますのよ。あと眺めがいい橋があって…」
 と地図をくれる。
 アハハ、田舎あるある…だ。2時間半の余裕か。
 実はボクらは“折角来たのに真っ直ぐ帰るのもな”と多少、思ってたくらいなんで丁度良かった。…のだけど、フツーに帰りたい人は、来る時のタクシーに帰りも頼んでおく…か、El Portalに予約時に「終わったらタクシー頼む段取りで」と言っておく…か、した方が良さそうですばい。
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  El Quim de la Boquería  エル・キム・デ・ラ・ボケリア
  
Mercado de La Boqueria, La Rambla, 91, 08002 Barcelona, España +34 933 01 98 10 elquimdelaboqueria.com

・ バルセロナ・ボケリア市場のバル
El Quim 2018年 5月 

 *Salteado de setas variadas al Oporto
 *Increible bacalao del dia
 *Morcilla de cebolla
 *La butifarra con judias y allioli

El Quim [AQ!]
 まだ朝と言える時間にバルセロナ着。
 出発便は夕方なので、街へでかける時間がいくらか、ある。

 空き時間の都合だけでいうと、午前中からやってる飲食店がぴったりである。
 色々なタイプがあるが、食指が動くのはメルカド内のバル…かな。
 メルカドも色々あるけど…。結局、ボケリアにした。まあ現地系のヒトに言わせれば「最早、市場ではなく観光地」なのは百も承知だけど、それだけに色々便利でしょ(買物するにもパッケージが小さい、目当ての店が閉まってても替えが多い…など)、と。
El Quim
 到着。
 人ウヂャ~、観光客ウヂャ~、、、はそう言う訳で御承知置き(^^;)。
 人を掻き分けるように場内を進む。
 入口に近いせいか「Bar Pinotxo」は何重にも人の輪が出来ている。こら大変やね(^^;)。
 「Clemen's」は席がありそう。
 「El Quim」を見ると、席は埋まってるのだが、待ち人ゼロ。ふ~ん、行列先頭ならそれもいっか…と眺めるうちに空いたので、超ゆーめー店のコチラを初めて試してみることに。
El Quim
[へべ]
 モルシージャ玉ねぎ炒め/ブティファラ 小粒白いんげんぽい豆 アイオリ/今日のバカラオ/ハウス赤 カフェ

[AQ!]
Morcilla de cebolla
 フツーに美味しい♪ 朝からワインが進む。

Salteado de setas variadas al Oporto
 茸炒め・ポルトソース。緩く炒めたかなり甘い(ポルト)茸…あんまし好みじゃないけど、ってか全然好みでないのが文化的には面白いか(^^;)。茸の種類も今はイマイチ。
El Quim
Increible bacalao del dia
 揚げバカラオに茄子・トマト・玉子と積み上げてダダ甘いバルサミコ。進化型バル料理というか劣化版レストラン料理というか。

La butifarra con judias y allioli
 フツーに美味しい♪ トマト/豆(の選択・具合もよろし)。朝からワインが進む。

 …全体には、要するに、ちょっと新し物好きなその辺のレストランの料理…って感じなのだが、それが午前中から食べられる(しかも市場的雰囲気の中で)というのが素晴らしい。
 店の柱には、フェランやらファンマリやら…との記念写真がベタベタ貼られているので、“話のタネ”も豊富だ♪
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  Quique Dacosta キケ・ダコスタ
  
carretera de las Marinas km, 2,5. 03700 DENIA Tel. 96 578 41 79. Fax 96 578 76 62 www.quiquedacosta.es
料理長: Quique(Enrique) Dacosta キケ(エンリケ)・ダコスタ
・
 旧店名は「El Poblet(エル・ポブレ)」。2010年頃だったかに、シェフ名に変更。
 なお、Quiqueは2012年にバレンシア市内に3軒目のレストランを開店、こちらを「El Poblet」と名付けるという。ちょっと紛らわしいので御注意(笑)。

2008年12月 ☆☆☆☆

 [Nuevas Traticiones]
  In our challenge to obtain things which make us vibes, we have reach with the time what we call the "New Tradition". Dishes which have known getting stronger and better with the time, and were few years ago Modern cooking. From this idea we have created a menu with all our traditional creations. We have called it "New Tradition".
 *Cubalibre de Foie gras, con limon y rucula silvestre del Montago. (Simetrias 2001)
 *"El Bosque animado" (Paisajes naturales 2007)
  La sugestion es una herramienta y una forma de interpretar la cocina. "El Bosque animado" representa los aromas,las texturas, los productos, que podemos encontar en un paseo por uno de nuestros Bosques Adentrate en el.
 *Grasa jamon Joselito al dente. 2004
 *Ostras. "Inspiracion Guggenheim Bilbao" (Paisajes Domesticados 2006)
 *la Gallina de los Huevos de Oro. (mineralizacion 2005)
 *Gamba Roja de Denia. Minimalismo 1980
 *Navaja Gallega, "simplemente" a la brasa. (Esencial 2008)
 *Cigala de las Rotas. (Precisa rusticidad 1996)
 *Arroz Senia terso y meloso, con Trufa negra de Morella, higato de Becada a la brasa y Caviar de Trufa y hierbas silvestres de invierno. (Esencial 2009)
 *Monocromatico de Coco 2007
 *Desgarro de Panettone de Chocolate... (Homenaje a Fajilia Torreblanca 2006)
 +03 Cava Elisabet Raventos (glass)
 +01 Villa de Corullon / Palacios
 +P.X.1827 Osborne (glass)

 click!→ 「ホテルからQuiqueへのお散歩」はコチラ


[↓メモ版:工事中]

[AQ!]
 "Poblet"…というのは、「地区名」くらいなのか、周辺に、スーパーPoblet・レストランEl Poblet・レジデンスEl Poblet・クリニックEl Poblet…と並んでいる。
 天辺に不思議なパゴダのあるレストラン。コスデストゥルネルか、っつうの(笑)。ホテルダニーヤから徒歩20分弱。
 門を入るとすぐ左手にガラス張りの厨房。仕込み中の料理人と目が合う。
 オラ!
 その先が玄関。入って進むと、左手に厨房・右手にサルという間取りだ。敷地面積は大して広くない。
 サルの意匠は、割とアッサリ目な感じで、居心地よろし。

[へべ]
 メニュー左頁のNuevas Traticiones(新伝統)
●グラスでカバ
●パルメザン薄パリパリとナッツ入りパンの極薄パリパリ
●パン3種から選ぶ オリーブオイル3種とビネガー2種から選ぶ

[AQ!]
 卓上、最初のセットは、ピンセットが一本、実に「らしい」。どこでどう使え…という指導はとくにないのだが、聞くと、
「花や香草など、極小パーツを使った皿で、何か単体で取り出して賞味したかったらどうぞ」
 とのこと。まあ、あと、ランゴストの肉ほじりなどに便利であった。
 そういえば此処は、とくに「食べ方指導つき」の作品は、無かった。


● Cubalibre de Foie gras, con limon y rucula silvestre del Montago.

[へべ]
 キューバリブレ。フォアグラがちょっとびっくりするほどなめらかで、やさしいテクスチャ。コーラ…ってこんなに美味しかった?レモンが香る。さかだちスプラウトはルッコラのセルバチコらしい。

[AQ!]
 フォアグラの滑らか軽さ。

● "El Bosque animado"

[へべ]
 森は生きている!皿の上で!しかも食べられる。そしてすごくおいしい…驚きと感動の一皿。ふんわりした土に、カリカリした粒、極薄パリパリ、さまざまなスプラウト、えんどう豆、キノコ、底のなめらかなクレーム。香りを吸い込み、ぶらぶら歩いてちょっとかじって、なめてみて、なんと楽しい森の散歩。AQ「森のガルグイユだね」まさにそれ!大興奮。

[AQ!]
 記憶の殿堂入りの一皿。繊細美味! 森の玉子のような、真っ白茸はとりわけ美味い。
 スペインの茸は深い。

● Grasa jamon Joselito al dente.

[へべ]
 「ホセリートのハムの脂」。中華?紅焼あわびやナマコにかかってそうな茶色いソースに白きくらげの花が一輪。口に含むとハムの香り。キクラゲの間にしのばせた透明なハムの脂がとろりと香る。極上のいたずら。

[AQ!]
  ハムファットは何してるのだろう? アルデンテ。見分けのつない干ベーコン戻しと白木耳が、蚫の戻し汁のように旨い豚汁に浸かってる。…みたいな。何となく、頭が中華に行く感じ。

[AQ!]
 複雑な素材・技巧で表現する明解でシンプルな思想・主張。
 我が家、「食の探検2008」の精華。
 明るく楽しく面白い、簡素なエッセンシャリズム。

 日本からの土産は、黒七味、もち麦せんべい、菊の井くずもち。黒七味はひょっとして知ってるみたいだった。キケは、明るく優しく難しくない感じ、聡明。英語はほぼダメみたいで、カマレロが通訳する。

 メートルドテルが、笑顔満面、本性も陽気そうで、ラク。配下もお仕込みヨロシク、にこやかだがテキパキと働きまくる。
 情熱口上のソムリエはABACのカレみたいだ。このヒトは、西語オンリーっぽかったか。
 ケメ・リコミエンダ?…ワインは01のパラシオス(の何だっけな…)。ダシが出てきている塩梅で、これが料理の茸にピッタリ合う。何カ所かで合う。いいチョイス。

   今は、スペイン…というか、スペイン領内小国群の高級レストランのサービスは、ホントにイイ。近年では、フランスより遥かに優れているような気がする。しかし、その理由を考えれば、そもそもレストランサービスを職業に選択する以前から、ハナから多国籍語を解し話すことが必要である事実はあるんだろうなあ。会話能力の柔軟性がそこにある。そして会話能力なんてあることは大したことじゃないよ、というスタートラインからサービス技術を学習ししてますからね、フランスの星付きレストランの近年の英会話能力しか学習してない小僧どもは、スペインに見にいらっしゃい。

● Ostras. "Inspiracion Guggenheim Bilbao"

[へべ]
 牡蠣のグッゲンハイム。銀色に光るカキ。チタンとシルバー。ひらひらシートにまで海の味が凝っている。完璧な火入れのカキ本尊にうっとり。

[AQ!]
 銀グミ、銀紙オストラ、而してメチャ旨。ロカのAl Champagne並の傑作性アリ!

● la Gallina de los Huevos de Oro.

[へべ]
 黄金の卵。金のベールに包まれた玉子に金色のソースをかけまわす。深いコンソメにとろりとタマゴ。

[AQ!]
 黄金玉子のストレート旨さ具合も凄い。強く、精密。銀と金。

● Gamba Roja de Denia. Minimalismo

[へべ]
 デニアのガンバ、塩のベッドで焼いた篇。ひげがくるり。黒い皿、白い雲のようなメレンゲ塩のベッドに横たわるエビ2尾。鮮やかな赤!頭をそっと外すと、なみなみとエビの汁とミソ。ちゅうちゅうと吸う。ものすごい旨み、豊かさ。焼いたエビの香ばしさ。ねっとりとまとわりつくような身の妖艶さ。手でかぶりつく。いやなニオイがまるでない、奇跡のエビ料理。エビ好きのあの人にも食べさせてあげたい!

[AQ!]
 ガンバデニア、深海に静かに暮らし、純度の高いプランクトンを食すという。まさにそんな味。甘海老と車海老の良いとこ取りみたいな。雑味が低い、透明な美味。
 殻付き焼で、2尾。ブラックタイガー(大)…くらいのサイズ(笑)。味噌の量がとても多く、これも、濃くて澄んだ味。自分で解体するので、味噌をこぼさないよう細心に、かつ、啜りながら。

 隣の現地っぽい初老夫婦2組はアラカルトかな。3人が「ガンバ4尾」の皿だが、まあ、海老片付けるのの、速いこと速いこと…。狂乱の海老3人に対し、オッサン1人はなんか違うモノ。

● Navaja Gallega, "simplemente" a la brasa.

[へべ]
 大きなマテ貝。「ただ焼いただけ」すんごく旨い。貝汁とオイル、エスパルデニャスを思わせる身の食感。香ばしさ。

[AQ!]
 マテ貝は、かなりデカい。ばっちりの火で素晴らしい香り。これとオストラの皿における‘ほんのちょっと’の柑橘は、とても巧み。
 
● Cigala de las Rotas. (Precisa rusticidad 1996)

[へべ]
 大きなラングスティーヌにベルベレーチョの泡ソース。カニほじり・砕きセットで徹底的に賞味する。
 ソースがまた旨い。明るいオレンジ色の貝ソースが白いふんわり泡になってる。

● Arroz Senia terso y meloso, con Trufa negra de Morella, higato de Becada a la brasa y Caviar de Trufa y hierbas silvestres de invierno.

[へべ]
 アロスメロッソ。茶色くふっくらと炊き上げたセニア、モリーユ・トリュフ・ベカスのレバー・黒トリュフのカリカリとピロピロ(細切りゼラチン状)・森のキノコ・カビ色の玉(?)。しみじみ旨い。もっと食べたいくらい。

[AQ!]
 悩殺のベカスイガド! アロスの黒パウダーは、アロス黒茸炒めを粒子状に砕き、オーブンで乾かし、高温の油でワッと揚げたもの。
 ここの黒トリュフ、すげー香る。ベカス肝にバッチリ。

● Monocromatico de Coco 2007

[へべ]
 白のモノクロマティコ。純白のココナツの温度と食感、5変化か6変化か。

[AQ!]
 モノクロームの温度勾配よろし。けっこー、スッキリ。
   ● Desgarro de Panettone de Chocolate... (Homenaje a Fajilia Torreblanca 2006)

[へべ]
 チョコレート・パネトーネ。チョコパンの中味。ふんわり、クリーム、カリカリ、花びら。

[AQ!]
 チョコにペドロヒメネス。チョコの粒状溶け出しにパンの具合が素晴らしい。ちぎりパン造形。

[へべ]
●チョコのキャビア

[AQ!]
 キャビア・デ・チョコレート(笑)

  
[へべ]
 キケ・ダコスタ。独学の人と聞く。
 素材に対する加熱調理の技を一から見直す学究的なアプローチで、革新的な皿を次々生み出しているとか。コメ料理を究めた著書があるとか。
 …全部たぶん本当なんだろう。でも料理写真やテキストからではわからない、来て食べてみて初めてわかることがある。
 キケの料理は、たのしくて、わくわくする。
 みけんにシワだの、しかめっつらが似合わない、明るくおいしい料理だ。
 膨大な工程と、精緻なテクニックと綿密なコントロールに支えられた、極上の享楽に心躍る。
 “新伝統”のムニュはその精華。完成度高く、バランス良く、わかりやすく、楽しめる。

[↑メモ版:工事中]

2008年12月 ☆☆☆

 [Un&Verso Local] 2008
  UniVerso Local, is the gastronomic menu that Quique Dacosta and his team have created to make you understand, the way he sees the cooking, his investigation work and his passion for creativity. A creative world where the mental suggestion, the soul and the spirit, the passion and heart, form this way the new feeling of luxury which are pieces fundamentals of a Kitchen Team and a Service Team who express their feelings. Our front of house and sommelier team will propose you a selection of wines for this menu.
 *Trufa Blanca del Montgo. (Impresionismo 2008)
  Our passion for the white truffle from Alba and for Italy in general has inspired us this dish.
 *Primavera. (Expresionismo figurativo 2008)
  The season isan inspiration, andthe suggestion is a fool to cause pleasure.
 *Ostra. Nutrirse de un solo sabor, de un solo aroma, y un Gusto, para interpretar un plato. (Esencial 2008)
 *Iceberg. "Evocando un golpe de mar" (Expresionismo Abstracto 2008)
 *Bruma. (Expresionismo 2008)
  tubers and roots caramelized "al dente", with an emulsion of hazelnuts skin oil and veal juice, tubers and chickpeas with high collagen content.
 *Maderas. Pedazo de Foie Gras, asado y reposado, a la madera. (Esencial 2008)
  Where and when does the life of a tree end?
 *Cenizas. "Setas a las cenizas". (2009)
 *Gamba, Rosa de Denia. Gamba, Roja de Denia. (Jardines comestibles 2007)
 *Remolacha de Mar. Equilibrio entre el Erizo y la Remolacha del cabo de San Antonio. (2009)
 *Corales. Entre el interior del mar y sus corales. Entre interior de los crustaceos y sus corales. (Expresionismo esencial 2009)
 *Azafran "Mark Rothko". Salmonete. 1957/2008
 *Rice Pot with lobster, octpuss and pigeon "figatel"
 *Gianduja of five citrus
 *Litchis, bajo cero
 *Musgo. Bizcocho aireado de te Matcha, merengue de manzana Verde y regaliz.
  The light, the reflect, the damp feeling and breathing the freshness when picking it up from one of the rock of "the Gargantas of the sierra of Gredos", the Moss.
 +Gramona Brut Imperial (glass)
 +03 Pagos Viejos


[↓メモ版:工事中]

[AQ!]
 昼食後、あまりのコーフンとデニアの遠さ(^^;)に、「夜にウラを返そうか?」と、へべに探りを入れてみる。
 ソーダナーソーカナーソーダネー…、結局は決死の覚悟を決め(^^;)、
「今夜の席をお願いすることは出来るかのお?」
 と聞くと、
「 OKOK、そうかそうかっ!」
 と受け入れられた。
 昼も夜も、よく入っているのだけど、1,2卓は空いてるかな、という感じだった。ちなみに、昼は現地人リッチで、夜は外国人多数…と、わりによくスペインで見かける風景。
「時間は?」
「22時で」
「あ、ゴメン、22時だとデグスタシオンは出来ないんだよ。それをトライしたかったら、21時か21時半で」
「じゃあ21時半に来るでゲソ」

 腹ごなしの楽しい散歩、また2km歩く。

[へべ]
 デギュスタシオン2メニューのうち右ページ。最新の創造的料理で構成するUn &(=i) VeRso Local 16皿! をやはり見てみたく、夜はこちらにチャレンジする。

●Montgo産の白トリュフ ガラスのクロッシュをとると立ちのぼるアルバの白トリュフの香り! 小ぶりのジャガイモほどもあるその塊は…? 白チーズのクレームをチョコレート?の皮で包んだ甘くてしょっぱくてクリーミーでトリュフの香りのアミューズ。皿に敷かれたオイルが源?

[AQ!]
 「白トリュフ」。白皿の上にゴロンと一個トリュフが載り(それだけ)、ガラス製のクロッシュがかぶせてある。卓上でオープン。広がるトリュフの香り…、今夜のディナーは何十万でしたっけ?…というのは勿論冗談で、トリュフそっくりに作られたチーズシューである。下にトリュフオイル。それにしても表面は、かなりよく似てる。

 「春」。花と小海老、すかすかパリパリ仕立ての葉っぱ(GastroVacか?)。

[へべ]
●プリマベラ。ホテルダニーヤのカフェのカウンターにも使われていた、白い小石を埋めた緑の皿に、花が咲く!

Ostra. Nutrirse de un solo sabor, de un solo aroma, y un Gusto, para interpretar un plato. (Esencial 2008)

[へべ]
 カキの本質。
 海のミネラルたっぷりのジュレ(ひょっとしてこれもカキのカルド?)をまとったカキの身がふしぎに甘く、みずみずしく、フルーティに。

[AQ!]
 牡蠣にジュレのせ、少し緑葉敷き。エッセンシャリズム型、葉っぱがけっこう良い。
  
   Iceberg. "Evocando un golpe de mar" (Expresionismo Abstracto 2008)

[へべ]
 氷山。下は海の幸。

[AQ!]
 最近よく使ってるらしい白い小石をカラフルな色彩で埋めた皿(ちょっと好き嫌いありそうなタイプだが)。
 このデザインは、ホテル・ダニーヤのカフェ・カウンターにも使われていたので、この辺りでは「あるパターン」なのかもしれない。「春」では明緑、「氷山」では濃紺。
Bruma. (Expresionismo 2008)

[へべ]
 オルチャータ(のもと)と根菜にスープ。
 オルチャータ原料のむかごはキャラメルコート、帽子みたいな器、はしばみオイルの白い雲。
  
   Maderas. Pedazo de Foie Gras, asado y reposado, a la madera. (Esencial 2008)

 木(の株?)に見立てたフォアグラ(強めのミキュイ?密度となめらかさ)のロースト。
 茶色くあぶられた皿の内側、木の皮にしか見えないイモの皮?のチップのぱふっとした軽い食感。
Cenizas. "Setas a las cenizas". (2009)

 灰。
 キノコいろいろのクリームスープを覆うあらゆる食感とテクスチャの黒い灰。カリカリ、枝状、ゲル状、…灰が旨い。
 2009新作。
  
   Gamba, Rosa de Denia. Gamba, Roja de Denia. (Jardines comestibles 2007)

 デニアのガンバ(赤)。
 黒皿に映える真紅のエビ。海水濃度の塩水でベストの火入れ、という有名な一品。
 おそろしくジューシー、みそたっぷり、ねっとりとした身の豊かさ。

●ガンバ(ピンク)。タテ置き。花をまとったエビに、バラ水とエビ味噌の汁を注ぐ。


[AQ!]
 Ca Sentoもだけど、レバンテの人は、海老は大量に食べるもの…らしい(^^;)。土地の誇りだからか、好きだからか、海老に関しては屋上屋を重ねてOKみたいだ。

 ところで、ワインはどうしてたか、っちゅうと…
「夜は気分をかえましょうか?」
 ソムリエが勧めるのは、アルターディ。おお、いいこと言うやんキミ。アルターディは、スペインのスター達の中では、まだ値段も冷静。
 ここんとこ、スパニッシュカルトも恐ろしいことになっていて、ピングス、エルミタはじめ、500ユーロoverというのもワサワサあるので、、、

   Remolacha de Mar. Equilibrio entre el Erizo y la Remolacha del cabo de San Antonio. (2009)

[へべ]
 海のビーツ。
 高杯になみなみ盛られたビーツ色の丸い、とろりとした、カリカリした、きしめん状の、あれやこれが…。
 雲丹と海水とビーツで全部できている、というのがタネあかし。
Corales. Entre el interior del mar y sus corales. Entre interior de los crustaceos y sus corales. (Expresionismo esencial 2009)

 コーラル 海のジュレ。
 キノア?なんだろ、タマゴ状のもの。さくさく珊瑚、マリスコス。
  
   Azafran "Mark Rothko". Salmonete. 1957/2008

 ロスコーのサルモネテ。
 皿の下にロスコーの絵が敷いてあり、それにインスパイアされた料理が額に見立てた四角いガラス皿に描かれている、という趣向。
 サフランのジュレの黄とオレンジに、立派なルジェの輝く赤金色、言いたいことはよくわかる。
 ルジェしっとり、とてもおいしい。
Rice Pot with lobster, octpuss and pigeon "figatel"

 アロスカルドソのボガバンテとタコと鳩ミンチ団子。
 鳩団子がすごく旨い。オマールのハサミ部が中央にどんと盛られて、顔みたい。薄くスライスしたタコやわらかい。汁をまとったコメ、カルドソはやはりメロッソより表面が粗い感じになっている。

[AQ!]
 アロス、蛸+鳩団子+ボガバンテ+葱。昼から数えると30数皿目、30過ぎまでは完食してたが、この前くらいからガクっと来て、さすがにこれは幾らも食えん。これがムチャクチャ旨い。とくに鳩団子とアロスの表面の具合。抜群だと思う。嗚呼、人生は辛いよ(^^;)。
  
   Gianduja of five citrus

 ゲンキンなもんで、「ポストレスは別腹!」(^^;)
 5つの柑橘、でかいのは金柑。全体には柑橘クスクスみたいな仕立て。

[へべ]
 黄色い花畑!
 ふんわりパウダーに半透明きしめんに、なにもかも柑橘類。可憐で爽やか。
Litchis, bajo cero

 ライチのアンダーゼロ。
 白い大きなカラにクリームにひんやり。するりと入る。香り上品。

[AQ!]
 リチーアンダーゼロ。食感とプレゼンの面白みを満喫しつつ、この香りの上品さは比類無く魅力的。
  
   Musgo. Bizcocho aireado de te Matcha, merengue de manzana Verde y regaliz.

 モス、抹茶、パン、、、これは苔寺ですか?(笑) ホントに苔のよう。

[へべ]
 モス(苔)。抹茶風味のパン/スポンジに青林檎のメレンゲ、リコリス…とある。しっとりとした苔の見た目と質感、食べると軽やか。森の空気。

[AQ!]
 メートルドテル氏は、24時過ぎまでが勤務時間…とかで、丁重に挨拶、ガッチリ握手して、バイナラ。
「maitre@EPがボクのメアドだから、何かあったら何でも連絡してネ」
 とのこと。
 その後は、手下の若い子が面倒みてくれる。

 キケは、多くの卓がポストレになる頃から、客席ウォッチ時間が増える。
 料理の最中は大車輪なんだろうな。十分な人員配置だが、ムチャクチャ多いというわけでもないスタッフ数だ。

 夜の最後のカフェ、それに煙などのシメは、庭のサンテラスに移動して。
 珈琲は8種くらいか、インドやネパール産が珍しい。エチオピア・シダモを頼む。
 これが25時近く。気分がかわって快適。
 このテラスには書籍が多く、眺めてる客もチラホラ。
 スタッフ一同は、このタイミングで、主食堂の清掃業務に入れる。

[へべ]
 チョコキャビアは、ガラス張りのサンルームで。

 キケ登場。
 昼の入店時には厨房の一角の「キケの書斎」的コーナーにいたし、昼食時も各卓まわってあいさつしてたし、夜も最終までいて、腕をぶんぶん振り回しながらスタッフと話してた。
 若くて、元気で、熱意があって、こうでないとここまでの「店づくり」はなかなかできないよね、とAQと話す。
 サービスについてくれた小柄なメートルもその下の若者もフレンドリーでやさしくて、ものすごく行き届いたサービスをしてくれた。
 (ソムリエは、これもスペインにいるシリアスなタイプ。昼はスペイン語で押し通してたけど、夜、行ってみたら実は英語もかなり話せる)

 謎の料理に「???」と聞くと、待ってましたとばかり、わかりやすく教えてくれる。
 そのやわらかさは、キケその人から来るものだろう。技を料理を同じようにそれぞれ極限までつきつめて、精緻にきわめていても、シェフの人柄はまた、さまざまだ。
 アドゥリスは内省的でもの静かだし、セルジオは自信家でオレ様なオーラが出てるし、アレックスはちょっとシャイではにかんだ実直さと繊細さが同居したイメージがある。
 キケは明るくて、やわらかくて、大きい人だった。多くのシェフの手がそうであるように、その手もまた大きく、驚くほどに分厚かった。

「昼に新トラディションのコース、夜に新創作のコースを食べてくれたのはすばらしいことだ」
 とキケは言う。
 そう、たしかに両方を食べて比べることで、新しく出てくるもののピチピチとした新鮮な広がりと、そこから磨かれて残っていくものの完成度やバランスが見えた気がする。
 年ごとにテーマを立てて、そのときのアイディアで広げたイメージの中から、多彩な皿が生まれてくる。
 そこからいくつかずつがオールタイムベスト的に、また食べたいあの一皿、となって、あるいはコースの一点をきゅっと締める句読点となって、キケの新たなトラディションとなっていくんだろうなあ、と。

[AQ!]
 Gramona Brut Imperialは奢り。

 キケは、昼の最初にいて昼の最後にいて、夜の最初にいてこの25時にまた挨拶に来る。通訳を連れて(笑)…(英語は苦手っぽい)。
 まだ30代の筈、体力も情熱も意欲も、すべてがまだまだ「満ち満ち」だ。

 ここのアセゾネは、カタランよりわずかに軽いくらいかなあ。

 Sa.Qua.NaやOud Sluisを想起する、極めて純度の高い料理。
 純度の高さは自信の表れ。雑度の高さが不安の表れなのに対し。

 「何処に行ったら何を食え」…という話はあまり好きではないが、こちらでは‘まずは’品書の左頁の「新旧殿堂入りムニュ」…をオススメしたい。バランスがとれて、流れもよく、沢山の風景を盛り込みながら、パンチ力も大。
 右頁は、「‘今’そして‘季節’」という感じ、16皿構成の巨艦。
 そのあと、アラカルトが3頁ほどあって、アロスの品書が別冊でつく。

 右のコースは、未だ攻めっ気100%。
 それにしても、左のコースは良く出来ている。思い出してみて溜息が出るような展開、というか。
 1999ブラスとか、2003アドゥリスとか、こないだの2008セルジオとか、、の流れの構成力に富んだコースを思い出す。

 それにしても、この日ほど、「幾らでも食える胃袋」が欲しかったことはない。けど、まあ、幾らでも食える特異体質になったらなったで見えなくなる食事の機微というものはあろうから、こればかりは、仕方がない、、、
 …って、一日にフル・デグスタシオンを2つ食って言うなよ(^^;)、、、
「ううう、苦しい、、、」と言ってたら、サービスにも、
「ハハハ、(普通) 無理・無理!」
 って、指を、チ・チ・チされたヽ(^~^;)ノ。
 しかし、愚痴りたくなるくらい、ド最後の「鳩・蛸・海老ごはん」のお味は、よろしかったので、ある。

[↑メモ版:工事中]
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  El Rincón de Alberto  エル・リンコン・デ・アルベルト
  
Calle San Agustín, 3, 26001 Logroño, La Rioja +34 666 91 09 07

・ LogroñoのBar
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Alberto 2019年 1月 ☆☆

 *Pimientos de cristal
 *Cardo
 *Puerros confitados
 *Albondigas de la abuela Telvi
 *Torrija
 +15 Fernandez de Pierola

[AQ!]
 朝、下見してたリンコンデアルベルト。ここは旨い、と聞いて。
 ややレストラン寄りかなあ?…でどうしようかと思っていたが、席もありそうでお邪魔する。
 入口に比べて中は広く、テーブル席が多い。けど、バーカウンターでは呑み専で盛り上がってるオッチャンらもおって、やはりバル/レストラン。
Alberto
「Cardoありますよ」「行きます」…定番のやり取り、になってきたw。
 ピミエントス、プエロ。で、コルデロ・ギサード…と言ったら「今日は無い。アルボンディガスがオススメでがんわ」で、とりあえず。
 クリアンサ一本…で、即ドン♪は15 Fernandez de Pierola。
 ワインの方はチラ見えしてるカーヴは立派だし、リスタも手厚いんで、腹案ある向きはじっくり検討してもイイかもしれない。

 眺めに目が慣れてきたグデングデンのピミエントス、インスタ殺し。
 プエロ葱が旨い! 添えてるロメスコも具合良い。やった~!と2人で揺れる。
 カルドは、よう炊いて大蒜をきかせてアルメンドラを散らす。面白い仕立てやなあ…と思ったが、後日、どうも定番らしいとわかる。
Alberto
 でかいアルボンディガスが2個、フリッツ添え。茶黒い球体。
 この肉団子が、悲鳴の美味さ♪ 何だコレ~。素晴らしい肉料理。近所の中華の肉団子しか食ってない身がいきなり上海流本格獅子頭を食った…かのようw。
 Telvi婆ちゃん風、というのだが、誰だ、abuela Telvi。

 などで一本、ゆるりゆるりと楽しむ。
 ポストレは、珍品…とチラと聞いてたトリッハを頼む。と、ホントに珍品。
 黒焦げか…という外皮にクランブルを散らして出てくるが、そんなことより、中身が、ぬるトロ・ふにゃスル…の不思議食感♪
 こちらではカフェまでいただく。
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  Bar Sebas  バル・セバス
  
Calle Albornoz, 3, 26001 Logroño, La Rioja +34 941 22 01 96

・ LogroñoのBar
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Sebas 2019年 1月 

 *Tortilla de patata

[へべ]
 パタタのトルティーヤ、上から?ダムウェイターで到着、あったかとろける芋リッチ。卵はカバー的。うまい。

 ヴィノ赤。

[AQ!]
 ソリアーノと比べれば冷静な混み方。
 スペインのトルティーヤと言えば芋入りなワケだが、とくにゴッチャリと芋が入ったタイプのトルティーヤ。素朴に嬉しい。
 このトルティーヤ、ピカンテな赤いソースを添えたり塗りつけたりして食べるようだ。「ピカンテなソース、つける?」と聞かれたへべが、ちょびっと…というつもりで「ウン・ポキート」と答えると、ソレを聞いてた隣のスペイン人青年が何故か『アッハッハ!!!」とオオウケ。謎のオオウケだった(^^;)。

 ダムウェイターは何だろう、2階で焼いてんのかな?
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  Taberna O'Secreto  タベルナ・オ・セクレト
  
Rua Alameda, 18, 15003 A Coruña, España +34 981 91 60 10 www.tabernaosecreto.com

・ アコルーニャ市内のタベルナ
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Secreto 2018年 5月 

 *Tortillitas de Camaron
 *Pimientos del Piquillo
 +16 Verdes Matas Mencia Ribeira Sacra

[AQ!]
 移動もしてきたし、晩は近場で。
 大通りRua Juana de Vegaの一本裏のRua Alamedaに入る。路地がさらにYの字になってる辺りに、「うふふ隠れ家だよん」ってノリの店が数軒。いずれもわりと洒落て小奇麗。
 人気店と聞いてたTaberna O'Secretoを覗くと見える限りよく埋まっているのだが、ま、入ってみる。…と、店の奥は鉤の手に広く、そこに案内される。
Secreto
 店内を眺め品書を眺めると、タベルナ…の中ではワインバー寄りの店かなあ。ちょっと選んだ…って感じのワインをハム・ケソをツマミにいってる卓がとても多い。品書的にもその辺りが手厚く、ガリシア郷土料理の類は少なめ。
 今晩の我々的には“多少”狙い違いだったかもしれないが、気のいいソムリエにリベイラサクラのメンシアを選んでもらって始めれば、あとは楽しく夜は更けるw。

[へべ]
 ピミエントスピキージョ、小エビミニトルティーヤ、リベイラサクラのメンシア、カフェソロ、チョコ菓子
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  Bar Soriano  バル・ソリアーノ
  
Travesía de Laurel, 2, 26001 Logroño, La Rioja +34 941 22 88 07 www.callelaurel.org/establecimientos/soriano

・ LogroñoのBar
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Soriano 2019年 1月 

 *Champiñón a la plancha con gamba

[へべ]
 チャンピのてっぺんに小エビ。ヴィノ赤。
 オイルを高いところからわーっと注いで鉄板でじゅうじゅう、壮観。一品勝負。

[AQ!]
 物凄い人混み、かきわけかきわけ…。
 へべは「品書」的な表示も見たようだが、現実的にはこの混雑時間帯は「飲物とチャンピ」専門店一本勝負…となっているようだw。うんまい。
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  Bar Sport  バル・スポーツ
  
Fermin Calbeton Kalea, 10, 20003 Donostia +34 943 42 68 88

・ DonostiaのBar/Restaurante
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Sport 2018年12月 ☆

 *Tarta de queso


[へべ]
 バルSPORT、いつも満員の人気バル。
 焼きチーズケーキで〆ようかというところ、ラヴィーニャが前夜(晦日)は早仕舞い、大晦日は予約客へのお渡し業務オンリー…という訳でこちらへ。
 いい店、ふわりとエアを含んだケーキも旨い。

[AQ!]
 バル街でもトップクラスの賑わい「Sport」のタルタが評判良いらしい…のが、へべの緊急調査で判明。
 やはりギューギューの中、錐をもむように侵入したら目の前のカウンターにタルタがあった、コレコレ→
 見た目判断だが、他のピンチョも良さそう。
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  La Sucursal ラ・スクルサル
  
118 Carrer Guillem de Castro 46003 VALENCIA tel: +34 96 374 66 65 Fax: +34 96 392 41 54 www.restaurantelasucursal.com
料理長: Javier Andres Salvador ~ ソムリエ: Manuela Romeralo ~
・
 最近話題のハイテク調理器具「ガストロバック(Gastrovac)」の共同開発者としても知られるJavier Andres Salvadorの率いるレストランで、バレンシア現代美術館IVAM(Instituto Valencia d'Arte Modern)内にある。 (2009)

 Manuela RomeraloはQuique Dacostaがバレンシア市内に開いた新店舗Vuelve Carolinaに移動した模様。また、シェフJavier Andres Salvadorは総料理長的なポジションには残っているようだが現場は後進に譲ったようで、現「La Sucursal」の内容は下記2008年の模様とはだいぶ様変わりしたようである。 (2011)

2008年12月 ☆☆☆

 [MENU DEGUSTACION]
 *バナナとポテトのチップス
 *ギサンテスとハム、赤いボールに緑ハーブ、パルメザン薄パリパリにチーズのクリーム
 *Tartufo de foie con polvo de maiz tostado
 *Berberecos, navajas, gamba de Denia con jugo yodado y nube de horchata
 *Fideua de erizos de mar y longueirones
 *Tuberculos con castanas y jugo de ceps
 *Rodaballo con calabaza, zanahoria y naranja
 *Arroz meloso de cierva y verduras de invierno
 *アロエベラとメロンとグリーンティーのハーモニー
 *Sorbete de panna-cotta, torrefactos y emulsion de mantequilla
 +04 Estrecho Monastrell DO Alicante / E.Mendoza
 +Benasal Ed.Limitada 1000ml

[AQ!]
 今日のレストラン「La Sucursal」は現代美術館IVAM(Institut Valencia d'Art Modern)の中にある。入り口は、IVAM本体の玄関の隣。スペイン正餐時間に則り(?)、14時に予約している。
 ホテルNH CenterからIVAMまでテレテレ歩いて6分ほど。市街中心部までは、さらに歩いて10分くらい。

[へべ]
 ←ラ・スクルサル La Sucursal
 ちょい鏡文字/点対称風味のふしぎなロゴを多用している。
 日曜は休み・月曜はやってる…の営業コードが今回の旅程にマッチして、ラッキーにも訪店とあいなった。

[AQ!]
 日曜はIVAMオープン, Sucursalクローズ。月曜は逆。IVAMの扉をメンテ中のオッサンが「マニャーナ来やがれ(笑)」。
 バレンシア近辺は、月休のレストランがとても多いので、覚えておくとよい店だ。

[へべ]
 エントランスの小ロビーから、階段を上がる。サルは2F。ステップの間から厨房が垣間見える!
 やや押さえた照明の店内はモダンでスタイリッシュ。ぱっと明るく照らしたテーブルに大ぶりのドライ卓上花が映えてかっこいい。

[AQ!]
 卓上花のデザインはテーブル毎に数パターンあって、店内にリズムを作っている。
 キビキビ…バシッ、としたメートレスと最初の接近遭遇。いきなり凄い勢いで何かを訊かれるが、「煙草吸うか?」だったようだ。
 「スイマセン」。
 品書は、ムニュデグスタシオンとアラカルト(前菜・主菜、7,8種類ずつ)。
 一人70ユーロ(相変わらずスペインは安い(^^;))でまとまりの良いムニュにすんなり決定。

[へべ]
 がしがし歩いてきたので、のどがかわいた。お水を、と頼むと、なんと見開き2ページのミネラルウォーターリストが来た。
 予習によればここのソムリエは、ミネラルウォーターと葉巻にも造詣が深いのだという。なんか、すごいのである。
 ものすごくたくさんあって(日本の水もFujiともうひとつ、2種類オンリスト!)よくわからないので地元のご自慢とおぼしき位置のものを頼む。やわらかく、きれいですごくいい水。

[AQ!]
 2頁にわたる水のリストから、Benasal Ed.Limitada。水のクセして、エディション・リミテッド!(笑) ベナサルは、バレンシアとタラゴナの中間の山間らしい。
 要素を含んでいながら、清冽な山の汲み水の爽快さを持つ。さすがざんしょ、たいへんに美味い水。
 ワインは、「ミディアムな土地のワインで何か?」。
 カベソ、モナストレル、テンプラニーリョから推挙される。D.O.アリカンテモナストレルにする。
 優れたソムリエール(シガーソムリエとして世界一の栄冠に輝いたこともあるManuela Romeraloその人であろうか)。ハネでトモ洗いしてからテイスティング。04Estrechoは、モナの体温と、品格のある滑らかさを両立させた逸品。このワインは後日、L'escaletaでも口頭の「お勧め」中に出てきた。レストラン使いとして重宝されているのかも。
 (追記:この後、マヌエラ・ロメラーロは2009 Premio Nacional de Gastronomiaを授かった)

 話は一足先に、まとめ編になってしまうが…。
 一皿食べ二皿いただき…するうちに、唖然、呆然、度肝を抜かれた。凄い! 何でこんな所に、こんな世界トップクラスの…。
 「これってマヂすか?」と、何度か二人で目をシパシパしていた気がする。
 Lo Mejor de la Gastronomia 7.5点ミシュラン1つ星の美術館内レストラン、ふふ~んそうですか…と呑気な心持ちで訪れたのだが、意表を突かれたという意味では、空前かも。
 厳しく美しく軽く深い料理。
 素材やパーツ・技術は複雑、で、一皿上の意志や思想は鮮やかでシンプル。それで、食べると、美味しい。…これは現代料理のメルクマールであろう。
 ポストレスの塩の一粒にまで目が光っているような、精度
 このコースは「すぐまたもう一度食べてもいい」と思う、とへべ。ベラサテギのデグスタシオンの、コースの組み方をもっと巧みにしたような感じ。
 アセゾネが、カタランよりバスクに近く感じる。綺麗でラクで少しフェミニンな所もある塩。この店の特性かバレンシアの特性か?
 (後日談:色々回った結果は、どうも此処のシェフの特性のような気がした。他のバレンシア体験の平均値は、バスクより男っぽい塩で、カタルーニャに近い印象であった)

[へべ]
●アミューズ前
 バナナポテトのチップス(イモがすごく美味)

●アミューズ
 ギサンテスハム(めちゃめちゃ旨い!青豆のみずみずしい甘み)、赤い玉(トマトのジュレのアルギン酸ボール仕立て?)に緑ハーブ、パルメザン薄パリパリにチーズのクリーム

[AQ!]
 ギサンテス・ベーコン・葱の一口版。大好きな料理だが、一口すれば、只者でないことが知れる。豆の具合良さに対するベーコン・葱の味調整が、玄妙なほどだ。

●Tartufo de foie con polvo de maiz tostado
 一口大のきわめて滑らかなフォアグラチョコレートコーティング、マイスの粉と粒を少し。マイスたちはセコ。エンドウの蔓先を一筋クルッと添える。可愛い。
 構成パーツ毎には既出な組立てだが、グッと考えを入れて組まれていて、とても美味しい。後にも出てくるが、エンドウのミクロな青臭さのアクサンが気持ちよい。

[へべ]
 フォアグラチョコトリュフ仕立て、トウモロコシ(粒と粉)とエンドウ豆の緑添え
  お気に入りらしくよく使っている、みずみずしい豆の若芽が、どこでもとてもよく効いている。手のこんだ宝石みたいなお菓子みたいな技巧派料理になってもおかしくないチョコフォアグラが、トウモロコシと出会うとあら不思議、メキシコの大地に足がついて、ジャックの豆の木が生えてきた!…的なことを妄想しながら踊りながら食べる。

●Berberechos, navajas, gamba de Denia con jugo yodado y nube de horchata
 白いメレンゲ(オルチャータ風味のアホブランコ!)をのせた海の幸、海老ムールアルメハ(の茎ぽいとこ)、海のジュ海老卵も効いている、と緑ハーブ添え

[AQ!]
 ヨデのフーゴのジュレにポツポツとマリスコスを配した魚介の冷前菜。アモンドオルチャタ(!)のヌーベ。
 ギャフン! あまりの美味さに開いた口が全てを食べてしまう(笑)。
 冷たいオルチャタと食すというアイディアも秀逸だが、少し分析的に味わえば、魚介類の下仕事の抜かりなさ、そのレベルの高さに気付かされ、ビビる。
 ベルベレチョ・アルメハ(と思ったが、品書を見直すとnavajasかな、短マテ貝系)の具合には結構な江戸前の鮨屋が思い浮かんでくるほど。
 デニアのガンバ、…は、この後キケのとこで現地Deniaの究極や至高に出会うことになるが(^^;)、此処で使われていたやや小ぶりなガンバでも、「世界一と評判の」海老であることに、大きく頷けた。甘海老と車海老の良いとこ取りして純度を高めたような…、そんなタイプの海老。

●Fideua de erizos de mar y longueirones
 文句無くウマイ、旨い、美味い!のに驚くのは、ヒョッとしてこの雲丹フィデアであるやも知れない。
 兎に角、この手のフィデアとか雲丹っつうもんは、ウマいはウマいものなので、大雑把にしても何とかなるものである反面、夾雑成分が入りやすく澄んだ味になりにくい印象がある、…のだが、このクリーンさはどうだ。
 生雲丹のエロっぽさを保つギリギリまで加熱された雲丹
 フィデアの口の中でのキックが気持ちよい(正直、フィデアとはこういうタッチになるものなのか!というのは知らなかった)。パスタの快楽を表わす弾力を僅かに残してスープを吸わせている。
 コクがあってしつこさは全く無い。上品なアセゾネ。
 中に烏賊のような食感…と思ったが、longueironesとあるからマテ貝の類か。

[へべ]
 ウニのフィデワ、ねぎ白チーズ添え、イカすみ
 これまでで一番うまいフィデワ(食感、味の含ませかた、からめかた、どれも絶品!)に、そのポテンシャルを大幅に見直す。
 白チーズに乗せた、ネギのクルクルが可愛い。

●Tuberculos con castanas y jugo de ceps
 冬のキノコ、卓上でスープをかけて
 スペインのキノコ料理の豊かさを再認識する。

[AQ!]
 茸・根菜・栗は、サービスによる卓上スープ注ぎ型。いい香り…ほんとにいい香り、ウットリ。
 あまり言われないことだが、アルタコシーナの美点は茸と豆や!
 スペインの茸はほんとにヴァリエがあって旨い。使いこなしも手馴れていて洒落ている。伝統的にも、フランスではどうしても付け合せみたいな形が多いのに対し、一品料理として発展しているから優秀…とかあるのかなぁ? わかんない。まぁフランスでも、レジスみたいな人になると上手いしね~(食べながら、レジスの“茸のコンソメ”を思い出していたのでした)。
 黒トリュフも、量的には知れてるが、必要十分に香って悩殺的。オイルの使いこなしが巧みなのかな。

●Rodaballo con calabaza, zanahoria y naranja
 鰈は、モダンスパニッシュキュイソン。浅く、虹の輝き。表面の斑まで見えてるのが珍しい感じ。
 皿上の取り合わせ(↓)の良い料理。

[へべ]
 カレイ(皮目ポチポチつき)、にんじんピュレ・生とハーブ芽・かぼちゃソース、ぶどう状の赤く甘いもの添え

●Arroz meloso de cierva y verduras de invierno
 アロスメロッソ、鹿と緑アスパラ、野菜キノコ入り、マメ緑芽添え
 ものすごくうまい! 香りがいい!
 コメ料理に野菜が香りたつ。

[AQ!]
 〆は鹿ゴハン、メロッソ
 ウヒョー! カタルーニャで食ってたらアロスワールドのことはわかりまへんな、というぐらい、アロスへの気合と精度は高いレベル。野菜(!)は見立てクスクス的発想のものも(根菜やカリフラワー)。鹿本体も抜け目無く(^^;)ウマイ。
 (実際、バレンシアのアロスのレベル高さには驚愕した。まぁ所詮ワシら旅行者が何食も出来る訳ではなし、客観的でない話半分のものとして聞いていただきたいが、2008-9バレンシア旅行で食べた「一番イケてない」米料理で、これまでマドリッド・バスク・カタルーニャで食べた「一番イケてる」米料理と、大体同レベル、とか、そんな感じなのである。ヽ(^~^;)ノ  此処スクルサルやエル・ポブレの米料理となると、「想像の及ばない」高みのものであった)

[へべ]
●アロエベラとメロンとグリーンティーのハーモニー
 白い固形、冷酸添え、緑葉、シロップ

[AQ!]
 固体のカケラは、液体窒素芸か。
 この皿の見た目は、ちょっと、Jordi Rocaのクロマティズモ・シリーズを思わせるような感じ。

 ところで、これは(間抜けなことに)後日談…、帰国してから気がついたのだけど、、、
 このLa SucursalのシェフJavier Andres Salvadorは、昨今のフランス・イタリア・スペイン料理界に激震をもたらしている調理マシン「ガストロバック」の共同開発者なのである(Universidad Politecnica de Valencia、Javier Andres (La Sucursal, Valencia)、Sergio Torres (El Rodat, Javea) による)
 日本でも話題になっているGastrovacだが、その震源地は此処なのであった。タダモノじゃあない、筈である(^^;)。
 さぞやこの日の料理にも活用されていたのだろう(野菜など)、どれとはわからねど(^^;)。このポストレのメロンも活用例かも。

[へべ]
●Sorbete de panna-cotta, torrefactos y emulsion de mantequilla
 チョコ薄パリに白クリーム、グラス

[AQ!]
 幾つかの温度帯とそこからの溶け出し方が計算されたポストレ。

 Museo併設レストランというとグッゲンハイム・ビルバオが話題だが、こちらも同じように騒がれてしかるべきと思う。美術館自体の押し出しはとても敵わないが(笑)、レストラン内装なら、こちらの出来の方がクールで品格があるし。
 完成度の高いムニュで、後から振り返ってオーソドックスだったな…とさえ思えるのは、まとまりの良さゆえであろう。
 街の中での位置・サービスも含め、都会的な、クールでアートな店という感触はその通りだが、それを超える精神の体温が感じられる一軒。

[へべ]
 なんとここに伏兵あり!
 バレンシア・ツアーのしょっぱなから当家的には“踊りまくり”のハート撃ち抜き、世界でも両手の(ひょっとして片手かも)指に入る好きな料理に出会ってしまう。
 これだから旅は、やめられない
 皿の上で、やりたいことがクリアにわかっていて、それがスパーンと伝わってくる。
 アイテム数を絞り込んだ一見シンプルな組立ては、ダテでもケチでもミニマリスムでもなく、「やりたいこと」のための最適化。
 それが快くて、爽快で、すごくおいしい。
 現代テクニックが、正しく「目的のための手段」として使われているある種の痛快さが、ここにある。
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  7 Portes シエテ・ポルテス
  
Passeig d'Isabel II, 14 08003 Barcelona 93 319 30 33 (FAX 93 319 30 46)


・
 
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  Sidreria Submarino  シドレリア・サブマリノ
  
Calle de Leopoldo Alas Clarín, 2 33540 Arriondas, España +34 985 84 00 75

・ アリオンダス市内のシドレリア
2011年 5月 

 +Sidra Natural M.Zapatero

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  Tamboril タンボリル
  
Pescaderia 2, DONOSTIA (San Sebastian) (943)423507
月・火昼休 4,11月に休暇あり

・  

Tamboril
 双子の店。チャコリと赤ワイン、サーディン、チャンピ、後は?
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  La Tavina  ラ・タヴィーナ
  
Calle del Laurel, 2, 26001 Logroño, La Rioja +34 941 10 23 00 latavina.com

・ LogroñoのWine Bar
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Tavina 2019年 1月 

 *Hummus Tradicional
 *Crujiente de Careta de Cerdo
 +Vino Reserva Altun
 +Vino Reserva Valenciso

[へべ]
 フムス、豚カレタのクルヒエンテ!、アルトゥン、バレンシソ!

 「乾杯」と言ってくる兄さん、「クルヒエンテ旨いわよ(くっちゃいけど)」と言ってくる姉さん。

[AQ!]
 3軒目はどっか落ち着いて…と歩いていると、ラウレル通り入口のタヴィーナがスカスカしてきてた。
 席をげっと。
 こちらはワインバー性の高いバル。
 黒板リストは、blancos, jovenes, reserva, rosados, crianza…に分けられて、総勢40種ちょいをグラスでご提供。

 フムスを抓みにreservaからAltun, Valenciso。
 色々呑もうと思ってたが、このValencisoが旨くて結局2回オカワリ。
 隣の姐さんオシの豚ツラミのプレスを取ったら、激ウマ。かりかりプレス界で出色の出来♪
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  El Timonel エル・ティモネル
  
C/ Felix Pizcueta, 13 46004 VALENCIA Tel. 96 352 63 00 Fax: 96 351 17 32 www.eltimonel.com

・
2009年 1月 

 *ポテトチップ
 *Parrillada Verduras
 *Paella Valenciana
 *Naranjas a la Reina
 *Tulipa Esp. Helado
 +05 Vina Salceda CR

[↓メモ版:工事中]

[AQ!]
 Matentada, Palace Focelは正月休みのようだ。
 エル・ティモネルは北駅から3分ほど、すぐだ。典型的な古いリストランテ、といった所。いなてー。
 こちらも正月とあってか、結構広い店内に、ワシら入れて4卓ほどぽっきり。21:40入りのボクらが最後のお客に。
 オヤジの抜栓はイイカゲン、テイスティングyも無しでガバガバ注ぐ。リストにはウニコ65(700euro)も有り升。同じ様にガバガバと注ぐのだろうか(笑)。それにしても700とは、高くなったものだ。

 焼野菜とバレンシア風パエリヤ。パエリヤは鍋サイズゆえ、「2人様から」。
 焼野菜は、ウノかドスか聞かれてウノにしたが、それでも山盛り(^^;;)。こちらの焼野菜では、ズッキーニとシャンピニオンドパリが、極めて美味、ベビーコーンも。
 それにしても、焼野菜がフツーにメニューにあって、フツーに旨い…という文化は素晴しい。塩・胡椒・油・バルサミコ。「無し」でもイケル程度に味はついている。
 バレンシア風は、兎と鶏。どうも、Arrozは「山の幸」の方に軍配が上がるような気がする。オネーサンが炊き上がりを見せに来た後、取り分け。2人だと、かなりタップリ。4人だと、皿に別にもう一皿料理が食える…って感じ。
 予想以上にメロッソに近い仕上げで、スープ味は、しつこくない。食いやすく、美味い。
 東京を思い出すと、児玉巨匠のに似てるか?と思った。どうもやはり、日本の一般のパエリヤはバルセロナ辺りの浜辺の観光パエリヤを持ってきてんじゃないかなあ?…という疑いは濃い。
 白い大豆と、緑の平べったい鞘豆入りで(昼に中央市場で一応チェックはしたのだが、名前はすぐには覚えられない(^^;;))、このお豆さんたちは、絶品。
 白豆の粉っぽさのない滑らかな質感、緑豆から上品に湧き出すフレーバー。ほんとにスペインは、茸と豆の国だ(^^;)。
 肉たちは、割りとダシがら(^^;)。

 チューリップアイス=2色+クリーム
 レーニャ・ナランハ、苺のシロップ漬
 英・独・仏・西、…だっけかな、で、1冊になった品書き。
 ワインリストは、オススメに「R」マークが付いている、というか、赤ワインでは頼んだコレにだけ、付いている。
 水は青いガラス瓶のもの、なかなか良い。
 勘定書を、最初、間違って持ってきた。さすがに、40ユーロ以下…ということはない(爆)。
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  Uvedoble  ウベドブレ
  
Uvedoble está en calle Císter, 15. En el centro histórico de Málaga, España  95 124 84 78 uvedobletaberna.com

・ マラガのバル
Uvedoble 2015年 5月 

 *Croquetas caseras de jamón ibérico
 *Ajo blanco

[AQ!]
 アンダルシア最終夜、2軒目のバル。
 22時半、この店はかなりの嵐が吹き過ぎたところのようで、おにーちゃんはちょっとクタビレ気味(^^;)。
 そう言えば今回、素直なアホブランコは食ってねーな…でソレ、そしてクロケタ。
 料理はちゃんとしてる。
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  La Viña del Ensanche  ヴィーニャ・デル・エンサンチェ
  
Diputazio Kalea, 10, 48008 Bilbo, Bizkaia +34 944 15 56 15 www.lavinadelensanche.com

・ ビルバオのバル
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La Vina 2019年 1月 ☆

 *Joselinis

[へべ]
 夜ビルボ。
 宿は「ビルの1フロアがホテル」型。
 バルエリアへ。

[AQ!]
 帰国へ向け、ビルバオに戻った。
 んー、そう言えば、バル集中エリアに取った宿だったはず…と、最終の夜を徘徊する。

 モユア広場そばの、ヴィーニャエンサンチェとエルグロボの並びへ、徒歩5分ほど。
 金曜夜である、その一角はぐわんぐわんと盛り上がっている。
 La Viña del Ensancheは、バル/レストラン/ショップの3形態が並ぶ。バルに足を踏み入れてみたのだが、うーん、居場所を探すのが大変だ(^^;)。金曜夜ゴールデンタイムだし、やっぱドノスティアやログローニョよりは少し都会っぽくギスギスしてもいる。
 隣はどーかね、とEl Globoを見に行く。年齢層が若い。混み具合は…やっぱ難しい。
 ディオス・ミオ…もう一度La Viñaに戻って、流れの観察でも…と眺めてたらヒョイと席が空いた。らっちょい♪
La Vina
[へべ]
 ラビーニャデルなんちゃら(→La Viña del Ensanche)、ホセリートが売りの方。
 温タルティーヌ、ホセリーィン、みたいなネーミング(→Josellinis)。
 ハモン、フォアグラ、林檎、上質な田舎パン。赤3杯。
 ご機嫌。
 立派なお客。

[AQ!]
Josellinis gratinados
(coppa ibérica, queso, manzana y foie fundido sobre pan de cristal)
 だって、これはいいツマミ。
 こちらは、バルとして初めてJoselitoを扱った、とか、スペインで一番Joselitoを売る、とか…と言われている。
 赤もイイの出してて、すっかり満悦。
 毛皮のご婦人方…などがバカスカと来店する。年齢層高めの富裕め…と、観光客。価格帯もあろうが、その辺りは目立つ一軒。
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  Zuberoa スベロア
  
barrio Iturriotz 8, OIARTZUN (Oyarzun) (943)491228 Fax:(943)492679 www.zuberoa.com
日・水休 新年・春・秋に休暇あり
料理長: Hilario Arbelaitz (1951-)
・  
  ここんちのFAX(943)492679は、すぐに電話と間違えて人が出てしまう~(^^;)。予約は zuberoa@zuberoa.com のメールが簡単かも~。 (2003)

ZUBE1 [↓メモ版:工事中]
2003年 8月 ☆

 *茶色いペースト(レバー?豆?)の上に緑のクレーム(ブロッコリ?)、フォアグラのフラン?のようなもの
 *Esparragos verdes asodos
  アスパラ焼
 *Gazpacho de tomate y albahaca
  ガスパチョ
 *Carrilleras de ternera quisadas
  仔牛の顎のシチュー
 *Bacalao confitado con caldo
  バカラオ、ねぎ入りゼラチンスープ、野菜
 *Pastel de avellana
  ヘーゼルナッツクレームのタルト、ヨーグルトアイス、ベリーの山柑橘皮添え
 *Tarta fina de manzana
  アップルパイ、林檎アイス
 +65Unico / Vega Sicilia

[AQ!]
 スベロアの夜は素晴らしいものだった。
 …そういえば、と、いきなり脱線するが、スベロアにFAXを出そうとすると、人が出ちゃうんだよな~。「スベロア、スベロア!」って言うんだよ。FAX番号だっつうに。どうしよかと思ったが、同一文面をe-mailで出しといたら、しばらくして返事が来たものだった。
 …そういえば、と、もう一度脱線するとドノスティアの周辺の一線級レストランの休業コードは、大概、「Domingo noches y lunes」であって、月曜の過ごし方が難しいのである。まあ、市内の『Urepel』『P.F』という2軒が無名ながらミシュランの1マカロンを得ていて月曜営業で、ここいら辺かなぁと思っていた。のだが、ある日ボヤッとZuberoaのサイトを眺めていると「Domingo y Miercoles」の文字が目をかすった。確かに、日水休…と書いてあるようだ。アレっと思い、手元にあるミシュラン・エスパーニャ2001を開けると、ミシュランには、日夜・月休とある。これはもしや、最近になって営業コードを変えたのか?…それならラッキー!と月曜の予約を入れたのである。
 Zuberoaは、行こうかどうしようか迷っていた一軒なのだが、月曜にやっているなら願ってもないこと。…という訳で、Oiartzunを訪問することになったワシらだが、後で思うと、色々な意味で幸運であった。行けて良かった。
ZUBE2
 Oiartzunの町の規模はよくわからないが、海辺のDonostiaからautopistaを走って、だいぶ“山々として”きた土地で、この町内に3つのミシュランマカロンを持つ。勿論そのうち2つがZuberoaの物。
 Zuberoaは落ち着いた一軒家で、ブエナスノーチェスと入って突き当たりにサルがあり、その前を右手に曲がる廊下を進むと、テラス席が用意されている。
 廊下の曲がり端でAlbeleitzシェフと握手。“シェフ”らしい太った巨体。
 オープンエアのテラス席は、テラスと言ってもかなりの広さと適度な豪華さをもった造りで、そこだけで30席以上あるだろう。非常に長く張りだした軒の下には、室外ではあるが、壁には画が掛かり、照明セットが巧く決まり、屋外らしい草花や樹木ゃ生け垣や石積みと併せ、~え~と、要するにとても気持ち良い。
 遠くに望む山の端に、日暮れが徐々に進行する。とっても実戦的テラス作り。
 顔を撫でていく風は「軽井沢みたいね」とへべ。2003年の酷暑のヨーロッパで、スペイン中では最も湿潤と言われるエウスケラの気候を心配していたものの、Donostiaからして、“日本人には”清涼そのもの。ましてOiartzunでは高原のバカンス気分以外の何物でもない。
 この辺りはフランスに比べると、テラス使用可能日数は随分多いだろうから、テラスを作り込んでおくのは得策なのだろう。

 テラスの我々周辺では英・仏語が混じって聞こえる。ツーリスト用の一画という所か。旅行者たちは、後日のアルサックに比べると、随分ノンビリと構えている雰囲気がある。英語で一人で旅行の婦人には、食後になって仏人3人客(男男女)がナンパして合流、堰を切ったように英語で盛り上がっていた(喋り相手がなくてふさいでいたのか?)。
 その反対の卓のスペイン人らしき夫婦は、スペイン人にしては世にも珍しくムッツリと暗く押し黙っている。別れ話でもしにきたか…と思っていると、突然にぎや化した。なんなんだ。
 …と変な奴もいるのだが、全体にはとてもイイ感じの客層で、とくに地元や近郊と覚しき熟年~老年客のおおどかさが良い味を出して、場を支配している。
Zuberoa
 さて、メートレスからカルトを受け取る。エウスケラの風習通り、か、ここもサービスの主動部隊は女性である。
 1頁目のコースはガストロノミームニュと名付けられている。2,3頁目にアラカルト。ドノスティア近郊のレストランが世間の耳目を集めているのは、その非常に細かく独創的な技術に依るものが大きいが、その中でZuberoaは、オーソドックスな色合いが強いと聞く。カルトを見ていても、そんな印象がある。今宵はアラカルトかな。
 ガスパチョにアスペルジュ、バカラオに牛、とまずはこの場所で頼む“王道”くさい所を。

 Donostiaですっかりお気に入りになったチャコリで更に涼をとっていると届けられるカルトドヴァンは、“電話帳”である。ずっしりと重い装丁にびっしりと埋まるRiojaの頁は、眺めているだけで興奮を呼ぶ。古酒からスーパーリオハまで素晴らしいリストだ。
 「いやぁ、アレもコレも…」と唸りながら、ついでにRdDもチェック。ギプスコアのすぐ隣のようなリオハに比べれば頁が薄くなるRdDの項目もチェックするのは、実のところ、Unicoの点検をしているようなものだが、さすがにVegaSの部は手厚く並んでいる。
Zuberoa  ん~と…
 「おい、あるよ65!ウニコ。どうしよ~」
 65ウニコはさる理由で探していたvintageなのだが、Zuberoaのリストには見事に載っている。ワシの耳は、グオーンと清水の舞台がせせり上がってくる音を聞いた…。…などと言いながらもこの285euroはボルドーやブルでの暴挙に比すれば、飛び降りやすい舞台である。エイヤとjump!
 おそらく殆ど旅もしていないだろう、恐ろしく状態の良さそうなUnicoは、グラスの中に赤黒い。エッジにようやく橙を浮かべるこのワインは、圧倒的な力と格を示し、陶酔的で、頭の芯を誘惑でつかむ。恐ろしい奴だ!
 テイスティングで「Wao!」とワシの叫びが漏れると、フ・フ・フとサービスのネーチャンは不敵に微笑む。
Zuberoa
 その間に静かに空は闇色に変わり、ゴキゲンなアミューズのクレームに続いて料理が進行する。料理は、早い話が、大したこたない…ってか、手堅く安定して、安心して食える物。田舎の、とくに名を馳せたりしないミシュラン1~2つ星で出そうな…なんつうイメージの。
 今晩は、この、ワインと料理のバランスが良かった。更に言えば、この場所と客とサービスと…のバランスが。この夜は素晴らしい物として記憶に残ると重う。たしかに料理には、驚きや感動は、ほとんどカケラほどしかないのだが。
 帰り際、「エシュケリッガシコ、アグール、イクシアルテ」…などかますと、フロアとシェフみんな大喜び。もっと早くから言ってみるんだったか(^^;)。後で調べると、Oiartzun近辺はほんとにバスク圏のど真ん中、最もエウスケラ意識の強い場所の一つであるらしい。
Mugaritz
[へべ]
 いい夜でした。私の人生の「テラスで夕食」部門第一位の栄冠に輝くのは、このスベロアかもしれません(さもなければトラマのローベルガード、熾烈な頂上争いになりました)。石のテラス、爽やかな夜気、さんざめくゴキゲンな客席、地域性のほど良く出た料理、最高のワイン…カタコトのバスク語ごあいさつがウケたのも、この店らしい、いい思い出です。
 海外のレストランとは、願わくばEメールかファクスでやり取りしたいと思っています(言語不如意につき)。そんな私たちも、時たま「FAX送ったのに電話回線で人が出ちゃう」「メールで連絡したのに返事の電話がかかってくる」といった災難に見舞われることがあるわけで、そんな「スベロアな」店との出会いもまた一興。かな? (^^;)
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